JPH0636634A - 接点材料の製造方法 - Google Patents

接点材料の製造方法

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JPH0636634A
JPH0636634A JP4192281A JP19228192A JPH0636634A JP H0636634 A JPH0636634 A JP H0636634A JP 4192281 A JP4192281 A JP 4192281A JP 19228192 A JP19228192 A JP 19228192A JP H0636634 A JPH0636634 A JP H0636634A
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powder
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nio
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JP4192281A
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English (en)
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Masayuki Tsuji
公志 辻
Isato Inada
勇人 稲田
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ag−Ni系接点材料において、粗大粒子の
混入を解消しつつ良好な耐溶着性・耐消耗性をもたせる
ようにして有用な接点材料を得ることのできる方法を提
供する。 【構成】 この発明の接点材料の製造方法では、Ag中
に金属粒子が分散してなるAg粉末を内部酸化処理によ
り前記金属粒子を酸化して、Ni粉末を添加混合し混合
粉末を得てから、この混合粉末を成形した後、得られた
成形体を焼成するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、リレー、マ
グネットスイッチ、ブレーカ等の開閉機器の電気接点に
用いられるAg−Ni系接点材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Ag素地中にNi粒子(金属Ni
粒子)を分散させAg素地強化を図ったAg−Ni接点
材料があり、このAg−Ni接点材料は、同じAg素地
接点材料であるAg−CdO系接点材料やAg−SnO
2 系接点材料に比べ、加工性に優れ耐消耗性も良好であ
るが、アーク安定性が良くないという問題がある。つま
り、接点解離時に発生するアークが接点面の一個所に集
中しがちで、特に負荷電流が大きい時などアーク集中個
所で組成が変動し(Ag分が豊富になる)溶着し易くな
り、また、アーク集中個所での局所的な消耗量が多いな
ど接点性能の劣化が大きい。この傾向は特にシール型開
閉機器において顕著となる。
【0003】また、上記Ag−Ni接点材料は、Ag−
CdO系接点材料やAg−SnO2系接点材料に比べて
耐溶着性が十分でないことから、小負荷ないし中負荷用
の使用に限られる傾向があり、耐溶着性の改善も望まれ
ている。このAg−Ni接点材料は、次のようにして製
造されている。それぞれ、別々に製造したAg粉末にN
i粉末を添加混合し、この混合粉末を圧縮成形して成形
体を作り、ついで、成形体を焼成→熱間圧縮を2〜3回
繰り返して焼結させるようにする。通常、焼結後、引き
伸ばし工程がある。焼結体を、熱間押出して(さらには
スウェージングを施して)延ばし、ついで、伸線するの
である。伸線後、リベット加工を施す場合もある。
【0004】Niを微細な粒子でAg素地中に分散させ
れば耐溶着性が向上する。Ag粉末およびNi粉末とし
て、粒径1μm以下のAg微粉末と粒径1μm以下のN
i微粉末を用いれば、Niの微細分散が容易に達成でき
るはずである。しかし、実際には、粉末混合段階でNi
