JPH06192031A - チタン材焼付用陶材組成物 - Google Patents

チタン材焼付用陶材組成物

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JPH06192031A
JPH06192031A JP4357826A JP35782692A JPH06192031A JP H06192031 A JPH06192031 A JP H06192031A JP 4357826 A JP4357826 A JP 4357826A JP 35782692 A JP35782692 A JP 35782692A JP H06192031 A JPH06192031 A JP H06192031A
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ceramic composition
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Tadao Kamiya
忠雄 神谷
Kiyoko Saka
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯冠修復に当たって物理的、化学的性質と生
体適合性に優れたチタン材焼付用陶材組成物を提供す
る。 【構成】 陶材組成物として、SiO2:71〜78
%、Al23:12〜17%、K2O:5〜8%、Na2
O:5〜8%、B23:2〜5%を必須成分とし、さら
に、BaF2:1.5〜5%及び/又はCaF2:1.0
〜3.0%含有させる。 【効果】 チタン材の熱膨張係数に比して若干低い範
囲内にあり、焼付焼成したときに陶材におけるクラック
の発生を防止することができ、チタン材が著しく酸化
する温度(900℃)より低い温度で融着できるため、
焼付強度が強く、口腔内に装着後、剥がれにくい。耐
酸性に優れ口腔内で安定である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科医療等に用いられ
る金属(チタン材)焼付用陶材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】歯冠修復材として最近用いられている金
属材料に、純チタンまたはチタン合金(以下、チタン材
と称する)がある。
【0003】チタン材は、比重が金属材料としては比較
的小さく、軽量で、生体に極めて安全であり、且つ、従
来の歯科貴金属材料(Au,Ag−Pd合金等)に比べ
て安価であるなど優れた性質を持っている。
【0004】このチタン材に陶材を焼付けて金属焼付陶
材冠とする場合、チタン材は一般の陶材焼付用金属と熱
膨張係数が異なるうえ、高温時(〜900℃)での酸化
が著しいため、900℃前後で焼付焼成する従来の金属
焼付用陶材では焼付かない。
【0005】このため、チタン材に焼付けるための陶材
組成物が、特開昭63−156036号公報に開示され
ている。
【0006】この組成物は、SiO2:45〜65重量
%,B23:2〜10%,Al23:10〜20%を必
須成分として含む他、Na2O,K2O,Li2Oよりな
る群から選択される1種以上を合計で7〜20%(但
し、個々には10%以下)含み、且つCaO,MgO,
BaOよりなる群から選択される1種以上を合計で1〜
5%(但し、個々には3%以下)含んでなることを特徴
とするものである。
【0007】この組成物では、上記組成によって陶材の
熱膨張係数をチタン材のそれに合わせて接着強度を改善
し、かつ上記アルカリ成分の添加によって軟化温度を下
げ、チタン材が酸化しにくい温度での焼付けを可能にし
たものである。
【0008】ここで、上記の軟化温度とは、除冷して作
製したガラス試料の熱膨張曲線上において、一般に屈服
点又は変形点として定義される点での温度を言う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、陶材の
軟化温度を低下させるための成分として、アルカリ成分
やB23を増やしたものは、耐酸性や耐水性及び焼付強
度が劣るという欠点があった。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、歯冠修復に当たって物理的、化学的性質と生体適
合性に優れたチタン材焼付用陶材組成物を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、陶材の
熱膨張係数がチタンのそれに比して若干低いある範囲に
収めるべく陶材組成を成分配合すること、チタンの酸
化が極めて少ない750℃前後で焼成焼付できる温度を
有する陶材の成分配合とすること、の2点より添加成分
について鋭意研究を行った結果、上記を満たす必須
成分としてフッ化物を見い出し、本発明に想到した。
【0012】すなわち、本発明のチタン材焼付用陶材組
成物では、SiO2:71〜78%(重量%、以下同
じ)、Al23:12〜17%、K2O:5〜8%、N
2O:5〜8%、B23:2〜5%を必須成分とし、
さらに、少なくとも1種のアルカリ土類金属のフッ化物
を含有することを特徴とする。
【0013】本発明のチタン材焼付用陶材組成物におい
て、SiO2,Al23,K2O,Na2O,B23は、
陶材のガラスを構成する基本的な成分であり、このうち
の1つを欠くことはできない。
【0014】上記成分において、SiO2の重量%を7
1〜78%に限定したのは、78%を越えるとガラスの
軟化温度が高くなりすぎ、71%未満だと耐酸、耐水性
が悪くなり好ましくないからである。
【0015】Al23は陶材の耐酸、耐水性を増すため
に配合するが、12〜17%に限定したのは、17%を
越えるとガラスの軟化温度が高くなりすぎ、12%未満
だと耐酸、耐水性の効果がなくなるためである。
【0016】K2O,Na2O,B23は、いずれもガラ
スの軟化温度を低下させる効果があり、低融点ガラスに
は必須の成分であるが、上記範囲に限定したのは、上記
範囲から外れると耐水性が悪くなるためである。
【0017】また、本発明のチタン材焼付用陶材組成物
においては、少なくとも1種のアルカリ土金属のフッ化
物が配合される。
【0018】フッ化物の配合はチタンとの焼付強度を増
大させるうえで効果がある。またフッ化物はガラスの軟
化温度を低下させるため、焼付温度をできるだけ低く設
定したいチタン用陶材として好都合である。一般にガラ
スの融点或いは軟化点を低下させるには、アルカリ成
分、B23等を配合することを行うが、これらの成分は
耐酸、耐水性に好ましい影響を与えない。
【0019】また、本発明のチタン材焼付用陶材組成物
に含有される少なくとも1種のアルカリ土類金属のフッ
化物としては、BaF2、CaF2がガラスの軟化温度を
下げると共に耐酸、耐水性を阻害せず、好適である。
【0020】これらのフッ化物の含有量としてはBaF
2が1.5〜5%、CaF2が1.0〜3.0%が好まし
い。BaF2は5%を、CaF2は3%を越えるとガラス
が白濁、失透するから好ましくない。またそれぞれ1.
