JPH0643504A - 光スイッチ素子及びそれに用いられる液晶光方向性結合器 - Google Patents

光スイッチ素子及びそれに用いられる液晶光方向性結合器

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JPH0643504A
JPH0643504A JP7990693A JP7990693A JPH0643504A JP H0643504 A JPH0643504 A JP H0643504A JP 7990693 A JP7990693 A JP 7990693A JP 7990693 A JP7990693 A JP 7990693A JP H0643504 A JPH0643504 A JP H0643504A
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JP
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optical waveguide
optical
light
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JP7990693A
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Hirosaku Nonomura
啓作 野々村
Mitsuhiro Shigeta
光浩 繁田
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Original Assignee
Sharp Corp
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    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶を用いて、漏れ光の影響のないSN比の
大きな光スイッチ素子を実現し、かつ結合長が短縮され
た光スイッチ素子を実現する。 【構成】 ガラス基板1上に第1の光導波路2が直線状
に形成されている。90度に曲げられた部分をそれぞれ
有する複数の第2の光導波路5は、ガラス基板4上に形
成されている。各光導波路5毎に第1の光スイッチ部2
0及び第2の光スイッチ部21を有する光スイッチ素子
が設けられている。ガラス基板1、4の間には、液晶層
3が配置されている。各光スイッチ部20、21に於い
て、第2の光導波路5は、液晶層3を介して第1の光導
波路2と光学的に接続されている。各光導波路5毎の光
スイッチ部20、21に於いて、ガラス基板1の液晶層
3に接する面に、各光導波路5毎の全ての光スイッチ部
20、21に共通に接続されている共通電極6が形成さ
れ、ガラス基板4の液晶層3に接する面に、各光導波路
5毎の光スイッチ部20、21に共通に接続されている
複数のセグメント電極7がそれぞれ形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信装置、光情報処
理装置に用いることのできる光スイッチ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のCRT(陰極線管)と異なる原理
で表示を行う平面表示装置は、現在ワードプロセッサな
どの文書編集装置やパーソナルコンピュータ等の電子機
器における表示装置として、広く用いられている。ま
た、将来のハイビジョン受信機やEWS(高性能エンジ
ニアリングワークステーション)に用いられる表示装置
として、該平面表示装置の応用開発が推進されている。
【0003】代表的な平面表示装置として、ELP(エ
レクトロルミネッセンスパネル)、PDP(プラズマデ
ィスプレイパネル)あるいはLCD(液晶表示装置)な
どが知られている。これらの平面表示装置に於いて、フ
ルカラー化の容易性、LSI(大規模集積回路)との整
合性などの点からLCDが最も有望視されている。
【0004】LCDは、その表示駆動のための構造と駆
動方法とにより、単純マトリックス駆動型とアクティブ
マトリックス駆動型とに類別される。単純マトリックス
駆動型LCDにおいて、一対のガラス基板の対向する表
面に、ストライプ状電極がそれぞれ形成され、各ガラス
基板を組み合わせる時に、各ガラス基板のストライプ状
電極が相互に直交するように、各ガラス基板が組み合わ
される。各ガラス基板の間に例としてネマティック液晶
が封入されている。ネマティック液晶が有する表示状態
と非表示状態との間の光学的特性の変化の急峻性を利用
して、表示が実現される。
【0005】また、アクティブマトリックス駆動型LC
Dは、絵素に非線形素子を付加した構造を有し、各非線
形素子のスイッチング特性を利用して表示を行う。従っ
て、前記単純マトリックス駆動型LCDと比較し、前記
液晶が有する光学的特性の急峻性への依存性が低く、高
コントラストで、且つ高速応答を行う表示装置が実現さ
れる。
【0006】前記非線形素子は、2端子素子と3端子素
子とに類別される。2端子型非線形素子として、MIM
(金属−絶縁体−金属)素子、ダイオードなどが知られ
ている。3端子型非線形素子として、a−SiTFT
(アモルファスシリコン薄膜トランジスタ)素子及びp
−SiTFT(ポリシリコン薄膜トランジスタ)などが
知られている。
【0007】アクティブマトリックス駆動型LCDにお
いて、非線形素子に走査線を介して寄生容量が存在する
ため、コントラストの低下、残像の発生、パネル寿命の
低下などの問題が生じる。今後、表示パネルが大型化す
ると、この大型化に伴って配線長が長くなるため、配線
抵抗の増大と、寄生容量と配線抵抗との結合とによっ
て、信号の遅延が大きくなり、表示の均一性や高コント
ラストを更に阻害するという問題点を生じる。
【0008】このような問題を解消するために、各絵素
に於ける表示のための駆動パルスの波形に関して解析が
行われているが、スイッチング素子の前記非線形性のた
めに詳細な理論的解析が困難である。
【0009】一方、図7に示すように、光源41から光
導波路42に導かれた光を、複数の光分岐用素子43で
分岐し、複数の行光導波路44に光をそれぞれ伝達する
光走査方式を用いれば、絵素に付随する非線形素子と電
気配線との間で生じる前記寄生容量を著しく減少させる
ことができる。このため、光走査方式の採用によって、
前記信号遅延の問題が解消され、表示装置を大型化する
ことが容易になる。前記光分岐用素子43は、光導波路
42からの光を行光導波路44に出力または遮断する光
スイッチ素子である。
【0010】光スイッチ素子には、光ファイバーやプリ
ズム等を機械的に駆動して、光路の切り換えを行う機械
式の種類と、LiNbO3,As23等物質の電気光学
効果や音響光学効果を利用した電子式の種類とがある。
このうち、可動部がなく信頼性の高い電子式スイッチ素
子、特に液晶を用いた光スイッチ素子が近年注目されて
いる。このような従来技術として、例えば、特開昭57
−142622(出願人;日本電信電話公社)に記載さ
れているような、液晶と光導波路とを組み合わせたもの
がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図2(A)及び図2
(B)は、従来の液晶を用いた光スイッチ素子の構造と
その動作を説明するための断面図である。図2(A)及
び図2(B)は、後述する実施例に於いて、該実施例の
装置の一部分の構成を示す際にも参照される。図2
(A)に示すように、ガラス基板1上に第1の光導波路
2が形成されている。該第1の光導波路2の上に共通電
極6及び液晶層3を介して、セグメント電極7及び第2
の光導波路5が形成されている。第2の光導波路2は、
対向ガラス基板4に形成されている。ここで、前記第1
の光導波路2、共通電極6、液晶層3、セグメント電極
7及び第2の光導波路5を含んで、光スイッチ素子が構
成される。共通電極6とセグメント電極7とは、透明導
電膜から形成されている。各電極6、7の膜厚は充分厚
く、光導波路2、5と液晶層3との間の全反射または散
乱の関係に影響しない。図2(A)は、光導波路2内の
光が、光導波路2内に閉じ込められている状態を示して
いる。
【0012】同図(B)は、該光スイッチ素子のセグメ
ント電極7と共通電極6との間に電圧を印加した時に、
第1の光導波路2から第2の光導波路5に進む光の進行
方向を示している。この時の各構成材料の屈折率は、n
AO<n1<ne1<n2>nBO(但し、電圧印加時の液晶層
3の屈折率;ne1、ガラス基板1;nAO,第1の光導波
路2;n1、対向ガラス基板4;nBO、第2の光導波路
5;n2)の関係を満たしている。入射光a0の全光量a
0に対し、99.9%の光量の光(この光を、a1’と定
義する)が、1回目の散乱によって、第1の光導波路2
を飛び出し、残り0.1%の光(この光を、b1’と定
義する)が第1の光導波路2に留まる。
【0013】2回目の散乱では、a2’=b1’×99.
