JPH06289089A - 電力系統の事故様相特定装置 - Google Patents

電力系統の事故様相特定装置

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JPH06289089A
JPH06289089A JP7231693A JP7231693A JPH06289089A JP H06289089 A JPH06289089 A JP H06289089A JP 7231693 A JP7231693 A JP 7231693A JP 7231693 A JP7231693 A JP 7231693A JP H06289089 A JPH06289089 A JP H06289089A
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Junji Kamei
淳二 亀井
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KINKEI SYST KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 端子数、回線数、計測点に無関係に精度の高
い送電線路事故の標定ができる事故様相特定装置を提供
する。 【構成】 送電線路に取り付けられた各送電端子ごとの
電流を検出する変流器CTと、電圧を検出する変成器P
Tと、両検出手段CT、PTの測定データに基づいて送
電区間の事故時の回路方程式及び事故時の電力系統の発
電機Gとその負荷Lとの回路方程式を解析するプログラ
ムを備えた演算処理装置220を有する端末機100と
からなり、前記演算処理装置220は、両方程式を解析
プログラムにより解析することにより標定精度の向上を
図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、故障継続中の送電線
路の電圧及び電流を用いて、送電線路の端子数、回線
数、計測点に無関係に、故障点の標定を行なう電力系統
の事故様相特定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】社会生活や産業活動の高度化、多様化に
伴う電力供給の信頼性に対する要請への高まりから、電
力会社では、停電事故の発生を極力回避し、また、ひと
たび事故が発生した場合には、迅速に復旧するための種
々の対策を講じている。
【0003】ところで、この事故の復旧作業の際には、
事故様相の特定が復旧時間に大きく影響することから、
故障点を迅速に、かつ、正確に標定する必要があり、例
えば以下に示すような様々な方法が提案されている。
【0004】線路に沿って移動し、故障点を標定する
方法。
【0005】進行波の伝播特性を利用して標定する方
法。
【0006】故障時の系統の電圧及び電流を用いて標
定する方法。
【0007】の標定方法は、線路に信号用電源を印加
し、線路にそって検出器の移動を行い、検出される信号
の変化により、故障点を標定するもので、標定精度の良
好なことが特徴である反面、発電地点と需要地点との遠
隔化や都市部での線路の地中化に伴い、この巡視点検に
よる方法は困難となっている。
【0008】また、の進行波を用いる方法は、故障サ
ージを利用する方式と、標定パルスを線路に送出するパ
ルスレーダー方式に大別され、故障サージを利用する方
式は、故障点と線路端を往復する故障サージの伝播時間
を直接測定する方式と、別に受信装置、計数装置を備え
るものとに分けられる。パルスレーダー方式も標定期間
中に単一のパルスを送出する方式と繰り返しパルスを送
出する方式とに分けられる。この方式では、線路に沿っ
て移動して故障点を標定する方式のように、多くの人
手や時間を必要とせず、しかも精度の高い標定をするこ
とができるが、故障サージの判別やパルスの送出及び判
別に複雑な装置を有するという問題がある。
【0009】このため、電線路の電圧・電流を検出する
際の誤差や演算を行なう際の誤差が必然的に存在するた
め、標定精度は他の方式に比べ劣るが、装置の簡便さ及
び保護装置との関連から、近年、の方法、即ち、故障
時の系統の電圧及び電流を用いて標定を行なう方式が注
目を集めている。
【0010】この方式は、例えば電力系統の要所毎に電
圧及び電流検出手段を設置し、その検出手段の測定する
送電線の各相各端子の電圧・電流データと、あらかじめ
設定された送電線路単位長当たりの相互インピーダンス
L を定数とし、事故点までの距離K及び事故点抵抗R
1,2,……R6 を未知数とし、閃絡点をノードとしてキ
ルヒホッフの法則から導出された、例えば以下に示す送
