JPH06197941A - 薬剤混合装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 薬剤の使用時に希釈剤等で混合するための薬
剤混合装置を提供する。 【構成】 二つの別々の容器から成り、第１容器１０は
希釈剤等の貯留部８と該貯留部より小径の頸部１２を有
し、該頸部には栓体１６、中間孔を有するスパイク／プ
ランジャ部材２０、プランジャ２２およびスパイク２４
を具備し、第２容器３０は下部に設けた傾動可能な流体
密封部材３２と上部に設けた無孔キャップ３４とで形成
される薬剤装填部３８を具備し第１容器の頸部１２に嵌
入するように構成される。 【作用】 第２容器を前記頸部に嵌入すると第１容器内
は加圧され、栓体はプランジャによって摺動し同時に傾
動可能な密封部材はスパイクによって傾動され、両容器
はスパイク／プランジャ部材の中間孔を介して連通し薬
剤の混合調製がなされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の背景】注射器などで投与する前に粉末状及び／
または液状薬剤を混合しなければならないことが多い。
このような場合には、投与する直前に混合することが望
ましい。また、調合し、貯蔵し、乾燥または凍結乾燥し
た形で出荷し、使用時に希釈剤を加えて液状に戻さねば
ならない薬剤が少なくない。

【０００２】乾燥または凍結乾燥状態の薬剤に希釈剤を
加える種々の方法が提案されている。例えば希釈剤とし
て点滴溶液が入っているびんを開栓し、その内容物を、
乾燥または凍結乾燥状態の薬剤が入っているびんに注入
するいわゆる“開放注入法”が広く採用されている。こ
の方法では、液状に戻してから、この混合物を別の希釈
剤が入っている点滴溶液びんに戻す。このような方法は
周囲の空中細菌で汚染されるおそれがあるから満足すべ
き方法とはいえない。

【０００３】薬剤を液状に戻す、または混合する公知の
方法として、点滴溶液セット及びスタンド、及び抽出用
ニードルまたは特殊ディスペンサ・キャップを必要とす
る“点滴溶液セット・トランスファ”法があり、普通の
注射器を使用して、乾燥または凍結乾燥状態の薬剤が入
っている容器へ希釈剤を移す方法も提案されている。し
かし、ここでも注射針が空気中に定常的に存在する細菌
に汚染される危険性がある。

【０００４】上記のような薬剤を混合する新しい方法が
米国特許第3,882,909 号に開示されている。“Trans-A-
Jet-1 ”と呼ばれるこの方法は、２本の平行流路をこれ
とほぼ直交方向のフランジで支持した流体移送装置を利
用し、各流路の一端に流路の外部との間に流体を密封す
るシールを形成する共通のカバーを設け、このカバーを
フランジと衝合させ、開口端及び無孔栓体を有する薬剤
容器を前記流体移送装置と併用するものである。

【０００５】同じく米国特許第 3,857,392号には、取外
し可能な隔壁及びこれを取外すプランジャを有する点滴
剤容器から成る装置が開示されている。介在する隔壁を
取外すことによって混合する方法はこれも同じく米国特
許第 3,563,415号に開示されている。

【０００６】

【発明の概要】本発明は２つの別々の容器から成る薬剤
混合装置を提案する。

【０００７】第１容器は貯留部及び該貯留部よりも断面
積の小さい頸部を有し、頸部には貯留部近くに栓体が嵌
入され、貯留部とは反対側で前記栓体に近くスパイク／
プランジャ部材が頸部に嵌入されている。スパイク／プ
ランジャ部材は孔のある中間部分を有し、この中間部分
から栓体と接触させることのできるプランジャが突出
し、反対方向へスパイクが突出している。

【０００８】本発明の第１の態様は、第１容器の頸部に
前記スパイク付近まで嵌入する第２容器を設ける。第２
容器は嵌入状態で前記スパイクに近い位置に来る一端に
傾動可能な流体密封部材を、これとは反対側の他端に無
孔キャップをそれぞれ具備する。第１容器、栓体、スパ
イク／プランジャ部材及び第２容器を、第１容器を固定
しながら第２容器に圧力を加えるとプランジャが栓体を
ずらし、これと同時にスパイクが第２容器の密封部材を
傾動させることにより、スパイク／プランジャ部材の中
間部分の孔を介して第２容器と第１容器の貯留部とを連
通させるように構成する。