9%の光が散乱されるのに対し、b2’=b1’×0.1
%の光が光導波路2に留まる。このような2回の散乱
で、最初の全光量a0に対し、0.0000001%の
光(この光をb’outと定義する)が光導波路2に留
まり、該全光量a0の99.9999999%の光は散
乱される。この散乱された光は液晶層3内の伝搬損失等
により減衰し、70%程度の光(この光をa’outと定
義する)が第2の光導波路5に導かれる。
【0014】一方、同図(A)は、光スイッチ素子に電
圧が印加されていない状態を示している。各構成材料の
屈折率は、nAO<n1>ne1’,nB0<n2>ne1’(但
し、電圧が印加されていない時の液晶層3の屈折率;n
e1’)の関係を満たしている。このため光量a0の入射
光は、第1の光導波路2内で反射光a1、a2、a3、…
のように全反射を繰り返す。全反射毎に0.1%の光量
の光b1、b2、b3、…が散乱する。従って、反射光a
1、a2、a3において、0.1%ずつ光量が減衰するも
のの、光導波路2内を伝送される光(この光をaoutと
定義する)は、入射光a0のほぼ100%に近い光量で
ある。
【0015】光導波路2と液晶層3との界面において、
前記全反射毎に散乱された前記0.1%程度の散乱光b
1、b2、b3は、それぞれ液晶3内の伝搬損失により
0.07%となり、第2の光導波路5内に導かれ、光導
波路5内に存在する光と加算され、0.2%程度の漏れ
光となる。
【0016】この漏れ光のために、従来の光スイッチ素
子のSN比は、26dB程度である。このため、第1の
光導波路2を伝達される光信号が光スイッチ素子に於い
て漏れるという漏話特性に関する問題を有している。ま
た、従来の光スイッチ素子は、ネマティック液晶を用い
ている。このため、スイッチング速度が数m秒であり、
応答速度が比較的遅いという問題を有している。
【0017】光走査を行う他の従来技術は、光導波路に
おける光分岐用素子として、光方向性結合器を採用して
いる。光方向性結合器は、主として光通信の分野に於け
る光信号の分岐のために用いられている。光導波路とし
て、光ファイバーやガラス光導波路、あるいは半導体光
導波路などが用いられている。光方向性結合型スイッチ
素子に用いられている材料として、Ti:LiNbO3
が知られている。更に、光方向性結合器を集積化した交
差結線型の4x4型あるいは8x8型のマトリックスス
イッチ素子が開発されている。
【0018】更に他の従来技術は、液晶光方向性結合器
を光分岐用素子として用いている。該従来技術の液晶光
方向性結合器は、結合長が数mm程度である。従って、
表示装置において光走査を行う際に、各液晶光方向性結
合器のサイズを前記結合長程度とすると、列方向に延び
る光基幹導波路から前記液晶光方向性結合器を介して行
方向に延びる行光導波路を高密度に形成することができ
ないという問題を有している。
【0019】本発明は、上記問題点を解決しようとして
成されたものであり、以下の目的を達成する。
【0020】(1)液晶を用いて、漏れ光の影響のない
SN比の大きな光スイッチ素子を実現できる。
【0021】(2)液晶層上に光導波路を曲げて形成す
ることにより、構成が簡単で、制御が容易な光スイッチ
素子を実現できる。
【0022】(3)高速応答性を有する光スイッチ素子
を実現できる。
【0023】(4)光集積回路、光走査方式によるアク
ティブマトリックス型液晶表示装置などへの応用が可能
な光スイッチ素子を実現できる。
【0024】(5)結合長が短縮された光方向性結合器
を実現することができる。
【0025】(6)光方向性結合器の結合長が短縮され
たので、絵素が高密度に形成されたマトリックス表示装
置を、該光方向性結合器を用いて実現することができ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の光スイッチ素子
は、第1の光導波路から第2の光導波路へ光を透過し、
または遮断するための光スイッチ素子であって、該第1
の光導波路の一部と、該第1の光導波路の該一部上に光
学的に接続された第1の液晶層と、該第1の液晶層上に
光学的に接続された該第2の光導波路の第1部分と、該
第1の液晶層の屈折率を変化させるために該第1の液晶
層に電圧を印加するための第1の電圧印加手段と、を有
するための第1の光スイッチ部及び該第2の光導波路の
第2部分と、該第2の光導波路の該第2部分と光学的に
接続された第2の液晶層と、該第2の液晶層の屈折率を
変化させるために該第2の液晶層に電圧を印加するため
の第2の電圧印加手段と、を有する第2の光スイッチ部
とを備え、第1の光導波路から第2の光導波路へ光を透
過させるときに、第1の光スイッチ部が透過状態に定め
られ、且つ第2の光スイッチ部が遮断状態に定められ、
第1の光導波路から第2の光導波路へ光を遮断するとき
に、第1の光スイッチ部が遮断状態に定められ、且つ第
2の光スイッチ部が透過状態に定められ、これにより前
記目的が達成される。
【0027】本発明に於て、前記第1の光導波路及び前
記第2の光導波路は、それぞれ屈折率n1及びn2の光透
過材料を有し、前記第1の液晶層及び前記第2の液晶層
は、それぞれ屈折率ne1及びne2の液晶を有し、該第1
の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させるとき
に、屈折率がn1<ne1<n2及びn2>ne2の関係を満
たし、該第1の光導波路から該第2の光導波路へ光を遮
断する時に、屈折率がn1>ne1、n2>ne1、及びn2
<ne2の関係を満たす場合がある。
【0028】本発明に於て、前記第1の光導波路及び前
記第2の光導波路は、それぞれ屈折率n1及びn2の光透
過材料を有し、前記第1の液晶層及び前記第2の液晶層
は、それぞれ屈折率ne1及びne2の液晶を有し、前記第
1の光スイッチ部は、液晶光方向性結合器であり、該第
1の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させると
きに、屈折率がne1<n1、ne1<n2及びn2>ne2の
関係を満たし、該第1の光導波路から該第2の光導波路
へ光を遮断するときにn1>ne1、n2>ne1及びn2<
ne2の関係を満たし、且つ該遮断時の屈折率ne1は、該
透過時の屈折率ne1よりも小さく定められる場合があ
る。
【0029】本発明に於て、前記第1の光スイッチ部お
よび第2の光スイッチ部は、それぞれ第1の液晶光方向
性結合器及び第2の液晶光方向性結合器であり、該第1
の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させる場合
に於て、第1の液晶光方向性結合器を透過状態とし、且
つ第2の液晶光方向性結合器を遮断状態とし、該第1の
光導波路から該第2の光導波路へ光を遮断させる場合に
於て、第1の液晶光方向性結合器を遮断状態とし、且つ
第2の液晶光方向性結合器を透過状態とする場合があ
る。
【0030】本発明に於て、前記第1の液晶層と前記第
2の液晶層とは液晶分子の配向方向が揃った同一の液晶
層から形成され、前記第2の光導波路は、前記第1の部
分と前記第2の部分との間において曲げられた部分を有
し、該第2の光導波路の該第1部分及び該第2の部分を
透過する光の進行方向は異なっている場合がある。
【0031】本発明に於て、前記液晶層は強誘電性液晶
材料からなる場合がある。
【0032】本発明の液晶光方向性結合器は、第1の光
導波路と第2の光導波路とを相互に結合し、該第1の光
導波路の一部と、該第1の光導波路の該一部に光学的に
