JPH0660045B2 - 坑井用セメントスラリー組成物及び坑井用セメンチング工法 - Google Patents

坑井用セメントスラリー組成物及び坑井用セメンチング工法

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JPH0660045B2
JPH0660045B2 JP14041889A JP14041889A JPH0660045B2 JP H0660045 B2 JPH0660045 B2 JP H0660045B2 JP 14041889 A JP14041889 A JP 14041889A JP 14041889 A JP14041889 A JP 14041889A JP H0660045 B2 JPH0660045 B2 JP H0660045B2
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嘉彦 大浜
廣 瀬川
納 水尾
嗣彦 富樫
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株式会社テルナイト
嘉彦 大浜
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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明は、坑井における高圧地層ガスの通路化を防止
し、接着性を高める坑井用セメントスラリー組成物、及
び該組成物を用いる坑井用セメンチング工法に関する。
b. 従来の技術 石油,天然ガス,地熱井,鉱山,土木等の坑井掘削の工
程においては、ケーシングセメンチング,スクイズセメ
ンチング,ライナーセメンチング、さらには埋立セメン
チングなどの工法が、必要に応じて行われている。
これらのセメンチング工法は、坑井の掘削工程におい
て、各生産層をお互いに分離するとともに、それらを水
層からも隔離して、坑井内で各地層間に流体移動が起こ
るのを防止し、また淡水層,崩壊層を遮蔽するために、
所定の深度までケーシングパイプを降下して、地表から
ケーシングパイプを通じて、ケーシングパイプと坑壁と
の間の空隙部(環状部)にセメントスラリーを送入し、
空隙部をセメントスラリーで充填し、固化せしめ、裸坑
を保護して、その後の掘削を安全にかつ容易にするため
の、最も重要な作業である。
セメンチング工法において、セメンチング効果を上げる
ためには、それぞれの坑井条件に適合したセメントスラ
リーを使用しなければならない。
しかし、この坑井のセメンチングに際し、高圧ガスの地
層部において、セメントスラリーが固化する過程で高圧
ガスによるガス通路化現象が起こり、その後の坑井掘削
を困難にしている場合が多い。
このガス通路化現象は、セメントスラリーが液体から固
体に変化する時期に、もはや清水柱圧力をガス層部に完
全に伝達せず、地層高圧ガス帯のセメント硬化体の孔隙
圧力が地層ガス圧力以下に降下したとき、高圧地層ガス
がセメント硬化体の内部に侵入又はセメント硬化体と地
層との間を流れることによって、その高圧ガスの通路を
形成し、一旦形成された通路はそのままの状態で、セメ
ント硬化体が完全に固化するために起こる現象である。
このガス通路が存在すると、ケーシングの固定化ができ
ず、仕上げの中止や生産障害等を起し、またセメントの
脆化が促進されるなど、安全性や補修作業実施の経済性
に問題を生ずる。従って、このガス通路化現象を防止す
ることは、坑井を安全かつ経済的に掘削するための重要
な問題である。
従来のセメンチング工法にあっても、高圧ガスによるガ
ス通路化現象を防止するための対策は、いろいろと試み
られてきた。しかし、これらの試みは完全に失敗に帰す
るか、部分的な成功にのみとどまっていた。
すなわち、ガス通路化現象を防止するための従来の対策
は、 掘削流体とセメントスラリーとの良好な置換を行
う、 機械的なアニュラスシールでガスの流れを止める、 ステージングする、 より短いセメント柱を用いる、あるいはセメントス
ラリーの脱水調整を改善する、 セメントスラリーの比重を増加する、 というようなものであり、セメントスラリーの物理的な
改良及び施工技術の改善に関するものが、主なものであ
った。
すなわちセメントスラリーの化学的性質にまで改良を加
えた積極的な対策は、従来ほとんど行われていなかっ
た。
c. 本発明が解決しようとする課題 特に、油井,天然ガス井,地熱井などにおいては、その
坑底部における温度や圧力などの条件によって、セメン
トスラリーの性状に大きな変化を起こしてはならない
し、このセメントスラリーに添加する添加剤などの特性
