JPH06247707A - 一酸化炭素の製造方法および製造装置 - Google Patents
一酸化炭素の製造方法および製造装置Info
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- JPH06247707A JPH06247707A JP50A JP3316693A JPH06247707A JP H06247707 A JPH06247707 A JP H06247707A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 3316693 A JP3316693 A JP 3316693A JP H06247707 A JPH06247707 A JP H06247707A
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- Japan
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- sulfuric acid
- carbon monoxide
- formic acid
- acid
- reactor
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B32/00—Carbon; Compounds thereof
- C01B32/40—Carbon monoxide
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高純度の一酸化炭素を連続的に製造する。
【構成】 ギ酸と硫酸とを連続的に接触、反応させ、1
60℃を超えない温度で一酸化炭素を発生させる工程、
発生した一酸化炭素を硫酸から分離する工程、分離した
硫酸からギ酸の分解によって生成した水分を除去する工
程、および前記の水分を除去した硫酸を循環する工程か
らなる。この条件では、ギ酸がほぼ完全に分解され、高
純度の一酸化炭素がえられる。使用した硫酸は減圧濃縮
して循環使用することができるので工程外に排出されな
い。
60℃を超えない温度で一酸化炭素を発生させる工程、
発生した一酸化炭素を硫酸から分離する工程、分離した
硫酸からギ酸の分解によって生成した水分を除去する工
程、および前記の水分を除去した硫酸を循環する工程か
らなる。この条件では、ギ酸がほぼ完全に分解され、高
純度の一酸化炭素がえられる。使用した硫酸は減圧濃縮
して循環使用することができるので工程外に排出されな
い。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、とくに高純度な一酸化
炭素を連続的に製造する方法およびその製造方法を実施
するのに使用する一酸化炭素の製造装置に関する。本発
明にもとづいて製造した一酸化炭素は、半導体などの製
造に使用する高純度還元性ガスとして利用することがで
きる。
炭素を連続的に製造する方法およびその製造方法を実施
するのに使用する一酸化炭素の製造装置に関する。本発
明にもとづいて製造した一酸化炭素は、半導体などの製
造に使用する高純度還元性ガスとして利用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来、工業的に一酸化炭素は、メタン、
石炭やコークスと空気または加熱水蒸気とを反応させて
得た発生炉ガスまたは水性ガスを、例えば、PSA法
(圧力変動吸着法)、深冷分離法などによって精製して
一酸化炭素を製造し、有機化合物の原料や金属化合物の
副原料に用いていた。このほか、実験室的には、金属カ
ルボニル化合物の分解、ギ酸をAl2 O3 やSiO2 な
どの触媒の存在下に分解したり、ギ酸を硫酸で脱水分解
させる方法などが知られている。
石炭やコークスと空気または加熱水蒸気とを反応させて
得た発生炉ガスまたは水性ガスを、例えば、PSA法
(圧力変動吸着法)、深冷分離法などによって精製して
一酸化炭素を製造し、有機化合物の原料や金属化合物の
副原料に用いていた。このほか、実験室的には、金属カ
ルボニル化合物の分解、ギ酸をAl2 O3 やSiO2 な
どの触媒の存在下に分解したり、ギ酸を硫酸で脱水分解
させる方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近、半導体
