JPH0629844B2 - 杭の鉛直載荷試験方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は鋼管杭、遠心力成形コンクリート杭等中空断
面を有する基礎杭の支持力を測定する杭の鉛直載荷試験
方法に関するものである。

〔従来技術と発明の解決しようとする問題点〕

基礎杭の支持力を測定する試験方法としては第５図に示
すように試験杭ａの周辺に打設した反力杭ｂに連結され
た反力桁ｃと試験杭ａの頭部間に油圧ジャッキｄを介在
させて試験杭ａを押込む方法や、第６図に示すように試
験杭ａの杭頭部に直接コンクリートブロックｅ、その他
鋼片を載せて載荷する方法が実施されている。しかしこ
れらは試験を行なうためのスペースを相当広く必要と
し、また装置も大掛りなため試験費用が高いという問題
がある。

さらに杭の設計に必要な杭の先端支持力と周面摩擦力を
歪ゲージの貼付けなしに分離することは困難である。

この発明は前記従来の問題点を解消すべく試験スペース
がきわめて小さく、また試験費用も少なく、しかも杭の
先端支持力か或いは周面摩擦力のいずれか小さい方を確
認しうる方法を開発したものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明は地盤の土中内に打込み等によって埋設された
鋼管杭のような杭の中空部に押圧杆を挿入し、杭の上部
にアンカーされた反力桁を設け、押圧杆の頂部と反力桁
との間にジャッキを設け、このジャッキを操作すること
により、杭先端部の地盤または杭内土を反力として押圧
杆および反力桁を介して杭頭部に引抜力を、又杭底部に
地盤貫通力を作用させ、前記ジャッキによる荷重と杭お
よび押圧杆の変位を測定することにより杭の先端支持力
か杭の周面摩擦力のいずれか小さい方を測定する杭の鉛
直載荷試験方法である。

〔作用〕

従来一般に実施されている鉛直載荷試験方法では、開端
杭においては第７図(a)のように荷重Ｐ_１、杭の内周面
摩擦力Ｑ_１杭の外周面摩擦力Ｓ_１および杭の先端支持力
Ｑｐの関係は、 Ｐ_１＝Ｑ_１＋Ｓ_１＋Ｑｐ……(1) であり、閉端杭においては第７図(b)のように Ｐ_１＝Ｓ_１＋Ｑ_３……(2)であり、そのままでは杭の先
端支持力と内、外周面摩擦力を分離できない。

ところでこの発明の方法によるとジャッキに荷重を掛け
た場合第２図(a)に示すように、杭に作用する上向きの
荷重Ｐ_２、杭の内周面摩擦力Ｑ_２および杭の外周面摩擦
力Ｓ_２の関係は、 Ｐ_２（上）＝Ｑ_２＋Ｓ_２……(3) となる。杭は引き抜かれようとする場合Ｑｐ＝０とな
る。

また杭の内部下向きに作用する力の関係は第２図(b)に
示すように、 Ｐ_２（下）＝Ｑ_２＋Ｑ_３……(4) となる。この場合、Ｑ_３は杭の先端における地盤の支持
力である。

第２図(a)で、予め試験杭で杭の内面にすべり層材を塗
布しておいて土砂が杭Ａの先端部において閉塞状態とな
らないようにしておくと、Ｑ_２＝０となり(3)式および
(4)式は Ｐ_２（上）＝Ｓ_２……(5) Ｐ_２（下）＝Ｑ_３……(6) となる。

載荷試験においてＰ_２の値を増加していくと、Ｐ_２がＳ
_２の最大値Ｓ_2maxに達すると杭は引き抜かれ、Ｐ_２がＱ
_３の最大値Ｑ_3maxに達すると押圧杆が地盤に貫入する。
この試験方法でＳ_２またはＱ_３のいずれかの最大値を確
認することができる。