微粉末が凝集してしまってNiの微細分散を実現するこ
とができない。これら微粉末を用いる場合には、さら
に、吸着ガスが十分な焼結密度の確保を妨げるため伸線
までの加工が難しくなり、実用性が薄いという不具合も
ある。
【0005】また、微細粒径のNiの分散を実現する方
法として、配合するAgとNiを全量一緒に溶かした融
液を噴霧して、Niが分散したAg粉末(Ni分散Ag
粉末)とNi粉末とを同時に得て、これを成形・焼結す
ることが考えられる。しかし、Niの量が5重量%を越
えるとNiは溶湯中で全く未固溶となり、Ag−Ni溶
湯中に未固溶のNiが存在すると10μmを遙に超す粒
径の粗大Ni粉末がNi分散Ag粉末に混入する。この
粗大Ni粉末の存在は、成形性・焼結性及び加工性の低
下あるいは耐溶着性の劣化という不都合を招来する。粗
大Ni粉末を選別除去すれば理屈の上では粗大Ni粉末
混入に伴う上記不都合は避けられる。しかし、選別のた
めの分級作業は大幅なコストアップを招来するので非常
に高価な接点材料になり、加えて、Ni分散Ag粉末中
のNi量が中々一定せず接点性能がバラツキ易く、かつ
接点材料中の合計Ni量が減少するため接点性能が低下
し、実用は事実上無理である。
【0006】特開昭56−142803号公報にはガス
溶射と急冷による接点材料用のNi分散Ag粉末の製造
方法が、また、特開昭61−147827号公報、特開
昭63−238230号公報、あるいは、特開平1−1
80901号公報には溶湯を急冷凝固させる接点材料用
のNi分散Ag粉末の製造方法が提案されている。しか
し、これらの方法の場合、上に見たように、Ag粉末中
に微細なNi粒子が分散するのではあるが、粗大Ni粉
末の混入という問題がある。
【0007】これらの方法で得たNi分散Ag粉末を用
いて得た接点材料に関しては、特開昭61−14782
7号公報、特開昭63−238229号公報に見られ
る。特開昭61−147827号公報には、上記Ni分
散Ag粉末を用い1〜20μmとサブミクロンのNi粒
子がAg素地中に分散した接点材料が提案されている。
しかし、前記のように、10μmを遙に越す大きなNi
粒子の存在がAg−Ni系接点材料として不可欠の緻密
な線材化を困難にする等の不都合を生じている。接点性
能の観点からも、10μm以上の粗大Ni粉末の存在
は、耐溶着性を劣化させる。それだけでなく、Ni粉末
内にも熱伝導性を低下させ耐溶着性を悪化させる恐れの
ある空隙、いわゆる引け巣が生じている。
【0008】特開昭63−238229号公報では、溶
湯を急冷することにより得られたAg系複合粉末を用
い、Ag中で2相分離する0.01〜1μmの金属粒子
が分散した接点材料が提案されている。ここで、2相分
離する金属がNiである場合、通常で必要とされるNi
量(6wt%以上)の範囲では先にみたように適切なNi
の微細分散は達成されず、粗大Ni粒子も混在してしま
う。
【0009】この他、特開昭62−1835号公報に
は、AgとNiを溶解しアトマイズ法でNi分散Ag粉
末を作り、ついで内部酸化を施してから成形・焼結して
得たAg−NiO接点材料が提案されている。しかし、
この場合も、Ni量が5重量%を超えると粗大Ni粒子
混入の問題が出てくるし、Ag−NiO接点材料の場合
はAgとNiOの構成なので金属とセラミックの結合に
なり、金属と金属の結合に比べ弱く、耐消耗性の面が心
配である。特開昭61−147827号公報のAg−N
i接点材料の評価結果と特開昭62−1835号公報の
Ag−NiO接点材料の評価結果を比べると、AC10
0V、10Aの同一負荷(開閉頻度、接触力および解離
力の違いは多少あるが)、消耗量が前者は1.5mg後
者は3.9mgとAg−NiO接点材料の方が耐消耗性
で劣ることが窺われるのである。
【0010】さらに、特開昭61−288032号公報
には、AgにNiを過飽和に固溶させたAg−Ni合金
(固溶体合金)粉末とNi粉末を用いた粉末冶金法によ
るAg−Ni系接点材料が提案されている。しかしなが
