JPH06157300A - 光障害予防剤 - Google Patents

光障害予防剤

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JPH06157300A
JPH06157300A JP4320989A JP32098992A JPH06157300A JP H06157300 A JPH06157300 A JP H06157300A JP 4320989 A JP4320989 A JP 4320989A JP 32098992 A JP32098992 A JP 32098992A JP H06157300 A JPH06157300 A JP H06157300A
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light
skin
hydrocarbon
naphthalene
preventive
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JP4320989A
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Masao Nanbu
昌生 南部
Junichi Kubo
純一 久保
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ベンゼン環を少なくとも1個含み、かつ縮合
環水素化物相当の4〜8員環を含む2環及び/又は3環
のヒドロ縮合環炭化水素を有効成分とする光障害予防
剤。 【効果】 本発明の光障害予防剤は、有効成分として特
定のヒドロ縮合環炭化水素を含有するので、植物、或い
はこの植物を食餌した動物を摂取することに依り、光増
感色素が体内へ取り込まれた後の皮膚面照射に依る障
害、或いは、代謝異常に因り有害型ポルフィリンが急増
した生体皮膚面照射に依る障害等を未然に防止すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家畜、ヒトの光障害
(光過敏症)予防剤に関する。
【0002】
【従来の技術】日光、照明燈に代表される「光」は、光
合成植物に不可欠であるうえ、ヒト、動物への直接、間
接の恩恵も無視できない。即ちビタミンD2(又はビタ
ミンD3)は、皮膚の7−デヒドロコレステロール(或
いは酵母のエルゴステロール)への日光(紫外線)照射
に依り合成される。周知の日光消毒においては、細菌内
色素の光励起に依り誘発される活性酸素、各種ラジカル
などが、生体組成の損傷・死滅をもたらす。また新生児
黄疸患者の体躯表面へ蛍光燈が照射されるが、これは、
皮下脂肪に沈着した過剰の胆汁色素(ビリルビン、即ち
ヘモグロビン変性物)の光励起・分解(光酸化・排泄)
を図る光療法である。さらには網膜剥離、糖尿病性網膜
症、中心性脈絡膜炎、網膜静脈閉塞症に不可欠の網膜組
織病変部位加熱凝固手段として、瞳孔へレーザー光が照
射される。
【0003】反面、生体への各種光障害も無視できな
い。紅斑(日光皮膚炎)、痛痒(光線蕁麻疹、日光蕁麻
疹)、各種光アレルギー性皮膚障害、先天的光過敏症と
して著名なポルフィリン症、その他の光障害による溶
血、心筋障害、肝障害、組織壊死、皮膚癌なども著名で
ある(礒部明彦他;栄養と食糧,29,501(197
6),30,998(1977))。
【0004】各種光障害に個体差(動物種差、人種差)
の有ることから、先ずは、皮膚角質及び皮膚(メラニ
ン)色素、即ち光吸収(光障害防御)組織の相違が注目
されたが、同一人種間にも個体差が有ることから、発症
因子(光増感剤)に関する検討も加えられ、ペニシリ
ン、抗ヒスタミン剤、各種サルファ剤、糖尿病用内服薬
などの光励起が論議された。しかし、これらの薬剤とは
無関係の光障害も多いことから、色素(ヘモグロビン)
の代謝異常が究明された他、食餌内容も検討され、光合
成生物(植物)起源の光増感剤(クロロフィル変性物、
フェオホルバイド、ピロ・フェオホルバイド)の経口摂
取、或いはこの色素(光増感剤)を食した動物を、ヒ
ト、家畜が摂取することに依る間接的被害も検討される
と共に、生来の光障害防御機構としての酵素(カタラー
ゼ、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシド・ディス・ム
ターゼ)、補酵素(ユビキノン、CoA)、その他生理
活性物質(グルタチオン、ビタミンA(β−カロチ
