【発明の詳細な説明】
板ガラスの曲げ加工方法及び装置
l胛立冑1
11二旦■里上1
本発明は湾曲した板ガラスの製造に関し、特に比較的薄い板ガラスを曲げ加工す
るための改良された方法及び装置に関する。
え来肢蒼
湾曲した板ガラスは、自動車等の車両用の窓または窓材に一般的に用いられる。
そのような用途に於いて、板ガラスは、車輌の全体のスタイルと同様に、開口部
の形状及び大きさによって決定された曲率に正確に曲げ加工されなければならな
い。更に、そのような曲げ加工された板ガラスは、厳密的な光学的要求を満たさ
なければならず、窓材または窓の視界領域には、明瞭な視界を妨げるような表面
の疵及び光学的なゆがみが存在してはならない。即ち、板ガラス曲げ加工装置に
は、板ガラスを正確な曲率に形成することが要求されるばかりでなく、重大な光
学的な疵を板ガラスの表面に形成することなく、板ガラスに曲率を与えることも
要求される。
そのような湾曲した板ガラスを製造するためのある実用化された方法は、予め仕
上げれた平坦な板ガラスを軟化温度まで加熱する過程と、その加熱された板ガラ
スを補完的な形状の表面を有する雄型及び雌型の間で所望の曲率にブレス曲げ加
工する過程と、その用途によって決定されるように、板ガラスを焼き鈍しまたは
焼きもどしするべく、制御された方法によって湾曲した板ガラスを冷却する過程
とを有する。そのような曲げ加工技術は、 “プレス曲げ加工”と呼ばれ、板ガ
ラスを垂直、水平、または斜めに配置して適切に実施される。
大量生産の操作では、上述された過程は、順次実施され、板ガラスは固定された
搬送路に沿ってほぼ連続的に前進し、加熱領域、曲げ加工領域、及び冷却または
焼きもどし領域に搬送される。板ガラスを充分に焼きもどしするためには、板ガ
ラスが焼きもどし媒体にさらされたときに、板ガラスの中心部分が変形温度より
も高く保たれるように、板ガラスの温度は予め決められた最小のレベルよりも高
い温度でなければならない。5.08〜6.48mm(0,200〜0.255
インチ)の範囲内の通常の厚さの板ガラスに残留する温度は、例えば、曲げ加工
された直後に、焼きもどし領域に搬送されそして焼きもどし媒体にさらされたと
きに、そのような予め決めされた最低レベルよりも略高い温度である。従って、
板ガラスに適切な曲げ加工温度を与えるために、最初に板ガラスに与えられた熱
はまた、最終の熱処理焼きもどし操作にも利用することかできる。
最近では、製造コストを低下させるためばかりでなく、自動車の全体の重量を低
下させるためにも努力が払われ、自動車の窓材により薄い板ガラスを用いること
にもかなりの重点が置かれるようになった。約3.17〜3.96mm(約0.
125〜0.156インチ)の厚さの範囲内にある焼きもどしされたサイドウィ
ンドウ及びバックライトが、今日の自動車産業で一般的である。上述されたプロ
セスは、より厚い焼きもどしされた板ガラスの大量生産に適しているが、熱を保
持する能力が低いより薄い焼きもどしされた板ガラスを製造することには適して
いない。板ガラスの厚みが減少するほど、温度の低下する速度が増加する。従っ
て、上述された技術に基づく、中間の曲げ加工動作による、最初の加熱と焼きも
どしとの間の熱の損失は、薄い板ガラスの温度を充分な焼き戻しを行うことので
きる前述された最小の温度よりも低くする。一方、曲げ加工過程の間の引き続く
急速な熱の損失を補償するための最初の加熱過程での薄い板ガラスへの過剰な加
熱は、自動車の設計及びスタイルの要求によって決定される正確な誤差内に、曲
げ加工された板ガラスの形状を保持するために必要な、変形の制御に付随する熱
損失を伴って、その板ガラスをかなり柔軟なものにする。更に、そのような過剰
な加熱によって、仕上げられた板ガラスの表面の品質が低下し、熱による汚れ、
ロール変形、及び窪み等が生ずる。薄い、そして曲げ加工されかつ焼きもどしさ
れた板ガラスの大量生産でのこれらの問題を解決するために、多くの試みかなさ
れてきたが、適切な光学的な品質、及び曲げ加工の間のそのような薄い板ガラス
に与えられた所望の形状を維持して、満足な程度の焼きもどしを得るこが、限定
的に成功している。
これまでは、自動車産業のための薄板にされたウィンドシールドの多くは、公知
の重力または垂下曲げ加工技術によって曲げ加工され、この技術では、一対の挿
入された板ガラスが適切な骨格型の金型の上で重力によって同時に曲げ加工され
る。その技術は非常に有効であるが、プレス曲げ加工プロセスに比べかなり速度
が遅くかつコスト高である。更に、プレス曲げ加工技術の最近の発達は多くの場
