JPH06255306A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JPH06255306A
JPH06255306A JP5045365A JP4536593A JPH06255306A JP H06255306 A JPH06255306 A JP H06255306A JP 5045365 A JP5045365 A JP 5045365A JP 4536593 A JP4536593 A JP 4536593A JP H06255306 A JPH06255306 A JP H06255306A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、他の性能を犠牲にすることなくハ
イドロプレーニング現象の発生を抑制することができる
空気入りタイヤの提供を目的とする。 【構成】 本発明の空気入りラジアルタイヤ1は、トロ
イド状のカーカス2と、コードゴム引き層3の交差積層
になるベルト4と、このベルト4で補強したトレッド部
5とを備え、該トレッド部5が、その幅中央部でタイヤ
径方向内側にカーカス2およびベルト4とともにトレッ
ド円周に沿って窪んだ環状凹部6を有することによりダ
ブルクラウン構成となり、トレッド部5のタイヤ径方向
内側に、コードを平行配列した非伸長性のゴム引き層か
らなる少なくとも1枚のフープ補強層7を備え、該フー
プ補強層7の少なくとも一は、タイヤを適用リムに装着
し、規定の空気圧にし、静止した状態で規定の質量を加
えた条件下におけるトレッド接地面の、環状凹部6に相
当する非接地幅に対して同等以下の幅を有し、このフー
プ補強層7を環状凹部6に対応して配設してなることを
特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トレッドの幅中央に環
状凹部を備える空気入りタイヤに関するものであり、他
の性能を犠牲にすることなくハイドロプレーニング現象
の発生を抑制することができる。
【0002】
【従来の技術】最近の車両の高性能化にともない、空気
入りタイヤのへん平化が望まれるようになった。しか
し、へん平化した空気入りラジアルタイヤは、そのトレ
ッド接地幅が広くなるため、濡れた路面走行でタイヤ接
地中央域に侵入する水を排除しにくく、ハイドロプレー
ニング現象が生じやすい状況にある。このため、トレッ
ドパターン等の改良により排水性の向上を図る検討がな
されている。
【0003】前記の空気入りタイヤの一例としては、ト
レッドの幅中央に環状凹部を備えることにより排水性を
高め、この環状凹部により薄肉化したトレッド部の剛性
等を補うため、この環状凹部の内周側に一枚以上のベル
ト補強層を設けた空気入りタイヤが、特開昭61−60
304号公報に開示されている。この空気入りタイヤ
は、ベルト補強層の幅が環状凹部の幅と同等以上の幅で
あり、またカーカスとベルトの形状については通常の形
状のものを使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前掲公報の空
気入りタイヤは、トレッド接地中央域の排水性向上は図
れるものの、カーカスとベルト形状は通常の形状、すな
わちクラウン部が上に凸状またはフラットの円筒面形状
をしているため、環状凹部の溝深さはトレッド部の厚み
の制限を受けることとなり、しかもこのトレッド部の厚
みはトレッド剛性やタイヤ重量等に好ましくない影響を
与えるためさほどトレッド部を厚くできず、環状凹部の
溝体積を通常のトレッド溝に比べ大幅に増加させること
は実際上困難である。また、ベルト補強層の配設は、特
に高速走行時のタイヤの幅中央における径方向拡張は抑
えられるが、このベルト補強層の幅が環状凹部の幅以上
であるためベルトの曲げ剛性は大きくなり、大きなスリ
