JPH06254302A - 非定常バッチ冷却晶析方法 - Google Patents

非定常バッチ冷却晶析方法

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JPH06254302A
JPH06254302A JP4503393A JP4503393A JPH06254302A JP H06254302 A JPH06254302 A JP H06254302A JP 4503393 A JP4503393 A JP 4503393A JP 4503393 A JP4503393 A JP 4503393A JP H06254302 A JPH06254302 A JP H06254302A
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JP
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crystallization
temperature
filtrate
crystallizer
solid
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JP4503393A
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Yasushi Tomisaka
泰 富阪
Katsuhiko Tsuzura
勝彦 葛籠
Yuichi Matsuda
雄市 松田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 目的物質を含む所定量の原料混合物を冷却晶
析缶2に供給して晶析し、生成したスラリーを固液分離
装置7に供給して固液分離するバッチ式冷却晶析方法に
おいて、前記固液分離装置7にて分離された濾液分9
を、前記晶析缶2にリサイクルして該晶析缶2内残留原
料と混合すると共に、該晶析缶2内混合物中の目的成分
濃度の低下に合わせて該晶析缶2内温度を降下させて非
定常的に晶析を行い、該晶析缶2内温度が所定の最終晶
析温度に至ると、その温度を維持して固液分離を行うこ
とを特徴とする非定常バッチ冷却晶析方法。 【効果】 従来の定常バッチ冷却晶析方法と同様の純度
・収率の製品8を、該従来法よりも冷却晶析缶2での生
産性が高く且つエネルギー消費量が少ない状態で得るこ
とができ、大幅な生産効率の向上及び省エネルギー化が
図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少量多品種の製品を生
産するファインケミカル分野における冷却晶析法に係る
もので、特にバッチ式冷却晶析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷却晶析法は固液間の変態を利用する分
離技術であり、気液間の変態を利用する蒸留法に比べて
潜熱が1桁低い事から、省エネ分離法として近年見直さ
れて来ている。この冷却晶析法は、原料混合物を連続的
に晶析缶に供給しつつ晶析分離する所謂連続晶析法と、
晶析缶に所定量の原料を張り込み、原料の新たな補給を
行う事なく晶析分離するバッチ晶析法とに大別される
が、少量多品種の生産を行うファインケミカル分野で用
いられる晶析法は殆どがバッチ晶析法である。
【0003】このバッチ晶析法において、原料中の目的
物質の濃度が或る程度高い場合に、1回の晶析操作で所
定の回収率を得ようとすると、晶析温度を下げて高濃度
スラリーを晶析缶内に生成する事が必要となるが、スラ
リー濃度が高くなると粘性が高くなってスラリー移送が
困難になる事から、通常は数回の晶析操作で所定の回収
率を得る方策が採用されている。即ち、1回目の晶析で
分離した濾液中には、未回収の目的物質が相当量含まれ
ているので、この濾液を新たな原料として再度晶析缶に
張り込んで2回目の晶析分離を行うのである。この2回
目の晶析においては、原料中の目的物質濃度が初期原料
より低下し、固液平衡温度も低温側に移行しているの
で、晶析温度は1回目よりも低くする。2回の晶析操作
でもなお回収率が不足する場合には、更に2回目の濾液
から更に低い温度で3回目の晶析を行う。必要に応じて
更に同様の晶析分離を4回,5回と繰り返す事になる。
【0004】従来、かかるバッチ晶析法を採用する背景
