JPH06284837A - 養殖用生簀 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、養殖用生簀に従来使用しなかっ
た、耐久性の高いチタン線で生簀の金網を製作し、経済
的にも従来と変わらず、養殖魚業の耐用年月に適応し、
組み立ては工場でセットし、現地で養殖筏に吊り下げを
可能とした、上下折り畳み可能の養殖用生簀の提供であ
る。 【構成】本発明は、養殖用生簀の金網にチタン線を使用
し、これを亀甲目に編み、生簀の側面では亀甲目を横目
に使用し、金網と金網の接合部は、同じくチタンの螺旋
線で接合し、複数段に折り畳み可能に形成し、生簀の錘
を兼ねた底枠上の、底部分の金網の周囲も同様にチタン
の螺旋線で接合し、底枠に取り付けたロープ固定具にロ
ープを取り付け、ロープは養殖筏に固着し、収穫時には
ロープをクレーンに連結して引上げ、引上げに連れて側
面の金網が折り畳まれるように構成した養殖用生簀であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、養殖漁業に使用される
生簀の構成に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の養殖用生簀の大半は、亜鉛の厚づ
けメッキを施した鉄製の菱形ラス網生簀か、ナイロン製
の化繊網生簀である。鉄製の菱形ラス網の生簀は、予め
海水に溶解することを計算して線径を太くし、尚且つ亜
鉛メッキの皮膜を厚く着けるなどの対策を講じて、魚の
成育期間である２〜３年に耐えられるように製造された
が、生簀の大きさに限界があり、今後大型化する養殖漁
業に対応することが不可能である。またナイロン製の生
簀については、長期間の設置は、海草やフジツボ、ムラ
サキガイなどがよく繁殖し、網目を塞ぐので、これらの
対策の為に防汚剤を使うことによる二次汚染の問題があ
り、産業上多くの課題が残されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】金属チタンは、海水に
対して絶対的な対蝕製を持っており、養殖用生簀に使う
には理想的な材料であるが、価格が高い難点があった。
本発明はこのチタン製金網を使用して高価とならなず、
耐久性に富み、組み立て式構造による生産性の向上及び
作業性の能率化に富んだ生簀を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】請求項第１項に於いては、
第１にチタン線で織った亀甲目金網を使用する。現在生
簀に使用されている鉄製菱形ラス網は、線径が４ｍｍで
網目が４０ｍｍ目位のものが大半を占めている。鉄線の
価格１５０円／ｋｇに対して、チタン線は４０００円／
ｋｇであるから、価格差は約１：２７となる。この価格
差を無くする為には、チタン線の線径を細くし且つ金網
の強度を強くすればよい。チタン線を１ｍｍの線径で、
４０ｍｍの亀甲目とした場合、前記菱形ラス網と比較す
ると、重量は約２７分の１となり、価格差は無くなる。
又金網としての強度は、菱形ラスは単に針金を菱形螺旋
に加工したものを、単純に組み合わせた構造で出来てい
るため、線径の太さで網の強度を保つ必要があり、線が
切れると、そこから網がほつれる心配があるが、本発明
の線径１ｍｍのチタン線で製作する亀甲目の網は、一
目、一目を捩って織るために比較的細い線で織っても金
網の強度があって、例え線が切れても、そこからほつれ
る事はない。

【０００５】第２に、亀甲目の編み目を横目に使用し
た。養殖用生簀は、収穫時の取り上げには、生簀が提灯
のように折り畳み可能な条件が必要である。この為本発
明では、細いチタン線を使用して重量を減らすと共に、
強度の強い亀甲目に編み、且つこれを横目に使用した。
この様に亀甲目を横に使用すると、上下の折り畳みが自
在となり、生簀用の側面金網の条件に適合する構造とな
る。

【０００６】第３に、金網と金網との結合には、螺旋線
を使用する。養殖用生簀は海中に於いて、絶えず海流や
波の影響を受けて煽られるが、面積が大きいため、網を
枠に直接固定すると、固定した部分に力が集中し、金属
疲労を生じるために、網がそこから破れることになる。
螺旋線は、金網に直接それらの力が掛からないように、
またそれらの力が掛かっても分散して力を吸収してしま
う為のものである。細いチタン線で亀甲網を織る時点
で、横目の金網の上下端に、螺旋線と同じ太さの金網よ
りやや太い耳線を織り込んでおき、螺旋線はその耳線を
縫うように装着する。この螺旋線の中に枠骨を通すの
で、金網は直接枠骨に固定されることがなく、海中の色
々な力を受けても、常に力を分散することができる。

