JPH0618582Y2 - 凝固装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、粒状の高分子溶液の凝固装置に関する。

従来の技術 近年、酵素、微生物などの生体触媒を固定化して、その
機能を効率よく利用する研究が行なわれ、一部実用化さ
れている。

生体触媒を固定化する方法の一つに、高分子素材を用い
て生体触媒をそのまま包み込む包括固定化法があり、こ
の方法によく用いられる高分子素材として、寒天、アル
ギン酸塩、カラギーナン、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルアルコール、光硬化性樹脂等がある。固定化担体の
形状としては、活性表面が広くとれる点、流動性や充填
効果が良い点および取り扱いの容易さから、球体である
ことが望ましい。球状成形物を得る方法としては、高分
子溶液を凝固液に滴下させる方法が知られている。

考案が解決しようとする問題点 高分子溶液を凝固液に滴下する場合、滴下物どうしの膠
着を防止するために凝固液を流動させる必要があり、同
時に、均一な物性の球状成形物を得るために、滴下物の
凝固液への滞留時間を制御する必要がある。

静止した凝固液中に高分子溶液を滴下させた場合、滴下
量が多くなると滴下物どうしの膠着が生じてくる。凝固
液を機械的に撹拌すれば、滴下物どうしの膠着は防止で
きるが、滴下物の滞留時間を一定にすることはできな
い。

課題を解決するための手段 凝固装置として、多段式の凝固槽を用いることにより、
上記の問題を解決できることを見い出し、本考案を完成
させるに到つた。

凝固液を一定の流速で流し、滴下物を凝固液とともに移
動させれば、凝固液の流速の調整により、滴下物の滞留
時間を制御できる。しかし、滞留時間を長くとることが
必要な場合には、単に凝固槽を長くしたり、流速を遅く
しただけでは、水流が凝固槽全体で均一にすることがで
きず、滴下物を水流とともに移動させることが困難であ
る。したがつて、第１図に示したような多段式の凝固槽
を用いれば、水流を均一にすることができる。９の凝固
槽内の勾配としては３度以上50度以下、好ましくは５度
以上30度以下が良い。また凝固槽の形状については特に
制限はなく、第３図および第４図に示すようなものも用
いることができる。さらに長い滞留時間を必要とする場
合は、段の数を増やせばよい。

実施例 図面に基づいて説明する。２に0.5mol／の塩化カルシ
ウム水溶液を入れ、３のポンプで循環させた。７のバル
ブで凝固液の流量を調整した。６の吐出口から凝固液が
吐出され、１のノズルから滴下した4%アルギン酸ナトリ
ウム水溶液は球状にゲル化する。この球状成形物は凝固
液とともに、とともに４のベルトコンベアまで移動す
る。ここで球状成形物は、凝固液と分離され、ベルトコ
ンベアで移動する。凝固液は８の凝固液回収槽に入り、
２の凝固液貯蔵槽へ戻る。

滞留時間を一定にすることができるため、均一な粒径、
均一な強度の球状ゲルが得られた。

考案の効果 本考案により、球状の固定化成形物を大量かつ容易に製
造することが可能となり、固定化生体触媒による生体反
応の実用化が促進される。

【図面の簡単な説明】

第１図は凝固装置の側面図である。 第２図は凝固装置のうち、５の多段式凝固槽および６の
凝固液吐出口の側面図の拡大図である。 第３図および第４図は凝固装置のうち、５の多段式凝固
槽および６の凝固液吐出口の第２図以外の例示である。 １……滴下ノズル、 ２……凝固液貯蔵槽、 ３……ポンプ、 ４……網状ベルトコンベア、 ５……多段式凝固槽、 ６……凝固液吐出口、 ７……流量調節用バルブ、 ８……凝固液回収槽、 ９……凝固層の勾配。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】多段式凝固槽からなることを特徴とする粒
   状の高分子溶液の凝固装置。
2. 【請求項２】粒状の高分子溶液が生体触媒を含有する粒
   状の高分子溶液である請求項１記載の凝固装置。
3. 【請求項３】球状の高分子含水ゲルを製造するための多
   段式凝固槽からなることを特徴とする凝固装置。