JPH06229566A - 電気ヒーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、電気調理器などに用いる電気ヒー
ターに関するもので、高輻射で安全性の高いヒーターを
得ることを目的としたものである。 【構成】 輻射面積の大きいテープ状電気抵抗発熱体１
をこの電気抵抗発熱体１の幅以上で前記電気抵抗発熱体
１に相当する部分に溝６を付けた溝付き絶縁体５の溝６
の中に挿入し、前記電気抵抗発熱体１の輻射面２に相当
する部分を前記電気抵抗発熱体１の幅よりも狭い幅で孔
４を開けた孔付き絶縁体３で覆う構成とした。この構成
では前記テープ状電気抵抗発熱体１が熱膨張によって伸
びても前記溝付き絶縁体５の溝６と前記孔付き絶縁体３
で囲まれた空間の中でのみ伸びるだけで、テープ状電気
抵抗発熱体に無理な応力をかけることがないため、電気
抵抗発熱体１が垂れ下がるのを防止することができ安全
なヒーターが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電気調理器や電気暖房
器などに用いる電気ヒーターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の、調理器や暖房器に用いられる電
気ヒーターはほとんどが、シーズヒーターや、石英管
（あるいは耐熱ガラス管）ヒーター、マイカヒーター、
またはニクロム線ヒーターである。

【０００３】以下に従来の電気ヒーターについて説明す
る。シーズヒーターは図６に示すように電熱線１１と絶
縁材１２と封止材１３と保護管１４で棒状に構成されて
いる。通電時には、保護管１４の表面温度が７００〜８
００℃となり被加熱物を加熱する。

【０００４】石英管ヒーターは保護管１４を石英管とし
たもので、構造の基本はシーズヒーターと同様である。

【０００５】マイカヒーターは図７に示すようにマイカ
板１５に電熱線１６を巻き付けさらに２枚のマイカ板１
７、１８で挟み固定した構成となっており、通電時は電
熱線がマイカ板を加熱して５００℃程度となり、マイカ
板の２次輻射によって被加熱物を加熱する。

【０００６】ニクロム線ヒーターは図８に示すように螺
旋状のニクロム線１９を焼結体２０の溝に固定した構造
である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらシーズヒ
ーターや石英管ヒーターでは、電気抵抗発熱体がチュー
ブ状の形状のため、投影輻射面積を大きくとることがで
きず、輻射が全空間方向（３６０度）に向かって行われ
るため被加熱物への輻射量が小さく、さらに、ヒーター
に対抗する部分とそうでない部分とで輻射量が異なり分
布が悪いという課題があった。さらに、シーズヒーター
は、保護管が金属で構成されており、調理器用ヒーター
に使用した場合は高温下での食塩等の腐食物質により金
属管が腐食するという課題があった。また、マイカヒー
ターはマイカ板からの輻射温度が５００℃と他に比べて
低温のため輻射量が小さいという課題があった。

【０００８】一方、ニクロム線ヒーターはソレノイドコ
イル状に巻回されているためにシーズヒーターと同様の
課題を有するとともに、電熱線の熱が焼結体に伝導し、
立ち上がり特性が悪く、さらにヒーターが上面に配置さ
れた一般的な箱型調理器に於いては電熱線が熱により垂
れ下がるという課題があった。また、電熱線が裸のた
め、線が腐食するという課題があった。

【０００９】本発明は上記課題を解決するもので、高輻
射量であり、立ち上がり特性の良い高輻射型のヒーター
を得ることを第１の目的としている。

【００１０】第２の目的は、電気抵抗発熱体に無理な応
力をかけることなく、電気抵抗発熱体が垂れ下がるのを
防止した安全なヒーターを得ることにある。

【００１１】第３の目的は、耐久性の高いヒーターを得
ることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上記第１の目的
を達成するため、厚さが数十μｍの箔状のテープ状電気
抵抗発熱体を使用している。