ら、この接点材料は耐溶着性が十分でない。なぜなら、
Niが固溶したAg−Ni合金は電気電導度が低く、電
気電導度の低い接点材料は溶着を引き起こし易いからで
ある。
【0011】固溶体合金と共晶合金等の2成分分散合金
の電導度に関しては、例えば、金属学序説(吉川正三著
コロナ社発行)第157〜158頁に詳しく記述され
ている。2成分分散合金では、その比電導度(σ)は、
次式であらわされ、電導度は容積組成に対して殆ど直線
的関係にある。
【0012】σ=σ1 s ・ σ2 1-s 〔ここでσ1 、σ2 は両成分の比電導度であり、S、1
−Sはそれぞれの成分の容積組成である。〕 一方、固溶体合金の場合は電導度は成分金属のいずれよ
りも小さく、わずかな溶質により著しく低下する。
【0013】Ag中にNiが粒子で分散した合金では電
導度の低下は小さくAgの高い電導度が維持されるが、
Niが固溶したAg−Ni合金では、電導度が著しく低
下(例えば1/3以下)してしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、アーク安定性の良いAg−Ni系接点材料にお
いて、粗大粒子の混入を解消しつつ良好な耐溶着性・耐
消耗性をもたせるようにして有用な接点材料を得ること
のできる方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明にかかる接点材料の製造方法で
は、Ag中に金属粒子が分散してなるAg粉末を内部酸
化処理により前記金属粒子を酸化して、Ni粉末を添加
混合し混合粉末を得てから、この混合粉末を成形した
後、得られた成形体を焼成するようにしている。焼成に
より焼結体となったものが接点材料である。なお、内部
酸化処理によりAg中の金属粒子が100%酸化される
必要は必ずしもなく、一部、未酸化の金属粒子が残るよ
うであってもよい。内部酸化処理により、Ag中の金属
粒子が確実に酸化粒子となり、特に耐溶着性を高めてく
れるようになる。
【0016】この発明の場合、上に加えて、Ni粉末と
共に、Ag中に金属粒子が分散してなるAg粉末であっ
て内部酸化処理していないAg粉末も添加混合して混合
粉末を得るようにしてもよい。金属粒子は、Ni粒子で
あるのが適当であるが、Ni粒子の他に、Agとの固溶
性の低いFe粒子やCo粒子などであってもよい。ま
た、Ni粒子に、Fe粒子、Co粒子やSn粒子、In
粒子などの他の金属粒子の少なくとも一つが併存するよ
うであってもよい。
【0017】そして、この発明の接点材料の製造方法で
は、Ag粉末中の金属粒子がNi粒子である場合、Ag
粉末中のNi含有量は1〜5wt%である。以下、便宜
上、金属粒子がNi粒子であるとして説明する。この発
明における内部酸化処理は、酸素の存在中で加熱処理す
ることである。酸素雰囲気中でNi粒子が分散している
Ag粉末を加熱することにより、Ag粉末に酸素が侵入
しAg中のNiと反応してNiO化(酸化)するのであ
る。
【0018】ここで、重要なのは内部酸化温度であり、
150〜500℃が適当である。150℃以下ではNi
の酸化が殆ど生じない。500℃以上になると、Ag粉
末同士の凝集および焼結が生じ、次のNi粉末添加混合
工程でNi粉末をうまく混合することが非常に難しくな
る。さらに、内部酸化処理においては、下限温度は30
0℃以上がより好ましく、上限温度は400℃以下がよ
り好ましい。300以上だと、十分な酸化が確実に図れ
るし、400℃以下だと、Ag粉末同士の凝集および焼
結が確実に防げるからである。
【0019】内部酸化処理の際の圧力は、特に限定しな
いが、1気圧以下では、酸化に長時間を必要とするし、
NiOの成長が起こり、NiO粒子の粗大化を招くから
である。この発明により得られた接点材料全体(接点材
料全体100wt%に対し)に対する全Niの量がNiO
はNiに換算することとして6〜40wt%(より好まし
くは6〜20wt%)であり、接点材料全体に対するNi
Oの量が(Niに換算しない)0.14〜7.0wt%で
あることが適当である。この発明で用いるAg粉末中に