電線路の回路方程式を演算処理装置で解析することによ
り、前記距離K及び事故点抵抗R1,2,……R6,E
算出し、故障点の標定を行なっている。
【0011】
【数2】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
故障時の電圧と電流とによる標定を演算処理装置により
行なうものでは、デジタルコンピュータ技術の導入によ
り、コストパフォーマンス面からは有利になると考えら
れているが、現状では次の様な問題がある。
【0013】(1)二線路にまたがる多相事故になる
と、両線路に事故電流が分流し、故障点の標定精度が低
下する。
【0014】(2)故障点の閃絡抵抗が大きいと、故障
電流が少なくなり、標定精度が低下する。
【0015】(3)多端子送電線など系統構成が複雑に
なると、故障電流が分散し、事故点の標定が困難にな
る。
【0016】(4)送電線の事前潮流が大きいと、計測
端子以外に接続された発電機や負荷の影響が出て、故障
点の標定精度が低下する。
【0017】(5)高抵抗接地系で、且つ、一線路送電
線の一線地絡事故は地絡電流が少なく、故障点標定が困
難である。
【0018】(6)事故原因は事故継続中の閃絡抵抗と
相関関係が強いと考えられるが、この閃絡抵抗の抵抗誤
差が大きいため、原因特定の信頼性が低い。
【0019】そこで、この発明の課題は、故障点の標定
精度が高く、系統構成が複雑になっても事故点の標定が
行なえ、発電機や負荷により故障点の標定精度の低下を
起こさず、地絡電流が少ない場合でも故障点の標定が容
易に行なえ、原因特定の信頼性の高い、事故様相特定装
置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、電力系統の送電区間の電圧を測定する電圧検出手段
と、各送電端子ごとの電流を測定する電流検出手段と、
その電流検出手段と電圧検出手段の測定データに基づい
て前記送電区間の事故時の回路方程式を解析することに
より、事故の様相を算出する演算処理装置とからなる電
力系統の事故様相特定装置において、上記演算処理装置
に、電力系統の発電機及び負荷の端子電圧と電流との関
係式を上記送電区間の回路方程式の解析手段として備え
た構成としたのである。
【0021】このとき、上記演算処理装置に、事故区間
以外の送電区間の回路方程式を上記送電区間の回路方程
式の解析手段として備えるようにしてもよい。また、こ
の際、上記事故区間及び事故地点を事故点抵抗のリアク
タンス成分が0となることにより算出するとすることや
その際上記事故点抵抗のリアクタンス成分を実験式
【0022】
【数3】
【0023】より算出し、その式のXf =0となるKを
求めることにより、事故点地点を算出することもでき
る。
【0024】さらに、事故区間及び事故点算出後、その
算出によって求められた事故点電圧及び事故点電流によ
り、事故点抵抗を求めることや、上記演算処理装置に上
記方程式をマトリックス演算により解析する解析手段を
備えたり、その演算を上記マトリックスを系統構成に従
って結合して行うようにすることもできる。
【0025】
【作用】このように構成される電力系統の事故様相特定
装置では、キルヒホッフの第1及び第2法則を用いて導
出された送電区間の事故現象の回路方程式の解析を行う
ことにより、変電所から事故点までの距離と事故点の抵
抗値を算出し、事故様相を特定する。
【0026】このとき、事故に関係する情報を含む発電
機と送電線の負荷の振舞を端子電圧と電流との関係式で
表される等価回路で推定し、各ノードブランチにキルヒ
ホッフの第1及び第2法則を適用することによって作ら
れる前記等価回路の方程式を条件式として同時に解析す
ることにより、少ない情報から複雑な事故を特定し、標
定の算出誤差の減少を図る。
【0027】また、事故区間以外の送電区間の回路方程
式を解析に用いるようにしたものでは、事故区間以外の
区間の電流・電圧検出手段が反映する事故情報を条件式
として同時に解析することにより、標定時の算出誤差の
減少を図る。
【0028】一方、事故区間及び事故地点を事故点抵抗
のリアクタンス成分が0になることにより、算出するよ
うにしたものでは、短絡あるいは、地絡状態にある事故
点のインピーダンスZf は、 Zf =Vf /If で示され、虚数部が0であると推定されることから、逆
に、この事故点のインピーダンスのリアクタンス成分の
0となる送電区間及び事故点距離を算出することによ
り、事故様相を特定する。
【0029】また、上記リアクタンス成分を
【0030】
【数4】
【0031】としてXf =0なるKを求めることによ
り、事故点及び事故点距離を算出するようにしたもので
