JPH064512B2 - 炭素/金属複合材およびその製造方法 - Google Patents

炭素/金属複合材およびその製造方法

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JPH064512B2
JPH064512B2 JP1291713A JP29171389A JPH064512B2 JP H064512 B2 JPH064512 B2 JP H064512B2 JP 1291713 A JP1291713 A JP 1291713A JP 29171389 A JP29171389 A JP 29171389A JP H064512 B2 JPH064512 B2 JP H064512B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、主に摺動・集電材料、特に鉄道用パンタグラ
フ摺板に適した、強度に優れた炭素/金属複合材および
その製造方法に関する。
[従来の技術] 鉄道用パンタグラフなどの摺動・集電用材料として、従
来は鋳造合金や焼結合金などの金属系材料や炭素系材料
が使用されてきた。しかし、金属系材料は摺動特性が不
十分であり、また炭素系材料は電気比抵抗が高いという
欠点がある。
最近の車両の高速化と冷房設備等の設置による消費電力
の増大に対応するため、炭素の優れた摺動特性と金属の
電気伝導性を生かした炭素/金属複合材を摺動・集電材
料として採用することが提案され、そのための各種の炭
素/金属複合材およびその製造方法が知られている
(例、特公昭56−14732号、特開昭60−238402号、同61
−245957号、同62−72564号、同62−197352号の各公報
参照)。
このうち、炭素質マトリックスに鋼製の金属繊維(スチ
ールファイバー)を配合した炭素/金属複合材が、スチ
ールファイバーの補強効果が高く、しかも比較的安価で
あることから、最も有望な材料であると考えられる。
このような金属繊維を配合した炭素/金属複合材は、炭
素材原料に金属繊維を配合した混合物を成型し、次いで
成型体を焼成した炭素材原料を炭化させることにより製
造される。
[発明が解決しようとする課題] しかし、従来の炭素/金属複合材から製作したパンタグ
ラフ摺板に共通した技術上の問題点として、スチールフ
ァイバーを配合した場合であっても、その曲げ強度が高
々1000kg/cm2と、従来の金属焼結系摺板と比べて著し
く低いという問題があった。曲げ強度が低いと、パンタ
グラフ摺板の破損が起こり易く、電車事故という重大な
結果につながりかねないため、曲げ強度の改善は非常に
重要である。
本発明の目的は、特に曲げ強度に優れ、そのため摺動・
集電材料として好適な、スチールファイバーを金属成分
として配合した炭素/金属複合材およびその製造方法を
提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、スチールファイバーを金属成分として配
合した炭素/金属複合材の曲げ強度が不十分である理由
について検討した結果、その原因として次のことを見出
した。
すなわち、スチールファイバー自体は、その製造時の加
工歪みにより加工硬化しているため、微細な結晶粒を有
する高強度の材料である。しかし、これを用いて炭素/
金属複合材を製造する過程で、特に焼成工程で受ける加
熱によりスチールファイバーの結晶粒が成長して粗大化
し、得られたまま炭素/金属複合中においてはスチルフ
ァイバーが低強度のものに変化している。そのために複
合材の強度が低下する。
本発明者らはさらに検討した結果、焼成後に鋼の焼入れ
や焼ならしと同様の処理を行うことにより複合材中のス
