JPH0665581A - 石炭液化プロセスに於ける石炭スラリーの調整方法 - Google Patents
石炭液化プロセスに於ける石炭スラリーの調整方法Info
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- JPH0665581A JPH0665581A JP24144592A JP24144592A JPH0665581A JP H0665581 A JPH0665581 A JP H0665581A JP 24144592 A JP24144592 A JP 24144592A JP 24144592 A JP24144592 A JP 24144592A JP H0665581 A JPH0665581 A JP H0665581A
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 石炭液化プロセスの石炭スラリー調整工程で
スラリー粘度が上昇することに起因するフィードトラブ
ルを防止するためのスラリー調整方法を提供する。 【構成】 石炭スラリー調整時の温度を50〜150℃
の範囲に設定し、調整すべきスラリーをこの温度条件下
でスラリー循環ライン中を循環させて、その際の循環混
合撹拌時間を調節するとともに、スラリー循環ポンプに
よってスラリー循環ライン中のスラリーの流量とスラリ
ー調整槽における撹拌速度を調節することにより、スラ
リーの剪断速度と剪断応力との関係がNewton流動
領域になる様にして、最終的に得られるスラリーの粘度
を必要とされる粘度に調整する。
スラリー粘度が上昇することに起因するフィードトラブ
ルを防止するためのスラリー調整方法を提供する。 【構成】 石炭スラリー調整時の温度を50〜150℃
の範囲に設定し、調整すべきスラリーをこの温度条件下
でスラリー循環ライン中を循環させて、その際の循環混
合撹拌時間を調節するとともに、スラリー循環ポンプに
よってスラリー循環ライン中のスラリーの流量とスラリ
ー調整槽における撹拌速度を調節することにより、スラ
リーの剪断速度と剪断応力との関係がNewton流動
領域になる様にして、最終的に得られるスラリーの粘度
を必要とされる粘度に調整する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、高温、高圧の
水素の存在下で石炭の液化反応を進行させる石炭液化プ
ロセスに於いて、石炭、触媒、溶剤の混合物からなる石
炭スラリーを液化反応塔に供給する前のスラリー調整工
程に関する。
水素の存在下で石炭の液化反応を進行させる石炭液化プ
ロセスに於いて、石炭、触媒、溶剤の混合物からなる石
炭スラリーを液化反応塔に供給する前のスラリー調整工
程に関する。
【0002】一般に、石炭液化プロセスのスラリー調整
工程に於いて、石炭と溶剤とを循環攪拌混合させる際に
は、石炭粒子の膨潤によりスラリー粘度の上昇が生じ、
また、スラリーの流動特性が調製時の剪断速度によって
変化する。
工程に於いて、石炭と溶剤とを循環攪拌混合させる際に
は、石炭粒子の膨潤によりスラリー粘度の上昇が生じ、
また、スラリーの流動特性が調製時の剪断速度によって
変化する。
【0003】本発明は、スラリー中の石炭の凝集粒子の
形態を変化させることによってスラリー循環ラインで発
生するスラリーフィードトラブルを防止することを目的
とするスラリー調製方法に関するものであり、石炭液化
プロセス以外の工業分野に於いてもスラリー中に石炭の
様な固体粒子を含み、そのスラリーを循環攪拌混合し、
スラリーポンプで次工程へ供給することを必要とするプ
ロセスに対して幅広く適用可能である。
形態を変化させることによってスラリー循環ラインで発
生するスラリーフィードトラブルを防止することを目的
とするスラリー調製方法に関するものであり、石炭液化
プロセス以外の工業分野に於いてもスラリー中に石炭の
様な固体粒子を含み、そのスラリーを循環攪拌混合し、
スラリーポンプで次工程へ供給することを必要とするプ
ロセスに対して幅広く適用可能である。
【0004】
【従来の技術】石炭液化プロセスに於ける石炭の液化方
法は、石炭、触媒、および溶剤を混合して調整したスラ
リーを高温、高圧で触媒の存在下、水素添加により水素
化分解し、得られた液化油を軽質油、中質油、重質油等
に分離精製する。
法は、石炭、触媒、および溶剤を混合して調整したスラ
リーを高温、高圧で触媒の存在下、水素添加により水素
化分解し、得られた液化油を軽質油、中質油、重質油等
に分離精製する。
【0005】一方、得られたこれらの液化油の内、重質
油に対しては溶剤水素化反応塔で水素添加による溶剤の
水素化反応を行い、減圧した後、得られた溶剤を循環溶
剤として再び液化反応工程に戻し、これを石炭スラリー
調整用として使用する。
油に対しては溶剤水素化反応塔で水素添加による溶剤の
水素化反応を行い、減圧した後、得られた溶剤を循環溶
剤として再び液化反応工程に戻し、これを石炭スラリー
調整用として使用する。
【0006】液化反応に使用される石炭は、液化反応工
程で水素化分解反応を行わせるために、石炭中に含まれ
る約15%の水分を通常1〜2%まで乾燥した後、15
0μm以下の粒度の石炭粒子の収率が80%以上となる
ように粉砕する。
程で水素化分解反応を行わせるために、石炭中に含まれ
る約15%の水分を通常1〜2%まで乾燥した後、15
0μm以下の粒度の石炭粒子の収率が80%以上となる
ように粉砕する。
【0007】この石炭の粉砕は、ロッドミル、ボールミ
ル、振動ミル、ディスクミル等の粉砕機を使用して行わ
れる。
ル、振動ミル、ディスクミル等の粉砕機を使用して行わ
れる。
【0008】一方、スラリーの調整は、スラリー供給槽
内に溶剤と粉砕した石炭と触媒とを装入し、攪拌機で攪
拌混合したのち、スラリー循環ポンプでスラリー循環ラ
インを循環させ、その一部を高圧スラリーポンプで石炭
スラリー加熱器を経由して液化反応塔へ送液する。