分散する金属粒子の平均粒径が1μm以下であるのがよ
い。一方、後添加するNi粉末の平均粒径は10μm以
下であることが好ましい。
【0020】NiO粒子は微小な方がよく、平均粒径で
1μm以下であることが好ましい。粒径1μm以下のN
iO粒子(内部酸化未処理のAg粉末の併用で加わる粒
径1μm以下のNi粒子と)の含有量がNi量換算で
(接点材料全体100wt%に対し)0.4wt%以上(よ
り好ましくは1〜3wt%)であることが好ましい。Ni
粒子が分散したAg粉末には、AgとNiの混合溶湯を
水アイマイズ法で粉末化し酸素をも含有する粉末が好適
である。このアトマイズ法によるAg粉末は、粒径1μ
m以下(好ましくは平均粒径0.02〜1μm)のNi
粒子を含むことが望ましく、平均粒径45μm(350
メッシュ)以下の粉末が好ましい(平均粒径20μm以
下であればより好ましい)。45μmを超えると、複合
化粉末とNi粉末がうまく混じり合わない。
【0021】Ni粒子が分散したAg粉末は、例えば、
1〜5wt%のNiと残部Agの融液を、上記の水アトマ
イズ法の他、ガスアトマイズ法、回転液中造粒法などの
方法を用いて粉末化したNi分散Ag粉末が挙げられ
る。1550℃以上(例えば、1650℃)の融液(溶
湯)の場合、5wt%以下のNi量であれば、粗大Ni粉
末を生じることなくAg粉末中にうまく平均粒径1μm
以下の微細なNi粒子となって析出し、しかも、Ni量
のコントロールも正確かつ容易である。
【0022】水アトマイズ法は、ノズルから噴出させた
融液を高圧水で急冷霧化するという方法である。高圧水
の代わりに高圧ガスを用いるのがガスアトマイズ法であ
る。また、融液を回転する液体中に滴下し急冷粉末化す
るのが回転液中造粒法である。得られるNi分散Ag粉
末の粒径は、回転液中造粒法、ガスアトマイズ法、水ア
トマイズ法と後の順のものほど細かくなり、Ni分散A
g粉末中のNi粒子の粒径も同じ順で細かくなる。した
がって、水アトマイズ法は、平均粒径45μm以下、分
散Ni粒子の平均粒径1μm以下の粉末を得るのに最も
適する方法ということになる。また、水アトマイズ法
は、多量の融液を短時間で粉末化処理できるため、量産
する場合にも好適な方法である。
【0023】したがって、複合化粉末中のNi含有量
は、通常、(複合化粉末全体100wt%に対し)1〜5
wt%である。1wt%未満では接点材料としてAg素地強
化効果が不足する傾向がみられ、5wt%を超すと粉末製
造の際に融液中に未固溶Niが生じ10μmを遙に超す
粗大Ni粉末がNi分散Ag粉末に混じって生成される
傾向が出てくるからである。
【0024】そして、上のようにして得たAg粉末を内
部酸化処理することにより、NiO粒子が分散したAg
粉末が得られる。このNiO分散Ag粉末における全N
i量も、(内部酸化処理前の複合化粉末全体100wt%
に対し)1〜5wt%程度の範囲である。複合化粉末に添
加混合するNi粉末としては、通常、平均粒径10μm
以下(より好ましくは平均粒径5μm以下)のカルボニ
ールNi粉末が適当である。カルボニールNi粉末は、
安価であり、真球でなく異形で表面積が大きく焼結性に
優れるという利点があるからである。カルボニールNi
粉末は引け巣もなく異形であるため引き伸ばし工程での
剥離も生じ難いという利点もある。
【0025】そして、NiO分散Ag粉末にNi粉末を
添加混合し(必要に応じて内部酸化処理する前のNi分
散Ag粉末をも添加混合してもよい)加圧成形して成形
体を得る。得られた成形体における総Ni含有量(Ni
OもNiに換算)は、通常、6〜40wt%(より好まし
くは6〜20wt%)程度である。6wt%未満ではNi添
加効果が十分にあらわれない傾向がみられ、40wt%を
超えると電導度が低下し、接触抵抗増加や通電時の発熱
量増大に伴う溶着劣化等が起こる傾向がみられるからで
ある。Ni粉末によるNi量を4〜30wt%(より好ま
しくは4〜10wt%)程度は確保するようにするのがよ
い。さらに、NiOの含有量としては、0.14〜7.