や効果についても、その効果の変化が起こらないことが
望まれる。
さらに、セメントスラリーの流動特性を良好に維持し、
遊離性水の形成と脱水を防止し、固化後に必要な圧縮強
度と接着強度を維持しなければ、セメンチングは成功し
ない。
このセメンチングに際して、高圧ガスの通路化を防止
し、より安全に掘削するための方法としては、セメント
スラリーの粘性及びゲルストレングスを増大せしめる方
法として、ある種のモノマーをセメントスラリーに添加
して、高圧ガスによる通路化が生じる前に、重合反応を
起こさせてセメントスラリーの粘性及びゲルストレング
スを増大し、固化が始まる時期を早めたり、セメントス
ラリーを固化する過程で膨張せしめる、などの方法が考
えられる。
しかし、従来のセメントスラリー組成では、上記の如き
方法に対処することは、期待できない。
すなわち、従来のセメントを主剤にしたセメントスラリ
ーによっても、通常のセメンチングにおいては、望まし
いスラリー性状を維持することができるが、高圧ガスの
地層部におけるセメンチングにおいて、ガス通路化を防
止することは極めて困難である。
d. 課題を解決するための手段 このように従来のセメントスラリー組成によっては、ガ
ス通路化現象を防止しセメンチングを効果的に成功せし
めることができない。
ガス通路化現象の防止の手段として、いろいろな方法が
考えられるが、本発明者らは次の点に着目して研究を行
ってきた。
すなわち、 セメンチング用セメントスラリーに増粘剤を加える
ことにより、スラリーの粘性を増大せしめて、高圧ガス
の通路化を防止する。
高分子物質を加えて、高圧ガスがガス通路化現象を
起こす前に固化過程のスラリーの粘性を増大せしめてガ
スの通路化を防止する。
チキソトロピー性セメントスラリーを用いることに
より、ガス通路化現象が起こる前にセメンチング効果を
向上せしめる。
セメントと坑壁及びケーシングパイプとの接着性を
向上せしめたり、固化後のセメント脆化を防止するため
に、添加剤を加える。
そして、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来のも
のよりガス通路化現象防止効果に優れ、接着性,耐摩耗
性,耐酸性及び耐熱性の優れた坑井用セメンチングスラ
リー及びこのセメントスラリーを用いた坑井用セメンチ
ング工法を発明するに至ったものである。
本発明によるセメンチングは、無機系セメント材料に特
定の合成ラテックス組成物を加えたセメントスラリーを
使用することにより、効果的なセメンチングとガス通路
化現象の防止を達成したものである。
すなわち、本発明の坑井用セメントスラリー組成物は、
セメント材料、メタクリル酸メチルとブタジエンゴムか
ら成る合成ラテックス組成物、界面活性剤,分散剤,消
泡剤,水及び/又はその他の添加剤から成ることを特徴
とするものである。
また、本発明の坑井用セメンチング工法は、坑井の掘削
において、地層とケーシングパイプとの空隙部をセメン
ト材料で固めるためのセメントスラリーとして、上記坑
井用セメントスラリー組成物を用いることを特徴とする
ものである。
次に、本発明の坑井用セメントスラリー組成物に含有さ
れる各成分について、具体的に説明する。
(1) セメント材料 セメント材料は、ポルトランド系セメント,混合セメン
ト,高温度用セメント或はシリカ及び石こう等を混合し
た水硬性セメントであり、従来坑井等に用いられている
セメントであれば、どんなものでも用いることができ
る。
本明細書において水硬性セメントとは、一般に、カルシ
ウム,アルミニウム,鉄,マグネシウム及び/又は硫黄
などの化合物からなり、水と反応して固形化するセメン
トである。
水硬性セメントに属するセメントとしては、普通ポルト
ランドセメント,高温度用セメント,速硬性又は超速硬
性セメント,アルミナセメント,高炉セメント、さらに
はフライアッシュ又はポゾラン灰を含有するポルトラン
ドセメント等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
これらのセメントは、坑井内の温度や圧力によって、選
択されるものである。例えば、坑井内の温度や圧力が高
い場合には、高温度用セメントが用いられる。また、坑
井内の条件に適合せしめるために、セメントの選択のみ
でなく、他の添加剤を適宜添加することにり、セメンチ
ングスラリーを調合し、坑井条件に適合せしめてセメン
チングをする。
(2) 合成ラテックス組成物 合成ラテックス組成物は、ガス通路化現象の防止だけを
目的とするのではなく、セメンチングスラリーの性状を
よりよい状態に維持するとともに硬化後の物理的性状を
改善する効果を有するものである。本発明の合成ラテッ