の製造などの高度技術分野で、高純度一酸化炭素の利用
が始まり、その需要が増大してきた。しかし、従来知ら
れている工業的な製造方法で製造した一酸化炭素は、不
純物が多く、高純度にするには精製に費用がかさむとい
う問題があった。また、実験室的方法をスケールアップ
しても、回分的方法であって、原料価格、一定純度の一
酸化炭素を安定取得、排出硫酸の処理などに問題があ
り、要求される高純度一酸化炭素を、安定して経済的に
大量生産することはできなかった。すなわち、回分法で
は、反応の進行とともに生成した水が硫酸中に蓄積し、
反応速度が著しく低下する。反応温度を高くすれば、反
応速度の低下は防げるが、副反応が起こり水素と二酸化
炭素が発生する。この副反応は160℃をこえるととく
に顕著になる。本発明は、このような従来の一酸化炭素
製造法の欠点を解決し、前記の高度技術分野の需要に対
応できる高純度一酸化炭素の、工業的かつ経済的な製造
方法および製造装置を課題として完成されたものであ
る。
の製造などの高度技術分野で、高純度一酸化炭素の利用
が始まり、その需要が増大してきた。しかし、従来知ら
れている工業的な製造方法で製造した一酸化炭素は、不
純物が多く、高純度にするには精製に費用がかさむとい
う問題があった。また、実験室的方法をスケールアップ
しても、回分的方法であって、原料価格、一定純度の一
酸化炭素を安定取得、排出硫酸の処理などに問題があ
り、要求される高純度一酸化炭素を、安定して経済的に
大量生産することはできなかった。すなわち、回分法で
は、反応の進行とともに生成した水が硫酸中に蓄積し、
反応速度が著しく低下する。反応温度を高くすれば、反
応速度の低下は防げるが、副反応が起こり水素と二酸化
炭素が発生する。この副反応は160℃をこえるととく
に顕著になる。本発明は、このような従来の一酸化炭素
製造法の欠点を解決し、前記の高度技術分野の需要に対
応できる高純度一酸化炭素の、工業的かつ経済的な製造
方法および製造装置を課題として完成されたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高純度一酸
化炭素の工業的製造方法を検討し、ギ酸を硫酸で脱水分
解する方法が、反応が容易であること、高純度原料が豊
富で安価に入手できることなど課題の解決に比較的有利
な条件にあることを見出だした。そこで、ギ酸分解法に
よる連続的生産手段、さらにコスト低減と環境保全のた
めに生成した水を加熱して系外に除去するとともに硫酸
を濃縮し、硫酸を外部に排出しないで循環使用する手段
を研究した結果、本発明の一酸化炭素の製造方法および
製造装置を完成した。
化炭素の工業的製造方法を検討し、ギ酸を硫酸で脱水分
解する方法が、反応が容易であること、高純度原料が豊
富で安価に入手できることなど課題の解決に比較的有利
な条件にあることを見出だした。そこで、ギ酸分解法に
よる連続的生産手段、さらにコスト低減と環境保全のた
めに生成した水を加熱して系外に除去するとともに硫酸
を濃縮し、硫酸を外部に排出しないで循環使用する手段
を研究した結果、本発明の一酸化炭素の製造方法および
製造装置を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(イ) ギ酸と硫酸
とを連続的に接触させ、160℃を超えない温度で一酸
化炭素を発生させる工程、(ロ) 発生した一酸化炭素
を硫酸から分離する工程、(ハ) 分離した硫酸からギ
酸の分解によって生成した水分を除去する工程、(ニ)
前記の水分を除去した硫酸を(イ)の工程に循環する
工程、からなることを特徴とする、一酸化炭素の製造方
法を提供する。さらに、本発明は、連続的に供給される
ギ酸と硫酸とを接触させて一酸化炭素を発生させる流通
型連続反応器と、前記の流通型連続反応器において発生
した一酸化炭素を硫酸から分離する気液分離器と、圧力
が20Torr以下の減圧下において、前記の気液分離
器において分離された硫酸から、ギ酸の分解によって生
成した水分を除去して硫酸を濃縮する硫酸濃縮器と、前
記の硫酸濃縮器で濃縮された硫酸を、前記の流通型連続
反応器に循環する循環系と、を有することを特徴とす
る、一酸化炭素の製造装置を提供する。