ン)、ビタミンC、ビタミンE)に関する研究も開始さ
れた。
【0005】古来、光障害予防法として、p−アミノ安
息香酸誘導体、サリシル酸誘導体などの「光吸収剤」が
提案されている。これは波長360nm以下(日焼け止
めクリーム)、或いは320nm以下(サンタン・クリ
ーム)の紫外線を若干吸収することから、ある種の皮膚
障害(紅斑、癌等)の軽減に多少とも寄与するが、可視
光励起色素に因る障害には効果がない。たとえ紫外線を
遮断しても、タングステン・ランプ(または蛍光燈)に
依る障害として、家畜の発育不良、組織壊死、死亡を免
れない実例が確認されている(橋本芳郎他:食品衛生学
誌,,185(1963),Bull.Jap.Soc.Sci.F
isheries.,26,1216(1960),27,85
9(1961),山田孝二他;栄養と食糧,25,46
6(1972),S. Kimura et al.; J. Nutr. Sci,
Vitaminol., 27,521(1981))。前述の生来
の光障害防御機構を増強する意図から、スーパーオキシ
ド・ディス・ムターゼ(SOD)又はその誘導体(静脈
注射)、或いはβ−カロチン(外用、経口投与、静脈注
射)が期待され、ポルフィリン症(生体色素の代謝異
常)、日光蕁麻疹、皮膚癌などの一部に有効とされたも
のの、SODが反って有害との指摘、或いは、不十分な
がらも実施されている旧来のカルシウム静脈注射に勝る
効果の見られない例、果ては脾臓摘出を免れない例も多
く、なお課題を残す。市販野沢菜漬、高菜漬、更にはア
ワビ(春季)、健康食品(一部のクロレラ錠)を摂取し
た家畜、ヒトの皮膚炎、耳殻・背部組織壊死脱落の原因
が、クロロフィル変性物(フェオホルバイド、ピロ・フ
ェオホルバイド)の可視光励起(一重項酸素の発生)に
よると判明したことから、活性酸素(一重項酸素)捕捉
剤としてのビタミンC、ビタミンE、パントテン酸等)
が、動物組織(細胞、血液)へ投与され、試験管内模擬
試験(in vitro)では有効とされたものの(木村修一;
医学のあゆみ,112,578(1980),木村修一
他;過酸化脂質研究,,39(1978))、動物実
験(in vivo)における極端な大量投与に依っても、わ
ずかな効果に留まる(S. Kimura et al.; J. Nutr. Sc
i. Vitaminol.,27,521(1981),Photomed.
Photobiol.(Jpn),,93(1980))。またこの
ようなビタミン類の大量投与は却って有害と言われ、例
えば、活性酸素捕捉剤としてヒトに投与したビタミン
E、ビタミンAの弊害(敗血症、壊死性大腸炎、頭痛、
嘔気、死亡)が多数発生している(美濃 真 (中野
稔他編);「活性酸素」,P.456(1990)共立
出版,「医学大辞典」,P.1743(1981)南山
堂)。的確な光障害対策が無いことから、光過敏症全般
にわたり、姑息な対症療法が各種摸索されている実情に
ある。
【0006】光過敏体質のヒト、家畜に適用できる光
(日光、照明燈)障害防止策は知られていない(宮地良
樹;Fragrance J.(Jpn), (9), 35(199
1))。補酵素(ユビキノン)、酵素(カタラーゼ)、
ヒスチジンなどの一重項酸素(またはラジカル)捕捉剤
の大量投与が検討されたものの、多くは望めず、これら
を予防薬として常用する場合の副作用も大いに懸念され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒト及び家
畜の日光、照明燈等の光障害を予防し、しかも長期常用
に適し、副作用のない安全な光障害予防剤を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、ベンゼン環を少なくとも1個含み、かつ縮合環水素
化物相当の4〜8員環を含む2環及び/又は3環のヒド
ロ縮合環炭化水素を有効成分とする光障害予防剤が提供
される。
【0009】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0010】本発明の光障害予防剤において有効成分と
して用いるヒドロ縮合環炭化水素は、ベンゼン環を少な
くとも1個含み、かつ縮合環水素化物相当の4〜8員環
を含む2環及び/又は3環のヒドロ縮合環炭化水素であ
って、具体的にはフェナントレン、アントラセンあるい
はナフタレンの部分水素化相当の炭化水素等が挙げられ
る。
【0011】前記フェナントレンの部分水素化相当の炭
