JPH0665249B2 - 苗列感知センサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は苗列感知センサに関し、詳しくは、田植機のよ
うに既植苗の列に沿って機体を沿せて走行させる場合等
に機体と苗列との相対距離を検出するためのセンサに関
する。

〔従来の技術〕

従来、上記の如く苗列を検出するよう構成されたセンサ
としては例えば、特開昭57-69420号公報（以下、従来例
１と称する）、あるいは、特開昭55-80112号公報（以
下、従来例２と称する）に示されるものが存在し、従来
例１では既植苗の上方に位置させて多数の光センサを設
けると共に、苗と圃場面との明るさの違いから苗列を検
出するよう構成され、従来例２では投受光器からの光線
を左右方向に周期的に移動させて苗に発し、苗からの反
射光を投受光器で受けて苗列の位置を把握するよう構成
されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、前記引例１のように苗からの反射光で苗列を検
出する構成では、例えば欠株が存在する場合には、この
欠株が１つだけであっても検出不能に陥ることがあり、
又、苗の大小によっても検出精度に差を生ずることもあ
り改善の余地がある。

又、従来例２のように投受光器からの光線を苗で反射さ
せて投受光器で受けることにより苗列の位置を検出する
構成では、投受光器から発した光線と比較して苗からの
反射光線が大きく減衰することから、作業環境に存在す
る光線との弁別が困難になり苗の位置を正確に把握でき
ないこと（外乱の影響を受けること）も多く改善の余地
がある。

特に、この従来例２では、圃場面に水分が多い環境で作
業する場合に、機体の走行方向によっては圃場面で反射
した太陽光線を光センサが感知して適切な検出を行えな
いことも考えられ、この点も改善の余地がある。

本発明の目的は、欠株が存在する場合でも、苗に大小が
存在する場合でも、又、外乱の影響を受けやすい環境で
作業する場合でも、できるだけ確実、かつ、精度高く苗
列を検出するセンサを合理的に構成する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴は、略苗列に沿う方向に向けて光線を送り
出す発光部と、苗列に対し略直交する方向に沿い、か
つ、発光部からの光線が検出対象の苗によって遮られる
ように前記発光部より低いレベルに並列配置された複数
個の反射鏡と、これら反射鏡を介して送られる発光部か
らの光線を受けるよう前記反射鏡より高いレベルで、か
つ、前記検出対象の苗より高いレベルに配置された受光
部と、これら受光部夫々で受けた発光部からの光線量の
比較によって、発光部、受光部に対する苗列の相対位置
関係を判別する判別手段とで成る点にあり、その作用、
及び効果は次の通りである。

〔作 用〕

上記特徴によると、図１乃至図４に示すように、発光部
（10）からの光線の一部は苗（13）で遮られて減衰した
状態で複数の反射鏡（11）の何れかで反射された後、受
光部（12）に達するものとなり、遮られなかった光線は
前記反射鏡以外の反射鏡（11）で反射された後、受光部
（12）に達するものとなり、夫々の反射鏡（11）を介し
た光線量（明るさ）を受光部（12）が計測し、この光線
量の差に基づいて判別手段（14）が苗列の位置を判別で
きるものとなる。

又、この構成では苗列に沿って光線を送り出すので、苗
列に欠株が存在しても、苗（13）に大小があっても、受
光部（12）に達する光線量が変化する現象で済み、欠株
の有無、苗（13）の大小に影響を受けずに苗列を判別で
き、しかも、反射鏡（11）を発光部（10）より低いレベ
ルに配置し、受光部（12）を反射鏡（11）より高いレベ
ルで、かつ、検出対象の苗（13）より高いレベルに配置
しているので、異物との接触による受光部（12）の傷
み、あるいは、受光部（12）への泥土等の付着による受
光性能の低下を抑制するものとなる。

つまり、本発明では、苗（13）に遮られない明るい光線
と、苗（13）に遮られて暗くなった光線との明るさ（光
線量）の比較によって苗列を判別するので、従来例２の
ように苗（13）からの反射光に基づいて苗（13）の位置
を判別するものと比較して、外乱の影響、及び、太陽光
の影響を小さくできる。

尚、発光部（10）と反射鏡（11）との距離を大きく設定
した場合には、その間に存在する苗（13）の数が増大す
るので、欠株が存在しても、苗（13）に大小があって
も、前述と同様に受光部（12）に達する光線量が増減す
るだけで済み、苗（13）の状態に起因する影響を極めて
小さいものにして検出精度の変動を抑制でき、従来例１
の如き検出不能に陥る現象も解消するものとなる。

〔発明の効果〕

従って、欠株が存在する場合でも、苗に大小が存在する
場合でも、又、外乱の影響を受けやすい環境で作業する
場合でも、確実、かつ、精度高く苗列を検出すると共
に、受光部の受光性能の低下や、傷みが抑制されるの
で、長期に亘って安定的に高い性能を維持できるセンサ
が構成されたのである。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第５図に示すように、エンジン（１）、ミッションケー
ス（２）、チェーンケース（３）、駆動車輪（４）を備
えた前部機体と、左右一対の尾橇（５），（５）、フィ
ードケース（６）、４つの植付アーム（７）‥、苗のせ
台（８）、３つの整地フロート（９）‥を備えた後部機
体と縦向き軸芯（Ｙ）周りで揺動自在に連結して田植機
が構成されている。