とを連続的に接触させ、160℃を超えない温度で一酸
化炭素を発生させる工程、(ロ) 発生した一酸化炭素
を硫酸から分離する工程、(ハ) 分離した硫酸からギ
酸の分解によって生成した水分を除去する工程、(ニ)
前記の水分を除去した硫酸を(イ)の工程に循環する
工程、からなることを特徴とする、一酸化炭素の製造方
法を提供する。さらに、本発明は、連続的に供給される
ギ酸と硫酸とを接触させて一酸化炭素を発生させる流通
型連続反応器と、前記の流通型連続反応器において発生
した一酸化炭素を硫酸から分離する気液分離器と、圧力
が20Torr以下の減圧下において、前記の気液分離
器において分離された硫酸から、ギ酸の分解によって生
成した水分を除去して硫酸を濃縮する硫酸濃縮器と、前
記の硫酸濃縮器で濃縮された硫酸を、前記の流通型連続
反応器に循環する循環系と、を有することを特徴とす
る、一酸化炭素の製造装置を提供する。
【0006】
【発明の詳細と実施態様例】本発明の一酸化炭素の製造
方法、およびその製造装置について、実施態様例をあげ
つつ、詳細に説明する。図1は、本発明の一酸化炭素の
製造方法と製造装置の実施態様例を示すフローシートで
ある。
方法、およびその製造装置について、実施態様例をあげ
つつ、詳細に説明する。図1は、本発明の一酸化炭素の
製造方法と製造装置の実施態様例を示すフローシートで
ある。
【0007】本発明の一酸化炭素の製造方法では、ま
ず、反応器1において、ギ酸槽2と硫酸槽3とから連続
的に供給されるギ酸と硫酸とを接触、混合し、160℃
を超えない所定温度の下で脱水反応させ、高純度の一酸
化炭素を発生させる(工程イ)。反応器1は、液液系の
流通型連続反応器であればとくに限定されるものではな
いが、押出流れに近い反応器であって、できれば発生す
る気体を効率よく分離できることが好ましい。たとえ
ば、管状反応器、充填塔式反応器、棚段塔式反応器、連
続多槽式反応器をあげることができる。図1にあげた実
施態様例の充填塔式反応器1について説明すると、反応
器1の直径および長さは、所要生産量、硫酸およびギ酸
の供給速度および供給方向、必要な反応時間、気液分離
方式などを考慮して決める。充填物の形状に制限はな
く、ラシヒリング、ベルサドル、球状物などから適当な
ものを使用できる。反応器1の一方から硫酸とギ酸とを
連続的に供給する。供給は実質的に連続であればよく、
流れの方向は上昇方向でも下降方向でもよいが、発生し
た一酸化炭素が反応器中を上昇するので、上昇方向の方
が好結果が得られる場合が多い。
ず、反応器1において、ギ酸槽2と硫酸槽3とから連続
的に供給されるギ酸と硫酸とを接触、混合し、160℃
を超えない所定温度の下で脱水反応させ、高純度の一酸
化炭素を発生させる(工程イ)。反応器1は、液液系の
流通型連続反応器であればとくに限定されるものではな
いが、押出流れに近い反応器であって、できれば発生す
る気体を効率よく分離できることが好ましい。たとえ
ば、管状反応器、充填塔式反応器、棚段塔式反応器、連
続多槽式反応器をあげることができる。図1にあげた実
施態様例の充填塔式反応器1について説明すると、反応
器1の直径および長さは、所要生産量、硫酸およびギ酸
の供給速度および供給方向、必要な反応時間、気液分離
方式などを考慮して決める。充填物の形状に制限はな
く、ラシヒリング、ベルサドル、球状物などから適当な
ものを使用できる。反応器1の一方から硫酸とギ酸とを
連続的に供給する。供給は実質的に連続であればよく、
流れの方向は上昇方向でも下降方向でもよいが、発生し
た一酸化炭素が反応器中を上昇するので、上昇方向の方
が好結果が得られる場合が多い。
【0008】本発明において採用すべきギ酸と硫酸との
反応条件を説明する。本発明に使用するギ酸は、一般に
市販されている濃度のものが使用可能であるが、88重
量%以上であれば水の含有量が少なく好適に使用するこ
とができる。硫酸の濃度は、通常、80重量%以上、好
ましくは85重量%以上のものを使用する。反応器1へ
のギ酸および硫酸の供給割合は、重量比ベースで硫酸/
ギ酸=3〜20、好ましくは5〜10の範囲が適当であ
る。硫酸/ギ酸の重量比が3未満ではギ酸の分解反応が
不十分で未分解のギ酸が残存するおそれがある。また、
20を超えてもそれに見合う効果が得られず得策でな
い。反応器1内における硫酸とギ酸との所要反応時間
