JPH0615272Y2 - ヒートポンプ集放熱パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、暖冷房・給湯等に使われるソルエアヒートポ
ンプの屋外パネルに関する。

従来の技術 ヒートポンプ（以下、ＨＰと略す）の屋外ユニットとし
て、太陽熱と空気熱を利用する暖冷房（給湯）システム
は、本出願人のソルエアＨＰが最初の実用化例である。

近年、給湯用などで同種の装置が実用化されつつある
が、冷房まで行えるものは、ソルエアＨＰ以外に見当た
らない。

この種のソーラーヒートポンプのパネル構造としては、 （）黒色パネルを鉛直設置したもの（実公昭57−1236
3号記載のソルエアＨＰ） （）クロスフィンチューブを黒色塗装したもの （）ガラスの無いソーラーコレクタ（米国、オー
ストラリアに商品化例あり） （）その他（黒色ポリエチレンチューブに不凍液循
環など、西独） などがある。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記（）にあっては、着霜時の性能
低下が大きく、また（）、（）にあってはパ
ネル面への積雪で運転（集熱）不能になり易く、（
）にあっては、性能が悪いので、装置が大きくなる。
などの問題がある。

それに対して、（）は以上の問題をかなり解決してい
るが受光面が鉛直なので、太陽光入射角が小さく、（す
なわち、単位面積当りの太陽エネルギ量が小さく）これ
を補うために、黒色塗装面積を大きくする必要があるこ
と、および、空気熱交換面積（受光面積の約２倍）が限
定されるので、空気熱源能力が（太陽熱源能力に対して
（相対的に不足する場合があった。

上記塗装の問題は、耐候性の良い高級品（フッ素樹脂系
など）を使用する場合などには、大きなコスト要因とな
る。

問題点を解決するための手段 本考案は上述の問題点を解決せんとしてなされたもの
で、本考案は、冷媒管部を一体に有し実質的に平坦な上
部パネル面と、前記冷媒管部の軸線と平行に延在し下方
に突出するフィンを一体的に形成した下部パネル面とを
有し、アルミニウム押し出し成形で一体形成したパネル
単位を、前記上部パネル面をその上にガラス等の透光板
を用いずに直接太陽に向けて前記軸線の一方を上、他方
を下に傾斜させて配設して成るヒートポンプ集放熱パネ
ルにある。

作用 本考案によれば、パネル設置角度を斜めにして、太陽光
入射角をより大きくすることによって受光面積を小さく
でき、同時に、十分な空気熱交換能力を確保した上に、
着霜や積雪しても集熱能力低下が少ない。

実施例 第１ａ図、第１ｂ図および第１ｃ図に示すように、本考
案の集放熱パネル１０は、冷媒の流れる冷媒管部４を一
体に形成し実質的に平坦な上部パネル面５と、冷媒管部
４の軸線と平行に延在し下方に突出するフィン１を一体
的に形成した下部パネル面６とをそなえたアルミニウム
押し出し成形のパネル単位から成る。このパネル単位の
各冷媒管部４はヘッダ２にまとめられ、このヘッダ２に
は出入口の接続管３が接続してある。ヘッダはディスト
リビュータ形式でも良い。

パネル１０の表面は黒色塗装し、第２図に示すように普
通の太陽熱集熱器のように、太陽に向けて（南に向け
て）、前記軸線の一方を上、他方を下に傾斜させて設置
される。ただし、このパネルではガラス等の透光板を用
いない。パネルは接続管３によりヒートポンプの冷媒回
路に接続され集熱時は冷媒蒸発器として働いて太陽熱を
集熱する。第２図で、１０は集放熱パネル、１２は圧縮
機、１３は冷媒・水熱交換器、１４は四方切替弁、１５
は膨張装置、１６は冷温水配管、１７は冷媒配管を示
す。冷媒としては、Ｒ２２，Ｒ１２，Ｒ１１４などが用
いられる。

