JPH06154949A - 成形用金型部材 - Google Patents

成形用金型部材

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JPH06154949A
JPH06154949A JP5216873A JP21687393A JPH06154949A JP H06154949 A JPH06154949 A JP H06154949A JP 5216873 A JP5216873 A JP 5216873A JP 21687393 A JP21687393 A JP 21687393A JP H06154949 A JPH06154949 A JP H06154949A
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JP
Japan
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sintered body
molding die
molding
components
porous sintered
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Application number
JP5216873A
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English (en)
Inventor
Yukimichi Kaguma
行道 鹿熊
Shoji Henmi
正二 逸見
Ikuo Kamata
郁男 釜田
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Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 成形用金型部材の少なくとも一部が、(A)
周期律表の第IVa〜VIa族の元素の炭化物及び窒化
物から選ばれる少くとも1種の成分と、(B)鉄族元素
から選ばれる少なくとも1種の成分よりなるガス透過性
多孔質焼結体で構成されている成形用金型部材。 【効果】 機械的強度が大きく、耐熱性、耐腐食性等に
優れており寿命が長く、また、巣のない高品質の鋳造物
をつくることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、成形用金型部材に関し、さらに
詳しくは、その少なくとも一部がガス透過性のサーメッ
ト系多孔質焼結体で構成されている成形用金型部材に関
する。
【0002】熔湯から鋳造物を効率的に大量生産する方
法の1つとしてダイカスト法が知られているが、この方
法では、熔湯が高圧かつ高速で鋳型内に射入されるた
め、系内の空気をまき込んだり、また鋳型内の塗型剤か
ら発生するガスをまき込み、その結果、得られる鋳造物
はその寸法精度が著しく低下したり、鋳巣が発生して製
品の歩留まりが低下する等の問題がしばしば生ずる。
【0003】これらの問題を解決するための方策とし
て、従来例えば、真空(減圧)鋳造方法、加圧鋳造方
法、振動鋳造方法等、種々の提案がなされている。しか
しながら、真空鋳造方法は系内を真空にするため、熔湯
に溶存している酸素、水素、窒素のみならず熔湯もガス
化してしまうため、有効な方法とはなり得えていない。
また、加圧鋳造方法及び振動鋳造方法ではいずれもガス
を完全に抜くことはできず、これまた広く利用されてい
ないというのが実情である。
【0004】一方、これらの問題の解決策として、例え
ば、特公昭51−45532号公報及び特公平1−54
151号公報にはそれぞれ、ステンレス鋼微粉粒を焼結
してなる通気性のある金型及び多孔性セラミックスから
なるガス抜路を有する中子を用いて鋳造する方法が提案
されているが、これら金属及び中子に使用されている材
料はいずれも熱的及び機械的衝撃強度が小く、ステンレ
ス鋼は容易に変形し、微細孔が閉塞してしまい、また、
セラミックスはたちまちのうちに折れてしまうため、実
用的には汎く使用されていない。
【0005】さらに、従来、金型部材として主に使用さ
れているSKD鋼は、耐蝕性及び耐熔着性において充分
満足できるものではなく、ショット回数が増加するにつ
れて、得られる鋳造物の寸法精度が低下するため、金型
部材の寿命は比較的短い。
【0006】そこで、本発明者らは、以上に述べた如き
問題点がなく実用的に充分に耐えうる金型部材を開発す
べく鋭意検討を重ねた結果、今回、或る種の特定の組成