0wt%が好ましい。0.14wt%以下でNiOの存在効
果(耐溶着性向上・アーク性安定化)がなく、7.0wt
%以上では接触抵抗特性の低下が大きくなるからであ
る。
【0026】つぎに、成形体を焼成→熱間圧縮を2〜3
回繰り返して焼結させる。焼結工程における焼成が真空
雰囲気でなされるようであれば、焼結密度が高まる傾向
がみられるため好ましい。3回全ての焼成を真空雰囲気
で行う他に、例えば、1回目の焼成は真空雰囲気、2、
3回目の焼成はN2 雰囲気で行う態様もある。通常、焼
結後、引き伸ばし工程がある。焼結体を、熱間押出して
(さらにはスウェージングを施し)延ばし、ついで、伸
線するのである。図1にみるように、引き伸ばし後の接
点材料1では、Ag素地2中に予め分散された微細なN
i粒子(ないしNiO粒子)3が存在するとともに混合
されたNi粉末4が線材長手方向に大きく伸び針状とな
って存在する。長手方向に垂直な断面を接点面とすると
Ni粉末が微細化されてあらわれるので、耐溶着性が良
くなる。焼結体の引き伸ばし工程前後では、引き伸ばし
によるNi粉末微細化が十分となるようにするため、
〔引き伸ばし前の焼結体の断面積〕/〔引き伸ばし後の
焼結体の断面積〕、すなわち減面比が、150以上とな
ることが好ましい。この発明の接点材料は、引き伸ばし
工程を経たものに限らず、引き伸ばし工程前の焼結イン
ゴットの場合もあることは言うまでもない。減面比が、
150以上となるように引き伸ばすようにすれば、Ni
粒子の粒径(伸線方向と直角の断面でみた粒径)が十分
に小さくなり、耐溶着性がより向上するようになる。
【0027】接点材料のAg素地中にはNiO粒子がN
i粉末による比較的大きな粒径のNi粒子の間に位置し
て分散する(もちろん微細Ni粒子も混在分散していて
もよい)接点材料となるが、この微細NiO粒子分散の
接点材料について以下に説明する。開閉動作中の接点に
はアークが生じる。このアークの安定化の為には微細N
iO粒子の分散が非常に重要な働きをし、アーク安定性
を高め耐消耗性を良くするのである。これは、アークは
酸化物から出易く接点面に微細NiO粒子が分散してい
れば、アークは酸化物位置に固定されていて、新しい点
を求めて走り廻らずにすむためであると推察している。
【0028】Ag素地中に分散した微細NiOはアーク
が出易い無数の陰極点を提供する。そのため、アークが
一定位置に固定され安定性が高く、その結果、消耗量が
減少し、かつ、接点面全体での均一消耗も図れる。接点
表面組成の変化も少なくなり、耐溶着性が向上する。N
iOが1μm以下の微細であり、かつAg素地中に分散
するNiが全てNiOではなく、後添加のNi粉末によ
るNi粒子が十分に分散しているのでAgとの結合性が
良く、そのため、Ag−NiO接点材料のように耐消耗
性が大きく劣化してしまう恐れもない。
【0029】微細NiO分散の効果は、空気中で接点を
開閉させる場合も勿論あるが、空気と遮断されたシール
型リレー等のシール型開閉機器の電気接点に使用する場
合に特に顕著である。シール型の開閉機器に用いた場合
で微細NiOが接点面に分散していなければ、内部雰囲
気に酸素が十分にあるうちはアークによるNi酸化がな
されるが、外部雰囲気から新たな酸素が供給されること
がないので、そのうちに酸素が欠乏してNi酸化が起こ
らず、アーク安定性が悪化し接点性能の劣化が加速され
る。一方、微細なNiOが接点面に分散している場合
は、雰囲気に酸素がなくとも、NiOで構成される無数
の微細な陰極点が予め提供されていることから、アーク
は安定化し接点性能の劣化が抑制される。
【0030】
【作用】この発明にかかる接点材料は、Ag素地中に分
散している内部酸化による金属酸化物粒子(例えば、N
iO粒子)がアーク安定性を高める。シール型開閉機器
のように酸素不足の起こる場合でも微細分散金属酸化物
で高いアーク安定性が維持されるため、シール型開閉機
器の電気接点として好適である。
【0031】内部酸化処理済のAg粉末と内部酸化処理
前のAg粉末を併用すると、耐溶着性は向上させるが接
触抵抗の増加を伴う微細な酸化金属粒子の含有量の調節
が容易に行え、特性のバランスした接点材料が容易に得
