JPH06249964A - レーダー探査用アンテナ装置 - Google Patents

レーダー探査用アンテナ装置

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JPH06249964A
JPH06249964A JP6281293A JP6281293A JPH06249964A JP H06249964 A JPH06249964 A JP H06249964A JP 6281293 A JP6281293 A JP 6281293A JP 6281293 A JP6281293 A JP 6281293A JP H06249964 A JPH06249964 A JP H06249964A
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electromagnetic wave
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光政 岡村
Makoto Ukekawa
誠 請川
Toshiaki Hara
敏昭 原
Masashi Naito
将史 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 探査深度を深くすることにより、探査性能を
上げることができるレーダー探査用アンテナ装置を提供
すること。 【構成】 本レーダー探査用アンテナ装置は、レーダー
探査用の所定の電磁波を送受信する送信アンテナ10,
受信アンテナ20と、送信ケーブル12,受信ケーブル
22と、送信アンテナ10および受信アンテナ20を保
持するFRP製治具40と、電磁波の送受信側に設けら
れた無発泡ウレタン樹脂30を含んで構成される。無発
泡ウレタン樹脂30は、一般の岩石の比誘電率とほぼ等
しい比誘電率を有し、均質な組成,適度な圧縮性を有す
る。無発泡ウレタン樹脂30側を探査面である土質層等
に密着させることにより、探査面における急激な比誘電
率の変化がなくなり、探査用に送受信される電磁波の反
射が最少限に抑えられる。その結果、透過する電磁波の
強度が増し、探査性能が上がる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下レーダーを用いて
埋設物等の探査を行う場合に用いられるレーダー探査用
アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁波反射法を利用した地下レーダーシ
ステムは、地下埋設物や空洞の探査,氷・雪などの表層
厚の探査などを対象として既に実用化されており、さら
に近年では、地下不連続面や地下水などの地質調査にも
展開され、適用例が増えつつある。
【0003】また、シールド工法においては、このレー
ダーを利用した切羽前方探査方法が開発されており、掘
進しながらシールドマシン前方の杭や埋木などを探査で
きるシステムになっている。この場合、送受信アンテナ
がマシン前面の土層と密着しているため、探査面との結
合損失は少ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】送受信アンテナと探査
面との結合損失が小さい、すなわち探査面の不陸が小さ
い場合には従来のレーダー探査方法で対応できるが、探
査面の不陸(凹凸)が大きい岩盤などでは、岩盤の表面
において電磁波の反射が生じるため、岩盤表面を透過し
てその内部に侵入する電磁波の強度が小さくなり、探査
深度が浅く探査性能が低下するという問題があった。
【0005】そのため、この探査深度の低下を防止し
て、探査性能を向上あるいは維持するための方法とし
て、電磁波の送信出力を大きくする、電磁波の周波
数を低くする等が考えられている。ところが、の方法
は、電波法の規制により市街地等で用いる場合には種々
の制約がある。また、の方法は、電磁波を送受信する
アンテナが大きくなり作業性が悪くなると共に、波長が
長くなるため分解能が低下するという欠点がある。その
ため、これらの方法は、探査性能を向上させるための解
決策とはいえず、これ以外に探査深度を確保して、探査
性能を上げることができる方式が望まれていた。
【0006】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、その目的は、探査深度を深くする
ことにより、探査性能を上げることができるレーダー探
査用アンテナ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明のレーダー探査用アンテナ装置は、レー
