JPH06272026A - クラスタ分子薄膜成長方法及び装置 - Google Patents

クラスタ分子薄膜成長方法及び装置

Info

Publication number
JPH06272026A
JPH06272026A JP5056267A JP5626793A JPH06272026A JP H06272026 A JPH06272026 A JP H06272026A JP 5056267 A JP5056267 A JP 5056267A JP 5626793 A JP5626793 A JP 5626793A JP H06272026 A JPH06272026 A JP H06272026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cluster
thin film
molecular beam
collector
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5056267A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuharu Yamamoto
立春 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP5056267A priority Critical patent/JPH06272026A/ja
Publication of JPH06272026A publication Critical patent/JPH06272026A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】金属、半導体又は炭素のクラスタ分子線の改良
された薄膜成長方法及び装置を提供することにある。 【構成】微粒子原料と不活性ガスの混相流を生成室10
0のプラズマトーチ117へ供給し、高周波誘導プラズ
マ法により生成したクラスタ分子114を補集体116
に付着させる。補集体116はイオン化室180に搬送
し、ヒータ123bで加熱しクラスタ分子蒸気114を
発生し、イオン化、加速して分析管191に送る。クラ
スタ分子イオン114bは分析管191内で質量数によ
って異なる軌道を描いて飛行し、スキーマ192を通過
するクラスタ分子114cのみが基板124に照射され
薄膜125を形成する。 【効果】高純度かつ質量数のそろったクラスタ分子線を
効率的に生成し、必要に応じて他の原料を供給する分子
線源と併用することにより、多様な薄膜形成が可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクラスタ分子の薄膜成長
方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クラスタ分子あるいは超微粒子は、直径
が1nm〜数10nm、原子数にして10〜104個程
度の原子集団であり、例えば、「粉体及び粉末冶金」第
38巻、第3号、第315〜321ページ(平成2年度秋季大
会特別講演)に記載の「ナノ化によって何が期待される
か」のように、バルク状態と著しく異なる特性を持つよ
うになる。この種の材料は、これまで磁気記録材料、電
磁波吸収材料、各種センサ材料等で実用化されており、
また近年Siクラスタの発光素子、酸化物超伝導体、太
陽電池の分野でクラスタ分子の応用研究が進めらてい
る。特に炭素クラスタ(C60、C70等)はダイヤモン
ド、グラファイトに次ぐ第3の形態の炭素として位置付
けられ、一般的なクラスタ分子としてのナノサイズ効果
の発現の他に、他の原子を内包させることによってスー
パーアトムを形成する可能性を持つ。
【0003】クラスタ分子あるいは超微粒子の生成、補
集方法については例えば「超微粒子ハンドブック」(フ
ジテクノシステム)第225〜231ページの「超微粒子の製
造法−物理的方法」に要約されているように、抵抗加熱
法(ガス中蒸発法)、高周波誘導法、プラズマ法、電子
ビーム加熱法、レーザビーム加熱法の5種類の加熱蒸発
方法があり、生成されたクラスタ分子は不活性ガスであ
るHe、Arなどのキャリアガス流によって輸送され、
水冷された補集面に付着させる方法を取るのが一般的で
ある。
【0004】また、クラスタ分子の薄膜化プロセスの一
例を、ガス・デポジション法として知られる図6により
説明すると、生成室内でガス中加熱蒸発法により生成さ
れたクラスタ分子は、キャリアガスによって輸送管内を
通り膜成長室に輸送される。成長室は真空排気されてお
り、輸送管から送り出されるクラスタ分子はノズルを通
って基板に照射してクラスタ分子薄膜を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のガス・
デポジション法によって生成されるクラスタ分子線には
