JPH06262022A - フィルタエレメント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ひだ折り状の濾材からなるフィルタエレメン
トであって、濾過性能の低下の少ないものを得る。 【構成】 ひだ折り状の濾材からなるフィルタエレメン
ト１１の稜線１４の一部とその近傍部分とを、隣接する
両側のひだ１２の方向に交互に突出させて複数の突出部
１０を形成する。互いに隣接するひだ１２の突出部１０
は、それら先端１６で当接させ、ひだ１２間の接近限度
距離を規定する。そのため、互いに隣接するひだ１２間
の間隔が一定となり、ひだ間の間隔のムラに起因する濾
過性能の低下がない。また、突出部１０を形成する斜面
は、フィルタ装置２６の気体入口側に形成されており、
気体の流れの方向に対して傾斜を有するため、フィルタ
装置に流入する気体の通気抵抗の増加は少なく、突出部
の形状に起因する濾過性能の低下も小さい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数のひだを有する濾
材からなるフィルタエレメントに関する。

【０００２】

【従来の技術】平板状の濾材が互いに反対向きに交互に
折り畳まれた状態の複数のひだを有するフィルタエレメ
ントは、作製が容易であり、かつ、同一容積における濾
過面積を大きくできるため、気体の濾過に広く使用され
ている。使用に際して、フィルタエレメントは、濾過さ
れる気体の流れの方向と、折り畳み方向が同じである複
数のひだの稜線を含む面、すなわちフィルタエレメント
入口面およびフィルタエレメント出口面とがほぼ直交す
るように設置される。

【０００３】フィルタエレメントが複数のひだを有する
濾材で構成される場合、フィルタエレメント中を通過す
る気体と濾材との接触面積は、フィルタエレメントがひ
だを有しない場合に比較して著しく増大し、濾過性能が
高くなる。即ち、同一の気体通過量に対する濾材の面積
が大きくなると、濾材の単位面積当りの負荷が減少する
ため、濾材の面積が小さい場合に比較して単位時間当り
に多量の気体を濾過することができ、また、同じ気体の
量を濾過するのであれば単位時間当りの濾材の目詰まり
の量がすくないため、濾材の面積が小さい場合に比較し
て長期にわたって使用することができるのである。

【０００４】しかし、複数のひだを有する濾材がフィル
タエレメント入口面および出口面に平行な方向に伸縮し
易い場合には、ひだの間隔にムラができる。そのため、
濾材の単位面積当たりの気体通過量は、ひだの間隔の大
きいところでは多くなり、ひだの間隔が小さいところで
は少なくなる。ひだの間隔が異なると、同一の濾過面積
を有していても、その濾過面に流入する気体の量が異な
り、ひだの間隔の大きいほうには多量の気体が流入する
が、ひだ間隔の小さいほうには少量の気体しか流入しな
いためである。したがって、全体としての濾過性能は、
ひだの間隔の大きい部分の濾過性能、すなわち濾材の単
位面積当たりの負荷の大きい部分の濾過性能の影響を強
く受け、フィルタエレメント全体としての濾過性能が低
下する。

【０００５】このような濾過性能の低下を回避するため
の一手段として、隣接するひだ間の接近限度を規定する
部分をひだに設けることが知られている。例えば、実開
平２−９１６０４号公報には、隣接する濾材の表面が密
着することのないよう、図８に示すような膨らみ部１０
０がひだ折り状の濾材に形成されている。隣接するひだ
１０２にそれぞれ形成された膨らみ部１００同士が互い
に当接することにより、隣接するひだ１０２間の距離が
常に一定に保たれるのである。

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載
の発明においては、ひだ折り状の濾材に形成された膨ら
み部１００の先端に、気体の流れの方向とほぼ直交する
面１０４が形成されており、フィルタエレメントを通過
する気体がこの面と衝突することによって流れが乱され
て通気抵抗が増大し、フィルタエレメントの単位時間当
りの気体の通過可能量が減少する。また、隣接する２つ
のひだ１０２の稜線１０６と、それらの稜線１０６の対
向する端部を結んだ線によって囲まれる隣接ひだ間の入
口面の面積（入口面積）が、面１０４の形成によって減
少することとなり、気体の通過可能量が減少するためで
ある。面１０４においても濾過は行われるのであるが、
隣接ひだ間の入口面の単位面積当たりに換算した面１０
４の気体濾過量が、ひだ１０２での濾過量に比べて遙に
小さいため、実質的に入口面積が減少することになるの
である。そこで、本発明では、ひだ折り状の濾材からな
り、ひだ接近限度規定手段を有するフィルタエレメント
であって、濾過性能の低下の少ないものを得ることを課
題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、平板状の濾材が互いに反対向きに交互に
折り畳まれた状態の複数のひだを有するフィルタエレメ
ントにおいて、前記稜線の一部とその近傍部分とを、稜
線に近い部分ほど多く隣接するひだに接近する向きに張
り出させて、その隣接するひだに当接することにより両
ひだの接近限度を規定する突出部を形成することを要旨
とする。