接続された液晶層と、液晶層に光学的に接続された第2
の光導波路の一部とを含む液晶光方向性結合器であっ
て、該相互に結合された第1の光導波路と第2の光導波
路との全モード数が、それぞれ2以上で5以下であり、
これにより、前記目的を達成することができる。
【0033】本発明に於て、前記第1の光導波路と第2
の光導波路とに於ける各導波モードは、第1の光導波路
及び第2の光導波路の各全モード数M1、M2に対し、
光の伝播定数が最小であるモード数m1=M1−1及び
m2=M2−1にそれぞれ選ばれる場合がある。
【0034】本発明の液晶光方向性結合器は、第1の光
導波路と第2の光導波路とを相互に結合し、該第1の光
導波路の一部と、該第1の光導波路の該一部に光学的に
接続された液晶層と、液晶層に光学的に接続された第2
の光導波路の一部とを含む液晶光方向性結合器であっ
て、相互に結合される第1の光導波路と第2の光導波路
とは、それぞれ高屈折率部と低屈折率部とを有し、該高
屈折率部と低屈折率部との各屈折率の差が、それぞれ
0.01以上で0.05以下であり、これにより、前記
目的が達成される。
【0035】本発明の液晶光方向性結合器は、液晶層を
挟む第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極及
び第2の電極のいずれか一方が、複数に分割されてお
り、そのことによって前記目的が達成される。
【0036】本発明の液晶光方向性結合器は、第1の光
導波路の一部と、該第1の光導波路の該一部に光学的に
接続された液晶層と、液晶層に光学的に接続された第2
の光導波路の一部とを含む液晶光方向性結合器であっ
て、前記液晶層における光透過状態と光遮断状態との各
屈折率の間の差が0.02以上であり、そのことによっ
て、前記目的が達成される。
【0037】本発明の液晶光方向性結合器は、強誘電性
液晶が用いられ、該強誘電性液晶の液晶分子の短軸方向
の屈折率n⊥は、一軸性近似によって、n⊥ <1.5
0であり、そのことによって、前記目的が達成される。
【0038】本発明の液晶光方向性結合器は、強誘電性
液晶が用いられ、該強誘電性液晶の液晶分子の短軸方向
の屈折率n⊥と液晶分子長軸方向の屈折率n‖とに関し
て、複屈折率Δn=n‖−n⊥とメモリー角2ωとの積
が3.5(degree)>Δn・2ω>1(degree)であ
り、そのことによって、前記目的が達成される。
【0039】
【作用】上述したように本発明の光スイッチ素子におい
て、第1の光スイッチ部が第1の光導波路から第2の光
導波路への光の透過を制御する本来のスイッチとして作
用する。第2の光スイッチ部は、第1の光スイッチ部が
第2の光導波路へ光を透過させていないにも拘らず、第
2の光導波路に第1の光導波路から第1の光スイッチ部
を介して漏れて来る光を、第2の液晶層を透過させるこ
とで第2の導波路の外へ出してしまい、前記漏れ光をそ
のまま第2の光導波路に導かないようにする作用を実現
する。
【0040】即ち、光取り出し時には、第1の光スイッ
チ部から、該第2の光スイッチ部内に於て、屈折率の関
係、ne2<n2(>nB0)が満たされた第2の光導波路
に達した光は、一部光漏れにより第2の光導波路外に散
乱するものの、ほぼ100%の光がそのまま第2の光導
波路内を伝わって行く。
【0041】一方、光を取り出さないときは、第1の光
スイッチ部から該第2の光スイッチ部内の第2の光導波
路に達する光は、従来の光スイッチ素子に於いて問題と
なっていた漏れ光である。このとき、第2の光スイッチ
部内では、ne2>n2>nB0の条件が満たされているの
で、漏れ光は第2の液晶層から第2の光導波路外へ散乱
される。これにより、従来、問題となっていた0.2%
の漏れ光は第2の光スイッチ部で除去され、第2の光導
波路を不必要な光が伝わることが防止される。従って、
SN比が大きな光スイッチ素子を実現することができ
る。
【0042】このような作用を実現するために、該第1
の光導波路から該第2の導波路へ光を透過させるとき
に、屈折率がn1<ne1<n2及びn2>ne2の関係を満
たす場合があり、または屈折率がne1<n1、ne1<n2
及びn2>ne2の関係を満たす場合がある。また、該第
1の光導波路から該第2の光導波路へ光を遮断する時に
各屈折率がn1>ne1、n2>ne1、及びn2<ne2の関
係を満たす場合がある。いずれの場合の発明に於いて
も、前記漏れ光が第2の導波路に漏れる事態を防止する
作用が実現される。
【0043】また、液晶はその分子軸に対する入射角の
違いにより異なる屈折率を示す。このため、第1の液晶
層と第2の液晶層とで第2の光導波路に対する配向方向
を変えることによって、液晶材料を変える事なく、各液
晶層の屈折率ne1、ne2の値を相互に異ならしめること
が可能となる。
【0044】特に、強誘電体液晶を用いると、導波路内
を伝わる光軸に対する液晶分子軸の軸角度の調整による
屈折率の変化がより顕著になり、またスイッチングの応
答速度が早くなる。
【0045】本発明の液晶光方向性結合器は、該第1の
光導波路と第2の光導波路とを相互に結合し、該相互に
結合された第1の光導波路と第2の光導波路との全モー
ド数が、それぞれ2以上で5以下に選ばれる。全モード
数Mが1の場合、光の伝播定数が最小となるモード数m
=M−1を実現することができない。一方、全モード数
Mを6以上の大きな数にしようとすると、光導波路に於
ける屈折率差を極めて大きくする必要があり、このよう
な光導波路の製造が困難になる。前記のように定められ
る第1の光導波路と第2の光導波路とに於ける各導波モ
ードは、第1の光導波路及び第2の光導波路の各全モー
ド数M1、M2に対し、光の伝播定数が最小であるモー
ド数m1=M1−1及びm2=M2−1にそれぞれ選ば
れる。このとき、各導波路間の結合長は最短になる。
【0046】また、本発明の液晶光方向性結合器に於い
て、相互に結合される第1の光導波路と第2の光導波路
とは、それぞれ高屈折率部と低屈折率部とを有する。該
高屈折率部と低屈折率部との各屈折率の差が、それぞれ
0.01以上で0.05以下に定められる。屈折率の差
が0.01未満である場合、前記全モード数を2以上に
できず結合長を短縮できないことが、モード結合理論か
ら帰結される。また、屈折率の差が0.05を超える場
合、このような屈折率差を有する前記光屈折率部と低屈
折率部とを各光導波路内に形成することが困難になる。
【0047】また、本発明の液晶光方向性結合器に於い
て、液晶層を挟む第1の電極と第2の電極のいずれか一
方が複数に分割される。電極を複数に分割することによ
り、強誘電性液晶のメモリー効果を利用して、無電界状
態に於いても光パワーが透過しない状態(ノーマリーオ
フ)とすることができる。これにより、液晶光方向性結
合器のスイッチング素子としての消費電力を抑制するこ
とができ、更に制御方法も容易になる。また、光が光導
波路を伝播し、空気に接している領域から液晶領域に達
したとき、光の伝播モードの空間変化により光の散乱が
引き起こされるが、本発明によってこの光の散乱が抑制
される。
【0048】本発明の液晶光方向性結合器に於いて、液
晶層に於ける光透過状態と光遮断状態とに於ける各光強
度の比を、できるだけ大きくするために、液晶層におけ
る光透過状態と光遮断状態との各屈折率の間の差が0.
02以上に選ばれる。このような大きな屈折率差を実現
するために、本発明の液晶光方向性結合器に於いて強誘
電性液晶が用いられる。該強誘電性液晶の液晶分子の短
軸方向の屈折率n⊥は一軸性近似によってn⊥ <1.
