JPH06345705A - テトラヨードベンゼン誘導体 - Google Patents

テトラヨードベンゼン誘導体

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JPH06345705A
JPH06345705A JP5133549A JP13354993A JPH06345705A JP H06345705 A JPH06345705 A JP H06345705A JP 5133549 A JP5133549 A JP 5133549A JP 13354993 A JP13354993 A JP 13354993A JP H06345705 A JPH06345705 A JP H06345705A
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JP
Japan
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acid
compound
contrast
bis
reaction
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JP5133549A
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English (en)
Inventor
Kunio Sanada
邦雄 真田
Tetsuaki Kawanishi
徹朗 川西
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Publication of JPH06345705A publication Critical patent/JPH06345705A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 新規なヨードベンゼン誘導体、およびそれを
含有するX線造影剤組成物。 【化1】 (式中、R1及びR3は同一又は異なっても良く、水素原
子、低級アルキル基又は非イオン性親水性基を示し、R
2及びR4は同一又は異なっても良く、非イオン性親水性
基を示す。) 【効果】 造影能、水溶性、粘度、安定性等の物理化学
的性質に優れた上に、さらに免易学的刺激能が低いため
安全性が高い。また、それを含有する組成物はX線造影
剤として有効に使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線造影剤として用いら
れる新規な非イオン型ヨードベンゼン誘導体及び該化合
物を含有する造影剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】X線造影検査は血管や臓器等の疾患にお
ける形態変化を明らかにし、正確な診断を行うのに有用
な手段であり広汎に用いられている。X線造影検査の
内、血管、尿路、脳室、気管支、脊髄、胆道、消化管等
の体腔の造影においては造影剤が不可欠である。これら
の器官はX線造影に陰性である為、画像にコントラスト
を与える目的でX線遮蔽効果を有する化合物が造影剤と
して投与される。ヨードベンゼン誘導体はこの目的を達
成する上で適しており、これまでに多くの化合物が開発
され、既に頻繁に用いられている。X線造影剤に要求さ
れる条件として、高造影能、低化学毒性、高水溶性、低
浸透圧、低副作用、低粘度、高安定性、低コスト等があ
げられる。この内、造影能に関しては、ヨードベンゼン
誘導体型造影剤の場合、1分子中のヨウ素の数が反映す
る。ヨウ素数が出来るだけ多いほうが造影能が優れる事
は明らかであるが、反面ヨウ素数を増やすことによって
好ましくない疎水性の向上や化学毒性の増加等が生じ
る。しかし、これは適当な親水性基を用いることである
程度回避できる。現在ベンゼン環1つ当たりヨウ素3原
子を持つ化合物が最も多く用いられている。最終的に
は、造影剤として用いうる物理的・化学的性質を備えた
上で、1mL当たり重量組成に換算して250mg以上のヨ
ウ素原子を含有するよう水溶液状態に製剤可能な化合物
が望ましい。
【0003】化学毒性に関しては、通常医薬で使用され
る多くの化合物に比較してより高い安全性が要求され
る。その理由としてX線造影剤は治療薬等の医薬品に比
較して投与量がはるかに多い事があげられる。例えば、
冠動脈造影においては、ヨウ素換算300mg/mL濃度の
造影剤が一回に20〜60mLも投与される。化学毒性の
評価には動物を用いた静脈内注射におけるLD50値が指
針となる。ラット静脈内注射のLD50値は、ヨウ素換算
2.0g/Kg以上、好ましくは10.0g/Kg以上が望まれ
る。水溶性と浸透圧の問題に関しては、近年非イオン性
造影剤が開発されたことにより多大な進歩を遂げた。非
イオン性造影剤は、それまでのイオン性造影剤での問題
点であった副作用の低減に大きく貢献した。血管、尿
路、脊髄造影に用いられる造影剤に要求される物性の一
つに、高い水溶性がある。ヨードベンゼン誘導体の場合
この水溶性の確保の為、高極性基を導入する必要があ
る。イオン性造影剤では高極性基としてアミノ基、カル
ボキシル基等のイオン性官能基を導入し、何らかの塩の
形で用いられて来た。ところが、イオン性官能基は溶液
中でイオンに解離する為に非常に高い浸透圧を示し、数
々の副作用の主因となっていた。これを解決する為、近
年高極性基としてヒドロキシル基のような解離しない非
イオン性官能基を用いた化合物が開発され、副作用の発
生率が大幅に低減した。非イオン性の高極性基の導入は
低浸透圧化のみではなく、神経毒性などの毒性の低減に
も寄与していると言われている。
【0004】X線造影剤の副作用としては、投与後比較
的短期間の間に生じる嘔気、痒疹、熱感等の軽いものか
ら、循環障害、肺浮腫、心停止等の死亡につながる重篤
なものまで報告されている。非イオン性造影剤の開発に
より副作用の発生率は低下したものの、完全に解決され
てはいない。副作用の発生機構に関しては、数々の研究
例があるがまだ明らかにされていない点も多い。ラッサ
ー(Lasser)等は副作用の要因を造影剤自体の有する化