(平均滞留時間)は、反応温度によって異なるが、通
常、10〜200秒、好ましくは10〜120秒であ
る。反応時間が10秒より短いと反応が完結しない場合
があり、また200秒より長い場合には発生する一酸化
炭素の品質には問題はないが、生産効率が低下するので
好ましくない。反応温度は、90〜160℃、好ましく
は、110〜150℃の範囲に維持すれば良い結果が得
られる。160℃を超えない温度であれば、副反応の影
響が殆どなく、もっぱらギ酸の脱水分解が進み、高純度
の一酸化炭素が得られる。反応温度が90℃未満である
と反応速度が遅くなるので得策でなく、反応温度が16
0℃よりも高いと副反応が起こるおそれがあるので好ま
しくない。
反応条件を説明する。本発明に使用するギ酸は、一般に
市販されている濃度のものが使用可能であるが、88重
量%以上であれば水の含有量が少なく好適に使用するこ
とができる。硫酸の濃度は、通常、80重量%以上、好
ましくは85重量%以上のものを使用する。反応器1へ
のギ酸および硫酸の供給割合は、重量比ベースで硫酸/
ギ酸=3〜20、好ましくは5〜10の範囲が適当であ
る。硫酸/ギ酸の重量比が3未満ではギ酸の分解反応が
不十分で未分解のギ酸が残存するおそれがある。また、
20を超えてもそれに見合う効果が得られず得策でな
い。反応器1内における硫酸とギ酸との所要反応時間
(平均滞留時間)は、反応温度によって異なるが、通
常、10〜200秒、好ましくは10〜120秒であ
る。反応時間が10秒より短いと反応が完結しない場合
があり、また200秒より長い場合には発生する一酸化
炭素の品質には問題はないが、生産効率が低下するので
好ましくない。反応温度は、90〜160℃、好ましく
は、110〜150℃の範囲に維持すれば良い結果が得
られる。160℃を超えない温度であれば、副反応の影
響が殆どなく、もっぱらギ酸の脱水分解が進み、高純度
の一酸化炭素が得られる。反応温度が90℃未満である
と反応速度が遅くなるので得策でなく、反応温度が16
0℃よりも高いと副反応が起こるおそれがあるので好ま
しくない。
【0009】ギ酸および硫酸は、反応器1に供給する前
に、ギ酸予熱器4、硫酸予熱器5により反応温度または
反応温度に近い温度にまで予熱しておくと、反応器1内
での反応がスムースに進むので効果的である。特別の予
熱器を設けないで、ギ酸槽2および硫酸槽3を加熱した
り、反応器1の加熱によって反応温度を維持してもよ
い。反応器1の下部から供給されたギ酸は、硫酸との接
触により水と一酸化炭素とに分解され、反応器1上部か
ら硫酸と共に導出される。適当な条件を設定すれば、ギ
酸は実質的に100%分解し、導出された硫酸中には単
に水だけが含まれることになる。
に、ギ酸予熱器4、硫酸予熱器5により反応温度または
反応温度に近い温度にまで予熱しておくと、反応器1内
での反応がスムースに進むので効果的である。特別の予
熱器を設けないで、ギ酸槽2および硫酸槽3を加熱した
り、反応器1の加熱によって反応温度を維持してもよ
い。反応器1の下部から供給されたギ酸は、硫酸との接
触により水と一酸化炭素とに分解され、反応器1上部か
ら硫酸と共に導出される。適当な条件を設定すれば、ギ
酸は実質的に100%分解し、導出された硫酸中には単
に水だけが含まれることになる。
【0010】反応搭1上部から導出された一酸化炭素と
硫酸は、気液分離器6に導かれ、一酸化炭素と硫酸とに
分離される(工程ロ)。気液分離器6は公知の形式で足
り、本実施態様例では、反応器1と分離設置している
が、反応器1と一体化して反応器1に内設することもで
きる。分離された一酸化炭素は、一酸化炭素配管7によ
って系外に取り出されるが、その純度は、通常、99.
9%以上である。一酸化炭素配管7には、デミスターを
設けるとよい。この一酸化炭素は、そのまま、または必
要があればさらに精製して需要側に送り、あるいは加圧
して高圧容器に充填する。
硫酸は、気液分離器6に導かれ、一酸化炭素と硫酸とに
分離される(工程ロ)。気液分離器6は公知の形式で足
り、本実施態様例では、反応器1と分離設置している
が、反応器1と一体化して反応器1に内設することもで
きる。分離された一酸化炭素は、一酸化炭素配管7によ
って系外に取り出されるが、その純度は、通常、99.