【０００９】好ましくは、第２容器及び第１容器の頸部
を囲むと共に、一端が第２容器の無孔キャップ嵌着端よ
りも上方に来る着脱自在な安全外筐を設ける。この外筐
の他端を例えば第１容器の貯留部に嵌着することで固定
すれば、うっかり第２容器の無孔キャップ嵌着端に触れ
て第１、第２容器の内容物を放出、混合させる危惧はこ
の安全外筐によって実質的に防止される。

【００１０】栓体とスパイク／プランジャ部材の中間部
分との間に位置するように頸部内に制止手段を施し、貯
留部側へのスパイク／プランジャ部材の移動を制限する
ことも好ましい実施態様である。このようにすれば、プ
ランジャが栓体をずらして、例えば、これを貯留部へ挿
入したのち、スパイク／プランジャ部材がそれ以上貯留
部の方へ移動することはない。制止手段はスパイク／プ
ランジャ部材の中間部分と接触してこれを制止する抵抗
としても作用し、栓体が押し除けられたあと、スパイク
が第２容器の密封部材と咬合して密封状態を解くことに
よりスパイク／プランジャ部材中間部分の孔を介して第
２容器の内容物を第１容器貯留部の内容物と連通させる
ことができる。

【００１１】本発明の第２の態様は、装置の構成部分を
“キット”形式で提供する。この態様においては、キッ
トの第１構成部分は貯留部、頸部、栓体及びスパイク／
プランジャ部材を含む上記第１容器から成る。ここでも
栓体が第１容器貯留部の内容物を密封するが、この実施
例の場合、第１容器頸部の他方の開口端にキャップを設
ける。このキャップは第１容器の内容物を使用時まで無
菌状態で貯蔵することを可能にする。

【００１２】キットの第２構成部分は上記第１の態様と
同様に一端に傾動可能な流体密封部材を、他端に無孔キ
ャップをそれぞれ含むだけでなく、無孔キャップの嵌着
端を起点として第２容器の中央部を囲み、前記密封部材
を有する端部よりも下方に達する外筐をも含む第２容器
から成る。外筐の開口端に閉鎖キャップを設けて内側に
位置する第２容器を保護する。

【００１３】第２容器の内容物を第１容器の貯留部に装
填された内容物と混合したいときは、第２容器の外筐及
び第１容器頸部のキャップを外し、第２容器の中央部を
第１容器の頸部に挿入して、密封部材をスパイク／プラ
ンジャ部材に近接させる。スパイク／プランジャ部材の
プランジャは栓体近くに位置するから、第１容器を固定
しながら第２容器の無孔キャップ嵌着端に圧力を加える
とプランジャが第１容器の栓体をずらす一方、スパイク
が第２容器の密封部材を傾動させることにより、第１の
態様と同様にスパイク／プランジャ部材の中間部分に設
けられた孔を介して第２容器の内容物を第１容器貯留部
の内容物と接触させる連通路を形成する。この第２の態
様は必要な時まで貯蔵できる便利なキットを提供する。

【００１４】

【実施例】添付の図面に沿って本発明をその他の特徴及
び長所と共に以下に説明する。

【００１５】図１に示す第１実施例に係る混合装置は主
要部分として第１容器１０、栓体１６、スパイク／プラ
ンジャ部材２０、及び第２容器３０から成る。

【００１６】第１容器１０には例えば希釈剤としての液
状成分６が貯留される貯留部８、及び頸部１２を含む。
頸部には栓体１６を配置できるように縮径部分１４を設
けるのが便利である。

【００１７】スパイク／プランジャ部材２０は中間部分
２８、中間部分から貯留部に向って突出するプランジャ
２２、及び中間部分から反対方向に突出するスパイク２
４から成る。中間部分２８は孔２６を含む。