合、重力曲げ加工によって製造されたものよりもより高い品質の製品を生み出す
。従って、製品を改良しかつコストを保つために、適切なときにプレス曲げ加工
プロセスを用いてウィンドシールド用の板ガラスを曲げ加工する傾向が増加して
いる。
焼きもどしされたサイドウィンドウ及びバックライトのように、例えば、厚さ1
,525mm(0,069インチ)のウィンドシールド用のより薄い板ガラスを
用いる必要性が増加でいる。これらの板ガラスは概ね焼き鈍しされ、かつ自動車
の側面の窓材及び後ろの窓材のための板ガラスに要求される以上に厳密な光学的
な要求を要求される。前にも説明されたように、成形ステーションのより低温の
環境内に板ガラスが搬送されたときに生ずる熱の損失を補うために、加熱炉内で
板ガラスを過剰に加熱する必要がある。
板ガラスの軟化温度以上に板ガラスを加熱することは、1゜52−2.60mm
(0,060〜0.102インチ)の範囲のまたはそれ以下の薄い板ガラスには
特に好ましくなく、例えばその板ガラスを過どに柔軟にし、かつロール変形が起
きることになる。従って、もし注意深く制御されなければ、ロール変形が許容限
度を超えることになり、製品が販売に適さないものになる。
典型的なプレス曲げ加工動作では、板ガラスが、向かい合う曲げ加工部材間で形
成された後に、曲げ加工された板ガラスは、ロールコンベアまたはキャリアリン
グの上に直接配置され、曲げ加工ステージョンから冷却ステーションへ転送され
る。下側プレス部材は、概ねリング型の構造を有し、かつ第1の方法では、曲げ
加工された後の板ガラスを支持し、そしてプレス部材がロールの下に下降すると
きに、板ガラスをロールコンベアの上に配置する。後者の方法では、板ガラスは
上側真空金型によって支持され、かつ曲げ加工された直後にキャリアリングの上
に配置される。
何れの場合に於ても、初期の冷却ステージの間、加熱された板ガラスの周縁部は
、板ガラスの中心部分よりも板ガラスの周縁部分の冷却を加速する、概ね連続的
なリングからなる冷却器に接触させる。このように冷却速度を板ガラスの周縁部
と板ガラスの中心部とで変えることによって、板ガラスの温度が室温に達した後
に、最終的な応カバターンにある効果が生ずる。ウィンドシールド用の薄い板ガ
ラスをプレス曲げ加工するとき、この応カバターンの効果によって、板ガラスの
周縁部の内側に永久的な高い応力を有する領域が生じ、この領域によって、自動
車が使用されたときに、チッピング、磨滅、石の衝突などを原因とする破損の可
能性が増加する。
開口部の曲率によって決定されるように、より鋭い湾曲を要求される板ガラスの
一部分または複数の部分を、板ガラスの他の部分よりも高い温度に加熱し、充分
な曲げ加工を施すことが必要である。そのような部分の具体例としては、ウィン
ドシールドのラップアラウンドのピラー領域が挙げられる。過剰なりロスヘッド
または視界領域内に好ましくない熱による汚れを形成する板ガラス全体への過剰
な加熱を防ぐために、このように板ガラスを不均一に加熱することによって、特
別な注意が必要となり、物事をより一層複雑にする。
導電性のウィンドシールドを製造するために板ガラスを曲げ加工する場合にも、
不均一な加熱を必要とする同し様な状況が生ずる。そのようなウィンドシールド
は、視界領域の曇りを取り除いたり、氷の発生を防止たりするために用いられる
導電性のフィルムを含む。そのような板ガラスのあるものの主面には、当業者に
は周知のごとく、透明な導電性のコーティングを引き続いて加えるために必要な
回路を提供するバスバーが備えられている。バスバーは、典型的には銀フリット
材料から形成され、かつ例えばシルクスクリーンプロセスのような適切なプロセ
スによって、加熱及び曲げ加工に先立って加えられる。しかしその銀フリットは
、フリットラインに隣接する部分の加熱速度を低下させるという板ガラスの加熱
特性に対する重大な効果を有する。その回路は、板ガラスの横方向のエツジの一
方に沿って延在する少なくとも1つのバスバーを含む。銀フリットが存在するこ
とによる加熱速度の低下を補償するために、この銀フリットを有する部分を、板
ガラスの他の部分よりも高い温度に加熱することが必要である。従って、後続の
処理に適した不均一な温度を板ガラスに与えるために、加熱炉の幅に亘って異な
る加熱パターンを形成することが必要となる。これは加熱炉手段を調整すること
によっである程度は達成される。しかしながら、板ガラスは加熱炉がら出るとき
に急速に熱を失うので、加熱炉内で過剰に加熱されることなしに次の処理のため
の適切な温度に板ガラスを保持することは困難である。