よりなるサーメット系多孔質焼結体を金型部材の少なく
とも一部に使用することにより、機械的強度が大きく、
耐熱性、耐腐食性にも優れており、寿命が非常に長く、
ガス抜けも良好で実用性の高い金型部材を提供すること
に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】かくして、本発明によれば、成形用金型部
材の少なくとも一部が、(A)周期律表の第IVa〜V
Ia族の元素の炭化物及び窒化物から選ばれる少くとも
1種の成分と、(B)鉄族元素から選ばれる少なくとも
1種の成分よりなるガス透過性多孔質焼結体で構成され
ていることを特徴とする成形用金型部材が提供される。
【0008】本明細書において「成形用金型部材」は、
金属、合金、プラスチック等を溶融し鋳造成形する際の
熔湯(金属、合金、プラスチック等の溶融物)を鋳込む
ための金型、特にその熔湯と直接に接触する部分の構成
部材を包含するものであり、例えば、鋳型、スリーブ、
シリンダー、プランジャー、押出ピン、中子ピン等が挙
げられ、本発明は中でも鋳型及び中子ピンに好適に適用
することができる。
【0009】本発明の金型部材は、上記した如き金型部
材の全部又は少なくとも一部が、上記特定の組成よりな
るサーメット系のガス透過性多孔質焼結体で構成されて
いる点に特徴を有するものであり、金型部材の残りの部
分は、通常の金型部材材料、例えば、主としてダイス鋼
(SKD−61など)、ステンレス鋼(SUS304、
SUS309Sなど)、タングステン、モリブデン等の
金属または合金で構成することができる。
【0010】金型部材の少なくとも一部を該ガス透過性
多孔質焼結体で構成する場合、その多孔質焼結体が少な
くとも金型部材のガス抜き路を構成するように本発明の
金型部材を作製することが望ましい。
【0011】以下、本発明の金型部材についてさらに詳
細に説明する。
【0012】本発明の金型部材の少なくとも一部を構成
するガス透過性多孔質焼結体〔以下、単に焼結体という
ことがある〕は、一般に“サーメット”と称され、
(A)周期律表の第IVa〜VIa族の元素の炭化物及
び窒化物から選ばれる少くとも1種の成分〔以下、
(A)成分という〕と、(B)鉄族元素から選ばれる少
なくとも1種の成分〔以下、(B)成分という〕とから
構成されるものである。
【0013】上記(A)成分の炭化物又は窒化物を形成
する周期律表の第IVa〜VIa族の金属元素には、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo 及びWが包含さ
れ、これらの中本発明ではTi、Zr、V、Nb、Ta 及
びCr が好適であり、殊にTiが最も適している。
【0014】従って、(A)成分としての炭化物の具体
例としては、例えば、TiC、ZrC、HfC、VC、Nb
C、CrC、Mo2C、WC等が挙げられ、中でもTiC、
VC、NbC、TaC、Mo2C及びWCが好ましい。そし
て(A)成分としての炭化物として、特に、TiC及び
/又はVCを含むものが好ましく、殊にTiCを含むも
のが最適である。
【0015】また、(A)成分としての窒化物の具体例
としては、例えば、TiN、ZrN、HfN、VN、Nb
N、TaN、CrN、MoN及びWNが挙げられ、中でも
TiN及びTaNが好ましい。そして(A)成分としての
窒化物としてTiNを含むものが最適である。
【0016】なお、上記の炭化物及び窒化物はそれぞれ
炭窒化物の形態で配合することもでき、本明細書では炭
窒化物は炭化物であると同時に窒化物であると定義する
ことができる。
【0017】以上に述べた炭化物及び窒化物はそれぞれ
単独で使用することができ、或いは2種又はそれ以上を
組合わせて使用することもできる。炭化物と窒化物とを
組合わせて使用する場合、炭化物と窒化物との配合割合
は、使用する炭化物及び窒化物の種類や焼結体に望まれ
る特性等に依存して広い範囲にわたり変えることができ
るが、一般には、(A)成分の合計重量を基準にして、
炭化物は40〜95重量%、好ましくは50〜90重量
%、さらに好ましくは60〜80重量%、そして窒化物
は5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、さら
に好ましくは20〜40重量%の範囲内とすることがで
きる。
【0018】本発明に従う焼結体における(A)成分の
含有量は、厳密に制限されるものではなく、焼結体に望
まれる特性(機械的強度、耐熱性、耐腐食性など)やそ
の使用部位等に応じて広い範囲で変えることができる