ダー探査用の電磁波を被探査物が埋設された探査領域に
向けて送信する送信アンテナと、前記送信アンテナから
送信された電磁波に対する前記被探査物からの反射波を
受信する受信アンテナと、前記送信アンテナおよび受信
アンテナと探査面との間に設けられた比誘電率が探査領
域と同程度の無発泡な可撓性部材と、を備えることを特
徴とする。
【0008】
【作用】本発明のレーダー探査用アンテナ装置は、送信
アンテナおよび受信アンテナと被探査物が埋設された探
査領域との間に、無発泡な可撓性部材を介在させて構成
されており、送信アンテナから送信された電磁波は、こ
の可撓性部材を介して被探査物が埋設された探査領域に
伝播される。また、被埋設物によって反射された電磁波
は、この可撓性部材を介して受信アンテナに伝播され
る。
【0009】しかも、この可撓性部材は被探査物が埋設
された探査領域に圧接された際、その表面の凹凸形状に
沿って圧縮するため、その境界付近に空気層が形成され
ることなく密着する。そして、この可撓性部材は、比誘
電率が探査領域と同程度であり、一般の岩石の比誘電率
にほぼ等しいため、この可撓性部材から被探査物が埋設
された探査領域に電磁波が侵入する際、あるいは被探査
物が埋設された探査領域からこの可撓性部材に反射波が
侵入する際の反射を最少限に押さえることができる。
【0010】また、この可撓性部材は無発泡で均質であ
ることが好ましく、可撓性部材の内部で電磁波が反射・
散乱することもない。
【0011】このように本発明によれば、送信アンテナ
および受信アンテナの電磁波の送受信側に比誘電率が探
査領域と同程度の無発泡な可撓性部材を設けることによ
り、分解能を低下させることなく被探査物が埋設された
探査領域に対する探査深度が深くなり、探査性能を上げ
ることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例につき
詳細に説明する。 (1)実施例の構成 図1は、本発明を適用した一実施例のレーダー探査用ア
ンテナ装置の全体構成を示す斜視図である。
【0013】同図において、本実施例のアンテナ装置
は、レーダー探査用の所定の電磁波を送信する送信アン
テナ10と、被探査物からの反射波を受信する受信アン
テナ20と、送信アンテナ10および受信アンテナ20
に結線された送信ケーブル12,受信ケーブル22と、
送信アンテナ10および受信アンテナ20を保持するF
RP製治具40と、電磁波の送受信側に設けられた無発
泡ウレタン樹脂30を含んで構成される。
【0014】送信アンテナ10は、送信ケーブル12を
介して入力される電気信号を所定の電磁波に変換して出
力するためのものであり、同図に示した無発泡ウレタン
樹脂30側にのみ電磁波を出力するようになっている。
例えば、送信される電磁波としては、連続した正弦波状
の電磁波を用いる連続波方式、あるいは所定間隔で繰り
返し送信される所定周波数の電磁波を用いるインパルス
方式のいずれであってもよい。所定間隔で送信される電
磁波の場合は、その中心周波数が所定周波数となるよう
設定されている。
【0015】受信アンテナ20は、岩盤等の探査領域に
埋設された被探査物からの反射波を受信するためのもの
である。本実施例においては、FRP製治具40内に隣
接して送信アンテナ10および受信アンテナ20を設置
するようにしたが、表面伝播波によって岩盤等の解析を
行う場合には、送信アンテナ10と受信アンテナ20の
設置位置を遠ざけるようにしてもよい。
【0016】FRP製治具40は、上述したように送信
アンテナ10および受信アンテナ20を保持するための
筐体としての役割を果たすものである。送信アンテナ1
0等を固定できるものであれば、ステンレス等の金属そ
の他の材質であってもよい。
【0017】無発泡ウレタン樹脂30は、一般の岩石の
比誘電率とほぼ等しい比誘電率εsを有し、均質な組成
からなる。具体的には、比誘電率εs は4〜10の範囲
とする。
【0018】この無発泡ウレタン樹脂30は、例えば2
液反応性のウレタンゲルシステムであり、ポリオール成
分とポリイソシアネート成分を反応させたものである。
これらの各成分を反応硬化させることにより、高弾性か
つ粘着性ををもったゲル体となり、その粘着性について
は、水をかけることにより一時的に消滅させることが可
能で、乾燥後再度粘着性が現れるような特性をもってい
る。
【0019】なお、ポリオール成分は、外観は無色透明
であり、20℃における粘度が70〜80cps、60
℃における粘度が20〜30cpsという特性を有す
る。ポリイソシアネート成分は、外観は淡黄色透明であ