Triplex 5afety Glass社に譲渡された、米国特許第3゜7
53.673号及び第3,854,920号の明細書には、冷却の“スプリング
バック(spring back)”を最小にするための、曲げ加工動作の間の
板ガラスの熱の損失を制御するための方法及び装置が開示されている。 “スプ
リングバック”は、板ガラスの2つの主面の不均一な冷却のために起こる、曲げ
加工の後の板ガラスの形状の変化を述べるために用いられる用語である。曲げ加
工用金型の一方または両方は、2つの主面の間の全体の熱損失をバランスさせる
ために、予め決められた温度に加熱される。
比較的薄い焼きもどしされた板ガラスを製造するために開発されたある技術が、
本願発明の譲り受け人と等しい譲り受け人に譲渡された、米国特許第4,047
,919号明細書に開示されており、オーブンリング型の雄型及び雌型の金型が
、曲げ加工に先立って板ガラスの少なくとも一部を再び加熱するための個々に制
御可能なガスバーナー備えている。そのプロセスは、曲げ加工された後に、焼き
もどしのために適切な予め決められた温度レベルに比較的薄い板ガラスを保持す
るための問題を処理する。そのプロセスはその意図された目的のために適切であ
るが、非常に厳密な光学的な要求を保持しながら、曲げ加工及び焼きもどしに関
する上述された問題を解決するために必要な手段を前もって手配することも、提
供することもない。
免胛n概1
本発明は、曲げ加工の前に、適切な曲げ加工を可能にする予め決められた温度分
布を板ガラスに与え、そして、曲げ加工の後に、板ガラスの周縁部に改良された
応力状態を生み出すようにし、最初の冷却速度を低下させ、加熱炉外での板ガラ
スの温度制御の改良された方法を提供することによって、上述された従来技術の
装置の欠点を解決する。
そのために、板ガラスに形を与えるためのプレス部材は、加熱された上側雄型ブ
レス部材と下側雌型ブレス部材とを有する。上側プレス部材は、一定の形状であ
り、複数の電熱要素が埋め込まれている。電熱要素は、上側プレス部材の成形面
に隣接して配置されており、その下に配置された板ガラスに所望の加熱効果を与
えるべく個々に制御される。
下側プレス部材は、リング式の構造を有し、かつ上側プレス部材のヒータによっ
て加えられた熱を補うための、個々に制御可能な電熱要素の配列を含む。
本発明の第1の目的は、適切な曲げ加工を可能にするために、比較的薄い板ガラ
スに予め決められた温度分布を与えるための、改良された方法を提供することで
ある。
本発明の第2の目的は、加熱炉内の板ガラスに温度分布を与える過程と、適切な
曲げ加工を可能にするために、予め決められた温度分布を与えるべく、加熱炉外
での曲げ加工の前に、板ガラスの温度を制御する過程とを有する方法を提供する
ことである。
本発明の第3の目的は、板ガラスの温度が加熱炉外で少なくとも1つの加熱され
た曲げ加工部材によって制御されるような方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、板ガラスの各部を選択的に加熱し、所望の温度を与える
ための複数の個々に制御可能な加熱要素を含む加熱された曲げ加工部材を用いる
方法を提供することである。
本発明の第5の目的は、加熱炉内で板ガラスに与えられた温度分布を、適切な曲
げ加工を可能にするための予め決められた温度分布よりも高くする方法を提供す
ることである。
本発明の第6の目的は、加熱炉内で板ガラスに与えられた温度分布を、適切な曲
げ加工を可能にするための予め決められた温度分布よりも低くする方法を提供す
ることである。
本発明の第7の目的は、板ガラスのエツジ強度を増加するための改良された方法
を提供することである。
本発明の第8の目的は、板ガラスの温度降下速度を低下させ、それによって板ガ
ラスの周縁部のピーク引っ張り内力を低下させるために、曲げ加工の後の予め決
められた時間内に、板ガラスを少なくとも1つの加熱された曲げ加工部材と接触
させて保持する方法を提供することである。
本発明のその他の目的、及び利点は、添付の図面を参照して以下の説明からより
一層明らかになる。
図面の簡単な説明
第1図は、本発明の新規なプレス曲げ加工部材を有するプレス曲げ加工装置の側
面図である。
第2図は、図面を明瞭にするために、第1図の線2−2からみた一部を除去され
たプレス曲げ加工装置の拡大正面図である。
第3図は、加熱手段をより明瞭に表した、本発明のプレス曲げ加工部材の斜視図
である。
妬1□実」l舛9」L稚L」1述
各図面に於て、等しい部分には等しい符号が付されている。
