JPH0626713B2 - 有機被覆防▲錆▼鋼板の製造法 - Google Patents

有機被覆防▲錆▼鋼板の製造法

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JPH0626713B2
JPH0626713B2 JP10818087A JP10818087A JPH0626713B2 JP H0626713 B2 JPH0626713 B2 JP H0626713B2 JP 10818087 A JP10818087 A JP 10818087A JP 10818087 A JP10818087 A JP 10818087A JP H0626713 B2 JPH0626713 B2 JP H0626713B2
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伸吾 野村
裕彦 堺
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は有機被覆防錆鋼板の製造法に関するもので、さ
らに詳しくは、有害なクロムの溶出することがなく、自
動車用車体、家庭用電化製品、建築物壁体等の適してい
る有機被覆防錆鋼板の製造法に関する。
[従来技術] 従来において、自動車や家庭用電化製品等に塗装が施さ
れる場合、下地処理として脱脂、水洗、さらに、燐酸塩
処理等の化成処理の工程を行なうことが多く、そして、
脱脂〜燐酸塩処理工程の間にクロムが溶出し、クロムに
対する水処理を行なう必要があり、燐酸塩処理中にCr
イオンが多量に溶け込むと燐酸塩処理性の劣化を引き起
こすという問題がある。
このような問題に対して、今までは、クロメートを施し
た後、凡そ、250℃以上の高温度で焼き付ける処理を
行なうか或いはクロメートを施した後、場合によって
は、有機被覆を施した後に、ヒドラジン或いは次亜燐酸
等の還元剤による還元処理を行なうか或いは陰極電解に
よりCr+6をCr+3とする電解法を行なうことが多い。
この対策において、高温度における焼き付けは処理時の
消費燃料が増加するという問題があるばかりでなく、片
面に有機樹脂を被覆した場合、他の片面(鋼板或いはめ
っき面)は酸化が激しく、化成処理に不都合が生じる問
題がある。
また、還元剤による還元法や電解による還元法では、新
たに「還元処理」および「水洗」の工程が必要となり、
大幅な設備の改造が必要となる。
さらに、上記に説明した種々の処理を行なうことによ
り、Cr+6の溶出が無くなるとクロメートの最大の長所
である自己修復作用を奪いとるため、耐蝕性は著しく低
下するという問題がある。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記に説明した従来の有機被覆防錆鋼板の種々
の問題点に鑑み、本発明者が鋭意研究を行ない、検討を
行なった結果、クロムの溶出量が極めて少なく、さら
に、耐蝕性に優れた有機被覆防錆鋼板の製造法に関す
る。
[問題点を解決するための手段] 本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法の特徴とすると
ころは、水溶性有機樹脂を主成分とし、コロイダルシリ
カ、シランカップリング剤を添加した有機被覆形成樹脂
溶液の水溶液中に、フォスフィン酸或いはフォスフォン
酸のマグネシウム塩またはフォスフィン酸或いはフォス
フォン酸のカルシウム塩の1種または2種の0.05〜
20wt%を添加して、鋼板または鋼板めっきの上に有機
被覆の厚さが5μm以下となるように塗布し、その後、
90〜200℃の板温度において15〜180秒間焼き
付け、下地のクロメート皮膜中のCr+6をCr+3に変化
させると同時に、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウ
ム、燐酸マグネシウムまたは燐酸カルシウムの分解生成
物を有機被覆中に残留させ、クロムの溶出を抑制するこ
とにある。
本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法について以下詳
細に説明する。
本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法において、クロ
メート下地としては、Crイオンの溶出が元々少ない電
解クロメート以外のクロメートなど殆どのものは使用す
ることが可能である。
さらに、本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法におい
て、有機被覆を形成するための樹脂としては、水溶性の
エマルジョン樹脂を用い、例えば、ウレタン系、エポキ
シ系、アクリル系およびこれらの混合物が挙げられる。
また、下地クロメートからクロムの溶出を抑制するため
に、有機被覆形成樹脂水溶液に添加する化合物として
は、還元剤として一般的に使用されているヒドラジン、
フォスフィン酸、フォスフォン酸、およびその塩、−
アスコルビン酸、亜硝酸等が挙げられ、これらの化合物
を使用してクロムの溶出を抑制してから、有機被覆を形
成した後にその中に残留して、その分解生成物が耐蝕性
を向上させる効果を有するものは、フォスフィン酸、フ
ォスフォン酸のマグネシウム塩またはカルシウム塩であ
ることを見出した。また、ヒドラジンは分解するとN2
ガスとH2ガスを発生させるが、通常、市販の製品は塩
酸或いは硫酸の複塩となっており、この塩酸、硫酸によ
り耐蝕性の低下を来す。
さらに、亜硝酸については分解後NO3塩を生じるもの
と考えられ、耐蝕性の低下が著しかった。
−アスコルビン酸は分解して有機物を生成すると考え
られ、有機樹脂皮膜の密着性の低下を引き起こした。
このように、フオスフィン酸、フォスフォン酸が最も有
効であることを見出だしたが、フォスフィン酸、フォス
フォン酸は酸性が強く、水溶性樹脂のゲル化が生じる。
また、フォスフィン酸、フォスフォン酸のナトリウム塩
またはカリウム塩を使用すると焼き付け後に有機被覆中
にNa、Kが残存し、耐蝕性は若干低下する傾向を有し
ている。
しかして、フォスフィン酸、フォスフォン酸のマグネシ
ウム塩或いはカルシウム塩は、有機被覆形成樹脂溶液中
に含有されており、このものを鋼板上のクロメート皮膜
に塗布してから、90〜200℃の温度において15〜
180秒間焼き付けることにより、下地クロメート皮膜
中に存在する水溶性Cr+6と反応し、Cr+6をCr+3