質量数のバラツキがあるため、形成されるクラスタ分子
薄膜の特性も急峻なものが得られない。これはクラスタ
分子の特性が質量数又はサイズによって異なるためであ
り、質量数のそろったクラスタ分子によって薄膜を形成
することが重要な課題となる。
【0006】したがって、本発明の目的は上記課題を解
決することにあり、第1の目的は、質量数のそろったク
ラスタ分子によって薄膜を形成する改良されたクラスタ
分子薄膜成長方法を提供することにあり、第2の目的は
その装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために種々実験検討したところ、クラスタ生
成室内で発生させたクラスタ分子線を、従来のように成
長室内の薄膜形成用基板上に直接移送して成膜するので
はなく、クラスタ生成室内で一旦所定の捕集体に吸着、
蓄積させてクラスタ分子を捕集し、この捕集体を高真空
に排気された成長室内に連通するクラスタ分子線源ポー
トに搬送し、ここで所定の温度に加熱してクラスタ分子
線を再発生させ、これを基板に照射して成膜を行うと極
めて良好な薄膜が得られるという知見を得た。
【0008】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、上記第1の目的は、固体原料もしくは粉末原
料を不活性ガス中で加熱蒸発してクラスタ分子を生成す
る段階と、前記生成されたクラスタ分子を捕集体に吸
着、蓄積させる段階と、前記捕集体を真空雰囲気中に移
送し、加熱することによりクラスタ分子線を再発生させ
る段階と、前記再発生させたクラスタ分子線を真空雰囲
気中にて基板上に照射しクラスタ分子薄膜を成長させる
成膜段階とを有して成るクラスタ分子薄膜成長方法によ
り、達成される。
【0009】更に好ましくは、固体原料もしくは粉末原
料を不活性ガス中で加熱蒸発してクラスタ分子を生成す
る段階と、前記生成されたクラスタ分子を捕集体に吸
着、蓄積させる段階と、前記捕集体を真空雰囲気中に移
送し、加熱することによりクラスタ分子線を再発生させ
る段階と、前記クラスタ分子線を捕集体から再発生させ
る時、もしくは再発生させた後にクラスタ分子線の質量
数を所定値に制御する段階と、質量数が所定値に制御さ
れたクラスタ分子線を真空雰囲気中にて基板上に照射し
てクラスタ分子薄膜を成長させる成膜段階とを有して成
るクラスタ分子薄膜成長方法によって達成される。
【0010】上記クラスタ分子線の質量数を所定値に制
御する段階としては、以下の二通りの段階がある。すな
わち、その一つは、上記クラスタ分子線を捕集体から再
発生させる時とし、加熱することによりクラスタ分子線
を再発生させる段階において、クラスタ分子の質量数の
違いに基づく蒸発温度の差を利用して、前記捕集体の加
熱温度を特定値に設定することにより、蒸発する前記ク
ラスタ分子の質量数を所定値に制御する段階とするもの
であ。
【0011】他の一つは、上記クラスタ分子線を捕集体
から再発生させた後とし、前記クラスタ分子線が前記捕
集体から発生し基板に到達する過程で電磁気的相互作用
を利用した質量分離を行う段階として構成し、かかる質
量分離により特定の質量数に分離されたクラスタ分子線
を基板に照射するようにするものである。
【0012】また、本発明においては上記クラスタ分子
線を真空雰囲気中にて基板上に照射してクラスタ分子薄
膜を成長させる成膜段階において、前記クラスタ分子線
の基板上への照射と共に第2の分子線照射源より異種元
素(例えばアルカリ金属等のドープ材)の分子線を照射
して前記クラスタ分子薄膜に異種元素をドーピングする
段階とすることもでき、これにより異種元素をドープし
たクラスタ分子薄膜を形成することができる。第2の分
子線照射源としては、クヌードセンセル、ガスセル等の
単数、もしくは複数の分子線源が用いられる。
【0013】上記クラスタ分子の原料を不活性ガス中で
加熱蒸発してクラスタ分子を生成する段階の代表例につ
いて説明すると、加熱蒸発の方法は、高周波誘導プラズ
マ加熱法が一般的であり、クラスタ分子の原料としては
シリコン、ゲルマニウム等の半導体、炭素、金属等の単
一種、もしくは複数種の微粒子原料からなり、これをH
e、Ar等の不活性ガスをキャリアガスとする混相流と
してプラズマトーチへ供給して、前記クラスタ分子を生
成する段階とするものである。微粒子原料の大きさは小
さいものほど好ましいが、通常は平均粒径0.01〜
0.1μmのものが用いられる。
【0014】例えば上記クラスタ分子の原料として炭素
微粒子を用いれば、炭素クラスタ分子C60、C70、C82
等を生成することができ、捕集体を介して所定の質量数
の炭素クラスタ分子を基板上に薄膜成長させることがで
きる。
【0015】また、上記クラスタ分子の原料として例え
ば炭素微粒子と共に、アルカリ金属元素の微粒子を混合
し、これらを不活性ガスをキャリアガスとする混相流と