られるようになる。Ag粉末中の金属粒子が、Ni粒子
であって、Ag中のNi含有量が1〜5wt%である場
合、分散金属粒子が適切であるため、接点面の耐溶着性
・耐消耗性が確実に向上するとともに、Ni含有量が適
切であるため、Ni分散Ag粉末の製造が容易であると
いう利点がある。内部酸化処理前のAg粉末中のNi含
有量が、1〜5wt%であれば、確実にAg素地が強化さ
れ、Ag粉末中のNi量の制御も容易で、しかも、粗大
Ni粉末の混入を確実に避けることができるのである。
【0032】内部酸化の際の温度が150〜500℃
(好ましくは300以上400℃以下)である場合、酸
化が十分であり、凝集・焼結が生じず一次粒子状態での
分散が可能となり、後のNi粉末の添加混合が円滑に進
められるという利点がある。内部酸化処理での酸素圧力
が1気圧以上である場合、適切な内部酸化処理が確実に
行えるという利点がある。
【0033】接点材料中の総Ni含有量が、6〜40wt
%であるとNi含有効果が適切かつ確実に発揮される。
接点材料中のNiO粒子の含有量が、0.14〜7.0
wt%であるとNiO含有効果が適切かつ確実に発揮され
る。0.14wt%未満ではアーク安定化作用が弱く、
7.0wt%を超えると接触抵抗が高くなる傾向がみられ
る。
【0034】Ni粒子の粒径が10μm以下であれば、
Ni粒子添加が適切な効果を生む。引き伸ばし工程を経
た後の接点材料においてNi粒子の粒径が10μm以下
であればNi粒子とAg素地の間が剥離するようなこと
もない。この発明の製造方法で得られた接点材料は、A
g粉末中に内部酸化処理により生成された平均粒径1μ
m以下のNiO粒子(加えて平均粒径1μm以下のNi
粒子が存在することもある)でAg素地が十分に強化さ
れており、優れた耐溶着性のみならず優れた耐消耗性を
備えている。それに、複合化粉末に対し粒径の適切なN
i粉末が添加混合されているため、加工性や耐溶着性・
耐消耗性の低下を引き起こす粗大Ni粒子の混入も解消
されている。加えて、Ag素地中に分散しているNiO
ないしNiはAg素地中に固溶した状態で存在している
のではなく、粒子を形成しているため、Ag素地のもつ
高い電導度が維持された接触抵抗の安定した三特性のバ
ランスの良い接点材料となっている。
【0035】複合化粉末が、平均粒径45μm以下であ
れば、Ni粉末との混合がうまくでき、Ni粉末同士の
間隔が開きすぎることなく比較的大きなNi粒子がAg
素地中に適切に分散した状態となる。後添加するNi粉
末が、平均粒径10μm以下のカルボニールNi粉末で
あれば、Ni粉末の粒径が適切であるため焼結し易く耐
溶着性もよいし、引け巣もなく異形であり剥離し難く、
しかも、安価であるためコスト的にも有利である。
【0036】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。 −実施例1− AgおよびNiを高周波炉で一緒に溶解し1650℃の
融液を得て、これをノズルより噴出させるとともに高圧
水で急冷粉末化させた(水アトマイズ法による粉末
化)。得られたNi分散Ag粉末でのNi量は3.2wt
%である。この粉末の粒径分布および走査型電子顕微鏡
写真(反射電子像)により、次のことが判明した。Ag
粉末の粒径は1〜22μmの範囲にあり、明らかに平均
粒径は20μm以下である。また、Ag粉末ではAg素
地中(白地)中にNi粒子(黒地)が平均粒径1μm以
下で分散している。図2に、Ag粉末のX線回折分析結
果をあらわすグラフを示す。AgとNiのピークのみが
あらわれている。
【0037】得られたNi分散Ag粉末を、350℃で
酸素圧3気圧の条件で24時間、内部酸化処理した。図
3に、内部酸化処理後のAg粉末のX線回折分析結果を
あらわすグラフを示す。AgとNiOのピークのみがあ
らわれており、Niの全てがNiOになったことを示し
ている。つぎに、得たNiO分散Ag粉末に平均粒径約
3μmのカルボニールNi粉末を混合して加圧(30kg
f/mm2)して成形し成形体を得た。成形体における総Ni
含有量は10wt%であり、NiO含有量は4wt%であっ
た。なお、NiO含有量は、燃焼−赤外線吸収法で酸素