チールファイバーの組織を焼ならし組織および/または
焼入れ組織を主体としたものに制御することにより、曲
げ強度に優れた炭素/スチールファイバー複合材が得ら
れることを見出し、本発明を完成した。
ここに、本発明の要旨は、炭素質マトリックス中に金属
繊維を含む炭素/金属複合材において、該金属繊維が鋼
製であり、その金属組織が焼ならし組織および/または
焼入れ組織を主体とした組織であることを特徴とする、
炭素/金属複合材にある。
かかる炭素/金属複合材は、炭素材原料に金属繊維を配
合した成型用原料を成型および焼成・炭化することから
なる炭素/金属複合材の製造において、該金属繊維が鋼
製であり、焼成後に得られた複合材をA1変態点より高
温から最終的に冷却する際に、A1変態点からMf点ま
での間の少なくとも一部の温度域内の冷却速度が10℃/m
in以上となるように冷却を行うことを特徴とする方法に
より製造することができる。
[作用] 本発明の炭素/金属複合材は、炭素質マトリックス中に
金属繊維としてスチールファイバーが配合されたもので
あるが、他の成分として少量の鉄以外の金属やセラミッ
クス成分を繊維状あるいは粒状でマトリックス中に含有
していてもよい。
本発明の炭素/金属複合材は、最後の冷却処理を除い
て、従来の炭素/金属複合材と同様に製造できる。すな
わち、炭素材原料にスチールファイバーと、場合により
他の任意成分とを配合して成型用原料を形成した後、こ
の混合物を成型し、得られた成型体を焼成することによ
り製造される。
炭素材原料としては、(1)自己焼結性メソフェーズ粉、
(2)バインダーピッチと炭素質や黒鉛質の骨材とからな
る2元系の原料、および(3)フェノール樹脂のような炭
化性の熱硬化性樹脂を含む各種のものが使用できる。パ
ンタグラフ摺板用の炭素/金属複合材にあっては、バイ
ンダーピッチと高硬度の骨材(例、ピッチや石炭を1000
℃程度で炭化処理して得たコークス粉)とからなる2元
系炭素材原料が、価格と性能の両面から好ましい。
スチールファイバーとしては、薄板切削法、ビビリ振動
切削法、ワイヤー切削法、延伸法などの種々の方法で製
造されたスチールファイバーが使用できる。繊維の形状
は特に限定されず、棒状、針状、くさび状、波状、網
状、ウール状、あるいはこれらの混合物のいずれも使用
可能である。
スチールファイバーの寸法も特に限定されないが、高強
度の成型体を得るという観点からは、通常は太さ(繊維
径)0.5mm以下、特に0.3mm以下で、長さ1mm以上、特に
3mm以上のものが好ましい。繊維のアスペクト比(繊維
長/繊維径の比)は、一般に10以上が好ましい。
スチールファイバーの材質も特に限定されず、低炭素鋼
(軟鋼)、普通鋼、高張力鋼、ステンレス鋼などの種々
のものが使用できる。このうち、低炭素鋼製の繊維が安
価であり、しかも性能にも優れていることから好まし
い。繊維中にマンガンやクロムなどの浸炭反応を促進す
る元素が含まれていると、得られた複合材の強度が低下
する傾向があるため、これらの元素の含有量はできるだ
け少ないことが好ましい。
スチールファイバーの配合量は特に限定されないが、得
られた複合材の耐摩耗性、機械的強度および電気比抵抗
の面から、成型用原料の全体に基づいて少なくとも10vo
l%の繊維を配合する。
スチールファイバーは、成型体の焼成工程において、周
囲の炭素材原料による浸炭を受ける傾向があり、そのた
めに組成がセメンタイト(Fe3C)を多く含むものに変化す
る。セメンタイトは高硬度であるが脆い特性を有するた
め、浸炭により複合材の耐摩耗性は改善されるものの、
曲げ強度が低下する。この浸炭も複合材の曲げ強度低下
の別の原因であると考えられる。