化水素としては、1,2,3,4,5,6,7,8−オ
クタヒドロフェナントレン、1,2,3,4,4a,
9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン、1,
2,3,4,5,6−ヘキサヒドロフェナントレン、
1,2,3,4,9,10−ヘキサヒドロフェナントレ
ン、1,2,3,4,4a,10a−ヘキサヒドロフェ
ナントレン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナント
レン、9,10−ジヒドロフェナントレン、1,4−ジ
ヒドロフェナントレン、あるいはこれらのヒドロフェナ
ントレン類の1−,2−,3−,4−,4a−,7−,
9−,10−,10a−位の少なくとも1つに、メチル
基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が導入された
アルキル置換体などが例示できる。
【0012】前記アントラセンの部分水素化相当の炭化
水素としては、1,2−ジヒドロアントラセン、1,4
−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロアントセ
ラン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン、
1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロアントラセン、
1,2,3,4,9,9a−ヘキサヒドロアントラセ
ン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロア
ントラセン、1,2,3,4,4a,9,9a,10−
オクタヒドロアントラセン、あるいはこれらのヒドロア
ントラセン類の1−,2−,3−,4−,5−,8−,
9−,10−位の少なくとも1つにメチル基、エチル
基、プロピル基等のアルキル基が導入されたアルキル置
換体などが例示できる。
【0013】前記ナフタレンの部分水素化相当の炭化水
素としては、1,2−ジヒドロナフタレン、1,4−ジ
ヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフ
タレン、あるいはこれらのヒドロナフタレン類の1−,
2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−位の少なく
とも1つにメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキ
ル基が導入されたアルキル置換体などが例示できる。
【0014】また、ベンゼン環が保持されるかぎり、イ
ンデン、5H−ベンゾシクロヘプテン、7H−ベンゾシ
クロヘプテン、ベンゾシクロオクテン、シクロブタベン
ゼン、シクロペンタ[a]インデン、シクロペンタ[c
d]インデン、1H−シクロペンタ[a]ナフタレン、
3H−シクロペンタ[a]ナフタレン、シクロペンタ
[b]ナフタレン、フルオレン、アセナフチレン、ベン
ゾ[a]アズレン、ベンゾ[e]アズレン、ベンゾ
[f]アズレン、ベンゾ[cd]アズレン、シクロヘプ
タ[a]ナフタレン、シクロヘプタ[de]ナフタレン、
シクロヘプタ[f]インデン、フェナレン、as−イン
ダセン、s−インダセン、ベンゾ[1,2:3,4]ジ
シクロヘプテン、ベンゾ[1,2:4,5]ジシクロヘ
プテン、ベンゾ[1,2:3,4]ジシクロオクテンな
どの水素化物に相当するヒドロ縮合環炭化水素等を挙げ
ることもできる。
【0015】更には、2,3,6,7,8,9−ヘキサ
ヒドロ−1H−シクロペンタ[a]ナフタレン、2,
3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−シクロ
ペンタ[a]ナフタレン及びこれらの2−,3−,5
−,6−,7−,9b−位の少なくとも1つにアルキル
基が導入された置換体、2,3,5,6,7,8−ヘキ
サヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン及びそ
の1−,2−,4−,5−,6−,8−,9−位の少な
くとも1つにアルキル基が導入された置換体、2,3,
4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[a]ナフ
タレン、2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−シクロ