50に選ばれ、また該強誘電性液晶の液晶分子の短軸方
向の屈折率n⊥と液晶分子長軸方向の屈折率n‖とに関
して、複屈折率Δn=n‖−n⊥とメモリー角2ωとの
積が3.5(degree)>Δn・2ω>1(degree)に選
ばれる。これにより、前記光透過状態と光遮断状態との
間の光強度の比を、例として100以上に向上すること
ができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0050】図1は本発明の一実施例の光スイッチ素子
の平面構造を示す平面図であり、図2(A)及び図2
(B)は、図1に示される光スイッチ素子の光スイッチ
部20を図1の切断面線A−Aから見た断面図である。
本実施例の光スイッチ素子は、例としてアクティブマト
リックス液晶表示装置に用いられる。ガラス基板1上に
第1の光導波路2が直線状に形成されている。90度に
曲げられた部分をそれぞれ有する複数の第2の光導波路
5は、ガラス基板4上に形成されている。図1に示すよ
うに、各光導波路5毎に第1の光スイッチ部20及び第
2の光スイッチ部21を有する光スイッチ素子が設けら
れている。
【0051】ガラス基板1とガラス基板4との間には、
液晶層3が配置されている。各光スイッチ部20、21
に於いて、第2の光導波路5は、液晶層3を介して第1
の光導波路2と光学的に接続されている。各光導波路5
毎の光スイッチ部20、21に於いて、ガラス基板1の
液晶層3に接する面に、各光導波路5毎の全ての光スイ
ッチ部20、21に共通に接続されている共通電極6が
形成され、ガラス基板4の液晶層3に接する面に、各光
導波路5毎の光スイッチ部20、21に共通に接続され
ている複数のセグメント電極7がそれぞれ形成されてい
る。
【0052】この2つの電極6、7は、各光スイッチ素
子20、21における液晶層3に電圧を印加するために
設けられている。第1の光スイッチ部20は、共通電極
6と接する第1の導波路2の一部分、共通電極6、液晶
層3、セグメント電極7、及びセグメント電極7と接す
る第2の導波路5の第1の部分を有する。第2の光スイ
ッチ部2は、共通電極6、液晶層3、セグメント電極7
と接する第2の導波路5の第2の部分を有する。
【0053】液晶層3の液晶分子は、ガラス基板1、4
に於ける予め定める方向に、配向方向が揃えられてい
る。液晶は、液晶分子の分子軸に対する光の入射角の違
いによって異なる屈折率を示すので、液晶層3に入射す
る光の方向が異なれば、液晶層3は異なる屈折率を示
す。図1に示される光スイッチ素子の第1の光スイッチ
部20と第2の光スイッチ部21とにおいて、第2の光
導波路5の中を進行する光の方向が、ガラス基板4の例
として列方向などの予め定める方向に対してそれぞれ異
なるため、液晶層3に入射する光の方向も異なる。従っ
て、第1の光スイッチ部20と第2の光スイッチ部21
とを進行する光に対し、光スイッチ部20、21におけ
る液晶層3は相互に異なる屈折率ne1、ne2を示す。
【0054】図示しない光源によって発生され、第1の
導波路2の一端から入射した光10は、光スイッチ素子
の第1の光スイッチ部20及び第2の光スイッチ部21
を透過し、第2の光導波路5を伝播して、第2の光導波
路5の一端から光11及び光12として取り出される。
【0055】図3(A)及び図3(B)は光スイッチ素
子の第2の光スイッチ部21の図1の切断面線B−Bか
ら見た断面を示している。図3(A)に示されるよう
に、ガラス基板4の表面に第2の光導波路5が形成され
ている。ガラス基板1、4の表面には、それぞれ共通電
極6及びセグメント電極7が形成されている。2つのガ
ラス基板1及び4の間に、前記第1スイッチ部21に於
ける液晶層3と同一の液晶層3が封入されている。
【0056】以下に図1〜図3を用いて、本発明の光ス
イッチ素子の作成方法を説明する。光導波路は、基板の
上に形成される。本実施例に於いて、この基板として、
アルカリ酸化物を有するソーダライム(soda lime)ま
たはホウケイ酸ガラス等のガラス基板、あるいはプラス
ッチック基板等を用いることができる。例えば、ガラス
基板を用いる場合、そのガラス基板の組成を適宜選ぶこ
とによって、ガラス基板の屈折率を、例として1.45
〜1.95程度の範囲内の任意の値に選ぶことができ
る。光導波路の屈折率は、光を光導波路内で伝送するた
めに、これを保持する基板の屈折率より0.5〜5%程
度大きくしておく必要がある。光スイッチ素子に用いる
液晶の屈折率は、組成及び光軸に対する液晶分子の配向
方向により変化する。但し、液晶の屈折率は、通常、
1.45から1.8程度の範囲内であり、同一液晶材料
を用いて異なる配向方向に定めた場合の屈折率差は0.
1〜0.2程度である。
【0057】図4は光導波路の形成方法を説明するため
の図である。これにより光導波路の形成方法を説明す
る。本実施例のガラス基板1、4として用いられるガラ
ス基板31の表面は、凹凸が0.1μm以下の平坦にな
るように研磨された後、Tiなどの金属やそれらの酸化
物からなり、前記光導波路2あるいは光導波路5のよう
な形状にスリットが形成されたマスク33が、その表面
上に形成される。ガラス基板31の表面に印加される電
界の均一性を高めて、形成される光導波路の表面形状を
円滑にし、これにより不要な光の散乱をなくして、該光
の散乱による伝送される光の減衰をできるだけ少なくす
るために、ガラス基板21の表面は、平坦である必要が
ある。
【0058】次に、ガラス基板31に対し、湿式電界イ
オン交換法を用いて、ガラス基板31中に屈折率増大イ
オン種を拡散させる。具体的には、下記のような工程を
用いる。まず、イオン交換槽は、200〜700℃に保
持する。イオン交換槽内の溶液中に陽電極として白金電
極を入れ、電界を印加することにより陽電極側からAg
+、Tl+、K+等のイオンを選択的にガラス基板31内
に拡散する。この操作により、図4に示すように、ガラ
ス基板31中に、長手方向と交差する断面が半円形の高
屈折率部分が形成され、目的とする光導波路32が形成
される。こうして形成された光導波路32が本実施例の
第1と第2の光導波路2、5となる。
【0059】本実施例では、図1、図2、図3に示すガ
ラス基板1として、FK1ガラス(屈折率nAO=1.4
7)を用い、湿式電界イオン交換法により、Ag+を必
要部分に拡散せしめ、屈折率n1=1.52の帯状の第
1の光導波路2を、例として幅50μm、深さ50μmに
形成した。ガラス基板4として、KzF1ガラス(屈折
率nBO=1.55)を用い、湿式電界イオン交換法によ
りT1+を、必要部分に拡散せしめて、屈折率n2=1.
58の帯状の第2の光導波路5を、例として幅50〜7
0μm、深さ30μmに形成した。
【0060】次に、第1の光導波路2が形成されたガラ
ス基板1及び第2の光導波路5が形成されたガラス基板
4の表面にIn23を50nmの厚さに蒸着する。この
後、フォトエッチング操作によりパターニングし、前記
透明のセグメント電極7、7及び透明の共通電極6をそ
れぞれ形成した。このIn23の屈折率は、2.00程
度であり比較的大きい。一方、前記膜厚は、入力される
光の波長の10分の1以下である。従って、第1及び第
2の光導波路2、5と液晶層3との間の全反射及び散乱
には殆ど影響を与えない。尚、本実施例に於いて、光ス
イッチ素子の作成を容易にするため、液晶層3は光スイ
ッチ素子内の光導波路2、5全体に接するように配置さ
れているが、第1及び第2の光スイッチ部20、21に
おいて、光が透過する部分にのみ配置するようにしても
よい。
【0061】次に液晶層3の形成工程を説明する。
【0062】液晶層3の形成工程において、セグメント
電極7及び共通電極6を被覆する範囲に、図示しない合
成樹脂材料などからなる配向膜が形成される。液晶分子
が接する壁面への配向処理のために、前記配向膜にSi
2を斜め蒸着する。液晶材料として、強誘電性液晶
{3M2CPOOB:(2S,3S)-3-methy1-2-chloropenta