り、20℃における粘度が6000cps、60℃のお
ける粘度が2500cpsという特性を有する。このよ
うなポリオール成分とポリイソシアネート成分を配合比
100:33(重量比)となるよう混合,撹拌する。撹
拌開始時の液温が60℃、養生温度が室温(20〜25
℃)の場合には、撹拌後10〜15分で使用可能な状態
となり、12〜15時間経過後に硬化するという特性を
有する。また、このウレタンゲルシステムは、上述した
2種類の成分の他に加える添加物を調整することによ
り、圧縮率および比誘電率εs を変えることができる。
【0020】図2は、図1に示したアンテナ装置を収納
ケース50に納めた状態を示す図である。この収納ケー
ス50は、送信アンテナ10および受信アンテナ20を
保護する役目をなすものであり、止水箱としても機能す
るものである。また、収納ケース50と一体となった本
アンテナ装置は、図2に示す取り付け治具52によって
図示しない探査用台車等に取り付けられるようになって
いる。 (2)実施例の作用 次に、上述した構成を有する本実施例のアンテナ装置の
作用について説明する。例えば、本アンテナ装置は、ト
ンネルの掘削面である切羽前方の探査に用いるものであ
るが、その他地表から地下を探索することもできる。
【0021】図3は、図1に示したアンテナ装置を岩盤
60に圧着させた状態を示す図であり、図1に示したア
ンテナ装置を横方向から見た状態が示されている。岩盤
60内の埋設物の探査を行う場合には、図3に示すよう
に無発泡ウレタン樹脂30の前面32が、全面で岩盤6
0の表面に圧着するよう、アンテナ装置を設置する。無
発泡ウレタン樹脂30は、可撓性を有し任意に圧縮可能
であるため、岩盤60の表面の凹凸形状に沿って、その
前面32形状が変形する。従って、無発泡ウレタン樹脂
30と岩盤60は、その境界付近に空気層を形成するこ
となく密着する。
【0022】図4は、図3に示すようにアンテナ装置の
無発泡ウレタン樹脂30を岩盤60に密着させた後に、
電磁波を送受して埋設物を探査する場合の概略を示す図
であり、図1に示したアンテナ装置を上から見た状態が
示されている。岩盤60内の埋設物としては、例えば鋼
管62を考えるものとする。
【0023】図4に示すように、送信用アンテナ10か
ら送出された電磁波は、無発泡ウレタン樹脂30を伝播
した後岩盤60内に侵入し、鋼管62で反射する。そし
て、この鋼管62からの反射波は岩盤60内を伝播し、
無発泡ウレタン樹脂30に侵入した後受信アンテナ20
に到達する。一般には、このように送受される電磁波の
時間遅れを測定することにより、岩盤60の表面から鋼
管62までの距離を解析することができる。すなわち、
このようにして送受される電磁波を解析することによ
り、岩盤60内の埋設物(この場合は鋼管62)の有無
および位置を知ることができる。
【0024】また、上述したように無発泡ウレタン樹脂
30と岩盤60を密着させることにより、送受信アンテ
ナと探査面との結合損失を最少限に押さえることが可能
となる。すなわち、岩盤60の比誘電率は一般の岩石と
同じ4〜10の範囲にあり、一方無発泡ウレタン樹脂3
0の比誘電率εs もこの範囲にあるため、無発泡ウレタ
ン樹脂30と岩盤60の境界面を介して電磁波が透過す
る際、急激な比誘電率の差が生じない。そのため、岩盤
60の境界面からの電磁波の反射を最少限に抑えること
ができる(比誘電率と反射の関係については後述す
る)。また、無発泡ウレタン樹脂30は、均質な材料で
構成されているため、その内部で不要な反射・散乱が生
じることもない。
【0025】このように、本実施例のアンテナ装置を用
いた場合には、岩盤60の表面における反射を最少限に
抑えることができるため、岩盤60内に透過する電磁波
の強度を高めることができる。従って、電磁波が到達す
る深度も深くなり、探査性能を上げることができる。ま
た、特に送信する電磁波の強度や周波数を変えることな
く探査性能を上げているため、電波法の規約を受けた
り、アンテナの大型化,分解能の低下といった不都合も
ない。 (3)実施例の検証等 比誘電率と反射強度および透過強度の関係 次に、送信アンテン10から出力された電磁波が比誘電
率の異なる層間の境界面においてどのように反射および
透過するかについて説明する。
【0026】図5は、電磁波の反射および透過を説明す
るための概略図であり、媒質Aが電磁波の入射する側の
層に対応しており、媒質Bが電磁波が透過する側の層に
対応している。また、媒質Aの比誘電率をε1 、媒質
の比誘電率ε2 とする。
【0027】同図に示すように、2層の異なる媒質の境