内に溶剤と粉砕した石炭と触媒とを装入し、攪拌機で攪
拌混合したのち、スラリー循環ポンプでスラリー循環ラ
インを循環させ、その一部を高圧スラリーポンプで石炭
スラリー加熱器を経由して液化反応塔へ送液する。
【0009】一方、石炭液化に使用される石炭は瀝青炭
から褐炭までの幅広い石炭が対象となるため、石炭の構
造や比重、溶剤との濡れ性等の諸物性の相違によって、
ある石炭種では、溶剤と一緒に循環攪拌混合を行う際に
その混合時間が長くなると石炭粒子のポアの内部に溶剤
が入り込んで膨潤し、さらにその石炭粒子が凝集してス
ラリー粘度の上昇が生じる。
から褐炭までの幅広い石炭が対象となるため、石炭の構
造や比重、溶剤との濡れ性等の諸物性の相違によって、
ある石炭種では、溶剤と一緒に循環攪拌混合を行う際に
その混合時間が長くなると石炭粒子のポアの内部に溶剤
が入り込んで膨潤し、さらにその石炭粒子が凝集してス
ラリー粘度の上昇が生じる。
【0010】その結果、スラリー循環ラインに石炭粒子
が閉塞することとなり、スラリーフィードトラブルが発
生することとなる。
が閉塞することとなり、スラリーフィードトラブルが発
生することとなる。
【0011】このように、ある石炭種と溶剤を組み合わ
せたスラリーで液化プラントの運転を行った場合には、
しばしばスラリーフィードトラブルによるプラントの運
転停止を行うに到っていた。
せたスラリーで液化プラントの運転を行った場合には、
しばしばスラリーフィードトラブルによるプラントの運
転停止を行うに到っていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、この様
な、石炭と溶剤の循環攪拌混合を行なうスラリー調整過
程に於いて、その際に発生する石炭スラリー中の石炭粒
子の膨潤によりスラリー粘度が上昇し、それに起因して
生じると考えられるスラリーフィードトラブルについて
その発生メカニズムを究明すると共に、石炭種に対応し
たスラリーフィードトラブルの発生抑制対策を検討し
た。
な、石炭と溶剤の循環攪拌混合を行なうスラリー調整過
程に於いて、その際に発生する石炭スラリー中の石炭粒
子の膨潤によりスラリー粘度が上昇し、それに起因して
生じると考えられるスラリーフィードトラブルについて
その発生メカニズムを究明すると共に、石炭種に対応し
たスラリーフィードトラブルの発生抑制対策を検討し
た。
【0013】すなわち、本発明は石炭スラリーの物性の
変化がスラリー調製工程で行われる循環攪拌混合操作に
よってどの様に変化するかに着目し、その際に発生する
スラリー粘度の上昇に起因するフィードトラブルを防止
するためのスラリー調製方法を提供するものである。
変化がスラリー調製工程で行われる循環攪拌混合操作に
よってどの様に変化するかに着目し、その際に発生する
スラリー粘度の上昇に起因するフィードトラブルを防止
するためのスラリー調製方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは石炭スラリ
ーの物性に起因するスラリーのフィードトラブル発生の
メカニズムを究明するため、スラリーの諸物性を幅広く
調査検討した結果、スラリーの循環攪拌混合を長時間に
わたって継続すると、ある石炭種によっては石炭粒子中
に溶剤が入り込んで膨らむ膨潤現象が発生し、その結
果、石炭粒子の体積分率が増加し、見掛けのスラリー濃
度が上昇するため、スラリーの粘度が上昇することがわ
かった。
ーの物性に起因するスラリーのフィードトラブル発生の
メカニズムを究明するため、スラリーの諸物性を幅広く
調査検討した結果、スラリーの循環攪拌混合を長時間に
わたって継続すると、ある石炭種によっては石炭粒子中
に溶剤が入り込んで膨らむ膨潤現象が発生し、その結
果、石炭粒子の体積分率が増加し、見掛けのスラリー濃
度が上昇するため、スラリーの粘度が上昇することがわ
かった。
【0015】そこで、本発明者らは上記の知見に基づい
てスラリーの粘度上昇を抑制する対策を幅広く検討し
た。
てスラリーの粘度上昇を抑制する対策を幅広く検討し
た。
【0016】その結果、いかなるスラリー濃度に於いて
も、石炭粒子の膨潤によるスラリーの粘度上昇を抑制す
る手段として、スラリー調製時の温度範囲を50〜15
0℃とし、スラリーの循環攪拌混合時間を調節すること
が有効とわかった。
も、石炭粒子の膨潤によるスラリーの粘度上昇を抑制す
る手段として、スラリー調製時の温度範囲を50〜15
0℃とし、スラリーの循環攪拌混合時間を調節すること
が有効とわかった。
【0017】それによって、最終的に得られたスラリー
の粘度をスラリー循環ポンプの設備仕様の粘度の範囲以
内とすることが可能となった。
の粘度をスラリー循環ポンプの設備仕様の粘度の範囲以
内とすることが可能となった。
【0018】しかしながら、その後、さらに石炭スラリ
ーの物性について幅広く調査検討したところ、スラリー
の粘度や剪断応力などの物性値が、スラリー調製時の剪
断速度によっても影響を受け、その影響の仕方は石炭種
によって異なることを究明した。
ーの物性について幅広く調査検討したところ、スラリー
の粘度や剪断応力などの物性値が、スラリー調製時の剪
断速度によっても影響を受け、その影響の仕方は石炭種
によって異なることを究明した。
【0019】従って上述のスラリー調製法の基本的考え
方であるスラリー調製時の温度、およびスラリーの循環
攪拌混合時間の他に、スラリー調製時の剪断速度を石炭
種に対応して適性な範囲に制御すれば、さらに安定した
スラリーの調製が可能となる。
方であるスラリー調製時の温度、およびスラリーの循環
攪拌混合時間の他に、スラリー調製時の剪断速度を石炭
種に対応して適性な範囲に制御すれば、さらに安定した
スラリーの調製が可能となる。
【0020】本発明者らはこの点に着目し、スラリーの
循環攪拌混合時の剪断速度を石炭種に対応して適性値に
制御することとした。
循環攪拌混合時の剪断速度を石炭種に対応して適性値に
制御することとした。