してプラズマトーチへ供給して蒸発させ、不活性ガスで
冷却すれば、アルカリ金属元素を内包(ドープとは異な
る)した炭素クラスタ分子を生成することができ、これ
を捕集体に吸着、蓄積したものを用いれば、アルカリ金
属元素を内包した炭素クラスタ分子線薄膜を所望の基板
上に形成することができる。
【0016】また、上記第2の目的は、少なくとも固体
原料もしくは粉末原料を不活性ガス中で加熱蒸発してク
ラスタ分子を生成する手段と、生成したクラスタ分子を
捕集体に吸着、蓄積させる手段とを有するクラスタ分子
生成室と;前記生成室から捕集体を真空雰囲気中に搬送
する手段と、これを加熱してクラスタ分子線を再発生さ
せ、所定の基板に照射してクラスタ分子薄膜を成長させ
る手段とを有するクラスタ分子薄膜成長室とを備えて成
るクラスタ分子薄膜成長装置により、達成される。
【0017】そして好ましくは、上記捕集体を真空雰囲
気中に搬送して、これを加熱してクラスタ分子線を再発
生させる手段として、加熱温度を制御して所定の質量数
のクラスタ分子線を発生させる温度制御手段を具備する
ことであり、これにより加熱温度を特定温度に設定すれ
ば質量数の違いによる蒸発温度差を利用して蒸発するク
ラスタ分子の質量数を特定の範囲のものに制限すること
ができる。
【0018】また、上記捕集体を真空雰囲気中に搬送し
て、これを加熱してクラスタ分子線を再発生させる手段
の後に、電磁気的相互作用を利用した質量分離手段を具
備し、所定の質量数のクラスタ分子線を選択的に分離し
て基板に照射するようにすることもできる。この場合、
装置構成はやや大きくなるが、高精度の質量数の分離、
制御が可能となる。
【0019】上記クラスタ分子薄膜成長室に、ドーピン
グ用の例えばアルカリ金属等の第2の分子線照射源を具
備し、クラスタ分子薄膜の成長と共に第2の分子線のド
ーピングを行う手段を設定することもでき、これにより
クラスタ分子線薄膜に異種元素をドープすることができ
る。
【0020】また、上記捕集体を真空雰囲気中に搬送し
て、これを加熱してクラスタ分子線を再発生させる手段
の前段に予備加熱用の中間室を配設することもでき、こ
の中間室で捕集体を予備加熱することにより、表面清浄
化することができ高純度のクラスタ分子線を発生するこ
とができる。
【0021】なお、上記捕集体は固定もしくは巻取り式
の金属薄板で構成することができ、材質も例えばステン
レス鋼、Al、Ta、Ni等の金属薄板が用いられる。
【0022】最後に上記各室の排気レベルについて説明
すると、クラスタ分子生成室は通常数Torr〜100
Torr、クラスタ分子薄膜成長室は10~8Torr以
下の超高真空、予備加熱用の中間室は10~3〜10~7
orr程度となる。
【0023】
【作用】上記手段によって、クラスタ分子質量数を限定
し、形成されるクラスタ分子薄膜の特性を急峻なものと
し、不純物の混入による薄膜の特性の劣化を抑え、また
他の固体原料との化合物薄膜を形成することができる。
【0024】クラスタ分子線の発生方法としては、クラ
スタ分子線の原料となる固体微粒子を、ヘリウム等の不
活性ガスのキャリアガスと共に混相流としてクラスタ分
子線生成室内に輸送し、輸送された微粒子原料を、例え
ば高周波プラズマにより蒸発させ、キャリアガスで冷却
する。この時、キャリアガスは原料微粒子の輸送手段と
して、また生成したクラスタ分子線の冷却手段として重
要な作用する。
【0025】クラスタ分子線は捕集体に捕集されて更に
成長室に搬送される。成長室は不純物の混入を避けるた
めに超高真空に維持されており、この真空雰囲気中で捕
集体は必要な温度に加熱され、その表面からクラスタ分
子線を放出する。
【0026】以下、図1の概念図を用いて更に具体的に
本発明の原理を説明する。図示のように、クラスタ分子
線生成室100に導入された固体原料又は粉末原料11
1を、He、Ar等の不活性なキャリアガス112中で
加熱手段113により加熱蒸発してクラスタ分子114
を生成する。これは原料蒸気114aがキャリアガス1
12によって冷却される過程(ガス冷却手段115)で
相互結合を繰り返して形成されるものであり、クラスタ
分子114の質量数は、蒸発原子の密度、キャリアガス
の圧力、冷却時間によってある程度制御できる。
【0027】ここで冷却時間とは蒸発原子114aとな
ってから、捕集体116の表面に付着するまでの時間で
ある。また、原料の加熱手段113は、例えば抵抗加熱
法(ガス中蒸発法)、高周波誘導法、プラズマ法、電子
ビーム加熱法、レーザビーム加熱法等いずれの周知の加
熱蒸発方法も使用可能であるが、どちらかというと高周
波誘導法が好ましい。次ぎにクラスタ分子を吸着、蓄積
させた捕集体116は成長室120に搬送手段121に
より搬送し、排気手段122で超高真空状態に排気され
た真空雰囲気中で加熱手段(ヒータ)123により加熱
してクラスタ分子線114を発生させ、基板124に照
