JPH06347016A - 流動層焼却炉の不燃物排出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不燃物の絡みつきを防ぎ安定した運転が可能
な流動層焼却炉の不燃物排出装置を提供する。 【構成】 流動層焼却炉本体１の不燃物抜き出し管３１
から排出される流動媒体２２と不燃物２４は排出部３の
排出用気体２５によって押出されその先の分離部４へ送
られる。分離部４には分離用気体２６が導かれ分散板等
を経て均一に流出する気体流により寸法と比重差による
分離作用が行われる。比重の小さい主として流動媒体２
２は分離部４から上方に伸びている流動媒体返送ダクト
５へ気体と共に流され流動媒体２２をサイクロン２０で
分離して焼却炉本体１へ戻したのち２次空気３０として
炉内へ導かれる。比重の大きい不燃物２４は分離部４か
ら流動媒体搬送用気体２７の流れに逆らって不燃物排出
ダクト５ａを経て不燃物貯留器６へ導かれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は流動層焼却炉の不燃物排
出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の流動層焼却炉の不燃物排出・分離
装置を図３に示す。流動層焼却炉本体１内において不燃
物を含有する流動媒体２２は、分散板２に設けられた不
燃物抜き出し管３１を降下し、スクリューコンベア３２
により一定量づつ振動篩３３に送られ、ここで、不燃物
２４と流動媒体２２とに分離され、不燃物２４は系外に
排出され、流動媒体２２は流動媒体返送コンベア３４に
より焼却炉内に還流される。この従来の装置は、スクリ
ューコンベア３２や振動篩３３を用いているので、これ
らの可動部への不燃物の絡みつきや可動部の摩耗等の問
題が有り、運転が不安定で、小形で少量の不燃物にしか
適用出来ないという不具合がある。また、不燃物の絡み
つきを防ぐには焼却物を破砕したり選別する等の前処理
が必要である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、可動部に対
する不燃物の絡みつきや摩耗の問題がなく、安定した運
転をすることが出来る流動層焼却炉の不燃物排出装置を
提供することを課題としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、流動層焼却炉
の排出口から排出される流動媒体と不燃物とを分離し流
動媒体は炉に戻し不燃物を炉外に排出する装置における
前記課題を解決するため、流動層焼却炉の排出口の先に
気体吹出し孔を具えた分離部を設けるとともに、その分
離部から上方に伸びた流動媒体返送ダクトと下方に伸び
て気体吹出し手段を具えた不燃物排出ダクトを設けた構
成を採用する。上方に伸びた流動媒体返送ダクトは焼却
炉内に連通される。気体吹出し孔や気体吹出し手段に用
いる気体は大気や焼却炉から出る排ガスであってよく、
焼却炉における焼却物が難燃性であるときは大気を用い
るのが好ましい。

【０００５】また、流動層焼却炉の排出口から排出され
る流動媒体と不燃物を前記分離部まで導くのに、気体吹
出しノズルを具えた不燃物排出部を設けて気体によって
搬送する構成とすることができる。更に、流動媒体返送
ダクトの途中にスクリーンを配設して焼却炉へ戻される
流動媒体中から不燃物を除去する構成を採用してもよ
い。この場合、スクリーンに付着する不燃物を払い落と
す為に気体吹出しによるものやスクリーンに対し櫛歯状
の部材を通過させて付着不燃物の除去を機械的に行うも
のなどの不燃物払い落とし手段を設けるのが好ましい。

