JPH0637685B2 - 被削性、焼入性に優れた熱間圧延鋼材 - Google Patents

被削性、焼入性に優れた熱間圧延鋼材

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JPH0637685B2
JPH0637685B2 JP63321640A JP32164088A JPH0637685B2 JP H0637685 B2 JPH0637685 B2 JP H0637685B2 JP 63321640 A JP63321640 A JP 63321640A JP 32164088 A JP32164088 A JP 32164088A JP H0637685 B2 JPH0637685 B2 JP H0637685B2
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正彦 森田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は被削性、焼入性に優れた熱間圧延鋼材に係り、
詳しくは、成形後熱処理を行なう機械部品の材料に適し
た加工性、延性、被削性及び焼入性に優れた高炭素の熱
間圧延鋼材に係る。
従来の技術 従来、快削鋼に使用されている快削性付与成分の元素と
しては、S、Pb等がある。しかしながら、S元素を含有
させたS系快削鋼は機械的性質の劣化、また、熱間加工
時の脆化の問題があり、一方、Pb元素を含有させたPb系
快削鋼はPbの添加技術が難かしく、その公害対策が必要
であることから、添加及び切削加工時の防塵にコストが
かかるため、これらに代わる経済的な快削鋼として黒鉛
系快削鋼が注目されている。
黒鉛を利用した快削鋼としては、例えば、特開昭49−10
3817号公報に示す如く、C(Total) 0.45〜0.95%、Si:
0.5〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、S:0.001〜0.015%、50
個/mm2以上の分布で存在する黒鉛を0.45〜0.95%、Cr、
Moの1種以上0.1〜1.5%を含有するか、更にこれにB:
0.0005〜0.006%、Al、Tiの1種以上0.01〜0.5%及び/
またはCa:0.0005〜0.030%を含有し、残部はFe及び不
可避的不純物よりなる太径部品用の黒鉛系快削鋼があ
る。しかしながら、この鋼は黒鉛化による快削性の向上
は見られるが、多くの機械部品に必要な切削加工後の熱
処理性(焼入性)の点では不十分である。また、鋼中に黒
鉛を生じさせるために熱延後、焼入処理を行なわなけれ
ばならないため、その製造方法も必ずしも経済的である
とは言えない。
また、鋼中の黒鉛を利用し、かつ、熱処理性を有するも
のとして例えば特開昭63−9580号公報に示される鋼があ
る。この鋼はC :0.015〜0.140%、Mn:0.3%以下、Sol
Al:0.02〜0.30%、 N:0.006%以下、 P:0.01%以
下、 S:0.010%以下を含有するとともに式P(%)×S
(%)≦10×10-6を満足し、更にSi:0.03〜2.50%、Ni:
0.1〜4.0%、Cu:0.03〜1.00%のうち1種以上を含み、
残部がFe及び不純物とからなり、かつ、フェラト相とグ
ラファイト相を主体とする組織を有する延性及び加工性
に優れたものである。
また、その製法は上記成分の鋼を熱間圧延した後、圧下
率30%以上で黒鉛化のために冷間圧延を行ない、次いで
焼鈍することによりフェライト相とグラファイト相を主
体とした組織を有する延性及び加工性に優れた冷間圧延
鋼材とするものである。しかしながら、このように比較
的低いC量では快削性は期待できないし、また、この黒
鉛化のプロセスは熱間圧延鋼材には適用できない。
発明が解決しようとする課題 本発明はこれらの問題を解決することを目的とし、具体
的には、優れた被削性と黒鉛化に伴う焼入性の低下の少
ない熱間圧延鋼材が全く知られていないこと、また、こ
のような特性を有する熱間圧延鋼材の研究開発が行なわ
れていないこと等の問題を解決した微細な黒鉛が鋼中に
均一に分散したフェライト−黒鉛またはフェライト−黒
鉛−セメンタイトの組織を有する優れた被削性と黒鉛化
に伴う焼入性の低下の少ない熱間圧延鋼材を提案するこ
とを目的とするものである。
課題を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明は、重量でC:0.1〜1.5%、Mn:0.05
〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80ppm、N:〜80pp
m、Si:0.5〜2.0%を含み、CrおよびMoが
0.05%以下で残部はFe及び不可避的不純物から成
り、かつ、フェライト−黒鉛またはフェライト−黒鉛−
セメンタイトの組織を有することを特徴とし、重量で
C:0.1〜1.5%、Mn:0.05〜2.0%、O:30ppm以下、B:5
〜80ppm、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を含有すると共
に、Ni:0.1〜3.0%、Cu:0.1〜1.0%の1種また
は2種を含み、CrおよびMoが0.05%以下で残池
はFe及び不可避的不純物から成り、かつフェライト−
黒鉛またはフェライト−黒鉛−セメンタイトの組織を有
することを特徴とし、重量でC:0.1〜1.5%、Mn:0.05
〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80ppm、N:5〜80ppm、S
i:0.5〜2.0%を含有すると共に、Ca:0.0008〜0.008
%、REM:0.001〜0.005%の1種または2種
を含み、CrおよびMoが0.05%以下で残部はFe及
び不可避的不純物から成り、かつフェライト−黒鉛また
はフェライト−黒鉛−セメンタイトの組織を有すること
を特徴とし、重量でC:0.1〜1.5%、Mn:0.05〜2.0%、
O:30ppm以下、B:5〜80ppm、N:5〜80ppm、Si:0.5〜
2.0%を含有すると共に、Ni:0.1〜3.0%、Cu:0.1〜1.