は、Kとリアクタンス成分Xf の関係が、三次展開され
た実験式 Xf =aK3 +bK2 +cK+d で近似できることから、この方程式を解法し、Xf =0
となる根を求める。
【0032】また、事故区間及び事故点の算出後、その
算出によって求められた事故点電圧及び事故点電流によ
り、事故点抵抗を求めることとしたものでは、その求め
られた事故点抵抗は、逐次入力される電流及び電圧検出
手段からの測定値によって算出されることから、その算
出された事故点抵抗の変化から事故原因を推定するため
の時系列データを得ることができる。
【0033】一方、回路方程式をマトリックス演算によ
り行なうものでは、多項式である上記回路方程式の解が
容易に求められる。
【0034】このとき、マトリックスを系統構成によっ
て結合することにより行なうものでは、マトリックスの
結合により、事故区間以外の未知数を含むマトリックス
を縮約し、コンパクトなマトリックスに変換して演算の
高速化を図る。
【0035】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0036】図1は、本発明の事故様相特定装置を三相
交流並行2回線3端子系統に用いた場合の一実施例を示
すシステム構成図を示したものである。1L、2Lは1
号、2号送電線で各々単線で示しているが、それぞれ3
相3線引きによって構成されている。
【0037】また、送電線1L、2Lの接続点から、接
続点までを区間NSと呼び、図1は3区間NS1〜3で
構成されており、本実施例では、この亘長上において、
短絡・地絡などの事故が発生したときに、事故区間と事
故点及び事故点抵抗を算出する。
【0038】電気所の母線1乃至3には発電機G及び負
荷Lが接続され、送電線1L、2Lの引出口には各相ご
とにしゃ断器CBが設置されている。CTは変流器、P
Tは変成器であり、それぞれ電流検出手段、電圧検出手
段として送電区間NS1〜3の情報を取り込むためのも
のである。本実施例では、PT、CTは区間1(NS
1)の母線1側の電圧及び電流情報を時系列データとし
て端末機100へ入力する。
【0039】端末機100は、前記PT、CTの電圧、
電流信号をデジタル量に変換し記憶する機能をもつ信号
入力部110と、信号の伝送ができる伝送部120とか
ら構成されている。200は、中央処理装置で、前記端
末100からの信号受信装置210とその受信装置21
0の受信する前記PT、CTの検出した母線1電圧と送
電線1L、2Lの電流のサンプリングデータから事故点
の位置及び事故点抵抗を算出する解析手段を備えた演算
処理装置220と、事故特定結果を出力する表示記憶装
置230からなっている。
【0040】この実施例は、以上のように構成されてお
り、次に、演算処理装置220が事故点の位置及び事故
点抵抗を算出し、標定を行なう際の演算方法を、図2に
従って説明する。
【0041】この演算方法では、汎用性を考慮してキル
ヒホッフの第1及び第2法則を使って区間ごとに多相事
故の一般式を作り、その一般式と発電機G、その他の事
故時の一般式とをマトリックス合成し、その合成された
マトリックスを解析し、それらの情報によって事故点と
事故点抵抗を精度を向上させたマトリックス演算により
算出する。以下、これらのことについて詳細に説明する
こととする。
【0042】まず、事故時の送電線路1L、2Lの一般
式化(300)について述べる。
【0043】図3は、図1の、一つの区間を各相毎に表
示したものである。1号送電線1L、2号送電線2Lに
またがる事故が発生するので、相をNO1〜NO6によ
り表示してある。また、送電線の送端子及び受端子の電
圧、電流にそれぞれ添字S、Rを付け表示してある。K
は事故点までの距離で全長を1とおいた割合によって示
してあり、S端子至近端事故のときK=0である。R1
〜R6は各相の事故点抵抗であり、RE は事故相に共通
な事故点抵抗である。Zijは図4(a)に示すように送
電線1L、2Lの相互インピーダンスであり、図4
(b)に示すように送電線1L、2Lの各相ごとの架線
状態に応じてあらかじめ、インピーダンステーブルが決
められており、その値が代入されるようになっている。
【0044】これらの諸元で事故区間の電圧、電流の関
係をキルヒホッフの第1及び第2法則を用いて定式化す
ると(1)〜(4)式となる。ここで変数V、I、Zij
は複素数でKは実数である。
【0045】
【数5】
【0046】この(1)〜(4)式をマトリックス表現
し(301)、更にIs 、IR 部分を単位行列化すると
(5)式となる。
【0047】
【数6】
【0048】ここで、(5)式中Zij -1はZijの逆マト