量を分析し、この酸素量からNiOを算出するという方
法で求めた。
【0038】ついで、850℃・2時間の焼成→420
℃・90kgf/mm2 の熱間圧縮を3回繰り返し焼結体を得
た。なお、焼成は真空雰囲気で行った。つぎに、焼結体
予熱温度800℃、金型温度420℃で熱間押出して直
径8mmに押し出した後、伸線し直径2mmにした。な
お、減面比は225である。 −実施例2− Ni分散Ag粉末とカルボニールNi粉末の混合の際、
内部酸化処理前のNi分散Ag粉末をも添加し、成形体
全体におけるNiO含有量を3wt%となるようにした他
は、実施例1と同様である。
【0039】−実施例3− 成形体全体におけるNiO含有量が1wt%である他は実
施例2と同様である。 −実施例4− 内部酸化処理の際の温度が150℃であり、酸素圧が1
気圧である他は、実施例1と同様である。
【0040】−実施例5− 内部酸化処理の際の温度が500℃であり、酸素圧が1
気圧である他は、実施例1と同様である。 −比較例1− Ag粉末として、Ni未分散の45μmの電解Ag粉末
を用いた他は、実施例1と同様にして、接点性能評価用
リベット接点を得た。なお、Ni総含有量は10wt%で
ある。
【0041】実施例および比較例の接点材料(伸線後の
もの)をリベッティング加工することにより、接点性能
評価用リベット接点を得た。これらのリベット接点につ
いて、ASTM試験により大気中で開閉試験し、耐溶着
特性、消耗特性、および、接触抵抗を調べた。試験条件
は下記の通りである。結果を表1に示す。 負荷:抵抗負荷、 電圧:100V、 電流:40A、
開閉回数:5万回
【0042】
【表1】
【0043】表1に示す通り、実施例の接点は比較例の
接点に比べて耐溶着性、耐消耗性の双方とも優れてい
る。実施例の接点面は比較例に比べてカルボニールNi
粒子間に微細なNi粒子ないしNiO粒子が多数存在し
ており、Ag素地部分がくまなく強化されており、これ
が基本的に接点性能を向上させている。
【0044】
【発明の効果】この発明で得られた接点材料では、内部
酸化処理による微細な金属酸化物がAg素地中に分散し
ているため、接点面の耐溶着性・耐消耗性が向上してお
り、さらに、Ni粉末を後添加していることから、Ag
粉末に予め分散させる金属(例えば、Ni)の量が少な
くてすみ、その結果、粗大金属(例えば、Ni)粒子の
混入が回避できる。
【0045】内部酸化処理済のAg粉末と内部酸化処理
前のAg粉末を併用する場合、耐溶着性は向上させるが
接触抵抗の増加を伴う微細な酸化金属粒子の含有量の調
節が容易に行え、特性のバランスした接点材料が容易に
得られるという利点がある。Ag粉末中の金属粒子が、
Ni粒子であって、Ag中のNi含有量が1〜5wt%で
ある場合、分散金属粒子が適切であるため、接点面の耐
溶着性・耐消耗性が確実に向上するとともに、Ni含有
量が適切であるため、Ni分散Ag粉末の製造が容易で
あるという利点がある。
【0046】内部酸化処理の温度が、150〜500℃
の場合、十分な酸化と混合粉末作成の円滑な進行が図れ
るという利点がある。内部酸化処理の温度が、400℃
以下の場合、混合粉末作成の円滑な進行が確実に図れる
という利点がある。内部酸化処理での酸素圧力が1気圧
以上である場合、適切な内部酸化処理が確実に行えると
いう利点がある。
【0047】接点材料全体に対する全Niの量がNiO
はNiに換算することとして6〜40wt%であり、接点
材料全体に対する前記NiOの量が、0.14〜7.0
wt%である場合、NiおよびNiOの含有量が適切であ
るため、接点面の耐溶着性・耐消耗性の向上の程度が高
いという利点がある。Ag粉末中のNi粒子の粒径が1
μm以下の場合は、Ni粒子の粒径が適正であるため、
Ni粒子添加が適切な効果を生じる。
【0048】Ag粉末の粒径が45μm以下であれば、
Ni粉末の添加混合が円滑・適切に行えるという利点が
ある。後添加するNi粉末の平均粒径が10μm以下と
いう適正なNi粉末の場合、焼結し易く耐溶着性もよい
し、引け巣もなく異形であり剥離し難く、しかも、安価