第1図には、本発明に基づいて構成された板ガラス曲げ加工装置10が示されて
いる。曲げ加工装置10は、板ガラスをその軟化点または曲げ加工温度に加熱す
る加熱炉12と、板ガラスを所望の曲率に曲げ加工するための本発明の新規な曲
げ加工手段14を具体化した曲げ加工ステージョン13と、後続の製造過程のた
めに加熱され曲げ加工された板ガラスが適切に冷却されて、焼き鈍しまたは焼き
もどしされる次のステーション(図示されていない)を通過する略水平な通路に
沿って板ガラスSを支持し、かつ搬送するための連続したコンベアシステム11
を含む。本発明は、水平なプレス曲げ加工装置について説明されているが、その
ような装置に限定されるものではなく、垂直なプレス曲げ加工装置や、板ガラス
等に形を与えるための向かい合うプレス曲げ加工部材を利用する装置にも用いる
ことができる。
板ガラスSは、搬送システム11の一部を形成する整合した搬送ロール15によ
って加熱炉12内を搬送される間に、制御されながら加熱される。加熱炉12は
任意の従来構造であって良く、第1図には、上壁17、底壁18、対向側壁19
、及び端壁20によって郭成される加熱室16を有するトンネル式の加熱炉か示
されている。加熱室16は、土壁及び側壁に配置されかつ加熱室を通過する板ガ
ラスに所望の加熱パターンを与えるへく退官制御されたガスバーナーまたは電熱
要素等の適切な加熱手段を備えている。
補助的な不均一な加熱装置22が、加熱炉の加熱能力を制御するために、加熱炉
の長手方向に沿った選択的な位置に提供されることか必要である。そのような不
均一な加熱装置は、1989年5月22日に出願された米国特許出願第07/3
55,169号の明細書に開示され、詳細に説明されている。この明細書は、こ
こで言及したことによって本出願の一部とされたい。更に、その明細書を参照す
ることによって、その不均一な加熱装置を充分に理解することができる。
板ガラスSは、加熱炉12の入口(図示されていない)から、端壁20の開口部
24を通して延在する搬送システム11の搬送ロール15の上を搬送されて加熱
室16を通過する。板ガラスSは、加熱炉12の制御された温度の雰囲気中を搬
送されるときに、その軟化点まで加熱される。
加熱炉12の開口部24から出た直後に、板ガラスSは第2の一連の搬送ロール
25の上に受けとめられ、板ガラスに所望の曲率を与える対向する上側及び下側
プレス部材26及び27の間の曲げ加工ステージョン13に搬送される。
板ガラスが曲げ加工された後に、第3の一連のロール28の上を搬送システム1
1に沿って搬送され、次の処理過程(図示されていない)である板ガラスの焼き
もどしまたは焼き鈍し過程に搬送される。
第1図のプレス曲げ加工ステージョン13は、剛固な箱形構造を形成するべく長
手方向のビーム32及び横方向のビーム33によってその上部と底部で接続され
た直立した支柱31を含む、立方体の形状のフレーム30を有する。
曲げ加工ステージョンのロール25は、フレームに従来通り(図示されていない
)回転可能に取り付けられている。
板ガラスが曲げ加工される曲率と一致する対向する互いに補完的な成形面を備え
た、上側及び下側プレス部材26及び27が、互いに近接離反運動するようにフ
レーム3oに取り付けられている。
上側雄型プレス部材26は、以下により詳しく説明されるように、プラテンフレ
ーム36に支持された成形要素35を有する。プラテンフレームは、対向するプ
レス部材との間で曲げ加工される板ガラスの曲率を調整するために、垂直方向に
調節可能な構造であることが好ましい。従って、プラテンフレーム36は、フレ
ーム30内のその四隅で、フレーム30の上部のビーム32及び33によって形
成されたフレームに支持された関連するねしジヤツキ38のねじジヤツキロッド
37の下端部に動作可能に取着されている。更にフレームの上部には、プラテン
フレーム36とプラテンフレーム36に支持された成形要素35とを対応して上
昇または下降させるべく、ロッド37を収縮または伸張させるために、ねじジヤ
ツキ38を一致して駆動する、モータ駆動ユニット40が載置されている。
下側雌型プレス部材37は、以下に説明されるように、垂直に往復運動し、かつ
プラテンフレーム36と同様の構造のプラテンフレーム41に支持されている。
プラテンフレームをフレーム30内の正確に垂直なバスに沿って、自由に上下運
動させるために、プラテンフレーム36及び41にはその四隅に安定化ローラガ
イド手段42が−え付けられている。ガイド手段42は、プラテンフレーム36
及び41の四隅に取着されたブラケット43を含んでいる。
