JPH0663669U - 浄水システム用の貯水タンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 逆浸透法などの浄水システムで用い、タンク
内へ流入する浄水の純度を常に維持する。 【構成】 水送入管から出る浄水を水面全体に分散させ
る拡散プレートと、オーバーフロー線より上方に取付け
て拡散浄水へ紫外線を照射する殺菌ランプとを有し、タ
ンク下方部は内径が水送出管に向かって逆円錐形状に漸
減し且つその内壁面に水旋回発生板を取付け、タンク下
方部の内部中心において、細長い固定筒を垂直に設置
し、該固定筒の外周面にも水旋回発生板を取付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、逆浸透法などの浄水システムで用いる貯水タンクに関し、タンク内 へ流入する浄水の純度を常に維持する貯水タンクに関する。

【０００２】

【従来の技術】

上水を取水する河川や湖沼の大部分は、産業の大規模化及び郊外の都市化など により、自然の受容能力以上の廃水が流入し、現在水質の汚濁が急速に進行して いる。一見無色透明である水道水でも、実際には目に見えない種々の有害な物質 が残存する可能性があり、飲料水としては水道水をさらに浄化することが健康の ために必須になっている。

【０００３】 海水淡水化の方法として知られた逆浸透法は、通常の浸透 とは逆方向に進む物質分離の現象であり、溶媒は通すが溶質を通さない半透膜を 隔てて溶液と純溶媒をおき、溶液側に浸透圧より高い圧力を加え、溶液中の溶媒 分子を半透膜を通して純溶媒中へ移行させる。この逆浸透法において、半透膜を 隔てて水道水と純水をおき、水道水側に浸透圧より高い圧力を加えると、水道水 を浄化して高純度の浄水を得ることができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記のように逆浸透法で水道水を浄化できたとしても、実際には逆浸透法によ る浄水は一般に殆ど利用されておらず、その事実の認識だけで浄水を一般家庭， 団地やマンションなどの集合住宅，ホテル，病院などで利用できるわけでない。 一般での利用を可能にするには、設備全体を浄水システムとして有機的に構成す ることを要し、浄化した水をタンクなどに貯水することも必要である。

【０００５】 逆浸透法では、コロイド領域やイオン領域の不純物まで除 去することができる反面、得た浄水を単に既存の貯水タンクへ送入して保存する だけでは、管路中及び空気中の細菌がタンク内部で浄水へ入り込んで繁殖する可 能性がある。また、貯水タンク内で浄水の一部が長期間滞留すると、そこで細菌 が繁殖して浄水が汚染されやすくなる。

【０００６】 本考案は、従来の貯水タンクに関する問題点を改善するた めに提案されたものであり、浄水システムを経て流入する浄水の純度を常に維持 するような貯水タンクを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係る貯水タンク１は、図２に示すように 、水送入管２から出る浄水を水面全体に分散させる拡散プレート３と、オーバー フロー線４より上方に取付けて拡散浄水へ紫外線を照射する殺菌ランプ５とを有 する。貯水タンク１内の浄水は、図２に例示するように、タンク下方の水送出管 ６から各使用個所へ送り出す。

【０００８】 拡散プレート３は、公知の金網や多孔板などであればよく 、浄水を水面全体に分散させて殺菌ランプ５による殺菌効果を高める。また、殺 菌ランプ５としては、エネルギーが大きくて殺菌効果の高い短波長の紫外線を多 量に発生するランプが好ましい。

【０００９】 浄水を蓄えるタンク下方部７は、その内径が水送出管６に 向かって逆円錐形状に漸減する。タンク下方部７の内壁面には、一般に螺旋状に 延びる水旋回発生板８を取付ける。一方、タンク下方部７の内部中心に細長い固 定筒９を垂直に設置すると好ましく、該固定筒の外周面にも螺旋状に延びる水旋 回発生板１０を取付ける。水旋回発生板８，１０は、図示のように垂直方向にお いて食い違い状に配置すると好ましい。

【００１０】 タンク下方部７の内部に水旋回発生板８，１０を設置する 代りに、タンク内部の中心に回転シャフト１１を垂直に設置し、該シャフトの下 方部に攪拌翼１２を取付けてもよい。シャフト１１は、タンク上方に設置したモ ータ１３によって緩速回転し、攪拌翼１２の形状は、２枚羽根櫂型，錨型，プロ ペラ型，タービン型，螺旋軸型のいずれでもよい。

【００１１】

【作用】

貯水タンク１では、浄水システムにおいて高純度化した浄水を貯水する際に、 拡散プレート３によって水送入管２から出る浄水を水面全体に分散させて浄水の 表面積を大きくしている。この結果、殺菌ランプ５から発生する紫外線は、浄水 全体に対してほぼ均等に照射され、ランプ５による浄水の殺菌をいっそう確実な ものとし、浄水システムの管路中及び空気中の細菌が浄水へ入り込んで繁殖する 可能性を確実に除去する。

