JPH0658896A - 炭酸ガスクラスレート生成量測定装置 - Google Patents

炭酸ガスクラスレート生成量測定装置

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JPH0658896A
JPH0658896A JP4212720A JP21272092A JPH0658896A JP H0658896 A JPH0658896 A JP H0658896A JP 4212720 A JP4212720 A JP 4212720A JP 21272092 A JP21272092 A JP 21272092A JP H0658896 A JPH0658896 A JP H0658896A
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松成 堺
Akira Saji
明 佐治
Hidetomo Noda
英智 野田
Tadaaki Tanii
忠明 谷井
Masaaki Negoro
正明 根来
Masaki Minemoto
雅樹 峯元
Hikari Kitamura
光 北村
Toshihiro Kamata
敏弘 鎌田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭酸ガスクラスレートの生成量の測定装置に
関する。 【構成】 炭酸ガスクラスレートを生成させる耐圧反応
容器内あるいは外に固体結晶の炭酸ガスクラスレートを
取り除くためのフィルタを設け、該フィルタにより炭酸
ガスクラスレートを取り除いた溶液の電気伝導度を測定
して炭酸ガスクラスレートの生成量を測定する装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭酸ガスクラスレートの
生成量の測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料燃焼排ガスなど大気中に放出す
る炭酸ガスの濃度が年々増加の傾向を示し、地球の温暖
化現象あるいは温室効果をもたらす主原因としてクロー
ズアップされている。この問題は地球規模の国際的課題
として取り上げられている。
【0003】大気中の炭酸ガスを低減する方法は実用上
きわめて難しいとされているが、燃焼ガスなど一定の場
所から排出されるものに対してはこれを処理するための
いくつかの方法が提案されている。その一つは分離濃縮
した炭酸ガスをクラスレートの形で固定し、最終的には
これを深海底に投入して半永久的に固定する方法であ
る。
【0004】ここで、膨大な量のクラスレートを処理す
ることを考慮し、その生成量を正確に把握することは上
記固定方法を確立する上で不可欠な項目である。しか
し、炭酸ガスクラスレートの生成量を測定することは以
下の理由で非常に困難であった。
【0005】炭酸ガスクラスレートは低温・高圧(例え
ば5℃、22atm以上)でのみ反応容器内で生成・存
在可能であるため、炭酸ガスクラスレートの取扱が難し
く、炭酸ガスクラスレート生成量の測定方法が確立され
ていない。すなわち、反応容器から大気中に炭酸ガスク
ラスレートを取り出した時、炭酸ガスクラスレートは簡
単に分解するため大気中での取扱いが容易でないためで
ある。
【0006】図5により、従来の炭酸ガスクラスレート
の生成量測定装置の一例(実願平2〜18865号)を
説明する。従来は炭酸ガスクラスレート生成量を以下の
ように耐圧反応容器内溶液の電気伝導度変化から検出し
求めていた。すなわち、反応容器1の中に供試水と炭酸
ガスを入れ、上蓋2をかぶせて反応容器1を冷水槽4に
設定する。水と炭酸ガスをモータ5を連結した攪拌機3
で混合しながら炭酸ガスクラスレート反応を進める。温
度計8,記録計9で反応温度を確認すると同時に水中に
電気伝導度センサ10を配した電導度検出計11で電導
度を測定し、記録計12でそのデータを記録し、データ
解析装置13で換算演算して炭酸ガスクラスレート生成
量を求めていた。なお図5中、6は圧力計、7は安全弁
である。
【0007】しかし、従来の方法は電気伝導度を測定す
る上で次の問題点があった。 (1)電気伝導度は電極間の水溶液の電気抵抗の逆数で
あり、固体が存在しない水溶液のみについて測定原理が
適用される。炭酸ガスクラスレートが生成した場合、そ
の生成液中には結晶固体の炭酸ガスクラスレートが共存
しており、測定原理が適用されない。 (2)上記の固体が存在しない水溶液のみの電気伝導度
を測定する工夫が考慮されておらず、炭酸ガスクラスレ
ートを定量的に求めることができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】炭酸ガスクラスレート
(包接化合物)は水の三次元構造結晶体の中に炭酸ガス
が包み込まれたもので、次の反応式により生成すると考
えられている。
【化1】 これは炭酸ガスの化合物であり水中から結晶固体として
析出するものである。
【0009】本発明において解決しようとする課題は、
前述したとおり、炭酸ガスクラスレートが低温・高圧
(例えば5℃の場合22atm以上)でのみ生成・存在
可能であり、炭酸ガスクラスレートの取扱が難しいた
め、確立されていない炭酸ガスクラスレート生成量測定
装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は (1)炭酸ガスクラスレートを生成させる耐圧反応容器
内に予め混在粒子を分離するためのフィルタを備えた電
気伝導度測定用容器を設け、該電気伝導度測定用容器内