各ブラケットは、関連する支柱31の隣接する角度をもって配置された面に固定
されたトラックプレート46に回転係合するように適切に取り付けられた複数の
ローラ44を支持している。従って、プラテンフレームは、横方向には堅固に固
定され、一方垂直バスに沿って上下に自由に移動するようになっている。
゛下側プレス部材27は、従来の外形またはリング式の構造であって、通常は曲
げ加エステーション30のローラ25の下の休止位置に置かれている。プレス部
材27は、板ガラスSをロール25から持ち上げ、板ガラスSを上側プレス部材
25に向けて押しつけ、そして次の処理を行うために、曲げ加工された板ガラス
をローラ25に戻し、曲げ加工ステージョン13から取り出してローラ28に載
置するべく、垂直方向の往復運動をするように取り付けられている。
下側雌型ブレス部材27か、板ガラスをロール25から押し上げるために、ロー
ル25の間を上方向に通過するべく、下側プレス部材27は、隣接するロール2
5の間を通過するように充分な間隔を置いて配置された複数のセグメント48に
よって形成されたリング式成形レール47を有する。個々のセグメント48は、
接続ロッド50によってベース部材49から隔てられて固定されると共に、曲げ
加工される板ガラスの外形と一致し、かつ所望の曲率を板ガラスに与えるための
上向きの成形面51を含む。搬送ローラ25は、その形状が直線状であり、成形
レール47は複数のセグメントによって形成されているが、本出願と同一の譲り
受け人に譲渡された米国特許第4,670,036号の明細書に開示されたよう
に、搬送ローラ25はある輪郭形状を有しても良く、成形レールは連続的であっ
ても良い。成形面51の特定の曲率と同様に、成形レール47の特定の外形も、
曲げ加工された板ガラスの予め決められた最終的な形状によって定められ、かつ
所望通りに変えることができる。一対の隔てられて配置された垂直往復運動スト
ップ手段53(その一方のみが図示されている)は、隣接するロール25の間で
あって、かつベース部材49の上に配置され、板ガラスSを上側プレス部材26
及び下側プレス部材27に対して正確に配置する。
ベース部材49は、下側プラテンフレーム41によって支持され、かつ下側プラ
テンフレーム41と共に移動可能である。油圧シリンダ54は、プラテンフレー
ム41の下に取り付けられ、かつビーム32によって支持されている。
油圧シリンダ54は、プラテンフレーム41にその端部が取着されたピストンロ
ッド55を含み、下側雌型ブレス部材27を、成形レール51が搬送ロール25
の下にある収縮位置と、リング要素が加熱された板ガラスSを搬送ローラから持
ち上げ、そして板ガラスを予め決められた曲率に曲げ加工するべく、互いに補完
的な雌型要素35゛と成形レール51との成形面の間で、雌型ブレス部材26に
向けて板ガラスを押しつけるように適合された伸張位置との間で、下側雌型ブレ
ス部材27を往復運動させる。曲げ加工が終了したとき、ピストンロッド55が
収縮して、プラテンフレーム41が下降し、それによって成形レール51が搬送
ローラ25の下に移動し、曲げ加工された板ガラスを搬送ローラ25の上に載置
する。
第2図及び第3図に最も良く示されているように、本発明の上側雄型プレス部材
26は、中実型または連続型のプレス部材と呼ばれている。雄型成形要素35は
、下側雌型ブレス部材27の成形面゛と互いに補完的な輪郭を有する符号56を
付された連続的なガラス成形面を含む。成形要素35は、高温度に耐える任意の
適切な材料から形成され、例えば耐火性材料であることが好ましい。成形要素3
5の周縁部に沿って一体形成された外向きに延出するフランジ59は、複数のL
字型ブラケット60と共働して、上側プラテンフレーム36に適切に取着された
支持プレート61へ、成形要素を取り付ける。ブラケット60は、適切な締め金
具63によって支持プレート61に締着されると共に、支持プレート61にフラ
ンジ59を向かわせ成形要素35を支持プレート61に締着するためのフランジ
59に係合した脚部64を含む。加熱され軟化した板ガラスと接触するための可
撓性を有する非研磨性の表面を提供し、がっ絶縁を提供するために、成形面56
は、織られたまたは編まれたファイバグラスのような耐熱性の布からなるシート
65で覆われている。布シート65は、第2図に示すように、成形面56を覆う
ように緊張して張られ、かっ取着ブラケット61のような任意の適切な手段によ
って定位置に保持されている。
チャンバ66は、板ガラスに形を与えるため及び板ガラスの取り扱いを援助する
