JPH0623195U - Ｅｌ発光素子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のＥＬ発光素子においては、蛍光体から
の青緑色の発光を白色に変換するための有機蛍光顔料
の、紫外線による劣化が著しく、これにより屋外用の機
器には使用できず用途が制限される問題点を生じてい
た。 【構成】 本考案により、色光変換フィルタ５を透明樹
脂部材５ａ中に有機蛍光顔料５ｂを練り込んで形成した
ものとしたことで、有機蛍光顔料５ｂの粒子の夫々を外
気に対して密封する状態とし、これにより耐久性を向上
させてこの種のＥＬ発光素子の屋外使用も可能とし課題
を解決する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は ＥＬ発光素子に関するものであり、詳細には発光面側に色光変換フ ィルタが設けられ、該色光変換フィルタにより希望する発光色を得る構成とした ＥＬ発光素子に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

通常のＥＬ発光素子９０においては図３に示すように背面電極９１と透明電極 ９２とに挟まれる発光体層９３を蛍光体９３ａと有機蛍光顔料９３ｂとを混和し たものとして形成し、これにより、目的とする白色の発光色を得るものとしてい た。

【０００３】 ここで、上記した通常の構成のＥＬ発光素子９０においては発光体層９３に有 機蛍光顔料９３ｂを混和したことで、第一には蛍光体９３ａの充填率が低下して 発光効率が低下する問題点を生じ、第二には上記の混和により有機蛍光顔料９３ ｂ側の劣化が激しくＥＬ発光素子９０の寿命を著しく短命化する問題点を生ずる ものとなっていた。

【０００４】 上記の問題点の解決策として、図４に示すようにＥＬ発光素子８０の背面電極 ８１と透明電極８２とに挟まれる発光体層８３を蛍光体８３ａのみで形成し、こ のＥＬ発光素子８０の発光面側に、例えばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート ）フィルムなど透明樹脂フィルム８４ａに有機蛍光顔料８４ｂを印刷などで成膜 して形成した色光変換フィルタ８４を貼着した構成のものが提案され実施されて いる。尚、前記有機蛍光顔料８４ｂは紫外線による劣化が激しいものとされてい るので、前記色光変換フィルタ８４の外側となる面には紫外線カットフィルム８ ４ｃが貼着されるものとされている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 上記したように色光変換フィルタ８４を別体としたことで、確かに発光効率の 向上と、有機蛍光顔料８４ｂの寿命の延命とが図られるものとはなったが、紫外 線カットフィルム８４ｃの付加など新たな対策を施したにも係わらず、この状態 でも屋外光での暴露試験の結果では高々２００日（約７ケ月）の寿命が得られる ものに過ぎず、到底に屋外で使用する目的には使用できないと云う問題点を生じ 、この点の解決が課題とされるものとなっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、蛍光体層か らの発光を発光面側に設けられ有機蛍光色材で形成された色光変換フィルタを透 過させて白色光に変換して成るＥＬ発光素子において、前記色光変換フィルタが 透明樹脂中に前記有機蛍光色材を練り込んで形成したフィルム状色光変換フィル タであることを特徴とするＥＬ発光素子を提供することで、有機蛍光顔料の寿命 を延命させて、ＥＬ発光素子の長寿命化を可能とし、課題を解決するものである 。

【０００７】

【実施例】

つぎに、本考案を図に示す一実施例に基づいて詳細に説明する。 図１に符号１で示すものは本考案に係るＥＬ発光素子であり、このＥＬ発光素 子１は、背面電極２と透明電極３との間に挟まれる発光体層４が蛍光体４ａのみ で形成され、発光面側に設けられた色光変換フィルタ５により白色光への発光色 の変換がなされるものである点は図４に示す従来例のものと同様である。

【０００８】 しかしながら、本考案により前記色光変換フィルタ５は透明樹脂フィルム上に 有機蛍光顔料を成膜した従来例のものと異なり、例えばアクリル樹脂など透明樹 脂部材５ａ中に透明性の強い有機蛍光顔料５ｂを練り込んで素材を形成し、その 後にフィルム若しくは薄板状に加工したものとされ、これにより前記色光変換フ ィルタ５は恰も着色透明樹脂板のように色光変換フィルタ５の内部に有機蛍光顔 料５ｂが均一に分散された構成とされている。