には、必要な純度・収率を得るに当たり、晶析分離を管
理し易い定常状態で行おうとする思想がある。即ち、晶
析温度を1点に定めておけば、平衡関係から結晶量及び
母液組成が定まり、回収結晶中の母液含有率から結晶製
品の純度が定まる事から、単純な計算と実験で操作温度
を決定しようとする思想がある。しかしながら、この従
来のバッチ晶析法(即ち、所謂定常バッチ冷却晶析方
法)においては、原料張り込み→1回目冷却晶析→1回
目固液分離→同濾液貯蔵→同濾液張り込み→2回目冷却
晶析→2回目固液分離→同濾液貯蔵→同濾液張り込み→
3回目冷却晶析→3回目固液分離→同濾液貯蔵------の
各工程が全て不連続のバッチ操作となっており、これら
の工程で最も長時間を要するのは、冷却晶析工程におけ
る缶内原料を所定温度まで冷却する冷却待ち時間であ
る。この時間は1回目よりは2回目の方が低温晶析とな
る事から、濾液貯蔵中の濾液温度が上昇すると、回を重
ねるにつれてその待ち時間も長くなる。そのため晶析缶
運転中の殆どの時間は定常待ち時間となり、従って晶析
缶1基当たりの生産性が低くなるので、晶析工場に多数
の晶析缶を併設する必要があり、又、濾液の昇温,降温
が繰り返されると、蒸留法に比してエネルギー消費量が
少ないという晶析法の利点が減殺されるという現象が生
じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したバ
ッチ式冷却晶析法の現状に鑑みてなされたものであり、
従来の定常晶析の概念に対し、非定常晶析の概念を導入
することによって、従来の定常バッチ冷却晶析方法と同
様の純度・収率の製品を、該従来法よりも晶析缶での生
産性が高く、効率良く、又、エネルギー消費量が少ない
状態で生産し得、生産効率の向上及び省エネルギー化が
図れるバッチ冷却晶析方法を提供することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のような構成の非定常バッチ冷却晶析方
法としている。即ち、本発明に係る非定常バッチ冷却晶
析方法の中、請求項1記載のものは、目的物質を含む所
定量の原料混合物を冷却晶析缶に供給して晶析し、生成
したスラリーを固液分離装置に供給して固液分離するバ
ッチ式冷却晶析方法において、前記固液分離装置にて分
離された濾液分を、前記晶析缶にリサイクルして該晶析
缶内残留原料と混合すると共に、該晶析缶内混合物中の
目的成分濃度の低下に合わせて該晶析缶内温度を降下さ
せて非定常的に晶析を行い、該晶析缶内温度が所定の最
終晶析温度に至ると、その温度を維持して固液分離を行
うことを特徴とする非定常バッチ冷却晶析方法である。
【0007】請求項6記載のものは、この非定常晶析に
所謂定常晶析を組み合わせた方法であって、冷却晶析缶
からのスラリー排出に追従して晶析缶とは別設の原料タ
ンクから該晶析缶に原料を補給しつつ、所定温度による
定温晶析及び固液分離を行うと共に、固液分離装置から
の濾液を濾液タンクに蓄える定常晶析を行い、該原料補
給の終了後、該濾液をリサイクルして上記の非定常晶析
を行うことを特徴とするものである。
【0008】請求項2、7記載のものは、前記濾液のリ
サイクルによる晶析缶内の目的成分濃度低下に応じ、該
晶析缶内温度を降下させて、該晶析缶内のスラリ−濃度
を略一定にする請求項1、6記載の方法、請求項3、8
記載のものは、前記濾液のリサイクル供給速度を略一定
にし且つ晶析缶からの単位時間当たりの除熱量を略一定
にして、該晶析缶内のスラリー濃度を略一定に保つ請求
項2、7記載の方法である。請求項4、11記載のもの
は、前記濾液をその組成の飽和温度近傍の温度にして晶
析缶にリサイクルする請求項1〜3、請求項6〜10記載
の方法である。請求項5、10記載のものは、前記最終晶
析温度に到達した後に固液分離装置から排出される濾液
のリサイクルは行わない請求項1〜4、請求項6〜9記
載の方法である。請求項9記載のものは、前記濾液リサ
イクルの開始後に固液分離装置から排出される第二濾液
を濾液タンクを介して晶析缶にリサイクルする請求項6
又は8記載の方法である。
【0009】
【作用】本発明の作用を、その構成例を示す図面を用い
て具体的に、以下説明する。本発明の中、請求項1に係
るプロセスの例を図1に示す。但し、図1は請求項2〜
5記載のプロセス例をも示している。図1において、目
的物質を含む原料混合物は、配管1より冷却晶析缶2に