学毒性に起因するものと、造影剤によって誘発される全
身反応に起因するものの2種に分類した[Lasser EC et
al.,Invest.Radiol.15,S2-S5(1980)]。前者は前述の
化学毒性の測定によってある程度予測可能である。とこ
ろが後者については発生機構が複雑である為、予測が困
難である。現在その指標として、アレルギー反応に関与
する生体物質の挙動を捕らえる方法が有用であると考え
られている。粘度に関しては、通常注入は注射器をもっ
て行われる為、高粘度は投与者の負担を大きくすること
になる。即ち、使用濃度においてなるだけ低粘度である
ことが好ましく、濃度300mgI/mL濃度において、37
℃で6.5cp以下が望ましい。
【0005】また、安定性に関しては、室温保存で化学
変化を起こさないことはもちろん、オートクレーブ滅菌
に耐えうる安定性が要求される。注射剤として十分な滅
菌に必要な条件は通常120℃,20分が目安となり、
少なくともこの条件での安定性が要求される。ヨードベ
ンゼン誘導体の非イオン性X線造影剤は、次に示すよう
に既に多くの化合物が公知となっている。特公昭56−
23404号で3,5−ジ置換−2,4,6−トリヨード
アニリン誘導体が開示されている。特公昭58−272
64号では2,4,6−トリヨードイソフタル酸誘導体が
開示されている。また特開昭61−91161号ではト
リヨードトリアミノベンゼン誘導体が開示されている。
さらに特公昭60−23108号では、2量体型の非イ
オン性造影剤が開示されている。2量体にすることによ
ってより1分子当たりのヨウ素含量が高く出来る。これ
らの化合物は前記の造影剤に要求される条件をほとんど
満たしているが、未だ解決されない問題点も残されてい
る。その一つとして前述の副作用の問題があげられる。
イオン性造影剤に比較し副作用発生率は低減したもの
の、非イオン性造影剤においても副作用の症例が報告さ
れており、さらに安全な造影剤が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、造影
能、水溶性、粘度、安定性等の物理化学的性質を満たし
た上で、1分子当たりのヨウ素含量を増やすことで1mL
当たりの分子数を減らし、その結果少ない投与量で従来
の非イオン性造影剤と同程度の造影能を有し、副作用の
発生が少なく安全性の高い非イオン性X線造影剤を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的は、本発明によ
る化1で示されるヨードベンゼン誘導体によって達成さ
れる。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1及びR3は同一又は異なっても
良く、水素原子、低級アルキル基又は非イオン性親水性
基を示し、R2及びR4は同一又は異なっても良く、非イ
オン性親水性基を示す。)
【0010】さらに、前記目的は前記化1に示されるヨ
ードベンゼン誘導体を含有するX線造影剤組成物によっ
て達成される。前記目的はさらに前記ヨードベンゼン誘
導体を成分とするX線造影剤組成物によって達成され
る。本発明のヨードベンゼン誘導体における低級アルキ
ル基とは、直鎖あるいは枝分かれ構造の何れでも良い
が、好ましくは炭素数1〜6個の炭素原子よりなるもの
が良い。例をあげるならば、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、3級ブチル
等を用いることが可能である。非イオン性親水性基と
は、高い極性を有する置換基であってかつ水溶液中でイ
オン化しないものであり、ヒドロキシアルキル基、シア
ノアルキル基、ポリエーテル基、さらに糖残基を用いる
ことも可能である。又、基のなかにエーテル結合、エス
テル結合、アミド結合等を含んでいても良い。この例と
しては、2個以上の非イオン性親水性基がこれらの結合
を介して多量化された状態にある場合があげられる。
【0011】ヒドロキシアルキル基とは幾つかのヒドロ
キシル基で置換された直鎖もしくは枝分かれ構造を有す
るアルキル基を示すが、アミド結合のとなりの炭素には
ヒドロキシル基が置換されていないもので、好ましくは
炭素数4〜7で構成され、ヒドロキシル基が3〜7個の
ものが良い。用いうるヒドロキシアルキル基の例として
は、−CH2CH(OH)CH(OH)CH2OH、−C
H(CH2OH)CH(OH)CH2OH、−CH2CH
(OH)CH(OH)CH(OH)CH2OH、−CH
(CH2OH)CH(OH)CH(OH)CH2OH、−
CH[CH(OH)CH2OH]2、−C(CH2OH)2
CH(OH)CH2OH、−CH2CH(CH2OH)C
H(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)CH(CH
2OH)2、−CH(CH2OH)CH(CH2OH)CH
2OH、−CH2C(CH2OH)3、−CH2[CH(O
H)]4CH2OH、−CH(CH2OH)[CH(O
H)]3CH2OH、−CH2[CH(OH)]2CH(C
2OH)2、−CH[CH(OH)CH2OH]CH
(OH)CH(OH)CH2OH、−CH2C(CH2
H)2CH(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)C
(CH2OH)3、−CH2[CH(OH)]5CH2
H、−CH(CH2OH)[CH(OH)]4CH2
H、−CH2CH(CH2OH)[CH(OH)]3CH2
OH、−CH2[CH(OH)]3CH(CH2OH)2
−CH[CH(OH)CH2OH]CH(OH)CH
(OH)CH(OH)CH2OH、−CH[CH(O
H)CH(OH)CH2OH]2、−CH(CH2OH)
CH(OH)CH(OH)CH(CH2OH)2、−CH
2C(CH2OH)2CH(OH)CH(OH)CH2
H、−CH2CH(OH)CH(OH)C(CH2OH)
3、−CH[CH(OH)CH2OH]CH(OH)CH
(CH2OH)2、−CH[CH(CH20H)2]CH
(OH)CH(OH)CH2OH等がある。
【0012】また、基の中にエ−テル結合を有するもの
