JPH06195097A - 音源信号推定装置 - Google Patents

音源信号推定装置

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JPH06195097A
JPH06195097A JP4356863A JP35686392A JPH06195097A JP H06195097 A JPH06195097 A JP H06195097A JP 4356863 A JP4356863 A JP 4356863A JP 35686392 A JP35686392 A JP 35686392A JP H06195097 A JPH06195097 A JP H06195097A
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Masahiro Fujita
雅博 藤田
Kazuhiko Takabayashi
和彦 高林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 信号を雑音から確実に分離して抽出する。 【構成】 音源0乃至M−1からの信号を、信号検出部
21のマイク0乃至M−1で検出する。抽出すべき本来
の音声信号を発生する音源はもとより、雑音を発生する
音源も、この音源0乃至M−1のいずれかに対応するも
のとして考える。伝達関数推定部23は、信号検出部2
1の出力を用いて、各音源と各マイクの間の伝達関数
H'を推定する。音源推定誤差最小化部24は、伝達関
数をH'とするとき得られる音源推定信号Xの誤差を最
小化する音源推定信号Xの更新値dX1を求める。更新
部26は、制約部25が与える音源に関する制約dX2
と更新値dX1とから、最終的な音源推定信号Xを演算
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、周囲に雑音が
多い環境下において、所望の音声信号を抽出する場合に
用いて好適な音源信号推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の音声認識における重要な問題の一
つに、雑音あるいは対象とする人以外の音から、所定の
人の音声信号を分離する問題がある。例えば、オフィス
などでは、周囲にコンピュータのファンの音、空調の音
などが存在する。また、自動車の中では、エンジンノイ
ズや走行ノイズが非常に大きく、S/N比で−20dB
位の環境となる。このように、周囲に雑音が存在する環
境下で音声認識装置を用いようとすると、これらの雑音
にマスクされ、音声認識の対象となる音声信号を正確に
検出することができない。音声信号を雑音とともに取り
込むと、音声認識の認識率の致命的な低化を招く。
【0003】このような問題に対して、従来より、例え
ば次のような対処の方法が提案されている。 (1)マイクの指向性を利用する。 (2)定常信号を仮定したフィルタ(Wiener Filter)を
利用する。 (3)適応信号処理により妨害音を推定して除去する。
【0004】上記した(1)の例を、図4に示す。例え
ば、目標とする音源がマイクアレイの大きさ(マイク0
からマイク(M−1)までの距離)に較べて充分遠く、
図4に示すように、各マイクに対する音源の方向が平行
な方向で近似できるものとする。このとき、各マイクの
距離をbとすると、マイクアレイが構成する直線(図
中、上下方向の直線)とω0の角度を持つ方向から来る
信号の音波は、bcos(ω0)に比例する時間だけずれて、
それぞれ隣のマイクに入力される。
【0005】いま、マイク0のこの音源からの音波に対
する応答を、 y0,0(t)=s(t) ・・・(1) という時刻tの信号とすると、これよりb×mだけ離れ
たマイクmの応答は、 ym,0(t)=s(t+mbcosω0) ・・・(2) となる。
【0006】また、妨害波がマイク0乃至M−1に対し
て角度ω1の方向から来るとする。この妨害波(雑音)
に対するマイク0の応答を y0,1(t)=n(t) ・・・(3) とすれば、マイクmの応答は、 ym,1(t)=n(t+mbcosω1) ・・・(4) となる。
【0007】従って、マイク0乃至M−1の出力を、目
標信号に対応する時間差だけ遅延回路0乃至M−1によ
り遅延した後、加算器1で加算することにより、目標の
音に対して同期加算を実行することができる。任意のマ
イクmの出力は、 ym(t)=ym,0(t)+ym,1(t) ・・・(5) と表すことができるから、図4でマイクmの出力後の遅
延時間を、mbcosω0に設定することにより、遅延後の
信号zm(t)は、 zm(t)=ym(t−mbcosω0) =ym,0(t−mbcosω0)+ym,1(t−mbcosω0) =s(t+mbcosω0−mbcosω0) +n(t+mbcosω1−mbcosω0) =s(t)+n(t+mbcosω1−mbcosω0) ・・・(6) となる。