クス組成物は、メタクリル酸メチルとブタジエンの共重
合体からなるものである。
メタクリル酸メチルとブタジエンとの比が30:70〜70:
30の合成ラテックスは、特に優れたガス通路化現象の防
止効果がある。さらにセメントの接着性,耐摩耗性及び
耐酸性を向上せしめる効果もある。
ブタジエンの量が70重量部より多いと、セメントスラリ
ーの凝固を早め、目的深度に達する前にセメントスラリ
ーが凝固してしまい、メタクリル酸メチルが70重量部よ
り多いと、セメントスラリーの凝結性を弱め、圧縮速度
と皮膜性を低下させ、いずれの場合もガス通路化現象の
防止を達成することはできない。また、ガス通路化現象
を防止できないばかりでなく、坑井のケーシングパイプ
などのセメンチングの不成功の原因ともなる。
(3) 界面活性剤 界面活性剤は、合成ラテックスの安定剤の役割を果たす
ものである。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩,アルキル硫
酸エステル塩,アルキルベンゼンスルフォン酸塩,アル
キルナフタレンスルフォン酸塩,アルキルスルホコハク
酸塩,アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩,
アルキルリン酸塩,ポリオキシエチレンアルキル又はア
ルキルアリル硫酸エステル塩、その他のアニオン系界面
活性剤,ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物,特
殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤又はポリオキシエ
チレンアルキルリン酸エステルなどを用いることができ
る。
また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルア
リルエーテル,ポリオキシエチレン誘導体,オキシエチ
レンとオキシプロピレンのブロックコポリマー,ソルビ
タン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸
エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステルそしてポリオキシエチレンアルキル
アミンなどを用いることができる。
本発明においては、これらのアニオン系界面活性剤又は
ノニオン系界面活性剤から選ばれた1種又は2種以上か
ら成る界面活性剤を用いることができる。
また、上記界面活性剤の中で、HLB が10〜40、好ましく
は30〜40であるものは、ガス通路化現象防止をより効果
的に遂行することができる。
(4) 分散剤 分散剤としては、セメントスラリー及び合成ラテックス
の流動性の安定改善剤として、スルホン基を有するフェ
ノール及び/又はナフタリンのホルマリン縮合物から成
る化合物を用いることができる。
また、この分散剤は、合成ラテックスの皮膜形成機能を
高める作用をも合わせ持っている。
すなわち、本発明に効果的に使用できる分散剤は、スル
ホン化されたナフタリン樹脂,フェノール及びホルムア
ルデヒドの縮合物のスルホン化物、若しくはこれらの縮
合体で変成されたメラミンホルムアルデヒド樹脂のスル
ホン化物などのような、陰イオンの高分子電解質であ
る。
(5) 消泡剤 消泡剤としては、セメントスラリー組成物の消泡効果剤
として、高級アルコール系としてオクチルアルコール,
シクロヘキサノール等、シリコン系としてメチルシロキ
サン等、そしてその他のものとしてエチレングリコール
等、さらに高級脂肪酸金属石けん等がある。
本発明においては、これらの消泡剤から選択された1種
又は2種以上から成る単品又は混合品を用いることがで
きる。
(6) その他の添加剤 その他の添加剤は、坑井の状況に応じてセメントスラリ
ーの特性を得るために添加するものである。
すなわち、その他の添加剤として、膨張剤,セメント速
硬剤,セメント遅硬剤,低比重添加剤,高比重添加剤,
セメント脱水減少期,セメント強度安定剤,珪石又は逸
泥防止剤などの郡から選ばれた1種又は2種以上を、坑
井内の条件に応じて添加することにより、最良の性状を
持った坑井用セメンチングスラリー組成物に調整する。
これらその他の添加剤の具体例と添加量について表−1
に示す。
その他の添加剤のうち、特に膨張剤の効果に付いて述べ
る。
膨張剤はいろいろあるが、坑井用セメンチングに適した
ものとしては、ケーシングパイプと坑壁との間の空隙部
(環状部)で、セメントスラリーを硬化過程で膨張せし
め、ケーシングパイプ又は坑壁とセメント硬化体との接
着を向上せしめると同時に、ガス通路化現象を防止する