としては、−CH2CH2OCH2CH(OH)CH(O
H)CH2OH、−CH2CH2OCH(CH2OH)CH
(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OCH2
CH(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)CH2
CH(CH2OH)2、−CH(CH2OH)CH2OCH
2CH(OH)CH2OH、−CH(CH2OH)CH2
CH(CH2OH)2、−CH2CH(OH)CH(O
H)CH2OCH2CH2OH、−CH2CH(OH)CH
(CH2OH)OCH2CH2OH、−CH2CH(OCH
2CH2OH)CH(OH)CH2OH、−C(CH2
H)2CH2OCH2CH2OH、−CH2CH2OCH2
H(OH)CH(OH)CH(OH)CH2OH、−C
2CH2OCH(CH2OH)CH(OH)CH(O
H)CH2OH、−CH2CH2OCH[CH(OH)C
2OH]2、−CH2CH(OH)CH2OCH2CH
(OH)CH(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)
CH2OCH(CH2OH)CH(OH)CH2OH、−
CH(CH2OH)CH2OCH2CH(OH)CH(O
H)CH2OH、−CH(CH2OH)CH2OCH(C
2OH)CH(OH)CH2OH、−CH2CH(O
H)CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2
H、−CH2CH2OCH2CH(CH2OH)CH(O
H)CH2OH、−CH2CH(OH)CH(OH)CH
2OCH(CH2OH)2、−CH(CH2OH)CH(O
H)CH2OCH2CH(OH)CH2OH、−CH(C
2OH)CH(OH)CH2OCH(CH2OH)2、−
CH2CH2OCH2CH(CH2OH)CH(OH)CH
2OH、−CH2CH2OCH2CH(OH)CH(CH2
OH)2、−CH[CH(OH)CH2OH]CH2OC
2CH(OH)CH2OH、−CH[CH(OH)CH
2OH]CH2OCH(CH2OH)2、−CH2CH(O
H)CH(OH)CH(OH)CH2OCH2CH2
H、−CH(CH2OH)CH(OH)CH(OH)C
2OCH2CH2OH、−CH(CH2OH)CH(O
H)CH(CH2OH)OCH2CH2OH、−CH(C
2OH)CH[CH(OH)CH2OH]OCH2CH2
OH、−CH[CH2OCH2CH2OH]CH(OH)
CH(OH)CH2OH、−C(CH2OH)2CH2OC
2CH(OH)CH2OH、−C(CH2OH)CH2
CH(CH2OH)2等があるが、無論ここに記す以外の
ものでも良い。
【0013】本発明に関わるヨードベンゼン誘導体を製
造するに当たっては、容易に入手可能な5−アミノイソ
フタル酸を原料とし、ベンゼン環へのトリヨウ素化反
応、アミノ基のヨウ素との置換反応、さらにカルボキシ
ル基へのアミド型側鎖の導入の3つの工程を経て成し得
る。5−アミノ酸のトリヨウ素化反応は、種々の公知の
方法に従って成し得る。例えば、希酸存在下塩化ヨウ素
と反応させたり、NaICl2と反応させたり、過酸化水素存
在下ヨウ素と反応、あるいはモルホリン、トリエチルア
ミン等の塩基存在下ヨウ素と反応させる等の条件で得る
ことが出来る。反応溶媒には、水のほかアルコール、
1,4−ジオキサン、アセトン等が用いられる。アニリ
ン性アミノ基をヨウ素に置き換える反応は、アミノ基を
脱離しやすい形に変換し、次いでヨウ化物イオンによっ
て求核置換反応させることにより遂行される。アミノ基
を脱離しやすい形に変換する例としては、塩酸存在下、
水及びテトラヒドロフラン等の極性溶媒中で、亜硝酸ナ
トリウムを用いたジアゾ化があげられる。この反応に続
くヨウ化物イオンによる求核置換は適当な金属とのヨウ
化化合物と水溶液中で反応させることによって行われ
る。このヨウ化化合物の例としては、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属との塩、即ち、ヨウ化ナトリウム、ヨウ
化カリウム、ヨウ化マグネシウム等があげられる。
【0014】イソフタル酸のカルボキシル基へのアミド
型側鎖の導入も、数々の公知の方法で得られる。例え
ば、酸ハロゲン化物法、エステル化を経た後のアミド
化、混合酸無水物法、縮合剤を使用する方法等で達成す
ることが出来る。酸ハロゲン化法の場合、例えばイソフ
タル酸に塩化チオニルを反応させて酸塩化物とした後、
該当する親水性側鎖を有するアミンを反応させて行うこ
とが出来る。この場合ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキ
シド等の適当な溶媒を使用しても良い。またエステル化
を経る方法では、先ず酸存在下アルコールと脱水反応を
行う等の方法でカルボン酸エステルとし、さらに該当す
るアミンと反応を行いアミド化合物を得る。何れの場合
も、導入する親水性側鎖を有するアミンに存在するアミ
ノ基以外の官能基が反応に関与する可能性のある場合、
予め保護して用いることが必要となる。得られた最終生
成物の精製は活性炭処理、イオン交換による脱塩、カラ
ムクロマトグラフ、あるいは再結晶等の合成化学におけ
る常法によって行われる。また本発明において、化1に
示されるヨードベンゼン誘導体をX線造影剤組成物とし
て用いる為には、緩衝剤や安定剤等の通常の注射用製剤
に用いられる添加物を付与した水溶液とする。緩衝剤と
しては、トリスヒドロキシアミノメタン、リン酸塩、ホ
ウ酸塩等が用いられ、安定剤としてはエチレンジアミン
4酢酸塩等が用いられる。得られた水溶液は濾過後、ア
ンプルやバイアル等に封入し、オートクレーブ滅菌を行
い造影に用いる。
【0015】本発明に関わる造影剤組成物の副作用発生
予測の指標として、我々は遊離ヒスタミン量と補体活性
値を用いた。造影剤の投与による副作用の発生とヒスタ
ミン遊離の関連に関しては、次の例が報告されている。
ペーター(Peter)等は、ヨード造影剤としてメチル
グルカミン イオジパメート(methyl glucanine iodip