ップ角におけるベルトの追従性が悪化し、サイドフォー
スの低下を招く。そのため、車両装着時の限界グリップ
力が不足する。
【0005】そこで本発明は、タイヤ構造の適正化を図
ることにより、他の性能を犠牲にすることなくハイドロ
プレーニング現象の発生を抑制することができるトレッ
ドの幅中央に環状凹部を備える空気入りタイヤを開発す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、トロイド状の
カーカスと、コードゴム引き層の交差積層になるベルト
と、このベルトで補強したトレッド部とを備え、該トレ
ッド部が、その幅中央部でタイヤ径方向内側にカーカス
およびベルトとともにトレッド円周に沿って窪んだ環状
凹部を有することによりダブルクラウン構成となる空気
入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部のタイヤ径方
向内側に、コードを平行配列した非伸長性のゴム引き層
からなる少なくとも1枚のフープ補強層を備え、該フー
プ補強層の少なくとも一は、タイヤを適用リムに装着
し、規定の空気圧にし、静止した状態で規定の質量を加
えた条件下におけるトレッド接地面の、環状凹部に相当
する非接地幅に対して同等以下の幅を有し、このフープ
補強層を環状凹部に対応して配設してなることを特徴と
する空気入りラジアルタイヤである。
【0007】また、環状凹部の窪み深さは、タイヤ幅断
面において、ダブルクラウンの最大外径位置を直線で結
び、この直線から環状凹部の最深部位置に下ろした垂線
の長さにして、10〜15mmの範囲であること、トレ
ッド接地状態における接地域全面積に対する非接地部分
の開口面積の百分率で表したネガティブ率が、ダブルク
ラウンのそれぞれについて15〜30%、全トレッドに
ついては環状凹部も含めて算出したネガティブ率が40
〜60%であること、トレッド接地状態での環状凹部の
窪みの容積に対するトレッド部に開口している溝の容積
の割合が0.3〜0.6の範囲であること、環状凹部の
最深部位置におけるスキッドベースゲージが1.5〜
5.0mmの範囲であること、トレッド部の少なくとも
環状凹部の表層ゴムは、その破断伸びが室温で300%
以上であること、トレッド部の少なくとも表層ゴムは、
30℃におけるtanδが0.3以上であること、ダブ
ルクラウンの少なくとも一方について、タイヤの最大外
径の円周を含む平面を境界としてクラウン中央側部とク
ラウン側方側部とに分けたとき、クラウン側方側部の曲
率半径のクラウン中央側部の曲率半径に対する割合が
0.5〜5.0の範囲であること、フープ補強層が、ダ
ブルクラウンに対応する位置に配設されること、がより
好ましい。
【0008】図1に、本発明の代表的な空気入りタイヤ
の幅断面を示し、図中1は空気入りラジアルタイヤ、2
はカーカス、3はコードゴム引き層、4はベルト、5は
トレッド部、6は環状凹部、7はフープ補強層、8はク
ラウン中央側部、9はクラウン側方側部である。図1に
示す空気入りラジアルタイヤ1は、トロイド状のカーカ
ス2と、コードゴム引き層3の交差積層になるベルト4
と、このベルト4で補強したトレッド部5とを備え、該
トレッド部5が、その幅中央部でタイヤ径方向内側にカ
ーカス2およびベルト4とともにトレッド円周に沿って
窪んだ環状凹部6を有し、トレッド部5はダブルクラウ
ン構成となっている。このダブルクラウンは、タイヤの
最大外径の円周を含む平面Sを境界としてクラウン中央
側部8とクラウン側方側部9とに分けたとき、クラウン
側方側部9の曲率半径のクラウン中央側部8の曲率半径
に対する割合は0.5〜5.0の範囲にすることが好ま
しい。この範囲から外れると、適正接地形状が得られな
い。なお、クラウン中央側部8とクラウン側方側部9の
クラウン形状は、対称であっても非対称であってもよ