ペンタ[b]ナフタレン、2,3,5,6−テトラヒド
ロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン及びこれらの
5−,6−,8−位の少なくとも1つにアルキル基が導
入された置換体、2,3−ジヒドロ−1H−シクロペン
タ[a]ナフタレン、2,3−ジヒドロ−1H−シクロ
ペンタ[b]ナフタレン及びこれらの1−,5−,6−
位の少なくとも1つにアルキル基が導入された置換体、
1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロシクロペン
タ[a]インデン、2,2a,3,4−テトラヒドロ−
1H−シクロペンタ[cd]インデン、1,2−ジヒド
ロシクロペンタ[a]インデン及びこれらの1,2−,
3−,8−位の少なくとも1つにアルキル基が導入され
た置換体、2,3−ジヒドロインデン、3a,7a−ジ
ヒドロインデン及びこれらの1−,2−,3−,4−,
5−,6−,7−位の少なくとも1つにアルキル基が導
入された置換体、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒ
ドロベンゾシクロオクテン、5,6,7,8−テトラヒ
ドロベンゾシクロオクテン、7,8−ジヒドロベンゾシ
クロオクテン、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−
ベンゾシクロヘプテン及びこれらの1−,4−,5−位
の少なくとも1つにアルキル基が導入された置換体、
6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、6,
9−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、8,9−
ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン及びこれらの2
−,3−,5−,7−,8−,9−位の少なくとも1つ
にアルキル基が導入された置換体、ジヒドロシクロブタ
ベンゼン及びその1−,2−,3−,4−,5−,6−
位の少なくとも1つにアルキル基が導入された置換体、
1,2,3,4,4a,9a−ヘキサヒドロフルオレン
及びその7−,9−位の少なくとも1つにアルキル基が
導入された置換体、1,2,3,4−テトラヒドロフル
オレン、1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン
及びこれらの4−,6−,7−,8−位の少なくとも1
つにアルキル基が導入された置換体、1,2,2a,
3,4,5−ヘキサヒドロアセナフチレン、1,2,
4,5−テトラヒドロアセナフチレン、1,2−ジヒド
ロアセナフチレン、1,2,3,6,7,8−ヘキサヒ
ドロ−as−インダセン、1,6−ジヒドロ−as−イ
ンダセン、1,7−ジヒドロ−s−インダセン及びこれ
らの1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−
位の少なくとも1つにアルキル基が導入された置換体、
1,2,3,4,5,6,9,10,11,12,1
3,14−ドデカヒドロベンゾ[1,2:3,4]ジシ
クロオクテン、1,2,3,3a,4,9,10,10
a−オクタヒドロベンゾ[f]アズレン、5,6,7,
8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[a]アズレン、
1,2,3,3a,4,10b−ヘキサヒドロベンゾ
[e]アズレン、1,2,3,3a,4,10a−ヘキ
サヒドロベンゾ[f]アズレン、7,8,9,9a−テ
トラヒドロ−6H−ベンゾ[cd]アズレン、2,6,
7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[c
d]アズレン、2,3,4,7,8,9,10,11−
オクタヒドロ−1H−シクロヘプタ[a]ナフタレン、
1,2,3,7,8,9,10,10a−オクタヒドロ
シクロヘプタ[de]ナフタレン、6,6a,7,8,
9,10,11,11a−オクタヒドロ−5H−シクロ
ヘプタ[a]ナフタレン、6,7,8,9,10,11
−ヘキサヒドロ−5H−シクロヘプタ[a]ナフタレ
ン、1,2,3,9,10,10a−ヘキサヒドロシク
ロヘプタ[de]ナフタレン、8,9,10,11−テ
トラヒドロ−7H−シクロヘプタ[a]ナフタレン、