所定量供給され、該晶析缶2に付設されたジャケット3
内に配管4より供給される冷媒によって予め設定されて
いる初期晶析温度Tsまで、攪拌機5によって攪拌しつつ
冷却される。該缶2内温度が初期晶析温度Tsに達する
と、該缶内の原料は目的物質の結晶が所定量生成したス
ラリーとなっており、該スラリーを配管6より固液分離
装置7(例えば遠心分離器,圧搾濾過器等)に供給して
固体製品8と濾液9とに分離する。固液分離装置は一般
的にバッチ運転される機器が多いので、濾液9は通常濾
液タンク10に一時的に貯蔵されるが、この濾液9は配管
11,濾液循環ポンプ12,配管13を経て前記晶析缶2にリ
サイクルされ、缶内の残留原料と混合される。濾液9中
の目的物質濃度は、元の原料中のそれよりも低くなって
いるから、この混合された缶内原料中の目的物質濃度も
初期のものに比して次第に低下してくる。
【0010】従って、この状態で缶内温度を当初の初期
晶析温度Tsに維持していたのでは缶内のスラリ−濃度は
次第に低下してくるから、缶内温度も原料濃度低下に合
わせて下げる必要がある。このための簡易制御方式とし
て、濾液タンク10からの濾液リサイクル量を略一定に保
ちつつ、ジャケット3内に供給される冷媒の入口温度Ti
と出口温度Toとを測定し、この温度差ΔTが略一定とな
る様に制御する方法があり、この方法によれば晶析缶か
らの除熱量が略一定に制御され、除熱量は結晶生成量に
比例しているから、結晶生成量を略一定に制御し得、引
いては晶析缶内スラリー濃度を略一定に制御できる。
【0011】又、原料系の固液平衡状態図が分かってい
る場合には、濾液組成,混合後の缶内組成,所定スラリ
ー生成の為の缶内温度等が計算で求められるから、これ
から求めた冷却速度曲線に沿って冷却する様に自動制御
システムを組む事も可能であり、又、計算自体も制御シ
ステム中で行わせる事も可能である。
【0012】尚、前記固液分離装置7から排出される濾
液9の温度は、基本的には晶析缶2の缶内温度と略同じ
であり、該濾液9の温度を維持しておく事は省エネの観
点から有効な方策であるので、該濾液9を一時的に貯蔵
する前記濾液タンク10は保温タンクとするか或いは晶析
缶2と同様にジャケットを付設して冷媒を循環させる様
にして温度調節可能にしておく事が得策である。
【0013】次に、上記の如き濾液リサイクルを行いつ
つ且つ缶内温度を徐々に降下させて行き、所定の最終晶
析温度Te(最終の晶析時の温度、即ち、徐々に温度降下
させて晶析する際の下限温度)に達すると、晶析缶内温
度はそれ以上降下させる事なくその温度Teを維持して固
液分離を行う。ここで、缶内温度が上記温度Teに達した
後に排出される濾液は、温度Teでの平衡組成であるの
で、それをリサイクルしても晶析缶内での結晶生成は生
じない。従って、上記温度Te到達後も濾液リサイクルを
継続すると、平衡組成の濾液が濾液タンク10に入り、該
タンク内の濾液中の目的物質の濃度が低下し、その濾液
がリサイクルされるので、晶析缶内のスラリー濃度は次
第に低下し、最後にはスラリー濃度はゼロになる。この
ため、最終晶析温度Teに達した後の濾液リサイクルは意
味がないので、最終晶析温度Teに達した後に固液分離装
置7から排出される濾液は、分岐配管14から他の濾液タ
ンクに移送し、濾液タンク10内の濾液9のみをリサイク
ルする事が好ましい。
【0014】尚、前記最終晶析温度Teは、製品純度と収
率との関係から設定される。即ち、収率向上が大きな課
題の場合には、目標収率が得られる晶析温度からTeを設
定する。一方、純度確保が大きな課題の場合には、晶析
温度の低下と共に目的物質の平衡母液組成も低下し、製
品固体の純度は含有母液の組成と共に変化するから、初
期の段階の製品の純度は高く、缶内温度の降下と共に純
度は低下してくるので、最後の段階で得られる製品の純
度が目標純度以上となる温度をTeとする場合と、全製品
の平均純度が目標純度以上となる様にTeを設定する場合
とがあり、製品の仕様により適宜選定すればよいが、後
者の方が製品収率が高くなる事は言う迄もない。
【0015】以上のように本発明に係るバッチ冷却晶析
方法は、晶析中の晶析缶内組成及び温度が一定でなく、
経時的に変化し、所謂非定常な状態で晶析が行われ、こ
れは定常状態で晶析を行う従来法と大きく異なる点であ
り、そのため大幅な生産効率の向上及び省エネルギー化