リックスである。
【0049】また、事故を起こしていない健全区間は、
送電線の対地アドミツタンスをY(i) とすると、(6)
式となり、
【0050】
【数7】
【0051】これをIs 、IR を単位行列としてマトリ
ックス表現すると(7)式となる。
【0052】
【数8】
【0053】(7)式でAは(6)式を単位行列化した
あとのVs 、VR の要素マトリックスである。また、
(7)式は区間毎に作成されるものである。
【0054】次に、発電機Gと負荷Lとにキルヒホッフ
の第1法則を適用してノード方程式を立てて、事故前の
端末機100の検出値あるいは推定値を使って等価回路
を定式化する(302)。この定式化(302)は、図
5で発電機出力と負荷の値がそれぞれベクトルWG 、W
L で与えられ、片端の電圧、電流がベクトルVM
1 、I2 で計測された場合、遠隔端子のノード電圧は
潮流計算で求めることができる。さらに、この電圧と前
記ベクトルWL 、WG から、負荷Lと発電機Gの等価回
路を次のように求めることができる。
【0055】発電機Gの等価回路は、発電機Gを図6の
ように3相対称内部誘起電圧ベクトルEa 、Eb 、Ec
と直列インピーダンスZG で表すと、発電機端子電圧ベ
クトルVa 、Vb 、Vc と電流ベクトルIa 、Ib 、I
c の関係は(8)式の通りとなる。
【0056】
【数9】
【0057】ここで、YG =1/ZG,a,b,c相は1
20°の位相差があるものとし、また、事故前の発電機
出力がWG =PG +jQG であること。発電機Gの至近
端事故での故障電流IGF
【0058】
【数10】
【0059】であることから、(8)式の等価インピー
ダンスZG と等価内部誘起電圧Eとを求めると(9)
(10)式となる。
【0060】
【数11】
【0061】ここで、(10)式により求められるEの
値を、三相対象座標法での基準相Ea とした場合、他の
相の値Eb 、Ec はこれをそれぞれ120°、240°
おくれさせたものとして求めることができる。また、こ
うして求めたEa 、Eb 、Ec の値は(8)式に対応す
る。
【0062】一方、負荷Lの等価回路は、図7に示すよ
うに定インピーダンス特性として定式化する。潮流計算
で負荷端子の電圧をVL (=Va )とし事故前の負荷を
L(PL +jQL )とすると
【0063】
【数12】
【0064】となり、(11)式で負荷の等価アドミッ
タンスを求めることができる。さらに、負荷端子の電圧
と電流の関係は(12)式で表すことができる。
【0065】
【数13】
【0066】また、図5に示すように、送電線接続点の
各ノード(1〜5)にキルヒホッフの第1法則を適用し
て一般化し(303)、マトリックス表示を行なうと
(13)式のようになる。
【0067】
【数14】
【0068】ここでYG ,YL と右辺のEG は(9)、
(10)、(11)式で求めた等価回路の定数である。
【0069】この事故区間NS=1〜3の送電線1L、
2Lは、送電線の分岐点あるいは電気所の母線1、2で
他の送電線1L、2Lと結合される。一方、図3の等価
回路で、送電線1L、2Lの両端電圧は、区間NS=1
〜3毎に個別の変数として扱っているので、区間NS=
1〜3の接続のためには隣接区間の電圧が等しくなけれ
ばならず、そのことを(14)式で表す(304)。
【0070】
【数15】
【0071】また、図1で母線の電圧はPTで、送電線
の片端の電流は、CTで計測され既知となるので、これ
を定式化すると、マトリックスは(15)式となる(3
05)。
【0072】
【数16】
【0073】以上のようにして求めた(5)、(7)、
(13)、(14)、(15)式を合成したマトリック
スは(16)式の様になる。これが系統の事故現象と計
測値を表す、全ての方程式である(306)。
【0074】
【数17】
【0075】このようにして事前に求めたマトリックス
は、演算処理装置220にプログラミングされ、PT、
CTから入力される電圧、電流データをパラメータとし
て解析される。
【0076】ところで、上記マトリックスは事故区間N
SFと事故点の位置Kによって内容が相違する。また、
方程式(16)は変数同士の乗算があり一度では解けな
い。
【0077】このため、次に、この非線形方程式の解法
(307)について説明する。
【0078】上記方程式(16)は、前述したように通
常の解法手法では、解を得るのは困難であるが、事故点
の位置Kが与えられれば方程式(16)は容易に解ける
わけである。そこで、事故区間NSFと事故点Kに適当
な値を代入することによって、数学的にV、Iを求め、
それが物理的現象として最も確からしいことを判定でき