【0021】すなわち、本発明は石炭種に対応してスラ
リー調製時の温度、循環攪拌混合時間の制御に加え、剪
断速度までも制御することを基本とした新しい石炭スラ
リーの調製方法である。
リー調製時の温度、循環攪拌混合時間の制御に加え、剪
断速度までも制御することを基本とした新しい石炭スラ
リーの調製方法である。
【0022】詳しくは、石炭、石炭液化用溶剤、および
石炭液化用触媒を混合してスラリー化し、その石炭スラ
リーを水素の存在下で加圧、加熱して水素化分解した
後、得られた液化油を溶剤と残渣とに分離する石炭液化
工程と、この石炭液化工程で得られた溶剤の一部を溶剤
水素化用触媒の存在下で加圧、加熱して水素を添加した
後、減圧し、循環使用するための石炭液化用溶剤を得る
溶剤水素化工程とを有する石炭液化プロセスに於いて、
そのプロセス中に設けたスラリー循環ライン中に、石
炭、石炭液化用溶剤、および石炭液化用触媒を循環させ
て混合撹拌することにより石炭スラリーを調整する際
に、石炭スラリー調整時の温度を50〜150℃の範囲
に設定し、調整すべきスラリーをこの温度条件下でスラ
リー循環ライン中を循環させて、その際の循環混合撹拌
時間を調節するとともに、さらに、スラリー循環ポンプ
によってスラリー循環ライン中のスラリーの流量とスラ
リー調整槽における撹拌速度を調節することにより、ス
ラリーの流量と配管半径によって定まるスラリーの剪断
速度と剪断応力との関係がNewton流動領域になる
様にして、最終的に得られるスラリーの粘度を必要とさ
れる粘度に調整することを特徴とする石炭液化プロセス
に於ける石炭スラリーの調整方法である。
石炭液化用触媒を混合してスラリー化し、その石炭スラ
リーを水素の存在下で加圧、加熱して水素化分解した
後、得られた液化油を溶剤と残渣とに分離する石炭液化
工程と、この石炭液化工程で得られた溶剤の一部を溶剤
水素化用触媒の存在下で加圧、加熱して水素を添加した
後、減圧し、循環使用するための石炭液化用溶剤を得る
溶剤水素化工程とを有する石炭液化プロセスに於いて、
そのプロセス中に設けたスラリー循環ライン中に、石
炭、石炭液化用溶剤、および石炭液化用触媒を循環させ
て混合撹拌することにより石炭スラリーを調整する際
に、石炭スラリー調整時の温度を50〜150℃の範囲
に設定し、調整すべきスラリーをこの温度条件下でスラ
リー循環ライン中を循環させて、その際の循環混合撹拌
時間を調節するとともに、さらに、スラリー循環ポンプ
によってスラリー循環ライン中のスラリーの流量とスラ
リー調整槽における撹拌速度を調節することにより、ス
ラリーの流量と配管半径によって定まるスラリーの剪断
速度と剪断応力との関係がNewton流動領域になる
様にして、最終的に得られるスラリーの粘度を必要とさ
れる粘度に調整することを特徴とする石炭液化プロセス
に於ける石炭スラリーの調整方法である。
【0023】
【作用】以下、本発明を成すに至った石炭液化プロセス
を説明し、作用とともに本発明の内容を詳細に述べる。
を説明し、作用とともに本発明の内容を詳細に述べる。
【0024】図1は石炭液化プロセスのフローを示すも
のである。
のである。
【0025】原料となる石炭は、調整する石炭スラリー
の性状あるいは石炭液化反応時の反応性等を考慮して、
粉砕機1により、通常、150μm以下の収率が80%
以上になる様に粉砕する。
の性状あるいは石炭液化反応時の反応性等を考慮して、
粉砕機1により、通常、150μm以下の収率が80%
以上になる様に粉砕する。
【0026】粉砕された石炭は、スラリー調製槽2で溶
剤水素化反応塔11から送られてきた石炭液化用の循環
溶剤と混合してスラリー化する。
剤水素化反応塔11から送られてきた石炭液化用の循環
溶剤と混合してスラリー化する。
【0027】この際、スラリーの調製は調製槽2に設置
された攪拌機3およびスラリー循環ポンプ4を用いて循
環攪拌混合することにより行う。
された攪拌機3およびスラリー循環ポンプ4を用いて循
環攪拌混合することにより行う。
【0028】スラリー濃度は通常(溶剤/石炭)の比が
1.0〜3.0程度の範囲となるようにして調製する。
1.0〜3.0程度の範囲となるようにして調製する。
【0029】また液化油収率を上げるため、鉄系の使い
捨て触媒(合成硫化鉄触媒、天然鉄鉱石触媒等)を同時
に混合使用し、その添加量は、無水、無灰ベースの原料
石炭に対して1〜5%程度である。
捨て触媒(合成硫化鉄触媒、天然鉄鉱石触媒等)を同時
に混合使用し、その添加量は、無水、無灰ベースの原料
石炭に対して1〜5%程度である。
【0030】こうして得られた石炭スラリーは、高圧ス
ラリーポンプ5で150〜190kg/cm2の圧力に
昇圧した後、スラリー加熱器6で加熱し、高温、高圧下
に保持された液化反応塔7で所定時間水素ガスと反応さ
せて水素化分解させる。
ラリーポンプ5で150〜190kg/cm2の圧力に
昇圧した後、スラリー加熱器6で加熱し、高温、高圧下
に保持された液化反応塔7で所定時間水素ガスと反応さ
せて水素化分解させる。
【0031】水素化分解は、温度が430〜470℃、
圧力が前述の150〜190kg/cm2で行われ、か
かる分解反応によって原料石炭の液化反応が進行する。
圧力が前述の150〜190kg/cm2で行われ、か
かる分解反応によって原料石炭の液化反応が進行する。
【0032】反応後の生成物は、分離器8によってガ
ス、水、油(液化油)に分離される。
ス、水、油(液化油)に分離される。
【0033】分離された油の内、軽質油および中質油は
蒸留設備9において分離され、それぞれ所定の製品油と
して回収される。
蒸留設備9において分離され、それぞれ所定の製品油と
して回収される。
【0034】残りの重質油は減圧蒸留塔10で真空蒸留
され、538℃以上の沸点留分のものは液化残渣として
系外に排出される。
され、538℃以上の沸点留分のものは液化残渣として
系外に排出される。
【0035】一方、538℃未満の沸点留分である重質