9%以上である。一酸化炭素配管7には、デミスターを
設けるとよい。この一酸化炭素は、そのまま、または必
要があればさらに精製して需要側に送り、あるいは加圧
して高圧容器に充填する。
【0011】一方、分離された硫酸は、反応によって生
成した水を不純物として含有するけれども、通常、工業
的に入手できるギ酸はかなり高純度で水以外の不純物は
実質的に含まれておらず、その他の不純物は殆んど蓄積
されない。従って、本発明の一酸化炭素の製造方法にお
いては、水を分離して硫酸を濃縮すれば、使用した硫酸
を系外に排出することなく、循環使用することができ
る。この硫酸の濃縮は、減圧下、硫酸濃縮器8を加熱す
ることにより行う。硫酸と分離した水は、減圧装置10
を経由して系外に排出される(工程ハ)。濃縮条件とし
ては、圧力20Torr以下、好ましくは15Torr
以下の減圧下、110〜150℃にて濃縮を行う。圧力
が20Torrより高い圧力でも硫酸の濃縮は可能であ
るが、濃縮温度が高くなるので得策ではない。
成した水を不純物として含有するけれども、通常、工業
的に入手できるギ酸はかなり高純度で水以外の不純物は
実質的に含まれておらず、その他の不純物は殆んど蓄積
されない。従って、本発明の一酸化炭素の製造方法にお
いては、水を分離して硫酸を濃縮すれば、使用した硫酸
を系外に排出することなく、循環使用することができ
る。この硫酸の濃縮は、減圧下、硫酸濃縮器8を加熱す
ることにより行う。硫酸と分離した水は、減圧装置10
を経由して系外に排出される(工程ハ)。濃縮条件とし
ては、圧力20Torr以下、好ましくは15Torr
以下の減圧下、110〜150℃にて濃縮を行う。圧力
が20Torrより高い圧力でも硫酸の濃縮は可能であ
るが、濃縮温度が高くなるので得策ではない。
【0012】80%以上の濃度にまでに濃縮された硫酸
は、硫酸の循環配管11を経て反応器1に循環され、再
びギ酸との反応に使用される(工程ニ)。また、硫酸濃
縮器8を減圧するに際し少量の硫酸が含まれた水蒸気が
留出するので、減圧装置10は、耐酸性を考慮して選択
する。減圧装置10の形式にはとくに制限がなく、ナッ
シュポンプ、スチームエゼクターなど、およびこれらを
組み合わせて使用することができる。なかでもメカニカ
ルブースター(ケミカル型)やスチームエゼクターが好
ましく用いられる。これらの減圧装置10の吸入側には
硫酸分縮器9を設けておくとよい。これに50〜90℃
の冷媒を通じて、硫酸分を分縮分離させれば、減圧装置
10の腐蝕を防止するばかりでなく、硫酸の原単位を向
上させることができるので有利になる。
は、硫酸の循環配管11を経て反応器1に循環され、再
びギ酸との反応に使用される(工程ニ)。また、硫酸濃
縮器8を減圧するに際し少量の硫酸が含まれた水蒸気が
留出するので、減圧装置10は、耐酸性を考慮して選択
する。減圧装置10の形式にはとくに制限がなく、ナッ
シュポンプ、スチームエゼクターなど、およびこれらを
組み合わせて使用することができる。なかでもメカニカ
ルブースター(ケミカル型)やスチームエゼクターが好
ましく用いられる。これらの減圧装置10の吸入側には
硫酸分縮器9を設けておくとよい。これに50〜90℃
の冷媒を通じて、硫酸分を分縮分離させれば、減圧装置
10の腐蝕を防止するばかりでなく、硫酸の原単位を向
上させることができるので有利になる。
【0013】
【実施例】つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。
する。
