JPH0625567U - コンクリートポンプ用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリートをシール性良く圧送でき、ピス
トンラバーの摩滅によるシール性の低下が少なく、耐用
時間が長いコンクリートポンプ用ピストンを提供するこ
とを目的とする。 【構成】 ピストン式コンクリートポンプのピストンロ
ッドに取付けたピストンラバーを、ピストンロッドの本
体の側面を覆う側部体と、端面を覆うカップ状の端部体
とから構成し、この端部体の端面にコンクリートを受入
れる凹所を形成し、この凹所を周囲に形成された外輪部
の先端がシリンダの内周面とは離間しかつ丸味をおびた
ものとし、この先端に続く外周面を外方に膨出したも
の。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、石、砂が混在した液状のコンクリートを圧送するコンクリートポン プ、さらに詳しくは、ピストン式コンクリートポンプのシリンダ内で摺動するピ ストンの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

コンクリートポンプは、土木建築等の分野において、石、砂が混在した液状の コンクリート（以下単にコンクリート）を輸送管を介して遠方あるいは高所に圧 送する手段として多用されており、駆動方式により、弾性チューブ内のコンクリ ートを絞り出すスクイズ式と、シリンダ内のコンクリートをピストンにより押し 出すピストン式がある。

【０００３】 ピストン式のコンクリートポンプには、例えば、図３に示すようなものがある 。このコンクリートポンプは、支持箱体１に後端が連結された並列の作動シリン ダ２，２と、この作動シリンダ２，２上に設けられるホッパ３と、作動シリンダ ２内に摺動自在に設けられた作動ピストン４と、作動シリンダ２，２と同軸上に 設けられかつ各々の先端が前記支持箱体１に固定された１対の駆動シリンダ５， ５とを備えている。駆動シリンダ５には、作動シリンダ２内の作動ピストン４と ピストンロッド６を介して連結された駆動ピストン７が内装され、油圧により駆 動ピストン７が往復運動すると、それに応じて作動ピストン４が往復運動するよ うになっている。

【０００４】 また、作動シリンダ２の中間部には、ホッパ３内のコンクリートを導入する吸 入口８が開設され、この作動シリンダ２の先端には、コンクリートを吐出する吐 出口９が設けられている。吸入口８と吐出口９には、それぞれ開閉弁１０，１１ が取り付けられ、吸入口８の開閉弁１０は、第一弁駆動油圧シリンダ１０ａによ って、ピストン４後退時に吸入口８を開放し、ピストン４の前進時に吸入口８を 閉塞するように作動され、吐出口９の開閉弁１１は、第一弁駆動油圧シリンダ１ １ａによって、ピストン４前進時に吐出口９を開放し、かつピストン４後退時に 吐出口９を閉塞するように作動されるようになっている。したがって、このコン クリートポンプでは、ピストン４の後退によって、吸入口８からホッパ３内のコ ンクリートが吸入され、前進によって吐出口９よりコンクリートが吐出されるよ うになっている。また、両方の作動シリンダ２，２は、その吐出口９が、開閉弁 １１およびＹ字管１２を介して１つの輸送管１３に連結され、交互にコンクリー トの吸入および吐出を繰り返すので、コンクリートは輸送管１３に連続的に圧送 される。

【０００５】 このコンクリートポンプにおける作動ピストン４は、コンクリートをシール性 よく圧送するために、従来より、図４に例示するような構造となっている。この 作動ピストン４は、ピストンロッド６の先端に一体的に形成された大径の本体６ ａに、ピストンラバー２０，２１が取り付けられている。この本体６ａは、ほぼ 中央位置で外方向に張り出す大きな鍔部２２と、複数個の環状突起２３とを有し 、鍔部２２より前方側には前方ピストンラバー２０が、後方側には後方ピストン ラバー２１が覆うように設けられている。前方および後方ピストンラバー２０， ２１は、端面に半断面ほぼＶ字状の環状溝２４が形成され、環状溝２４の外側の スカート部２５が形成され、このスカート部２５の端部２５ａは外方向に向って 容易に拡開し得るように鋭角のエッジとされている。