amate)を投与した場合、副作用発現例では発現しなか
った場合に比較して遊離ヒスタミン値が2倍になったと
報告している[Peter G.A. etal.,The Journal of Alle
rgy 38,74-83(1966)]。シーゲル(Siegel)等は、ヨー
ド造影剤により副作用が生じた患者の白血球内ヒスタミ
ン値を測定したところ、正常人の1.5〜2倍量であっ
たと報告している[Siegel R.L. et al.,Investigative
Radiology 11,98-101(1975)]。さらにロッカ(Rockat
t)等は、培養肥満細胞を用いて造影剤投与によるヒス
タミン遊離を直接証明している[Rockatt S.D. et al.,
Investigative Radiology 7,177(1972)]。この他に
も、ヒスタミン遊離が副作用の発現に関与している事を
証明する実験例が多数報告されている。
【0016】副作用と補体系の関与に関しては次の報告
がある。アロヤブ(Arroyave)等は、造影剤の投与によ
り補体活性の指標値である50%溶血値(CH50)が低
下したというデータを報告している[Arroyave C.M.et
al.,J.Allegy.Clin.Immunol.63,276-280(1979)]。ティ
ル(Till)等は、副作用発現例においてCH50の有意
な低下が見られた事を報告している[Till G.R.et al.,
Int.Arch.Allergy Appl.Immunol.56,543-550(1978)]。
またコルブ(Kolb)等は、造影剤によって補体タンパク
質の構造変化が生じ活性化が起こると報告している[Ko
lb W.P.,J.Immunol.121,1232-1238(1978)]。以上、上
述したようにヒスタミン等の化学伝達物質、補体系やキ
ニン系に関与する各因子、c−AMPのような細胞内伝
達因子等の挙動と副作用発生との関係が実証された例が
多く報告されており、また、イオン性造影剤と非イオン
性造影剤についてこれらの測定値を比較した研究では、
副作用の生じ易いイオン性造影剤の方が明らかに免疫学
的刺激能が高く、副作用発生の確率とこれらの指標値が
ある程度の相関を有しているという結果が報告されてい
る。そのため、造影剤によって誘発される副作用予測の
指標として、アレルギー反応に関与する生体物質の挙動
を捕らえる方法が有用であると考え、該遊離ヒスタミン
量と補体活性値を用いた。以下に実施例を示して本発明
をさらに具体的に説明する。
【0017】
【実施例】
(実施例1)2,4,5,6−テトラヨードイソフタル酸
−1,3−ビス(2,3,4−トリヒドロキシブチル)ジ
アミド(化2)の合成
【0018】
【表1】
【0019】
【化3】
【0020】表1に示す経路で、化2に示す2,4,5,
6−テトラヨードイソフタル酸−1,3−ビス(2,3,
4−トリヒドロキシブチル)ジアミドの合成を行った。
その詳細は下記のとおりである。なお、下記各実施例の
個々の化合物の合成法とスペクトルデータを以下に示
す。構造確認に用いた機器と測定条件は次の通りであ
る。
【0021】核磁気共鳴分析(NMR) 装置:日本電子
製EX−90型(90MHz) 測定溶媒:CDCl3(記載の無い場合) 赤外分光分析(IR) 装置:日本分光製IR−
810型 測定方法:クロロホルム溶液又はKBr錠剤法 質量分析(MS) 装置:日本電子製D−300
型 イオン化法:FAB(グリセリンマトリックス)
【0022】5−アミノ−2,4,6−トリヨ−ドイ
ソフタル酸の合成 5−アミノイソフタル酸(アルドリッチ(Aldrich)社
製)2.0Kg(11.0mol)を希塩酸(水200L ,濃
塩酸500mL)に懸濁した。85℃に温度を保ちながら
滴下漏斗より塩化ヨウ素(和光純薬社製)1.7Kg(3
3.0mol)を約30分かけて滴下し、その後3時間かき
まぜながら反応を行った。室温まで放冷し13時間かき
混ぜた後吸引濾取し、冷水で3回洗浄した。得られた粉
末を真空デシケーター内で乾燥し、5−アミノ−2,4,
6−トリヨ−ドイソフタル酸を得た。 収量:5.3Kg (81%) IR (νcm-1):3300(O−H)1 H-NMR(δppm):5.2(bs,Ar−NHx2)
【0023】2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル酸の合成 5−アミノ−2,4,6−トリヨ−ドイソフタル酸2.0K
g(3.36mol)を50%塩酸水溶液4L とテトラヒド
ロフラン4L の混合溶媒に懸濁し、そこへ亜硝酸ナトリ
ウム250g(3.62mol)を水2L に溶かした水溶液
を氷冷下かき混ぜながら滴下漏斗を用い20分かけて滴
下し、更に20分間かき混ぜた。次に、この反応溶液に
ヨウ化カリウム1.4Kg(8.43mol)を水1.5L に溶
かした水溶液を室温下かき混ぜながら滴下漏斗を用い3
0分かけて滴下し、更にそのまま2時間かき混ぜた。反
応後、水10L を加えて希釈し、クロロホルム3L で5
回抽出し、有機層を合わせて5%チオ硫酸ナトリウム水
溶液、5%二亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水それ
ぞれ3L で2回づつ洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した。これを減圧濃縮し、酢酸エチルを溶出溶媒とす
るシリカゲルカラムクロマトにより精製した。溶出物を
ロータリーエバポレーターにて蒸発乾固し、さらに真空
デシケーター中で5日以上乾燥した。 収量1.96Kg (87%) IR (νcm-1):3300(O−H),1690(C=
O)1 H-NMR(δppm,DMSO-d6):12.5(m,Ar−CO2
x2)
【0024】2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル
酸ジクロリドの合成 2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル酸670g(1.