が図れる。即ち、従来法では最も長時間を要する冷却工
程が複数回に分割されているので、操業時間の殆どが冷
却時間となり、操業時間が長いため、単位時間当りの生
産性は低いが、これに対し、本発明方法では濾液が晶析
缶中にリサイクルされ、濾液の冷却晶析工程は固液分離
工程と同時並行して進められるので、操業時間が極めて
短かく、そのため従来法と同様の純度・収率の製品を、
従来法よりも晶析缶での生産性が高く、効率良く、又、
エネルギー消費量が少ない状態で生産し得、引いては大
幅な生産効率の向上及び省エネルギー化が図れる。
【0016】次に、本発明の中、請求項6に係るプロセ
スの例を図2に示す。但し、図2は請求項7〜11記載の
プロセスも例示している。これは、晶析缶2とは別に原
料タンク20を設け、一回のバッチ処理する原料の量を多
くした場合の例である。即ち、晶析開始の時点では、晶
析缶2,原料タンク20に夫々所定量の原料を張り込んで
おき、晶析缶2の冷却を行う。晶析缶2の缶内温度が初
期晶析温度Tsに達すると、その温度を維持した状態で配
管6より缶内スラリーの固液分離装置7への供給を開始
し、濾液は小型の濾液タンク10に一旦貯蔵し、配管11,
ポンプ12,配管31を経て大型の濾液タンク30に貯蔵す
る。一方、固液分離装置7へのスラリー供給に伴う晶析
缶2内の液面の低下に合わせて、原料タンク20内の原料
を配管22を経て晶析缶2に連続的又は間欠的に補給しつ
つ晶析分離を行う。この工程は、晶析缶2と原料タンク
20内に貯蔵されている同一組成の原料を、晶析缶2内の
温度を一定に保持した状態で連続的に晶析分離する所謂
定温晶析工程であり、従来から一般に行われている連続
晶析法と本質的には同一の工程である。
【0017】次に、原料タンク20内の原料が空になり、
晶析缶2への原料補給が終了すると、晶析缶2の液面低
下に合わせて連続的或いは断続的に濾液タンク30内の濾
液を配管32,ポンプ33,配管34を経て晶析缶2に供給
し、前述の濾液リサイクルによる非定常晶析を開始す
る。この工程では、晶析缶2内の目的物質濃度は経時的
に低下するので、前述の図1を用いて説明した如く、晶
析缶2内の温度も徐々に降下させつつ晶析する所謂非定
常晶析が行われる事になる。そして、晶析缶内温度が最
終晶析温度Teに達すると、前記図1の場合と同様、それ
以後に固液分離装置10から排出される濾液のリサイクル
は中止し、濾液タンク10,30内の濾液のみをリサイクル
し且つその温度Teを維持した状態で晶析分離操作を行
う。
【0018】以上説明した図2の場合において、原料タ
ンク20から補給される原料の温度は、原則的には任意で
あるが、晶析缶の温度よりも高過ぎると晶析缶での熱負
荷が高くなる問題が生じるので、原料組成における飽和
温度程度で送給できる様に予冷しておくのが好ましい。
この為には原料タンク20にもジャケット23及び攪拌機24
を付設して外部から冷却して温度調節可能にしておく必
要がある。又、濾液についても同様で、濾液タンク10,
30共に温度調節可能にしておく事が好ましい。特に濾液
タンクについては、原料タンク20内の原料量に相当する
量の原料が処理される迄は、濾液のリサイクルが行われ
ないから、その間に発生する濾液を一時的に貯蔵するだ
けの容量のものが必要となる。そのため、図2の例で
は、小型濾液タンク10と大型濾液タンク30の2基を用い
ているが、これは大型容量のタンク1基でもよい事は言
うまでもない。又、原料タンク20も複数基設置して、順
次これらを切り換えつつ晶析缶に供給して定常晶析を行
う様にして、1回のバッチ処理量を多くする事も出来、
この場合には、定温晶析工程で発生する全濾液を貯蔵出
来る濾液タンクを設置してもよいが、複数の原料タンク
の内、空いたタンクを濾液タンクとして使用する事も可
能である。
【0019】
【実施例】
(本発明の実施例)2-メチルナフタレン(以下2-MNと略
記する)を85%含有し、残部は主として1-MNからなるMN
混合物1,000 kgをベース原料とし、これから純度97.5%
以上の2-MNを生産する場合の晶析シュミレーションを本
発明に係る方法により行った。この晶析処理の際の時間
(延べ時間)と冷却晶析缶内温度との関係を図3に示
す。図3に示す如く、上記原料を30℃で晶析缶に供給し
て晶析の準備を行い(図中A)、続いて結晶析出が生じな