い。環状凹部6の窪み深さDは、タイヤ幅断面におい
て、ダブルクラウンの最大外径位置を直線lで結び、こ
の直線lから環状凹部6の最深部位置に下ろした垂線の
長さにして、10〜15mmの範囲にすることが好まし
い。10mm未満だと、通常トレッドに配設する周溝の
溝容積と大差なくなるため、期待できる程度の排水性が
得られず、また15mmを超えるとコードゴム引き層間
でのせん断歪が大きくなるため、ベルトセパレーション
が発生するおそれがある。環状凹部6は、その最深部位
置におけるスキッドベースゲージtが1.5〜5.0m
mの範囲であることが好ましい。1.5mm未満だとカ
ットによる故障が生じやすくなり、5.0mmを超える
とベルトが屈曲しやすくなるためである。トレッド部5
の少なくとも環状凹部6の表層ゴムは、その破断伸びの
百分率をカット防止のため、室温で300%以上とする
ことが好ましい。
【0009】また、この空気入りラジアルタイヤは、ト
レッド部5のタイヤ径方向内側に、コードを平行配列し
た非伸長性のゴム引き層からなる1枚のフープ補強層7
を備えている。なお、このフ−プ補強層7は、図1では
ベルト4の外周に配置したが、コードゴム引き層3の間
またはカーカス2とベルト4の間に配置してもよい。該
フープ補強層7の少なくとも一は、タイヤを適用リムに
装着し、規定の空気圧にし、静止した状態で規定の質量
を加えた条件下におけるトレッド接地面の、環状凹部6
に相当する非接地幅に対して同等以下の幅を有し、その
幅のフープ補強層7を環状凹部6に対応して配設してい
る。フープ補強層7は、ベルトセパレーションを防止す
るため、前記環状凹部6に対応した位置に設けるのに加
えて、各ダブルクラウンに対応する位置にも設けてもよ
い。
【0010】トレッド接地状態における接地域全面積に
対する非接地部分の開口面積の百分率で表したネガティ
ブ率が、ダブルクラウンのそれぞれについて15〜30
%、全トレッドについては環状凹部6も含めて算出した
ネガティブ率が40〜60%であることが好ましい。ネ
ガティブ率が大きすぎると、乾いた路面でのグリップ性
が悪化し、反対に小さすぎると濡れた路面での排水性が
悪化する。なお、ここでいうトレッド接地状態とは、タ
イヤを適用リムの装着し、規定の空気圧にし、静止した
状態で規定の質量を加えた条件下のトレッド接地状態の
ことを意味する。また、トレッド接地状態での環状凹部
6の窪みの容積に対するトレッド部に開口している溝の
容積の割合は、0.3〜0.6の範囲にすることが好ま
しい。この範囲が小さすぎるとコーナリング時の排水性
が悪化し、大きすぎると接地面積が小さくなるため乾い
た路面でのグリップ性が悪化する。また、トレッド部5
の少なくとも表層ゴムは、30℃におけるtanδが
0.3以上であることが乾いた路面でのグリップ性確保
の理由から好ましい。さらに、高排水性をより望む場合
には、ダブルクラウンに配設する横溝は、いわゆる方向
性パターンに配設することが好ましく、高い横剛性を望
む場合には、サイドウォール部を、スチールコードまた
はアラミドで代表される有機繊維コードのゴム引き層で
補強することが好ましい。ベルト4は、セパレーション
防止のため、そのコードとしてペネコードを使用するこ
とが好ましい。
【0011】カーカス形状は、トレッド部5に対応して
幅中央部で窪んでいるため、発明タイヤは、通常タイヤ
に比べ、カーカスにかかる繰り返し屈曲による歪エネル
ギーロスが大きく、そのためロスの小さいプライコード
の有機繊維コードを使用することが好ましく、特にポリ
エステル繊維がより好ましい。なお、この発明タイヤ
は、パンクしたときの安全性を重視する場合には、いわ
ゆるランフラットタイヤと組み合わせて使用してもよ
い。また、タイヤの加硫時においては、タイヤ金型に必
要な空気抜きを環状凹部に対応して設けることが好まし
い。
【0012】