還元して、クロメート皮膜に固定するか或いは不溶性燐
酸クロムとして樹脂皮膜中に固定することにより、クロ
ム溶出を著しく低下させるものである。
なお、第1図に示すように、Mg(H2PO22の添加
量とクロム溶出量(脱脂+燐酸塩処理,mg/m2)の関係
は、このMg(H2PO22の添加量が0.05wt%未
満ではクロム溶出量は極めて多く、また、20wt%を越
えてもクロム溶出量は多くなることがわかる。
また、フォスフィン酸、フォスフォン酸のマグネシウム
塩或いはカルシウム塩は、90〜200℃の温度で焼き
付けることにより、空気中の酸素と反応し、水に不溶性
の燐酸マグネシウムまたは燐酸カルシウムを生成し、有
効な防錆塗料としての効果を有するようになり、クロム
溶出が減少したことによる耐蝕性の低下を充分に補い、
さらに、積極的に耐蝕性の向上に寄与するものである。
焼き付け温度が板温度の90℃未満では有機樹脂が未硬
化となり、巻き取り時にスティッキングを発生させ、ま
た、200℃を越える温度で焼き付けると急速にフォス
フィン酸のマグネシウム塩またはカルシウム塩を分解
し、有機樹脂皮膜の表面の凹凸が激しくなり、塗装仕上
がり性に問題がある。
焼き付け時間は、有機樹脂皮膜の厚さにより規定され、
焼き付け温度との関係もあるが、1μm以下とする場合
には45秒以下とし、2〜3μmの厚さの場合には60
〜100秒、4〜5μmの厚さの場合には120〜18
0秒とするのがよい。
フォスフィン酸或いはフォスフォン酸のマグネシウム塩
或いはカルシウム塩の添加量は0.05wt%未満では硬
化が少なく、また、20wt%を越える添加量では効果が
認められない。
[実施例] 本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法の実施例を比較
例と共に説明する。
実施例 有機被覆用塗布液は、 水溶性アクリル樹脂 100重量部 コロイダルシリカ(SiO2 40wt%) 50重量部 γ−メタクリロキシプロピルトリメキシシラン 3重量部 蒸留水 240重量部 Mg(H2PO22 10重量部 を混合して作成した。
次いで、脱脂およびクロメート処理(無水クロム酸水溶
液塗布、80℃乾燥、全クロム量50mg/m2)を行った
Zn−12%Niめっき鋼板(めっき付着量20g/
m2、板厚0.7t、100mmW×200mmL)に上記有
機被覆用塗布液をバーコータ♯5により塗布した後、炉
温度200℃(最高到達板温度180℃)で1分間焼き
付け、平均膜厚が1.2μmの樹脂皮膜を有する防錆鋼
板を作成した。
この防錆鋼板について、以下に説明する試験を行なっ
た。
耐蝕性試験 本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法により作成され
た防錆鋼板をカッターナイフでクロスカットを入れた
後、下記複合サイクルテストを200サイクル繰り返し
実施した。
塩水噴霧試験(35℃×4時間)→乾燥(60℃×2時
間)→湿潤(50℃×2時間)→塩水噴霧試験(8時間
/サイクル) この結果、本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法によ
り作成された防錆鋼板は、鋼板の最大浸蝕深さは0.0
4mmであった(実施例1)。
実施例1と同じクロメート処理後、Mg(H2PO22
を含まないが他の成分は同じ有機被覆用塗布液を、塗布
したZn−12%Niめっき鋼板の最大浸蝕深さは0.
5mmであった(比較例1)。
クロム溶出試験 脱脂液として、日本ペイント社製のリドリンSD−20
0の20g/lの50℃溶液を使用した。
燐酸塩処理液として、日本ペイント社製のDP−400
0液を50℃で使用した。
それぞれの液中に処理面積1m2(100mm×100mmサ
イズのサンプル100枚)となるように120秒浸漬
し、各溶液中に溶出したクロム量を原子吸光分析器によ
り分析した。
本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法により作成され
た防錆鋼板は、脱脂液中に0.4ppm、燐酸塩処理液中
には0.1ppmのクロム溶出量であった(実施例1)。
なお、上記に説明したように、第1図にMg(H2
22添加量とクロム溶出量の関係を示してある。
比較例2は脱脂液中19ppm、燐酸塩処理液中には8ppm
であった。
電着塗装性(クレータリング性試験) 日本ペイント社製PT−U−100(カチオン電着塗
料)を用いて電着塗装を行ない、形成された皮膜のクレ
ータリング性を調査した。
電着塗装条件は次の通りである。
陽極面積:陰極面積=1:1 極間距離 100mm 30秒立ち上がり制御 2.5分間 クレータ発生電圧280Vではクレータリング(塗膜欠
陥)は認められなかった(実施例1〜実施例4)。
比較例1〜比較例5は260V〜280Vでクレータリ
ングが発生し、若干劣っている。
加工時の皮膜剥離性(パウダーリング性) 第2図に示すドロービードテスト装置を用いて加工時の
皮膜剥離性を調査した。なお、ドロービード金具の押し
付け圧力を50kg/cm2、引張速度300mm/minとし
た。
本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法により作成され
た防錆鋼板の皮膜剥離量は実施例1〜実施例4におい
て、0.3mg/m2〜0.4mg/m2であった。
比較例1〜比較例5においては、0.3mg/m2〜0.4m
g/m2であった。
従って、本発明に係る有機被覆防錆鋼板の製造法により
作成された防錆鋼板は皮膜密着性に優れているものであ
ることが判明した。
上記説明したことに基づいて試験を数回繰り返し行な
い、第1表(1)(2)および第1表(3)(4)に示した。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように、本発明に係る有機被覆防錆
鋼板の製造法は上記の構成であるから、有害なクロムの
溶出が極めて少なく、さらに、耐蝕性にも優れた防錆鋼
板を製造することができるという効果を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はMg(H2PO22添加量とクロム溶出量のの
関係を示す図、第2図はドロービードテスト装置の概略
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/08 Q