【0008】その結果、加算器1の出力u(t)は次のよ
うになる。
【0009】
【数1】
【0010】従って、目標信号s(t)は、その振幅がM
倍になるが、妨害波信号n(t)は、上式のように遅延平
均を取られることとなり、低域通過型のフィルタを通る
こととなり、そのレベルは低下する。
【0011】一方、上記(2)の方法は、マイクで検出
した信号から、Wiener Filter(バンドパスフィルタ)
を用いて、所望の周波数帯域の音声信号成分を抽出する
ものである。
【0012】さらに上記(3)の例を、図5に示す。例
えば、時刻tにおける音声s(t)をマイク15で検出し
ようとすると、エンジン11が発生するエンジンノイズ
1(t)がマイク15で同時に検出される。そこで、エ
ンジンノイズ(エンジンノイズに関係する震動)だけを
検出する(音声s(t)を検出しない)ピックアップ12
を、エンジンルームに直接設置する。ピックアップ12
の出力n2(t)を可変タップWiを有する適応フィルタ1
3に供給し、所望の特性に制御して、信号h(t)n
2(t)を得る。そして、この信号を減算器14に供給
し、マイク15の出力y(t)(=s(t)+n1(t))か
ら差し引き、次式の誤差信号を得る。 y(t)−h(t)n2(t)=s(t)+n1(t)−h(t)n2(t) ・・・(8)
【0013】この誤差信号をLMS回路16に供給し、
その二乗平均が最小になる適応フィルタ13の係数(可
変タップWi)を勾配法を用いて演算する。
【0014】すなわち、y(t),n2(t),h(t)のサ
ンプル系列を時刻インデックスkを用いてy(k),n
2(k),h(k)で表すと、適応フィルタ13の出力h
(k)n2(k)は次式で示される。
【0015】
【数2】
【0016】そして、次式から更新量dWiを演算し、 dWi=−αn2(k−i)(y(k)−h(k)n2(k)) ・・・(10) 可変タップWiを更新量dWiだけ変化させるのである。
なお、αは正の定数である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の手法においては、以下のような課題があった。上記
した複数のマイクの出力を所定時間遅延して加算する方
法は、同期加算が基本なので、理想的な状態でも、1個
のマイクにつき3dBしかS/Nの向上を期待すること
ができない。このため、実際に音声認識に適用すること
は困難である。
【0018】また、フィルタで所定の周波数帯域の信号
を抽出する方法は、定常妨害音に対してのみ有効であ
り、また目標とする信号と雑音の周波数帯域が重なって
いる場合には、目標の信号成分も失われる。
【0019】さらに、図5に示した方法は、妨害音に関
係する信号だけをピックアップしなければならないが、
そのようなことは、実際には不可能である場合が多い。
【0020】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、目標とする信号を、できるだけ雑音に影響
されずに、確実に検出することができるようにするもの
である。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の音源信号推定装
置は、音源から発生した信号を検出する検出手段として
の信号検出部21と、信号検出部21の出力に対応し
て、音源から信号検出部21までの伝達関数を推定する
推定手段としての伝達関数推定部23と、伝達関数推定
部23によって推定された伝達関数と、信号検出部21
により検出された信号を用いて生成される音源推定信号
の誤差を最小化する音源推定信号の更新値を生成する誤
差最小化手段としての音源推定誤差最小化部24と、音
源に関し制約条件を付加する制約手段としての制約部2
5と、音源推定誤差最小化部24により生成された更新
値と、制約部25により与えられた制約に対応して、音
源推定信号を生成する生成手段としての更新部26とを
備えることを特徴とする。
【0022】信号検出部21により検出された信号をフ
ーリエ変換する変換手段としてのフーリエ変換部22を
さらに設けることができる。
【0023】制約条件は、各音源の発生する信号を無相
関な信号とし、相関行列を対角化する条件とすることが
できる。
【0024】音源推定誤差最小化部24は、勾配法を用
いて音源推定信号の誤差を最小化することができる。
【0025】音源推定誤差最小化部24は、伝達関数
を、音源から信号検出部21までの距離を音速で割った
値を含む関数としてモデル化することができる。
【0026】
【作用】上記構成の音源信号推定装置においては、音源
から信号検出部21までの伝達関数が推定されるととも