日射の得られない時（曇天、夜間など）は外気から集熱
するが、この時は一般に、パネル温度は外気よりも１０
゜C前後低下する。

放熱時（冷房など）は四方切替弁によってパネルが冷媒
凝縮器として働くようになり、熱交換器１３では冷水を
作る。この時、日射は放熱の妨げになるので、一般に夜
間に放熱運転を行い、冷水や氷の形で蓄冷する。このた
め、安価な夜間電力が利用できる。氷蓄熱の場合は、冷
媒水熱交換器１３の替りに製氷コイルを用いる。

なお、パネル上面の処理については、黒色塗装に限定さ
れず、有彩色の暗色でも同様の集熱効果がある。さらに
これは着色アルマイト、化成処理（アルミ）、酸化皮膜
（銅）などでも良い。また選択吸収面にすれば集熱性能
が向上する。

放熱（冷房時など）が主体になる場合は、昼間の放熱運
転を考慮して、白色系にする場合もある。その中間とし
て、灰色系の場合もあり得る。

上面は実質的に平らということであり、わずかの起伏や
フィン（しかし、下面フィンよりは明らかに少ない）を
設けることもできよう。下面フィンの形状については、
第１ｃ図のごとく、互いに平行なものの他、冷媒管４よ
り斜めに生えたもの等があり得る。設置角度は０°（水
平）から９０°（鉛直）の範囲内である。いずれの角度
でも、フィン付面（下面）には積雪しないので、空気集
熱能力は確保でき、本考案の精神に沿っている。

考案の効果 本考案の効果を列記すれば次のとおりである。

（）上面（黒色塗装面）は、主に太陽熱集熱面として
働く。下面（フィン形成面）は、主に空気集熱面として
働く。日射が弱い時は、パネル温度が空気よりも数度低
い状態で運転されるので、太陽熱と空気熱の両方が吸熱
できる。

（）降雪時には、上面のみに積雪し、下面には積雪
しない為、空気熱源能力の低下が少ない。

（）フィン間隔を大きくすれば（実質的２cm以
上）着霜による能力低下も少ない。

（）軸線と平行で下方に突出するフィンの存在によ
り外気との対流熱交換性能が向上する。

すなわち、冷房放熱時には、パネルの温度が上り空気が
熱せられて軽くなり上へ流れること（煙突効果）が利用
できる。暖房集熱時には逆に空気が冷やされて下に流れ
て熱交換（空気よりの吸熱）が促進される。

（）冷媒管部の管路内部の冷媒流動が促進される。特
に冷房放熱時には、パネル内部で冷媒が液化するが、本
考案によれば液冷媒が速やかに排出できる。

（）アルミニウムの押し出し成形ゆえ、良好な伝熱
特性と低コストに加えて、強度が充分に出せ、その上軽
量で美観を呈する。

（）透光板がないので、放熱（冷房など）時は上
面が効果的なふく射放熱面（赤外線放射も併用）とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図は本考案集放熱パネルを構成するパネル単位の
平面図、第１ｂ図はその側面図、第１ｃ図はそのＩｃ−
Ｉｃ線に沿う断面図、第２図は本考案集放熱パネルの配
置を示す略図である。 １……フィン、２……ヘッダ、３……接続管、４……冷
媒管部、５……上部パネル面、６……下部パネル面、１
０……パネル単位。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】冷媒管部（４）を一体に有し実質的に平坦
   な上部パネル面（５）と、前記冷媒管部（４）の軸線と
   平行に延在し下方に突出するフィン（１）を一体的に形
   成した下部パネル面（６）とを有し、アルミニウム押し
   出し成形で一体形成したパネル単位を、前記上部パネル
   面（５）をその上にガラス等の透光板を用いずに直接太
   陽に向けて前記軸線の一方を上、他方を下に傾斜させて
   配設して成るヒートポンプ集放熱パネル。