JPH0618933Y2 - プラスチック製の容器の液体小出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、容器内に収納した液体をポンプ作用により受
け皿に少量ずつ汲み出して使用することができるように
したプラスチック製の容器の液体小出し装置に関する。

従来の技術 従来のこの種の装置としては、例えば、実開昭５１−１
７１５６号に記載されているように、底部に逆止弁付き
の吸い込み口を有すると共に上部に容器取付部を有する
外部シリンダーに、底部に吸い込み口を有すると共に頂
部に吸い上げられた液体を溜める受け皿を有する内部ピ
ストンを、ばね弾性部材を介して上下動自在に嵌合した
容器の液体小出し装置は知られているが、これら装置
は、シリンダー部とピストン部、及びピストンと取付ね
じとの間に隙間があると液漏れが生じるから、液体が漏
れ出さないように密着した状態に構成されており、且つ
密着した状態に組み立てる必要があるため、全体が加工
精度の高く重量が大きい金属で製作されていた。

考案が解決しようとする問題点 従来の金属製の装置は、先ず加工が困難を伴うから高価
であり、重量も大きくなり、且つポンプ作動用のばね弾
性部材もそれだけ強力なものが必要とされ、また、ピス
トン部をシリンダー部に取り付ける取付構造も密封性が
高いので組立て取り外しが面倒な問題があった。

問題点を解決するための手段 そこで本考案は、底部に逆止弁付きの吸い込み口３を有
すると共に上部に容器取付部を有するプラスチック製の
外部シリンダー１に、底部に吸い込み口１１を有すると
共に頂部に吸い上げられた液体を溜める受け皿１３を有
するプラスチック製の内部ピストン１０を、ばね弾性部
材３０を介して上下動自在に嵌合した容器の液体小出し
装置において、外部シリンダー１に内部ピストン１０を
緩く嵌合することによって、内部ピストン１０のピスト
ン部８と該ピストン部８が上下動する外部シリンダー１
の内壁との間にポンプ圧で液体がピストン部８の上方に
上がり得る嵌合隙間２７を設ける一方、外部シリンダー
１の上方に容器取付部との間に外気との通気隙間１９を
有する大径のシリンダー大筒部２６を設け、該シリンダ
ー大筒部２６に、内部ピストン１０の上部に設けたピス
トン部８より大径のフランジ部１２を隙間を介して上下
動自在に緩く嵌合すると共に、該シリンダー大筒部２６
の下方に内部ピストン１０のピストン部８の上部位置よ
り上方に位置して液戻し孔２５を設けたことを特徴とす
るプラスチック製の容器の液体小出し装置を提供しよう
とするものである。

作用 上記の構成を有する本考案のプラスチック製の容器の液
体小出し装置では、容器に取付けた外部シリンダー１に
対して内部ピストン１０を緩く嵌合してあり、ポンプ圧
で液体がピストン部８の上方に上がることによって、内
部ピストン１０のピストン部８が上下動する外部シリン
ダー１の内壁との間の嵌合隙間２７を充填し密封するか
ら、該液体が、ポンプ作用時の液密性を維持すると共
に、上下動作用時の潤滑性を発揮し、ピストン作動が確
実で円滑にできることとなる。また、液密機能と潤滑機
能を果たした後、ポンプ圧でピストン部８の上方に上が
った前記余分な液体は、外部シリンダー１の上方に設け
た大径のシリンダー大筒部２６内に溜められ、同時に、
該シリンダー大筒部２６の下方であって内部ピストン１
０のピストン部８の上部位置より上方に位置して設けた
液戻し孔２５から、ピストン部８の作動に邪魔されるこ
となく、常時、容器内に回収され、容器外部への流出が
防止される作用があり、また、ピストン部８の上部位置
とその上方に位置して設けた液戻し孔２５との間に溜ま
った液体は、ピストン部８と外部シリンダー１の内壁と
の間の嵌合隙間２７を通って容器内に逆流し収納される
こととなり、液戻し孔２５の設置位置を高く設定するこ
とができるから、それだけ容器の液体収納量を増大する
ことができる。また、従来の外部シリンダー１に対して
内部ピストン１０を密封状態で嵌合した高い加工精度を
要求される金属加工による重く精巧な装置に対し、内部
ピストンと外部シリンダー内壁との厳密な密着も必要で
なく、隙間を介して設けることができ、それゆえ、外部
シリンダーや内部ピストンの加工寸法的にも自由度が大
きく、プラスチック成形加工で簡単に製作でき、軽量
で、ポンプ作動用のばね弾性部材も比較的強度の弱いも
のを使用でき、ポンプ作動が軽快にできる作用がある。