7,8,9,10−テトラヒドロシクロヘプタ[de]
ナフタレン、6,6a−ジヒドロ−5H−シクロヘプタ
[a]ナフタレン、7,8−ジヒドロシクロヘプタ[d
e]ナフタレン、1,2,3,5,6,7,8,9−オ
クタヒドロシクロヘプタ[f]インデン、1,2,3,
5,6,7−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデ
ン、2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−
フェナレン及びこれらの1−,4−,7−位の少なくと
も1つにアルキル基が導入された置換体、2,3−ジヒ
ドロ−1H−フェナレン及びその1−,2−,3−,4
−,5−,6−,7−,8−,9−位の少なくとも1つ
にアルキル基が導入された置換体なども本発明のヒドロ
縮合環炭化水素として挙げられる。この際、有効成分で
あるヒドロ縮合環炭化水素の環数が4以上、若しくは環
構成原子中に窒素、酸素、硫黄、珪素等のヘテロ原子を
含む場合には、長期常用の際の副作用(生体への為害
性)が生じる恐れがある。
【0016】しかし、環数の更に多い縮合環炭化水素、
例えばアセアンスリレン、アセフェナンスリレン、ベン
ゾ[a]アントラセン、クリセン、フルオランテン、イ
ンデノ[2,1−a]インデン、ナフタセン、プレイア
デン、ピレン、トリフェニレン(以上4環)、1H−ベ
ンゾ[a]シクロペンタ[j]アントラセン、6H−ベ
ンゾ[cd]ピレン、ジベンゾ[b,g]フェナントレ
ン、ジベンゾ[c,g]フェナントレン、ペンタセン、
ペンタフェン、ペリレン、ピセン(以上5環)などの部
分水素化相当ヒドロ縮合環炭化水素にも、本発明の効果
の一部が認められるものの一時的使用に留まらず、長期
常用するには、副作用(生体への為害性)が懸念され本
発明のヒドロ縮合環炭化水素の対象外である。
【0017】また、ヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄、珪
素)を環構成原子とする3H−3−ベンゾアゼピン、ベ
ンゾイミダゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、
4H−1−(又は2H−1−、或いは1H−2−)ベン
ゾピラン(4H−又は2H−、或いは1H−クロメ
ン)、ベンゾピラン、4,1−ベンゾチアジン、1−
(又は2−)ベンゾチオフェン、4H−3,1−ベンゾ
オキサジン、1,4−ベンゾオキサジン、3−ベンゾオ
キセピン、シノリン、ジチアナフタレン、インドール、
イソインドール、1H−インドゾール、フタラジン、キ
ナゾリン、コノキサリン、キノリン、1−シラナフタレ
ンなどの部分水素化相当ヒドロ複素環化合物にも、本発
明の効果の一部が認められるが、長期常用するには、副
作用が懸念され、本発明のヒドロ縮合環炭化水素の対象
外である。
【0018】本発明の光障害予防剤は、前記特定のヒド
ロ縮合環炭化水素を含有しておれば良く、例えば医薬上
許容される添加物等を含んでいても良い。また投与方法
としては、錠剤または粉剤として微量を内服する他、家
畜への投与には、飼料へ微量配合する方法等により行う
ことができる。
【0019】本発明の光障害予防剤の投与量は、例えば
光過敏体質の懸念される生体の体重1kgあたり、有効
成分であるヒドロ縮合環炭化水素量換算で、通常10〜
20mg/日であるのが好ましく、このような微量投与
を続けるかぎり、生体内蓄積性、慢性毒性、発癌性等の
副作用の懸念はない。
【0020】本発明の有効成分であるヒドロ縮合環炭化
水素は、濃厚酸素(空気)による変性等を防止するため
に、調製、保管、服用にあたっては、窒素、二酸化炭素
雰囲気下に合成・精製後、脱気(真空)容器へ適量(例
えば1〜100mgずつ)密封すると共に、開封後直ち
に(好ましくは60分以内に)内服するのが最も有用で
ある。
【0021】
【発明の効果】本発明の光障害予防剤は、有効成分とし
て特定のヒドロ縮合環炭化水素を含有するので、植物、
或いはこの植物を食餌した動物を摂取することに依り、
光増感色素が体内へ取り込まれた後の皮膚面照射に依る
障害、或いは、代謝異常に因り有害型ポルフィリンが急
増した生体皮膚面照射に依る障害等を未然に防止するこ
とができる。
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例及び比較例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0023】