れば解が求まったことになる。
【0079】いま、上記のようにしてNSFとKを代入
し、(16)式からVS 、VR 、If を求め、これを
(1)式に代入すると、事故点電圧Vf が求まる。ま
た、事故点の閃絡インピーダンスはZf =Vf /If
推定できる。この事故点の閃絡抵抗は、事故原因によっ
て様々な値をとるが、Zf の虚数部である閃絡リアクタ
ンスは、ほとんど零である。ここに着目し、事故点の閃
絡リアクタンスXf が零であるようなNSF、Kを見つ
ければ、それが求めようとする解である。実際KとjX
の関係を演算によるシュミレーション結果例で示すと、
図8のとおりである。事故点に近くなるとjXが減少
し、過ぎるとjXの符号が反転するのでKを特定するこ
とができる。
【0080】また、図9に示すように、3端子送電線の
シュミレーション例では、自区間外に事故があればKは
0〜1.0の範囲を越えた値となる。
【0081】前記(16)式では仮定された事故区間N
SFと事故点の位置Kは線形方程式となり解は容易に求
まるが、演算時間を短縮するため、マトリックスを縮約
する必要がある(308)。
【0082】このため、(16)式で送電線の両端電流
S 、IR を消去するため対角化行列に変換して(1
7)式を求め、
【0083】
【数18】
【0084】(17)式の下部を取り出し、線形連立方
程式を解くと、
【0085】
【数19】
【0086】(18)式となり、マトリックスの縮約が
行なわれる。
【0087】次に、逆マトリックスの作成(309)
は、(18)式の左辺マトリックスD2の逆マトリックス
2 -1を作り、右辺の定数マトリックスに掛け、EG
PT,CTの値を代入すると、(18)式が解ける。こ
こで、D2 -1ならびにB2 は事故前潮流状態が与えられ
れば一義的に決まるものである。従って、NSF、Kに
対するD2 -1,B2 を計算して記憶させておき、PT,
CTの計測値が与えられたときに演算し、事故点閃絡イ
ンピーダンスを求めることができる。
【0088】
【数20】
【0089】また、事故点位置Kの算出(310)は、
前述のマトリックス演算でVS 、VR 、If が求まる
が、事故区間NS=1〜3は、3区間をすべて繰り返し
計算することによって求める。そのときのKの仮想値
は、あらかじめ決められた、例えば表1に示すテーブル
の値を使用することとする。
【0090】
【表1】
【0091】次に、事故点の各線NWの電圧V
F(NW) は、
【0092】
【数21】
【0093】(20)式から求め、更に事故点閃絡イン
ピーダンスZf(NW) は、 Zf(NW) =Vf(NW) /If(NW) …… (21) (21)式から求められる。
【0094】表1の例では事故点の仮想位置は9点を指
定しており、Kと事故点閃絡リアクタンスXf の関係を
三次の実験式(22) Xf =aK3 +bK2 +CK+d …… (22) により近似し、その、Xf =0となる根Kをニュートン
法で求める。
【0095】この解は、各線毎に求まるので−0.5<
K≦1.5の範囲のものを信憑性があるとしてその平均
をとり区間の解を求める。同時に、この解に対するjX
の誤差を記憶し、想定事故区間NSFの計算がすべてく
り返されたあと、誤差の小さいものを事故区間と判定す
る。
【0096】このように、事故区間NSFと事故地点K
が特定されると、次に事故点抵抗R1 〜R6 、RE の時
系列計算法(311)によって、事故点抵抗の時系列変
化を求め事故原因を推定する。事故点抵抗の時間的変化
はPT、CTからの入力変化となって現れるため、(1
9)式にPT、CTの計測値を代入し、VS 、VR、I
f を求め、更に、各時間断面のVf(NW) 、If(NW) を求
めることにより算出することができる。
【0097】即ち、図10の等価回路にキルヒホッフの
法則を適用すると(21)式が得られ、これに
f(NW) 、If(NW) を代入した方程式(23)式を、
【0098】
【数22】
【0099】最小二乗法で解くと、Rf(NW) が求まる。
ここでU7 は地絡事故でない場合の仮想の電源で、地絡
時は零の値をとるものである。
【0100】このようにして演算処理装置220では、
上述のような演算処理を行い、事故区間NSFと事故地
点K、更に各線の事故点抵抗の時間的推移が求められる
と、その結果を、出力表示装置230で画面に表示し、
ラインプリンタへ出力して、フロッピーディスクへ記録
する。
【0101】なお、中央処理装置200は通常は、制御
所、給電所等の有人事業所に設置され電気所端末装置は
電気所側に複数設置されるので、中央処理装置200は
事故毎に特定対象を選択して使用される。