noic acid-4',4''-octyloxybiphenylester;屈折率n1’
=1.49、n2’=1.60}を用いる。本実施例に
於いて、液晶層3は、第1のスイッチ部20における第
1の液晶層と、第2のスイッチ部21における第2の液
晶層とを兼ねている。前記液晶材料は、印加される電界
の方向(正電界又は負電界)により、液晶分子が配向軸
に対し±30°回転する。すなわち、電界方向を変える
ことによって、配向方向を60°の範囲で変えることが
できる。
【0063】表1に、この液晶材料の液晶分子の初期配
向角と電圧印加時の光入射角と屈折率との関係を示す。
初期配向角は、液晶分子軸が基板に平行になっていると
きの第1の光導波路2とのなす角度を示し、直角になっ
ているときを90°とする。また、光の入射角も初期配
向角と同様の角度の設定法である。
【0064】
【表1】
【0065】尚、上記表1において、負電圧印加時の屈
折率n1は、
【0066】
【数1】 n1=[n1’2・n2’2/{n2’2・sin2(-60°)+n1’2・cos2(-60°)}]1/2 に基づいて計算した。
【0067】表1に示されるように、液晶の分子軸に対
しどの方向から光を入射させるかによって、入射光に対
する液晶の屈折率が変わる。
【0068】本実施例では、入力光10の進行方向、即
ち第1の光導波路2の方向に対して20°の方向であっ
て、かつガラス基板1に対して平行に、液晶分子の分子
軸の長手方向が並ぶように液晶を配向させている。した
がって第1の光スイッチ部20に対して、表1における
条件1が適用される。即ち、第1の光スイッチ部20に
於いて、セグメント電極7に正の電圧を印加すると、光
の入射角に対して液晶分子は50°に配向し、液晶層3
は1.552の屈折率ne1を示す。セグメント電極7に
負電圧を印加すると、光の入射角に対して、液晶分子は
−10°に配向し、液晶層3は1.493の屈折率ne1
を示す。
【0069】これに対して第2の光スイッチ部21にお
いて、第2の光導波路5が90°湾曲されているので、
光の進行方向が90°変わるが、ガラス基板1、4に対
する液晶の分子軸の方向は不変である。従って、第2の
光スイッチ部21に対し、表1に於ける条件2が適用さ
れる。即ち、第2の光スイッチ部21に於いて、セグメ
ント電極7に正電圧を印加すると液晶は1.532の屈
折率ne2を示し、負電圧を印加すると液晶層は1.59
6の屈折率ne2を示す。
【0070】なお、本実施例の場合、厳密には液晶層3
に対して、液晶層3の厚さ方向に約10°のモード角を
もって光が入射する。しかし、このモード角は充分小さ
いので、入射光に対する屈折率を大きく変化させるほど
ではない。
【0071】以下に、上記のように構成された第1及び
第2光スイッチ部20、21条件を満たす光スイッチ素
子の動作を、図2(A)、同図(B)、図3(A)、同
図(B)及び表2を用いながら説明する。
【0072】
【表2】
【0073】セグメント電極7に正の電圧を印加すると
各構成材料の屈折率n1、n2、ne1及びne2は、表2に
おけるオン状態の場合の値となる。これらの屈折率は、
n1<ne1<n2の関係を満たすので、第1の光スイッチ
部20に於いて、図2(B)に示されるように、第1の
光導波路2から第2の光導波路5へ光が透過する。
【0074】また前記各屈折率は、ne2<n2の関係を
満たすので、第2の光スイッチ部21において、図3
(A)に示されるように、第2の光導波路5内に於ける
前記透過された光は、全反射を繰り返し、第2の光導波
路5を伝播してゆく。即ち、第2の光導波路5の外部の
第3の光導波路(ガラス基板1)への光が遮断される。
【0075】一方、セグメント電極7に負の電圧を印加
すると、各構成材料の屈折率n1、n2、ne1、ne2は、
表2におけるオフ状態の場合の値となる。これらの屈折
率は、n1>ne1及びne1<n2の関係を満たす。これに
より、第1の光スイッチ部20において、図2(A)に
示されるように、第1の光導波路2と第2の光導波路5
とは光学的に遮断される。しかし第1の光導波路2から
漏れ光b1〜b3が、第2の光導波路5へ透過され、第
2の光導波路5を伝播してゆく。
【0076】また前記各屈折率は、n2<ne2の関係を
満たすので、第2の光導波路5内を伝播してきた漏れ光
b1〜b3は、第2の光スイッチ部21において、図3
(A)に示されるように、液晶層3を経て第2の光導波
路5の外へ散乱される。即ち、前記第3の光導波路の中
へ光が透過する。従って、第1の光導波路2からの漏れ
光b1〜b3が、第2の光導波路5内を、第2の光スイ
ッチ部21を通過して伝播する事態が防止されている。
このようにして、光スイッチ素子のSN比は改善されて
いる。
【0077】上記のように、本実施例の光スイッチ素子
はひとつの電極によって2ヵ所のスイッチン部が作動す
るため、制御が容易であり、また構成の簡単になってい
る。さらに、第1と第2の液晶層が共通の液晶層により
構成されているので、より一層構造が簡単である。
【0078】本実施例の光スイッチ素子のスイッチング
特性を調べた結果、2種の光スイッチング素子の間に曲
がり導波路があるために光出力に2分の1程度の減衰は
あったものの、入射光量に対して35〜40%の光伝送
効率、消光比は測定系の限界値である35dB以上の値
を得ることができることがわかった。
【0079】尚、本実施例では、第2の光導波路の曲が
り角を90°としたが、光スイッチ素子構成材料の屈折
率の関係が所定の条件を満たせばよく、用いられる液晶
材料等の関係で、90°以外の値としても良い。
【0080】また、光導波路の中の光が不要な箇所で散
乱を起こし、減衰することが無いように、光スイッチ素
子の透明電極以外の箇所、特に曲り導波路の上を、金属
等の光反射で保護することも有効である。
【0081】本実施例に於いて、光スイッチ部20、2
1を光がそれぞれ通過するとき、光導波路2、光スイッ
チ部20、21の液晶層3及び光導波路5の各屈折率n
1、ne1、ne2、n2が満足すべき関係は、n1<ne1<
n2、且つne2<n2である。本発明は、前記各屈折率に
関して、前記実施例に於ける前記関係に替えて、ne1<
n1、ne1<n2及びne2<n2で規定される屈折率の関
係を有する変形例を有する。
【0082】この変形例について、図5及び図6を参照
して、光が光導波路2から、液晶層3を介して、光導波
路5に透過する場合における該光の挙動を、以下に説明
する。図5及び図6は、例として、光スイッチ部20の
断面図である。光スイッチ部20において、光導波路
2、光スイッチ部20の液晶層3及び光導波路5の各屈
折率n1、ne1、n2が、関係n1<ne1<n2を有すると
き、光導波路2内の光は、前記実施例に於いて説明した
ように、光導波路2から液晶層3を介して光導波路5へ
透過する。
【0083】一方、光導波路2、液晶層3及び光導波路
5に於ける光の電場分布は、該透過が進行するに従い、
図5に於ける曲線35a、35b、35c、35dにそ
れぞれ示されるような状態であることが、本願発明者に
よって確認された。具体的には、光導波路2から光導波
路5へ透過しつつある光の電場分布は、前記透過の進行
に従って、電場分布のピークの位置が、前記光導波路
2、液晶層3及び光導波路5の順に移動する。一方、該
光の前記透過のいずれの時点に於いても、該電場分布
は、光導波路2、液晶層3及び光導波路5のいずれにお
いても、無視できない程度に強度を有する分布を有して
いる。
【0084】従って、前記屈折率の関係n1<ne1<n2
によると、光導波路2から液晶層3を介して光導波路5
に透過する光は、透過開始の光導波路2から、透過先の
光導波路5の間の全領域に亘って、その強度分布が拡散
してしまう。
【0085】これに対して、前記実施例に於ける光導波
路2、液晶層3及び光導波路5の屈折率n1、ne1、n2
の関係を、ne1<n1、ne1<n2で規定される関係に選