い安定領域であるところの、その組成の飽和温度より1
℃程度低い過飽和状態の温度まで急速に冷却し(同B)、
同温度に達した後、所定の初期晶析温度(Ts)である21.6
℃(缶内スラリー濃度が約20%になる温度)迄は約0.5
℃/hrの平均冷却速度で徐冷して結晶析出と所定の成長
を行わせる(同C)。このTsに達すると、固液分離装置へ
のスラリー供給を開始して固液分離による2-MNの製品生
産を行い、同時に固液分離された濾液は直ちに全量を晶
析缶にリサイクルし、晶析缶内のスラリー濃度が略一定
となる様に、缶内原料を連続的に冷却する。缶内温度が
予め設定された晶析終了温度(Te)の5℃に達すると、濾
液のリサイクルを終了し、缶内温度をその温度に保った
ままで缶内原料の全てを固液分離装置に供給して晶析操
作を全て完了する(同D)。
【0020】本例において使用した固液分離装置は圧搾
圧力が100 気圧の圧搾濾過式分離装置であり、その原料
処理量はスラリー濃度20%原料で250 kg/hrである。固
液分離当初の製品純度は98.2%であり、缶内温度が19℃
に低下した時点での製品純度は97.9%、累積製品純度は
98.0%、累積生産量は221 kgである。又、缶内温度が13
℃に低下した時点では製品純度97.2%、累積製品純度9
7.7%、累積生産量442kgである。晶析終了温度5℃での
製品純度は96.3%に迄低下しているが、累積製品純度は
97.5%、累積生産量は約650 kgで、製品回収率は約76%
であった。又、本方法における全工程の所要時間は、約
19時間であった。
【0021】(比較例)上記実施例と同一の原料及び固
液分離装置を用いて、従来法による通常のバッチ冷却晶
析を行った場合の晶析処理操作に要する延べ時間と缶内
温度との関係についてのシュミレーション結果を図3に
示す。即ち、初期原料張り込みから初期晶析温度(Ts)に
冷却する迄の工程A〜Cは実施例と同一であるが、Tsに
達すると、その温度を維持した状態で缶内原料スラリー
の全てを固液分離装置に供給して2-MNの生産を行い(図
中D-1)、同時に濾液は濾液タンクに全量貯蔵する。第1
回の固液分離が終了すると、前記濾液タンク内の濾液の
全量を晶析缶に再張り込みする(同E-1)。この再張り込
み過程では温度が約1℃上昇し且つその作業に約1時間
を要するものとした。再張り込み終了後、直ちに実施例
と同様に、その原料組成での平衡温度より1℃低い温度
迄は急速に冷却し(同F-1)、スラリー濃度が20%となる
2回目の晶析温度(T2)迄は約0.5 ℃/hrの平均冷却速度
で徐冷し(同G-1)、同所定温度に達すると2回目の固液
分離を行なう(同D-2)。以下同様に3回目原料張り込み
(E-2) →3回目冷却晶析(F-2, G-2)→3回目固液分離(D
-3) →4回目原料張り込み(E-3) → ---- 5回目(最
終)固液分離(D-5) を行った。尚、最終晶析温度(Te)は
実施例と同様に5℃である。
【0022】この比較例の場合、最終製品純度及び収率
は実施例と同一であるが、全工程に要した時間は約52時
間であり、本発明の実施例での19時間に対し2.7 倍強の
時間を要している。この内訳は、固液分離時間自体は共
に同一条件での分離であるから約12時間で同一である
が、原料張り込み時間と冷却時間の合計は、本発明では
約7時間であるのに対し、従来法では約40時間と6倍近
い時間を要している事が分かる。
【0023】以上は、単なる一例にしか過ぎないが、晶
析缶での結晶成長に長時間を掛けなければならない様な
原料系の場合には、本発明法と従来法との差異は、益々
拡大する事になる。
【0024】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明は、濾液から
も目的物質を回収するバッチ式冷却晶析法において、固
液分離工程で排出される濾液を晶析缶にリサイクルしつ
つ晶析分離を行うものであるから、晶析缶内の組成は経
時的に変化し、これに合わせて缶内温度も降下させつつ
晶析する非定常晶析法であり、従来法(定常晶析法)と
は基本的に異なる。即ち、従来晶析法においては、原料
張り込み→1回目原料冷却晶析→1回目固液分離→同濾
液貯蔵→同濾液張り込み→2回目冷却晶析→2回目固液
分離→同濾液貯蔵→同濾液張り込み→3回目冷却晶析→
3回目固液分離→同濾液貯蔵→ ---の如く、各操作をバ