油は、高温、高圧下に保持され、触媒を充填した固定床
の溶剤水素化反応塔11で所定時間、水素ガスと反応さ
せて溶剤水素化反応を行うことにより水素供与性を高
め、循環溶剤としてスラリー調製槽2へ戻して使用す
る。
油は、高温、高圧下に保持され、触媒を充填した固定床
の溶剤水素化反応塔11で所定時間、水素ガスと反応さ
せて溶剤水素化反応を行うことにより水素供与性を高
め、循環溶剤としてスラリー調製槽2へ戻して使用す
る。
【0036】このような循環系においてある石炭種のス
ラリーを使用して石炭の液化を行なったところ、スラリ
ー循環攪拌混合ライン2・3〜4においてしばしば石炭
スラリー中の石炭粒子が沈降することによる閉塞トラブ
ルが発生し、プラントの運転を停止して油による洗浄を
行わざるを得なかった。
ラリーを使用して石炭の液化を行なったところ、スラリ
ー循環攪拌混合ライン2・3〜4においてしばしば石炭
スラリー中の石炭粒子が沈降することによる閉塞トラブ
ルが発生し、プラントの運転を停止して油による洗浄を
行わざるを得なかった。
【0037】図2は、石炭スラリーの循環攪拌混合ライ
ンおよび高圧スラリー供給ポンプを経て、スラリー加熱
器から液化反応塔へスラリーを供給するラインの詳細を
示す。
ンおよび高圧スラリー供給ポンプを経て、スラリー加熱
器から液化反応塔へスラリーを供給するラインの詳細を
示す。
【0038】スラリー調製槽12で攪拌機13によって
攪拌混合された石炭スラリーは、スラリー循環ポンプ1
4によってスラリー循環ライン15内を所定時間循環攪
拌混合されたのち、高圧スラリー供給ポンプ16により
スラリー加熱器17を経て液化反応塔18へ輸送され
る。
攪拌混合された石炭スラリーは、スラリー循環ポンプ1
4によってスラリー循環ライン15内を所定時間循環攪
拌混合されたのち、高圧スラリー供給ポンプ16により
スラリー加熱器17を経て液化反応塔18へ輸送され
る。
【0039】高圧スラリーポンプ16はプランジャータ
イプのスラリーポンプであり、プランジャーによってス
ラリーが吸引および圧縮され、ピストンフローとなって
スラリーが加熱器17へ供給される。
イプのスラリーポンプであり、プランジャーによってス
ラリーが吸引および圧縮され、ピストンフローとなって
スラリーが加熱器17へ供給される。
【0040】本発明者らは図1のようなフローの石炭液
化プラントにおいて幅広い石炭種について運転研究を行
っているが、ある石炭種のスラリーの場合には、図2の
スラリー循環ライン15においてスラリーの粘度が上昇
し、その結果流動性が低下して閉塞が起こるという、ス
ラリーのフィードトラブルが発生してプラントの運転継
続が不可能となり、プラントを休止してラインを油洗浄
することがしばしば行われるに至っていた。
化プラントにおいて幅広い石炭種について運転研究を行
っているが、ある石炭種のスラリーの場合には、図2の
スラリー循環ライン15においてスラリーの粘度が上昇
し、その結果流動性が低下して閉塞が起こるという、ス
ラリーのフィードトラブルが発生してプラントの運転継
続が不可能となり、プラントを休止してラインを油洗浄
することがしばしば行われるに至っていた。
【0041】そこで本発明者らはこの様な石炭と溶剤の
組合せに起因して発生するスラリーの供給トラブル発生
のメカニズムを究明するとともに、このようなスラリー
供給トラブルの発生を抑制する方法を開発するため、ス
ラリー調製時の温度、時間、その他の要因について多方
面から幅広く検討した結果、スラリー調製時の温度、時
間、剪断速度の3つの要因を石炭種に応じて適性範囲に
制御することによってスラリーの粘度を低下させ、スラ
リー中の石炭粒子の凝集構造を安定化させることが可能
となり、いかなる石炭種においても石炭スラリー調製時
のフィードトラブルを解消できることを究明した。
組合せに起因して発生するスラリーの供給トラブル発生
のメカニズムを究明するとともに、このようなスラリー
供給トラブルの発生を抑制する方法を開発するため、ス
ラリー調製時の温度、時間、その他の要因について多方
面から幅広く検討した結果、スラリー調製時の温度、時
間、剪断速度の3つの要因を石炭種に応じて適性範囲に
制御することによってスラリーの粘度を低下させ、スラ
リー中の石炭粒子の凝集構造を安定化させることが可能
となり、いかなる石炭種においても石炭スラリー調製時
のフィードトラブルを解消できることを究明した。
【0042】図3はスラリー調製温度60℃の一定条件
下に於いて、3種類の石炭種と各々の石炭種の液化によ
って得られた循環溶剤と触媒とを循環攪拌混合して得ら
れたスラリーの粘度の経時変化を示すものである。
下に於いて、3種類の石炭種と各々の石炭種の液化によ
って得られた循環溶剤と触媒とを循環攪拌混合して得ら
れたスラリーの粘度の経時変化を示すものである。
【0043】石炭種Iのスラリーは、石炭液化に於ける
標準的な石炭化度の石炭に石炭種Iの石炭液化反応によ
って得られた循環溶剤と触媒とを混合して得られたスラ
リーである。
標準的な石炭化度の石炭に石炭種Iの石炭液化反応によ
って得られた循環溶剤と触媒とを混合して得られたスラ
リーである。
【0044】石炭種IIのスラリーは、石炭液化に使用
される石炭の中では比較的石炭化度の高い石炭のスラリ
ーであり、石炭種IIの石炭液化反応によって得られた
循環溶剤と触媒とを混合して得られたスラリーである。
される石炭の中では比較的石炭化度の高い石炭のスラリ
ーであり、石炭種IIの石炭液化反応によって得られた
循環溶剤と触媒とを混合して得られたスラリーである。
【0045】石炭種IIIのスラリーは、比較的石炭化
度の低い石炭のスラリーであり、石炭種IIIの石炭液
化反応によって得られた循環溶剤と触媒とを混合して得
られたスラリーである。
度の低い石炭のスラリーであり、石炭種IIIの石炭液
化反応によって得られた循環溶剤と触媒とを混合して得
られたスラリーである。