実施例 以下図示する実施例により、本考案装置を詳細に説明す
ると、１はプラスチック製の一体成形品からなる外部シ
リンダーで、底部に逆止弁としての球体２を有する吸い
込み口３を有し、吸い込み口３には延長管４を適宜連結
し得るように設けてある。外部シリンダー１の上部には
容器２０のキャップ２１の取付孔２２を貫通して突出す
る外ねじ部６と、キャップ２１の裏面に当接する鍔状部
５とが設けてあり、これら鍔状部５及び外ねじ部６に対
応するシリンダー内壁は段部７を介して大径のシリンダ
ー大筒部２６を形成している。１０は外部シリンダー１
にポンプ圧で液体が上方に流動し得る嵌合隙間２７を介
して緩く嵌合するピストン部８を有するプラスチック製
の一体成形品からなる内部ピストンで、底部に逆止弁と
して作用する球体９を有する吸い込み口１１を具備して
いる。内部ピストン１０の底部と外部シリンダー１の底
部との間には弾発力を付与したばね弾性部材３０が伸縮
自在に設けてある。内部ピストン１０の上部には前記シ
リンダー内壁の大径状のシリンダー大筒部２６に緩く嵌
合するフランジ部１２が設けてあり、フランジ部１２の
上部には、汲み上げた液を溜める受け皿１３を一体に具
備する装着筒部１４が嵌着してある。受け皿１３には内
部ピストン１０の内管に連通する連通孔１５と、該連通
孔１５の上面に位置する円形の受け板１６が設けてあ
り、受け板１６は連通孔１５の縁に１２０°間隔に一体
に設けた３個の固定脚１７で液出し孔を構成して連結し
てあり、プラスチック製の一体成形により該固定脚１７
を細く構成することができるから、それだけ汲みだし量
を多くすることが可能である。１８は前記外部シリンダ
ー１の鍔状部５との間でキャップ２１を挟持して外部シ
リンダー１を取り付けるプラスチック製の取付ねじで、
前記取付孔２２から突出する外ねじ部６に螺合すると共
に、前記シリンダー大筒部２６内に挿通する内管部を一
体に具備し、該内管部は前記内部ピストン１０のフラン
ジ部１２の上面に当接すると共に、受け皿１３の装着筒
部１４との間に通気隙間１９ができるように相対して設
けてある。そして、図示の如く、外部シリンダー１に
は、内部ピストン１０のピストン部８の上部位置より上
方に位置して液戻し孔２５が設けてある。

その他、２３は受け皿１３を覆うカバー体である。

上記の実施例の構成において、カバー体２３を外して、
受け皿１３を押し込むと、内部ピストン１０がばね弾性
部材３０のばね力に抗して外部シリンダー１の下方に移
動し、フランジ部１２が段部７に当接する位置で停止す
るから、ここで、手を離すと、ばね弾性部材３０により
内部ピストン１０は押し上げられ、同時に吸い込み口３
から液が外部シリンダー１内に入り、ポンプ圧で液体が
ピストン部８の上方に上がることによって、内部ピスト
ン１０のピストン部８が上下動する外部シリンダー１の
内壁との間の嵌合隙間２７を充填し密封するから、該液
体が、ポンプ作用時の液密性を維持すると共に、上下動
作用時の潤滑性を発揮し、ピストン作動が確実で円滑な
吸い上げができることとなる。この動作を繰り返すと、
ポンプ作用により、液は内部ピストン１０の内管を通っ
て受け皿１３に達し、所定の液量が溜まったところで、
手を離しても逆止弁としての球体２，９により、液は受
け皿１３内に留まることとなる。

このとき、ポンプ圧で液体がシリンダー内壁とピストン
部８との嵌合隙間２７から上方に上がっても、ピストン
部８の上方への移動によりシリンダー大筒部２６に溜ま
り、液戻し孔２５から容器内に還流すると同時に、シリ
ンダー上部のシリンダー大筒部２６とフランジ部１２、
取付ねじ１８の内管部と受け皿１３の装着筒部１４との
間の通気隙間１９により、液が重力によって液戻し孔２
５と嵌合隙間２７から自然に容器内に戻り、外に漏れ出
ることがなくなり、従って、液戻し孔２５を高い位置に
設けることができるから、容器内への液体の収納量を増
大でき、また、内部ピストンとシリンダー内壁との厳密
な密着も必要でなく、隙間を介して設けることができ、
それゆえに、外部シリンダーや内部ピストンの加工寸法
的にも自由度が大きく、プラスチック成形加工で簡単に
製作でき、軽量で安価な装置が提供できると共に、ポン
プ作動用のばね弾性部材も比較的強度の弱いものを使用
でき、従って、ポンプ作動が軽快にでき、更に、受け皿
もプラスチック製で吸い上げ孔等も広く自由に加工する
ことができ、更に、容器のキャップに装置を装着するに
は、外部シリンダーの鍔状部５をキャップ２１の裏面に
あて、キャップの取付孔２２から上方に突出する外ねじ
部６に取付ねじ１８を螺合すれば良いから、そのキャッ
プへの取り付け取り外しは極めて容易であり、交換使用
が簡単にできると共に、延長管４を適宜に連結すること
により、大口で深底のプラスチック製容器にも簡単に適
用できる。