0mol)をジメチルホルムアミド850mLに溶かし、氷
冷下かきまぜながら塩化チオニル218mL(3.0mol)
を滴下漏斗を用い30分かけて滴下し、室温に戻して1
時間かきまぜた。反応後、水5L で希釈し、クロロホル
ム1L で4回抽出し、抽出液を合わせて飽和炭酸ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水それぞれ500mLで2回ずつ洗
浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧
濃縮後、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4を溶出溶媒
とするシリカゲルカラムクロマトで精製した。 収量 652g (92%) IR (νcm-1):1790(C=O)1 H-NMR(δppm):ピ−クなし
【0025】2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル
酸−1,3−ビス[2−ヒドロキシ−2−(2,2−ジメ
チル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチル]ジア
ミドの合成 2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル酸ジクロリド7
1.0g(0.10mol)をジメチルホルムアミド150mL
に溶かした溶液を、特開昭58−116478号に記載
されている方法で合成した、2−アミノ−1(2,2−
ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタノ−
ル48.4g(0.30mol)と、トリエチルアミン(和光
純薬社製)41.8mL(0.30mol)をジメチルホルム
アミド250mLに溶かした溶液中に氷冷下、かき混ぜな
がら滴下漏斗を用いて15分間で加え、その後室温にし
て16時間反応を行なった。反応混合物に水2L を加え
て希釈し、酢酸エチル500mLで3回抽出した。有機層
を合わせて飽和炭酸ナトリウム水溶液200mL、水30
0mLと飽和食塩水300mLで洗浄し、無水流酸ナトリウ
ム上で乾燥した。減圧濃縮後、酢酸エチル:n−ヘキサ
ン=1:2を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマト
により精製し、2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル
酸−1,3−ビス[2−ヒドロキシ−2−(2,2−ジメ
チル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチル]ジア
ミドを得た。 収量:70.8g (74%) IR (νcm-1):3300(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−C−CH3x5),1.
4(s,O−C−CH3x7),3.5(m,N−CHx
4),3.5−4.6(m,O−CHx8),6.4(b
s,CONHx2)
【0026】2,4,5,6,テトラヨードイソフタル酸
−1,3−ビス(2,3,4−トリヒドロキシブチル)ジ
アミド(化2)の合成 2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル酸−1,3−
ビス[2−ヒドロキシ−2−(2,2−ジメチル−1,
3−ジオキソラン−4−イル)エチル]ジアミド60.
0g(0.066mol)をメタノ−ル300mLに溶かし、
アンバ−リスト−15(ロ−ム アンド ハ−ス社製)1
0gを加えて4時間かき混ぜながら還流し、アセトニド
の加水分解を行なった。反応後アンバ−リスト−15を
濾別し、濾液を減圧下で蒸発乾固させ、化2に示す2,
4,5,6−テトラヨードイソフタル酸−1,3−ビス
(2,3,4−トリヒドロキシブチル)ジアミドを得
た。 収量:54.9g (出発物質からの総収率46%) 分子式:C1620428 IR (νcm-1):3350(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm,D2O):3.5(m,N−CHx4),3.