【作用】本発明の空気入りラジアルタイヤ1は、そのト
レッド部5が幅中央でタイヤ径方向内側にトレッド円周
に沿って窪んだ環状凹部6を有し、この環状凹部6に対
応してフープ補強層7を配設することにより、高速走行
時のトレッド中央部におけるタイヤ径の拡張を抑制し、
このフープ補強層7の幅を環状凹部6に相当する非接地
幅に対し同等以下の幅にすることで、ベルト剛性を適切
に保つことができる。また、カーカス2およびベルト4
が、環状凹部位置でトレッド円周に沿って窪む構造をと
るため、上掲公報の空気入りタイヤにおけるトレッドゴ
ムの厚みの制約を緩和することができる。さらに、環状
凹部6の設置により、非常に大きな窪み容積を得ること
ができるため、濡れた路面走行時にタイヤ接地面の幅中
央域に侵入する水を環状凹部6に閉じ込めることがで
き、タイヤと地面が水の介入なしに接することができ、
また、トレッドをダブルクラウンにすることになるの
で、通常タイヤに比べ、実際の接地面積はほほとんど変
化しないが、トレッド幅の全体は広くなる。
【0013】
【実施例】本発明にしたがう空気入りタイヤの具体的な
実施例を図面を参照しながら説明する。 ・実施例 図2に示す発明タイヤは、トロイド状のカーカス2と、
コードゴム引き層3の交差積層になるベルト4と、この
ベルト4で補強したキャップアンドベース構造のトレッ
ド部5とを備え、該トレッド部5が、その幅中央部でタ
イヤ径方向内側にカーカス2およびベルト4とともにト
レッド円周に沿って窪んだ環状凹部6を有し、トレッド
部5はダブルクラウン構成となっている。このダブルク
ラウンは、タイヤの最大外径の円周を含む平面を境界と
してクラウン中央側部8とクラウン側方側部9とに分け
クラウン中央側部8とクラウン側方側部9のクラウン形
状は対称とした。環状凹部6は、その窪み深さDを1
4.2mmとし、その最深部位置におけるスキッドベー
スゲージtを2.5mmとした。トレッド部5のキャッ
プゴムは、その破断伸びを室温で550%とした。ま
た、ベルト4の外周上には、ベルトより広幅の一枚のフ
ープ補強層7と、その両端にそれぞれ狭幅の一枚のフー
プ補強層7を備え、さらに環状凹部6に相当する位置に
は、その幅を、トレッド接地面の環状凹部6に相当する
非接地幅(60mm)に対して50mmとする一枚のフ
ープ補強層7を備えた。これらのフープ補強層のコード
には、非伸長性のナイロンコードを使用し、タイヤ赤道
面に対し0°で配列した。トレッド接地状態でのネガテ
ィブ率は、一つのダブルクラウンで25%、環状凹部を
含めた全トレッドにおけるネガティブ率は50%とし
た。トレッド接地状態での非接地部分の全溝容積は、環
状凹部6も含めて、接地長を合算して1m当たり600
mlとし、環状凹部6の窪み容積に対するトレッド部5
に開口している溝の容積の割合を0.4%とした。ま
た、トレッド部5の少なくとも表層ゴムの30℃におけ
るtanδを0.55とした。ベルト4は、そのコード
にスチールコードを使用した。カーカス2は、そのプラ
イコードにポリエステル繊維コードを使用した。
【0014】・比較例1 環状凹部6の窪み深さDが8.0mm、その窪み容積を
含んだトレッド部に開口している溝の容積が接地長を合
算して1m当たり350mlであり、環状凹部6に対応
するフープ補強層7を備えていないこと、およびカーカ
ス2とベルト4が幅中央で窪んでないことを除いては、
実施例に使用したタイヤとほぼ同様な構造を有する図3
に示すタイヤである。 ・比較例2 環状凹部6に対応する該フープ補強層7の幅を、トレッ
ド接地面の環状凹部6に相当する非接地幅(Bmm)に
対してB×1.2mmとした以外は実施例に使用したタ
イヤとほぼ同様な構造を有するタイヤである。
【0015】・従来例 環状凹部6およびフープ補強層7をもたず、通常のトレ
ッドクラウン、カーカス2およびベルト4形状を有し、