であるためコスト的にも有利であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で得られる接点材料の構成例(引き延
ばし後)をあらわす説明図である。
【図2】実施例1の酸化処理前のAg粉末のX線分析結
果をあらわすグラフである。
【図3】実施例1の酸化処理後のAg粉末のX線分析結
果をあらわすグラフである。
【符合の説明】
1 接点材料 2 Ag素地 3 微細なNiO粒子(またはNi粒子) 4 Ni粉末(によるNi粒子)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag中に金属粒子が分散してなるAg粉
    末を内部酸化処理により前記金属粒子を酸化して、Ni
    粉末を添加混合し混合粉末を得てから、この混合粉末を
    成形した後、得られた成形体を焼成するようにする接点
    材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 Ni粉末と共に、Ag中に金属粒子が分
    散してなるAg粉末であって内部酸化処理していないA
    g粉末も一緒に添加混合して混合粉末を得る請求項1記
    載の接点材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 Ag粉末中の金属粒子が、Ni粒子であ
    って、Ag中のNi含有量が1〜5wt%である請求項1
    または2記載の接点材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 Ag粉末の内部酸化処理を150〜50
    0℃の温度で行う請求項1から3までのいずれかに記載
    の接点材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 Ag粉末の内部酸化処理を150〜40
    0℃の温度で行う請求項1から3までのいずれかに記載
    の接点材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 Ag粉末の内部酸化処理での酸素圧力が
    1気圧以上である請求項1から5までのいずれかに記載
    の接点材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 接点材料全体に対する全Niの量がNi
    OはNiに換算することとして6〜40wt%であり、接
    点材料全体に対する前記NiOの量が、0.14〜7.
    0wt%である請求項2から6までのいずれかに記載の接
    点材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 Ag粉末中に分散する金属粒子の平均粒
    径が1μm以下である請求項1から7までのいずれかに
    記載の接点材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 Ag粉末の粒径が45μm以下である請
    求項1から8までのいずれかに記載の接点材料の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 Ni粉末の平均粒径が10μm以下であ
    る請求項1から9までのいずれかに記載の接点材料の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013019032A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Tokuriki Honten Co Ltd 電気接点材料およびその製造方法

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JP2013019032A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Tokuriki Honten Co Ltd 電気接点材料およびその製造方法

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