【実施例1】予め、本実施例の試験条件を要約する。
【0024】飼料;ラット標準固形飼料(市販品、澱粉
70、蛋白20、大豆油5、食塩4、ビタミン類0.5
wt%)並びに水を、任意摂取させる。 野沢菜漬配合飼料;市販野沢菜漬を乾燥(凍結乾燥)・
破砕した粉末を、上記標準固形飼料へ15wt%配合す
る。 予備飼育;本発明に拠らない実験を行うには、ラットに
上記野沢菜漬配合飼料を与えつつ、3日間暗所飼育す
る。本発明を実施する場合には、毎朝ヒドロ縮合環炭化
水素1mg/100g-体重を、前述の標準固形飼料1
gに混ぜて、毎朝投与し、引き続き、上記野沢菜漬配合
飼料を任意摂取させる方式を採り、同じく3日間暗所飼
育する。 光照射;予備飼育後、同じく野沢菜漬配合飼料、又はヒ
ドロ縮合環炭化水素と野沢菜漬配合飼料の双方を与えつ
つ、連日10時間照射する。 光源;100Wタングステン・ランプ2個、照度15,
000ルックス。 飼育室温度;ランプの発熱が激しいことから、強制換気
に努め、23〜27℃に維持する。
【0025】(1)予備飼育後も野沢菜漬配合飼料を与
えつつ、暗室飼育するかぎり、異常は無いが(表1No.
1〜No.5)、予備飼育後、連日照射に切り替えた場
合、30日にわたり発育不全、耳殻先端の血斑・壊死が
認められ(表1 No.6〜No.10)、既に報告されて
いる症状(山田孝二他;栄養と食糧,25,466(1
972),礒部明彦他;栄養と食糧,29,221(1
976))に類似の現象が再現された。
【0026】(2)本発明のヒドロ縮合環炭化水素の1
例として1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒド
ロフェナントレン(表1中、炭化水素と略記する)を投
与した場合、野沢菜漬摂取と照明に因る障害が、未然に
防止された(表1No.11〜No.15)。
【0027】このオクタヒドロフェナントレンの投与量
は、10mg/1kg-体重・日に留まる。一方この炭
化水素のLD50は10g以上/kg(ラット、経口)に
及ぶ他、生体蓄積性は認められない。更にラット、イヌ
に250mg/kg・日の上記炭化水素、及びその脱水
素生成物フェナントレン、更には現行食品用酸化防止剤
BHTを280日投与した結果、BHTの場合肝変性の
疑いがあるのに反し、オクタヒドロフェナントレンとフ
ェナントレンは、いずれもなんら異常を来さなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
【実施例2】予め、本実施例の試験条件を要約する。
【0030】フェオホルバイド;古くは、春季アワビの
肝臓、野沢菜漬、高菜漬、塩漬けキユウリから抽出例が
多いが、アルカロイドなどの不純物を精度よく除き得る
新しい手法として、予め大豆の葉から、変性を避けつ
つ、迅速にクロロフィル(クロロフィルa)を抽出後、
カラムクロマトグラフィーの手法に拠り精製し、しかる
後、塩酸に依り、純フェオホルバイドへ変性させる方式
(P. H. Hynninen et al.; Acta ChemicaScandinavia.
27,1463(1973),T. Omata etal., Photo
chem. Photobiol., 31.183(1980))を採用
した。 予備飼育;本発明に拠らない実験を行うには、ラットに
毎朝フェオホルバイド20mg/100g-体重を、標
準固形飼料1gに混ぜて与え、引き続き標準固形飼料、
並びに水を任意摂取させる方式に依り、3日間暗所飼育
する。本発明を実施する場合、毎朝上述のフェオホルバ
イド20mg/100g-体重と共に、ヒドロ縮合環炭
化水素2mg/100g-体重を、標準固形飼料1gに
混ぜて投与し、引き続き、標準固形飼料を任意摂取させ
つつ、同様に3日間暗所飼育する。
【0031】光照射;予備飼育後、同じくフェオホルバ
イド、或いはフェオホルバイドとヒドロ縮合環炭化水素
の双方を投与後、標準固形飼料並びに水を任意摂取させ
つつ、連日10時間照射する。 光源;100Wタングステン・ランプ3個、照度25,
000ルックス。 標準固形飼料、飼育温度;実施例1参照。
【0032】(1)7〜13日照射したラットに、発育
不全、耳殻先端血斑・壊死、背部潰瘍性皮膚炎、耳殻脱
落が見られ、既報(山田孝二他:栄養と食糧、25,4
66(1972),木村修一他;ビタミン,53,54
8(1979))に類似の障害と判断された(表2No.