【０００７】

【作用】フィルタエレメントの有するひだの稜線の一部
とその近傍部分とが、稜線に近い部分ほど多く隣接する
ひだの方向に張り出させられることにより、隣接するひ
だが互いに接近する際の接近限度距離が規定される。ま
た、突出部はひだの稜線に近い部分ほど多く隣接するひ
だの方向に張り出したものであるため、突出部を形成す
る面は、フィルタを通過する気体の流れの方向に対して
傾斜を有する。したがって、気体は傾斜した面に沿って
滑らかにひだの部分に流入し、濾過されるとともに、突
出部においても一部が濾過される。

【０００８】このような突出部は、折り畳まれて複数の
ひだを有する濾材において、稜線およびその近傍部分に
絞り加工等により部分的な伸び（場合によっては部分的
な縮みも）を伴う三次元的な変形が加えられて形成され
るが、その数は、限定されない。一つのひだに複数個形
成されている事が望ましいが、１個でも良いのである。
また、稜線上における位置も特に限定されず、稜線上で
隣接する突出部は等間隔であってもよく、間隔が定まっ
ていなくてもよい。あるいは、隣接する突出部間に突出
部でない部分を残すことなく連続して形成されてもよ
い。また、突出部の形成形態としては、稜線の両側に突
出させられる形態と稜線の片側のみに突出させられる形
態とがある。ここで、必ずしも全てのひだが突出部を有
する必要はなく、例えば、稜線の両側に突出させられた
突出部を有するひだと突出部を有さないひだとが交互に
並ぶ場合のように、突出部を有するひだと突出部を有さ
ないひだとが混在していてもよい。ただし、各隣接する
ひだ間の入口面積を均等にすることにより、単位面積当
たりの濾材の負荷を均等にするという観点から、突出部
が形成されるひだにおいては、それらのひだに均等に突
出部が設けられることが望ましく、特に、稜線の両側に
突出させられる形態の突出部では、それぞれの側に同一
個数の突出部が設けられることが望ましい。

【０００９】また、突出部の隣接するひだに対する当接
の形態にも種々のものが存在する。例えば、互いに隣接
するひだが稜線の両側に突出する突出部を有する場合、
突出部の先端同士が当接して接近限度距離が規定されて
も良いし、突出部の先端と隣接するひだの突出していな
い部分とが当接して接近限度距離が規定されても良い。
互いに隣接するひだが共に同一方向に突出する突出部を
有する場合においては、隣接するひだの突出部が稜線に
沿った方向にずれた位置に形成され、突出部の先端と隣
接するひだの突出していない部分とが当接して接近限度
距離が規定されるのが望ましい。同一方向の突出する突
出部同士が完全に重なり合えば、突出部が隣接ひだ同士
の接近限度距離を規定する機能を果たさなくなってしま
い、部分的に重なり合う場合でも、接近限度距離を規定
するために、ひだ間の接近限度距離よりも突出部の突出
量を多くする必要があるためである。

【００１０】なお、フィルタエレメントが完成した状態
で、ひだの有する突出部とそのひだに隣接するひだとは
必ずしも当接していなくてもよいが、当接している方
が、隣接するひだ間の間隔の均等化が正確に行われる。

【００１１】また、ひだ間の間隔を一定にするには、突
出部をフィルタ入口側及びフィルタ出口側の両方に設け
られることが望ましいが、一方にのみ設けられた場合で
あっても効果はあり、特にフィルタ入口側に設けられる
ことが隣接するひだ間の入口面積を均等にする上で望ま
しい。

【００１２】

【発明の効果】以上の如く、ひだに気体の流入方向に対
して傾斜面を有する突出部を形成することにより、ひだ
間の間隔をほぼ一定に保ち、かつ、流入気体の流れの方
向をほとんど乱さずに濾過部に気体を導くことができる
ため、通気抵抗が減少し、濾過性能の低下を回避し得
る。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基づい
て説明する。図１および図２に、三角錘状の突出部１０
を有するひだ折り状のフィルタエレメント１１の一部を
示す。突出部１０は、ひだ折された不織布のフィルタ入
口側（図１において上側）に絞り加工（不織布の伸びを
伴う成形加工）により形成されている。ひだ１２の稜線
１４は、隣接する両側のひだ１２の方向に交互に突出し
ており、複数の突出部１０が形成されている。図３に示
すように、突出部１０の突出方向の先端１６は隣接する
ひだ１２の突出部１０の先端１６と当接し、互いに隣接
するひだ１２間の距離を規定している。