射してクラスタ分子薄膜125を成長させる。なお、加
熱手段123により捕集体116からクラスタ分子線1
14を発生させるに際しては、前述の通り、質量分離す
るために正確な温度制御を行うか、もしくは図面を省略
したが電磁気的相互作用を利用した質量分離手段を介し
て分離された特定質量数のクラスタ分子線を基板に照射
する。
【0028】なお、捕集体116を搬送手段121によ
り成長室120へ搬送するに際しては、塵の発生を極力
少なくする搬送構成とすることが重要である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図をもって説明す
る。 〈実施例1〉以下、図2〜図4を用いて装置構成の一実
施例を具体的に説明する。図2は、生成室100でクラ
スタ分子線114を生成し、捕集体116に吸着、蓄積
する段階の一実施例を示した概略図である。
【0030】本実施例での加熱蒸発手段113は、高周
波誘導プラズマ加熱法であり、クラスタ分子の原料11
1として単一種、又は複数種の微粒子原料を、He、A
rなどの不活性ガスをキャリアガス112とする混相流
としてプラズマトーチ117へ供給して、クラスタ分子
114を生成する。
【0031】この高周波誘導プラズマは4,000〜1
0,000Kの超高温場を定常的に発生できるため、特
にW、Mo、Ni、Taなどの高融点金属やカーボンの
クラスタ生成に適している。生成されたクラスタ分子
は、ステンレス鋼、Al、Ta、Ni等の金属薄板で構
成されるフィン状の補集体116に付着、蓄積される。
なお、補集体116の捕集面は、クラスタ分子線の流れ
を乱さないように流れに平行に配設することが望まし
い。
【0032】また、補集体116の構成は、図3に11
6aで示すように、ステンレス鋼、Al、Ta、Ni等
の金属薄板で構成され、その捕集面が混相流に対して平
行に設置される巻取り式の補集体116aであってもよ
い。
【0033】図4は、クラスタ分子薄膜成長装置の全体
構成の一例を示した概略図で、装置の基本構成は、クラ
スタ分子114を生成し、捕集体116に吸着、蓄積さ
せる生成室100、捕集体116を真空雰囲気中で加熱
して付着しているクラスタ分子を蒸発させクラスタ分子
線を再発生させ、基板124に照射してクラスタ分子薄
膜125を成長させる成長室120、真空ロードロック
と捕集体116のクリーニングのための予備加熱機能を
備えた中間室110の3室で構成される。これらの各室
は、それぞれの排気手段122a〜122cにより、生
成室100は、数Torr〜100Torr、中間室1
10は10~3〜10~7Torr、成長室120は10~8
Torr以下の超高真空に排気される。
【0034】生成室100でクラスタ分子114を吸
着、蓄積した捕集体116は、まずゲートバルブ130
aを開いて中間室110に搬送機構121aにより搬送
し、ヒータ123aによってクラスタ分子の蒸発温度以
下でクリーニングのための予備加熱を行う。
【0035】次ぎにゲートバルブ130bを開いて搬送
機構121bにより捕集体116を成長室120に連通
するクラスタ分子線源ポート140に搬送し、温度制御
手段124により制御されたヒータ123bによって特
定の質量数に見合った蒸発温度に加熱しクラスタ分子線
114を発生させる。
【0036】成長室120は、真空ポンプ122cによ
り超高真空に排気され、基板124を保持し回転を与え
る基板ホルダ170とクヌードセンセル150、ガスセ
ル160等の複数の第2の分子線源とを有し、混晶の成
長やドーピングを行う。なお、141、151、161
は、それぞれの分子線源に対向して設けられたシャッタ
で、これを任意に開閉して成膜を行う。
【0037】上記のように、この装置では捕集体116
をヒータ123bで加熱してクラスタ分子線114を発
生させる際に、クラスタ分子の質量数の違いによる蒸発
温度の差を利用して、捕集体116の加熱温度を温度制
御手段124で調節することができるようになってお
り、蒸発するクラスタ分子114の質量数の範囲を特定
のものに限定することができる構成となっている。
【0038】〈実施例2〉図5は、電磁気的相互作用を
利用した質量分離機能を備え、特定の質量数のクラスタ
分子線を基板に照射することができるクラスタ分子薄膜
成長装置の他の一実施例を示した概略図である。同図に
おいて装置の基本構成は、クラスタ分子を生成し、捕集
体116に吸着、蓄積させる生成室100、捕集体11
6を真空雰囲気中で加熱して付着しているクラスタ分子
114を蒸発させ、イオン化と加速を行うイオン化室1
80、イオン化されたクラスタ分子114を電磁石19
0によって偏向し質量分離を行う分析管191、分析管
191で分離された所定の質量数のクラスタ分子114
bを基板124に照射してクラスタ分子薄膜125を成
長させる成長室120の4室で構成される。