5−4.4(m,O−CHx10),6.3(bs,CO
NHx2) FAB-MS(M/Z):877 (MH+
【0027】(実施例2)2,4,5,6−テトラヨ−ド
イソフタル酸−1,3−ビス(1,2,4,5−テトラヒド
ロキシペンチ−3−イル)ジアミド(化3)の合成1,1−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラ
ン−4−イル)−1−アミノメタンの合成 −1) 1,1−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジ
オキソラン−4−イル)メタノ−ルの合成 キシリト−ル(和光純薬社製)125g(1.0mol)を
無水ジメチルホルムアミド1L に懸濁し、パラトルエン
スルホン酸300mgと、アセトンジメチルアセタ−ル
(東京化成社製)400mL(3.3mol)を加え、80℃
のオイルバス上で3時間かき混ぜて反応を行なった。ト
リエチルアミン(和光純薬社製)30mLを加えパラトル
エンスルホン酸を中和した後、溶液が3分の1程度にな
るまで減圧下溶媒を留去した。濃縮液に氷水5L を加
え、800mLのクロロホルムで4回抽出した。水と飽和
食塩水各々800mLで1回ずつ洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウム上で乾燥した。濃縮後酢酸エチル:n−ヘキサ
ン=1:2を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマト
により精製を行なった。 収量195.1g (84%) IR (νcm-1):3450(O−H)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x3),
1.4(s,O−CH−CH3x3),2.5(bs,O
−H),3.6−4.5(m,O−CHx5)
【0028】−2) 1,1−ビス(2,2−ジメチル
−1,3−ジオキソラン−4−イル)−1−トシルオキ
シメタンの合成 1,1−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−4−イル)メタノ−ル186.0g(0.8mol)をピリ
ジン800mLに溶かした溶液に氷水冷却下、トシルクロ
リド(和光純薬社製)183.0g(0.96mol)を加え
て溶かし、その後室温に戻して2時間反応した。反応後
溶液が3分の1程度になるまでピリジンを減圧留去し、
氷水2L で希釈して、酢酸エチル600mLで3回抽出し
た。抽出液を合わせ、水500mLで2回、その後飽和食
塩水300mLで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した。濾別した濾液を濃縮後、酢酸エチル:n−ヘキ
サン=1:4を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマ
トで精製した。 収量90.4g(94%) IR (νcm-1):1330(S=O),1140(S=
O)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x1
2),2.4(s,Ar−CH3x3),3.5−4.4
(m,O−CH−x7),7.5(q,Ar−Hx4)
【0029】−3) 1,1−ビス(2,2−ジメチル
−1,3−ジオキソラン−4−イル)−1−アミノメタ
ンの合成 耐圧反応器に1,1−ビス(2,2−ジメチル−1,3−
ジオキソラン−4−イル)−1−トシルオキシメタン2
70g(0.7mol)をメタノ−ル1L に溶かした溶液を
入れ、更に濃アンモニア水500mLを加え100℃のオ
イルバス上で7時間反応を行った。反応溶液を3分の1
程度まで減圧濃縮後、水2L で希釈しクロロホルム40
0mLで4回抽出を行い、抽出液を合わせて飽和炭酸水素
ナトリウム水200mLで3回、飽和食塩水300mLで1
回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥後濾
過し、1,1−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソラン−4−イル)−1−アミノメタンを得た。 収量142.3g (88%) IR (νcm-1):3350(N−H),3300(N−
H)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x5),
1.4(s、O−CH−CH3x7),2.8(bs,C
−NH2),4.0(m,O−CHx6)
【0030】2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル
酸−1,3−ビス(1,2,4,5−テトラヒドロキシペン
チ−3−イル)ジアミド(化3)の合成 実施例1のにおいて2−アミノ−1(2,2−ジメチ
ル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタノ−ルの代
わりに上記実施例2の−3)のようにして得た1,1
−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−
イル)−1−アミノメタン69.0g(0.3mol)を用
い、実施例1と同様の方法により化3にその構造を示す
2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル酸−1,3−
ビス(1,2,4,5−テトラヒドロキシペンチ−3−
イル)ジアミドを得た。
【0031】
【化4】
【0032】 収量73.8g (出発物質からの総収率51%) 分子式:C18244210 IR (νcm-1):3400(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm,D2O):3.8(m,N−CHx2),3.
5−4.5(m,O−CHx14) FAB-MS(M/Z):937 (MH+
【0033】(実施例3)2,4,5,6−テトラヨ−ド
イソフタル酸−1,3−ビス[1,1−ジヒドロキシメチ
ル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシメチ
ル)メチル]ジアミド(化4)の合成5−アミノ−5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソラン−4−イル)メトキシメチル−2,2−ジメチル
−1,3−ジオキサランの合成 −1) トリス(ヒドロキシメチル)メタンアミンの
N−Z化反応 トリス(ヒドロキシメチル)メタンアミン182.0g
(1.5mol)と無水炭酸カリウム270.0g(1.95m
ol)を水800mLに溶かし、氷冷下かき混ぜながらベン
ジルオキシカルボニルクロリド214.0mL(1.5mo
l)をテトラヒドロフラン800mLに溶かした溶液を加
え、そのまま3時間反応を行った。析出した結晶を吸引
濾取し、冷水50mLで洗浄した後、メタノ−ル−クロロ
ホルム溶媒から再結晶し、N−ベンジルオキシカルボニ
ルトリス(ヒドロキシメチル)メタンアミンを得た。 収量367.6g (96%) IR (νcm-1):3420(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm,DMSO-d6):3.5−4.3(m,O−CH
−x6),5.0(s,Ar−CH−x2),7.3
(s,Ar−Hx5)
【0034】−2) N−ベンジルオキシカルボニル
トリス(ヒドロキシメチル)メタンアミンのモノアセト
ニド化反応 N−ベンジルオキシカルボニルトリス(ヒドロキシメチ