1〜5)。この場合、タングステン・ランプに替えて、
予備飼育後、晴天の連続5日間、5時間ずつ日光に晒し
ても、類似傾向の障害が見られた(表2No.6〜No.1
0)。
【0033】(2)本発明のヒドロ縮合環炭化水素の1
例としての1,2−ジヒドロナフタレン(表2中、炭化
水素と略記する)を投与した場合、照明燈障害が防止さ
れ(表2No.11〜15)、タングステン・ランプに替
えて、予備飼育後、晴天の連続5日間、5時間ずつ日光
に晒すことに因る障害も、やはり同様に防止された(表
2No.16〜No.20)。
【0034】上記フェオホルバイドの経口投与量20m
g/100g・日は、野沢菜漬(フェオホルバイド含量
約100ppm、含水率約90wt%)約250g/
日、即ち体重の2.5倍に及ぶ野沢菜漬の連日摂取に相
当する。このような事態は通常起こり得ないが、光過敏
体質の場合には、大量摂取を避けても、微量の色素に感
受性を示すと考えられ、この色素の弊害を予防するに
は、本発明が有用である。これに要するジヒドロナフタ
レン投与量は、20mg/kg-体重・日に留まる。こ
の炭化水素のLD50は10g以上/kg(ラット、経
口)の他、生体蓄積性は認められなかった。更にラッ
ト、イヌに、上記の10倍に及ぶ250mg/kg・日
のジヒドロナフタレン又はナフタレンを280日投与し
続けても、なんら異常は無かった。
【0035】
【表2】
【0036】
【実施例3】予め、本実施例の試験条件を要約する。
【0037】予備飼育;本発明に拠らない実験を行うに
は、マウスに、標準固形飼料並びに水を任意摂取させつ
つ、3日間暗所飼育する。本発明を実施するには、毎朝
ヒドロ縮合環炭化水素0.4mg/20g-体重(=2
mg/100g-体重)を、標準固形飼料1gに混ぜて
与えた後、標準固形飼料並びに水を任意摂取させつつ、
同様に3日間暗所飼育する。 光照射;有害型ポルフィリン(市販ヘマトポルフィリ
ン、ウロポルフィリン)0.3mg(=1.5mg/1
00g-体重)を、ジメチルスルホキシド0.3mlに
溶かし、上記予備飼育後のマウス腹腔へ一括注射する
(ポルフィリンを含まない単なる溶媒(ジメチルスルホ
キシド)0.3ml(1回注射)による急性異変の無い
ことを、確認済みである)。
【0038】光源;100Wタングステン・ランプ3
個、照度20,000ルックス。 標準固形飼料、飼育室温度;実施例1参照。
【0039】(1)予備飼育したマウスを腹腔へ、ヘマ
トポルフィリン又はウロポルフィリン0.3mg(=
1.5mg/100g-体重)を一括注射しても、光照
射しないかぎり異常は無かった。これに反し、腹腔注射
後光照射することに依り、多くは7〜10時間以内に死
亡した(表3No.1〜No.6)。
【0040】(2)ヒドロ縮合環炭化水素としての5−
メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−シ
クロヘプタ[a]ナフタレン(表3中、炭化水素と略記
する)を与える予備飼育の後、ヘマトポルフィリン1.