効果のあるものが望まれる。
坑井において使用される膨張剤としては、カルシウムサ
ルホネート系膨張剤と石灰系膨張剤の2種類が代表的な
ものである。カルシウムサルホネート系膨張剤は、カル
シウムサルホネート(3CaO ・3Al2O3・CaSO4)と石こう(C
aSO4)及び酸化カルシウム(CaO)から成り、水と混合す
ると反応して膨張性のエトリンガイトを生成して膨張す
るものである。石灰系膨張剤は、酸化カルシウムを主成
分とし、水と反応して生成する水酸化カルシウムの膨張
を利用するものである。
さらに、坑底温度が 100℃以上になると、セメント強度
の低下などの障害が生じてくる。この強度劣化を防止す
るために、珪石粉を添加することもできる。珪石粉の添
加によって、セメント硬化体の強度が向上する。
e. 作用 セメントのみから成るセメントスラリーを用いた場合に
は、固化の過程において、セメントスラリー中のセメン
ト粒子間の水相部を高圧ガスが通過し、そのガス通過部
がガス通路部として固化形成されて残り、ガスリークを
引き起こす。
これに対して、本発明の坑井用セメントスラリーによる
と、高圧ガス層の地層部において、セメントスラリーが
固化する過程において、セメントの水和層とポリマー相
との形成が同時に進行し、三次元の網状構造をもつ一体
化したマトリックス相、すなわち、共マトリックス相が
形成される。このため、セメント粒子或は骨材は強固に
結合され、ガス通路化現象が防止される。
すなわち、本発明においては合成ラテックスを用いてい
るため、ポリマー相は連続したポリマー皮膜を形成し、
セメント水和物の空隙を充填し、かつ、合成ラテックス
及びセメント粒子が相互に強固な接合をする。
f. 実施例 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
〔実施例1〕 ジュースミキサーに、メタクリル酸メチル・ブタジエン
ゴムラテックス63:37(以下「MBR 」という。)の固形
分 100重量部に対して、界面活性剤(ポリオキシエチレ
ンノニフェニルエーテル硫酸ソーダ塩)を固形分換算で
4重量部添加混合して得た固形分濃度46.5%の懸濁液
(以下「MBR 懸濁液」という。),水,分散剤(ナフタリ
ンスルホン酸塩類)(TD-55、テルナイト社製),消泡剤
(高級アルコール)(No.15、テルナイト社製),及び坑井
用クラスGセメント(宇部興産社製)を、表−2に示す
組成で撹拌混合して、セメントスラリーを作り各特性試
験に供した。比較例として、MBR を使用せず、スチレン
アクリル酸エステルを使用したときのデータをE,F とし
て表−2に示す。
さらに、界面活性剤又は分散剤を含まない場合のセメン
トスラリーについて、特性測定を行った。それぞれの組
成を表−2、測定値を表−3に示す。
以下の表−2、表−3、表−4中、B〜D,P〜Rは実
施例であり、A,E,Fは比較例である。
上記表−3中、 (1) コンシステンシーとは、セメントスラリーを大気
圧コンシストメーター(米国チャンドラー社の製品)に
て、27℃にて20分撹拌を行い、撹拌直後と20分後のコン
システンシーを付随するポテンシオメーターで測定した
ものである。
(2) AV:見掛け粘性、PV:プラスチック粘性、YV:イ
ールドバリュウここで、見掛け粘性(AV)、プラスチック
粘性(PV)、イールドバリュウ(YV)は、「VG meter model
35」を用いて、泥水の入った容器を一定回転数(600rp
m,300rpm)で回転させて得られるものである。
見掛け粘性は、流動性の度合を表す数値である。本発明
においては流動性の良い方が好ましく、見掛け粘性の小
さい方がよい。
プラスチック粘性は、液体を一旦静止させて、再び流動
させるときに要する力を表す数値である。本発明におい
ては、プラスチック粘性の小さい方がよい。
イールドバリュウは、液体中の混合物が沈降しにくい性
質を示す数値である。本発明においては、沈降の生じな
いのが好ましく、イールドバリュウの大きい方がよい。
見掛け粘性、プラスチック粘性、イールドバリュウは、
次式により算出して得られる。
見掛け粘性(cp)=(600rpm の読み)/2 プラスチック粘性(cp)=(600rpm の読み)−(300rpm の
読み) イールドバリュウ(1b/100ft2)=(300rpm の読み)−
(プラスチック粘性) (3) n′,K′値について n′及びK′は、流動特性を表す値である。n′は流動
挙動値(flow behavior index)、K′は、粘性値(consi
stency index)として表される値である。n′及びK′
を求めるには、縦軸にせん断力、横軸にせん断速度を両
