JPH06184976A - 抄紙機用の分割ベルト型サクション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、幾条かの分割ベルトを並列懸張し
て所要巾を得るサクションベルトを採用することによ
り、従来の単体サクションベルトの１／４以下の低価格
で市場提供できて、しかも一部分の損傷時には該当部分
のみ交換で修復できる。 【構成】 紙匹構成用の毛布（ワイヤ）１９を受けるサ
クションベルト１２をロール２，３により駆動してサク
ションボックス１上を走行させ、前記毛布（ワイヤ）１
９に乗る紙料から搾水させる製紙機用サクション装置に
おいて、前記サクションベルト１２を幾条かに区分した
分割構成とし、これら分割ベルト１２ａ〜１２ｅを前記
ロール２，３へ並列懸張して連動回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、抄紙機用の分割ベルト
型サクション装置。詳しくはサクションベルトを幾条か
に区分した分割構成としてロールへ並列懸張することに
より、サクションベルトの価格を従来の単体サクション
ベルトの１／４以下に低減させ得て、しかも、損傷の際
は該当部分の一部交換のみで修復できるため極めて経済
的な製紙機用サクション装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、抄紙機用のサクション装置は、図
８に示す様に紙匹構成用の毛布（ワイヤ）２１を受ける
サクションベルト２２を駆動と従動のロール２３と２４
に懸張して、サクションボックス２５上を走行させ、前
記毛布（ワイヤ）２１に乗る紙料から搾水させるもの
で、サクションベルト２２は、図９及び図１０に示すよ
うな長溝２６の底に所定間隔で吸引孔２７を設けた特殊
構造で、巾、長さ共に４ｍにも及ぶ大型のものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した従来の単体サ
クションベルトは、国内では生産されていないため輸入
に頼っている現状で、その価格は千万円台の極めて高価
なものであり、しかもその一部分に損傷を生じてもベル
ト全体が廃品になってしまうという大きな問題点があ
る。

【０００４】本発明は、この現状にかんがみなされたも
ので、幾条かの分割ベルトをロールに並列懸張して所要
巾を得るサクションベルトを採用することにより、従来
の単体サクションベルトの１／４以下の低価格で市場提
供でき、しかも一部分の損傷時には該当部分のみ交換で
修復できるため極めて経済的な製紙用サクション装置を
提供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、紙匹構成用の
毛布（ワイヤ）を受けるサクションベルトをロールによ
り駆動してサクションボックス上を走行させ、前記毛布
（ワイヤ）に乗る紙料から搾水させる製紙機用サクショ
ン装置において、前記サクションベルトを幾条かに区分
した分割構成とし、これら分割ベルトを前記ロールへ並
列懸張して連動回転させる構成により課題の解決を行う
ものである。

【０００６】

【作用】前記構成を有する本発明の抄紙機用の分割ベル
ト型サクション装置は、所要巾を幾条かに区分形成した
分割ベルトを図１に示す様に駆動と従動のロールへ並列
懸張すれば、各ベルトは端縁を接してあたかも単一のサ
クションベルトのようになり、その上に紙料が乗る毛布
（ワイヤ）を受けてサクションボックスの上を走行し、
サクションボックスの吸引力をその吸引孔と毛布（ワイ
ヤ）とを通して紙料に作用させるため、紙料からの搾水
が単体のサクションベルトと同様に行われるものであ
る。

【０００７】又、このサクション装置は、分割ベルトの
一部に損傷が生じた場合は、損傷個所のある分割ベルト
を取り外し、これを新しい分割ベルトに交換すれば、他
の分割ベルトはそのままで使用して所期のサクション能
力を得ることができるため、交換費用はベルトの分割数
分の一という僅かな金額で足りるものである。

【０００８】

【実施例】以下に本発明に係る抄紙機用の分割ベルト型
サクション装置の実施例を図面に基いて説明する。

【０００９】図１は同上分割ベルト型サクション装置の
サクションベルトの一部分を破断して示す平面図。図２
は同上装置の側面図。図３は同上装置のサクションボッ
クスの構成を一部分を省略して示す拡大縦断側面図。図
４は同上装置のサクションベルトの継目部を吸引力によ
り安定させる状態を示す一部分の拡大縦断正面図。図５
は同上装置のサクションベルトの外端シール状態を示す
一部分の拡大縦断正面図。図６は同上装置に用いたサク
ションベルトの構成の一例を示す一部分の平面図。図７
は同上の縦断正面図。図８は従来の抄紙機用のサクショ
ン装置を示す斜視図。図９は同上装置に用いたサクショ
ンベルトの構成を示す一部分の平面図。図１０は同上の
縦断正面図である。