0%の1種または2種を含み、かつ、Ca:0.0008〜0.008
%、REM:0.001〜0.005%の1種または2種を含み、Cr
およびMoが0.05%以下で残部はFe及び不可避的
不純物から成り、かつ、フェライト−黒鉛またはフェラ
イト−黒鉛−セメンタイトの組織を有することを特徴と
するもので、これらの特徴により快削性と焼入性を得る
ことができる。
更に本発明の手段たる構成ならびに作用について説明す
ると、次の通りである。
まず、本発明者等は黒鉛を利用した快削効果と切削加工
後の焼入性の低下理由について検討した。黒鉛の快削効
果について、黒鉛のチップブレーク作用を利用するため
には黒鉛の個数分布が最も重要であり、単位面積当たり
の黒鉛粒数は多いことが望ましい。また、黒鉛化に伴な
う焼入性の低下の原因は黒鉛がセメンタイト(Fe3C)に比
べてγ化処理時のマトリックスへの溶け込みが遅いこと
による考えられるので、焼入性向上の面からも黒鉛は細
かい、すなわち、黒鉛粒数は多いことが望ましい。
しかしながら、従来技術では微細な黒鉛が鋼中に分散し
た組織を得るための経済的な方法が全く知られていな
い。鋼中に黒鉛を生じさせるための方法としては、一般
にセメンタイトを熱分解して黒鉛化させる方法が採られ
るが、この反応は通常は工業的生産の範囲では起こり難
く、なんらかの加速手段が必要である。そのための手段
として前述の特開昭49−103817号公報では高Si化し、か
つ、黒鉛化熱処理前に前処理として焼入処理を行なう方
法、また、特公昭63−9580号公報では極低P、S化し、か
つ、冷間圧延を行ない、焼鈍する方法が提案されている
にすぎない。これらの方法はいずれも、熱間圧延鋼材の
製造を考えた場合、特に、焼入や冷間圧延の工程を含み
経済的でなく、また、黒鉛の分布の制御についても、上
記引用文献を含めて明確な方法について全く示されてい
ない。
そこで、本発明者等は以上の問題点を解決するために、
黒鉛化の促進と黒鉛粒の微細化を添加元素の調整のみに
よって可能にすることを目的に更に検討を行なった。
セメンタイトの分解、黒鉛化の反応が、熱力学的平衡論
では黒鉛はセメンタイトより安定であるにも拘らず起こ
りにくい理由は、その過程で大きな体積膨脹を伴なうた
めであると考えられる。そこで、黒鉛化を促進し、か
つ、黒鉛粒数を増加させるための有効な手段について鋭
意研究した結果、BN等の鋼中析出物を黒鉛化に伴う体積
膨脹を緩和するような黒鉛の析出サイトとして利用でき
ることにより想到し、本発明はこの着想に基づいて成立
したものである。
本発明者等は以上の観点からO、B、N各元素の黒鉛化に
及ぼす効果について以下のように考えた。すなわち、O
の低減による黒鉛化の促進は、このO元素のスカベンジ
効果、すなわち、析出サイトを減少させ、黒鉛化を阻害
する効果を低減できるためと考えた。しかしながら、O
の低減だけでは十分な黒鉛化の促進、微細化は行なわれ
ない。更に、B、Nの各元素をそれぞれ適量添加すると、
初めて熱延のままで焼鈍するだけで十分に微細な黒鉛が
鋼中に析出するようになる。その機構は必ずしも明確で
ないが、黒鉛の分布がBのそれに対応していること、B、
N自身は単独でセメンタイト安定化元素であるにも拘ら
ず、B、Nを複合添加した場合、過剰のB、Nが存在して
も、黒鉛化促進、微細化の効果が得られることを考える