本発明の好適態様にあっては、少なくとも一部のスチー
ルファイバーの表面に銅、ニッケル、コバルト、アルミ
ニウム、ケイ礎のような炭化物を生成しにくい合金元素
や、アルミナなどのセラミックスが被覆されたものを金
属繊維として使用することができる。この被覆は、被覆
材料に応じて、メッキ、溶射、蒸着、スパッタリングな
どの任意の適当な方法で実施できる。かかる被覆された
スチールファイバーを使用すると、焼成工程でのスチー
ルファイバーの浸炭が抑制され、得られた複合材の強度
が向上する。
スチールファイバーの浸炭は、上記のような繊維の表面
被覆による以外に、銅、ニッケル、コバルト、アルミニ
ウム、ケイ素のような炭化物を生成しにくい合金炭素を
粉体状で少量添加することによっても効果的に抑制する
ことができる。
スチールファイバーは、寸法や表面被覆の点で異なる2
種以上のものを混合して使用することもできる。また、
スチールファイバーは必ずしも成型体中に均一に分布さ
せる必要はない。スチールファイバーを、その存在が特
に望ましい側に集中的に分布するように複合材の厚み方
向に片寄らせて不均一に配合することもできる。
炭素材原料をスチールファイバーとを配合した成型用原
料を、次いで成型する。この成型に先立ち、スチールフ
ァイバーを磁場などの作用により実質的に1方向に配向
させてもよい。かかる繊維の配向は、複合材強度の実質
的な改善に寄与すると共に、電気比抵抗の低下にもつな
がる。
成型方法としては、冷間型込め法、加圧加熱成型法、押
出し法などの従来より公知の各種の方法が可能である。
このうち、本発明のように嵩高いスチールファイバーを
比較的多量に配合する場合には、バインダーが半炭化
(セミ炭化)を完了し、固体化する500℃以上の温度で
加圧加熱成型する方法が、複合材の強度を確保する面か
らは最も好ましい。
また、本発明者らが先に提案した加圧加熱成型時に成型
体内に温度差をつける成型方法(特開昭63−154310号)
は、大型の複合材を製造する場合には成型時の割れを抑
制する効果が大きい。
成型で得られた成型体を、次いで焼成して炭素材原料を
炭化させ、炭素/スチールファイバー複合材を得る。こ
の焼成は、非酸化性雰囲気中において、成型体を通常の
炭化温度である900〜1100℃の範囲内の温度まで徐々に
昇温し、この炭化温度に所定時間保持することにより行
なわれる。
従来の方法では、焼成後に得られた炭素/金属複合材
は、急激な温度変化に伴う熱応力による割れを防ぐため
に、加熱を停止した炉内に放置して1℃/min以下の小さ
な冷却速度で徐冷してから取り出すのが普通である。し
かし、上述したように、こうして得られた炭素/スチー
ルファイバー複合材は、焼成中に金属繊維の組織が結晶
粒が粗大化したものに変化し、この変化した組織が冷却
中にも保持されるために、強度低下の一因となる。
本発明にあっては、得られた炭素/スチールファイバー
複合材を、鋼のA1変態点からMf点までの間の少なく
とも一部の温度域内の冷却速度が10℃/min以上となるよ
うに冷却を行う。すなわち、一般には720℃以上、好ま
しくは800℃以上の温度から、180℃までの少なくとも一
部の温度域を10℃/min以上の冷却速度で冷却する。この
ような冷却により、冷却後のスチールファイバーの組織
が、冷却方法に応じて、マルテンサイトやベーナイトを
多く含む組織および/または微細な結晶粒の組織(すな
わち、鋼の焼ならし組織および/または焼入れ組織を主
体とした組織)となり、いずれも徐冷した粗大な結晶粒
の場合に比べて複合材強度を著しく改善することができ
る。
すなわち、本発明の炭素/スチールファイバー複合材
は、スチールファイバーの金属組織が焼ならし組織およ