が、一般には、焼結体の重量を基準にして、50〜95
重量%、好ましくは75〜90重量%、さらに好ましく
は80〜85重量%の範囲内であることができる。
【0019】一方、上記(A)成分と組合わせて使用さ
れる(B)成分の鉄族元素には、Fe、Ni 及びCo が
包含され、この中Ni 及びCo が好適である。これらの
鉄族元素はそれぞれ単独で使用することができ、或いは
2種以上併用することもでき、殊にNi とCo を併用す
るのが好ましい。
【0020】焼結体中における(B)成分の含有量もま
た厳密には制限されず広い範囲にわたって変えることが
できるが、一般には、焼結体の重量を基準にして、5〜
50重量%、好ましくは10〜25重量%、さらに好ま
しくは15〜20重量%の範囲内であることができる。
【0021】以上に述べた(A)成分及び(B)成分の
種類及びそれらの含有量は、目的とする焼結体に望まれ
る特性(機械的強度、耐熱性、耐腐食性など)に応じて
適宜選択することができ、最適の含有量は小規模の実験
を行なうことにより決定することができる。本発明にお
いて好適に使用しうる焼結体の代表的なものの組成割合
を金属換算で示せば、次のとおりである。なお、重量%
は焼結体の重量を基準にした百分率であり、カッコ内は
好適範囲である。
【0022】
【表1】 金属成分 含有量(重量%) ─────────────────────────────── Ti 15〜65(25〜55、特に30〜50) Zr 0〜20(0〜5) (A) Hf 0〜15(0〜5) V 0〜30(0〜10) 成 Nb 0〜30(0〜10) Ta 0〜30(0〜10) 分 Cr 0〜15(0〜10) Mo 1〜30(2〜20、特に5〜10) W 2〜70(10〜50、特に15〜25) ─────────────────────────────── (B) Ni 0〜30(5〜25、特に5〜15) 成分 Co 0〜30(5〜25、特に5〜15) ただしTi+Mo+Wの合計量は40〜80重量%、特に
45〜60重量%の範囲内にあることが好ましく、ま
た、Zr+Hf+V+Nb+Ta+Crの合計量は2〜25
重量%、特に5〜18重量%の範囲内にあることが好ま
しい。
【0023】さらに、Ni+Coの合計量は5〜50重量
%、特に10〜25重量%の範囲内にあるのが好適であ
る。
【0024】本発明の金型部材に使用される焼結体は、
多孔質であってガス透過性を有していることが重要であ
る。しかして、該焼結体は一般に5〜70%、好ましく
は20〜60%、さらに好ましくは30〜50%の範囲
内の気孔率を有し、また、一般に5〜70%、好ましく
は20〜60%、さらに好ましくは30〜50%の気孔
面積率を有することができる。
【0025】ここで「気孔率」は焼結体の体積全体に占
める気孔(焼結体中の空隙)の体積の割合であり、次の
式で算出される値である。
【0026】
【数1】 式中、W1は多孔質焼結体の重量であり、V1は該多孔質
焼結体の体積であり、W2は多孔質焼結体と同一組成の
非孔質焼結体の重量であり、V2は該非孔質焼結体の体
積である。
【0027】また、「気孔面積率」は焼結体の任意の断
面の一定表面積に占める気孔部分の面積の割合であり、
焼結体の任意の断面を1mm厚みにスライスし、その試
料について上述の式にて気孔率を算出し気孔面積率とす
る。
【0028】また、該焼結体のガス透過性は、例えば金
型部材中での焼結体の配置の仕方等に応じて広い範囲に
わたり変えることができるが、一般には、1〜100N
l/cm2・min、好ましくは3〜70Nl/cm2
min、さらに好ましくは5〜20Nl/cm2・mi
nの範囲内のガス透過率を有することが望ましい。ここ
で「ガス透過量」は、5mmの厚さの板状にカットした
焼結体の一方の側から5kgf/cm2の圧縮空気を常
温で負荷し、通過量を浮遊式フローメーターで測定した
ときの値である。
【0029】焼結体中の気孔の断面形状には特に制限は
なく、円形、楕円形、星形、多角形状等任意の形をとる
ことができ、その大きさは通常、短径が1〜1000μ
m、特に50〜500μm、そして長い径が1〜300
0μm、特に50〜1500μmの範囲内にあるのが適
当である。
【0030】また、該焼結体には、ガス透過性を改善す
る目的で、金型の外部方向に開孔した盲孔を設けること
もできる。その盲孔の形状、寸法等は、特に制限される
ものではなくし、焼結体が実用に耐える強度を保持する
限り、焼結体の金型における使用個所や形状等に応じて