とBを含む析出物の効果と考えるのが妥当であると思わ
れる。また、本発明鋼におけるBを含む析出物としてはB
Nが最も一般的であり、また、BNの格子定数が黒鉛のそ
れに非常に近いことを考えれば、BNが析出サイトとして
働いたと考えられる。そして、このBNの析出が鋼中でほ
ぼ均一に生じ、BNを析出サイトとして微細な黒鉛が均一
に分散した組織を得ることが可能になったと考えられ
る。
本発明鋼においては、焼入性向上のために、機械部品の
大きさに応じてMnを適量添加する。しかし、Mnは焼入性
を向上させる一方で、黒鉛化を阻害するため、その添加
量は焼入性に必要な最低の量であることが望ましい。一
般に、焼入性を向上させる元素として、Cr、Moが用いら
れているが、これらは、Mn以上に黒鉛化を阻害し、ま
た、黒鉛化した場合でも黒鉛粒数が低下するため、これ
らの添加はMn添加に比べて望ましくない。また、鋼中の
O、S等を固定して清浄な鋼を得るためにもMnの添加は必
要である。
また、Ca、REMの添加は微細な黒鉛が均一に分布した組
織が得られ易くなる。その機構は必ずしも明らかでない
が、これらの元素による鋼中のO、S等が固定されること
により、前述のスカベンジ効果が抑えられることも1つ
の原因と考えられる。
以上のようにして得られた微細な黒鉛が均一に分布した
組織(黒鉛が500個/mm2程度以上分布)においてはセメン
タイトが残っていても、十分な被削性が得られる。一
方、焼入性の面からは、黒鉛が非常に微細であるため、
全添加C 量が黒鉛化しても十分高い焼入性が得られるも
のの、セメンタイトが残っている方が焼入性が向上す
る。そこで、本発明鋼のように十分な黒鉛粒数が添加C
量の比較的低い範囲から得られる場合は、第1図の黒鉛
分布(黒鉛粒数と黒鉛化率)の被削性、焼入性に及ぼす効
果を説明するグラフに示すように被削性と焼入性から最
適な黒鉛化率(添加したCのうち黒鉛として析出している
ものの割合、添加Cの残りはほぼ全量セメンタイトとし
て析出)が決められる。
なお、第1図で、 □:0.10%C−0.05%Mn−0.5%Si−0.25%Ni−20ppm B
−20ppm N−14ppm O △:0.23%C−0.09%Mn−0.6%Si−21ppm B−21ppm N−
14ppm O :0.41%C−0.10%Mn−0.50%Si−20ppm B−21ppm N−1
7ppm O ▽:0.60%C−0.25%Mn−0.99%Si−18ppm B−18ppm N
−14ppm O ▲:0.60%C−0.24%Mn−1.00%Si−18ppm O である。
すなわち、好ましい領域として(黒鉛粒数)≧500個/mm2
かつ(黒鉛化率)≦7.1×10-4×(黒鉛粒数)+0.14を満た
す範囲で被削性、焼入性が共に良好となる。そして、任
意の黒鉛化率は例えば第4図に示すように焼鈍時間を調
整することにより比較的簡単に得ることができ、本発明
である快削性、焼入性を兼ねた黒鉛快削鋼が得られる。
なお、被削性と焼入性の2つの性質を同時に満たす黒鉛
分布はB、Nを複合添加した時に得られる。
以上をまとめると、鋼中のOを低減し、B、Nを適量添加
してBNを含む微細なフェライトパーライト組織とするこ
とにより、熱延後、焼鈍するだけで非常に微細な黒鉛が
均一に分布したフェライト−黒鉛またはフェライト−黒
