JPH0653103U - 木工用回転継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 木工錐等を複数本同時に使用する軸間距離の
狭い多軸ボーリング軸等に使用できる刃先より噴出する
エア供給用の高速回転継手を提供する。 【構成】 多軸ボーリング軸１のねじ穴に螺着されるね
じ軸２ａを有し、先端に木工錐Ｔ取付穴２ｂを有する回
転軸２に、エアが通る軸方向穴２ｃと貫通穴２ｄを穿設
し、貫通穴を塞がない両端位置に嵌合する端面シール形
ベアリング４Ａ，４Ｂが両端大径穴に嵌着されるハウジ
ング５にエア供給口８が設けられている。この供給口よ
り送り込まれたエアはベアリングの小さな隙間より僅か
に漏れてベアリングを冷却するとともに切屑等の侵入を
防止し、大半は木工用錐Ｔの細穴Ｔａを通って刃先より
噴出され、加工中に生じる切屑を吹き飛ばして加工穴内
に残らないようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は軸方向の細穴を有する木工及びそれに類する加工用ドリル又はエンド ミル等の刃先から噴出するエア等気体を供給するための高速回転用回転継手に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、金属加工業界等においては深穴加工や難切削材の穴明け加工等に油穴付 工具（主としてドリル）を用い刃先から切削油剤を噴出して切削性能や加工品質 の向上を計る技術が実用化されている。この場合旋盤等のように工具が回転しな いものを除き、切削油剤供給用回転継手付工具ホルダが用いられる。 この回転継手付工具ホルダは種々市販されているが、例えば（株）溝口鉄工所 製ＦＬＡ型クーラント・フラッシング・ホルダのように、テーパシャンクと一体 の工具ホルダ中央部に複数の軸受を介して回転可能に設けられたハウジングに、 リップが軸に接触する油漏れ防止用シールを設けた回転継手を構成し、ハウジン グ側の供給口より送り込んだ切削油剤を漏れることなく工具ホルダに装着した油 穴付ドリルの先端より噴出させるようにしたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術で述べた金属加工用のクーラント・フラッシング・ホルダは、高い 切削抵抗に耐えるだけの強度と切削油剤の漏れを防ぐシーリング構造とを要する ため比較的回転継手部の径が大きく、工具ホルダの軸部外周にリップが接触する シールを使用しているため、摩擦熱や摩耗等のため乾式高速回転に適さないもの が殆どである。従って木工及びそれに類する穴明け加工、例えばだぼ接合に代表 される穴明け加工のように、加工穴内に切屑が残らないように工具刃先よりエア 等の気体を噴出するために用いる回転継手付工具ホルダとしては、多軸ボーリン グ軸のように軸間距離が狭い木工機には大きすぎるとともに使用回転数の面から も使用できないという問題を有していた。 本考案は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、そ の目的とするところは、軸間隔の狭い多軸ボーリング軸にも適用可能な小型で、 乾式高速回転に耐える木工用細穴付工具へのエア等気体供給用回転継手を提供し ようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案における木工用回転継手は、軸方向に細穴を 有する木工用ドリル又はエンドミル等の刃先より噴出するエア等気体を供給する 高速回転用回転継手であって、先端に工具把持部を有し前記工具把持部の工具取 付穴の奥に開口し他端が軸外周に開口する通穴が穿設され後端に木工機のボーリ ング軸等回転軸への取付部を有する回転軸と、該回転軸の通穴の軸外周開口部を 塞がない両側の位置に嵌合された複数個の端面シールド型ベアリングと、エア等 気体の供給口を有し前記ベアリングが両端に嵌着されたハウジングとを含んでな り、ベアリング自身でエア等気体のシーリング作用を行うものである。 また回転軸先端の工具把持部は工具ホルダユニットを着脱自在に装着可能とす るこもできる。 また端面シールド型ベアリングを含油メタル等無給油平軸受に代えることもで きる。

【０００５】

【作用】

供給口より回転継手のハウジング内に送り込まれたエア等の気体は、ベアリン グ又は無給油平軸受の小さな隙間より僅かに漏れて、木工加工により生じる切屑 等が回転軸受内に入るのを防止し、大半のエア等の気体は高速回転中の回転軸の 通穴を経て工具の細穴を通り刃先より噴出され、加工中に生じる切屑が加工穴内 に残らないよう吹き飛ばす。