5,1.0%未満だと焼付強度に効果がない。
【0021】上記組成を有するチタン材焼付用陶材組成
物では、熱膨張曲線の測定より軟化温度が550〜57
0℃であることが確認されており、これより高い温度、
例えば750℃で焼付焼成することによりチタン材と充
分に焼付く。
【0022】また、本発明のチタン材焼付用陶材組成物
の熱膨張係数αとしては、7.7〜8.3×10-6の範
囲が好ましい。この理由は、αが7.7×10-6未満で
は、焼付後に陶材側に大きな圧縮応力が加わってクラッ
クが発生し易くなり、一方、αが8.3×10-6を越え
ると、逆に引張応力が加わり少しの衝撃でもクラックが
発生し易くなるためである。
【0023】
【実施例】
(実施例1).チタン金属とのマッチング試験 純チタンを鋳造して単冠及び6本ブリッジの鋳造冠をつ
くり、これを粒度50μmのアルミナを用いてサンドブ
ラスト処理を行った。次いでこの処理物を炉に入れ、7
4mmHg(74Torr)の減圧下で500〜800
℃まで1分間50℃の昇温速度で加熱し800℃で3分
間保持した後、加熱を止め放冷した。加熱の目的はチタ
ン処理物の表面を少し酸化させて陶材との親和性を高め
るためである。この鋳造冠に表1に示す組成の陶材を厚
みが1mmになるよう築盛し、試験体とした。
【0024】
【表1】
【0025】上記試験体を、74mmHgの減圧に保ち
つつ、500から760℃まで1分間に50℃の昇温速
度で加熱し、760℃に達したら加熱を止め、このまま
炉中で冷却後、陶材のクラックの有無を目視により調べ
た。結果を陶材の熱膨張係数と共に表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】上記結果より、実験例1〜3の陶材を用い
たものでは、熱膨張係数がチタンのそれに比して若干低
いある範囲にあり、単冠、6本ブリッジ共にクラックが
発生しないことが判明した。
【0028】また、比較例2のように熱膨張係数がチタ
ンのそれと非常に接近している場合や、逆に比較例1の
ように熱膨張係数が離れている場合には、クラックが発
生することが分かった。
【0029】(実施例2).焼付強度試験 寸法が6mm×30mm×0.5mmのチタン圧延板を
粒度が50μmのアルミナでサンドブラスト処理を行
い、その後500℃から800℃まで1分間に50℃の
昇温速度で加熱し、800℃で3分間保持した。この間
74mmHgの減圧に保った。このチタン板に厚みが
1.0mmになるよう表1に示した組成の陶材を塗布
し、乾燥後500℃から760℃まで1分間50℃の昇
温速度で加熱し(74mmHg減圧下)チタンと陶材を
焼付けた。
【0030】上記試料につき3点曲げ試験により焼付強
度を測定した。強度の測定は支点間20mmで陶材側よ
り荷重をかけ陶材が剥離した点を焼付強度とした。結果
を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】上記結果より、実験例1〜3の陶材を用い
た試験体の強度は、比較例1〜3の陶材を用いた試験体
の強度より優れていることが判明した。
【0033】(実施例3).耐酸性試験 表1に示した試験陶材粉末を2×10φに成形し、50
0℃〜760℃まで1分間50℃の昇温速度で加熱し
(74mmHg減圧下)焼結した試料の片面を#200
0のエメリーペーパーで研磨したものを試験体とした。
【0034】・測定方法(1) 塩酸5%溶液中に試験体を浸漬し80℃の恒温浴槽内で
6日間浸漬して試験前と浸漬後の重量減を測定した。
【0035】・測定方法(2)光沢度:酸に浸漬前の光
沢度を100%としたときの試験後の光沢度をJIS
Z2741準拠し、測定した。これらの結果を表4に示
す。
【0036】
【表4】
【0037】上記結果より、実験例1〜3のものでは、
重量減が少なく、光沢度にも優れており、比較例のもの
に比べて耐酸性に優れていることが判明した。
【0038】
【発明の効果】本発明のチタン材焼付用陶材組成物で
は、以下の効果を奏する。
【0039】チタン材の熱膨張係数に比して若干低い
範囲内にあるため、焼付焼成したときに陶材におけるク
ラックの発生を防止することができる。
【0040】チタン材が著しく酸化する温度(900
℃)より低い温度で融着できるため、焼付強度が強く、
口腔内に装着後、剥がれにくい。
【0041】750℃前後で焼成焼付できる低融陶材
にも拘らず、耐酸性に優れ口腔内で安定である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2:71〜78%(重量%、以下同
    じ)、Al23:12〜17%、K2O:5〜8%、N
    2O:5〜8%、B23:2〜5%を必須成分とし、
    さらに、少なくとも1種のアルカリ土類金属のフッ化物
    を含有することを特徴とするチタン材焼付用陶材組成
    物。
  2. 【請求項2】上記アルカリ土類金属のフッ化物として、
    BaF2:1.5〜5%及び/又はCaF2:1.0〜
    3.0%含有することを特徴とする請求項1記載のチタ
    ン材焼付用陶材組成物。
  3. 【請求項3】熱膨張係数が7.7〜8.3×10-6の範
    囲内にあることを特徴とする請求項1または2記載のチ
    タン材焼付用陶材組成物。
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