【００１３】また第２の目的を達成するために本発明は
テープ状電気抵抗発熱体と、前記電気抵抗発熱体の輻射
面に相当する部分を前記電気抵抗発熱体の幅よりも狭い
幅で孔を開けた孔付き絶縁体と、前記電気抵抗絶縁体の
幅以上で前記電気抵抗発熱体に相当する部分に溝を付け
た溝付き絶縁体とからなり、前記テープ状電気抵抗発熱
体を前記溝付き絶縁体に挿入し前記孔付き絶縁体で覆
い、前記電気抵抗発熱体が前記溝付き絶縁体の溝の中で
動くことのできる構成としている。

【００１４】また第３の目的を達成するために、本発明
は上記構成の電気ヒーターのテープ状電気抵抗発熱体の
輻射面を少なくとも赤外線の一部は透過する無機質板で
覆った構成としている。

【００１５】

【作用】本発明は上記構成によって、熱容量が小さく輻
射面積が大きい箔状のテープ状電気抵抗発熱体を用いた
ため発熱体の速熱性が速まるとともに、高輻射量が得ら
れる。

【００１６】さらに本発明はテープ状電気抵抗発熱体を
前記電気抵抗絶縁体の幅以上で前記電気抵抗発熱体に相
当する部分に溝を付けた絶縁体の溝の中に挿入し、前記
電気抵抗発熱体の輻射面に相当する部分を前記電気抵抗
発熱体の幅よりも狭い幅で孔を開けた孔付き絶縁体で覆
うことによって、前記テープ状電気抵抗発熱体が熱膨張
によって伸びたときに於いても、前記溝付き絶縁体の溝
と前記孔付き絶縁体で囲まれた空間の中でのみ伸び、絶
縁体の外に出ない構成としてある。

【００１７】また、少なくとも赤外線の一部は透過する
無機質板が電熱線を保護している構成としているので、
食塩等の物質による電気抵抗発熱体の腐食を防止するこ
とができるものである。

【００１８】

【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

【００１９】実施例１ 図１、図２、図３において、１はテープ状電気抵抗発熱
体、３は前記電気抵抗発熱体の輻射面に相当する部分を
前記電気抵抗発熱体の幅よりも狭い幅で孔４を開けた孔
付き絶縁体、５は前記電気抵抗絶縁体の幅以上で前記電
気抵抗発熱体に相当する部分に溝６を付けた溝付き絶縁
体である。

【００２０】図２に示すように箔状のテ−プ状電気抵抗
発熱体１の厚さは数十μｍ、幅５〜７mmでありシーズヒ
ーターや石英管ヒーターに比べ熱容量が極めて小さく、
またテープ状であるため３〜６倍の投影輻射面積があり
速熱性と高輻射量を得ることができる。

【００２１】さらに、図１に示すように、前記テープ状
電気抵抗発熱体１は前記溝付き絶縁体の溝６の中に挿入
され、前記テープ状電気抵抗発熱体１の輻射面２以外を
孔付き絶縁体３で覆うことによって、図３に示すように
前記テープ状電気抵抗発熱体１が熱膨張によって伸びた
ときに於いても、前記溝付き絶縁体５の溝６と前記孔付
き絶縁体３で囲まれた空間の中でのみ自由に伸び、絶縁
体の外に出ない構成となっているのでテープ状電気抵抗
発熱体に無理な応力をかけることなく、電気抵抗発熱体
が絶縁体の外に垂れ下がるのを防止した安全なヒーター
を得ることができる。

【００２２】なお、図４（ａ）において前記孔付き絶縁
体３の孔４の幅ｔｓは、前記テープ状電気抵抗発熱体１
の幅をＷ、前記溝付き絶縁体５の溝６の幅をｔｂ、深さ
をｄとすると、（下式）の関係を満せば、図４（ｂ）に
示すように前記テープ状電気抵抗発熱体１が前記溝付き
絶縁体５の溝６と前記孔付き絶縁体３で囲まれた空間の
外に出ることがない。