【０００６】

【作用】本発明による装置は前記した構成を有している
ので焼却炉の排出口から出る流動媒体と不燃物はその先
の分離部へ適宜の手段で送られ、分離部に設けられた気
体吹出し孔から分散板を経て均一に供給されるなどして
送り出されて来る気体流によって比重、寸法の比較的小
さい主として流動媒体は気体流と共に流動媒体返送ダク
トへ流れる。一方、比重や寸法の大きい不燃物は不燃物
排出ダクトへ落ちる。不燃物排出ダクトに具えられた気
体吹出し手段から流される気体流によっても流動媒体は
流動媒体返送ダクトの方へ送り込まれる。比較的寸法が
小さく比重の小さい不燃物は流動媒体と共に流動媒体返
送ダクトへ導かれるが、流動媒体返送ダクトにスクリー
ンを設ければそれらを除去することができる。なお、流
動媒体の搬送に用いた気体は、集塵装置により流動媒体
と分離されて焼却炉に対する二次空気等として用いる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明による不燃物排出装置を図示し
た実施例に基づいて具体的に説明する。まず本発明の第
１実施例を図１によって説明する。なお、図１におい
て、図３に示した装置と同じ部分には同一符号を付して
ある。流動層焼却炉本体１に投入される被焼却物２１
は、分散板２を介して流動媒体２２に供給される流動用
空気２３により焼却される。被焼却物２１の含有物のう
ち針金、釘等の燃焼により分解しない不燃物２４は、流
動媒体２２の一部と共に、流動層焼却炉本体１の下部に
設置している不燃物排出部３に導かれる。不燃物排出部
３は、不燃物抜き出し管３１と共にＬ字状を成し、底部
に設けられた１本もしくは複数のノズルを具えた不燃物
排出部３から間歇的又は連続して供給される排出用気体
２５の押出し作用により、流動媒体２２を含む不燃物２
４は分離部４へ送られる。分離部４は分離用気体２６が
導かれる気体吹出し孔と、その気体吹出し孔を出た気体
２６を均一に分散させて流出させる分散板を具えてい
る。

【０００８】分離部４では、不燃物排出部３より落下す
る流動媒体２２及び不燃物２４に対向的に供給される分
離用気体２６と、不燃物排出ダクト５ａ下方より供給さ
れる搬送用気体２７の作用により、流動媒体２２と不燃
物２４が分別される。即ち、不燃物２４の大部分は自重
により不燃物排出ダクト５ａを落下し、不燃物貯留器６
に貯留され、一方、不燃物２４のうち比重、寸法の比較
的小さい小形不燃物２８と流動媒体２２は気流に搬送さ
れ、流動媒体返送ダクト５を上昇する。流動媒体返送ダ
クト５には小形不燃物２８の寸法より目開きの小さいス
クリーン７が設置してあり、小形不燃物２８はここで捕
獲される。流動媒体２２は粒径が小さいためスクリーン
７を通過し、流動媒体返送ダクト５端部に設けてあるサ
イクロン２０に達する。

【０００９】小形不燃物２８をスクリーン７上に捕獲し
たまま運転を続けると、やがてスクリーン７の流路が狭
まり、流動媒体２２の流れが阻害されるので、スクリー
ン７上の小形不燃物２８は適宜払い落としてやる。払い
落としの時期は、スクリーン７前後の圧力損失が一定値
以上になった時で良いが、一定時間が経てば自動的に払
い落とすようにしても良い。払い落としのやり方は、分
離用気体２６及び搬送用気体２７を共に停止することに
より、それらの気流による搬送力を無くし、小形不燃物
２８をその自重により落下させ、不燃物貯留器６に収容
する。その際、流動媒体２２が不燃物貯留器６に排出す
るのを防止するため、不燃物排出部３も停止しておく。
小形不燃物２８がスクリーン７より剥離しにくい場合に
は、機械的掻き取り、例えば櫛歯状部材７ａをスクリー
ン７に通したり、気体吹きつけ等の手段でスクリーン７
に付着した小形不燃物２８を剥離する。不燃物が大形の
みの場合はスクリーン７を省略することができる。

【００１０】一方、サイクロン２０に達した流動媒体２
２は、ここで分離用気体２６及び搬送用気体２７と分離
され、流動媒体再投入管８を通して流動層焼却炉本体１
内部に還流され、再び流動層を形成する。サイクロン２
０で流動媒体２２を除去され、気体のみとなった分離気
体２６と搬送気体２７は、流動媒体再投入管８とは別に
配置された気体炉内供給管９を通って流動層焼却炉本体
１内部に供給され、炉内燃焼の２次空気３０として効果
的に利用される。気体炉内供給管９は任意の位置で、任
意の個数だけ流動層焼却炉本体１と接続可能であるの
で、分離用気体２６及び搬送用気体２７は燃焼の安定
化、低公害燃焼等目的に応じて自由に使用出来る。な
お、サイクロン２０の替わりに他の集じん装置を適用し
ても良い。