自由に変えることができる。
【0031】以上に述べた如き焼結体は、一般に、出発
原料として、前述した(A)成分と(B)成分を、目的
とする焼結体に望まれる組成割合で用い、それ自体既知
の方法で、配合工程、粉砕・混合工程、乾燥工程、成形
工程、焼結工程等に順次付すことにより製造することが
できる。
【0032】まず、配合工程では、一般的には、上記出
発原料がバインダー及び分散媒体と配合される。バイン
ダーとしては、例えばカンフアー、パラフイン、流動パ
ラフイン、高分子化合物(例えばポリビニルブチラー
ル、メラミン、シアヌレート、アクリル系樹脂など)等
が挙げられ、また、分散媒体としては、例えばメチルア
ルコール、エチルアルコール、アセトン、トルエン、キ
シレン、酢酸メチル等の有機溶媒が包含される。
【0033】これらバインダー及び分散媒体の配合量は
通常、上記出発原料の合計量に対して各々、20〜70
重量%、好ましくは30〜50重量%の範囲内が適当で
ある。
【0034】さらに、焼結体をガス透過性を有する多孔
体とするため、さらに、気孔化剤(発泡剤を含む)が配
合される。使用しうる気孔化剤は特に制限されるもので
はなく、例えば、加熱又は減圧により分解又は気化して
ガスを発生するタイプの気孔化剤から広く選択すること
ができる。そのような気孔化剤としては、無機系、有機
系又は高分子系のものが包含されるが、通常、有機系気
孔化剤及び高分子気孔化剤が好適である。
【0035】有機系気孔化剤としては、例えば、アゾ系
化合物、N−ニトロソ系化合物及びスルホニル−ヒドラ
ジド系化合物等が包含され、中でもアゾ系化合物が好適
に使用される。アゾ系化合物としては、例えば、アゾジ
カルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)、ジアゾアミノベンゼン(DAB)及
びアゾビスホルムアミド(ABFA)等が挙げられ、特
にADCAが好ましい。また、N−ニトロソ系化合物と
しては、例えば、N,N′−ジニトロソペンタメチレン
テトラミン(DPT)、N,N′−ジメチル−N,N′−
ジニトロソ−テレフタルアミド(DTA)等が挙げら
れ、さらに、スルホニル−ヒドラジド系化合物として
は、例えば、ベンゼンスルホニル−ヒドラジド(BS
H)、トルエンスルホニル−ヒドラジド(TSH)、
4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニル−ヒドラジ
ド)(OBBH)等を例示することができる。
【0036】無機系気孔化剤としては、例えば、重炭酸
ソーダ、重炭酸アンモニウム、炭酸ソーダ、炭酸アンモ
ニウム、亜硝酸アンモン等が挙げられる。
【0037】高分子化合物としては、例えば、ポリビニ
ルアルコール(PVA)、メチルセルロース(MC)、
ポリ(メタ)アクリレート(PA)、ポリビニルブチラ
ール(PVB)、ポリウレタン(PU)、アラビアゴ
ム、パラフインワックス等を例示することができる。
【0038】以上に述べたものの他、気孔形成機能を有
する化合物として、尿素、チオ尿素、シアヌル酸、メラ
ミンシアヌレート(MCY)、ナフタレン、アルキン酸
ナトリウム、ステアリン酸、アルキン酸ナトリウム、メ
チル(メタ)アクリレート等もまた気孔化剤として使用
することができる。
【0039】以上に述べた如き気孔化剤の使用量は、気
孔化剤の種類、焼結体に望まれる気孔率の程度、ガス透
過率等に応じて異なり、必要量は個々の場合に応じて小
規模の実験を行なうことにより容易に決定しうるが、一
般には、(A)成分、(B)成分及びバインダーの合計
100重量部に対して5〜70重量部、好ましくは10
〜30重量部の範囲内で使用することができる。
【0040】上記の如くして得られる配合物は次いで粉
砕・混合される。この粉砕・混合は通常行なわれている
と同様に、ボールミル、アトライター、振動ミル、リボ
ンブレンダー等の粉砕・混合装置を用いて行なうことが
でき、これによって配合材料の粒径が一般に1.5ミク
ロン以下となるようにすることが望ましい。
【0041】このようにして得られる均一な分散配合物
は次いで乾燥して分散媒体を除去する。乾燥は常法に従
いスプレージライヤー、ヘルシエルミキサー、真空乾燥
機等の乾燥機を用いて実施することができ、それによっ
て分散媒体の含有量が約0.01重量%以下になるまで
乾燥することが好ましい。
【0042】例えば、真空乾燥機中で乾燥を行なう場合
の乾燥条件の一例としては、温度10〜80℃、好まし
くは30〜60℃、真空度10-1〜10-3mmHg及び