【０００６】

【実施例】

第１実施例について図１を参照して説明する。 後端に木工機のボーリング軸１等回転軸端のねじ穴に螺合するボーリング軸の 回転で緩まない勝手のねじ軸２ａを有し、先端に工具取付穴２ｂを有する工具把 持部を備える回転軸２に、工具取付穴２ｂの奥に開口する先止まりの軸方向穴２ ｃと、この先止まり部付近で軸方向穴２ｃとほぼ直角に連通する貫通穴２ｄとか らなる通穴が穿設されている。回転軸２先端の工具取付穴２ｂに木工錐Ｔのスト レートシャンク部が着脱可能に嵌挿され、木工錐Ｔには先端で二つに分岐するエ ア用の細穴Ｔａが穿設されており、木工錐Ｔは二本の固定ボルト３により固着さ れている。

【０００７】 回転軸２の貫通穴２ｄを塞がない両側位置に端面シールド型のベアリング４Ａ ，４Ｂの内輪が嵌合されている。ベアリング４Ａ，４Ｂはフランジ付ボールベア リング等市販のベアリングを使用することができ、外輪がハウジング５の両端大 径穴にカラー６を介して嵌着され、回転軸２の段差端面２ｆと後端のねじ部２ａ に螺合されるナット７により軸方向位置が規制されている。カラー６の中心穴は 回転軸外周より僅かに大きい穴径に形成されており、回転軸２の外周と接触する ことはない。

【０００８】 ハウジング５のほぼ中央半径方向にねじ穴５ａが刻設されており、ねじ穴５ａ にエア供給口８が螺設されている。ハウジング５は図示しない支えにより回転が 阻止されており、エア供給管より送り込まれるエアは僅かにベアリング４Ａ，４ Ｂの隙間より漏れるが、殆どボーリング軸１により高速回転される回転軸２の貫 通穴２ｄ，軸方向穴２ｃを経て、木工錐Ｔの細穴Ｔａを通り刃先より噴出される ようになっている。

【０００９】 続いて第２実施例について図２を参照して説明する。 尚、第１実施例と同一個所は同一符号を付して説明を省略する。 回転軸１２は六角鍔部１２ｂを一体に有し、この後側に木工機のボーリング軸 １のねじ穴に螺合するねじ軸１２ａが、ボーリング軸１の回転で緩まない勝手に 刻設され、右側の軸部の先端同心に工具ホルダ取付用のねじ穴１２ｃが刻設され ており、ねじ穴１２ｃはボーリング軸先端のねじ穴と同一寸法とされている。ね じ穴１２ｃの奥に先止まりの軸方向穴１２ｄが穿設されており、この先止まり部 近くに軸方向穴１２ｄと直角に連通する貫通穴１２ｅが穿設されている。回転軸 １２の貫通穴１２ｅを塞がない両側位置に回転可能に嵌合する含油メタル等無給 油平軸受１３Ａ，１３Ｂが、ハウジング５の両端大径穴に嵌着されており、平軸 受１３Ａ，１３Ｂは六角鍔部１２ｂ端面とスナップリング１４により軸方向位置 が規制されている。

【００１０】 回転軸１２のねじ穴１２ｃにワンタッチ形の工具ホルダユニット１５が着脱可 能に螺着されており、この工具ホルダユニットのホルダ本体１６には、インナス リーブ１８を嵌挿する大径の中心穴１６ａとエアが通る小径の中心穴１６ｃが穿 設されており、中心穴１６ａの軸方向中程に底側が広がるテーパ溝１６ｂが削設 されている。更にホルダ本体１６には回転軸１２に取付けるねじ軸１７が一体に 形成されており、ねじ軸１７は回転軸１２の回転方向に対してゆるまない勝手に 削設されている。インナスリーブ１８は鍔部を有し胴部１８ａには中心軸と直角 方向に後述のストレートピン１９が入り、インナスリーズ１８の軸方向移動時に 干渉しない切欠き１８ｂが削設されている。

【００１１】 またテーパ溝１６ｂに対する胴部１８ａの位置の円周三等分点には内側を小径 とし球体２１が穴にのぞむ貫通球座１８ｃが穿設されており、ホルダ本体１６の 中心穴１６ａにはインナスリーブ１８を押し勝手に付勢する圧縮ばね２２が介装 されている。更にホルダ本体１６にはテーパ溝１６ｂと切欠き溝１８ｂにまたが り木工錐Ｔの回転トルク受面Ｔｂに係合する位置で中心軸と直角方向に先端に図 示しないねじを刻設したストレートピン１９が挿通し、ねじ部を螺装するめねじ をテーパ溝の底に刻設したピン穴が穿設されている。