【０００７】第４として錘兼用の底枠を設ける。現在の
亜鉛メッキの鉄製の生簀はそれ自体で通常２〜３トンの
重量があり、生簀自体が錘の役目も果たしているが、本
発明のチタン製生簀は金網の重量が軽いため、安定性を
増す為の錘が必要となり、がっしりした底枠により、錘
の役目を果たすと同時に、生簀の底面は面積が広いの
で、海中で絶えず大きく煽られる事と、収穫時に、生簀
を手繰り上げる時に魚の重量がかかるため、底網を保護
する為にも必要となる。底枠の四方には、ロープ固定具
が突設されている。

【０００８】第５として吊り下げロープ（チェーン）を
使用する。生簀を海中で使用している時に生簀本体を養
殖筏に吊り下げる。本発明は、細くて重量の軽いチタン
製金網を亀甲目に編み、それを横目に使用しているの
で、上下の引っ張り力に弱く、網目が伸びてしまう欠点
がある。底枠が重過ぎたり、波の衝撃などで生簀が上下
動する時の力をまともに受けた場合などは、その力に耐
えることができないので、ロープ（チェーン）によって
吊り下げ、その欠点が生じないような構造とした。又ロ
ープは魚の収穫時にも生１を低部の底枠から吊り上げる
為に使用されるものである。

【０００９】請求項第２項の、チタン線で亀甲目に編ん
だ金網を横目に使用し、横長に形成した上記金網は、そ
の上下端には金網より太い耳線を編み込み、耳線と同じ
太さの螺旋線で、上下の耳線の間を連結し、その中に枠
骨を通して、同じくチタン製の止め具で適宜に固定し、
生簀の側面はこのように連結した複数段の、金網で構成
されるから、海中にあっても、波や海流の衝撃を吸収、
分散し、又、ロープによって、底部の底枠が引上げられ
る収穫時には、チタン線の亀甲目の横目に形成した金網
は、提灯の紙のように折り畳まれ、枠骨は竹の骨の役目
を果たす。

【発明の作用】

【００１０】発明は以上のように構成されており、請求
項第１項に於いて、チタン線の亀甲目に編んだ金網を横
目に使用して、万一金網が切れるような事があっても、
ほつれることがなく、線径が細くとも強度のある生簀用
金網を形成し、金網と金網の繋ぎ目には、螺旋線を使用
して繋ぎ目が回動自在であるから、海中に設置されてい
ても波や海流の衝撃を分散、吸収し、耐久力のあるチタ
ン線の材質と金網の亀甲編みと言う編み方と相まって、
次々にほつれることなく、又錘兼用のがっしりした底枠
を設けて、底枠に連結したロープを養殖筏或いは収穫時
のクレーンに接続することにより、亀甲目の横目の伸び
る欠点を防止するように機能して、収穫時には、亀甲編
みの横目の部分が提灯の紙のように折り畳まれ、提灯式
に上下の折り畳みが可能となるように構成され、以上の
ように構成されているため、工場に於いて、先ず横長で
亀甲目を横目に使った生簀の側面金網の上下端の耳線と
耳線の間を螺旋線で接続し、枠骨をその螺旋線の中に通
して止め金で固定し、底網も同様に枠骨をセットして底
枠に固定し、吊り下げ用ロープを取り付けて、工場の作
業を終了し、所定の設置場所にクレーン船で搬送し、予
め設置してある養殖筏に吊り下げ、固定することができ
る。

【００１１】請求項第２項に於いて、チタン線の亀甲編
みの編み目を横目に使用して、横長に形成した金網の上
下端には、金網より太いチタン製耳線を編み込み、この
金網の上下の耳線と耳線とを、耳線と同じ太さの螺旋線
をもって連結して複数段に形成し、前記螺旋線の中に枠
骨を貫通させ、この様にして養殖用生簀の側面が複数段
に構成されるから、従来のように枠に金網が固着されて
いないので、養殖用生簀が海中で、絶えず波や海流の衝
撃にあっても繋ぎ目が回動自在であって、衝撃を吸収、
解放し、金網の金属疲労を防ぎ、又収穫時には、底枠に
連結されたロープで、底枠から引上げるから、横目の亀
甲編みの金網は、あたかも提灯の紙のように折りたたま
れ、枠骨は提灯の竹骨のような役目を果たし、養殖魚の
収穫をし易くする。

【実施例】

【００１２】図１は、本発明に係る養殖用生簀の海中に
於ける正面図である。１は１ｍｍのチタンの線径で、４
０ｍｍの亀甲目に編んだチタン製金網である。線径と編
み目は、生簀によって多少変化するものである。この正
面図は側面であるから、チタン製金網の亀甲目を横目に
使っている（図２の拡大図参照）。２は亀甲目を横長に
形成した金網の上下端の耳線であり、金網のチタン線よ
り太く、耳線２は亀甲目に捩じって編み込まれている。