【0046】図3より、石炭種IIIのスラリーは、他
の石炭種I、IIに比べるとスラリーの循環攪拌混合時
間が長くなるにつれて急激に粘度が上昇する傾向があ
り、従来、実施していた石炭種I、IIのスラリーの循
環攪拌混合時間である22Hrのスラリー調整を行う
と、スラリー粘度が石炭種I、IIの粘度の3倍である
150cpにまで上昇し、スラリー循環ポンプの設備仕
様における粘度の上限値120cpを超え、これがスラ
リー循環ポンプの負荷を増大させ、その結果、図2のス
ラリー循環ライン15の配管内で流動性が低下し、スラ
リーフィードトラブルの発生につながったものと考えら
れる。
の石炭種I、IIに比べるとスラリーの循環攪拌混合時
間が長くなるにつれて急激に粘度が上昇する傾向があ
り、従来、実施していた石炭種I、IIのスラリーの循
環攪拌混合時間である22Hrのスラリー調整を行う
と、スラリー粘度が石炭種I、IIの粘度の3倍である
150cpにまで上昇し、スラリー循環ポンプの設備仕
様における粘度の上限値120cpを超え、これがスラ
リー循環ポンプの負荷を増大させ、その結果、図2のス
ラリー循環ライン15の配管内で流動性が低下し、スラ
リーフィードトラブルの発生につながったものと考えら
れる。
【0047】図4はスラリー調製時の温度とスラリー粘
度の関係を示す図である。これより、スラリー調製時の
温度を低下させることによって、スラリーの粘度が上昇
し、50℃未満にすると粘度は急激に上昇することがわ
かる。
度の関係を示す図である。これより、スラリー調製時の
温度を低下させることによって、スラリーの粘度が上昇
し、50℃未満にすると粘度は急激に上昇することがわ
かる。
【0048】一方、スラリー調製時の温度を上昇させる
ことにより、粘度は低下するが、スラリー中の溶剤が蒸
発し、温度が150℃を超えると蒸発した溶剤の蒸気圧
が原因となってスラリー循環ポンプにキャビテーション
が多発し、その結果、ポンプの循環能力が低下して溶剤
の供給が不安定となることがわかった。
ことにより、粘度は低下するが、スラリー中の溶剤が蒸
発し、温度が150℃を超えると蒸発した溶剤の蒸気圧
が原因となってスラリー循環ポンプにキャビテーション
が多発し、その結果、ポンプの循環能力が低下して溶剤
の供給が不安定となることがわかった。
【0049】本発明者らは以上のような知見に基づいて
スラリー調製時の適切な温度範囲を50〜150℃とし
た。
スラリー調製時の適切な温度範囲を50〜150℃とし
た。
【0050】また、前述の図3に示されている様に、あ
る石炭種についてはスラリーの循環攪拌混合時間が長く
なると石炭粒子が膨潤して粘度が上昇することが明らか
になったため、上述したようにスラリー調製時の温度範
囲を50〜150℃とした上でスラリー調製時の循環攪
拌混合時間を短縮してスラリー粘度の上昇を抑制する対
策を実施した。
る石炭種についてはスラリーの循環攪拌混合時間が長く
なると石炭粒子が膨潤して粘度が上昇することが明らか
になったため、上述したようにスラリー調製時の温度範
囲を50〜150℃とした上でスラリー調製時の循環攪
拌混合時間を短縮してスラリー粘度の上昇を抑制する対
策を実施した。
【0051】それによって、例えば、スラリー粘度を8
0cp以下となるように調製した。具体的には、図2の
スラリー調製槽12で作成するスラリーの量を約半分と
し、スラリーの循環攪拌混合時間を従来の22Hrから
11Hrに短縮した。
0cp以下となるように調製した。具体的には、図2の
スラリー調製槽12で作成するスラリーの量を約半分と
し、スラリーの循環攪拌混合時間を従来の22Hrから
11Hrに短縮した。
【0052】その結果、石炭種IIIのスラリーの粘度
を従来の方法で調製した場合の粘度である130cpか
ら70cpにまで低下させることができた。
を従来の方法で調製した場合の粘度である130cpか
ら70cpにまで低下させることができた。
【0053】しかし、石炭種I、IIの粘度である50
cp以下にまですることは不可能であった。
cp以下にまですることは不可能であった。
【0054】このようなスラリー調製法で循環攪拌混合
して作成した石炭種IIIのスラリーを使用し、石炭液
化プラント操業を実施したところ、従来のスラリー調製
法で循環攪拌混合した場合に比較してスラリー循環ライ
ンのスラリーフィードトラブルの発生回数を約40%に
まで低減することができた。
して作成した石炭種IIIのスラリーを使用し、石炭液
化プラント操業を実施したところ、従来のスラリー調製
法で循環攪拌混合した場合に比較してスラリー循環ライ
ンのスラリーフィードトラブルの発生回数を約40%に
まで低減することができた。
【0055】しかし、トラブルの発生回数を完全にゼロ
とすることは不可能であった。
とすることは不可能であった。
【0056】本発明者らは、石炭スラリーの粘度を支配
する要因についてさらに多方面から検討を重ねた。
する要因についてさらに多方面から検討を重ねた。
【0057】その結果、同じ石炭種を同一温度で同一時
間攪拌混合してもスラリー調整槽に設けた攪拌機の攪拌
速度が変化すると得られた石炭スラリーの粘度も異なる
ことを見出した。
間攪拌混合してもスラリー調整槽に設けた攪拌機の攪拌
速度が変化すると得られた石炭スラリーの粘度も異なる
ことを見出した。
【0058】図5は石炭種IIIを用いて60℃の温度
条件下で石炭液化プラントのスラリー循環ラインにより
調製したスラリーと実験室で攪拌混合して得られたスラ
リーの粘度の経時変化を示したものである。
条件下で石炭液化プラントのスラリー循環ラインにより
調製したスラリーと実験室で攪拌混合して得られたスラ
リーの粘度の経時変化を示したものである。
【0059】スラリー調製時の温度および循環時間を同
じにしても、石炭液化プラントで調製したスラリーと実
験室で調製したスラリーとでは粘度のレベルに差がある
ことがわかる。
じにしても、石炭液化プラントで調製したスラリーと実