【００１４】また、図２に示すように、突出部１０ａ〜
１０ｅが隣接するひだの稜線１４ａ〜１４ｃの方向に交
互に突出しているため、各ひだ１２間における入口面積
は等しい。なお、入口面積とは、図３に示すように、す
べてのひだ１２の稜線を含む面１７上において、互いに
隣接する２つのひだ１２の稜線１４と、それら隣接する
稜線１４の互いに対向する端部同士を結ぶ２本の直線と
で囲まれた部分の面積をいう。稜線１４ａと稜線１４ｂ
の間の入口面積は、稜線１４ａ上の突出部１０ａと稜線
１４ｂ上の突出部１０ｃとが、互いにその先端が遠ざか
る向きに突出しているため、その突出部１０ａ，１０ｃ
の分大きくなり、突出部１０ｂと突出部１０ｄとが互い
にその先端が接近する向きに突出しているため、それら
突出部１０ｂ，１０ｄの分小さくなる。一方、稜線１４
ａと稜線１４ｂとの間の入口面積を大きくした突出部１
０ｃは、逆に稜線１４ｂと稜線１４ｃとの間の入口面積
を小さくする。すなわち、一つの突出部１４は、隣接す
るひだ間において、一方の入口面積を増大させると同時
に他方のひだ間の入口面積を減少させるのである。本実
施例においては、突出部１０が全ての稜線１４上で交互
に均等に形成されているため、全体として隣接するひだ
１２間の入口面積が等しくなるのである。

【００１５】また、図４に示す如く、上記構造を有する
フィルタエレメント１１は、両側部が側板２２で密封さ
れ、前後端距離が端板２４で規制されてフィルタ装置２
６に取り付けられている。気体は、フィルタ入口側から
フィルタ出口側に向けて（図４において上から下にむけ
て）通過し、濾過される。

【００１６】フィルタエレメント１１の有する突出部１
０は、フィルタ入口側から流入する気体の流れの方向に
対して傾斜を有する面で構成されるため、従来の流れ方
向に対して直交する面を有する場合に比べて通気抵抗が
減少する。また、ひだ１２の両方向に同じ数の突出部１
０を有するため、突出部１０が形成されたことによる入
口面積の増減もなく、濾過が均等に行われる。そのた
め、本実施例の濾材を使用することにより、従来の濾材
を使用した場合に比較して、濾過性能の低下が良好に回
避される。

【００１７】第２の実施例を図５，６に示す。本実施例
は、第１の実施例と同様の構成および効果を有するもの
であるが、稜線上で隣接する突出部１０間に突出部１０
でない部分がないよう多数の突出部１０が連続して形成
されている。そのため、互いに隣接するひだ１２間にお
ける突出部１０同士が当接する点の数が増し、隣接する
ひだ１２間を接近させる外力に対して更に強固に対抗す
ることができる。

【００１８】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
く、例えば、突出部の形状は三角錘状である必要はな
く、図７に示すような円錘状のものであってもよく、あ
るいは、突出部先端が平面部を有し、隣接する突出部が
その平面部で当接するものであってもよい。フィルタエ
レメントの形状は、箱状である必要はなく、円筒状のも
の等であってもよい。その他、特許請求の範囲を逸脱す
ること無く、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良
を施した態様で本発明を実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例であるフィルタエレメン
トの一部を示す斜視図である。

【図２】上記フィルタエレメントの平面図である。

【図３】上記フィルタエレメントの正面断面図の一部で
ある。

【図４】上記フィルタエレメントを用いたフィルタ装置
の斜視図である。

【図５】本発明の第２の実施例であるフィルタエレメン
トの一部を示す斜視図である。

【図６】上記第２の実施例のフィルタエレメントの平面
図である。

【図７】さらに別の実施例のフィルタエレメントを示す
斜視図である。

【図８】従来例のフィルタエレメントを示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１０ 突出部 １１ フィルタエレメント １２ ひだ １４ 稜線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板状の濾材が互いに反対向きに交互に
   折り畳まれた状態の複数のひだを有するフィルタエレメ
   ントにおいて、 前記ひだの稜線の一部とその近傍部分とを、稜線に近い
   部分ほど多く隣接するひだに接近する向きに張り出させ
   て、その隣接するひだに当接することにより両ひだの接
   近限度を規定する突出部を形成したことを特徴とするフ
   ィルタエレメント。