に電気伝導度センサを配した電気伝導度計を耐圧容器外
に設けさらに前記耐圧容器内の供試液の電気伝導度の変
化を検出した結果を演算するための演算器を設けてなる
ことを特徴とする炭酸ガスクラスレート生成量測定装
置。
【0011】(2)炭酸ガスクラスレートを生成させる
耐圧反応容器に供試液を容器外に取り出す取り出し管を
設け、該管の耐圧反応容器外に、容器外溶液排出用バル
ブと、予め混在粒子を分離するためのフィルタと電気伝
導度測定用容器と、該電気伝導度測定用容器内に電気伝
導度センサを配した電気伝導度計を設け、さらに前記電
気伝導度測定用容器内の供試液の電気伝導度の変化を検
出した結果を演算するための演算器を設けてなることを
特徴とする炭酸ガスクラスレート生成量測定装置。であ
る。
【0012】すなわち、本発明は次の手段を講じている
ものである。 耐圧反応容器内溶液の電気伝導度変化を検出し、炭
酸ガスクラスレートを定量的に求める。 上記の検出のために、炭酸ガスクラスレートを生
成させる耐圧反応容器内あるいは外に固体結晶の炭酸ガ
スクラスレートを取り除くためのフィルタを前処理装置
として備えた電気伝導度測定装置を設ける。 上記において、耐圧反応容器外での電気伝導度を
測定する場合、耐圧容器からフィルタまでは炭酸ガスク
ラスレートが分解しない温度、圧力条件を維持させる。 上記の検出結果を演算するために演算器を設け
る。
【0013】
【作用】フィルタを経てクラスレートの結晶固体が取り
除かれた溶液の電気伝導度は図3に示すとおり、炭酸ガ
スクラスレートが成長すると、生成開始点から徐々に増
加していくので、これを測定すれば炭酸ガスクラスレー
ト生成量を求めることができる。
【0014】ここで、前記(1)式の反応式から、炭酸
ガスクラスレートは塩類を溶解した水溶液中ではその炭
酸ガスクラスレート結晶は塩類を巻き込まずに生成でき
るため、炭酸ガスクラスレート結晶が生成し結晶成長す
ると水溶液の塩濃度が高くなる。すなわち、水溶液の水
量をW1 g、CO2 量をGg、塩類をSgとし、温度、
圧力を設定して炭酸ガスクラスレートを生成したとす
る。CO2 が全量クラスレートになる時、G/44×
(5+3/4)×18=2.35G(g)の水が炭酸ガ
スクラスレートの結晶生成に費やされ、残存する水は
(W1 −2.35G)(g)となる。一方、塩類は水中
に残存するため、その濃度は高くなる。例えば、初期濃
度をS/W1 とすれば、クラスレート生成時の塩濃度は
S/(W1 −2.35G)となるため、初期における塩
濃度a1 とクラスレート生成時の塩濃度a2 を測定する
ことにより、次式からクラスレート生成量W2 を算出で
きる。
【0015】 W2 =G/44×{44+(5+3/4)×18}=3.35×G こゝで、a1 =S/W1 、a2 =S/(W1 −2.35
×G)であるから、G=W1 ×(1−a1 /a2 )/
2.35となる。したがって、W2 =1.43×W 1 ×
(1−a1 /a2 )を得る。ここで、初期およびクラス
レート生成時における電気伝導度λ1 ,λ2 は塩濃度a
1 ,a2 とは比例関係にあり、この比例定数は温度、構
成イオン種類などで決まる。従って、a1 /a2 =λ1
/λ2 の関係が成立ちW2 =1.43×W1 ×(1−λ
1 /λ2 )となる。
【0016】このように炭酸ガスクラスレートが生成す
る際に塩類が炭酸ガスクラスレート水和物に入り込ま
ず、塩濃度が増加すること、さらに塩濃度が溶液の電気
伝導度と比例関係にある性質を利用して、フィルタを経
てクラスレートの結晶固体を取り入れた溶液の電気伝導
度測定から炭酸ガスクラスレート生成量を定量的に算出
できる。
【0017】しかしながら、生成した炭酸ガスクラスレ
ートがフィルタを経るまでに分解した場合、式(1)が
右から左に進行し、水分量が増えるため、本来知りたい
耐圧容器内溶液の電気伝導度よりも溶液の電気伝導度が
小さくなり、炭酸ガスクラスレート量も少なく計測され
ることになる。従って、反応容器からフィルタまでは炭
酸ガスクラスレートが分解しない温度、圧力条件にする
必要がある。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例の炭酸ガスクラスレート生
成装置の全体構成例を図1に示し、炭酸ガスクラスレー
ト生成量測定方法につき説明する。図1において、反応
容器11の中に塩素イオンを含んだ供試水12を供試液
注入ポンプ13を用い注入するとともに炭酸ガス14を
炭酸ガス注入ポンプ15を用い注入する。この時、反応
容器11を冷水槽16に設置する。
【0019】水と炭酸ガスをモータ17に連結した攪拌
機18で混合しながら炭酸ガスクラスレート反応を進め
る。温度計19、圧力計20で反応温度、反応圧力を測
定し、記録計21でそのデータを記録する。
【0020】このとき反応容器内電気伝導度測定用溶液
排出バルブ22を開け、大気との圧力差で反応容器内電
気伝導度測定器用容器23前に設置したフィルタ24を
用い、固体の炭酸ガスクラスレートを分離する。なお、
大気との圧力差のうちの大部分を前記溶液排出バルブ2
2でまかなうこととすることにより、フィルタ24に過
大な圧力差がかかることを防止し、フィルタ24の上流
側をクラスレートが分解しない圧力に保持することがで
きる。
【0021】上記の手段で得た固体の炭酸ガスクラスレ
ートが混在しない溶液を反応容器内電気伝導度測定器用
容器23に満たし、容器内の電気伝導度測定器用センサ
25を配した電気伝導度計26で電気伝導度を測定し、
データ解析装置27で換算演算して炭酸ガスクラスレー