【００１８】第２容器３０は中央部３６と、該中央部３
６の両端にそれぞれ設けた傾動可能な流体密封部材３２
及び無孔キャップ３４を含む。第２容器には希釈剤６と
混合すべき乾燥状態または粉末状の内容物３８を収容す
ればよい。第２容器３０に意図しない力が加わって、第
２容器の内容物３８が第１容器の内容物６と予定よりも
早い時点で混合するのを防止するためには安全外筐４０
を設けるのが効果的である。安全外筐４０は第１容器１
０の頸部１２よりも大きい断面積を具え、第２容器の無
孔キャップ嵌着端よりも上方に達する長さを具えるよう
に構成されている。安全外筐４０は例えば図１に示す実
施例に見られるように第１容器１０に嵌着することによ
り、第２容器と接触しないように固定すればよい。

【００１９】第１及び第２容器内に内容物を収容してい
るこの混合装置は混合、使用の時まで無期限に貯蔵する
ことができる。第２容器内の乾燥または凍結状態の内容
物３８と第１容器内の希釈剤６を混合したければ、まず
安全外筐４０を取外してから、第１容器を固定しながら
第２容器の無孔キャップ３４の嵌着端に圧力を加えるこ
とにより、第２容器を第１容器の頸部へ摺動進入させ、
スパイク／プランジャ部材２０と接触させる。さらに圧
力を加えるとプランジャ２２が栓体１６をずらして貯留
部に押入すると同時に、スパイク２４が密封部材３２を
密封咬合状態から傾動させ、第２容器の内容物３８がス
パイク／プランジャ部材の中間部分の孔２６を通って第
１容器の貯留部８に流入し、貯留部の内容物６と接触す
ることを可能にする連通路を形成する。

【００２０】装置を振ることによって内容物の混合を促
進し、カニューレ及び／またはＩ．Ｖ．連結管を挿着で
きるキャップ部材３４を介して必要に応じて混合装置か
ら抽出すればよい。

【００２１】図２に示す本発明の第２実施例では、図１
に関連して述べた第１及び第２容器に相当する構成部分
５０及び６０から成る“キット”として混合装置を構成
した。図２の実施例では図１の実施例における構成部分
と同様の、または機能的に等価の構成部分に図１の実施
例と同じ参照番号を付した。

【００２２】図示のように、このキットの構成部分の１
つは貯留部８及び頸部１２を含む第１容器１０である。
ここでも第１容器は図１の場合と同様に頸部内に栓体１
６を有し、頸部内の栓体付近にこれも図１の場合と同様
にスパイク／プランジャ部材２０を含む。ただし、図２
の実施例では第１容器が独立のユニットを構成するよう
に頸部の開口端を密封するキャップ部材４２を設ける。

【００２３】第２容器も第２の別個のユニットを構成
し、その中央部３６の一端に傾動可能な流体密封部材３
２を、他端に無孔キャップ３４をそれぞれ具備する。た
だし、この実施例では無孔キャップ嵌着端を起点として
密封部材３２よりも下方まで達する外筐４４を設ける。
密封部材３２を越える部分はユニットの無菌性が維持さ
れるように該密封部材３２とほとんどまたは全く接触し
ないことがの望ましい。図２のように構成すれば、キッ
トを形成する２つの部分を、第２及び第１容器内の内容
物３８、６を混合する必要が生ずるまで無期限に貯蔵す
ることができる。

【００２４】キットを使用する際には、第１、第２容器
からそれぞれのキャップ４２，４６を外し、外筐４４を
第１容器の頸部１２にかぶせて第２容器を頸部内に摺動
自在に嵌入して第１容器の頸部内に配置されているスパ
イク／プランジャ部材２０のスパイク２４の近くに密封
部材３２が来るようにする。混合を行うには、プランジ
ャ２２が栓体１６を貯留部８へ押入する一方スパイク２
４が密封部材３２を密封状態から傾動させることにより
第２容器の内容物３６がスパイク／プランジャ部材中間
部分２８の孔２６を通って頸部から流入できるようにす
るまで第２容器の無孔キャップ嵌着端３４に圧力を加え
る。

【００２５】図１及び図２に示す制止手段１８はいずれ
も第２容器の無孔キャップ３４の嵌着端に圧力が加えら
れてもスパイク／プランジャ部材がそれ以上貯留部に向
って移動するのを制止すると共に、スパイク２４が密封
部材３２を傾動させるのに充分な抵抗を可能にするのが
目的である。

【００２６】好ましい実施例に関連して本発明を説明し
たが、本発明の範囲内で種々の変更を加え得ることはい
うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例を一部断面で示す側面
図である。