に、所定の制約条件を与えて、音源からの信号が推定さ
れる。従って、雑音は確実に抑制される。
【0027】
【実施例】
〈妨害音分離の原理〉最初に本実施例における妨害音分
離(抑制)の原理について説明する。いま、仮に、音源
(この音源には、抽出すべき信号を発生する音源だけで
なく、抑制すべき雑音を発生する音源も含む)がS個、
この音源からの音声信号を検出する信号検出器(マイ
ク)がM個あるものとする。音源sから信号検出器mま
での伝達関数をHm,sとする。このとき、音源sにおけ
る信号xs(t)、あるいはそのフーリエ変換であるX
s(ω)と、信号検出器における信号ym(t)、あるいはそ
のフーリエ変換ym(ω)との関係は、次式で表わされ
る。 Ym(ω)=Hm,ss(ω) ・・・(11) ただし、m=0,1,・・・,M−1、s=0,1,・
・・,S−1である。
【0028】また、上式は、行列で表わすと、次のよう
になる。 Y=HX ・・・(12) ここで、Y,H,Xは、それぞれ次式で表わされる。な
お、[ ]tは行列の転置を表わす。
【0029】
【数3】
【0030】従って、Hが正則な正方行列であれば、
(12)式よりX、すなわち、各音源の信号を独立に求
めることができる。また、一般化逆行列HL -1を用いれ
ば、最小二乗的な意味でXを推定することができる。
【0031】一般化逆行列を直接求めなくとも最小二乗
に基づいて、数値計算によりXを推定することが可能で
ある。すなわち、次式で示される評価関数E1(X)を最
小化するのである。尚、次式において、|| ||はノルム
を示す。 E1(X)=||Y−HX||2 ・・・(16)
【0032】この評価関数を最小化するのに勾配法を用
いることができる。すなわち、次式に従ってXの推定値
を更新する。 X(k+1)=X(k)+dX(k) ・・・(17) dX(k)α−∂E1(X)/∂X ・・・(18)
【0033】さらに、Xに関しての制約をかけることに
より、Hのランクrが音源の個数Sと等しいか、それよ
り小さくとも、Xに関して適当な解を求めることが可能
となる。すなわち、最小にすべき評価関数E1(X)とあ
わせて、制約条件E2(X)を設定し、次式L(X)を定義
する。尚、次式において、λは係数である。 L(X)=E1(X)+λE2(X) ・・・(19) そして、上記(19)式を、制約付の最小化問題として
解くのである。この場合におけるXの更新は、次式に従
って行なわれる。 X(k+1)=X(k)−α∂L(X)/∂X ・・・(20)
【0034】<具体例>以下、図面を参照し、上記原理
を応用した具体例について説明する。図1に本実施例の
ブロック図を示す。いま、音源sがM個(s=0,1,
・・・,M−1)存在するものと仮定する。信号検出部
21は、M個のマイク(マイク0乃至M−1)で構成さ
れる。任意の音源sから任意のマイクmまでの空間は、
伝達関数Hm,sを有するものとする。信号検出部21に
おいて、マイクmは入力された音声信号を検出し、信号
m(t)(サンプル係列で表すとym(k))を出力する。
このマイクmの出力ym(k)は、フーリエ変換部22に
おいてフーリエ領域に変換され、Ym(ω)となり、音源
推定誤差最小化部24に出力される。
【0035】伝達関数推定部23は、信号検出部21の
出力ym(k)から、伝達関数(伝達関数の比H’)を演
算し、音源推定誤差最小化部24に出力する。音源推定
誤差最小化部24は、上記した(16)式の評価関数E
1(X)を最小化するように、Xの更新量の一部dX1を求
める。制約部25においては、Xの制約に関する量E
2(X)に対して、Xの更新量の一部dX2を求める。更新
部26は、更新量dX1とdX2から新たなXを更新し、
音源推定信号として図示せぬ回路に出力するとともに、
次の更新量演算のために、音源推定誤差最小化部24と
制約部25にも出力するようになされている。
【0036】次に、その動作について説明する。信号検
出部21のM個のマイクの配置は既知であり、図2に示
すように、マイク0を原点として、任意のマイクmの座
標は位置ベクトルAmで表わされる。マイクmは、音源
0乃至M−1からの信号(音声信号または雑音)を検出
し、検出信号ym(k)をフーリエ変換部22と伝達関数
推定部23へ出力する。
【0037】フーリエ変換部22は、マイク出力y
m(k)(ym(t))を処理しやすいように次式に従ってフ
ーリエ変換する。 Ym(ω)=∫g(t)ym(t)exp(−jwt)dt ・・・(21) ただし、g(t)は窓関数で例えばハニング窓である。Y
m(ω)は音源推定誤差最小化部24に出力される。
【0038】伝達関数推定部23は、音源sとマイクm
の間の伝達関数Hm,sに関する推定を行う。この推定
は、伝達関数Hm,sを音波の伝達時間によりモデル化
し、さらに、マイク間の伝達時間差により定式化し、そ