鉛−セメンタイトの組織となり、従来得られなかった、
被削性−焼入性を有する黒鉛快削性鋼が得られる。
以下、本発明鋼の各成分量の限定理由について説明す
る。
初めに、請求項1の鋼の各成分量の数値限定理由につい
て述べる。
C: Cは焼入性、被削性から0.1%以上添加する必要があ
り、0.1%以上のC量を含むことにより、B添加によって
黒鉛が微細化された本発明では十分な焼入性、被削性を
有するフェライト−黒鉛またはフェライト−黒鉛−セメ
ンタイトの組織のものが得られる。そこでC量の下限を
0.1%に定めた。
Mn:Mnは鋼の脱酸剤、Sの固定剤としてまたは焼入
性向上のために用いられ、その効果はMnの添加量が
0.05%未満では十分でないためにその下限を0.0
5%とした。また、2%を越えて添加すると鋼の靭性に
悪影響を及ぼすとともに黒鉛化が進みにくくなって被削
性が向上しなくなるため、その上限を2%とした。
Si:Siは強力な黒鉛化促進元素であり、黒鉛化のための
焼鈍時間を短縮するために必要であり、その下限を0.5
%に定めた。また、添加量が2%を越えると、清浄度、
靭性が著しく低下するため、その上限を2%に定めた。
Cr、Mo:Cr、Moは黒鉛化および黒鉛粒の微細化
を著しく阻害する元素であり、第4表に示すように、こ
れらの含有量が0.05%を越えると、黒鉛化が進まず
被削性が向上しないために、それらの含有量の上限を
0.05%とした。
O:O量については前述の理由によって低い方が望まし
い。第2図のO量の焼入性、被削性に及ぼす効果を説明す
るグラフに示すようにO量が30ppmを越えると微細な黒鉛
が均一に分散したフェライトまたはフェライト−セメン
タイトの組織が得られず、被削性が低下するため上限を
30ppmとした。また、Oと同様に一般にスカベンジ
効果を有するようなP、S等の元素についてもできるだけ
低いこと、例えば、P、Sについては0.015以下であるこ
とが望ましい。
B、N:B、Nは本発明鋼中で最も重要な元素であり、析出
物として存在することにより、黒鉛化の促進、黒鉛化粒
の微細化に寄与する。第3 図のB/Nが約1の場合における
B量が被削性及び焼入性に及ぼす効果を説明するグラフ
に示すようにB添加量が5ppm未満ではBの効果が十分にあ
らわれない。すなわち、微細な黒鉛が均一に分散したフ
ェライトまたはフェライト−セメンタイトの組織が得ら
れないため、被削性が低下する。また、B添加量が80ppm
を越えてもその効果が飽和して経済的でないのでB添加
量の下限を5ppm、上限は80ppmに定めた。また、Nについ
ても同様である。但し、B、N自身はそれぞれ単独では黒
鉛化を阻害する元素であり、できるだけBNとして析出さ
せ、余剰のB、Nを出さないことが必要である。そのた
め、B/Nの範囲が0.5〜2が望ましい。
次に、請求項2〜4の鋼成分量の数値限定理由について述
べる。
C、Mn、O、B、N、Si、Cr、Moについての限
定理由は請求項1と同である。
Ni、Cu: これらの元素は黒鉛化促進元素ではあるが、
主として焼入性を向上させるために添加する。焼入性の
必要性から、油焼入程度で十分にマルテンサイト組織が
得られるように、C%+Si%/81+Mn%/6+Ni%/15+Cu
%/6≧0.13の条件を満たすように添加することが望まし
い。それにより870℃×10分、油焼入によりC量(%)を0.