該田植機では既植苗の列に追従して機体を自動的に走行
させる制御系が搭載されている。

即ち、この制御系は第１図及び第２図に示すように左右
両側の整地フロート（９），（９）夫々に対して設けら
れた１つの発光部（10）と４つの反射鏡（11）‥と４つ
の受光部（12）‥とで成る苗列感知センサ、及びこれら
苗列感知センサからの信号が入力すると共に、機体とを
苗（13）との相対的な位置関係を判別するようマイクロ
プロセッサを内蔵して成る判別手段（14）、及びこの判
別手段（14）からの信号によって機体前部を前記軸芯
（Ｙ）周りで揺動させるようドライバ（15）、電磁弁
（16）、油圧シリンダ（17）で成るステアリング操作部
を備えて構成され、更に、このステアリング操作時の揺
動角を検出して前記判別手段（14）にフィードバックさ
せるポテンショメータ（18）も備えている。

第１図乃至第４図に示すように前記苗列感知センサの発
光部（10）は苗（13）‥より高いレベルに設定されると
共に苗列に沿う方向に向けて広がりのある光線を送るよ
う小型の電気ランプ等を内蔵して成り、反射鏡（11）‥
は、前記発光部（10）からの光線を苗（13）によって遮
られた状態で受止め、かつ、上方に向けて反射できるよ
う低いレベルで、かつ、苗列に対して略直交する方向に
沿って並列配置されると共に、その反射面が斜上方に設
定され、受光部（12）‥は反射鏡（11）‥からの光線を
受けるべく、反射鏡（11）‥の上方に位置する高レベル
に配設され、かつ、光線の強弱を電流の大小に変換すべ
く、フォトトランジスタ等の素子を内蔵して成ってい
る。

又、この苗列感知センサは４つの反射鏡（11）‥のうち
内側の一対の反射鏡（11），（11）の中間位置に既植苗
が存在する状態で、この既植苗を基準とした適切な位置
への苗（13）の植付けを行う相対位置で機体に装着され
ている。

そして、第４図に示すように苗（13）を挾む内側の一対
の反射鏡（11），（11）を介して得られた検出光量が略
等しく、かつ、外側の反射鏡（11），（11）を介して得
られ検出光量より低い場合には、内側の反射鏡（11），
（11）に対して発光部（10）から送られた光線の一部
が、夫々の反射鏡（11），（11）の中間で、夫々の反射
鏡（11），（11）から略等しい距離に存在する苗（13）
の葉や茎によって遮られたことを意味するので、制御手
段（14）がこの状態を判別して機体を直進させ、又、内
側の反射鏡（11），（11）のうちの１つを介して得られ
る検出光線量が大きく減少した場合には、苗列が一方の
側に変位したことを意味するので、制御手段（14）がこ
の状態を判別して復元方向に向て僅かにステアリング操
作を行い、更に、外側の反射鏡（11），（11）のうち１
つを介して得られる検出光線量が大きく減少した場合に
は、苗列が苗（13）から大きく外れたことを意味するの
で、制御手段（14）がこの状態を判別して復元方向に向
けて大きくステアリング操作を行うよう動作モードが設
定されている。

尚、発光部（10）は整地フロート（９）の後部に取付け
たブラケット（19）で支持される第１フレーム（20）に
設けられ、反射鏡（11）‥は整地フロート（９）の前部
に取付けたブラケット（21）で支持される第２フレーム
（22）から下方に向けて延設したアーム（23）の下端に
設けられ、受光部（12）‥は前記第２フレーム（22）に
直接設けられると共に、光線が導かれる側に位置させ
て、圃場面からの乱反射光の侵入を阻止するリング状の
絞り板（24）‥が取付けられている。

〔別実施例〕

本発明は上記実施例以外に例えば、判別手段をコンパレ
ータ、論理ゲート等を組合せて成るハードな回路に構成
して良く、又、第６図に示すように発光部（10）‥をラ
ンプ等を備えた発光器（10a）と、この発光器（10a）か
らの光線を反射させるミラー（10b）とで構成すること
で、該発光部（10）のレベルを高めるよう実施しても良
く、又、第７図に示すように、フォトトランジスタ等で
成る２つの受光部（12），（12）を１つのケース（30）
に収め、２つの反射鏡（11），（11）からの光線をこの
１つのケース（30）に導き、かつ、レンズ（31）によっ
て２つの反射鏡（11），（11）からの光線を夫々の受光
部（12），（12）に送るよう構成しても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る苗列感知センサの実施例を示し、第
１図は発光部と受光部との配置関係を示す側面図、第２
図は走行制御系のブロック回路図、第３図は発光部と苗
との位置関係を示す正面図、第４図は受光部と苗との位
置関係を示す正面図、第５図は田植機の全体側面図であ
り、第６図は発光部と受光部との配置の別実施例を示す
側面図であり、第７図は受光部の別実施例を示す概略平
面図である。 （10）……発光部、（11）……反射鏡、（12）……受光
部、（13）……苗、（14）……判別手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】略苗列に沿う方向に向けて光線を送り出す
   発光部（10）と、苗列に対し略直交する方向に沿い、か
   つ、発光部（10）からの光線が検出対象の苗（13）によ
   って遮られるように前記発光部（19）より低いレベルに
   並列配置された複数個の反射鏡（11）‥と、これら反射
   鏡（11）‥を介して送られる発光部（10）からの光線を
   受けるよう前記反射鏡（11）‥より高いレベルで、か
   つ、前記検出対象の苗（13）より高いレベルに配置され
   た受光部（12）と、これら受光部（12）‥夫々で受けた
   発光部（10）からの光線量の比較によって、発光部（1
   0）、受光部（12）‥に対する苗列の相対位置関係を判
   別する判別手段（14）とで成る苗列感知センサ。