【００１３】３は螺旋線であって、前記の耳線２と同じ
太さであり、金網の上下端の耳線２と耳線２との間を螺
旋状に接続する。この装着された螺旋線３の螺旋の中
に、枠骨４を貫通させて、同じくチタン製の止め具ａで
適宜固定して形成するから、生簀の側面は螺旋線３で接
続した複数段の金網で構成され、枠骨４を芯として、上
下に折り畳みが自在となるように形成される。

【００１４】図３に示される別設の底枠５は、錘を兼ね
た太く重いもので、本実施例では四角であるが、円形で
も良いこと勿論である。細く軽いチタン線の金網の安定
させる為と、生簀の底網を固定させる為の骨の役目を果
たす。底枠５は、四角い外周を形成する太い主軸６と、
その内部に同じ太さの主軸６，６が上下、左右に同じ間
隔で二本ずつ差し渡されており、主軸６で作られた格子
の中に、主軸より細い中間骨７，７がさらに細かく差し
渡され、底面が海中で大きく煽られても、又収穫時に魚
の重量が掛かっても安全な構造としてある。

【００１５】前記の底枠５の四隅には、ロープ（又はチ
ェーン）８，８の固定具９が取り付けられており、ロー
プ８の一端は固定具９に固定され、海中に生簀１がある
時は他端は養殖筏Ａに固着され、収穫時にはクレーン１
０に装着されて、生簀を海中より取り出す時に底枠５を
引上げる。

【効果】

【００１６】本発明は以上のように構成されているの
で、請求項第１項に於いて、最良のチタン線を使用した
金網でありながら、費用は従来のものと変わらず、然も
細いチタン線であるから、亀甲目に編むことが可能とな
って、金網が切れても網目がほつれることがなく、従来
の線径の太い金網と変わらぬ強度と耐用年数を持続し、
側面の金網を亀甲目に編んで然も横目に使用し、螺旋線
で接合して、海流や波の衝撃を吸収、開放すると共に、
提灯のように上下折り畳み可能な構造であるから、穫時
の能率を上げ、然も錘兼用の底枠を設けて、ロープで底
枠と養殖筏を連結したので、亀甲目の横目の伸びを防止
し、工場である程度の組み立てが可能となり、従来にな
い養殖用生簀を提供するものであり、養殖漁業に与える
効果は大である。

【００１７】請求項第２項に於いて、養殖用生簀の金網
を横長に形成し、繋ぎ目を螺旋線で接続し、その螺旋線
の中に枠骨を通し、繋ぎ目が回動自在で、海中にあって
は、絶えざる海流や波の衝撃を吸収、解放して、金網の
破損を防ぎ、収穫時には、金網の側面を横目の亀甲編み
として使用しているので、あたかも提灯の紙のように金
網が折り畳まれ、枠骨は提灯の竹骨のような芯となり、
上下に折り畳まれるから、養殖魚を取り上げるのに大変
便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の養殖用生簀の海中に於ける正面図

【図２】金網及び金網接続を示す部分拡大図

【図３】底枠の平面図

【図４】本発明の養殖用生簀の収穫時を示す正面図

【符号の説明】

１ 金網部分 ２ 金網の耳線 ３ 螺旋線 ４ 枠骨 ５ 底枠 ６ 底枠の主軸 ７ 底枠の中間骨 ８ ロープ ９ ロープ固定具 １０ クレーン Ａ 養殖筏 ａ 止め具

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】海上の養殖筏に吊り下げる養殖用生簀に於
   いて、生簀をチタン線で亀甲目に編み、生簀側面の金網
   は、亀甲目を横目に使用して横長に形成し、この生簀側
   面の金網の上下端は、耳線をもって形成し、前記耳線で
   形成する上下端を、同じくチタンの螺旋線をもって接続
   して複数段に形成し、別設の生簀の錘を兼ねた底部底枠
   は、外周はやや太い主軸によって囲み、内部は複数本の
   格子状に形成し、其の上部に、チタン線で上記側面と同
   様に製作、接合した金網を張り、適宜に固定し、底部底
   枠の金網外周耳線と、側面の金網末端耳線とは、側面の
   金網と同様に螺旋線を以て連結し、底枠の四隅に取り付
   けたロープ固定金具により、底枠と吊り下げ用ロープ末
   端を固着し、吊り下げ用ロープ先端は養殖筏に連結する
   ことを特徴とした養殖用生簀。
2. 【請求項２】チタン線を亀甲目に編んだ金網を、横目に
   使って横長に形成した金網は、その金網の上下端には、
   上記金網のチタン線より太い耳線を横設し、前記金網
   は、上下端の耳線の間を、耳線と同じ太さの螺旋線で結
   合することにより複数段に形成し、前記螺旋線の中に枠
   骨を通してチタン製止め金具で適宜に固定し、生簀用側
   面金網を上下に折り畳み可能に構成した養殖生簀。