1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.5と変化させた場合、それぞ
れビッカース硬度(Hv)が360、430、620、750、800、900
以上の焼入硬度が得られる。それぞれの添加量の下限は
その焼入性向上の効果が現れる最少の添加量である0.1
%とし、その上限は焼入性向上の効果が飽和するNiにつ
いては3.0%に、Cuについては1.0%に定めた。
Ca、REM:Ca、REMは微細な黒鉛が均一に分布した組織を
得やすくする働きがある。Caの場合、その効果は0.0008
%未満では現われずに、0.008%を越えると飽和し、ま
た、REMの場合では0.001%未満では現われず、0.005%
を越えると飽和するので、Caについては下限を0.0008
%、上限を0.008%に、REMについては下限を0.001%
に、上限を0.005%に定めた。
以上説明した元素成分組成の鋼を通常の転炉、または電
炉法で溶製後、700〜900℃の温度の圧化率10%以上の熱
間圧延を行なった後、600〜800℃の温度で1〜200時間
の焼鈍を行なうことにより、被削性、焼入性に優れた黒
鉛鋼が得られる。なお、明細書記載の%はいずれも重量
基準で示した。
実施例 以下、実施例について説明する。
初めに、実施例中の各表に示す記号及び物性測定方法な
どについて述べる。
f:黒鉛化率:焼鈍後、フェライト中へ黒鉛として析出
したC量の添加C量に対する割合を示す。残りC量はほぼ
全量セメンタイトとして析出する。
N:黒鉛粒数:1mmあたりの黒鉛粒数を示す。
H:被削性:前の数字は切屑の形状を、後ろの数字はハ
イスにかかる主分力を示す。
Hv:焼入性:870℃、10分のγ化処理後油焼入した時の
ビッカース硬度を示す。
区分:本発明鋼と比較鋼との区分を示す。なお、本発明
鋼のものは請求項番号を記載した。
被削性試験:工具:ハイス、周速:80m/分、送り:0.2/
rev、切り込み深さ:1.0で切削性試験を行なったときの
被削性を下記4ランクの切屑形状とハイスにかかる主分
力(kgf)で切削性Hを評価した。その評価基準は切屑形状
が1〜3であり、かつ、主分力が100kgfを越えない場合を
被削性良とした。
なお、切屑形状のランクは次の通りである。
切屑形状のランク 1. 2巻未満 2. 2〜4巻未満 3. 4巻〜5cm未満 4. 5cm以上 焼入性試験:870℃、10分のγ化処理後、油焼入(冷却速
度100℃/秒)により得られるビッカース硬度で評価す
る。その評価基準は焼入硬度が、それぞれのC%で通常
得られる第1表に示す一般的な硬度との比較で評価す
る。その評価基準は焼入硬度が、それぞれのC%で一般
に得られる以上であるものを焼入性良とした。
実施例1. 第2に示す供試鋼の本発明の範囲の各試料(請求項1、
2の発明鋼)とC、Mn、O、B、N、Si、Cr、M
o、Ni、Cu量が本発明の範囲外である各試料(比較鋼)を
それぞれ転炉法で溶製し、これらをスラブ加熱温度が12
00℃、仕上げ温度が800℃の条件で4.5mmの厚さまで熱間
圧延し、酸洗後、720℃で5〜40時間の範囲で焼鈍した場
合の黒鉛化率fと、その時の黒鉛粒数Nおよびそれらの被
削性、焼入性を測定し、その結果を第2表に示した。こ
の表からC、Mn、O、B、N、Si、Cr、Mo、N
i、Cu添加量が適当である本発明鋼のみ適当な焼鈍を
選ぶことにより、最適な黒鉛化を生じて十分な被削性、
焼入性を有することがわかる。
実施例2. 第3表に示す本発明の範囲の供試鋼(請求項3、4の発明
鋼)を実施例1と同様な熱延条件で圧延したのち、第3表
に示すような条件で焼鈍し、その物性を測定し、その結
果を第3表に示した。Caを8ppm以上、REMを10ppm以上添
加することにより黒鉛粒数が増加し、優れた被削性、焼
入性が得られた。その効果はCa添加の黒鉛粒数、黒鉛化
率に及ぼす効果を説明する第4図に示す通りであり、Ca
を添加しない試料では優れた被削性、焼入性を得るため
には、焼鈍時間が10時間前後に限られたのちに対し、Ca
添加により焼鈍時間の範囲が5〜20時間まで拡がること
がわかる。
実施例3. 第4表に示す本発明範囲の供試成分鋼(請求項1の本発明
鋼)及び本発明範囲外の成分範囲である比較例鋼を焼鈍
時間を20時間とした以外は実施例1と同様に処理した。
その結果を第4表に示した。この表から見ると、不可避
的不純物元素であるP、SおよびCr、Moなど黒鉛化を阻害
する元素の含有したものであっても少量は黒鉛化阻害の
影響は少ないことがわかる。しかし、PまたはS量が0.01
5%以上(供試材番号49、50)、Cr、Mo量が0.05
%より多く添加されている(供試材番号43、44、4
6、47)ものは黒鉛化が著しく阻害され、B、N複合
添加による黒鉛粒微細化の効果が現われにくくなる。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明鋼は、重量でC:0.1〜
1.5%、Mn:0.05〜2.0%、Cr:0.05
%以下、Mo:0.05%以下、O:30ppm以下、
B:5〜80ppm、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を含み、あ
るいは更にこれに特定量のNi、Cuの1種以上及び/又はC
a、REMの1種以上を含みかつフェライト−黒鉛またはフ
ェライト−黒鉛−セメンタイトの組織を有することを特
徴とするもので、従来全く知られていなかった優れた被