【００１２】 この工具ホルダユニット１５に挿入される木工錐Ｔは細穴Ｔａを有し、ストレ ートピン１９が当接する回転トルク受面Ｔｂが軸方向に削設されている。 ホルダ本体１６に木工錐Ｔを装着するには、インナスリーブ１８をばね２２の 力に抗して押し込み、木工錐Ｔの回転トルク受面Ｔｂをストレートピン１９と一 致するように位相を合わせて挿入し、木工用錐Ｔの後端が穴底に当接するまで押 し込んでインナスリーブ１８から手を離すと、ばね２２の力でインナスリーブ１ ８が押し出され、球座１８ｃに位置した球体２１がテーパ溝１６ｂの壁面から受 ける力により木工錐Ｔのシャンクを保持する。また木工錐Ｔをホルダ本体１６よ り取外す場合は、インナスリーブ１８を押し込めばテーパ溝１６ｂの壁面と離れ るので球体２１の保持力が解除され抜き取ることができる。

【００１３】 第２実施例の回転軸１２は六角鍔部１２ｂを一体に有しているため木工機のボ ーリング軸１等回転軸に取付けるときの組付け精度が向上する利点を有している 。 尚、工具ホルダユニットはワンタッチ型の工具ホルダユニット１５と限定され るものではなく、コレット式の工具ホルダユニットや固着ボルト式の工具ホルダ ユニット等すべての工具ホルダユニットが適用可能なことは勿論である。 また、無給油平軸受１３Ａ，１３Ｂは第１実施例の工具把持部一体型の回転軸 ２の軸受としても適応可能であり、更にベアリング４Ａ，４Ｂは第２実施例の回 転軸１２の軸受としても適応可能なことも勿論である。 通穴は工具取付穴２ｂの奥に開口し他端が軸外周に開口する形でエア供給に支 障がなければ形状は問わない。 また、補助的にシーリング部材を両軸受の内側に設けることも可能であるが、 この場合は供給エア圧が作用した状態で僅かにリップが回転面と接触する程度に する必要がある。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は上述のとおり構成されているので次に記載する効果を奏する。 工具の刃先より噴出させるエア供給用回転継手の軸受を、端面シールド型ベア リング又は無給油平軸受とし、軸受自身のシーリング作用を利用したので、軸受 部からのわずかな気体漏れは、木工加工時の粉塵が回転継手内へ侵入するのを防 ぐ手段となり軸受の寿命を向上させるとともに、構造が簡素になっただけ小型か つ軽量となって多軸ボーリング軸等軸間距離の狭い木工機に使用できるようにな り、木工における特に小径穴明け加工の際に、加工穴内に残存する切屑を吹き飛 ばすことが可能となり、作業時の切屑除去作業が不要となって作業のライン化に 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の木工用回転継手の断面図である。

【図２】第２実施例の木工用回転継手の断面図である。

【符号の説明】

２，１２ 回転軸 ２ｃ 軸方
向穴 ２ｄ 貫通穴 ３ 締付ボ
ルト ４Ａ，４Ｂ ベアリング ５ ハウジ
ング １２ｃ ねじ穴 １３Ａ，１
３Ｂ 平軸受 １５ 工具ホルダユニット １６ ホル
ダ本体 １７ ねじ軸 １８ イン
ナスリーブ １９ ストレートピン ２１ 球体 Ｔ 木工錐 Ｔａ 細穴

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に細穴を有する木工用ドリル又は
   エンドミル等の刃先より噴出するエア等気体を供給する
   高速回転用回転継手であって、先端に工具把持部を有し
   前記工具把持部の工具取付穴の奥に開口し他端が軸外周
   に開口する通穴が穿設され後端に木工機のボーリング軸
   等回転軸への取付部を有する回転軸と、該回転軸の通穴
   の軸外周開口部を塞がない両側の位置に嵌合された複数
   個の端面シールド型ベアリングと、エア等気体の供給口
   を有し前記ベアリングが両端に嵌着されたハウジングと
   を含んでなり、ベアリング自身でエア等気体のシーリン
   グ作用を行うことを特徴とする木工用回転継手。
2. 【請求項２】 回転軸先端の工具把持部は工具ホルダユ
   ニットを着脱自在に装着可能としたものである請求項１
   記載の木工用回転継手。
3. 【請求項３】 端面シールド型ベアリングを含油メタル
   等無給油平軸受に代えたことを特徴とする請求項１及び
   請求項２記載の木工用回転継手。