5mg/100g-体重を一括注射し、10時間光照射
しても、死亡例は出なかった(表3No.7〜No.9)。ヘ
マトポルフィリンと並び、血色素代謝異常の光障害(ポ
ルフィリン症)因子とされるウロポルフィリンを腹腔注
射後光照射しても、本発明により、大幅に障害が軽減さ
れた(表3No.10〜No.12)。この場合のポルフィリ
ン投与量は、通常生体内総ポルフィリン濃度(プロトポ
ルフィリン、コプロピルフィリン、ウロポルフィリンな
どの総計)の1,000倍以上にも及ぶことから、極端
な高濃度ポルフィリンによる激しい障害に対する予防・
抑制効果は明白である。
【0041】
【表3】
【0042】
【比較例1】本発明のヒドロ縮合環炭化水素に替えて、
生体内酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)であるビタミン
A、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、グルタチオ
ン、NADPH(還元型ニコチンアミドジヌクレオチド
りん酸)、ユビキノン、パントテン酸、尿酸、ビリルビ
ンなどの大量投与、或いは工業製品及び食品用酸化防止
剤(ラジカル捕捉剤)として代表的なBHT(ブチルヒ
ドロキシトルエン)の微量投与を検討した。即ち、実施
例3の予備飼育におけるヒドロ縮合環炭化水素に替え
て、生体内酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)20mg/2
0g-体重(=1000mg/kg)、又はBHT2m
g/20g-体重(=100mg/kg)を、毎朝標準
固形飼料3gに混ぜて与えた後、標準固形飼料並びに水
を任意摂取させつつ、3日間暗所飼育後、実施例3と同
様に照射した。
【0043】(1)本発明の微量(2mg/100g-
体重)のヒドロ縮合環炭化水素に替えて、大量(100
mg/100g-体重)の酸化防止剤を毎朝投与した
が、数時間ないしは10時間照射により、殆どのマウス
は死亡した(表4No.1〜No.30)。前述のなんらの予
防剤をも与えない場合(表3No.1〜No.3)に比し、生
存期間延長効果が若干認められたものの、大幅な改善に
は至らない。ビタミンE、ビタミンK、尿酸に、幸うじ
て生存例を見たものの、通常の生体内ビタミンE(血漿
10ppm、心臓20ppm)、ビタミンK(肝臓1p
pm)、尿酸(血漿50ppm)の濃度に比し、上記大
量(100mg/100g 体重=1,000ppm)
投与を続けることは、課題を残す。BHTにも、わずか
ながら効果を認めたこと(表4No.31〜No.33)か
ら、更に投与量を大幅に高めたが、著しい改善結果は得
られなかった(表4No.34〜No.36)。
【0044】(2)この光障害実験の場合、ビタミン
C、パントテン酸は、殆ど無効であるのに反し、両者の
併用に依り、多少の効果を得た例(S. Kimura et al.,
J.Natur. Sci. Vitaminol., 27,521(198
1))が著名である。事実、大量併用に依る生存期間延
長効果が見られるものの(表4No.37〜No.39)、死
亡回避に程遠く、本発明実施例3(表3No.7〜No.1
2)に比し遥かに効果が乏しい。
【0045】
【比較例2】本発明のヒドロ縮合環炭化水素に替えて、
生体内の活性酸素消去酵素として著名なカタラーゼの効
果を比較する。
【0046】即ち、標準固形飼料に依る予備飼育を実施
後、カタラーゼ(ウシ肝)2mg/100g-体重を溶
解したりん酸緩衝液0.25mlを静脈注射し、直ちに
実施例3の光照射を行ったが、数時間ないし10時間照
射により、マウスは死亡し(表4No.40〜No.42)、
前述のなんらの予防剤を与えない場合(表3No.1〜No.
3)に比し、改善効果はなかった。
【0047】
【表4】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベンゼン環を少なくとも1個含み、かつ
    縮合環水素化物相当の4〜8員環を含む2環及び/又は
    3環のヒドロ縮合環炭化水素を有効成分とする光障害予
    防剤。
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