ッチで所要回繰り返し行うものであるのに対し、本発明
方法では、原料張り込み→原料冷却晶析→固液分離・濾
液リサイクルの工程のみであるから、以下に列挙する如
き種々の効果を奏する。
【0025】(1) 従来法では各工程が不連続であり、特
に冷却晶析法において最も長時間を要する冷却工程が複
数回に分割されているので、操業時間の殆どが冷却時間
となり、実際に製品を産出する固液分離装置の稼働時間
の全工程中に占める割合が極めて低く、単位時間当りの
生産性は低い。これに対し、本発明方法では濾液が晶析
缶中にリサイクルされるため、濾液の冷却晶析工程は固
液分離工程と同時並行して進められる事になるので、延
べ工程時間は大幅に短縮され、単位時間当たりの生産性
は向上し且つ所要エネルギーも低減し、引いては生産コ
ストの大幅な低減が図れる。
【0026】(2) 従来法において短時間での所定量生産
方式として濾液を他の晶析缶に溜めながら徐々に冷却・
晶析する方法もあるが、この場合には複数の晶析缶が必
要になり、晶析缶1基当りの生産性は低くならざるを得
ないのに対し、本発明方法では濾液が晶析缶中にリサイ
クルされて固液分離工程と同時並行して冷却・晶析が行
われるから、晶析缶は1基でよく、従って晶析缶1基当
たりの生産性は向上し、又、さらに所要エネルギーの低
減、生産コストの低減が図れる。
【0027】(3) 従来法では固液分離装置から排出され
る濾液は、通常次工程の為に濾液タンクに全量が一時貯
蔵され、そのために濾液タンクは全濾液量に見合うだけ
の容量のものが必要になるのに対し、本発明方法では濾
液は原則として速やかにリサイクルされるものであるか
ら、濾液タンクも小さくてよく、設備投資額も小さくな
り、これによっても生産コストの低減が図れる。
【0028】(4) 従来法では原料及び濾液の晶析缶への
張り込み作業が全てバッチで行われる為、その作業は要
員監視の元で行われていたが、本発明方法では当初の原
料張り込み作業時にのみ要員が必要であり、その他は自
動的に行い得るので、煩雑なバッチ晶析作業の省人化が
図れる。特に、これら作業は殆どの場合、化学物質、有
機溶媒を扱う危険作業に属するので、この省人化は単に
要員確保の問題の軽減且つコストダウンが図れるだけで
なく、安全面の問題が大幅に軽減されるという効果をも
奏し、これは現実の作業に従事する者においては何にも
まして計り知れないものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に係る一例の概要を示すフローシー
トである。
【図2】本発明方法に係る他の一例の概要を示すフロー
シートである。
【図3】本発明方法及び従来法に関する晶析分離処理の
際の時間と冷却晶析缶内温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
2--冷却晶析缶、 3,23--ジャケット、
7--固液分離装置、8--固体製品、 9--濾液、 1
0,30--濾液タンク、 20--原料タンク。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目的物質を含む所定量の原料混合物を冷
    却晶析缶に供給して晶析し、生成したスラリーを固液分
    離装置に供給して固液分離するバッチ式冷却晶析方法に
    おいて、前記固液分離装置にて分離された濾液分を、前
    記晶析缶にリサイクルして該晶析缶内残留原料と混合す
    ると共に、該晶析缶内混合物中の目的成分濃度の低下と
    共に該晶析缶内温度を降下させて非定常的に晶析を行
    い、該晶析缶内温度が所定の最終晶析温度に至ると、そ
    の温度を維持して固液分離を行うことを特徴とする非定
    常バッチ冷却晶析方法。
  2. 【請求項2】 前記濾液のリサイクルによる晶析缶内混
    合物中の目的成分濃度の低下に合わせて、該晶析缶内の
    スラリ−濃度が略一定になるように該晶析缶内温度を降
    下させる請求項1記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  3. 【請求項3】 前記リサイクルする濾液を略一定の速度
    で前記晶析缶に供給すると共に、該晶析缶の冷却速度を
    制御して該晶析缶からの単位時間当たりの除熱量を略一
    定にする事により、該晶析缶内のスラリー濃度を略一定