面対数方眼紙上にとり、各測定値をプロットする。この
プロットは直線となり、この直線延長線と縦軸(せん断
力)との交わる点が、求めるK′値である。このK′値
が小さい方が流動性は良好である。n′は、この直線の
勾配である。n′の値が大きいほど、粘性が低く好まし
い。
(4) 遊離水の測定は、供試セメントスラリーをコンシ
ストメーターで27℃にて20分間撹拌し、その後ミキサー
で充分均一に撹拌し、これを 250mlメスシリンダーに入
れ27℃にて2時間放置したのち、上部に生ずる遊離水の
量を測定することにより行なう。
〔実施例2〕 実施例1において得たセメントスラリーを、底部をゴム
で栓をした、内径φ=4.93cm×長さ14cmの鉄パイプ内
に、長さ10cmになるように注入し、これを3点作る。こ
の3点を50℃の大気圧の恒温水槽中に浸して養生を行
い、1日目,3日目及び7日目に、それぞれ1点づつ取
り出して、圧縮強度試験機を応用した押抜き試験機によ
り、鉄パイプ内に接着されたセメント硬化体を押抜き、
その時の力を測定し、接着強度とした。
測定値を表−4に示す。
〔実施例3〕 表−2に示したセメントスラリーCを用いて、さらにカ
ルシウムスルホネート系膨張剤10重量部を添加し、実施
例2に準じて接着強度を測定した。
その測定値を表−5に示す。
〔実施例4〕 実施例1のセメントスラリーA〜Fに、高純度珪石粉及
び遅硬剤(リグニンスルホン酸ソーダ塩)を表−6の如く
添加し、これらについて、坑井のセメンチングに重要な
特性としての(6)シックニングタイム,(7)脱水特性を測
定した。
セメントスラリー組成を表−6に、各特性の測定値を表
−7に示す。
表−6、表−7中、B〜D,H〜Jは実施例であり、
A,Gは比較例である。
上記表−7中、 (6) シックニングタイムとは、セメントスラリーが掘
削井の坑底温度及び圧力下において、循環可能な流体と
して維持することができる時間を表している。
このシックニングタイムは、シックニングタイムテスタ
ー(米国チャンドラー社製)により、坑底条件をシュミ
レートし、その時間を測定することによって求めた。
なお、遅硬剤は、セメンチング作業時間に応じて添加量
を調整し、適正なセメンチング作業時間に設定した。
(7) 脱水とは、浸透性の地層においてかかる圧力下で
セメントスラリーから水分が、地層内へ侵入し、セメン
トスラリー中の水分がなくなることである。この脱水量
が多いと、流動性に悪影響を及ぼすことはもちろん、セ
メントの脆化,圧縮強度の低下を起こし、セメンチング
の不成功の原因ともなる。測定は、脱水量試験機によ
り、所定の温度,70ksc 下の条件で30分間に脱水される
量を計量することによった。
〔実施例5〕 表−8に示すセメントスラリーA〜Oについて、第1図
に示すガス通路化模擬試験装置を用いてガス通路化防止
効果を測定した。
第1図に示すガス通路化模擬試験装置は、セメントスラ
リーが実際に坑井で遭遇する状況をシュミレートした設
計となっている。試験セル1の内部にセメントスラリー
2を注入したのち、試験セル1の上部から模擬清水圧力
(40ksc)までピストン3により加圧するが、このとき矢
印A方向から入れる窒素ガスの圧力はガス圧力調整器4
により調整する。試験セル1の底部には、高圧ガス層を
想定して矢印B方向から注入する窒素ガスにより、20ks
c に加圧するために、ガス圧力調整器5,ガス流量計6
及びウォータトラップ7が具備されている。さらにこの
試験セル1は、所定の設定温度に加熱するが、その温度
はセル1に取り付けられている温度計8によって測定す
る。
試験セル1の上部のピストン部9は、浸透性地層を想定
した設計になっており、試験セル1の内部のセメントス
ラリー2からの脱水量や排出されるガス流量がモニター
できるように、ウォータトラップ10とガス流量計11が具
備されており、脱水量とガス流量を測定したのち、ガス
は矢印C方向に排出される。
試験セル1の中央部には、セメントスラリー2が液体状
から固体へと変化していく過程におけるセメントスラリ
ー2の孔隙圧力の変化を測定するための圧力変換器12が
具備されており、この圧力変換器12で測定した孔隙圧力
の変化と、ガス流量計11により測定した排出ガスのガス
流量から、ガス通路化防止効果を測定することができ
る。
その測定値を表−9に示す。
表−8、表−9中、B,C,D,K,Lは実施例であ
り、A,M,N,Oは比較例である。なお、M,N,O
は、従来のセメントスラリーの組成を表す。
〔実施例6〕 坑底温度を 100℃,150℃,200℃と想定して、表−10のセ
メントスラリーを、オートクレーブ内で2インチ×2イ
ンチ×2インチの大きさに、硬化,養生(1日、3日、