効果 以上の通り、本考案に係るプラスチック製の容器の液体
小出し装置によれば、底部に逆止弁付きの吸い込み口３
を有すると共に上部に容器取付部を有するプラスチック
製の外部シリンダー１に、底部に吸い込み口１１を有す
ると共に頂部に吸い上げられた液体を溜める受け皿１３
を有するプラスチック製の内部ピストン１０を、ばね弾
性部材３０を介して上下動自在に嵌合した容器の液体小
出し装置において、外部シリンダー１に内部ピストン１
０を緩く嵌合することによって、内部ピストン１０のピ
ストン部８と該ピストン部８が上下動する外部シリンダ
ー１の内壁との間にポンプ圧で液体がピストン部８の上
方に上がり得る嵌合隙間２７を設ける一方、外部シリン
ダー１の上方に容器取付部との間に外気との通気隙間１
９を有する大径のシリンダー大筒部２６を設け、該シリ
ンダー大筒部２６に、内部ピストン１０の上部に設けた
ピストン部８より大径のフランジ部１２を隙間を介して
上下動自在に緩く嵌合すると共に、該シリンダー大筒部
２６の下方に内部ピストン１０のピストン部８の上部位
置より上方に位置して液戻し孔２５を設けた構成を有す
ることにより、容器に取付けた外部シリンダー１に対し
て内部ピストン１０を緩く嵌合してあり、ポンプ圧で液
体がピストン部８の上方に上がることによって、内部ピ
ストン１０のピストン部８が上下動する外部シリンダー
１の内壁との間の嵌合隙間２７を充填し密封するから、
該液体が、ポンプ作用時の液密性を維持すると共に、上
下動作用時の潤滑性を発揮し、ピストン作動が確実で円
滑な液体小出し装置を提供する効果があり、且つ、液密
機能と潤滑機能を果たした後、ポンプ圧でピストン部８
の上方に上がった前記余分な液体は、外部シリンダー１
の上方に設けた大径のシリンダー大筒部２６内に溜めら
れ、同時に、該シリンダー大筒部２６の下方であって内
部ピストン１０のピストン部８の上部位置より上方に位
置して設けた液戻し孔２５から、ピストン部８の作動に
邪魔されることなく、常時、容器内に回収され、容器外
部への流出が防止される作用、効果があり、また、ピス
トン部８の上部位置とその上方に位置して設けた液戻し
孔２５との間に溜まった液体は、ピストン部８と外部シ
リンダー１の内壁との間の前記嵌合隙間２７を通って容
器内に逆流し収納されるから、液戻し孔２５の設置位置
を高く設定することができることとなり、それだけ容器
の液体収納量を増大することができる効果があり、ま
た、従来の外部シリンダー１に対して内部ピストン１０
を密封状態で嵌合した高い加工精度を要求される金属加
工による重く精巧な装置に対し、内部ピストンと外部シ
リンダー内壁との厳密な密着も必要でなく、隙間を介し
て設けることができ、それゆえ、外部シリンダーや内部
ピストンの加工寸法的にも自由度が大きく、プラスチッ
ク成形加工で簡単に製作でき、軽量で安価な装置が提供
できると共に、ポンプ作動用のばね弾性部材も比較的強
度の弱いものを使用でき、ポンプ作動が軽快にできる液
体小出し装置を提供することができる優れた効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案装置の一実施例の要部を縦断して示す中央縦
断正面図である。 １……外部シリンダー ２……球体（逆止弁） ３……吸い込み口 ４……延長管 ５……鍔状部 ６……外ねじ部 ８……ピストン部 １０……内部ピストン １１……吸い込み口 １２……フランジ部 １３……受け皿 １８……取付ねじ １９……通気隙間 ２０……容器 ２１……キャップ ２２……取付孔 ２３……カバー体 ２５……液戻し孔 ２６……シリンダー大筒部 ２７……嵌合隙間 ３０……ばね弾性部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】底部に逆止弁付きの吸い込み口３を有する
   と共に上部に容器取付部を有するプラスチック製の外部
   シリンダー１に、底部に吸い込み口１１を有すると共に
   頂部に吸い上げられた液体を溜める受け皿１３を有する
   プラスチック製の内部ピストン１０を、ばね弾性部材３
   ０を介して上下動自在に嵌合した容器の液体小出し装置
   において、外部シリンダー１に内部ピストン１０を緩く
   嵌合することによって、内部ピストン１０のピストン部
   ８と該ピストン部８が上下動する外部シリンダー１の内
   壁との間にポンプ圧で液体がピストン部８の上方に上が
   り得る嵌合隙間２７を設ける一方、外部シリンダー１の
   上方に容器取付部との間に外気との通気隙間１９を有す
   る大径のシリンダー大筒部２６を設け、該シリンダー大
   筒部２６に、内部ピストン１０の上部に設けたピストン
   部８より大径のフランジ部１２を隙間を介して上下動自
   在に緩く嵌合すると共に、該シリンダー大筒部２６の下
   方に内部ピストン１０のピストン部８の上部位置より上
   方に位置して液戻し孔２５を設けたことを特徴とするプ
   ラスチック製の容器の液体小出し装置