【０００６】 この作動ピストン４が、図中矢印で示す方向に移動すると、前方ピストンラバ ー２０にコンクリートＣからの圧力が加わり、環状溝２４及びスカート部２５は 径方向に拡開し、スカート部２５の端部２５ａがシリンダ２の内周面と摺接し、 高いシール性をもって、コンクリートＣは圧送される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、コンクリートＣは、石、砂が混在し、高比重かつ高粘度の流動体で あり、圧送時にピストン４の端面に加わる圧力が非常に大きい。例えば、コンク リートＣを０．３５ｍ／秒の速度で圧送する場合には、最大５０Ｋｇ／ｃｍ2 の 吐出圧力が必要とされるが、その反作用として同等の力がピストン４の端面に加 わることになる。

【０００８】 この場合、従来のピストン４では、前方ピストンラバー２０に形成されたスカ ート部２５の端部２５ａが鋭角のエッジであるため、容易に変形しシリンダ２の 内周面と端部２５ａとの接触がなくなり、漏れを生じ、シリンダ２の内周面とス カート部２５との間に入り込んだコンクリートＣが、ピストンラバー２０を簡単 に損耗させ、短時間でシール性が低下するという不具合がある。例えば、ピスト ン４の外径が約５０ｍｍ程度のものを使用し、コンクリートＣを０．３５ｍ／秒 の速度で圧送した場合、耐用時間は１００時間程度であった。

【０００９】 本考案は、上述した従来技術に伴う課題を解決するためになされたもので、コ ンクリートをシール性良く圧送でき、ピストンラバーの損耗によるシール性の低 下が少なく、耐用時間が長いコンクリートポンプ用ピストンを提供することを目 的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するための本考案は、ピストンロッドの先端の本体に取付け られたピストンラバーを有するピストンをシリンダ内で往復動させることにより 前記シリンダに開設された吸入口から取込んだコンクリートを吐出口から排出す るようにしたコンクリートポンプにおいて、前記ピストンラバーは、ピストンロ ッドの本体の側面を覆う側部体と、端面を覆うカップ状の端部体とを有し、この 端部体は端面にコンクリートを受入れる凹所を有し、この凹所を周囲に形成され た外輪部は、先端が前記シリンダの内周面と所定の間隔離間しかつ円弧状に丸味 をおびたものとし、この先端に続く外周面が外方に膨出され、前記先端より所定 長離間した位置で前記シリンダの内周面と当接するような形状としたことを特徴 とするコンクリートポンプのピストンである。

【００１１】 前記端部体の凹所は、少なくとも前記ピストンロッドの本体の先端の外径より 小さな径の底面と、この底面より外方に向って次第に拡開された内側面とを有す ることが好ましく、より好ましくは、前記側部体は、前記凹所の内側面に対応す る外周面に１又は複数個の溝を有するものであることが望ましい。

【００１２】

【作用】

本考案によれば、ピストンロッドの本体の側面を覆う側部体と、端面を覆うカ ップ状の端部体とを有し、端部体は端面にピストンラバーの端面に凹所が形成さ れ、かつ凹所を周囲に形成された外輪部の外周面が外方に膨出された形状とされ ているので、シリンダ内でピストンが前進したとき、コンクリートからの圧力は 、ピストンラバーの端部体に形成された凹所に作用し、この端部体の外輪部を径 方向に開拡し、その湾曲した外周面がシリンダ内周面に摺接する。したがって、 シリンダの内周面との摺接面が大きくなるのみでなく、コンクリートからの圧力 を利用してシールするので、コンクリートのシール性が大巾に向上する。また、 ピストンラバーの端部体の先端を丸味をおびた形状としているので、ピストンラ バーの損耗も少なく、石、砂が混在した液状のコンクリートを圧送する場合にも ピストンラバーは確実にシールし、耐用時間が長いものとなる。