第７図(b)に示すような閉端杭の場合は、外周摩擦力Ｓ
_１が最大となれば、その時点で外周摩擦耐力は０とな
り、杭は地盤の支持力Ｑ_３で耐えることになる。逆に地
盤の支持力Ｑ_３が最大となれば杭の底部が破壊して杭は
外周摩擦力のみで耐えることになる。つまり閉端杭の設
計支持力は（２）式のＰ_１を安全率Ｆで除した値である
が、上述の理由によって、外周摩擦力と地盤支持力のい
ずれかが最大荷重（杭の耐力０になる荷重）に達しても
もなお他方は耐力を持つから（２）式からＰ_１≧２Ｓ
_1max又はＰ_１≧２Ｑ_3maxが成立し安全率Ｆ≧２が保証さ
れる。ここに第２図（ａ）のＳ_２と第７図（ｂ）のＳ_１
はベクトルの向きは反対であるが、その絶対値は等し
い。

〔実施例〕

第１図において地盤となる土中内に埋設された鋼管杭等
中空断面をなす既製の杭Ａの中空部に押圧杆１を挿入
し、押圧杆１の下端には荷重受け板２を設け、この杭Ａ
の上部側壁に連結したアンカー棒３によってアンカーさ
れた反力桁４を設け、押圧杆１の頂部と反力桁４との間
にジャッキ５を設ける。

杭Ａの上部側方にはダイヤルゲージ等からなる変位計６
を設け、また押圧杆１の上部側方にも変位計７を設けて
おく。

なお杭Ａの先端部に浸入する土砂は杭Ａの先端部におい
て閉塞状態となるが杭Ａの内にすべり層材を塗布してお
いて土砂が杭Ａの先端部において閉塞状態とならないよ
うにしておく。

そこでジャッキ５を操作することにより押圧杆１を押し
下げ、また反力桁４を介して杭Ａに引抜力と地盤貫通力
を作用させ、杭Ａの変位を変位計６により、また押圧杆
１の変位を変位計７により測定する。そしてそれぞれの
荷重と変位の関係より杭の先端における地盤の支持力か
杭の外周面摩擦力のいずれか小さい方が確認できる。

即ち開端杭の場合、先ず第１図で杭Ａの内面にすべり層
を塗布した状態にしておき、第１図でジャッキの圧力を
徐々に上げてダイヤルゲージ６が動き、杭が抜け出そう
とする時のジャッキ圧Ｐ_２を測定して外周最大摩擦力Ｓ
_2maxを得る。逆にジャッキ圧を上げてダイヤルゲージ７
が動き、押圧杆が地盤に貫通しようとする時のジャッキ
圧Ｐ_２を測定し杭の先端支持力Ｑ_3maxが得られる。

〔発明の効果〕

以上の通り、この発明は比較的小さな荷重によって設計
上必要な杭の先端支持力か外周摩擦力のどちらかを容易
に確認することができる。しかも装置も従来例に比較し
て小型化され、スペースを必要とせず、安価に試験する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施状態の概要を示した縦断面図、
第２図はその作用説明図、第３図、第４図は杭の先端部
の他の実施例を示した縦断面図、第５図、第６図は従来
例の概要を示した縦断面図、第７図はその作用説明図で
ある。 Ａ…杭 １…押圧杆、２…荷重受け板、３…アンカー棒、４…反
力桁、５…ジャッキ、６、７…変位計。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】土中内に埋設された杭の中空部に押圧杆を
   挿入し、杭の上部にアンカーされた反力桁を設け、押圧
   杆の頂部と反力桁との間にジャッキを設け、このジャッ
   キを操作することにより、杭先端部の地盤または杭内土
   を反力として押圧杆および反力桁を介して杭頭部に引抜
   力と杭底部に地盤貫通力を作用させ、前記ジャッキによ
   る荷重と杭および押圧杆の変位を測定することにより杭
   の先端支持力か或いは杭の周面摩擦力の小さい方を測定
   することを特徴とする杭の鉛直載荷試験方法。