び/または焼入れ組織を主体とした組織であることを特
徴とする。
上記の冷却処理は、上記焼成工程での加熱後の冷却時に
行ってもよいし、あるいは焼成工程での冷却は従来と同
様に1℃/min以下の徐冷により行った後再度A1変態点
より高温に加熱し、そこから上記のような冷却速度で冷
却することにより行ってもよい。いずれにしろ、最後に
1変態点より高温に加熱された際の冷却時に、10℃/mi
n以上の速度の冷却を実施すれば、スチールファイバー
の組織が強度改善に有効な組織に変化する。
かかる急冷処理が必要な温度域は、必ずしも鋼のA1
態点からMf点までの全温度域である必要はなく、A1
変態点でオーステナイトからフェライトへの変態が起こ
る温度域、および/またはMf点より少し高温(例、20
0℃)のオーステナイトからマルテンサイトへの変態が
始まる温度域が含まれていればよい。
急冷処理の方法は、上記条件での冷却が達成される限り
特に限定されないが、鋼の焼入れ処理と同様の水冷もし
くは油冷処理、あるいは焼ならし処理と同様の大気中あ
るいは窒素ガスなどの不活性ガス気流による冷却方法が
可能である。
本発明により上記温度域の少なくとも一部で急冷を行う
ことにより、冷却速度に応じて、スチールファイバーの
組織は鋼の焼ならし組織および/または焼入れ組織を主
体とした組織に変化する。すなわち、冷却速度が気流中
での冷却のように10〜数百度℃/min程度である場合に
は、スチールファイバーの結晶位の微細化が進行し、焼
ならし組織を主体とした組織を生ずる。一方、水冷や油
冷のような超急冷処理で冷却速度が数千℃/minを超える
ような場合には、マルテンサイト組織やベーナイト組織
が増加し、スチールファイバーの組織は焼入れ組織を主
体としたものに変化する。いずれの場合も、得られた炭
素/スチールファイバー複合材の強度改善に著しく有効
である。
水冷や油冷のような冷却速度が数千〜数万℃/minに及ぶ
ような場合、スチールファイバー組織はマルテンサイト
を多く含むものとなり、曲げ強度が著しく向上し、硬度
も増加する。しかし、この場合、冷却過程で多きな熱応
力が発生するため、複合材に割れが発生しやすくなる。
従って、割れを防止するように、複合材の寸法や冷却媒
の温度などの条件を慎重に選択する必要がある。
窒素などの気体で冷却する場合は、スチールファイバー
の組織の微細化が顕著に認められ、曲げ強度の増大は水
冷や油冷の場合に比べて少ないものの、従来法で徐冷し
た場合に比べれば顕著な曲げ強度の増大が認められる。
この冷却方法の場合には、冷却速度は数百℃/min以下、
高くても1000℃/min程度であるので、熱応力による複合
材の割れの現象は起こりにくく、処理自体は水冷や油冷
と比べて容易である。
複合材強度の改善効果は、冷速度が高いほど大きくなる
傾向がある。しかし、冷却速度が10℃/min以上であれば
強度改善効果が認められ、50℃/min以上の冷却速度にな
ると強度は顕著に向上する。従つて、好ましくは50℃/m
in以上の冷却速度で冷却を行う。
従来の炭素材の製造において、高温から急速に冷却処理
する例としては、室炉式コークス製造において、乾留終
了後のコークスを水で消火冷却する例がある。この場
合、水による急冷は生産性と経済性の観点から採用され
てきたものであり、水冷によるコークス強度向上はな
く、むしろ近年採用されつつある乾式消火法(CDQ)によ
って冷却速度を小さくすると冷却時の熱応力が低減さ
れ、コークス強度が向上することが報告されている。
このように従来の炭素材の製造においては、高温からの
冷却速度が大きくなると炭素材中の熱応力が大きくな
り、炭素材中に亀裂が生成するため、炭素材の強度は低