トレッド部に開口している溝の容積が接地長を合算して
1m当たり330mlであることを除いては実施例に使
用したタイヤとほぼ同様な構造を有する図4に示すタイ
ヤである。
【0016】・試験方法 試験は、以下の内容について行った。 (1)サイドフォースおよびハイドロプレーニングの発
生速度の測定 サイドフォースは、タイヤをリムサイズが8JJ×16
の適用リムに装着し、タイヤ空気圧280kPa、質量
660kgを加えた条件下で、タイヤをフラットベルト
(セフティーウォーク)上で負荷転動させて測定した。
ハイドロプレーニングの発生速度は、空気圧が250k
Paであるタイヤを前記適用リムに装着し、さらにこの
タイヤ車輪を車両重量1.3tの後輪駆動車に装着し、
水深7mmの路面上を走行することにより測定した。こ
れらの試験結果を表1に示す。なお、表1中のサイドフ
ォースの値は指数比で示していて、大きいほど優れてい
る。
【0017】
【表1】
【0018】これらの結果から、実施例は、従来例およ
び比較例1に比べ、サイドフォースの発生を低下させる
ことなくハイドロプレーニングの発生速度が大幅に大き
くなった。
【0019】 (2)スリップ角とサイドフォースとの関係 スリップ角とサイドフォースとの関係は、フラットベル
トタイヤ特性試験機により調べた。その試験結果を図5
に示す。
【0020】この試験結果から、スリップ角が大きくな
るとともに、サイドフォースは、比較タイヤ2では低下
傾向が認められるが、実施例ではほとんど低下していな
い。
【0021】また、前記試験の他に、補助的な試験とし
て、以下の試験を行った。 (a)スキッドベースゲージと故障との関係 タイヤを実車に装着し、悪路を8000km走行後にタ
イヤを肉眼観察し、トレッドのカット疵またはベルト折
れの有無を調べ、総合的に故障を評価した。試験結果を
表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】試験結果から、トレッドのカット疵は1.
0mmのときに認められ、1.5mm以上のときカット
疵は存在しなかった。また、ベルト折れは、5mm以下
では認められなかったが、5.5mmで認められた。し
たがって、スキッドベースゲージが1.5〜5.0mm
のとき故障が生じなかった。
【0024】(b)トレッド部を構成するキャップゴム
の破断伸び特性とタイヤ耐久性との関係 破断伸び特性の異なる4種類のタイヤについて、前記
(a)と同様な試験条件で、4000km走行後に発生
するトレッドのカット疵の大きさおよび個数について調
べ、タイヤ耐久性を評価した。表3に試験結果を示す。
【0025】
【表3】
【0026】試験結果から、キャップゴムの破断伸びが
300%以上のとき、耐久性が大幅に向上した。
【0027】(c)環状凹部6に対応して配設したフー
プ補強層7のタイヤ径方向位置を変化させたときの高速
走行時のタイヤ径方向拡大寸法の測定 フープ補強層7をベルト4の外周上(実施例A)、コー
ドゴム引き層3間(実施例B)、およびベルト4とカー
カス2との間(実施例C)の位置に、それぞれ配設した
タイヤを200km/h走行させた時のタイヤ径方向拡
大寸法を測定した。試験結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】試験結果から、いずれの位置にフープ補強
層7を配設しても大差なく、タイヤ径方向拡大の抑制効
果がある。
【0030】また、ダブルクラウンの少なくとも一方に
ついて、クラウン中央側部8とクラウン側方側部9の曲
率半径が非対称であるタイヤの場合に、このクラウン側
方側部9の曲率半径のクラウン中央側部8の曲率半径に
対する割合を変化させて適正接地形状との関係を調べた
ところ、この割合が0.5未満になるとダブルクラウン
の接地面のそれぞれ幅中央側の摩耗が著しく、また5.