験室で調製したスラリーとでは粘度のレベルに差がある
ことがわかる。
【0060】これは、スラリーの粘度を決定する要因が
本発明者らがこれまでに解明した温度、循環時間の他に
もあることを意味し、すなわち、スラリー調製時の攪拌
混合速度によってもスラリーの粘度が変化することが推
測される。
本発明者らがこれまでに解明した温度、循環時間の他に
もあることを意味し、すなわち、スラリー調製時の攪拌
混合速度によってもスラリーの粘度が変化することが推
測される。
【0061】そこで本発明者らは、スラリー調製時の攪
拌混合速度(スラリー剪断速度)を変化させたときの粘
度の変化が測定可能な粘度計を用い、スラリーの剪断速
度と粘度との関係を調査した。
拌混合速度(スラリー剪断速度)を変化させたときの粘
度の変化が測定可能な粘度計を用い、スラリーの剪断速
度と粘度との関係を調査した。
【0062】図6はその調査結果を示すものである。こ
れより、石炭の粘度は剪断速度と共に変化するが、石炭
種I、IIのスラリーの場合、剪断速度が40sec-1
以上になると、粘度は変化しない。
れより、石炭の粘度は剪断速度と共に変化するが、石炭
種I、IIのスラリーの場合、剪断速度が40sec-1
以上になると、粘度は変化しない。
【0063】一方、石炭種IIIのスラリーの場合は剪
断速度が40sec-1以下の領域では粘度が変化しない
が、剪断速度が40sec-1を超える領域になると粘度
が低下し始め、石炭種I、IIとは異なった挙動を示し
ている。
断速度が40sec-1以下の領域では粘度が変化しない
が、剪断速度が40sec-1を超える領域になると粘度
が低下し始め、石炭種I、IIとは異なった挙動を示し
ている。
【0064】スラリーの剪断速度は一般に(1)式で与
えられ、流体流量Qが多く、配管の半径Rが小さい程大
きくなる。
えられ、流体流量Qが多く、配管の半径Rが小さい程大
きくなる。
【0065】
【数1】D=4Q/πR3 ・・・(1)
【0066】D:剪断速度(sec-1) Q:流体流量(m3/sec) R:配管の半径(m)
【0067】現状の石炭液化プラントに於ける石炭スラ
リーの剪断速度は57sec-1であり、この剪断速度で
は石炭種I、IIの場合、剪断速度が多少変化してもス
ラリーの粘度は変化しない。
リーの剪断速度は57sec-1であり、この剪断速度で
は石炭種I、IIの場合、剪断速度が多少変化してもス
ラリーの粘度は変化しない。
【0068】しかし、石炭種IIIにおいてはこの剪断
速度ではそれが多少変化するとスラリーの粘度も変化す
る領域にあり、剪断速度をさらに増加させることによっ
てスラリーの粘度をさらに低下させることが可能と判断
される。
速度ではそれが多少変化するとスラリーの粘度も変化す
る領域にあり、剪断速度をさらに増加させることによっ
てスラリーの粘度をさらに低下させることが可能と判断
される。
【0069】本発明者らは上記のような石炭種によって
剪断速度と粘度の関係が異なるという興味深い現象に着
目し、石炭以外のスラリーに関する論文を幅広く調査し
た結果、スラリーの剪断速度と粘度およびスラリーの剪
断速度と剪断応力には図7に示すように6種類のパター
ンがあることがわかった。
剪断速度と粘度の関係が異なるという興味深い現象に着
目し、石炭以外のスラリーに関する論文を幅広く調査し
た結果、スラリーの剪断速度と粘度およびスラリーの剪
断速度と剪断応力には図7に示すように6種類のパター
ンがあることがわかった。
【0070】すなわち、スラリー剪断速度の対数と剪断
応力の対数との関係が45°の傾斜をなし、剪断速度の
対数に対して粘度の対数が一定となるNewton流動
領域(、、)、剪断速度の対数と剪断応力の対数
との関係が45°ではなく、剪断速度の対数と粘度の対
数の関係も変化するBingham流動領域、擬塑性
流動領域、Dilatant流動領域に分類された
ことを知見した。
応力の対数との関係が45°の傾斜をなし、剪断速度の
対数に対して粘度の対数が一定となるNewton流動
領域(、、)、剪断速度の対数と剪断応力の対数
との関係が45°ではなく、剪断速度の対数と粘度の対
数の関係も変化するBingham流動領域、擬塑性
流動領域、Dilatant流動領域に分類された
ことを知見した。
【0071】この流動領域の内、Newton流動領域
、、に於いてはスラリー中の粒子の凝集構造が安
定しているが、その他の領域ではスラリー中の粒子の凝
集構造が切断されたり破壊されたりし易い構造となる。
、、に於いてはスラリー中の粒子の凝集構造が安
定しているが、その他の領域ではスラリー中の粒子の凝
集構造が切断されたり破壊されたりし易い構造となる。
【0072】従って石炭液化プラントを運転するに先立
って各石炭種のスラリーの剪断速度と流動パターンの関
係を事前に把握し、常にNewton流動領域になる様
に剪断速度を調節することによって安定したスラリーを
調製することが可能となり、その結果、スラリー循環攪
拌混合ラインにおいて粘度上昇によるスラリーフィード
トラブルが発生するのを抑制することが可能となるはず
である。
って各石炭種のスラリーの剪断速度と流動パターンの関
係を事前に把握し、常にNewton流動領域になる様
に剪断速度を調節することによって安定したスラリーを
調製することが可能となり、その結果、スラリー循環攪
拌混合ラインにおいて粘度上昇によるスラリーフィード
トラブルが発生するのを抑制することが可能となるはず
である。
【0073】本発明者らはこのような基本的原理に基い
た新しいスラリーの調製技術を具体化するため鋭意検討
を重ねた結果、スラリー循環攪拌混合ラインにおいてス
ラリーの循環量をスラリー循環ポンプにより調節すると
ともに、スラリー調製槽内に配置した攪拌機の回転速度
を変化させることによってスラリーの剪断速度を制御す
ることができることを確認し、実際の石炭液化プラント
に適用した。
た新しいスラリーの調製技術を具体化するため鋭意検討