【００１１】次に、図２に示した第２実施例について説
明する。本実施例は、不燃物分離用気体として燃焼排ガ
スを利用するものである。流動層焼却及び不燃物排出・
分離については図１と同様であるので省略する。流動層
焼却炉本体１から発生する高温の排ガス２９は、排ガス
ボイラ１１で減温された後、機械式集じん器１２で１次
集じんされ、空気予熱器１３で更に排熱回収される。空
気予熱器１３での回収熱は流動用空気２３の予熱に用
い、押し込み通風機１７で流動層焼却炉本体１へ供給さ
れる。排ガス２９は更に、電気集じん器１４で２次集じ
んされた後、誘引通風機１５を通って湿式スクラバ１６
に導かれ、ここで有害ガスを除去した後、大気中に放出
される。

【００１２】本実施例では、排出用気体２５、分離用気
体２６及び搬送用気体２７の全部、又は、一部として、
誘引通風機１５出口の排ガス２９をブースタファン１８
で昇圧したものを使用する。一方、サイクロン２０で流
動媒体２２と分離した気体は、ガス返送管１０を通して
空気予熱器１３入口及び電気集じん器１４入口に返送さ
れる。ダンパ１９の開度調節により返送量を適当に分配
する。返送位置は、気体のばいじん濃度等により、上記
位置の他、機械式集じん器１２入口や押し込み通風機１
７の入口等、設備毎に最適な位置を選択出来る。

【００１３】

【発明の効果】以上具体的に説明したように、本発明に
よる不燃物排出装置は、焼却炉から排出される不燃物と
流動媒体との分離を、空気等の気体の作用により行う
他、分離した流動媒体を炉内へ気体によって返送するの
で、大形で大量の不燃物も機械的トラブル無しで安定し
て排出・分離でき、かつ、小形不燃物も完全に分離出
来、更に、流動媒体返送に用いた気体は流動媒体を集塵
装置で分離するなどして任意の位置に供給することが出
来、公害の低減、利用気体の多様化等に対応可能であ
る。また、本発明による装置は機械的動力を用いないの
でコンパクトであり、安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係わる不燃物排出装置を
具えた流動層焼却炉の全体構成図。

【図２】本発明の第２実施例に係わる不燃物排出装置を
具えた流動層焼却炉の全体構成図。

【図３】従来の不燃物排出装置を具えた流動層焼却炉の
全体構成図。

【符号の説明】

１ 流動層焼却炉本体 ２ 分散板 ３ 不燃物排出部 ４ 分離部 ５ 流動媒体返送ダクト ５ａ 不燃物排出ダクト ６ 不燃物貯留器 ７ スクリーン ８ 流動媒体再投入管 ９ 気体炉内供給管 １０ ガス返送管 １１ 排ガスボイラ １２ 機械集じん器 １３ 空気予熱器 １４ 電気集じん器 １５ 誘引通風機 １６ 湿式スクラバ １７ 押し込み通風機 １８ ブースタファン １９ ダンパ ２０ サイクロン ２１ 被焼却物 ２２ 流動媒体 ２３ 流動用空気 ２４ 不燃物 ２５ 排出用気体 ２６ 分離用気体 ２７ 搬送用気体 ２８ 小形不燃物 ２９ 排ガス ３０ ２次空気 ３１ 不燃物抜き出し管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 洋 横浜市中区錦町12番地 三菱重工業株式会 社横浜研究所内 (72)発明者 寺沢 良則 横浜市中区錦町12番地 三菱重工業株式会 社横浜研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流動層焼却炉の排出口から排出される流
   動媒体と不燃物とを分離し流動媒体は炉に戻し不燃物を
   炉外に排出する装置において、前記排出口の先に配設さ
   れ気体吹出し孔を具えた分離部及び同分離部から上方に
   伸びて前記焼却炉内に連通された流動媒体返送ダクトと
   下方に伸びて気体吹出し手段を具えた不燃物排出ダクト
   とを有することを特徴とする流動層焼却炉の不燃物排出
   装置。