ために、正または負の空気圧を提供するマニフォルドとして働くべく、所望に応
じて成形要素35に形成される。このために、成形面56には、複数の空気通路
が備え付けられ、また成形要素35には、加圧された空気の源とチャンバ66と
を連通ずる導管68が備え付けられている。空気の通路が、穴開けされて形成さ
れた孔67のように形成されるか、または、穴開けされて形成された通路を必要
とせずに、成形面に沿って均一な空気の流れを許容するような、多孔質の材料ま
たは密度の低い耐火性の材料が成形要素として選択される。負圧の空気若しくは
真空が、上側プレス部材の成形面に提供され、板ガラスを成形面に一致させる。
次に、下側プレス部材が下降したときに、板ガラスが真空によって保持され、当
業者には周知の如く、板ガラスを曲げ加工領域外に搬出するべく、キャリアリン
グが定位置に移動する。
前にも述べられたように、加熱炉外で非常に薄い板ガラスを良好に曲げ加工する
ための多くの問題点がある。主要な問題点は、板ガラスが加熱炉から、曲げ加工
ステージョンのかなり低温の環境へ搬送されるときに、板ガラスがら熱が失われ
ることである。この熱の損失を補うために、板ガラスは加熱炉内でその軟化温度
以下に加熱され、板ガラスが満足な曲げ加工及び後続の熱処理または焼きもどし
処理を促進するための適切な温度に到達することを確実にする。この加熱方法は
、厚さ5.08mm(0,200インチ)またはそれ以上の従来通りの板ガラス
を加工する場合には好結果をもたらす。しがし、例えば厚さ1.52〜2,60
mm(0,060〜0.102インチ)の範囲の、より薄い板ガラスを加工する
場合には、板ガラスの熱損失の速度が速いために有効ではない。従って、より大
きな熱損失を補うために、そのような薄い板ガラスをより高い温度に加熱するこ
とによって、熱による汚れ、ロール変形などが発生し、板ガラスの表面の品質及
び光学的な特性を低下させる。これは、ウィンドシールド用の板ガラスを製造す
る場合の主な問題点であって、光学的な要求は、自動車のサイドウィンドウ及び
バンクライトに対する要求よりも、より一層厳密である。
本発明は、加熱炉内で最初に加熱された板ガラスを、迅速かつ効果的に再加熱す
る加熱要素と共働する、加熱炉外のプレス曲げ加工部材を提供することによって
、上述された問題を解決せんとするものである。プレス曲げ加工部材に関連する
加熱要素は、板ガラスが、対向するプレス部材の間に配置されたとき、加熱され
た板ガラスの熱放散または冷却の速度の制御をするため、または板ガラスの温度
を上昇させるために利用される。冷却速度を制御する場合、加熱要素の出力は、
周囲よりも高い温度を提供するように制御され、板ガラスからの熱放散の速度を
低下させる。一般的に、温度が高いほど板ガラスからの熱放散の速度が低下する
。板ガラスの温度を上昇させる場合、加熱要素は、板ガラスが加熱炉から曲げ加
工領域に搬送されるときに放散された熱を補うことによって、板ガラスの温度を
上昇させるために利用される。加熱要素はまた、板ガラスを加熱炉内で与えられ
た温度よりも高い温度に加熱するために利用されることも意図されている。何れ
の場合でも、本発明の目的は、板ガラスの表面の初期の品質を保つために、曲げ
加工ステージョンに入る前と、曲げ加工ステージョン内での板ガラスの温度を低
く保つことである。加熱要素は、特定のパターンまたは配列に配置され、板ガラ
スの熱放散または加熱を制御するために、予め決められた加熱分布を生み出すよ
うに、個々に若しくは領域で制御される。
本発明に基づけば、板ガラスに形を与えるときに不均一な温度分布が必要な場合
、加熱炉内で第1の予め決められた温度分布が板ガラスに最初に与えられる。こ
の温度分布は板ガラスが加熱炉から出た後の熱損失を補うために、適切な曲げ加
工に必要な温度分布よりも高い温度である。第2の予め決められた温度分布は、
曲げ加工部材に関連する加熱要素内で発生し、板ガラスが2個の曲げ加工部材間
に配置されている間、板ガラスの熱放散の速度を制御する。
限定を意図するものではないか、曲げ加工部材に関連する温度分布は、加熱炉内
で板ガラスに与えられた温度分布よりも概ね低い。加熱炉内及び曲げ加工部材の
温度分布は、適切な曲げ加工を促進する板ガラスの適切な温度分布を提供するよ
うに制御される。
曲げ加工部材に関連する加熱要素はまた、板ガラスが加熱炉内で均一な温度に加
熱された後に、板ガラスに予め決められた不均一な温度分布を与えるためにも利
用される。
これは、板ガラスの加熱と同様に、板ガラスからの熱の放散の速度を制御するこ