【００１２】 貯水タンク１は、下方部７の内径が水送出管６に向かって 漸減し且つその内壁面に水旋回発生板８を取付けることにより、水送出管６から 貯蔵浄水を緩やかに旋回しながら各使用個所へ流出させる。したがって、貯水タ ンク１内の浄水は、その一部だけが長期間滞留することがなく、滞留個所で細菌 が繁殖する可能性がない。浄水の緩やかな旋回流出は、垂直に設置した細長い固 定筒９の外周面に水旋回発生板１０を取付けるといっそう効果的になる。

【００１３】

【実施例】

次に、本考案を実施例に基づいて説明すると、図１に本考案の貯水タンク１を 組み込む浄水システム２０を例示する。逆浸透法による浄水システム２０は、一 般家庭，団地やマンションなどの集合住宅，ホテル，病院，飲食店，老人ホーム ，学校，工場，スポーツ娯楽施設などの各種施設に設置し、得た浄水を飲料水や 調理用水などとして利用できる。

【００１４】 浄水システム２０では、一般の水道水の管路を２方向に分 岐し、一方の管路２１の水は逆浸透膜装置２２において高純度に浄化され、管路 ２５を経て貯水タンク１へ流入する。また、他方の管路２３の水は、浄化するこ となく一般水の貯水タンク２４に貯蔵し、そのまま風呂水，洗濯水，トイレ用水 などとして使用するので経済的である。逆浸透膜装置２２は、通常、ポリアミド 系繊維（例えば東洋紡績製）を用いる中空繊維型であり、又は酢酸セルロース膜 を用いるスパイラル型やチューブ型なども存在する。

【００１５】 ステンレス鋼製などの貯水タンク１は、図２に示すように 、下方部７の内径が下方に向かって逆円錐形状に漸減する中空の円筒形である。 貯水タンク１の上方において、管路２５と連通する水送入管２を貫通・接続し、 一方、タンク下端部に水送出管６を接続する。水送入管２は、図示のようにタン ク中心に向かって水平に延び、その管口は下向きに開口している。

【００１６】 貯水タンク１の側壁には、水送入管２の管口直下において 拡散プレート３をオーバーフロー線４より上方で水平に設置する。金網製の拡散 プレート３は、水送入管２の管口直下では孔径を小さく、その管口から遠ざかる つれて次第に孔径を大きくして、該プレートにおいてタンク１に流入した浄水を 貯蔵水面全体に分散させる。拡散プレート３には、流入した浄水がなるべく水面 全体にほぼ均等に分散するように、プレート表面に部分的傾斜や突条３２（図３ ）又は放射状の溝などを設けてもよい。

【００１７】 殺菌ランプ５は、一般に、エネルギーが大きくて殺菌効果 の高い短波長の紫外線を多量に発生する低圧水銀放電ランプであり、タンク１の 内壁上方の中心に取付けている。この殺菌ランプは、オーバーフロー線４より上 方ならばタンク側壁などに２個以上取付けてもよく、拡散プレート３で水面全体 に分散した浄水へ紫外線を満遍なく照射する。

【００１８】 貯水タンク１の側壁には、オーバーフロー線４を定めるた めにオーバーフロー管３０を接続し、該オーバーフロー管３０は中継管路３１（ 図１）を経て貯水タンク２４へ接続する。図示しないけれども、オーバーフロー 管３０には光電管などのセンサを取付け、該センサが溢水によって作動すると水 送入管２からの浄水流入を停止させる。

【００１９】 浄水を蓄えるタンク下方部７は、その内径が水送出管６に 向かって逆円錐形状に漸減する。タンク下方部７の内壁面には、螺旋状に下方へ 延びる幅約７〜１０ｃｍの水旋回発生板８を固着する。一方、細長い固定筒９を タンク下方部７の内部中心に支持片３３によって垂直に設置し、該固定筒の外周 面にも螺旋状に下方へ延びる幅約７〜１０ｃｍの水旋回発生板１０を固着する。

【００２０】 水旋回発生板８，１０は、図２のように垂直方向において 食い違い状に配置し、且つ図４のように水平方向において両側縁間に間隙を設け ることにより、水送出管６から浄水を緩やかに旋回しながら流出させる。水旋回 発生板８，１０は、所望に応じて、断続的及び／又はタンク下端まで形成したり 、固定筒９の直径をより大きくして横幅をいっそう狭くしてもよい。