【００２３】

【数１】

【００２４】例えば前記テープ状電気抵抗発熱体１の幅
がＷ＝６mm、溝付き絶縁体５の溝６の幅がｔｂ＝７mm、
深さがｄ＝２mmの場合は、孔付き絶縁体３の孔４の幅ｔ
ｓは４．３mm以下であれば良い。

【００２５】実施例２ 本発明の他の実施例を図５に示す。１はテープ状電気抵
抗発熱体、２は孔付き絶縁体、５は溝付き絶縁体、７は
少なくとも赤外線の一部は透過する無機質板である。

【００２６】上記構成は実施例１の構成の電気ヒーター
において、テープ状電気抵抗発熱体１の輻射面２を少な
くとも赤外線の一部は透過する耐熱ガラスやセラミック
等の無機質板７によって覆ったものであり高輻射量が得
られるとともに電気抵抗発熱体の垂れ下がりを防止する
ことができる。前記のごとくテープ状電気抵抗発熱体１
の輻射面２は少なくとも赤外線の一部は透過する無機質
板７によって覆われているため、食品調理時の食塩によ
る電気抵抗発熱体の腐食を防止することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明の電気ヒータ
ーによれば次の効果が得られる。

【００２８】（１）熱容量が小さく輻射面積が大きい大
きいテープ状電気抵抗発熱体を用いたので、速熱性と高
輻射量が得られる。

【００２９】（２）テープ状電気抵抗発熱体を前記電気
抵抗絶縁体の幅以上で前記電気抵抗発熱体に相当する部
分に溝を付けた絶縁体の溝の中に挿入し、前記電気抵抗
発熱体の輻射面に相当する部分を前記電気抵抗発熱体の
幅よりも狭い幅で孔を開けた孔付き絶縁体で覆った構成
によって、前記テープ状電気抵抗発熱体が熱膨張によっ
て伸びたときに於いても、前記溝付き絶縁体の溝と前記
孔付き絶縁体で囲まれた空間の中でのみ伸び、テープ状
電気抵抗発熱体に無理な応力をかけることなく、電気抵
抗発熱体が垂れ下がるのを防止した安全なヒーターを得
ることができる。

【００３０】（３）電気ヒーターのテープ状電気抵抗発
熱体の輻射面を少なくとも赤外線の一部は透過する無機
質板で覆った構成としてあるので、食塩等の物質による
電気抵抗発熱体の腐食を防止することができ耐久性の高
いヒーターを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における電気ヒーターの構成
を示す組み立て図

【図２】本発明の一実施例のテープ状電気抵抗発熱体の
斜視図

【図３】図１の実施例における電気ヒーターのテープ状
電気抵抗発熱対支持部の斜視図

【図４】図１の実施例におけるテープ状電気抵抗発熱対
支持部の詳細斜視図

【図５】本発明の他の実施例における電気ヒーターの構
成を示す組み立て図

【図６】従来のシーズヒーターの断面図

【図７】従来のマイカヒーターの斜視図

【図８】従来のニクロムヒーターの斜視図

【符号の説明】

１ 電気抵抗発熱体 ２ 輻射面 ３ 孔付き絶縁体 ４ 孔 ５ 溝付き絶縁体 ６ 溝 ７ 無機質板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テープ状電気抵抗発熱体と、前記電気抵抗
   発熱体の輻射面に相当する部分を前記電気抵抗発熱体の
   幅よりも狭い幅で孔を開けた孔付き絶縁体と、前記電気
   抵抗絶縁体の幅以上で前記電気抵抗発熱体に相当する部
   分に溝を付けた溝付き絶縁体とからなり、前記テープ状
   電気抵抗発熱体を前記溝付き絶縁体に挿入し前記孔付き
   絶縁体で覆い、前記電気抵抗発熱体が前記溝付き絶縁体
   の溝の中でのみ動く電気ヒーター。
2. 【請求項２】テープ状電気抵抗発熱体の輻射面を少なく
   とも赤外線の一部は透過する無機質板やセラミック板で
   覆った請求項１ないし２記載の電気ヒーター。