ル)メタンアミン255.3g(1.0mol)をジメチルホ
ルムアミド900mLに溶かし、パラトルエンスルホン酸
300mgとアセトンジメチルアセタ−ル(東京化成社
製)184g(1.5mol)を加え、80℃のオイルバス
上で3時間反応を行った。トリエチルアミン30mLを加
えてパラトルエンスルホン酸を中和した後、溶液が3分
の1程度になるまでジメチルホルムアミドを減圧留去
し、氷水2L を加えてクロロホルム500mLで3回抽出
した。抽出液を合わせ、水200mLと飽和食塩水300
mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。これを
濾過して減圧濃縮し、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:
3を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトにより精
製した。 収量280.4g (95%) IR (νcm-1):3410(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x3),
1.4(s,O−CH−CH3x3),4.1(m,O−
CH−x6),5.0(s,Ar−CH−x2),7.3
(s,Ar−Hx5)
【0035】 −3) ソルケタ−ルのO−トシル化反応 ソルケタ−ル264.3g(2.0mol)をピリジン500
mLに溶かし、氷水冷却下トシルクロリド420g(2.2
mol)を加え、室温に戻して3時間かき混ぜて反応し
た。反応溶液を氷水3L で希釈し、酢酸エチル500mL
で4回抽出した後抽出液を合わせ、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液300mLで2回、さらに飽和食塩水500mL
で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、
減圧濃縮し、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5を溶出
溶媒とするシリカゲルカラムクロマトにより精製した。 収量526.9g (92%) IR (νcm-1):1350(S=O),1180(S=
O)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x3),
1.4(s,O−CH−CH3x3),2.4(s,Ar
−CH3x3),3.6−4.3(m,O−CH−x
5),7.5(q,Ar−Hx4)
【0036】−4) N−Z化トリス(ヒドロキシメ
チル)メタンアミンのモノアセトニド体とソルケタ−ル
のO−トシル体との反応 N−Z化トリス(ヒドロキシメチル)メタンアミンのモ
ノアセトニド体255.3g(1.0mol)をジメチルホル
ムアミド500mLに溶かし、n−ヘキサン50mLで3回
洗浄した水素化ナトリウム(関東化学社製)28.8g
(1.2mol)を加えてかき混ぜた。泡が出なくなった
後、ソルケタ−ルのO−トシル体343.6g(1.2mo
l)をジメチルホルムアミド500mLに溶かした溶液を
加え、80℃のオイルバス上で8時間かき混ぜた。反応
溶液が、3分の1程度になるまで減圧濃縮し、氷水1L
で希釈し、酢酸エチル300mLを用いて3回抽出した。
抽出液を合わせ、飽和炭酸ナトリウム水、飽和食塩水各
々200mLずつで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥
した。濾過後濃縮し、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:
5を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトによって
精製し、5−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル)メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオ
キサランを得た。 収量315.3g (77%) IR (νcm-1):1650(C=O)1 H-NMR(δppm):1.3(s,O−CH−CH3x5),
1.4(s,O−CH−CH3x7),3.6−4.5
(m,O−CH−x11),5.0(s,Ar−CH3),
7.3(s,Ar−Hx5)
【0037】−5) 5−アミノ−5−(2,2−ジ
メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシメ
チル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサランの合成 2L ナス型フラスコに、5−ベンジルオキシカルボニル
アミノ−5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−4−イル)メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3
−ジオキサラン286.6g(0.7mol)を入れ、そこへ
メタノ−ル1Lを加えて溶かし、パラジウム−炭素触媒
(ナカライテスク社製)8.0g存在下18時間水素添加
を行った。セライト濾過を行い触媒を除き、濾液から溶
媒を減圧下留去し、5−アミノ−5−(2,2−ジメチ
ル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシメチル
−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサランを得た。 収量186.7g (97%) IR (νcm-1):3360(N−H),3280(N−
H)1 H-NMR(δppm,CD3OD):1.3(s,O−CH−CH3
5),1.4(s,O−CH−CH3x7),3.5−4.
4(m,O−CH−x11)
【0038】2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタル
酸−1,3−ビス[1,1−ジヒドロキシメチル−1−
(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシメチル)メチ
ル]ジアミド(化4)の合成 実施例1のにおいて、2−アミノ−1−(2,2−ジ
メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エタノ−ル
の代わりに、上記実施例3の−5)で得た5−アミノ
−5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−
イル)メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオ
キサラン82.6g(0.3mol)を用い、実施例1と同様
の方法により、化4にその構造を示す2,4,5,6−テ
トラヨ−ドイソフタル酸−1,3−ビス[1,1−ジヒド
ロキシメチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピルオ
キシメチル)メチル]ジアミドを得た。
【0039】
【化5】
【0040】 収量76.7g (出発物質からの総収率49%) 分子式C22324212 IR (νcm-1):3400(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR (δppm,D2O):3.5−4.4(m,O−CHx
11) FAB-MS (M/Z):1025(MH+
【0041】(実施例4)2,4,5,6−テトラヨ−ド