【0014】実施例1 第1図に示したのと同様の本発明の一酸化炭素製造小型
モデル装置を用いて一酸化炭素を製造した。反応には直
径1.5cm、長さ15cmの硬質ガラス製の管状反応
器を用いた。反応器を垂直に設置し、その下端から13
0g/hr(2.5モル/hr)の88%ギ酸、および
1400g/hr(12モル/hr)の88%硫酸を送
入した。また、ギ酸および硫酸の送入配管の一部にはヒ
ータを巻いて予熱装置とし、送入する硫酸およびギ酸を
約90℃に予熱して反応器内の温度が125℃になるよ
うに調節した。反応器内の滞留時間は約60秒であっ
た。反応物は気液ともに反応器の上端から吐出させ、気
液分離器として取り付けたミストキャッチャーつきの硬
質ガラス製容器に導き、一酸化炭素と硫酸とを分離し
た。ギ酸はほぼ定量的に分解しており、56リットル/
hrの一酸化炭素がえられた。反応を終えて分離した硫
酸の濃度は84.3重量%であった。
モデル装置を用いて一酸化炭素を製造した。反応には直
径1.5cm、長さ15cmの硬質ガラス製の管状反応
器を用いた。反応器を垂直に設置し、その下端から13
0g/hr(2.5モル/hr)の88%ギ酸、および
1400g/hr(12モル/hr)の88%硫酸を送
入した。また、ギ酸および硫酸の送入配管の一部にはヒ
ータを巻いて予熱装置とし、送入する硫酸およびギ酸を
約90℃に予熱して反応器内の温度が125℃になるよ
うに調節した。反応器内の滞留時間は約60秒であっ
た。反応物は気液ともに反応器の上端から吐出させ、気
液分離器として取り付けたミストキャッチャーつきの硬
質ガラス製容器に導き、一酸化炭素と硫酸とを分離し
た。ギ酸はほぼ定量的に分解しており、56リットル/
hrの一酸化炭素がえられた。反応を終えて分離した硫
酸の濃度は84.3重量%であった。
【0015】分離した硫酸は、前記の気液分離器の底部
からガラスコックで調整しながら、直径1.5cm、高
さ15cmで中にラッシヒリングを充填したカラムが取
付けられている、内容量が0.5リットルの硫酸濃縮器
に送入した。この濃縮器内は、スチーム・エゼクターで
12Torrに減圧し、内部の硫酸が140℃を保つよ
うにマントルヒータで加熱した。濃縮器内の液面を調整
しながら、底部から約1400g/hrの88重量%硫
酸を連続的に抜き出した。この硫酸は反応器に循環し、
再びギ酸の脱水反応に使用することができた。濃縮器と
スチーム・エゼクターの間には硫酸分縮器を設けて冷媒
を通じ約70℃に保ち、同伴する硫酸を分離した。0.
1g/hrに相当する硫酸を捕集することができた。硫
酸と分離した水は、スチームエゼクターで系外に除去し
た。この状態で、一酸化炭素の製造と硫酸濃縮、循環を
連続2日間にわたり実施し、純度99.99%の一酸化
炭素を約2700リットル製造することができた。運転
終了後、装置内の硫酸総重量を測定したところ、逸散し
た硫酸は、約5gであった。
からガラスコックで調整しながら、直径1.5cm、高
さ15cmで中にラッシヒリングを充填したカラムが取
付けられている、内容量が0.5リットルの硫酸濃縮器
に送入した。この濃縮器内は、スチーム・エゼクターで
12Torrに減圧し、内部の硫酸が140℃を保つよ
うにマントルヒータで加熱した。濃縮器内の液面を調整
しながら、底部から約1400g/hrの88重量%硫
酸を連続的に抜き出した。この硫酸は反応器に循環し、
再びギ酸の脱水反応に使用することができた。濃縮器と
スチーム・エゼクターの間には硫酸分縮器を設けて冷媒
を通じ約70℃に保ち、同伴する硫酸を分離した。0.