とによって行われる。均一に加熱された板ガラスを、曲げ加工部材の不均一な温
度分布にさらすことによって、板ガラスが曲げ加工部材の温度分布に釣り合った
温度分布を与えられることは容易に理解される。
加熱された曲げ加工部材が、板ガラスの熱放散の制御と、板ガラスの温度の上昇
との何れかに用いられることになる。
板ガラスに不均一な温度分布を与えることは、例えば、その中心部分よりも小さ
い半径を有するピラー領域を備えたウィンドシールド用のかなり薄い板ガラスに
形を与えるときに、特に有効である。既に述べたように、満足な曲げ加工を行う
ためには、板ガラスが曲げ加工ステージョンに搬送されるときの、熱損失を補う
ために、このような鋭く湾曲する領域は、ガラスの軟化点を超えるがなり高い温
度に加熱される必要がある。一方、これは、板ガラスの表面の品質と光学的な特
性とを低下させる。本発明に基づけば、板ガラスを加熱炉内でそのような高温に
加熱する必要が回避される。板ガラスはその表面に欠陥が生ずる温度よりも低い
、予め決められた温度範囲に、加熱炉内で加熱され、プレス曲げ加工の直前に、
最終的な最適の曲げ加工温度を得るために、プレス曲げ加工領域内で制御されな
がら再加熱される。従って、成形ステーションに搬送されるときに、温度の低下
した板ガラスは傷を受けにくい。更に、加熱炉の加熱ユニットだけでなく、プレ
ス部材の加熱ユニットを共働させて個々に制御することによって、必要に応じて
、板ガラスの不均一な温度分布を発生させる手段が提供される。従って、ピラー
領域の小さい半径の湾曲を形成するために必要なより高い温度は、ピラー領域の
部分に限定され、一方、板ガラスの中心部分は、光学的な要求を保存するために
比較的低い温度に保持される。もちろん、小さい半径の部分がピラー領域以外の
領域内に存在する場合にも、必要なより高い温度はその小さい半径の部分に限定
される。
ウィンドシールドのための回路を提供するバスバーによって板ガラスの加熱特性
が影響される、電熱要素によって加熱されたウィンドシールドを製造する時にも
、影響される板ガラスを不均一に加熱することが必要なことは明らがである。バ
スバーは、その直下及びその両側の領域内での板ガラスの加熱速度を低下させる
傾向があり、かつ与えられた温度を得るために通常必要な速度よりも速い加熱速
度を必要とする。従って、例えば、その一方の主面に配置されたバスバーを備え
た板ガラスに均一な温度を与えるために、板ガラスの残りの部分よりも、バスバ
ーに隣接した領域に、より多くの熱を加える必要がある。
薄い板ガラスを処理するときに、最も注意を要するもう1つの点は、曲げ加工さ
れた後に、板ガラスが制御されず、板ガラスが不均一に冷却されることである。
板ガラスの周縁部は、その中心部よりも急速に熱を失い、そのピークが板ガラス
の周縁部の内側に向かう引っ張り応力の分布を発生させ、熱平衡に達した後に、
板ガラスが取り扱われるときに損傷をより受けやすいような、エツジの状態が生
ずる。
板ガラスが曲げ加工された直後に、低温の下側リング式プレス部材またはキャリ
アリングに典型的な形式で支持されているときに、この問題が明らかになる。板
ガラスの周縁部の熱放散の速度は、低温のリング表面に接触することによって加
速され、リングの位置のすぐ内向きに直立し、がつ板ガラスの内部に向かって急
速に衰える悪化した引っ張り応力分布を生み出す。
本発明の加熱されたプレス部材はまた、上述された冷却の問題を緩和し、かつ板
ガラスのエツジ強度を強化するように、曲げ加工された後の板ガラスの熱放散の
速度を制御するために、効果的に用いられる。曲げ加工した後に、制御された時
間に亘って、板ガラスを一方または両方の加熱されたプレス部材に接触させて保
持することによって、板ガラスがより均一に冷却され、応力分布のピーク引っ張
り応力領域が減少する。板ガラスが一方または両方のプレス部材に接触して保持
される時間は、板ガラスの厚みの関数であッテ、1. 52〜2.60mm(0
,600−0,102インチ)の厚さの板ガラスに対して、10秒未満となって
いる。例えば、曲げ加工が終了した後に、約4秒に亘って、2.2mm(0,0
90インチ)の厚さの板ガラスを、中実の雄型ブレス部材の加熱された表面に保
持することによって、板ガラスのより均一な初期の冷却速度が提供されることが
分かっている。この初期の冷却プロセスを板ガラスが通過した後に、板ガラスの
応力分布に重大な損傷を与えることなしに、板ガラスはかなり低温のリング式支
持表面上に載置される。曲げ加工された直後に、板ガラスの冷却を制御すること
によって、板ガラスが最終的に熱平衡に達した後に、圧縮された周縁部のエツジ