イソフタル酸−1,3−ビス(2,3,4,5,6−ペンタ
ヒドロキシ−n−ヘキシル)ジアミド(化5)の合成 D−グルカミン(東京化成社製)90.6g(0.5mol)
をジメチルホルムアミド150mLに懸濁し、そこへ、ト
リエチルアミン(和光純薬社製)70.0mL(0.50mo
l)を加え、氷冷下かき混ぜながら、実施例1の−
3)の反応で得た2,4,5,6−テトラヨ−ドイソフタ
ル酸71.0g(0.10mol)をジメチルホルムアミド1
50mLに溶かした溶液を約30分かけて滴下し、その後
室温に戻して6時間かき混ぜた。反応液からジメチルホ
ルムアミドを減圧留去し、残留する粗成物を水200mL
に溶かし、カチオン交換樹脂のカラム、ついでアニオン
交換樹脂のカラムに通して脱塩し、中性溶出物を蒸発乾
固し、化5に示される2,4,5,6−テトラヨ−ドイソ
フタル酸−1,3−ビス(2,3,4,5,6−ペンタヒド
ロキシ−n−ヘキシル)ジアミドを得た。
【0042】
【化6】
【0043】 収量83.7g (出発物質からの総収率54%) 分子式:C20284212 IR (νcm-1):3410(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm,D2O):3.6−4.4(m,O−CHx1
4),3.8(m,N−CHx4) FAB-MS(M/Z):997 (MH+
【0044】(実施例5)2,4,5,6−テトラヨ−ド
イソフタル酸−1,3−ビス(N−メチル−2,3,4,
5,6−ペンタヒドロキシ−n−ヘキシル)ジアミド
(化6)の合成 実施例4においてD−グルカミンの代わりにメチルグル
カミン(ナカライテスク社製)97.6g(0.5mol)を
用い、同様の反応を行い、化6に示される2,4,5,6
−テトラヨ−ドイソフタル酸−1,3−ビス(N−メチ
ル−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ−n−ヘキシ
ル)ジアミドを得た。
【0045】
【化7】
【0046】 収量79.9g (出発物質からの総収率51%) 分子式:C22324212 IR (νcm-1):3400(O−H),1650(C=
O)1 H-NMR(δppm,D2O):3.0(s,N−CH3),3.6−
4.4(m,O−CHx14),3.7(m,N−CHx
4) FAB-MS(M/Z):1025 (MH+
【0047】これら実施例1〜5により合成した化2〜
6に示す化合物の水溶性、溶液状態の粘度、安定性等の
物理化学的性状は、X線造影剤として好適であった。ま
た、実施例には示していない本発明に係わる他の化合物
も同様な物理化学的性状を示した。
【0048】(実施例6)実施例1〜5により合成した
化2〜6に示す化合物のヒスタミン遊離に対する影響の
評価 実施例1〜5により合成した化2〜6に示す化合物のヒ
スタミン遊離に対する影響の評価をアロヤブ(Arroyav
e)等によって報告された方法を用いて測定を行った[A
rroyave C.M.,Invest.Radiol.15,S21-S25(1980)]。末
梢血を2%グルコースと0.1M EDTAを含む6%デ
キストラン70の溶液と混和し1時間放置した。白血球
を含む上澄をリン酸等張緩衝液中に浮遊させ、この浮遊
液0.5mLに300mgI/mLに調整した造影剤化合物0.
2mLを加え37℃で45分間培養を行った。培養液を遠
心分離し、上澄中のヒスタミンをショアー(Shore)法
によって定量した[Shore P.A. et al. J.Pharmacol.Ex
p.Ther.127,182(1959)]。20人の血液について行った
結果を表2に示す。数値は造影剤を投与しない場合を1
00とした比率で表示した。比較参照例として、生理食
塩水とイオヘキソールを投与した結果も示した。表2よ
り、本発明に係わる化合物は、比較化合物のイオヘキソ
ールと比較して有意にヒスタミン遊離量が少ないことが
明らかである。
【0049】
【表2】
【0050】*イオヘキソ−ル:比較化合物。5−(N
−2,3−ジヒドロキシプロピルアセトアミド)−2,
4,6−トリヨ−ド−N,N'−ビス(2,3−ジヒドロキ
シプロピルイソフタルアミド。特公昭56−54310
号に開示されており、「オムニパ−ク(R)」として市
販。
【0051】(実施例7)実施例1〜5により合成した
化2〜6に示す化合物の補体活性に対する影響の評価 実施例1〜5により合成した化2〜6に示す化合物の補
体活性に対する影響の評価をシ−ゲル(Siegle)等の方
法に従って行った[Siegle R.L. et al.,Invest.Radio
l.18,387-389(1982)]。即ち、血清200μLと300m
gI/mLに調整した造影剤化合物100μLを37℃で6
0分間培養し、50%溶血補体量(CH50)をメイヤ
−(Mayer)等の方法で測定し、活性化されて消費され
た全補体量を求めた[Mayer M.M.,Experimantal Immuno
Chemistry p133,C.C.Thomas,(1961)]。20人の血清
について行った結果を表3に示した。比較参照例とし
て、生理食塩水とイオヘキソールを投与した結果も示し
た。表3より、本発明に係わる化合物は、比較化合物の
イオヘキソールと比較して有意にCH50値が高く、即
ち補体系に及ぼす影響が少ないことが明らかである。
【0052】
【表3】
【0053】(実施例8)以下の方法で尿路もしくは血
管造影に用いる造影剤組成物を得た。2,4,5,6−テ
トラヨ−ドイソフタル酸−1,3−ビス(2,3,4,5,
6−ペンタヒドロキシ−n−ヘキシル)ジアミド60.
53g、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム塩20m
g、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン100mg
を注射用水60mLに溶解し、0.1N水酸化ナトリウム
水溶液を用いて、pH=7.0に調製した。さらに、こ
の溶液を全体が100mLになるように注射用水を加え、
メンブランフィルターにより濾過した。これをアンプル
に封入し、オートクレーブを用いて120℃で20分滅
菌を行った。このようにして得られた造影剤組成物は1
mL当たり300mgのヨウ素を含む。この組成物の粘度、
保存安定性は良好であった。
【0054】
【発明の効果】本発明により、新規なヨードベンゼン誘
導体が得られ、当該ヨードベンゼン誘導体は実施例に示
したごとく、免易学的刺激能が極めて低く、投与による
副作用の発生率が低く、高い安全性が示唆できる。ま
た、本発明のヨ−ドベンゼン誘導体を含有する造影剤組
成物は、副作用の発生が少なく、高い安全性、良好な造
影能を有するX線造影剤として有効に使用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化1で表されるヨードベンゼン誘導体。 【化1】 (式中、R1及びR3は同一又は異なっても良く、水素原
    子、低級アルキル基又は非イオン性親水性基を示し、R
    2及びR4は同一又は異なっても良く、非イオン性親水性
    基を示す。)
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JP2012524741A (ja) * 2009-04-21 2012-10-18 ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ 芳香族化合物のヨウ素化方法
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