界に垂直に電磁波が侵入する場合、電磁波の境界面にお
ける電磁波の反射係数Rと透過係数Tは、それぞれ数
1,数2で示される。
【数1】
【数2】 従って、媒質Aの比誘電率ε1 と媒質Bの比誘電率ε2
が等しい場合には、数1および数2より、反射係数R=
0,透過係数T=1となる。すなわち、比誘電率が等し
い層間においては、電磁波の反射は起こらず、すべて透
過することになる。
【0028】上述した本実施例のアンテナ装置において
は、無発泡ウレタン樹脂30が媒質Aに相当するもので
あり、岩盤60が媒質Bに相当するものである。しか
も、無発泡ウレタン樹脂30の比誘電率が、一般の岩石
で構成される岩盤60の比誘電率4〜10とほぼ等しく
形成されているため、反射係数Rは0に近づき、反対に
透過係数Tは1に近づく。従って、送信アンテナ10か
ら出力された電磁波は、無発泡ウレタン樹脂30を介し
て岩盤60に侵入する際に、ほとんど反射が起こらずに
透過することになる。同様に、岩盤60内の鋼管62に
よる反射波は、岩盤60から無発泡ウレタン樹脂30に
侵入する際、ほとんどすべてが透過して受信アンテナ3
0に到達する。
【0029】 無発泡ウレタン樹脂の電気定数の測定 次に無発泡ウレタン樹脂30の電気定数を測定すること
により、無発泡ウレタン樹脂30における電磁波の減衰
特性について検討する。
【0030】一般に、ある媒質の電気特性は、誘電率ε
(F/m)、導電率σ(S/m)、透磁率μ(H/m)
で決定される。周波数fの電磁波が媒質中を距離rだけ
伝播すると、電磁波の強度はexp(−αr)だけ減衰
することになる。ここで、伝播定数γ=α+jβであ
り、この中の減衰定数αと移相定数βは以下に示す数3
および数4によって表される。
【数3】
【数4】 ここに、ωは角周波であり、ωとfの間にはω=2πf
の関係がある。
【0031】また、媒質中における電磁波の伝播速度v
は、
【数5】 となり、媒質の電気的特性と周波数fによって伝播特性
が相違することがわかる。
【0032】次に、上述した数1,数2および数3に使
われている各電気定数について考察する。
【0033】ある物質の比誘電率εs とは、同一形状の
コンデンサの静電容量Cが真空の場合に比べて何倍にな
るかの値である。平行板コンデンサの間が真空のときの
静電容量をC0 (F)とし、ある物質が充填されている
ときの静電容量をC(F)とすると、 C0 =ε0 S/d となる。
【0034】ここに、Sは平板電極の面積であり、dは
平板電極間の距離である。
【0035】上式にε=εs ε0 の関係を代入すると、 C=εs ε0 S/d となる。
【0036】従って、比誘電率εs は、 εs =C/C0 となり、LCZメータでCおよびC0 を測定することに
より、比誘電率εs を算定することができる。
【0037】導電率σの算定は、比抵抗率ρを測定し、
関係式σ=1/ρを用いて求めることができる。
【0038】長さL、断面積Sの導体に電圧Vが印加さ
れ、電流iが流れているとすると、電流密度はi/Sで
あり、単位長さ当たりの電圧はV/Lである。この場合
に、電圧(V/L)と電流密度(i/S)の比を比抵抗
率ρとしている。従って、比抵抗率ρは次式で表され
る。
【0039】 ρ=(V/L)/(i/S)=(V/i)・(S/L) ここで、(V/i)は導体の抵抗Rとなるため、 ρ=R・(S/L) となる。また、抵抗Rの逆数であるコンダクタンスGと
σ(=1/ρ)を用いると、 σ=G・(L/S) となる。従って、LCZメータで抵抗Rあるいはコンダ
クタンスGを測定することにより、導電率σを算定する
ことができる。
【0040】図6は、上述した各電気定数の測定結果お
よび算定結果を本実施例の無発泡ウレタン樹脂30につ
いて求めた結果を示す図であり、同図(A)には圧縮率
の比較的小さな硬質ウレタンの場合が、同図(B)には
圧縮率の比較的大きな軟質ウレタンの場合がそれぞれ示
されている。なお、本測定においては、平板電極として
直径が50mmの銅板を用い、平行電極間の距離dを5
0mmとした。また、図7は比較のために空気および水
道水について上述した各電気定数測定結果および算定結
果を示したものである。
【0041】これらの測定結果に基づいて算定した各電
気定数を上述した数3,数4および数5に代入して減衰
特性を検討すると、硬質ウレタンの場合には、 ω=2πf=2π×106 (Hz,f=1M/Hz) ε=εs ε0 =6.08×8.854×10-12 =5.38×10-11 (F/m) μ=μ0 =1.257×10-6(H/m) σ=12.0×10-6(S/m) となる。これらを数3に代入すると、 α=9.167×10-4 となる。この値をexp(−αr)の式に代入すると、