【図２】図２は本発明の第２実施例を一部断面で示す分
解図である。

【符号の説明】

８ 貯留部 １０ 第１容器 １２ 頸部 １６ 栓体 ２０ スパイク／プランジャ部材 ２２ プランジャ ２４ スパイク ２８ 中間部分 ３２ 密封部材 ３４ 無孔キャップ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 貯留部及び該貯留部の断面積よりも小さ
   い断面積の頸部を有する第１容器と、 貯留部に近く頸部内に嵌入した栓体と、 貯留部とは反対側で栓体に近く頸部内に嵌入したスパイ
   ク／プランジャ部材と、 該スパイク／プランジャ部材の中間部分に孔を設けてあ
   り、前記中間部分から栓体に向ってプランジャを突出さ
   せ、前記中間部分からプランジャとは反対の方向にスパ
   イクを突出させたことと、 前記頸部内に嵌入し、スパイクに近接させることのでき
   る第２容器と、 前記第２容器が中央部、スパイクに近い中央部の一端に
   設けた傾動可能な流体密封部材、及び傾動可能な密封部
   材とは反対側の中央部の端部に設けた無孔キャップを有
   することと、 第１容器、栓体、スパイク／プランジャ部材及び第２容
   器を、第１容器を固定しながら第２容器に圧力を加える
   とプランジャが栓体を移動させ、スパイクが第２容器の
   密封部材を傾動させることにより、第２容器と第１容器
   の貯留部とを、スパイク／プランジャ部材の中間部分の
   孔を介して連通させるように構成したことから成ること
   を特徴とする薬剤混合装置。
2. 【請求項２】 栓体とスパイク／プランジャ部材中間部
   分の間に位置するように頸部内に設けられ、貯留部の方
   への移動を制止する制止手段をも含むことを特徴とする
   請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 第２容器の無孔キャップが混合された前
   記装置の内容物を抽出するための手段を受容するように
   構成されていることを特徴とする請求項１に記載の装
   置。
4. 【請求項４】 第２容器及び第１容器の頸部を囲み、第
   ２容器の密封部材と間隔を保ちながらこれよりも下方に
   達し、前記反対端において固定されて第２容器無孔キャ
   ップ端との不注意による接触を実質的に防止する着脱自
   在な安全外筐をも含むことを特徴とする請求項１に記載
   の装置。
5. 【請求項５】 貯留部及び該貯留部の断面積よりも小さ
   い断面積の頸部を有する第１容器と、 貯留部に近く頸部内に嵌入した栓体と、 貯留部とは反対側で栓体に近く頸部内に嵌入したスパイ
   ク／プランジャ部材と、 前記スパイク／プランジャ部材の中間部分に孔を設けて
   あり、前記中間部分から栓体に向ってプランジャを突出
   させ、前記中間部分からプランジャとは反対の方向にス
   パイクを突出させたことと、 中央部、スパイクに近い中央部の一端に設けた傾動可能
   な流体密封部材、及び該密封部材とは反対側の中央部の
   端部に設けた無孔キャップを有する第２容器と、 キャップ端を起点とし、中央部をこれと間隔を保ちなが
   ら囲み、密封部材よりも下方に達する筐体と、 前記密封部材よりも下方に達する筐体の端部に設けた着
   脱自在な筐体閉鎖キャップと、 第２容器中央部、前記筐体及び第１容器頸部の断面を、
   筐体閉鎖キャップを取外し、第２容器を頸部内に挿入し
   て密封部材をスパイク／プランジャ部材のスパイクに近
   接させると、筐体が頸部を囲み、第２容器中央部の一部
   が頸部に嵌入するように設定したことと、 第１容器、栓体、スパイク／プランジャ部材及び第２容
   器を第１容器を固定しながら第２容器に圧力を加える
   と、スパイク／プランジャ部材のプランジャが栓体を移
   動させ、スパイク／プランジャ部材のスパイクが第２容
   器の密封部材を傾動させることにより、スパイク／プラ
   ンジャ部材中間部分の孔を介して第２容器と第１容器貯
   留部とを連通させて第１及び第２容器の内容物が貯留部
   内で接触し、混ざり合うように構成したことから成るこ
   とを特徴とする薬剤混合用装置。