と、周縁部の内側に向かう低い引っ張り応力分布とを有することになる。
本発明に基づけば、第2図及び第3図に最もよく示されたように、そして以下に
説明されるように、上側プレス部材26は、複数の加熱要素7oを有し、下側プ
レス部材27は、輻射式加熱アセンブリ71を有している。加熱要素70は、耐
火性の成形要素に埋め込まれた任意の適切な電熱要素であって、例えば、538
〜6496C(1000〜1200’F)の範囲の温度に達することが可能であ
る。
この加熱要素70は、成形面56において371〜427℃(700〜800°
F)の範囲の温度を発生し、その温度範囲は、本発明に基づく板ガラスの熱放散
を効果的に制御するために必要な範囲を充分に提供するものである。もちろん、
板ガラスまたはその一部を例えば538〜649’C(1000〜1200’F
)の曲げ加工温度に再加熱するときには、成形面をその高い温度にすることので
きる加熱要素を用いることが必要である。加熱要素は、最も正確な動作を提供す
るために、成形面にほぼ並行にかつかなり接近して配置されているので、それに
よって成形面56を、中程度の応答時間内で所望の温度に上昇させることができ
る。加熱要素70は、成形要素35が形成されるときに鋳造されるか、または耐
火性要素が鋳造された後に耐火性要素に穴開けすることによって適切な開口部が
提供される。
加熱要素70の各々は、関連するり−ド73及び74によって、各加熱要素の出
力を調整するための適切な制御ユニット(図示されていない)に接続される。も
し必要であれば、加熱要素はより簡単な動作のために領域内に分類されても良い
。熱電対(図示されていない)もまた、温度の読みを提供するために、成形要素
35の選択された位置に適宜配置されても良い。
本発明の加熱された雄型ブレス部材は、板ガラスが曲げ加工された直後に板ガラ
スを加熱するための比較的簡単なそして有効な手段を提供することによって、薄
い板ガラスの曲げ加工に関する上述された問題点を解決し、そして板ガラスが曲
げ加工ステージョンに搬送されるときの熱の損失を補うために、加熱炉内でがな
り薄い板ガラスを過剰に加熱する必要性が除去される。更に、加熱要素7oは個
々にまたは領域で制御され、がっもし必要ならば、はぼ均一に加熱された板ガラ
スに予め決められた温度パターン若しくは熱分布を与えるだけでなく、加熱炉内
で板ガラスに最初に与えられた熱分布を保持若しくは強化するために選択的に電
流を流すことができる。加熱された雄型ブレス部材はまた、真空源に接続され、
板ガラスの冷却速度を低下させると共に、板ガラスのエツジ強度を強化するため
に板ガラスを加熱された成形面に向がって瞬間的に保持する。
もし必要ならば、下側プレス部材72の輻射式加熱アセンブリ71が利用され、
上側加熱プレス部材26によって提供された加熱を補償する。加熱アセンブリ7
1は、各々が埋め込まれたニッケル導線のヒータ(図示されていない)のような
従来の加熱手段を備えた長寸のストリップまたはパネル76の配列の形式である
ことが好ましい。パネル76は絶縁板77の上に取着されていて、がっ板ガラス
の搬送路にほぼ平行に並べられている。好ましくは、パネル76の個数は、成形
レール47によって囲繞された領域がほぼ満たされるような個数である。剛直な
メツシュ状のステンレス製遮蔽78等が、複数のポスト80及び締め金具81に
よってパネル76の配列の上に支持され、破壊された板ガラスの落下などを原因
とする偶然の損傷からパネル76を保護する。加熱アセンブリ71は、上側成形
要素35と同様に、出力される熱を調整し、かつ加熱アセンブリ71の予め決め
られた温度分布を発生させるために、加熱パネル76の各々を個々に制御するこ
とを可能にする、従来の制御ユニット(図示されていない)に適切に接続されて
いる。
これまで図示されそして説明された本発明の実施例は、本発明の単なる好適な実
施例であって、様々な手順の変化ばかりでなく、大きさ、形状、及び部品の配置
に関する様々な変更が、本発明の技術的視点及び添付の請求項の技術的視点を逸
脱することなしに実施可能なことは当業者には明らかである。
FIG、 I
FIG、2
FIG、3
フロントページの続き
(72)発明者 プロカッチニ、ビンセント・エヌアメリカ合衆国オハイオ州4
3605・トリド・プラット 521
(72)発明者 デブ、スガト
アメリカ合衆国オハイオ州43551・ぺり一ズバーグ・ウェストセカンドスト
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