ぶと、光導波路2から液晶層3を介して光導波路5に透
過する光の電場分布は、該透過が進行するに従い、図6
に於ける曲線36a、36b、36c、36dにそれぞ
れ示されるような状態にできることが、本願発明者によ
って確認された。
【0086】前記各屈折率が関係ne1<n1、ne1<n2
を満たせば、光導波路2から光導波路5へ透過しつつあ
る光の電場分布は、前記透過の進行に従って、電場分布
のピークの位置が、前記光導波路2、液晶層3及び光導
波路5の順に移動する。更に、電場分布のピークが、前
記光導波路2、液晶層3及び光導波路5の順に移動する
時、例として液晶層3など、電場分布の前記ピークが、
例として液晶層3に位置するとき、光導波路2、5な
ど、前記ピークの位置の構成要素以外の構成要素に於け
る電場分布は、前記図5の場合よりも格段に小さい強度
分布をである。
【0087】従って、本実施例に於ける前記新たな屈折
率の関係ne1<n1、ne1<n2の場合、光導波路2から
液晶層3を介して光導波路5に光が透過する際に、光の
透過の進行に従って、前記光導波路2、液晶層3及び光
導波路5に、それぞれ透過する光が閉じ込められた状態
が、順次的に遷移する。従って、光スイッチ部20に於
ける結合効率が、前記実施例よりも更に向上される。こ
のような光スイッチ部20の結合効率を向上する変形例
は、光スイッチ部21に対しても適用される。本発明の
更に他の実施例が以下に説明される。本実施例は前記第
1の実施例に類似する。本実施例に於て、前記第1実施
例の構成要素と対応する部分に、前記実施例の参照符号
と同一の参照符号を用いる場合がある。本実施例におい
て、前記第1実施例の光スイッチ部20、21の少なく
ともいずれか一方が、後述するような構成の液晶光方向
性結合器(以下、結合器)とされることにより、光スイ
ッチ部20、21に於ける結合長が、従来技術に於ける
結合長よりも格段に短縮される。以下、前記第1の実施
例の光スイッチ部20が、前記結合器43とされた場合
を説明する。本実施例に於て、光導波路を伝達される光
の光パワーが、他の光導波路に透過するに最低必要な長
さを結合長と称する。
【0088】図8は、本実施例の結合器43を用いた大
型液晶表示装置(以下、表示装置)60の平面図であ
り、図9は結合器43の断面図である。図8に示される
ように、本実施例の表示装置60は光源41を備えてい
る。該光源41は、半導体レーザーまたはLED(発光
ダイオード)を備え、光走査に用いられる光を発生す
る。光源41から発生した光は、ガラス基板1内におい
て、表示装置60の列方向に延びている第1の光導波路
2内に導かれる。光の偏波は、TEモードが選ばれる。
また、ガラス基板4内に、表示装置60の行方向に延び
ている複数の行光導波路5が形成されている。
【0089】光導波路2に、前記複数の行光導波路5と
同数の結合器43が設けられている。この複数の結合器
43の中の所定の1個の結合器43が光学的にオンする
ことにより、この結合器43が選択される。選択された
結合器43によって、例えば1個の行光導波路5に、光
源41からの光のほとんどが導かれる。このような構造
の表示装置60に於ける光走査を実現するために、表示
装置60に於て表示画像の精細さの点で必要とされる例
として1mmの絵素間隔よりも、結合器43に於ける結
合長が短いことが必要である。例として、結合長が1m
m以下であることが必要である。
【0090】結合器43は、ガラス基板1に形成された
前記光導波路2と、ガラス基板4に形成された行光導波
路5と、光導波路2上の光透過性を有する電極54と、
行光導波路5上の光透過性を有する電極55と、電極5
4、55の間に挟まれている強誘電性液晶52と、電極
54上に形成された複数の絶縁膜53a、53bと、各
絶縁膜53a、53b上にそれぞれ形成された光透過性
を有する複数の電極56a、56bとを含んで構成され
る。
【0091】このような結合器43は、一方の光導波路
2に存在する光パワーを、他方の行光導波路5に透過さ
せることができる。結合器43に於て、液晶52の屈折
率が大きい場合(オン状態)に、光パワーの前記透過が
実現され、液晶52の屈折率が小さい場合(オフ状態)
に、前記光パワーの透過が遮断される。
【0092】各行光導波路5上に、それぞれ複数の光散
乱部46が形成されている。前記光が透過した行光導波
路5上に設けられた複数の光散乱部46から、行光導波
路5を伝送される光が放出され、光電スイッチ45に含
まれる光導電体47を照射する。これによって、光電ス
イッチ45は、オフ状態からオン状態に切り替わる。従
って、列方向に延びている複数の信号線48から、表示
装置60で表示される内容によって決定される表示駆動
電圧が、絵素に含まれる一方の電極49に光電スイッチ
45を介して印加される。これにより、前記表示内容に
対応した量の電荷が、該絵素に含まれる液晶層の等価容
量50に蓄積される。該行光導波路5の走査が終了する
と、光電スイッチ45がオフ状態に切り替わるので、等
価容量50に一旦蓄積された電荷は、次の該行光導波路
5の走査タイミングまで、該等価容量50に保持され
る。
【0093】次に、上記構成を有する表示装置60を実
現するために必要な、表示装置60の更に詳細な構造及
び前記結合器43の構造について説明する。本実施例に
於て、前述したように、表示装置60の絵素間隔より
も、結合器43の結合長が短くなるようにする。例とし
て、結合長が1mm以下の結合器43を実現する。本実
施例に於て、結合器43の結合長は、前記1mmに限定
されるものではない。表示装置60に於て、予め定めら
れる表示画像の精細さに基づいて、絵素間隔が定められ
る。本発明は、表示画像の精細さに対応して定められる
どのような絵素間隔よりも短い結合長を有する結合器を
実現するものである。
【0094】結合器43の結合長を一例として前記1m
m以下の値、好ましくは0.5mmにした場合を想定す
ると、図8に示すように、例として1mm以下の相互の
間隔を有する各行光導波路5を、ガラス基板4上に形成
することが可能になる。従って、光源41の光を各結合
器43によって分岐して、各行光導波路5に対し、光信
号を配分することができる。即ち、結合器43の結合長
が該行光導波路5の間隔よりも短ければ、各行光導波路
5が例として1mm以下の間隔で配列されている場合で
あっても、結合器43に於いて、隣接する行光導波路5
が相互に重畳してしまう事態を防止することができる。
【0095】本実施例に於て、結合長を任意の長さに定
めるために、以下のように結合器43を構成した。強誘
電性液晶を用いた液晶光方向性結合器は、該強誘電性液
晶の有する屈折率の一軸性を利用する。即ち、図10に
示したように、液晶分子の短軸方向の屈折率n⊥と、長
軸方向の屈折率n‖とが、一般に異なるため、異常光線
に対する実効的屈折率は、異常光線の伝播方向によって
異なる。
【0096】強誘電性液晶は、図10に示すように、印
加電圧の極性、即ち印加される電圧による電場の方向
が、図10に実線で示す第1の方向であるか、あるいは
図10に破線で示す第2の方向であるかによって、液晶
分子の配向方向が、層法線に対してメモリー角2ωの範
囲でチルトする。従って、印加電圧の極性によって実効
的屈折率が変化する。前記結合器43は、この電気光学
効果を用いている。
【0097】本件発明者は、本実施例に於て、液晶材料
と、光導波路の光学的特性と、電極構造との最適化を図
り、結合器43に於ける結合長を可及的に短縮できる条
件を求めた。一般に、隣接している2つの光導波路に於
いて、該光導波路をそれぞれ伝播する光の各全モード数
がM1、M2の場合、結合長が最短になるのは、各光が
伝播する各光導波路のモードに於いて、伝播定数がそれ
ぞれ最小となるモード数m1=M1−1、m2=M2−
1であることが、本件発明者によって見いだされた。即
ち、光導波路の各全モード数M1、M2がそれぞれ3の
場合、モード数m1=m2=2である同士のモード結合