純粋に硬質ウレタン(無発泡ウレタン樹脂30)だけの
減衰率は、r=10mとすると、発信された強度の9
9.1%に減衰する。なお、図7(B)に示した各値を
用いて同様の計算を行うと、純粋に水道水だけの減衰率
は10mで、4.5%まで大きく減衰することがわか
る。
【0042】このように硬質ウレタンで形成した無発泡
ウレタン樹脂30を用いた場合には、この無発泡ウレタ
ン樹脂30自身による電磁波の減衰は小さいため、岩盤
60内に透過する電磁波にはほとんど影響がない。
【0043】なお、硬質ウレタンについて移相定数βと
伝播速度vをそれぞれ数4および数5により求めると、 β=0.0517 v=1.22×108 (m/sec) となる。この値は、近似式v=C0 /εs 1/2 =1.2
2×108 (m/sec)の結果と同じとなる。
【0044】参考までに水道水では、β=0.345、
v=0.18×108 (m/sec)となるが、近似式
ではv=0.42×108 となる。これは水道水の導電
率が大きいため、数5中の(σ/ωε)の項の影響が大
きくでるためである。
【0045】同様に、軟質ウレタンについて計算を行う
と、 α=7.373×10-4 β=0.0643 v=0.98×108 (m/sec) となる。このαの値をexp(−αr)の式に代入する
と、純粋に軟質ウレタンだけの減衰率は10mで、9
9.3%に減衰する。硬質ウレタンの場合と同様に、ほ
とんど減衰が生じないことがわかる。
【0046】このように、無発泡ウレタン樹脂30を硬
質あるいは軟質ウレタンによって形成した場合について
検討した結果、減衰率が小さいことが明らかになり、送
受信アンテナ10,20の電磁波の送受信側に、この無
発泡ウレタン樹脂30を設けた場合であっても、ほとん
ど電磁波の強度には影響を与えることがない。また、比
誘電率の測定結果については硬質ウレタンの場合がεs
=6.08、軟質ウレタンの場合がεs =9.40であ
り(ともにf=1MHzの場合)、これらの値は岩盤6
0を構成する一般の岩石の比誘電率4〜10の範囲内に
あることがわかる。
【0047】 無発泡ウレタン樹脂の有無による受信
強度の相違 次に、無発泡ウレタン樹脂30がある場合とない場合に
ついて、実際に受信強度を測定した結果について説明す
る。
【0048】図8は、受信強度測定に用いた実験装置の
概略を示す図である。同図は、水槽70内の鋼管72に
よって電磁波を反射する場合において、無発泡ウレタン
樹脂30の有無によって受信強度がどのように変化する
かを測定するための構成である。同図において、A1=
1.1m,A2=0.1m,A3=1mであり、アンテ
ナ装置は水槽の左側に配置されている。
【0049】図9(A)は、図8に示した構成におい
て、左端に位置するアンテナ装置から電磁波(f=35
0MHz)を放出するとともに、受けとった受信波を観
察したものである。図9(A)は、図1に示した本実施
例のアンテナ装置において、無発泡ウレタン樹脂30を
取り除いて実験を行った結果である。横軸は、正規化さ
れた時間を示しており、実際に反射波が観察される時間
を適当なスケールに変換したものである。また、縦軸は
電磁波の受信強度を示しており、この受信強度が電圧値
で表されている。
【0050】同図において、R1はアンテナ装置の送信
アンテナ10から受信アンテナ20対して直接送受され
る表面伝播波に、R2は鋼管からの反射波に、R3は水
槽70の右端からの反射波にそれぞれ対応している。こ
の場合の鋼管72からの反射波の受信強度は0.44
(V)となっている。
【0051】また、図9(B)は、図1に示した本実施
例のアンテナ装置を用いた場合を示しており、送信アン
テナ,受信アンテナ20と水槽70との間には無発泡ウ
レタン樹脂30が充填された形となっている。同図に示
すように、鋼管72からの反射波の受信強度は1.0
(V)であり、無発泡ウレタン樹脂30が無い場合に比
べると、反射波の受信強度が2倍以上となることがわか
る。
【0052】図10は、受信強度測定に用いた別の実験
装置の概略を示す図である。本構成においては、水槽7
0の右側に送信アンテナを設置し、対向する水槽70の
左側に受信アンテナを設置する。また同図において、B
1=1.5m,B2=0.1m,B3=1.3mであ
る。
【0053】図11(A)は、図10に示した構成にお
いて、受信アンテナで測定した電磁波の受信強度の測定
結果を示す図である。同図(A)は、送信アンテナ,受