して、伝達時間差を音源の方向による関数と見なしてそ
の方向を求めることで行なわれる。
【0039】最初に、伝達関数のモデル化について説明
する。この実施例では、伝達関数Hm,sを次のように近
似(モデル化)する。 Hm,s=Kexp(jωτms) ・・・(22) ここでKは定数、τmsは、音源sからマイクmまでの距
離を音速で割った値(到達時間)である。
【0040】さらに、所定のマイク、仮にそれをマイク
0(m=0のマイク)とすると、そのマイク0で検出さ
れた音源sからの信号Y0(ω)(=H0,ss(ω))を基
準として、(12)式を次のように変形する。 Y'=H'X ・・・(23) ただし、H'は次式で表わされる。
【0041】
【数4】
【0042】(22)式を用いれば、上記(24)式中
における要素Hm,s/H0、sは、次式で表わすことができ
る。 Hm,s/H0、s=exp(jωΔτms) ・・・(25) ここで、Δτmsは次式で表わされる。 Δτms=τms−τ0,s ・・・(26)
【0043】すなわち、H'(伝達関数の比)は、音源
sの出力する信号のマイク0とマイクmへの到達時間の
差のみに依存する。従って、この時間差Δτmsを求める
ことにより、H'を求めることができる。
【0044】そこで次に、この時間差Δτmsを求める方
法について説明する。この時間差Δτmsは、音源の方向
を求めることにより求めることができる。
【0045】いま、各マイク間の距離よりも、各マイク
から音源までの距離が十分大きいものと仮定する。この
仮定のもとでは、時間差Δτmsは音源sの方向にのみ依
存するようになる。図3に示すように、原点に配置され
たマイク0から音源sの方向への単位ベクトルをBs
すると、次式が成立する。即ち、Δτmsは、ベクトルA
m tとBsの内積で表される。 Δτms=Am ts ・・・(27)
【0046】音源sの方向を求めるにはいくつかの方法
があるが、例えば、各方向における信号パワーの極大点
のサーチを行なうことで音源sの方向を検出することが
できる。即ち、いま、図3に示すように、xy平面内に
おけるx軸からの角度がθ1、かつ、xy平面に対する
角度がθ2である方向(θ12)に音源sがあると仮定し
て、マイク0乃至mの出力を、その時間差を合わせて加
算すると、次式で示される信号y(θ12)が得られ
る。
【0047】
【数5】
【0048】ここでS(θ12)は、方向(θ12)への
単位ベクトルであり、次式で表わされる。 S(θ12)=[cosθ2,cosθ1,cosθ2,sinθ1,sinθ2]・・・(29) このy(θ12)のパワー(強度)を検出し、その極大
値となる点を大きい順にS個取り、それを音源sの方向
とする。これにより、結局、H'の推定値を得ることが
できる。このH'は、音源推定誤差最小化部24に出力
される。
【0049】音源推定誤差最小化部24は、勾配法を用
いて(16)式の評価関数E1(X)(=||Y’−H’X|
|2)が小さくなるようなXの更新量dX1を求める。X
は複素数であるので、複素数の偏微分を考える必要があ
るが、振幅項と位相項とに分けて独立に偏微分を取る。
すなわち、Xは次式で表わされる。 X=[X0,X1,・・・,XS-1t ・・・(30)
【0050】そこで、上記式の各要素Xsを次式で表わ
すようにする。
【0051】
【数6】
【0052】そして次式に示すように、振幅rsと位相
φsとに分けて偏微分を行なう。
【0053】
【数7】
【0054】但し、H'は次式で定義される。 H'=[h0,h1,・・・,hs-1] ・・・(34)
【0055】偏微分して得られた値∂E(Y'|X)/∂r
sと∂E(Y'|X)/∂φsが、dX1として更新部26に
送られる。
【0056】一方、制約部25は、音源に関する制約を
与える。この実施例では、各音源sを無相関な信号とみ
なして、次式で示す相関行列Pが対角化されること(す
なわち、対角項以外が0になること)を制約条件とす
る。
【0057】
【数8】
【0058】ただし、上式で、xiの時間インデックス
は省略している。
【0059】xi(t)のサンプル系列をxi(k)で表し、
i(k)を次式のように定義する。 xi(k) =[xi(k),xi(k+1),xi(k+2),・・・,xi(k+(N−1))] ・・・(36)
【0060】このとき、制約は、次のように表わすこと
ができる。 Σxi t(k)xj(k)=0 ・・・(37) 但し、i≠jである。
【0061】いま、次の(38)式を定義すると、(3
9)式からdxi(k)を演算することができる。なお、
ε2は正の定数である。
【0062】
【数9】
【0063】xi(k)をdxi(k)ずつ更新していくこと
により、相関行列Pは対角化されていく。
【0064】上述の演算をフーリエ領域において行なう