【００２１】 図１の浄水システム２０では、逆浸透膜装置２２において 水道水中に残存するバクテリア，細菌，コロイド物質のほぼ全量を除去し、イオ ン，有機物質の９０％以上を分離する。得た高純度の浄水は、管路２５を経て貯 水タンク１に流入する。貯水タンク１において、水送入管２から出る浄水を拡散 プレート３によって水面全体に分散させ、殺菌ランプ５から発生する紫外線を浄 水全体に対してほぼ均等に照射する。

【００２２】 貯水タンク１は、下方部７において浄水を貯蔵している。 貯水タンク１内の浄水は、水送出管６から緩やかに旋回しながら各使用個所へ送 り出し、そこで飲料水，調理用水，植物栽培などとして利用する。貯蔵浄水は、 貯水タンク１内で一部だけが長期間滞留することがなく、滞留個所で細菌が繁殖 するようなことが発生しない。

【００２３】 図５では、貯水タンク３５の内部中心に回転シャフト１１ を垂直に配置しており、該タンクの内壁上方の中心に設置したモータ１３によっ てシャフト１１を緩速回転する。シャフト１１の下方部には攪拌翼１２を固着し 、該攪拌翼１２の形状は図５では多段羽根櫂型である。

【００２４】 図５に示す貯水タンク３５は、回転シャフト１１を取付け て貯蔵浄水を強制的に旋回させることにより、前記のタンク１に比べて内径を大 きく且つ円筒形に近い形状にすることが可能である。貯水タンク３５は、貯蔵水 の深さが一般に大きいため、多段の攪拌翼１２によって浄水の部分的な滞留をよ り効果的に防止する。図５のタンク３５では、回転シャフト１１をタンク３５の 内部中心に配置し、このために殺菌ランプ５をタンク側壁に取付ける。

【００２５】

【考案の効果】

本考案に係る貯水タンクは、逆浸透法などの浄水システムにおいて高純度化し た浄水を貯水する際にその高い純度を常に維持している。貯水タンク内では、拡 散プレートによって浄水を水面全体に分散させてその表面積を大きくし、該拡散 プレートはほぼ同様の効果を有する高圧のスプレー装置などに比べて構造が単純 で安価である。

【００２６】 本考案の貯水タンク内には、上方に公知の殺菌ランプを取 付け、該殺菌ランプから発生する紫外線を浄水全体に対してほぼ均等に照射させ る。この結果、本考案の貯水タンクでは、浄水システムの管路中及び空気中の細 菌が仮に貯蔵浄水中へ入り込んでも、そこで繁殖する可能性が解消する。

【００２７】 本考案の貯水タンクは、貯蔵浄水を緩やかに旋回させなが ら水送出管から各使用個所へ送り出している。したがって、貯水タンク内の浄水 は、その一部だけが長期間滞留して滞留個所で細菌が繁殖するようなことが発生 しない。浄水の緩やかな旋回は、垂直に設置した固定筒の外周面に水旋回発生板 を取付けたり又はモータで回転するシャフトを設置し、該シャフトの下方部に攪 拌翼を取付けるといっそう効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の貯水タンクを組み込む浄水システム
を示すフローチャートである。

【図２】 本考案に係る貯水タンクの概略縦断面図であ
る。

【図３】 貯水タンクを図２のＡ−Ａ線に沿って概略的
に示す水平断面図である。

【図４】 貯水タンクを図２のＢ−Ｂ線に沿って概略的
に示す水平断面図である。

【図５】 本考案の変形例を示す概略縦断面図である。

【符号の説明】

１ 貯水タンク ２ 水送入管 ３ 拡散プレート ４ オーバーフロー線 ５ 殺菌ランプ ６ 水送出管 ７ タンク下方部 ８ 水旋回発生板 ９ 固定筒 １０ 水旋回発生板

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 給水源からの水を浄水システムによって
   高純度化した浄水を貯水するタンクであって、水送入管
   から出る浄水を水面全体に分散させる拡散プレートと、
   オーバーフロー線より上方に取付けて拡散浄水へ紫外線
   を照射する殺菌ランプとを有し、タンク下方部は内径が
   水送出管に向かって逆円錐形状に漸減し且つその内壁面
   に水旋回発生板を取付けている貯水タンク。
2. 【請求項２】 タンク下方部の内部中心において、細長
   い固定筒を垂直に設置し、該固定筒の外周面に水旋回発
   生板を取付ける請求項１の貯水タンク。
3. 【請求項３】 給水源からの水を浄水システムによって
   高純度化した浄水を貯水するタンクであって、水送入管
   から出る浄水を水面全体に分散させる拡散プレートと、
   オーバーフロー線より上方に取付けて拡散浄水へ紫外線
   を照射する殺菌ランプとを有し、タンク内部の中心に緩
   速の回転シャフトを垂直に設置し、該シャフトの下方部
   に攪拌翼を取付けている貯水タンク。