信アンテナと水槽70との間に無発泡ウレタン樹脂30
を充填しない場合の測定結果であり、横軸および縦軸に
ついては図9に示したものと同じである。この場合の透
過電磁波の受信強度は0.97(V)となった。
【0054】また、図11(B)は、送信アンテナ,受
信アンテナと水槽70との間に無発泡ウレタン樹脂30
を充填した場合の測定結果が示されており、この場合の
透過電磁波の受信強度は1.33(V)となった。
【0055】このように、無発泡ウレタン樹脂30が無
い場合には、水槽70の表面において反射が生じるため
電磁波の受信強度が小さくなる。これに対し、無発泡ウ
レタン樹脂30を充填した場合には、水槽70の表面に
おける反射が少なくなって、受信アンテナによる電磁波
の受信強度が強くなる。従って、この実験からも探査面
と送受信アンテナとの間に無発泡ウレタン樹脂30を設
けることにより、透過電磁波の強度が増し、探査性能を
上げることができるといえる。
【0056】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0057】例えば、本実施例では無発泡ウレタン樹脂
30としてポリオール成分とポリイソシアネート成分か
らなる2液反応性のウレタンゲルシステムを用いたが、
本発明はこれに限らず、無発泡で可撓性を有し、比誘電
率が4〜10の範囲にある部材であればそれ以外のもの
を用いてもよい。
【0058】また、本実施例では無発泡ウレタン樹脂3
0を用いたが、適度な圧縮性を有し、無発泡で比誘電率
が4〜10の範囲内にあるものであれば、他の材料を用
いるようにしてもよい。
【0059】また、本実施例では岩盤60を探索する場
合を考えたが、探査領域としては土質層等であってもよ
い。ただし、この場合は比誘電率が10〜30であり、
岩盤60の比誘電率より大きいため、無発泡ウレタン樹
脂30の形成時に加える添加剤を調整する必要がある。
【0060】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、送信
アンテナおよび受信アンテナと被探査物が埋設された探
査領域との間に比誘電率が探査領域と同程度であって、
無発泡な可撓性部材を設けることにより、被探査物が埋
設された探査領域の表面における電磁波の反射の発生を
最少限に抑えることができ、透過する電磁波の強度を強
めることにより探査深度が深くなり、探査性能を上げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例のレーダー探査用ア
ンテナ装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したアンテナ装置を収納ケースに収め
た状態を示す図である。
【図3】図1に示したアンテナ装置を岩盤に密着させた
状態を示す図である。
【図4】本実施例のアンテナ装置によって電磁波を送受
して埋設物を探査する場合の概略を示す図である。
【図5】電磁波の反射および透過を説明するための概略
図である。
【図6】空気および無発泡ウレタン樹脂の各種電気定数
の測定結果を示す説明図である。
【図7】水道水の各種電気特性の測定結果を示す説明図
である。
【図8】無発泡ウレタン樹脂の有無による電磁波の受信
強度を実験するための構成を示す図である。
【図9】図8に示す構成の実験結果を示す図である。
【図10】無発泡ウレタン樹脂の有無による電磁波の受
信強度を実験するための構成を示す図である。
【図11】図10に示す構成の実験結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 送信アンテナ 12 送信ケーブル 20 受信アンテナ 22 受信ケーブル 30 無発泡ウレタン樹脂 40 FRP製治具 50 収納ケース 60 岩盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 将史 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーダー探査用の電磁波を被探査物が埋
    設された探査領域に向けて送信する送信アンテナと、 前記送信アンテナから送信された電磁波に対する前記被
    探査物からの反射波を受信する受信アンテナと、 前記送信アンテナおよび受信アンテナと探査面との間に
    設けられた比誘電率が探査領域と同程度の無発泡な可撓
    性部材と、 を備えることを特徴とするレーダー探査用アンテナ装
    置。
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