0を超えるとショルダー側での摩耗が著しくなった。し
たがって、0.5〜5.0の範囲が適正接地形状になっ
た。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、トレッド部5が幅中央
でタイヤ径方向内側にトレッド円周に沿って窪んだ環状
凹部6を有し、この環状凹部6に対応してフープ補強層
7を配設することにより、高速走行時の環状凹部6にお
けるタイヤ径方向拡張を抑制することができるため、十
分な排水性を確保でき、ハイドロプレーニング現象の発
生を抑制する効果がある。また、前記フープ補強層7の
幅を環状凹部6に相当する非接地幅に対し同等以下の幅
にすることで、ベルト剛性を適切に保つことができる。
さらに、カーカス2およびベルト4が、環状凹部位置で
トレッド円周に沿って窪む構造をとるため、上掲公報の
空気入りタイヤにおけるトレッドゴムの厚みの制約を緩
和することができ、トレッド剛性やタイヤ重量等の点で
有利になる。加えて、環状凹部6の設置により、非常に
大きな窪み容積を得ることができるため、濡れた路面走
行時にタイヤ接地面の幅中央域に侵入する水を環状凹部
6に閉じ込めることができ、タイヤと地面が水の介入な
しに接することができるため、ハイドロプレーニング現
象の発生を抑制する効果があり、また、トレッドクラウ
ンをダブルクラウンにすることになるので、通常タイヤ
に比べ、実際の接地面積はほほとんど変化しないが、ト
レッド幅の全体は広くなるため、乾いた路面走行での操
縦安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがう代表的な空気入りラジアルタ
イヤの幅断面図である。
【図2】実施例に使用した発明タイヤの幅断面図であ
る。
【図3】比較例1に使用した比較タイヤの幅断面図であ
る。
【図4】従来例に使用した従来タイヤの幅断面図であ
る。
【図5】スリップ角とサイドフォースとの関係を示す図
である。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ 2 カーカス 3 コードゴム引き層 4 ベルト 5 トレッド部 6 環状凹部 7 フープ補強層 8 クラウン中央側部 9 クラウン側方側部 L 直線 t スキッドベースゲージ D 環状凹部の窪み深さ S 平面

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロイド状のカーカスと、コードゴム引
    き層の交差積層になるベルトと、このベルトで補強した
    トレッド部とを備え、該トレッド部が、その幅中央部で
    タイヤ径方向内側にカーカスおよびベルトとともにトレ
    ッド円周に沿って窪んだ環状凹部を有することによりダ
    ブルクラウン構成となる空気入りラジアルタイヤにおい
    て、 トレッド部のタイヤ径方向内側に、コードを平行配列し
    た非伸長性のゴム引き層からなる少なくとも1枚のフー
    プ補強層を備え、該フープ補強層の少なくとも一は、タ
    イヤを適用リムに装着し、規定の空気圧にし、静止した
    状態で規定の質量を加えた条件下におけるトレッド接地
    面の、環状凹部に相当する非接地幅に対して同等以下の
    幅を有し、このフープ補強層を環状凹部に対応して配設
    してなることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 環状凹部の窪み深さは、タイヤ幅断面に
    おいて、ダブルクラウンの最大外径位置を直線で結び、
    この直線から環状凹部の最深部位置に下ろした垂線の長
    さにして、10〜15mmの範囲であることを特徴とす
    る請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】 トレッド接地状態における接地域全面積
    に対する非接地部分の開口面積の百分率で表したネガテ
    ィブ率が、ダブルクラウンのそれぞれについて15〜3
    0%、全トレッドについては環状凹部も含めて算出した
    ネガティブ率が40〜60%であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 【請求項4】 トレッド接地状態での環状凹部の窪みの
    容積に対するトレッド部に開口している溝の容積の割合
    が0.3〜0.6の範囲であることを特徴とする請求項
    1、2または3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】 環状凹部の最深部位置におけるスキッド
    ベースゲージが1.5〜5.0mmの範囲であることを
    特徴とする請求項1〜4に記載の空気入りラジアルタイ
    ヤ。
  6. 【請求項6】 トレッド部の少なくとも環状凹部の表層
    ゴムは、その破断伸びが室温で300%以上であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の空気入
    りラジアルタイヤ。
  7. 【請求項7】 トレッド部の少なくとも表層ゴムは、3
    0℃におけるtanδが0.3以上であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか一に記載の空気入りラジア
    ルタイヤ。
  8. 【請求項8】 ダブルクラウンの少なくとも一方につい
    て、タイヤの最大外径の円周を含む平面を境界としてク
    ラウン中央側部とクラウン側方側部とに分けたとき、ク
    ラウン側方側部の曲率半径のクラウン中央側部の曲率半
    径に対する割合が0.5〜5.0の範囲であることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の空気入りラ
    ジアルタイヤ。
  9. 【請求項9】 フープ補強層が、ダブルクラウンに対応
    する位置に配設されることを特徴とする請求項1〜8の
    いずれか一に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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