によって結合長が最短になる。
【0098】前記全モード数Mを変化させる要素とし
て、光導波路の屈折率差、即ち、本実施例に於けるガラ
ス基板の屈折率と該ガラス基板中に形成された光導波路
の屈折率との屈折率差、導波路の厚さ、及び光の波長な
どがある。全モード数Mが1あるいは2の場合、光導波
路の厚さを一定にしている場合、光導波路の前記屈折率
差が比較的小さい。例えば、厚さが4μm程度である光
導波路に対し、全モード数を2以上にするためには、前
記屈折率差を、0.01以上にする必要がある。一方、
全モード数Mを6以上などにするためには、光導波路の
前記屈折率差を大きくする必要がある。しかしながら、
現実の光導波路に於いて前記屈折率差を大きくする製造
工程は、技術的に実現困難である。
【0099】また、光導波路を厚くすると、全モード数
Mが大きくなる。この場合、上述したようにm=M−1
のモードの光導波路同士の結合長が、最短結合長にな
る。
【0100】結合器43の結合長は、光導波路中を伝播
する光のモード数mと密接な関係がある。モード数mが
小さいときには、結合長が比較的長くなる。従って、結
合長を短縮するために、できるだけモード数を大きくす
ることが必要である。一方、光導波路の実際の製造工程
に於いて、屈折率及び光導波路の厚さなどに関して、ガ
ラス基板及び光導波路の材料、及びガラス基板の厚さな
どの制約があり、任意の屈折率および光導波路の厚さを
実現できない。
【0101】本実施例の結合器43において、結合器4
3によって相互に結合されている光導波路2、5の全モ
ード数が、それぞれ2以上で5以下に選ばれる。全モー
ド数Mが1の場合、光の伝播定数が最小となるモード数
m=M−1を実現することができない。一方、全モード
数Mを6以上の大きな数にしようとすると、光導波路に
於ける屈折率差を極めて大きくする必要があり、このよ
うな光導波路の製造が困難になる。また、ガラス基板に
於ける光導波路の厚みを大きくすることによって、前記
全モード数を増大できるが、このような場合、相互に結
合される各光導波路の結合長が長くなるという新たな不
都合が生じる。前記のように定められる第1の光導波路
2と第2の光導波路5とに於ける各導波モードは、第1
の光導波路2及び第2の光導波路5の各全モード数M
1、M2に対し、光の伝播定数が最小であるモード数m
1=M1−1及びm2=M2−1にそれぞれ選ばれる。
このとき、各導波路間の結合長は最短になる。
【0102】結合器43を、高精細な画像を表示しよう
とする表示装置60に於ける光走査に用いるためには、
前述したように結合長が絵素間隔以下、例として1mm
以下であることが必要である。この為には、厚さが4μ
m程度の光導波路の場合、光導波路の高屈折部分、即
ち、ガラス基板中にイオンの注入などによって形成され
た高屈折率の光導波路と、低屈折率部分即ち前記ガラス
基板との屈折率差が、例として0.01以上であること
が必要である。
【0103】本実施例に於て、光導波路2の前記高屈折
率部分の屈折率を、例として1.53とし、前記低屈折
率部分1の屈折率を例として1.52に選ぶ。屈折率差
は、0.01である。このような屈折率の選択によっ
て、全モード数Mを2にできることが確認された。この
ときの光導波路2の厚さは、4μmに定められた。光導
波路2に関する前記屈折率差が小さい場合、前述したよ
うに、光導波路2の厚さを増大することにより、全モー
ド数Mを大きくすることが可能である。一方、この場
合、前記結合長を短くすることができないことが確認さ
れている。ガラス基板1と、該ガラス基板1中の光導波
路2の各屈折率を、例として1.52と1.54との組
合せにして、屈折率差を0.02にすると、光導波路2
の厚さを増大することなく全モード数Mを3にすること
ができた。このとき、屈折率差が0.01の場合と比較
し、結合器43における結合長を短くすることができ
る。
【0104】本発明の結合器43に於いて、相互に結合
される光導波路2、5は、それぞれ高屈折率部と低屈折
率部とを有する。高屈折率部は光導波路2、5であり、
低屈折率部はガラス基板1、4である。本実施例に於い
て、該高屈折率部と低屈折率部との各屈折率の差が、そ
れぞれ0.01以上で0.05以下に定められる。屈折
率の差が0.01未満である場合、前記全モード数を2
以上にできず結合長を短縮できないことが、モード結合
理論から帰結される。また、屈折率の差が0.05を超
える場合、このような屈折率差を有するように、例とし
て前記高光屈折率部である光導波路を、低屈折率部であ
るガラス基板中に形成することが困難である。これは、
ガラス基板に対して、屈折率差が0.05を超えるよう
な高屈折率部を形成するドーパントが、現在、得られて
いないからである。
【0105】また、結合器43として、電圧を印加して
いないときに、光パワーが透過しない状態(ノーマリー
オフ)になるように、その構成と材料の組合せを選ぶ
と、スイッチング素子として消費電力を抑制できる。ま
た、この場合、画像を表示しようとするとき、該画像信
号に同期して結合器43をオン/オフ制御すればよく、
結合器43のスイッチング素子としての制御方法も容易
になる。強誘電性液晶52に於いて、強誘電液晶に特有
の液晶分子の配向状態のメモリー効果によって、強誘電
性液晶が無電界の場合でも、前記ノーマリーオフ状態を
実現できる。
【0106】そのため、図9に示すように、ガラス基板
1またはガラス基板4の少なくともいずれか一方の電極
を複数の部分に分割する。具体的には、図9に示される
ように、電極54上に絶縁膜53a、53bを形成した
後、絶縁膜53a、53bの上に、それぞれ分割電極5
6a、56bを形成する。このように分割されて得られ
た各分割電極56a、56bに、相互に異なった電位を
独立に印加するようにする。このために、各分割電極5
6a、56b毎に電圧発生回路57、58をそれぞれ接
続する。
【0107】また、強誘電性液晶52の屈折率に関し
て、電圧無印加時の屈折率よりも電圧印加時の屈折率が
小さくなるように、各分割電極56a、56bにそれぞ
れ電圧を印加すると、強誘電性液晶52の前記メモリー
効果によって、無電界の場合に於て、ノーマリーオフの
状態を実現することができる。この結果、図9の結合器
43の列方向(図9の左右方向)に沿う中央位置に配置
されている各分割電極56a、56bへの印加電圧の正
負の切り替えによって、結合器43のオン/オフ制御が
可能になる。
【0108】本実施例に於て、結合器43の図9に於け
る前記中央位置の分割電極56a、56bの各長さをそ
れぞれ0.25mmとした。この長さは、結合器43に
於ける前記結合長の半分の長さと一致する。なお、絵素
間隔は、例として1mmであり、液晶セル厚は2μmで
ある。
【0109】前記図9に示される各分割電極56a、5
6bを更に多数に分割すると、各光導波路2、5間の結
合効率を改善することができる。結合器43をオン/オ
フした時に、結合器43を通過する光の強度の比をオン
/オフ比とすると、前記実施例の2分割電極を用いる
と、該オン/オフ比が100以上になる結果を得た。
【0110】結合器43に於いて、前記オン/オフ比を
100より大きくするために、駆動時の実効的屈折率の
差を、0.02よりも大きく選ぶ必要がある。前記実効
的屈折率の差がこの値よりも小さい場合、前記オン/オ
フ比が100以下になることが確認された。
【0111】強誘電性液晶52が、オン時とオフ時との
間で、このような大きな屈折率変化を有するようにする
ためには、前記屈折率n⊥が、1.50よりも小さく、
且つ前記複屈折率Δn=n‖−n⊥と前記メモリー角の
積Δn・2ωが1(deg)より大きく、且つ3.5
(deg)より小さい範囲にあることが必要であること
が、本願発明者によって確認された。本実施例の表示装
置60に於けるオン状態に於いて、強誘電性液晶52の
実効的屈折率は1.52、オフ状態に於ける実効的屈折
率は1.49である。また、液晶の複屈折率Δn=0.