時間3〜5時間が挙げられる。なお、このような乾燥工
程で発泡を開始するおそれのある気孔化剤を配合する場
合には、気孔化剤は、上記乾燥工程の後に配合し混合す
ることが好ましい。
【0043】このようにして乾燥した分散配合物は次い
で、成形機によって、所望の用途に応じた形状の型枠を
用いて成型する。成形機としては主として、ラバープレ
ス機や粉末プレス機等の加圧成形機が使用されるが、場
合によっては、押出成形機や射出成形機も使用可能であ
る。押出成形又は射出成形によって成型する場合は、配
合物の流動性を高めるため、適宜可塑剤、溶剤等を添加
することも可能である。
【0044】上記加圧成形機で成形する場合、その成形
圧力は配合組成などによっても異なるが、一般には、
0.5〜2.0t/cm2、好ましくは1〜1.5t/cm
2の範囲内が適当と思われる。また、鈴木壽編「超硬合
金と焼結硬質材料−基礎と応用−」309〜372頁
(昭和61年2月20日、丸善(株)発行);セラミッ
クス編集委員会講座小委員会編「セラミックス製造プロ
セス−粉末調整と成形−」214〜219頁(昭和59
年10月初版、社団法人セラミックス協会発行);素木
洋一著「セラミックス製造プロセスI」239〜241
頁(1978年10月10日第1版、技報堂出版(株)
発行)等の文献に記載の方法も適用することができる。
【0045】上記の如くして得られる成形物は真空中又
は不活性ガス雰囲気中で焼結する。その際に適用しうる
真空度としては一般に、10-1〜10-4mmHg程度、
好ましくは10-1〜10-3mmHgの範囲内が適当であ
り、また、不活性ガスとしては例えばアルゴン、ヘリウ
ム、窒素等が挙げられる。
【0046】焼結条件は原料組成や成形物の形状、成形
条件等に応じて広い範囲にわたって変えることができる
が、比較的低温において有機物をほぼ完全に除去した後
に昇温することが望ましく、焼結温度は通常約1200
〜約1700℃、特に約1300〜約1600℃の範囲
内が適当であり、また、焼結時間は大体0.5〜3時
間、殊に1〜2時間とすることができる。
【0047】これにより、焼結過程で配合された気孔化
剤が分解又は気化して、焼結体は発泡し多孔質化する。
【0048】また、気孔化剤を用いないで焼結体を多孔
質することも可能であり、その方法としては、前記乾燥
工程の後、成形加工を行って、配合物を団塊化し、次い
でこれを、粗砕、分級した後、所望の形状に成形加工処
理し、これを焼結する方法が挙げられる。
【0049】以上述べた如くして製造されるガス透過性
を有する多孔質焼結体は、もしそれが金型部材として完
全な形に成形されているときは、そのまま金型部材とし
て使用することができ、また、それが金型部材の一部部
品として成形されているときには、他の材質、例えば、
主としてダイス鋼、ステンレス鋼、タングステン、モリ
ブデン等の金属または合金製の金型部品と共に組立てて
金型部材とすることができる。
【0050】本発明により提供される金型部材のいくつ
かの具体例を添付図面を参考しながらさらに説明する。
【0051】図1は、一方の成形用金型の主たる部分が
多孔質焼結体からなる成形用金型の断面の概略図であ
り、図1において、(1)が通常の金型成形用材料、例
えば主としてダイス鋼、ステンレス鋼、タングステン、
モリブデン等の金属または合金よりなる成形用金型、
(2)がそれに対向する成形用金型であり、その熔湯と
接触する部分が多孔質焼結体(3)で構成されており、
この多孔質焼結体の熔湯と接触する側と反対の側は、該
金型に設けられた脱気孔(4)に連絡されている。しか
して、該焼結体(3)は成形用金型としてこの役割を果
たすと共に、脱気孔(4)と共働して、注入口(5)か
ら注入される熔湯に対するガス抜き路を構成する。その
際、焼結体(3)には、場合により、点線で示すよう
に、金型の外部に向って開孔した孔を設けることができ
る。
【0052】また、図2は、成形用金型の脱気孔部分に
のみ多孔質焼結体を用いた場合の成形用金型の断面概略
図であり、対向する1対の成形用金型(1)、(2)の
一方の成形用金型(1)の注入口(5)と反対側の隅に
設けられた脱気口(4)の熔湯と接する側に多孔質焼結
体(3)を組込み、それにより、熔湯が脱気孔に流入す
るのを阻止すると共にガス抜き路としての役割を果させ
ることができる。この場合にも、前記と同様、焼結体
(3)には、必要に応じて、点線で示すように、金型の
外部方向に開孔した盲孔を設けてもよい。
【0053】さらに、図3は、多孔質焼結体を中子ピン