1g/hrに相当する硫酸を捕集することができた。硫
酸と分離した水は、スチームエゼクターで系外に除去し
た。この状態で、一酸化炭素の製造と硫酸濃縮、循環を
連続2日間にわたり実施し、純度99.99%の一酸化
炭素を約2700リットル製造することができた。運転
終了後、装置内の硫酸総重量を測定したところ、逸散し
た硫酸は、約5gであった。
【0016】実施例2 実施例1で使用した装置を用い、反応温度を140℃、
ギ酸の仕込量を実施例1の2倍にする一方、硫酸の循環
量を調整して反応器内の滞留時間をを20秒とした以外
は、実施例1と同様の条件で2日間連続して一酸化炭素
を製造した。この間に、純度99.99%の一酸化炭素
約5400リットルが得られた。
ギ酸の仕込量を実施例1の2倍にする一方、硫酸の循環
量を調整して反応器内の滞留時間をを20秒とした以外
は、実施例1と同様の条件で2日間連続して一酸化炭素
を製造した。この間に、純度99.99%の一酸化炭素
約5400リットルが得られた。
【0017】比較例1 比較のために、従来から実施されている回分法によって
ギ酸と硫酸とから一酸化炭素を製造した。すなわち、9
8重量%硫酸を200g(2モル)と88重量%ギ酸を
260g(5モル)とを内容量1リットルのフラスコに
投入し、温度を150℃まで上昇させた。室温から15
0℃まで昇温するのに120分を要し、この間に一酸化
炭素が93.0リットル(標準状態、4.15モル、収
率83.0%)発生した。昇温後、150℃に保持した
ところ、最初の15分間にさらに一酸化炭素が123リ
ットル(標準状態、0.55モル、収率11.0%)が
得られたが、つぎの15分間には1.8リットル(標準
状態、0.08モル、収率1,6%)発生したにとどま
った。そこで160℃まで昇温し、30分間保持した
が、一酸化炭素が0.9リットル(標準状態0.04モ
ル、収率0.8%)と水素ガス0.7リットル(標準状
態0.03モル、収率0.6%)および二酸化炭素0.
7リットル(標準状態0.03モル、収率0.6%)が
発生した。反応開始からの一酸化炭素ガスの合計収率は
96.4%であり、残る3.6%相当のギ酸が未反応の
ままであったことになる。
ギ酸と硫酸とから一酸化炭素を製造した。すなわち、9
8重量%硫酸を200g(2モル)と88重量%ギ酸を
260g(5モル)とを内容量1リットルのフラスコに
投入し、温度を150℃まで上昇させた。室温から15
0℃まで昇温するのに120分を要し、この間に一酸化
炭素が93.0リットル(標準状態、4.15モル、収
率83.0%)発生した。昇温後、150℃に保持した
ところ、最初の15分間にさらに一酸化炭素が123リ
ットル(標準状態、0.55モル、収率11.0%)が
得られたが、つぎの15分間には1.8リットル(標準
状態、0.08モル、収率1,6%)発生したにとどま
った。そこで160℃まで昇温し、30分間保持した
が、一酸化炭素が0.9リットル(標準状態0.04モ
ル、収率0.8%)と水素ガス0.7リットル(標準状
態0.03モル、収率0.6%)および二酸化炭素0.
7リットル(標準状態0.03モル、収率0.6%)が
発生した。反応開始からの一酸化炭素ガスの合計収率は
96.4%であり、残る3.6%相当のギ酸が未反応の
ままであったことになる。
【0018】
【発明の効果】本発明の一酸化炭素の製造方法および製
造装置を利用すれば、従来の工業的な製造方法や、実験
室的な回分製造方法に較べて、高純度の一酸化炭素を容
易かつ経済的に製造することができる。すなわち、本発
明では、160℃を超えない温度で連続して硫酸とギ酸
を反応させるので、副反応もなくギ酸の脱水分解がほぼ
完全に進み、高純度の一酸化炭素が得られる。また、連
続的に一定純度の一酸化炭素が一定量得られるので、工
業的に利用しやすい。また、本発明によるとギ酸が実質
的に100%分解するため、回分反応方式で問題になる
反応後のギ酸を含む硫酸の処理の必要がなく、反応に使
用した硫酸は、減圧下で濃縮して循環使用することがで
きる。使用する装置や操作は簡単であって、経済的であ
る。
造装置を利用すれば、従来の工業的な製造方法や、実験
室的な回分製造方法に較べて、高純度の一酸化炭素を容
易かつ経済的に製造することができる。すなわち、本発
明では、160℃を超えない温度で連続して硫酸とギ酸
を反応させるので、副反応もなくギ酸の脱水分解がほぼ
完全に進み、高純度の一酸化炭素が得られる。また、連
続的に一定純度の一酸化炭素が一定量得られるので、工
業的に利用しやすい。また、本発明によるとギ酸が実質
的に100%分解するため、回分反応方式で問題になる
反応後のギ酸を含む硫酸の処理の必要がなく、反応に使
用した硫酸は、減圧下で濃縮して循環使用することがで
きる。使用する装置や操作は簡単であって、経済的であ
る。
【図1】 本発明の一酸化炭素の製造方法と製造装置の
実施態様例を示すフローシート。
実施態様例を示すフローシート。
1:反応器 2:ギ酸槽 3:硫酸槽 4:ギ酸
予熱器 5:硫酸予熱器 6:気液分離器 7:
一酸化炭素配管 8:硫酸濃縮器 9:硫酸分縮器
10:減圧装置 11:硫酸の循環配管
予熱器 5:硫酸予熱器 6:気液分離器 7:
一酸化炭素配管 8:硫酸濃縮器 9:硫酸分縮器