14、メモリー角は12°である。
【0112】前記分割電極56a、56bを用いた結合
器43の利点は、光が光導波路2を伝播し、空気に接し
ている領域から液晶領域に達したとき、光の伝播モード
の空間変化によって引き起こされる光の散乱が抑制され
ることである。このため、結合器43における光損失を
抑制できる。
【0113】更に光が透過すると、結合器43のオン/
オフに伴って透過される光の強度比である光パワーの前
記オン/オフ比を大きくするために、液晶の屈折率、特
に液晶分子の短軸方向の屈折率n⊥と、駆動時の屈折率
変化の値とが重要になる。前記屈折率n⊥と屈折率変化
の値とは、屈折率の値、複屈折率とメモリー角の積の値
とが、所定の範囲になるような材料を選択することで実
現できる。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、漏れ光の影響のないS
N比の大きな液晶を用いた導波路型光スイッチ素子が実
現できる。
【0115】また、1の液晶層上に光導波路を曲げて形
成することによって、構成が簡単で制御の容易な光スイ
ッチ素子を作成できる。さらに、強誘電性液晶を用いる
ことにより、数μs程度の高速性を併せ持った光スイッ
チ素子を作製できる。
【0116】本発明の光スイッチ素子は、光集積回路、
光走査法式によるアクティブマトリクス型液晶表示装置
等へ応用できる。
【0117】更に、本発明に於いて、光スイッチング素
子として結合長が短縮された光方向性結合器を実現する
ことができる。光方向性結合器の結合長が短縮された場
合、絵素が高密度に形成されたマトリックス表示装置
を、該光方向性結合器を用いて実現することができる。
【0118】液晶光方向性結合器に於いて、強誘電体液
晶を用いると、導波路内を伝わる光軸に対する液晶分子
軸の軸角度の調整による屈折率の変化がより顕著にな
り、またスイッチングの応答速度が早くなる。
【0119】本発明の液晶光方向性結合器は、液晶光方
向性結合器が相互に結合する各導波路間の結合長を最短
にすることができる。従って、液晶光方向性結合器を高
密度に形成することができる。これにより液晶光方向性
結合器を用いるマトリックス表示装置を高精細に形成す
ることができる。
【0120】また、本発明の液晶光方向性結合器に於い
て、液晶層を挟む第1の電極と第2の電極のいずれか一
方の電極を複数に分割することにより、強誘電性液晶の
メモリー効果を利用して、無電界状態に於いても光パワ
ーが透過しない状態(ノーマリーオフ)とすることがで
きる。これにより、液晶光方向性結合器のスイッチング
素子としての消費電力を抑制することができ、更に制御
方法も容易になる。
【0121】また、光が光導波路を伝播し、空気に接し
ている領域から液晶領域に達したとき、光の伝播モード
の空間変化により光の散乱が引き起こされるが、本発明
によってこの光の散乱が抑制される。この点に於いて
も、SN比を格段に向上することができる。
【0122】本発明の液晶光方向性結合器に於いて、液
晶層に於ける光透過状態と光遮断状態とに於ける各光強
度の比を、例として100以上に向上することができ
る。この点に於いても、SN比を格段に向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の光スイッチ素子の構成を示す平
面図である。
【図2】従来の光スイッチ素子の構造を説明する断面図
である。
【図3】第2の光スイッチ部の構成を示す断面図であ
る。
【図4】光導波路の形成方法を説明する図である。
【図5】本実施例に於ける透過する光の電場分布を示す
断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に於ける透過する光の電場
分布を示す断面図である。
【図7】光走査方式の原理を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施例の表示装置60の平面図であ
る。
【図9】本発明の一実施例の光方向性結合器の断面図で
ある。
【図10】液晶の屈折率と配向方向とを示す斜視図であ
る。
【符号の説明】 1、4 ガラス基板 2 第1の光導波路 3 液晶層 5 第2の光導波路 6 共通電極 7 セグメント電極 20 第1の光スイッチ部 21 第2の光スイッチ部 42 光導波路 43 光分岐用素子(液晶光方向性結合器) 44 行光導波路 45 光電スイッチ 46 光散乱部 47 光導電体 48 信号線 52 強誘電性液晶 56a、56b 分割電極 57、58 電圧発生回路 60 表示装置 n1 ガラス基板1の屈折率 n2 ガラス基板4の屈折率 ne1 光スイッチ部20の液晶層3の屈折率 ne2 光スイッチ部21の液晶層3の屈折率

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の光導波路から第2の光導波路へ光
    を透過し、または遮断するための光スイッチ素子であっ
    て、 該第1の光導波路の一部と、 該第1の光導波路の該一部上に光学的に接続された第1
    の液晶層と、 該第1の液晶層上に光学的に接続された該第2の光導波
    路の第1部分と、 該第1の液晶層の屈折率を変化させるために該第1の液
    晶層に電圧を印加するための第1の電圧印加手段と、を
    有するための第1の光スイッチ部及び該第2の光導波路
    の第2部分と、 該第2の光導波路の該第2部分と光学的に接続された第
    2の液晶層と、 該第2の液晶層の屈折率を変化させるために該第2の液
    晶層に電圧を印加するための第2の電圧印加手段と、 を有する第2の光スイッチ部とを備え、 第1の光導波路から第2の光導波路へ光を透過させると
    きに、第1の光スイッチ部が透過状態に定められ、且つ
    第2の光スイッチ部が遮断状態に定められ、 第1の光導波路から第2の光導波路へ光を遮断するとき
    に、第1の光スイッチ部が遮断状態に定められ、且つ第
    2の光スイッチ部が透過状態に定められる光スイッチ素
    子。
  2. 【請求項2】 前記第1の光導波路及び前記第2の光導
    波路は、それぞれ屈折率n1及びn2の光透過材料を有
    し、前記第1の液晶層及び前記第2の液晶層はそれぞれ
    屈折率ne1及びne2の液晶を有し、 該第1の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させ
    るときに、屈折率がn1<ne1<n2及びn2>ne2の関
    係を満たし、該第1の光導波路から該第2の光導波路へ
    光を遮断する時に、屈折率がn1>ne1、n2>ne1、及
    びn2<ne2の関係を満たす請求項1に記載の光スイッ
    チ素子。
  3. 【請求項3】 前記第1の光導波路及び前記第2の光導
    波路は、それぞれ屈折率n1及びn2の光透過材料を有
    し、前記第1の液晶層及び前記第2の液晶層はそれぞれ
    屈折率ne1及びne2の液晶を有し、 前記第1の光スイッチ部は、液晶光方向性結合器であ
    り、 該第1の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させ
    るときに、屈折率がne1<n1、ne1<n2及びn2>ne
    2の関係を満たし、該第1の光導波路から該第2の光導
    波路へ光を遮断するときにn1>ne1、n2>ne1及びn
    2<ne2の関係を満たし、且つ該遮断時の屈折率ne1
    は、該透過時の屈折率ne1よりも小さく定められる請求
    項1に記載の光スイッチ素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の光スイッチ部および第2の光
    スイッチ部は、それぞれ第1の液晶光方向性結合器及び
    第2の液晶光方向性結合器であり、 該第1の光導波路から該第2の光導波路へ光を透過させ
    る場合に於て、第1の液晶光方向性結合器を透過状態と
    し、且つ第2の液晶光方向性結合器を遮断状態とし、 該第1の光導波路から該第2の光導波路へ光を遮断させ
    る場合に於て、第1の液晶光方向性結合器を遮断状態と
    し、且つ第2の液晶光方向性結合器を透過状態とする請
    求項1に記載の光スイッチ素子。
  5. 【請求項5】 前記第1の液晶層と前記第2の液晶層と
    は液晶分子の配向方向が揃った同一の液晶層から形成さ
    れ、前記第2の光導波路は、前記第1の部分と前記第2
    の部分との間において曲げられた部分を有し、該第2の
    光導波路の該第1部分及び該第2の部分を透過する光の
    進行方向は異なっている請求項1〜4のいずれかに記載
    の光スイッチ素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶層は強誘電性液晶材料からなる
    請求項1に記載の光スイッチ素子。
  7. 【請求項7】 第1の光導波路と第2の光導波路とを相
    互に結合し、該第1の光導波路の一部と、該第1の光導
    波路の該一部に光学的に接続された液晶層と、液晶層に
    光学的に接続された第2の光導波路の一部とを含む液晶
    光方向性結合器であって、該相互に結合された第1の光
    導波路と第2の光導波路との全モード数が、それぞれ2
    以上で5以下である液晶光方向性結合器。
  8. 【請求項8】 前記第1の光導波路と第2の光導波路と
    に於ける各導波モードは、第1の光導波路及び第2の光
    導波路の各全モード数M1、M2に対し、光の伝播定数
    が最小であるモード数m1=M1−1及びm2=M2−
    1にそれぞれ選ばれる請求項7に記載の液晶光方向性結
    合器。
  9. 【請求項9】 第1の光導波路と第2の光導波路とを相
    互に結合し、該第1の光導波路の一部と、該第1の光導
    波路の該一部に光学的に接続された液晶層と、液晶層に
    光学的に接続された第2の光導波路の一部とを含む液晶
    光方向性結合器であって、相互に結合される第1の光導
    波路と第2の光導波路とは、それぞれ高屈折率部と低屈
    折率部とを有し、該高屈折率部と低屈折率部との各屈折
    率の差が、それぞれ0.01以上で0.05以下である
    液晶光方向性結合器。
  10. 【請求項10】 液晶層を挟む第1の電極と第2の電極
    とを有し、該第1の電極及び第2の電極のいずれか一方
    が、複数に分割されている液晶光方向性結合器。
  11. 【請求項11】 第1の光導波路の一部と、該第1の光
    導波路の該一部に光学的に接続された液晶層と、液晶層
    に光学的に接続された第2の光導波路の一部とを含む液
    晶光方向性結合器であって、前記液晶層における光透過
    状態と光遮断状態との各屈折率の間の差が0.02以上
    である液晶光方向性結合器。
  12. 【請求項12】 強誘電性液晶が用いられ、該強誘電性
    液晶の液晶分子の短軸方向の屈折率n⊥は、一軸性近似
    によって、n⊥ <1.50である液晶光方向性結合
    器。
  13. 【請求項13】 強誘電性液晶が用いられ、該強誘電性
    液晶の液晶分子の短軸方向の屈折率n⊥と液晶分子長軸
    方向の屈折率n‖とに関して、複屈折率Δn=n‖−n
    ⊥とメモリー角2ωとの積が3.5(degree)>Δn・
    2ω>1(degree)である液晶光方向性結合器。
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