こともできる。しかしながら、本実施例においては、制
約部25で、更新部26から送られてくるXの推定値を
フーリエ逆変換し、時間領域の推定値xiにしてから上
述の演算処理が行なわれる。
【0065】得られたdXi(k)はフーリエ変換され、
dX2として更新部26へ送られる。dX2はdX1と対
応させるため、フーリエ変換の振幅項と位相項に分解さ
れる。
【0066】更新部26は、音源推定誤差最小化部24
と制約部25からそれぞれ送られてくるdX1とdX2
用いて、次式に従ってXの推定値を更新していく。 X=X+dX1+dX2 ・・・(40)
【0067】そして、更新した推定値Xを、再び音源推
定誤差最小化部24と制約部25へ送り返す。音源推定
誤差最小化部24、制約部25および更新部26の更新
の処理は、それが収束するまで、あるいは所定の回数を
上限として繰り返される。繰り返し計算の結果が分離さ
れた音源の信号Xの推定値として出力される。
【0068】上述した行列方程式のXについての解を得
ることは、各音源の信号を独立に推定することに他なら
ない。そして、この音源には、抽出すべき音声信号の信
号源はもとより、雑音を発生する音源も信号源として含
まれているので、理論的には雑音と完全に分離した音声
信号を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明の音声信号推定装
置によれば、音源から検出手段までの伝達関数を推定
し、所定の制約条件を与えて、音源からの信号を推定す
るようにしたので、次のような効果を奏することができ
る。 (1)妨害音を分離して所望の信号だけを取りだすこと
ができる。 (2)従来の指向性マイクを用いる場合に比べて、理論
的に音源信号推定の効果が大きい。 (3)従来のWiener Filterなどを用いる場合に比較し
て、非定常な信号を扱うことができる。 (4)従来の適応信号処理のように、参照信号(妨害音
だけに関係する信号)を取りだす必要がないので、種々
の分野に適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音源信号推定装置の一実施例の構成を
示すブロック図である。
【図2】図1の実施例における信号検出部21のマイク
の配置を説明する図である。
【図3】図1の実施例における信号検出部21のマイク
と音源の位置を説明する図である。
【図4】従来の音源信号推定装置の一例の構成を示すブ
ロック図である。
【図5】従来の音源信号推定装置の他の例の構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 加算器 11 エンジン 12 ピックアップ 13 適応フィルタ 15 マイク 16 LMS回路 21 信号検出部 22 フーリエ変換部 23 伝達関数推定部 24 音源推定誤差最小化部 25 制約部 26 更新部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音源から発生した信号を検出する検出手
    段と、 前記検出手段の出力に対応して、前記音源から前記検出
    手段までの伝達関数を推定する推定手段と、 前記推定手段によって推定された伝達関数と、前記検出
    手段により検出された信号を用いて生成される音源推定
    信号の誤差を最小化する音源推定信号の更新値を生成す
    る誤差最小化手段と、 前記音源に関し制約条件を付加する制約手段と、 前記誤差最小化手段により生成された前記更新値と、前
    記制約手段により与えられた制約に対応して、音源推定
    信号を生成する生成手段とを備えることを特徴とする音
    源信号推定装置。
  2. 【請求項2】 前記検出手段により検出された信号をフ
    ーリエ変換する変換手段をさらに備えることを特徴とす
    る請求項1に記載の音源信号推定装置。
  3. 【請求項3】 前記制約条件は、各音源の発生する信号
    を無相関な信号とし、相関行列を対角化する条件である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の音源信号推
    定装置。
  4. 【請求項4】 前記誤差最小化手段は、勾配法を用いて
    前記音源推定信号の誤差を最小化することを特徴とする
    請求項1,2または3に記載の音源信号推定装置。
  5. 【請求項5】 前記推定手段は、前記伝達関数を、前記
    音源から前記検出手段までの距離を音速で割った値を含
    む関数としてモデル化することを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載の音源信号推定装置。
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