削性と焼入性を有するものである。
すなわち、本発明に係る熱間圧延鋼材は、成形後熱処理
を行なう機械部品の材料として好適なものであり、ま
た、フェライト地中のセメンタイト量が同−C量の鋼と
比べ少ないため、軟質で、延性に優れ、また、黒鉛が存
在するため、比削性と同様に打抜性にも優れている。従
って、本発明鋼を用いることで、機械部品の成形工程を
大巾に簡略化することが可能となる。
また、本発明鋼は、特別の設備や操作を用いることな
く、B、O、Nの添加量若しくはB、O、N、Ca、REMの添加
量を適当な本発明鋼の範囲に調整することによって容易
に製造でき、従来例の比較的C量の低い鋼では得られな
かった著しく優れた被削性、焼入性を有する熱間圧延鋼
材が経済的に容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は黒鉛分布(黒鉛粒数と黒鉛化率)の焼入性、被削
性に及ぼす効果を説明するグラフ、第2図は0量と焼入
性、被削性に及ぼす効果を説明するグラフ、第3図はB/N
を約1にした場合のB量と焼入性及び被削性に及ぼす効果
を説明するグラフ、第4はCa添加による黒鉛粒数増加の
効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋口 耕一 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究所本部内 (56)参考文献 特開 昭55−104456(JP,A) 特公 昭63−9580(JP,B2) 特公 昭54−5367(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量でC:0.1〜1.5%、Mn:0.
    05〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80p
    pm、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を
    含み、CrおよびMoが0.05%以下で残部はFe及
    び不可避的不純物から成って、フェライト−黒鉛または
    フェライト−黒鉛−セメンタイトの組織を有し、 黒鉛粒数≧500個/mm かつ 焼鈍後フェライト中に黒鉛として析出したC量の添加C
    量に対する割合を示す黒鉛化率≦7.1×10-4×黒鉛
    粒数+0.14 であることを特徴とする被削性、焼入性に優れた熱間圧
    延鋼材。
  2. 【請求項2】重量でC:0.1〜1.5%、Mn:0.
    05〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80p
    pm、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を
    含有すると共に、Ni:0.1〜3.0%、Cu:0.
    1〜1.0%の1種または2種を含み、CrおよびMo
    が0.05%以下で残部はFe及び不可避的不純物から
    成って、フェライト−黒鉛またはフェライト−黒鉛−セ
    メンタイトの組織を有し、 黒鉛粒数≧500個/mm かつ 焼鈍後フェライト中に黒鉛として析出したC量の添加C
    量に対する割合を示す黒鉛化率≦7.1×10-4×黒鉛
    粒数+0.14 であることを特徴とする被削性、焼入性に優れた熱間圧
    延鋼材。
  3. 【請求項3】重量でC:0.1〜1.5%、Mn0.0
    5〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80pp
    m、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を含
    有すると共に、Ca:0.0008〜0.008%、R
    EM:0.001〜0.005%の1種または2種を含
    み、CrおよびMoが0.05%以下で残部はFe及び
    不可避的不純物から成って、フェライト−黒鉛またはフ
    ェライト−黒鉛−セメンタイトの組織を有し、 黒鉛粒数≧500個/mm かつ 焼鈍後フェライト中に黒鉛として析出したC量の添加C
    量に対する割合を示す黒鉛化率≦7.1×10-4×黒鉛
    粒数+0.14 であることを特徴とする被削性、焼入性に優れた熱間圧
    延鋼材。
  4. 【請求項4】重量でC:0.1〜1.5%、Mn0.0
    5〜2.0%、O:30ppm以下、B:5〜80pp
    m、N:5〜80ppm、Si:0.5〜2.0%を含
    有すると共に、Ni:0.1〜3.0%、Cu:0.1
    〜1.0%の1種または2種を含み、かつ、Ca:0.
    0008〜0.008%、REM:0.001〜0.0
    05%の1種または2種を含み、CrおよびMoが0.
    05%以下で残部はFe及び不可避的不純物から成っ
    て、フェライト−黒鉛またはフェライト−黒鉛−セメン
    タイトの組織を有し、 黒鉛粒数≧500個/mm かつ 焼鈍後フェライト中に黒鉛として析出したC量の添加C
    量に対する割合を示す黒鉛化率≦7.1×10-4×黒鉛
    粒数+0.14 であることを特徴とする被削性、焼入性に優れた熱間圧
    延鋼材。
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