10:減圧装置 11:硫酸の循環配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大川 旬 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社製造所別府工場内
Claims (2)
- 【請求項1】(イ) ギ酸と硫酸とを連続的に接触さ
せ、160℃を超えない温度で一酸化炭素を発生させる
工程、 (ロ) 発生した一酸化炭素を硫酸から分離する工程、 (ハ) 分離した硫酸からギ酸の分解によって生成した
水分を除去する工程、 (ニ) 前記の水分を除去した硫酸を(イ)の工程に循
環する工程、 からなることを特徴とする、一酸化炭素の製造方法。 - 【請求項2】連続的に供給されるギ酸と硫酸とを接触さ
せて一酸化炭素を発生させる流通型連続反応器と、 前記の流通型連続反応器において発生した一酸化炭素を
硫酸から分離する気液分離器と、 圧力が20Torr以下の減圧下において、前記の気液
分離器において分離された硫酸から、ギ酸の分解によっ
て生成した水分を除去して硫酸を濃縮する硫酸濃縮器
と、 前記の硫酸濃縮器で濃縮された硫酸を、前記の流通型連
続反応器に循環する循環系と、を有することを特徴とす
る、一酸化炭素の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP50A JPH06247707A (ja) | 1993-02-23 | 1993-02-23 | 一酸化炭素の製造方法および製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP50A JPH06247707A (ja) | 1993-02-23 | 1993-02-23 | 一酸化炭素の製造方法および製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06247707A true JPH06247707A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=12378964
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP50A Pending JPH06247707A (ja) | 1993-02-23 | 1993-02-23 | 一酸化炭素の製造方法および製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06247707A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002173310A (ja) * | 2000-12-04 | 2002-06-21 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ギ酸メチルの液相接触分解による一酸化炭素製造方法 |
WO2007122452A1 (en) * | 2006-04-21 | 2007-11-01 | Quali Guarantee (Proprietary) Limited | Apparatus for producing carbon monoxide by a chemical reaction process |
EP2284124A1 (de) * | 2009-08-14 | 2011-02-16 | Linde AG | Verfahren und Vorrichtung zur Produktion von Kohlenmonoxid |
JP2011051852A (ja) * | 2009-09-03 | 2011-03-17 | Sumitomo Seika Chem Co Ltd | 一酸化炭素ガスの製造方法および製造装置 |
JP2011051853A (ja) * | 2009-09-03 | 2011-03-17 | Sumitomo Seika Chem Co Ltd | 一酸化炭素ガスの製造方法および製造装置 |
WO2018030297A1 (ja) * | 2016-08-08 | 2018-02-15 | 大陽日酸株式会社 | 気液分離装置 |
-
1993
- 1993-02-23 JP JP50A patent/JPH06247707A/ja active Pending
Cited By (8)
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WO2018030297A1 (ja) * | 2016-08-08 | 2018-02-15 | 大陽日酸株式会社 | 気液分離装置 |
US20200101400A1 (en) * | 2016-08-08 | 2020-04-02 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Gas-liquid separating device |
US11607627B2 (en) | 2016-08-08 | 2023-03-21 | Taiyo Nippon Sanso Corporation | Method for producing a gas |
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