【００１０】前記実施例に於て１はサクションボックス
で、図１及び図２に示す通り駆動ロール２と従動ロール
３の間に配設して、その一側下部に図１に点線で示すよ
うに吸引管４を接続し、上部の開口には図１に一部の平
面を、図４と図５に一部の正面を示すように多数の給水
筐５を受板６に支持させて一定間隔で並設し、これら給
水筐５の上に後記するサクションベルトを図４及び図５
に示すように受けさせ、このサクションベルトへ前記隙
間から吸引力が作用するようにすると共に、前記給水筐
５のそれぞれを図３に示すように通孔７によりサクショ
ンボックス１の後側（前側でも可）に並設した送水路８
と連通させ、該送水路８から圧力水を供給してこれを給
水筐５の上面に設けた噴出孔９から噴出させ、給水筐５
とサクションベルトとの間に潤滑水膜を形成させるよう
にしてある。

【００１１】１０は前記給水筐５の抑え部材で、図３に
示すように受板６の前後ヘねじ１１止めし、このねじ１
１を緩めると給水筐５を自由に移動させて、各々の間隔
を後記する分割型サクションベルトの吸引孔及び分割ベ
ルトの継目部へ合わせることができ、合わせた後に前記
ねじ１１を締めると給水筐５を固定することができるよ
うにしてある。

【００１２】１２ａ〜１２ｅは、所定巾を幾条かに区分
した小巾に形成した分割ベルトで、表面に図７に示すよ
うに一定間隔で凸条１３と凹条１４を並設し、各凹条１
４の部分に前記サクションボックス１内に設けた各給水
筐５の間隔に一致する吸引孔１５を図６のように千鳥配
列で設けることにより、伝動用やコンベア用のベルトを
製造する装置により容易に製造できるようにしたもの
で、これら分割ベルト１２ａ〜１２ｅは前記した駆動ロ
ール２と従動ロール３へ図１に示すように所要巾が得ら
れる本数を並列懸張してサクションベルト１２を構成さ
せ、駆動ロール２により連動回転させて従来の単体サク
ションベルトと同様のサクション機能を発揮させるよう
にしてある。

【００１３】尚、前記した分割ベルト１２ａ〜１２ｅ
は、各々の継目となる端縁の部分を前記した給水筐５の
位置調整によって給水筐５の間隔に一致させ、分割ベル
ト１２ａ〜１２ｅの継目の部分に吸引力を作用させて、
継目部を給水筐５の上面へ引き付けさせ、この部分が他
の部分と同様に平面を保つようにする。

【００１４】１６は前記のようにロール２と３に並列懸
張した分割ベルト１２ａ〜１２ｅの戻り側に係合させた
回転同調車で、その表面に分割ベルト１２ａ〜１２ｅの
凸条１３と凹条１４とに適合する凹凸条を設け、これら
凹凸条をベルトの凸条１３と凹条１４とに噛み合させる
ことにより、分割ベルト１２ａ〜１２ｅの回転を同調さ
せ、例えベルト１２ａ〜１２ｅと駆動ロール２とにスリ
ップが生じても、各分割ベルト１２ａ〜１２ｅの連動回
転が乱れないようにしてある。

【００１５】１７は両端の分割ベルト１２ａと１２ｅの
外側に添えた補助ベルトで、分割ベルト１２ａと１２ｅ
の凹条１４の外端が開放する場合、この開放部を塞がせ
てここから外気が吸引されるためサクションロスが発生
することを防止するもので、分割ベルトと同様に表面に
凸条１３と凹条１４とを有するベルトを裏返しに使って
その外端を後記するガイドバーにより塞がせる構成か、
又は通常の平ベルト（図面省略）を用いて凹条１０の外
端を塞がせる構成などを用いる。しかし、この補助ベル
ト１７は、分割サクションベルト１２ａと１２ｅを凸条
１３の外端が閉じるように形成する場合は必要としない
ものである。

【００１６】１８は前記した分割ベルト１２ａ〜１２ｅ
が常に所定巾を保って回転するように案内させるガイド
バーで、補助ベルト１７を用いる場合はこのベルト１７
の外縁に、用いない場合は外端の分割サクションベルト
１２ａと１２ｅの外縁に接しさせて、前記した巾保持の
機能を果たさせる。