ト生成量を求めることができる。
【0022】次に、本発明の他の実施例の炭酸ガスクラ
スレート生成装置の全体構成例を図2に示し、炭酸ガス
クラスレート生成量測定方法につき説明する。図2にお
いて、反応容器21の中に塩素イオンを含んだ供試水2
2を供試液注入ポンプ23用い注入するとともに炭酸ガ
ス24を炭酸ガス注入ポンプ25を用い注入する。この
時、反応容器21を冷水槽26に設置する。
【0023】水と炭酸ガスをモータ27に連結した攪拌
機28で混合しながら炭酸ガスクラスレート反応を進め
る。温度計29、圧力計30で反応温度、反応圧力を測
定し、記録計31でそのデータを記録する。
【0024】反応容器外電気伝導度測定用溶液排出バル
ブ41を開け、大気との圧力差で反応容器外電気伝導度
測定器用容器42前に設置したフィルタ43を用い、固
体のクラスレートを分離する。このフィルタ43までの
配管においては圧力計47、温度計48で圧力、温度を
測定し、反応容器外電気伝導度測定用溶液排出バルブ4
1開度、配管内温度調節用冷却装置49を用いて、炭酸
ガスクラスレートが分解しない条件に温度、圧力を保
つ。続けて、固体のクラスレートが混在しない溶液を反
応容器外電気伝導度測定器用容器42に満たせ、電気伝
導度測定用センサ44を配した電気伝導度計45で電気
伝導度を測定し、データ解析装置46で換算演算して炭
酸ガスクラスレート生成量を求めることができる。
【0025】なお、大気との圧力差のうちの大部分を前
記溶液排出バルブ41でまかなうこととすることによ
り、フィルタ43に過大な圧力差がかかることを防止
し、フィルタ43の上流側をクラスレートが分解しない
圧力に保持することができる。
【0026】図4は初期水量をW1 =400g、また初
期電気伝導度をλ1 =20100μS/cmとし、これ
ら値と炭酸ガスクラスレートが生成した時の電気伝導度
λ2μS/cmとから算出した炭酸ガスクラスレート生
成量Wgを表したものである。 W=W1 ×1.430×(1−λ1 /λ2 ) =572×(1−20100/λ2
【0027】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、反応容
器内溶液中に混在する固体クラスレートをフィルタによ
り前もって分離し、その前処理を経た溶液の電気伝導度
を測定することにより炭酸ガスクラスレート生成量を定
量的に求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係わる炭酸ガスクラスレ
ート生成装置の全体構成図。
【図2】本発明の第二実施例に係わる炭酸ガスクラスレ
ート生成装置の全体構成図。
【図3】本発明の第一実施例に係わる電気伝導度の経時
変化を表わす図表。
【図4】本発明の第一実施例に係わる炭酸ガスクラスレ
ート生成量と電気伝導度の関係図表。
【図5】従来の炭酸ガスクラスレート生成装置の全体構
成図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐治 明 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社技術本部電力技術 研究所内 (72)発明者 野田 英智 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社技術本部電力技術 研究所内 (72)発明者 谷井 忠明 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 根来 正明 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 峯元 雅樹 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 北村 光 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業 株式会社神戸造船所内 (72)発明者 鎌田 敏弘 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業 株式会社神戸造船所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスクラスレートを生成させる耐圧
    反応容器内に予め混在粒子を分離するためのフィルタを
    備えた電気伝導度測定用容器を設け、該電気伝導度測定
    用容器内に電気伝導度センサを配した電気伝導度計を耐
    圧容器外に設けさらに前記耐圧容器内の供試液の電気伝
    導度の変化を検出した結果を演算するための演算器を設
    けてなることを特徴とする炭酸ガスクラスレート生成量
    測定装置。
  2. 【請求項2】 炭酸ガスクラスレートを生成させる耐圧
    反応容器に供試液を容器外に取り出す取り出し管を設
    け、該管の耐圧反応容器外に、容器外溶液排出用バルブ
    と、予め混在粒子を分離するためのフィルタと電気伝導
    度測定用容器と、該電気伝導度測定用容器内に電気伝導
    度センサを配した電気伝導度計を設け、さらに前記電気
    伝導度測定用容器内の供試液の電気伝導度の変化を検出
    した結果を演算するための演算器を設けてなることを特
    徴とする炭酸ガスクラスレート生成量測定装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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