下するのが常識であり、本発明のように急冷処理により
強度が向上することは知られていなかった。
一方、鋼の製造においては、焼入れ処理のような急冷処
理により強度が著しく改善されることは常識であるが、
炭素を多量に含有する本発明のような炭素/金属複合材
において急冷処理により複合材強度が著しく向上するこ
とはこれまで認識されていなかった。
本発明で急冷処理により炭素/金属複合材の強度が著し
く向上した理由は、直接的にはスチールファイバーの素
質の改善による強度の向上によるものと考えられるが、
この強度向上は従来は認められていなかった下記の現象
が関与して始めて可能となったというべきであり、従っ
て当業者の予想を超えたものである。
(1)炭素にスチールファイバーを複合したため、複合材
の強度および靭性が著しく改善されると共に、急冷処理
しても、熱応力による炭素質マトリックスの亀裂の生成
が極めて少なくなった。
(2)炭素にスチールファイバーを複合したことにより、
複合材の熱伝動率が飛躍的に高くなり、急冷処理時の熱
応力が極めて小さくなった。
(3)上記(1)および(2)の現象は、炭素材に単に鉄を配合
しただけでは顕著ではないが、繊維状のスチールファイ
バーを配合したことにより顕著に現れることとなった。
すなわち、炭素材の急冷では強度はかえって低下するの
に対し、炭素/スチールファイバー複合材としたことに
より炭素質マトリックスの急冷による強度低下が防止さ
れ、上記の急冷の効果が発揮されるのである。
本発明の炭素/金属複合材は、特に鉄道用パンタグラフ
摺板に好適な強度、耐摩耗性および電気特性を有する
が、その他の集電・摺動部材(例、集電ブラシ)、ある
いは単なる摺動部材(例、ブレーキ摩擦材、軸受、シー
ル材など)にも利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに説明するが、本
発明は実施例により限定されるものではない。
(実施例) 実施例1 レギュラーグレード石油コークスを1000℃で炭化後、直
径10mmのステンレス球を詰めた三井三池製作所製の乾式
アトライターに入れ、10分間粉砕して平均粒径12μmの
コークス粉を得た。これを2元系炭素材原料の骨材とし
て用いた。
バインダーピッチとしては、コールタールを40mmHgの減
圧下に450℃で2時間熱処理することにより得た、高化
式フローテスターで測定した軟化点が270℃のコールタ
ールピッチを60メッシュ以下に粉砕して用いた。
スチールファイバーとして0.1mm×0.1mm×長さ3mmの低
炭素鋼ファイバー(材質:SPCC−1B)を用いた。
これらの原料を、スチールファイバー145重量部、コー
クス粉48重量部、およびバインダーピッチ22重量部の割
合で配合し、V型ブレンダーで混合して成型用原料を調
製した。スチールファイバーの量は成型体中での体積換
算での比率が30vol%となる量であった。
この成型用原料5000gを、内寸400mm×400mmの銅製金型
を用いて加圧加熱成型した。成型は、室温から昇温温度
3℃/minで550℃までに加圧下に昇温し、圧力は室温か
ら300℃までは1kg/cm2、300℃から550℃までは200kg
/cm2とし、その後200kg/cm2の加圧下で550℃に1時間
保持した後、冷却することにより行った。
得られた成型体を、粉コークス中に詰め、窒素雰囲気中
で室温から100℃/hrの昇温速度で480℃まで昇温し、こ
の温度に2時間保持した後、昇温速度を15℃/hrにして
1000℃まで昇温し、1000℃に3時間保持した後、炉内で
徐冷して、炭素/スチールファイバー複合材を得た。こ
の炉内での複合材の冷却速度は、最高1℃/min、平均0.