【００１７】１９は抄紙機における紙匹構成用の毛布
（ワイヤ）で、その上に公知のフローボックス（図面省
略）から平均に紙料を流布されて、図４、図５に示すよ
うに前記サクションボックス１の上へ達すると、分割ベ
ルト１２ａ〜１２ｅに乗ってサクションボックス１の上
を通過し、サクションベルト１２ａ〜１２ｅの吸引孔１
５とこの毛布（ワイヤ）を介して紙料に吸引力が働くた
め、紙料中の余剰水を搾り取られてその上に紙匹２０を
形成させるものである。

【００１８】前記実施例に示す抄紙機用の分割ベルト型
サクション装置は、分割ベルト１２ａ〜１２ｅとして市
販のタイミングベルトの４００ｍｍ巾のものを用い、こ
れに前記した条件で吸引孔１５を開けて、これら分割ベ
ルト１２ａ〜１２ｅを駆動ロール２と従動ロール３とに
並列懸張してサクションベルト１２を構成し、このサク
ションベルト１２の巾をガイドバー１４により保持させ
て、その上に紙料が乗った毛布（ワイヤ）１９を受けさ
せ、駆動ロール２と同調車１６とにり連動回転させてサ
クションボックス１上を走行させてサクションする試験
運転を行った。

【００１９】その結果、分割ベルト型のサクションベル
ト１２によっても従来の単体サクションベルトと同様の
搾水能力が得られることが確認され、しかもこのように
市販のタイミングベルトを利用した分割型サクションベ
ルト１２は、従来の単体サクションベルトに比べて価格
は１／１０以下と極めて低廉なものであった。

【００２０】しかし、前記は試験運転は機能確認のため
に短時間行ったに過ぎないので、長期間の連続操業に於
ては、ベルトの材質、構成、その他を改善した特殊仕様
のベルトを製作してこれに耐えるようにする必要がある
と考えられ、このため特殊仕様のベルトの価格が仮に市
販タイミングベルトの２．５倍であったとしても、分割
型サクションベルトは、従来の単体サクションベルトに
比べて１／４程度の低価格で市場提供できることにな
る。

【００２１】又、この分割ベルト型のサクションベルト
は、いずれかの分割ベルトの一部に損傷が生ずれば、該
当する分割ベルトを外して新しいものと交換すれば、他
の分割ベルトはその使用して所期のサクション機能が得
られるため、交換に要する費用はベルトの分割数分の一
という僅かな金額で足りることになる。

【００２２】

【発明の効果】前述した通り本発明に係る抄紙機用の分
割ベルト型のサクション装置は、所要巾を幾条かに区分
した分割ベルトをロールへ並列懸張してサクションベル
トを構成させるから、従来の単体サクションベルトの１
／４以下の低価格で市場提供することが可能で、しかも
一部損傷の際は、損傷した分割ベルトを交換するだけで
他の分割ベルトは継続使用して機能を回復させ得るの
で、ベルト交換に要する費用はベルトの分割数分の一の
僅かな金額で足りることになり、本発明が製紙業界にも
たらす経済的効果は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る抄紙機用の分割ベルト型サクショ
ン装置の一部分を破断して示す平面図である。

【図２】同上装置の側面図である。

【図３】同上装置のサクションボックスの構成を一部分
を省略して示す拡大縦断側面図である。

【図４】同上装置のサクションベルトの継目部を吸引力
で安定させる状態を示す一部分の拡大縦断正面図であ
る。

【図５】同上装置のサクションベルトの外端のシール状
態を示す一部分の拡大縦断正面図である。

【図６】同上装置に用いたサクションベルトの構成の一
例を示す一部分の拡大平面図である。

【図７】同上の縦断正面図である。

【図８】従来の抄紙機用のサクション装置を示す斜視図
である。

【図９】同上装置に用いたサクションベルトの構成の一
例を示す一部分の拡大平面図である。

【図１０】同上の縦断正面図である。

【符号の説明】

１ サクションボックス ２と３ ロール １２ａ〜１２ｅ 分割ベルト １２ 分割型サクションベルト １９ 毛布（ワイヤ） ２０ 紙匹

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 紙匹構成用の毛布（ワイヤ）を受けるサ
   クションベルトをロールにより駆動してサクションボッ
   クス上を走行させ、前記毛布（ワイヤ）に乗る紙料から
   搾水させる製紙機用サクション装置において、前記サク
   ションベルトを幾条かに区分した分割構成とし、これら
   分割ベルトを前記ロールへ並列懸張して連動回転させる
   ことを特徴とした抄紙機用の分割ベルト型サクション装
   置。