【0102】このように、この事故様相特定装置では、
発電機や負荷また、事故区間以外のデータを事故様相の
特定の際用いることによって標定精度を高め、故障電流
が小さな多相事故や、閃絡抵抗が大きな故障点の標定も
高精度に行なうことができる。さらに、発電機や負荷の
影響も折り込み済のため、事前潮流の大きな送電線の検
出にも使用できる。また、事故点抵抗の時系列計算も行
なえるため、閃絡抵抗と相関関係の強い事故原因の特定
も可能となる。
【0103】
【発明の効果】本発明の事故様相特定装置は、以上のよ
うに構成し、片端子の時系列データを用いて演算処理す
るものであるが、事故時の系統状態を把握することによ
ってキルヒホッフの第1、第2法則を適用して方程式の
数を増やし、多端子送電線や2回線にまたがるような複
雑な事故をも特定できるようにしている。また非線形連
立方程式の解法としてシュミレーション手法を適用し、
送電線の全区間の中から最も確からしい事故地点を検出
しているので、従来の方式で特定不能となった重負荷送
電線の遠端事故や高抵抗地絡事故などにも適用できる。
以上の機能向上により、電力系統における停電事故復旧
の迅速化、保守の省力化さらには従来捕捉出来なかった
不明事故の原因を把握し、設備上弱い箇所への設備補強
対策を的確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の電力系統の事故様相特定装置を示すシ
ステム構成図
【図2】実施例の作用図
【図3】実施例の送電線の事故時等価回路
【図4】(a)は実施例の相互インピーダンス並びに対
地充電容量を示す模式図、(b)はインピーダンスマト
リックス
【図5】図1の模式図
【図6】発電機の等価回路
【図7】負荷の等価回路
【図8】事故点と事故点抵抗のリアクタンス成分との作
用図
【図9】区域外事故に対する事故点と事故点抵抗のリア
クタンス成分との作用図
【図10】事故点抵抗を事故点電圧・電流から算出する
ための等価回路
【符号の説明】
CT 電流検出手段 G 発電機 If(n) 事故点電流 K 事故点距離 L 負荷 NS1〜3 送電区間 PT 電圧検出手段 Vf(n) 事故点電圧 Xf 事故点抵抗のリアクタンス成分

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統の送電区間の電圧を検出する電
    圧検出手段と、各送電端子ごとの電流を検出する電流検
    出手段と、その電流検出手段と電圧検出手段の測定デー
    タに基づいて前記送電区間の事故時の回路方程式を解析
    することにより、事故の様相を算出する演算処理装置と
    からなる電力系統の事故様相特定装置において、 上記演算処理装置に、電力系統の発電機及び負荷の端子
    電圧と電流との関係式を、上記送電区間の回路方程式の
    解析手段として備えたことを特徴とする電力系統の事故
    様相特定装置。
  2. 【請求項2】 上記演算処理装置に、事故区間以外の送
    電区間の回路方程式を上記送電区間の回路方程式の解析
    手段として備えたことを特徴とする請求項1記載の電力
    系統の事故様相特定装置。
  3. 【請求項3】 上記事故区間及び事故地点を事故点抵抗
    のリアクタンス成分が0となることにより算出すること
    を特徴とする請求項1または2記載の電力系統の事故様
    相特定装置。
  4. 【請求項4】 上記事故点抵抗のリアクタンス成分を実
    験式 【数1】 より求め、その展開式のXf =0なるKを求めることに
    より、事故点地点を算出することを特徴とする請求項3
    記載の電力系統の事故様相特定装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の電力系統の事故
    様相特定装置において、事故区間及び事故点算出後、そ
    の算出によって求められた事故点電圧及び事故点電流に
    より、事故点抵抗を求めることを特徴とする電力系統の
    事故様相特定装置。
  6. 【請求項6】 上記演算処理装置に、上記方程式をマト
    リックス演算により解析する解析手段を備えたことを特
    徴とする請求項1乃至4記載の電力系統の事故様相特定
    装置。
  7. 【請求項7】 上記解析手段が、上記回路方程式のマト
    リックスを系統構成に従って結合し、マトリックス演算
    を行なうことを特徴とする請求項6記載の電力系統の事
    故様相特定装置。
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