【0039】図4に示した実施例1と同様に生成室10
0でクラスタ分子を吸着、蓄積させた捕集体116は、
イオン化室180でヒータ123bによって加熱されク
ラスタ分子蒸気を発生する。この時、捕集体116の加
熱温度以下の蒸発温度のクラスタ分子114はすべて蒸
発し始める。このクラスタ分子114はイオン化電極1
81によってクラスタ分子イオン114bとなり、引出
電極182によって所定の速度に加速される。
【0040】加速されたクラスタ分子イオン114b
は、スキーマ183を通して飛行方向を揃え分析管19
1に入射させ、電磁石190によって図面に垂直方向に
磁場をかけ、特定の半径の軌道を通るイオンだけをスキ
ーマ192によって分離し成長室120に供給する。こ
れは磁場内でのイオンは質量数が大きくなるに従って軌
道半径が大きくなるのを利用するものであり、イオンの
速度、磁場の強度、スキーマ192の位置を変更するこ
とによって成長室120に供給される質量数を選択でき
る。成長室120は、真空ポンプ122cにより超高真
空に排気され、基板124を保持し回転を与える基板ホ
ルダ170とクヌードセンセル150、ガスセル160
等の複数の第2の分子線源を有し、混晶の成長やドーピ
ングを行う。それぞれの分子線源に対向してシャッタ1
41、151、161が設けられている。
【0041】〈実施例3〉次ぎに、図4で説明したクラ
スタ分子薄膜成長装置を用いて炭素クラスタ分子線C60
の薄膜を形成する一実施例について説明する。先ず、ク
ラスタ分子の原料111としては平均粒子径0.01μ
mのカーボンブラック微粉末を用いた。この微粉末を充
填した容器に、Heキャリアガス112を流し、混相流
を高周波誘導加熱手段113により発生させた生成室1
00内のプラズマ中に移送し、炭素微粒子を蒸発させ、
クラスタ分子線114を発生させた。捕集体116とし
てステンレス板を準備し、これに発生した炭素クラスタ
分子線C60を吸着、蓄積させた。なお、生成室100内
の雰囲気は50Torrに排気した。
【0042】次に、予め10~7Torrに排気した予備加
熱用中間室110に、ゲートバルブ130aを開いて捕
集体116を搬送機構121aにより搬入する。ヒータ
123aで300℃に約6時間加熱して捕集体表面の不
純物を除去し表面清浄化処理をする。
【0043】次いでゲートバルブ130bを開いて搬送
機構121bにより、捕集体116を成長室120に連
通するクラスタ分子線源ポート140に保持する。ここ
で室内は真空ポンプ122cにより10~10Torrに
排気しておく。温度制御手段124でヒータ123bを
400℃に加熱制御して捕集体116からC60の分子線
を発生させる。この時、分子線の進行方向に設けられた
シャッタ141を開いて基板上124に照射し、C60
子線薄膜125を形成する。基板124は、ヒータ12
3cにより約100℃に保持しておき、0.5Å/分の
成長速度で3時間成長させ、7000Å(0.7μm)
の薄膜を得た。得られた薄膜をSTM(スキャンニング
・トンネル・マイクロスコープ)で表面の結晶像を観察
したところ、10Åの格子定数が測定され、C60の分子
線薄膜であることを確認した。
【0044】〈実施例4〉この例は、実施例3における
成長室120での炭素クラスタ分子線薄膜の形成段階に
おいて、第2の分子線源150にアルカリ金属のRbを
用いてドーピングを行った例を示すものである。第2の
分子線源150のルツボに金属Rbを入れて300℃で
加熱蒸発させる。分子線が安定したところでシャッタ1
51を開き、炭素クラスタ分子線と共に基板上に照射す
る。その結果、RbがドープされたC60の分子線薄膜が
得られた。この試料の物性テストを行ったところ、28
Kにおいて超伝導特性を示した。
【0045】〈実施例5〉この例は、実施例3における
クラスタ分子線生成室100にて炭素クラスタ分子線1
14を発生させる際に、原料炭素微粉111にLa粉末
を混合し、La内包炭素クラスタ分子線を発生させた。
これを捕集体116に捕集して実施例3と同様に基板1
24上にLa内包炭素クラスタ分子線薄膜を形成した。
なお、この場合には、クラスタ分子線源ポート140で
の捕集体116の加熱温度を実施例3の400℃から5
00℃に上昇させ、炭素クラスタC82を主体とするLa
内包炭素クラスタ分子線を発生させ、成膜した。
【0046】以上詳述したように、炭素クラスタ
(C60、C70、C82等)は、ダイヤモンド、グラファイ
トに次ぐ第3の形態の炭素として位置付けられ、一般的
なクラスタ分子としてのナノサイズ効果の発現の他に、
他の原子で修飾したり、他の原子を内包させることが可
能であり、これによって超伝導材料として、あるいはス
ーパーアトムを形成する可能性をも持ち、今後の研究試
料として種々供することができる。また、炭素以外の金
属や半導体等のクラスタ分子線薄膜についても上記実施