に用いた場合の成形用金型の断面概略図であり、中子ピ
ン(6)全体が多孔質焼結体で構成され、この中子ピン
(6)はその支持固定金具(7)に設けられた脱気孔
(4)と共働してガス抜き路を形成する。
【0054】以上述べた本発明の金型部材は、少なくと
もそのガス抜き路部分をガス透過性の多孔質焼結体で構
成することができるので、本発明の金型部材を用いれ
ば、鋳造時に発生する気体を該焼結体を通じて自由に系
外に拡散、脱気させることが可能であり、鋳巣(巣)を
含まない高品質の鋳造物をつくることができる。
【0055】しかも、本発明の金型部材は、機械的強度
が大きく、耐熱性、耐腐食性、熔着性等に優れたサーメ
ット系焼結体を使用しているので、金型寿命を延ばすこ
とができると共に、鋳造製品の精度と歩留を向上させる
ことができる。
【0056】かくして、本発明の金型部材は、例えば、
鋳鉄、鋼鉄、銅合金、アルミニウム、軽合金、非鉄合金
等の鋳造成形に使用することができる。
【0057】次に実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0058】
【実施例】
実施例1(鋳造用金型部材の調製) 原料粉末として、平均粒径1.5μmのTiC及びTi
N、平均粒径1.2μmのWC、平均粒径3μmのMO2
C及びMo、平均粒径1μmのVC及びNbC、平均粒径
3.2μmのTaC、平均粒径3μmのNi、並びに平均
粒径2μmのCo粉末をそれぞれ下記表1に記載のとお
り配合し、次いでこれらの原料粉末30重量部に、アセ
トン(有機溶剤)25重量部及びパラフイン(バインダ
ー)2.5重量部をそれぞれ添加し、ボールミルで72
時間粉砕混合した後、80℃、減圧度10-3mmHgの
条件下で5時間減圧乾燥した。このようにして得られた
粉末100重量部とメラミンシアヌレート(気孔化剤)
10重量部とを均一混合した後、粉末プレス機によりプ
レス圧1t/cm2の条件で20×20×3.5m/mの
プレート及び外径30m/m、長さ20m/mの中子ピ
ンにそれぞれ加圧成形した。
【0059】これらの成形体を1360〜1500℃、
減圧度10-3mmHgの条件下で1時間焼結し、多孔質
のプレート及び中子ピンを得た。以後これらの部材を実
施例用の試料として使用する。
【0060】一方、比較対照用試料として、タングステ
ン/モリブデン(モル比:50/50)の合金板(アマ
ックス社製、5MW)を切削加工して、実施例1と同じ
寸法の気孔のないプレート及び中子ピンを作成した。ま
た、直径約0.1〜0.2m/mの粒状SKD鋼又は直径
約0.1〜0.2m/mの粒状のSUS304鋼をそれぞ
れ約1000℃で焼結し、さらに直径0.1〜0.5m/
mの粒状のアルミナを1650℃で焼成して実施例1と
同じ寸法の多孔質のプレート及び中子ピンを調製した。
【0061】このようにして得られた多孔質のプレート
はいずれも気孔率が40〜43%、気孔面積率が38〜
44%、肉厚5m/m換算における5kg/cm2圧縮
空気の室温におけるガス透過量が13〜15Nl/cm
2であった。
【0062】
【表2】
【0063】このようにして得られたプレートは、金型
部材としての基本特性である耐蝕性、耐熔着性及び機械
的、熱的衝撃強度の評価用試料として用い、中子ピンは
金型部材としての実用性を評価するための試料として用
いた。
【0064】実施例2(鋳造用金型部材の評価) 実施例1で調製したプレート及び中子ピンの評価を以下
のとおり行った。
【0065】(1) 素材の評価 Znを740℃そしてAlを800℃でそれぞれ加熱熔融
した2つの温度槽中に、実施例1で調製したプレートを
5分間浸漬し、これを引き揚げて室温に冷却した。この
ような浸漬及び冷却を10サイクル繰返し、プレートの
耐蝕性及び耐熔着性を調査した。その結果を下記表2に
示す。これら特性の評価基準は次のとおりである。
【0066】(イ)耐蝕性 ◎----腐食が全く見られず、耐触性に優れている。
【0067】〇----腐蝕がごく僅かに見られるが実用上
ほとんど問題にならない。
【0068】△----腐蝕が見られ、実用的に少々問題と
なる。
【0069】×----腐蝕が顕著であり、実用性が全くな
い。
【0070】(ロ)耐熔着性 Al温湯槽を使用して以下のとおり評価した。
【0071】◎----熔着が全く見られず、耐熔着性に優
れている。
【0072】〇----熔着がごく僅かに見られるが実用上
ほとんど問題にならない。
【0073】△----熔着が見られ、実用的に少々問題と