3℃/minであった。
得られた複合材を8分割して、200mm×100mmの試験片8
個を切り出した。これらの試験片をマッフル炉を用い
て、窒素雰囲気中において5℃/minの昇温温度で、A1
変態点(780℃)より高温である800℃まで加熱し、この温
度に2時間保持した後、下記の第1表に示す各種の条件
で冷却した。この冷却時の冷却素度は、複合材試験片の
内部に埋め込んだKタイプのシーズ熱電対により測定し
た。
このように熱処理した各試験片と、熱処理を行わなかっ
た未処理の試験片から、幅10mm×厚み10mm×長さ60mmの
曲げ試験片4個を切出し、曲げ強度を測定した。ここ
で、曲げ試験時の載荷方向は成型時のプレス方向と一致
させた。曲げ強度の測定結果も第1表に併せて示す。
上の第1表からわかるように、熱処理を行なわなかった
未処理の複合材の曲げ強度は1050kg/cm2であるのに対
し、熱処理後に10℃/min以上の冷却速度で冷却を行った
本発明例では、1300kg/cm2を超える高い複合材の曲げ
強度が得られ、曲げ強度が著しく向上した。一方、熱処
理後の冷却速度が10℃/minより小さい比較例では曲げ
強度が最高でも1040kg/cm2であり、いずれも未処理の
ものより低く、熱処理により曲げ強度は改善されるどこ
ろか、特に冷却速度が小さいと著しく低下した。
次に、本発明例である試験No.1および2と、比較例であ
る試験No.6で得られた複合材のスチールファイバー組織
を顕微鏡で観察した。顕微鏡用のサンプルは、#600の耐
水研磨紙で研磨後に、粒径3μmのアルミナ粉、次いで
粒径0.5μmのアルミナ粉でバフ研磨し、その後5%濃硝
酸のエタノール溶液で15〜60秒間エッチング処理するこ
とにより作成した。各サンプルの観察により、下記の組
織上の特徴が判明した。
試験No.1:微細なマルテンサイト組織が多い 試験No.2:微細な組織が多い 試験No.6:粗大な組織が多い 以上より、複合材中のスチールファイバーの組織が、高
温からの冷却速度が大きくなるとマルテンサイト組織
(焼入れ組織)または微細組織(焼ならし組織)が増加
し、複合材の曲げ強度の改善に寄与することがわかる。
実施例2 実施例1と同じ原料から同じ加圧加熱成型方法により成
型体を得た。この成型体を200mm×200mmの寸法に切断し
てから、ガス流通が可能で密閉型の乾留容器と分割が可
能な加熱炉からなる炭化装置を用いて炭化のための焼成
を行った。
焼成は、窒素雰囲気中で室温から15℃/hrの昇温速度で
1000℃まで昇温し、1000℃に1時間保持後、直ちに加熱
を停止し、炉体を分割して乾留容器を大気中に暴露する
と共に、容器内に多量の窒素ガスを流して180℃まで冷
却後、窒素ガスを停止し、そのまま放置して室温まで冷
却した。
冷却速度は750〜650℃が200℃/min、250〜150℃が4℃/
minであった。得られた炭素/スチールファイバー複合
材について、実施例1と同様に曲げ強度を測定したとこ
ろ、曲げ強度は1420kg/cm2であった。
実施例1および実施例2の結果から、炭化のための焼成
後の冷却時に本発明による急冷処理を行っても、一旦冷
却後に再加熱して急冷処理を行うのと同等の効果が得ら
れることがわかる。また、1000℃から急冷しても800℃
から急冷した場合と同等の効果が得られることもわか
る。
[発明の効果] 以上に説明したように、本発明の炭素/金属複合材は、
金属繊維として使用したスチールファイバーの組織を焼
入れ組織および/または焼ならし組織を主体とした組織
とすることにより、従来の炭素/スチールファイバー複
合材に比べて曲げ強度が著しく改善され、パンタグラフ
摺板のように高強度を必要とする集電・摺動部材として
非常に好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素質マトリックス中に金属繊維を含む炭
    素/金属複合材において、該金属繊維が鋼製であり、そ
    の金属組織が焼ならし組織および/または焼入れ組織を
    主体とした組織であることを特徴とする、炭素/金属複
    合材。
  2. 【請求項2】炭素材原料に金属繊維を配合した成形用原
    料を成型および焼成・炭化することからなる炭素/金属
    複合材の製造において、該金属繊維が鋼製であり、焼成
    後に得られた複合材をA1変態点より高温から最終的に
    冷却する際に、A1変態点からMf点までの間の少なく
    とも一部の温度域内の冷却速度が10℃/min以上となるよ
    うに冷却を行うことを特徴とする、炭素/金属複合材の
    製造方法。
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