7日)し、珪石粉(高重度珪石粉)添加効果を圧縮強度
から判定して比較した。
セメントスラリーC,Lの組成を表−10に、圧縮強度を
表−11に示す。
g. 発明の効果 本発明の坑井用セメントスラリー組成物は、ガス通路化
現象の防止効果に優れ、かつ、接着性,耐摩耗性,耐酸
性及び耐熱性に優れたセメントスラリーである。
また、本発明の坑井用セメンチング工法によれば、ガス
通路化現象を起こすことなく、セメンチングを行なうこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例5において用いたガス通路化模擬試験
装置の概念図である。 1……試験セル、2……セメントスラリー、 3……ピストン、 4,5……ガス圧力調整器、 6,11……ガス流量計、 7,10……ウォータトラップ、 8……温度計、9……ピストン部、 12……圧力変換器。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 14:06) Z 2102−4G (72)発明者 水尾 納 山形県東田川郡余目町大字南野字北浦19番 地 (72)発明者 富樫 嗣彦 山形県酒田市船場町1丁目7番30号

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント材料、メタクリル酸メチル70〜
    30重量部とブタジエン30〜70重量部との共重合体
    からなる合成ラテックス組成物、界面活性剤、分散剤、
    消泡剤、水及び/又はその他の添加剤からなることを特
    徴とする坑井用セメントスラリー組成物。
  2. 【請求項2】セメント材料が、水硬性セメントであるこ
    とを特徴とする請求項(1)記載のセメントスラリー組成
    物。
  3. 【請求項3】界面活性剤が、アニオン系又はノニオン系
    界面活性剤であることを特徴とする請求項(1)記載のセ
    メントスラリー組成物。
  4. 【請求項4】合成ラテックスの固形分100 重量部に対し
    て、界面活性剤を固形分換算で、1〜15重量部添加し
    たことを特徴とする請求項(1)記載のセメントスラリー
    組成物。
  5. 【請求項5】分散剤として、スルホン基を有するフェノ
    ール及び/又はナフタリンのホルマリン縮合物からなる
    化合物を用いることを特徴とする請求項(1)記載のセメ
    ントスラリー組成物。
  6. 【請求項6】合成ラテックスの固形分100 重量部に対し
    て、分散剤を固形分換算で、1〜40重量部添加したこ
    とを特徴とする請求項(1)記載のセメントスラリー組成
    物。
  7. 【請求項7】消泡剤として、高級アルコール系、シリコ
    ン系、グリコール系及び/又は脂肪酸金属石けんから選
    ばれた1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求
    項(1)記載のセメントスラリー組成物。
  8. 【請求項8】セメント材料100 重量部に対して、消泡剤
    を固形分換算で0.01〜1.0 重量部添加したことを特徴と
    する請求項(1)記載のセメントスラリー組成物。
  9. 【請求項9】その他の添加剤として、膨張剤、セメント
    速硬剤、セメント遅硬剤、低比重添加剤、高比重添加
    剤、セメント脱水減少剤、セメント強度安定剤、珪石
    粉、及び逸泥防止剤の群から選ばれた1種又は2種以上
    を坑井内の条件に応じて、セメント材料100 重量部に対
    して0〜100 重量部の範囲内で、添加したことを特徴と
    する請求項(1)記載のセメントスラリー組成物。
  10. 【請求項10】セメント材料100 重量部に対して、合成
    ラテックスを固形分換算で、2〜25重量部、さらに高純
    度の珪石粉末を5〜70重量部添加したことを特徴とする
    請求項(1)記載のセメントスラリー組成物。
  11. 【請求項11】セメント材料100 重量部に対して合成ラ
    テックスを固形分換算で、2〜25重量部添加したことを
    特徴とする請求項(1)記載のセメントスラリー組成物。
  12. 【請求項12】坑井の掘削において、地層とケーシング
    パイプとの空隙部をセメント材料で固めるためのセメン
    トスラリー組成物として、請求項(1)記載のセメントス
    ラリー組成物を用いることを特徴とする坑井用セメンチ
    ング工法。
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