を重ねた結果、スラリー循環攪拌混合ラインにおいてス
ラリーの循環量をスラリー循環ポンプにより調節すると
ともに、スラリー調製槽内に配置した攪拌機の回転速度
を変化させることによってスラリーの剪断速度を制御す
ることができることを確認し、実際の石炭液化プラント
に適用した。
【0074】前述の(1)式によれば、石炭スラリーの
剪断速度を変化させるにはスラリー循環攪拌混合ライン
中のスラリーの流量を調節するか配管の半径を変えるこ
とが必要である。
剪断速度を変化させるにはスラリー循環攪拌混合ライン
中のスラリーの流量を調節するか配管の半径を変えるこ
とが必要である。
【0075】この内、配管の半径を石炭種に対応させて
大きくしたり、小さくしたりすることは事実上、困難で
あり、経済性の面からも得策ではない。
大きくしたり、小さくしたりすることは事実上、困難で
あり、経済性の面からも得策ではない。
【0076】そこで、本発明者らは石炭種に対応して容
易にスラリーの剪断速度を変化させ、スラリーの流動特
性をNewton流動領域に制御する手段として図8の
21、22に示すごとくスラリー循環攪拌混合ライン中
にスラリー循環ポンプを2台設置し、さらにスラリー供
給槽19に設置された攪拌混合機20の回転速度を可変
となるように改善し、事前に調査した石炭種のスラリー
が、スラリー循環攪拌混合ラインでも適性な剪断速度と
なるように前述の(1)式に基づいて循環流量をスラリ
ー循環ポンプ21および22で調節する。
易にスラリーの剪断速度を変化させ、スラリーの流動特
性をNewton流動領域に制御する手段として図8の
21、22に示すごとくスラリー循環攪拌混合ライン中
にスラリー循環ポンプを2台設置し、さらにスラリー供
給槽19に設置された攪拌混合機20の回転速度を可変
となるように改善し、事前に調査した石炭種のスラリー
が、スラリー循環攪拌混合ラインでも適性な剪断速度と
なるように前述の(1)式に基づいて循環流量をスラリ
ー循環ポンプ21および22で調節する。
【0077】加えて、より一層の剪断速度の増加が必要
と判断される場合には、混合攪拌機20の回転数を増加
させることによって対応することとなる。
と判断される場合には、混合攪拌機20の回転数を増加
させることによって対応することとなる。
【0078】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。
説明する。
【0079】図2に示すようなスラリーの循環攪拌混合
ラインを使用し、前述した石炭種IIIのスラリー調整
を行なった。
ラインを使用し、前述した石炭種IIIのスラリー調整
を行なった。
【0080】まず、第1段階の改善として調製時の温度
条件を60℃とし、スラリー循環攪拌混合時間を22H
rから11Hrにして、スラリーの粘度を70cpにし
た。
条件を60℃とし、スラリー循環攪拌混合時間を22H
rから11Hrにして、スラリーの粘度を70cpにし
た。
【0081】さらに、第2段階の改善として図8に示す
如く、スラリー循環ポンプを2台とし、これらのスラリ
ー循環ポンプ21、22および攪拌機20によって循環
流量、攪拌速度共に増して、剪断速度を図6のNewt
on領域の剪断速度の目標である250sec-1以上に
なるように調製した。
如く、スラリー循環ポンプを2台とし、これらのスラリ
ー循環ポンプ21、22および攪拌機20によって循環
流量、攪拌速度共に増して、剪断速度を図6のNewt
on領域の剪断速度の目標である250sec-1以上に
なるように調製した。
【0082】得られたスラリーを用いて石炭液化プラン
トで運転を行ったところ、図9に示すようにスラリー循
環攪拌混合ラインに於けるスラリーフィードトラブルは
改善を進めるにつれて順次減少し、第2段階の改造を行
うことによってスラリーフィードトラブルを皆無とする
ことができた。
トで運転を行ったところ、図9に示すようにスラリー循
環攪拌混合ラインに於けるスラリーフィードトラブルは
改善を進めるにつれて順次減少し、第2段階の改造を行
うことによってスラリーフィードトラブルを皆無とする
ことができた。
【0083】
【発明の効果】上述の実施例の様に、本発明に基づいて
石炭スラリー調製時の調製温度を50〜150℃の適性
範囲にし、スラリーの循環攪拌混合時間を調節すること
によるスラリー粘度の低下をはかり、さらに、スラリー
調製時の剪断速度をNewton流動性の領域となるよ
うにスラリー循環ポンプおよび攪拌機によって制御する
ことにより溶剤に対する膨潤性が高くスラリー粘度が上
昇しやすい石炭種を用いた場合でもスラリー調整におけ
るスラリーフィードトラブルの発生を皆無とすることが
可能となった。
石炭スラリー調製時の調製温度を50〜150℃の適性
範囲にし、スラリーの循環攪拌混合時間を調節すること
によるスラリー粘度の低下をはかり、さらに、スラリー
調製時の剪断速度をNewton流動性の領域となるよ
うにスラリー循環ポンプおよび攪拌機によって制御する
ことにより溶剤に対する膨潤性が高くスラリー粘度が上
昇しやすい石炭種を用いた場合でもスラリー調整におけ
るスラリーフィードトラブルの発生を皆無とすることが
可能となった。
【図1】本発明の実施例である石炭液化プロセスの全体
フロー図である。
フロー図である。
【図2】石炭液化プロセス中のスラリー循環攪拌混合ラ
インのフロー図である。
インのフロー図である。
【図3】スラリー調整におけるスラリー循環攪拌混合時
間とスラリー粘度の関係図である。
間とスラリー粘度の関係図である。
【図4】スラリー調整におけるスラリー循環攪拌混合時
の温度とスラリー粘度の関係図である。
の温度とスラリー粘度の関係図である。
【図5】炭化液化プラントおよび実験室で調製したスラ
リーの粘度の経時変化を示す図である。
リーの粘度の経時変化を示す図である。
【図6】スラリー調整における石炭種によるスラリー剪
断速度とスラリー粘度との関係図である。
断速度とスラリー粘度との関係図である。