例と同様の方法により形成可能である。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明により、所期
の目的を達成することができた。すなわち、高純度かつ
質量数のそろったクラスタ分子線を効率的に生成し、必
要に応じて他の原料を供給する分子線源と併用すること
により、多様な薄膜形成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するクラスタ分子薄膜成長
方法及び装置の概念図である。
【図2】本発明の一実施例となるクラスタ分子生成法の
概略図である。
【図3】同じく他の実施例となるクラスタ分子生成法の
概略図である。
【図4】同じくクラスタ分子薄膜成長装置の一実施例を
示す概略図である。
【図5】同じくクラスタ分子薄膜成長装置の他の実施例
を示す概略図である。
【図6】従来のクラスタ分子薄膜形成技術を説明するガ
ス・デポジション法の概略説明図である。
【符号の説明】
100…クラスタ分子線生成室、 110…中間室
(予備加熱)、111…原料、 1
12…キャリアガス、113高周波誘導加熱手段、
114…クラスタ分子線、115…ガス冷却、
116…捕集体、117…プラズマトー
チ、 120…クラスタ分子線薄膜の成長室、
121…搬送機構、 122…排気手
段、123…加熱手段(ヒータ)、 124…基
板、125…分子線薄膜、 130…ゲー
トバルブ、140…クラスタ分子線源ポート、141、
151、161…シャッタ、150…クヌードセンセ
ル、160…ガスセル、 170…基板
ホルダ、180…イオン化室、 181…
イオン化電極、182…引出電極、 183、1
92…スキーマ、190…電磁石、
191…分析管。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体原料もしくは粉末原料を不活性ガス中
    で加熱蒸発してクラスタ分子を生成する段階と、前記生
    成されたクラスタ分子を捕集体に吸着、蓄積させる段階
    と、前記捕集体を真空雰囲気中に移送し、加熱すること
    によりクラスタ分子線を再発生させる段階と、前記再発
    生させたクラスタ分子線を真空雰囲気中にて基板上に照
    射しクラスタ分子薄膜を成長させる成膜段階とを有して
    成るクラスタ分子薄膜成長方法。
  2. 【請求項2】固体原料もしくは粉末原料を不活性ガス中
    で加熱蒸発してクラスタ分子を生成する段階と、前記生
    成されたクラスタ分子を捕集体に吸着、蓄積させる段階
    と、前記捕集体を真空雰囲気中に移送し、加熱すること
    によりクラスタ分子線を再発生させる段階と、前記クラ
    スタ分子線を捕集体から再発生させる時、もしくは再発
    生させた後にクラスタ分子線の質量数を所定値に制御す
    る段階と、質量数が所定値に制御されたクラスタ分子線
    を真空雰囲気中にて基板上に照射してクラスタ分子薄膜
    を成長させる成膜段階とを有して成るクラスタ分子薄膜
    成長方法。
  3. 【請求項3】上記クラスタ分子線の質量数を所定値に制
    御する段階を、上記クラスタ分子線を捕集体から再発生
    させる時とし、加熱することによりクラスタ分子線を再
    発生させる段階において、クラスタ分子の質量数の違い
    に基づく蒸発温度の差を利用して、前記捕集体の加熱温
    度を特定値に設定することにより、蒸発する前記クラス
    タ分子の質量数を所定値に制御する段階として成る請求
    項2記載のクラスタ分子薄膜成長法。
  4. 【請求項4】上記クラスタ分子線の質量数を所定値に制
    御する段階を、上記クラスタ分子線を捕集体から再発生
    させた後とし、前記クラスタ分子線が前記捕集体から発
    生し基板に到達する過程で電磁気的相互作用を利用した
    質量分離を行う段階として構成し、かかる質量分離によ
    り特定の質量数に分離されたクラスタ分子線を基板に照
    射するようにして成る請求項2記載のクラスタ分子薄膜
    成長法。
  5. 【請求項5】上記クラスタ分子線を真空雰囲気中にて基
    板上に照射してクラスタ分子薄膜を成長させる成膜段階
    において、前記クラスタ分子線の基板上への照射と共に
    第2の分子線照射源より異種元素の分子線を照射して前
    記クラスタ分子薄膜に異種元素をドーピングする段階と
    して成る請求項1もしくは2記載のクラスタ分子薄膜成
    長法。
  6. 【請求項6】上記クラスタ分子の原料を不活性ガス中で
    加熱蒸発してクラスタ分子を生成する段階において、前
    記加熱蒸発の方法が、高周波誘導プラズマ加熱法であ
    り、前記クラスタ分子の原料が単一種、もしくは複数種
    の微粒子原料からなり、これを不活性ガスをキャリアガ