【００１３】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明する。 図１は、本校案の一実施例に係るコンクリートポンプ用ピストンを示す断面図 、図２は作動状態時のピストンを示す断面図であり、図３，４に示す部材と同一 部材には同一符号を付し、その説明の一部を省略する。

【００１４】 本実施例に係るピストンは、図１に示すように、ピストンロッド６の先端に一 体的に形成された本体６ａに、前方ピストンラバー３０と後方ピストンラバー３ １が取り付けられている。

【００１５】 後方ピストンラバー３１は、鍔部２２より後方の本体６ａの外周面を覆ってお り、端面にＶ字状の環状溝３２が形成されている。この環状溝３２より外側には 、外環状溝３３を囲むスカート部３４が形成され、このスカート部３４はやや外 方向に広がると共に、その端部３４ａは鋭角のエッジをなしている。

【００１６】 前方ピストンラバー３０は、鍔部３４より前方に装着され、ピストンロッド６ の本体６ａの側面を覆う側部体３５と、端面を覆うカップ状の端部体３６とを有 し、この端部体３６は端面にコンクリートを受入れる凹所３７を有している。こ の凹所３７の周囲に形成された外輪部３８は、先端３８ａがシリンダ１の内周面 と所定の間隔ｂだけ離間しかつ円弧状に丸味をおびたものとされ、この先端３８ ａに続く外周面は外方に膨出された形状となっており、前記先端３８ａより所定 長ｓだけ離間した位置でシリンダ１の内周面と当接するように構成されている。 前記端部体３６における凹所３７の底面３７ａは、少なくともピストンロッド ６の本体６ａの先端の外径ｄ₁ より小さな径ｄ₂ とされ、また内側面３７ｂは、 底面３７ａより外方に向って次第に拡開されている。また、前記端部体３６は、 凹所３７の内側面３７ａに対応する外周面に断面Ｕ字状の２条の溝３９が形成さ れている。この溝３９は、１条でもよく、また場合によっては複数個であっても よい。

【００１７】 次に作用を説明する。 ピストン４を後退した状態で、第一弁駆動油圧シリンダ１０ａを作動し吸入口 ８を開放する。この開放によりホッパ３内のコンクリートＣは、吸入口８から作 動シリンダ２内に導入される。次に、第２弁駆動油圧シリンダ１１ａを作動し吐 出口９を開放する。そして、駆動シリンダ５を作動し、ピストンロッド６を介し て作動シリンダ２のピストン４を前進させ、吐出口９よりコンクリートＣを輸送 管１３に吐出し圧送する。

【００１８】 このような作動時に、ピストン４の端部体にはコンクリートＣからの圧力が作 用し、ピストン４は、図２に示すように変形し、シリンダ２の内周面に当接し、 シールする。この場合、ピストンロッド６の端面を覆うカップ状の端部体３６は 、端面に凹所３７が形成されているので、この凹所３７にコンクリートＣからの 圧力が作用し、凹所３７の周囲の外輪部３８を径方向に拡開し、この外輪部３８ の湾曲した外周面がシリンダ１の内周面に摺接する。このとき、外輪部３８の外 周面に形成した断面Ｕ字状の２条の溝３９により外輪部３８の変形が容易となり 、外輪部３８とシリンダ内周面との接触がより確実となる。

【００１９】 したがって、シリンダ１の内周面との摺接面が大きくなるのみでなく、コンク リートＣからの圧力を利用してシールすることになり、外輪部３８によるシール 性が大巾に向上する。また、端部体３６における外輪部３８の先端３８ａが丸味 をおびた形状となっているので、ピストンラバーの損耗も少なく、石、砂が混在 した液状のコンクリートを圧送する場合にもピストンラバーは確実にシールし、 耐用時間が長いものとなる。例えば、コンクリート圧送速度０．３５ｍ／秒、シ リンダ２の内径が５３ｍｍ、およびピストン４のストローク長が２００ｍのとき 、耐用時間は２００〜３００時間とすることができた。