【０００９】 尚、図中に符号６で示すものは絶縁層であり、前記背面電極２と透明電極３と の間に短絡を生ずるのを防止するものであり、また、符号７で示すものは防湿フ ィルムであり前記発光体層４の湿度による劣化を防止するものであって、上記の 何れもがこの種のＥＬ発光素子１においての公知の技術により形成されるもので あるので、ここでの詳細な説明は省略する。

【００１０】 ここで、上記の構成としたことによる本考案の作用及び効果について説明を行 えば、色光変換フィルタ５を透明樹脂部材５ａ中に有機蛍光顔料５ｂを練り込ん だ構成としたことで、結果的に前記有機蛍光顔料５ｂの粒子の夫々は透明樹脂部 材５ａにより外気に対して密封された状態となり耐久性が向上する。

【００１１】 この状態を従来例のものとの大陽光線に対する暴露試験の結果の対比で示すも のが図２であり、図中に符号Ｍで示す曲線は図３に示す従来例に対応するもので あり、図中に符号Ｓで示す曲線は図４に示す従来例に対応するものであり、図中 に符号Ｆで示す曲線は図１に示す本考案に対応するものであり、何れも色度座標 Ｙxyでのｘ値を測定し退色劣化を確認したものである。尚、縦軸は色度座標Ｙxy のｘ値、横軸は試験日数である。

【００１２】 上記の暴露試験の結果によれば、図３に示した従来例（曲線Ｍ）のもの、即ち 発光層内に有機蛍光顔料を混和したものは略３０日で白色下限値（ｘ＝0.28）を 越え、図４に示す従来例（曲線Ｓ）のもの、即ち印刷法などで形成した色光変換 フィルタを設けたものが略２００日強で白色下限値を越えたのに対し、本考案（ 曲線Ｆ）の透明樹脂部材中に有機蛍光顔料５ａを練り込んだ構成のものは５００ 日経過後においても充分に白色として認知可能な実用領域にあることが確認され る。尚、上記の実施例は蛍光体４ａからの青緑色の発光を有機蛍光顔料５ｂによ り白色に変換する例で説明したが、本考案の構成は白色以外への変換の場合にお いても有効である。

【００１３】

【考案の効果】

以上に説明したように本考案により、色光変換フィルタを透明樹脂部材中に有 機蛍光顔料を練り込んで形成したものとしたことで、有機蛍光顔料の粒子の夫々 を外気に対して密封する状態とし、これにより耐久性を向上させてこの種のＥＬ 発光素子の屋外使用も可能とし用途の拡大など汎用性の向上に優れた効果を奏す るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るＥＬ発光素子の一実施例を示す
断面図である。

【図２】 本考案の実施例の暴露試験結果を従来例との
対比で示すグラフである。

【図３】 従来例を示す断面図である。

【図４】 別の従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１……ＥＬ発光素子 ２……背面電極 ３……透明電極 ４……発光層 ４ａ……蛍光体 ５……色光変換フィルタ ５ａ……透明樹脂部材、５ｂ……有機蛍光顔料 ６……絶縁層 ７……防湿フィルム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 森 喜重 東京都町田市山崎町2130山崎団地６―７― 307 (72)考案者 赤沼 洋一郎 東京都目黒区柿の木坂２―８―18 (72)考案者 松本 利正 東京都町田市中町１―26―４ (72)考案者 古藤 澄久 神奈川県横浜市緑区長津田２―39―37

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 蛍光体層からの発光を発光面側に設けら
   れ有機蛍光色材で形成された色光変換フィルタを透過さ
   せて白色光に変換して成るＥＬ発光素子において、前記
   色光変換フィルタが透明樹脂中に前記有機蛍光色材を練
   り込んで形成したフィルム状色光変換フィルタであるこ
   とを特徴とするＥＬ発光素子。