    スとする混相流としてプラズマトーチへ供給して、前記
    クラスタ分子を生成する段階として成る請求項1もしく
    は2記載のクラスタ分子薄膜成長法。
  7. 【請求項7】上記クラスタ分子の原料として炭素微粒子
    を用い、炭素クラスタ分子を生成し、所定の質量数の炭
    素クラスタ分子を基板上に薄膜成長して成る請求項1乃
    至6何れか記載のクラスタ分子薄膜成長法。
  8. 【請求項8】上記クラスタ分子の原料として炭素微粒子
    と、アルカリ金属元素の微粒子とを混合し、これらを不
    活性ガスをキャリアガスとする混相流としてプラズマト
    ーチへ供給して、アルカリ金属元素を内包した炭素クラ
    スタ分子を生成して成る請求項6記載のクラスタ分子薄
    膜成長法。
  9. 【請求項9】少なくとも固体原料もしくは粉末原料を不
    活性ガス中で加熱蒸発してクラスタ分子を生成する手段
    と、生成したクラスタ分子を捕集体に吸着、蓄積させる
    手段とを有するクラスタ分子生成室と;前記生成室から
    捕集体を真空雰囲気中に搬送する手段と、これを加熱し
    てクラスタ分子線を再発生させ、所定の基板に照射して
    クラスタ分子薄膜を成長させる手段とを有するクラスタ
    分子薄膜成長室とを備えて成るクラスタ分子薄膜成長装
    置。
  10. 【請求項10】上記捕集体を真空雰囲気中に搬送して、
    これを加熱してクラスタ分子線を再発生させる手段とし
    て、加熱温度を制御して所定の質量数のクラスタ分子線
    を発生させる温度制御手段を具備して成る請求項9記載
    のクラスタ分子薄膜成長装置。
  11. 【請求項11】上記捕集体を真空雰囲気中に搬送して、
    これを加熱してクラスタ分子線を再発生させる手段の後
    に、電磁気的相互作用を利用した質量分離手段を具備
    し、所定の質量数のクラスタ分子線を選択的に分離して
    基板に照射するようにして成る請求項9記載のクラスタ
    分子薄膜成長装置。
  12. 【請求項12】上記クラスタ分子薄膜成長室にドーピン
    グ用の第2の分子線照射源を具備し、クラスタ分子薄膜
    の成長と共に第2の分子線のドーピングを行う手段を有
    して成る請求項9乃至11何れか記載のクラスタ分子薄
    膜成長装置。
  13. 【請求項13】上記捕集体を真空雰囲気中に搬送して、
    これを加熱してクラスタ分子線を再発生させる手段の前
    段に予備加熱用の中間室を配設して成る請求項9、10
    もしくは12記載のクラスタ分子薄膜成長装置。
  14. 【請求項14】上記捕集体を固定もしくは巻取り式の金
    属薄板で構成として成る請求項9記載のクラスタ分子薄
    膜成長装置。
  15. 【請求項15】上記捕集体を構成する金属薄板をステン
    レス鋼、Al、Ta、Niの何れかとして成る請求項1
    4記載のクラスタ分子薄膜成長装置。
JP5056267A 1993-03-17 1993-03-17 クラスタ分子薄膜成長方法及び装置 Pending JPH06272026A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5056267A JPH06272026A (ja) 1993-03-17 1993-03-17 クラスタ分子薄膜成長方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5056267A JPH06272026A (ja) 1993-03-17 1993-03-17 クラスタ分子薄膜成長方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06272026A true JPH06272026A (ja) 1994-09-27

Family

ID=13022311

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5056267A Pending JPH06272026A (ja) 1993-03-17 1993-03-17 クラスタ分子薄膜成長方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06272026A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7658871B2 (en) 2003-08-22 2010-02-09 Samsung Sdi Co., Ltd. Method of preparing a negative active material for rechargeable lithium battery