【００２０】 上述したものは、本考案の好ましい実施例であるが、本考案は、この実施例の みに限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲内で種々の変更が可能で ある。例えば、本考案は、ピストン式のコンクリートポンプのみでなく、他の駆 動手段により駆動されるコンクリートポンプにも適用でき、搭載式あるいは定置 式を問わず種々のコンクリートポンプに好適に使用することができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案によれば、ピストンロッドの本体の側面を覆う側部 体と、端面を覆うカップ状の端部体とを有し、端部体は端面にピストンラバーの 端面に凹所が形成され、かつ凹所を周囲に形成された外輪部の外周面が外方に膨 出された形状とされているので、シリンダの内周面との摺接面が大きくなるのみ でなく、コンクリートからの圧力を利用してシールするので、コンクリートのシ ール性が大巾に向上する。また、ピストンラバーの端部体の先端を丸味をおびた 形状としているので、ピストンラバーの損耗も少なく、石、砂が混在した液状の コンクリートを圧送する場合にもピストンラバーは確実にシールし、耐用時間が 長いものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本考案の一実施例に係るコンクリートポン
プ用ピストンを示す断面図、

【図２】は、本実施例のピストン作動時を示す断面図、

【図３】は、コンクリートポンプの概略斜視図、

【図４】は、従来のコンクリートポンプ用ピストンの一
例を示す断面図である。

【符号の説明】

１…シリンダ、 ４…ピスト
ン、６…ピストンロッド、 ６ａ…本
体、８…吸入口、 ９…吐出
口、３０…前方ピストンラバー、 ３５…側
部体、３６…端部体、 ３７…
凹所、３７ａ…凹所の底面、 ３７ｂ
…凹所の内側面、３８…外輪部、
３８ａ…先端、３９…溝、ｂ…先端とシリンダ内周
面との間隔、 Ｃ…コンクリート、ｄ₁ …ピストンロ
ッド本体先端の外径、 ｄ₂ …凹所の底面の径、ｓ…先
端と外輪部がシリンダ内周面と接触する点までの長さ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 吉田 吉正 東京都葛飾区西水元四丁目１番10号 有限 会社インター工業内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストンロッド(6) の先端の本体(6a)に
   取付けられたピストンラバー(30)を有するピストン(4)
   をシリンダ(1) 内で往復動させることにより前記シリン
   ダ(1) に開設された吸入口(8) から取込んだコンクリー
   ト(C) を吐出口(9) から排出するようにしたコンクリー
   トポンプにおいて、前記ピストンラバー(30)は、ピスト
   ンロッド(6) の本体(6a)の側面を覆う側部体(35)と、端
   面を覆うカップ状の端部体(36)とを有し、この端部体(3
   6)は端面にコンクリート(C) を受入れる凹所(37)を有
   し、この凹所(37)を周囲に形成された外輪部(38)は、先
   端(38a) が前記シリンダ(1) の内周面と所定の間隔(b)
   離間しかつ円弧状に丸味をおびたものとし、この先端(3
   8a) に続く外周面は外方に膨出され、前記先端(38a) よ
   り所定長(s) 離間した位置で前記シリンダ(1) の内周面
   と当接するような形状としたことを特徴とするコンクリ
   ートポンプのピストン。
2. 【請求項２】 前記端部体(36)の凹所(37)は、少なくと
   も前記ピストンロッド(6) の本体(6a)の先端の外径
   (d₁ ) より小さな径(d₂ ) の底面(37a) と、この底面(3
   7a) より外方に向って次第に拡開された内側面(37b) と
   を有する請求項１に記載のコンクリートポンプのピスト
   ン。
3. 【請求項３】 前記端部体(36)は、前記凹所(37)の内側
   面(37b) に対応する外周面に１又は複数個の溝(39)を有
   する請求項２に記載のコンクリートポンプのピストン。