【図7】一般的なスラリーの剪断速度と粘度、剪断応力
の関係図である。
の関係図である。
【図8】石炭液化プロセス中の改善後のスラリー循環攪
拌混合ラインのフロー図である。
拌混合ラインのフロー図である。
【図9】本発明に基づいたスラリー調製方法の改善によ
るスラリー循環攪拌混合ラインでのスラリーフィードト
ラブルの発生状況変化を示す図である。
るスラリー循環攪拌混合ラインでのスラリーフィードト
ラブルの発生状況変化を示す図である。
1 粉砕機 2 スラリー調製槽 3 攪拌機 4 スラリー循環ポンプ 5 高圧スラリー供給ポンプ 6 スラリー加熱器 7 液化反応塔 8 分離器 9 蒸留設備 10 減圧蒸留塔 11 溶剤水素化反応塔 12 スラリー調製槽 13 攪拌機 14 スラリー循環ポンプ 15 スラリー循環ライン 16 高圧スラリー供給ポンプ 17 スラリー加熱器 18 液化反応塔 19 スラリー調製槽 20 攪拌機 21 スラリー循環ポンプ 22 スラリー循環ポンプ 23 スラリー循環ライン 24 高圧スラリー供給ポンプ 25 スラリー加熱器 26 液化反応塔
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月25日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 石炭液化プロセスに於ける石炭スラリ
ーの調整方法
ーの調整方法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川端 睦麿 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 (72)発明者 山本 久敬 埼玉県川口市戸塚東1―6―6 (72)発明者 井口 憲二 千葉県千葉市幕張本郷7―26―1 (72)発明者 野上 義信 千葉県木更津市清見台南2―9
Claims (2)
- 【請求項1】 石炭、石炭液化用溶剤、および石炭液化
用触媒を混合してスラリー化し、その石炭スラリーを水
素の存在下で加圧、加熱して水素化分解した後、得られ
た液化油を溶剤と残渣とに分離する石炭液化工程と、こ
の石炭液化工程で得られた溶剤の一部を溶剤水素化用触
媒の存在下で加圧、加熱して水素を添加した後、減圧
し、循環使用するための石炭液化用溶剤を得る溶剤水素
化工程とを有する石炭液化プロセスに於いて、そのプロ
セス中に設けたスラリー循環ライン中に、石炭、石炭液
化用溶剤、および石炭液化用触媒を循環させて混合撹拌
することにより石炭スラリーを調整する際に、石炭スラ
リー調整時の温度を50〜150℃の範囲に設定し、調
整すべきスラリーをこの温度条件下でスラリー循環ライ
ン中を循環させて、その際の循環混合撹拌時間を調節す
ることにより、最終的に得られるスラリーの粘度を必要
とされる粘度に調整することを特徴とする石炭液化プロ
セスに於ける石炭スラリーの調整方法。 - 【請求項2】 石炭、石炭液化用溶剤、および石炭液化
用触媒を混合してスラリー化し、その石炭スラリーを水
素の存在下で加圧、加熱して水素化分解した後、得られ
た液化油を溶剤と残渣とに分離する石炭液化工程と、こ
の石炭液化工程で得られた溶剤の一部を溶剤水素化用触
媒の存在下で加圧、加熱して水素を添加した後、減圧
し、循環使用するための石炭液化用溶剤を得る溶剤水素
化工程とを有する石炭液化プロセスに於いて、そのプロ
セス中に設けたスラリー循環ライン中に、石炭、石炭液
化用溶剤、および石炭液化用触媒を循環させて混合撹拌
することにより石炭スラリーを調整する際に、石炭スラ
リー調整時の温度を50〜150℃の範囲に設定し、調
整すべきスラリーをこの温度条件下でスラリー循環ライ
ン中を循環させて、その際の循環混合撹拌時間を調節す
るとともに、さらに、スラリー循環ポンプによってスラ
リー循環ライン中のスラリーの流量とスラリー調整槽に
おける撹拌速度を調節することにより、スラリーの流量
と配管半径によって定まるスラリーの剪断速度と剪断応
力との関係がNewton流動領域になる様にして、最
終的に得られるスラリーの粘度を必要とされる粘度に調
整することを特徴とする石炭液化プロセスに於ける石炭
スラリーの調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24144592A JPH0665581A (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 石炭液化プロセスに於ける石炭スラリーの調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24144592A JPH0665581A (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 石炭液化プロセスに於ける石炭スラリーの調整方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0665581A true JPH0665581A (ja) | 1994-03-08 |
Family
ID=17074420
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24144592A Pending JPH0665581A (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 石炭液化プロセスに於ける石炭スラリーの調整方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0665581A (ja) |
-
1992
- 1992-08-19 JP JP24144592A patent/JPH0665581A/ja active Pending
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