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7658871B2 (en) 2003-08-22 2010-02-09 Samsung Sdi Co., Ltd. Method of preparing a negative active material for rechargeable lithium battery

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lüth Surfaces and interfaces of solid materials
Herman et al. Molecular beam epitaxy: fundamentals and current status
EP1139438B1 (en) Method and apparatus for fabricating quantum dot structures
EP0245688B1 (en) Method of forming diamond film
US8252115B2 (en) System and method for growing nanotubes with a specified isotope composition via ion implantation using a catalytic transmembrane
Amadi et al. Nanoscale self-assembly: concepts, applications and challenges
CN1810629A (zh) 具有直径和数密度一维梯度的纳米粒子阵列的气相合成方法
JPH06184738A (ja) 炭素薄膜の形成方法とその改質方法およびその改質方法を用いた電子デバイスおよびx線多層膜ミラーとその製造方法
Ishii et al. Hollow cathode sputtering cluster source for low energy deposition: Deposition of Fe small clusters
JPH06272026A (ja) クラスタ分子薄膜成長方法及び装置
JPH05254883A (ja) 超微粒子分散材料の製造方法
CN102925863B (zh) 一种产生亚稳相纳米颗粒束流和沉积纳米薄膜的气相方法
JP2004263245A (ja) 反応方法及び反応装置
JP2002015999A (ja) 量子ドット型機能構造体作製装置と量子ドット型機能構造体作製方法、及び量子ドット型機能構造体並びに光機能素子
JP2006525422A (ja) 微粉状の有機半導体化合物及び担体上への蒸着方法
Nagata et al. GaN nanostructure fabrication by focused-ion-beam-assisted chemical vapor deposition
De Toro et al. Types of Cluster Sources
Cuomo et al. The effects of substrate conditions on the microstructural evolution of thin diamond-like films
Ohmi et al. Study of the interaction between molten indium and sub-atmospheric pressure hydrogen glow discharge for low-temperature nanostructured metallic particle film deposition
US20020139250A1 (en) High-purity standard particles production apparatus and the same particles
McCrate et al. Hot-wire CVD of Ge nanoparticles on Si-etched silicon dioxide
Murugesh et al. Synthesis of core-shell nanoparticles with liquid core using magnetron sputtering and capacitively coupled dusty plasmas
JP4408505B2 (ja) ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置
Ramos et al. High‐Flux DC Magnetron Sputtering
Atabaev et al. Electron-irradiation-stimulated coalescence in discontinuous metallic thin films