なる。
【0074】×----熔着が顕著であり、実用性が全くな
い。
【0075】(ハ)曲げ強度 JIS R1601に準拠して曲げ強度を測定した。
【0076】◎----曲げ強度が1000MPa超で極め
て高い強度であった。
【0077】〇----曲げ強度が1000〜500MPa
であり実用的に使用可能である。
【0078】×----曲げ強度500MPa未満であり、
実用性が全くない。
【0079】(ロ)耐熔着性 (2) 実用性の評価 図3に示す成形用金型を用い、中央に30mmφの円形
の穴と四辺に5mmφの円形の小穴とを有する100×
80×15mmのプレートをアルミニウムで鋳造し、実
施例1で調製した中子ピンの実用性を評価した。500
0回試打したところで、鋳造品の寸法精度及び切断面の
巣の状態を調査した。その結果を下記表2に示す。
【0080】実用性の評価基準は次のとおりである。
【0081】(イ)寸法精度 ◎----寸法精度が極めて良好である。
【0082】〇----鋳造品のコーナー部分の寸法精度
が、ごく僅か低下しているものの、実用的にはほとんど
問題にならない。
【0083】△----鋳造品のコーナー部分の寸法精度が
低下し、実用的に問題となる。
【0084】×----鋳造品全体の寸法精度が低下し、実
用性が全くない。
【0085】なお、試打回数が5000回に至る前に既
に、精度が低下してしまった場合には、その試打回数を
( )内に示す。
【0086】(ロ)巣の有無 〇----巣が全く見られない。
【0087】△----巣が僅かに見られるが、用途によっ
ては実用的に使用される。
【0088】×----巣が見られ、実用性がない。
【0089】(ハ)金型部材の実用性 表2の試験結果より、金型部材の実用性を総合的に評価
した。
【0090】◎----実用的に極めて優れている。
【0091】〇----従品素材に比較しても優れており実
用的に優れている。
【0092】△----実用的に使用するには問題がある。
【0093】×----実用的に使用できない。
【0094】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の金型部材を組込んだ成形用金型
の一例の断面概略図である。
【図2】図2は本発明の金型部材を組込んだ成形用金型
の他の一例の断面概略図である。
【図3】図3は本発明の金型部材を組込んだ成形用金型
のさらに別の一例の断面概略図である。
【符号の説明】
1,2 成形用金型 3 多孔質焼結体 4 脱気孔 5 注入口 6 中子ピン 7 支持固定金具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 38/00 303 Z C22C 1/08 F

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形用金型部材の少なくとも一部が、 (A)周期律表の第IVa〜VIa族の元素の炭化物及
    び窒化物から選ばれる少くとも1種の成分と、 (B)鉄族元素から選ばれる少なくとも1種の成分より
    なるガス透過性多孔質焼結体で構成されていることを特
    徴とする成形用金型部材。
  2. 【請求項2】 多孔質焼結体が少なくとも成形用金型部
    材のガス抜き路を構成している請求項1記載の成形用金
    型部材。
  3. 【請求項3】 (A)成分の少なくとも一部が炭化チタ
    ン及び/又は窒化チタンである請求項1記載の成形用金
    型部材。
  4. 【請求項4】 (B)成分がニッケル及び/又はコバル
    トである請求項1記載の成形用金型部材。
  5. 【請求項5】 多孔質焼結体が5〜70%の気孔率及び
    5〜70%の気孔面積率を有する請求項1記載の成形用
    金型部材。
  6. 【請求項6】 多孔質焼結体が1〜100Nl/cm2
    ・minのガス透過量を有する請求項1記載の成形用金
    型部材。
  7. 【請求項7】 多孔質焼結体が金型の外部方向に開孔し
    た盲孔を有する請求項1〜6のいずれかに記載の成形用
    金型部材。
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KR101451798B1 (ko) * 2013-10-01 2014-10-16 주식회사 코다코 다이캐스트 금형의 가스제거장치

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