    に保つ請求項2記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  4. 【請求項4】 前記濾液をその組成の飽和温度近傍の温
    度にした状態で前記晶析缶にリサイクルする請求項1、
    2又は3記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  5. 【請求項5】 前記最終晶析温度に到達した後に固液分
    離装置から排出される濾液のリサイクルは行わない請求
    項1、2、3又は4記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  6. 【請求項6】 目的物質を含む所定量の原料混合物を冷
    却晶析缶に供給して晶析し、生成したスラリーを固液分
    離装置に供給して固液分離するバッチ式冷却晶析方法に
    おいて、次の工程(a), (b), (c) を含むことを特徴とす
    る非定常バッチ冷却晶析方法。 (a) 冷却晶析缶からのスラリー排出に追従して連続的或
    いは間欠的に原料タンクから該晶析缶に原料を補給しつ
    つ、該晶析缶内温度を予め設定された温度に保った状態
    での晶析及び固液分離を行うと共に、固液分離装置から
    の濾液を濾液タンクに蓄える定温晶析工程。 (b) 前記原料タンクからの補給が終了すると、前記濾液
    タンク内の濾液を前記晶析缶にリサイクルして該晶析缶
    内残留原料と混合すると共に、該晶析缶内混合物中の目
    的成分濃度の低下と共に該晶析缶内温度を降下させつつ
    晶析運転を行う非定常晶析工程。 (c) 該晶析缶内温度が所定の最終晶析温度に到達する
    と、その温度を維持して晶析及び固液分離を行う定温晶
    析工程。
  7. 【請求項7】 前記(b) の工程において、濾液のリサイ
    クルによる晶析缶内混合物中の目的成分濃度の低下に合
    わせて、該晶析缶内のスラリ−濃度が略一定になるよう
    に該晶析缶内温度を降下させる請求項6記載の非定常バ
    ッチ冷却晶析方法。
  8. 【請求項8】 前記リサイクルする濾液を略一定の速度
    で前記晶析缶に供給すると共に、該晶析缶の冷却速度を
    制御して該晶析缶からの単位時間当たりの除熱量を略一
    定にする事により、該晶析缶内のスラリー濃度を略一定
    に保つ請求項7記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  9. 【請求項9】 前記(b) の工程において、濾液タンク内
    の濾液の晶析缶へのリサイクルを開始した後に固液分離
    装置から排出される第二濾液を、前記濾液タンクを介し
    て該晶析缶にリサイクルする請求項6又は8記載の非定
    常バッチ冷却晶析方法。
  10. 【請求項10】 前記(c) の工程において、晶析缶内温
    度が最終晶析温度に到達した後に固液分離装置から排出
    される濾液のリサイクルは行わない請求項6、7、8又
    は9記載の非定常バッチ冷却晶析方法。
  11. 【請求項11】 前記原料タンク及び濾液タンクが温度
    調節可能に構成されており、該タンク内の原料及び濾液
    をその組成での飽和温度近傍の温度に調整する請求項
    6、7、8、9又は10記載の非定常バッチ冷却晶析方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1988010178A1 (en) * 1987-06-19 1988-12-29 Fanuc Ltd Method and apparatus for directly teaching horizontal arm-type multi-articulated robot
JPWO2008114745A1 (ja) * 2007-03-14 2010-07-08 三菱レイヨン株式会社 晶析装置およびその運転方法
JP2013224272A (ja) * 2012-04-20 2013-10-31 Idemitsu Kosan Co Ltd 1−アダマンタノールの製造方法

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