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性有機樹脂を主成分とし、コロイダル
    シリカ、シランカップリング剤を添加した有機被覆形成
    樹脂の水溶液中に、フォスフィン酸或いはフォスフォン
    酸のマグネシウム塩またはフォスフィン酸或いはフォス
    フォン酸のカルシウム塩の1種または2種の0.05〜
    20wt%を添加して、鋼板またはめっき鋼板の上に有機
    被覆の厚さが5μm以下となるように塗布し、その後、
    90〜200℃の板温度において15〜180秒間焼き
    付け、下地のクロメート皮膜中のCr+6をCr+3に変化
    させると同時に、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウ
    ム、燐酸マグネシウムまたは燐酸カルシウムの分解生成
    物を有機被覆中に残留させ、クロムの溶出を抑制するこ
    とを特徴とする有機被覆防錆鋼板の製造法。
JP10818087A 1987-05-01 1987-05-01 有機被覆防▲錆▼鋼板の製造法 Expired - Lifetime JPH0626713B2 (ja)

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JP2834686B2 (ja) 1995-05-30 1998-12-09 大日本塗料株式会社 耐クロム溶出性および加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板
KR100439625B1 (ko) * 1999-11-05 2004-07-12 에스케이씨 주식회사 프라이머층이 형성된 폴리에스테르 필름 및 그 제조방법

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