JPH06150981A - 電池の残存容量計 - Google Patents
電池の残存容量計Info
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- JPH06150981A JPH06150981A JP4321482A JP32148292A JPH06150981A JP H06150981 A JPH06150981 A JP H06150981A JP 4321482 A JP4321482 A JP 4321482A JP 32148292 A JP32148292 A JP 32148292A JP H06150981 A JPH06150981 A JP H06150981A
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Abstract
ムで監視することができ、温度変化や経年変化の影響を
加味した残存容量の監視のみならず、異常状態の検知も
可能な電池の残存容量計を提供すること。 【構成】電池1の物理的特性に適合するような、その残
存容量をパラメ−タとし、放電電流および端子電圧の関
係を代表する電池モデル5を準備し、放電電流および端
子電圧の一方の実測値を前記電池モデル5に代入して放
電電流および端子電圧の他方の推測値を演算し、前記推
測値の実測値に対する偏差が小さくなるようにパラメ−
タを修正し、前記偏差が十分に小さくなったときのパラ
メ−タ値を、電池1の残存容量として出力する。
Description
し、特に負荷を遮断することなくリアルタイムで、しか
も温度補償や経時変化補正も容易な電池の残存容量計に
関する。
電気自動車が注目を浴びている。また電力系統の有効運
用や自然エネルギ利用のための電力貯蔵用電池、または
各種制御装置の非常用電源としての電池も注目されてい
る。その他の分野でも、電池を利用した分散電源が実用
されるようになっており、これらの場合の電池の効率的
な運用のためには、電池の充放電制御を的確に行なう必
要がある。これに伴なって、電池の残存容量をなるべく
高い精度で、しかも運転状態に影響を与えることなしに
常時測定することが望まれている。
(1)電解液の比重が鉛蓄電池の残存容量と比例関係に
あることを利用する比重計方式、(2)放電電流の積算
値を使用開始時の電池容量から減算して残存容量を求め
る電流積算方式、(3)無負荷時の電池の端子電圧すな
わち開路電圧が鉛蓄電池の残存容量と比例関係にあるこ
とに基づいて残存容量を推定する開路電圧方式、(4)
放電(負荷)電流とその時の電池端子電圧との関係を利
用する電圧電流方式などが知られている。
動に弱いので、特に自動車用などには不適である。電流
積算方式は、使用開始時の電池容量を正確に測定するの
が難しく、また経年変化などの影響が大きいという難点
がある。開路電圧方式は、無負荷時の電池の端子電圧す
なわち開路電圧が残存容量の関数になるという電池特性
を利用したもので、負荷電流を遮断した後ある程度の時
間をおいてから開路電圧を測定しなければならない点
で、実用上の難点がある。
パラメ−タを持ったモデルで鉛電池を代表させ、その負
荷電流および端子電圧の計測値と電池の電流電圧特性と
から、そのときの開路電圧を推定し、このように推定し
た開路電圧を開路電圧対残存容量の関係特性に当てはめ
て残存容量を推定することが提案されている(平成4年
4月発行の電気学会誌、第112巻第4号、第259〜
267頁)。
圧電流特性に関係するという電池特性を利用するもので
ある。具体的には、測定対象の電池の標準温度(摂氏3
0度)における電圧対電流特性曲線またはテ−ブルを、
電池残存容量をパラメ−タとして準備しておく。測定時
の温度における電流および電圧のサンプル値を、標準温
度における値に補正した後、前記電圧対電流特性曲線ま
たはテ−ブルに当てはめて測定時の温度における残存容
量を求める。なお必要に応じて、補間演算を行なうこと
もできる。
定値を用いたり負荷電流を遮断したりすることなしに、
しかも連続的かつリアルタイムに残存容量を検知できる
ので、多くの用途に対して実用的であり、特に電気自動
車のように振動の多い対象に用いるものとしては好まし
いと考えられる。なお電圧電流方式の詳細については、
例えば実願平3−18430号の明細書に記載されてい
る。
は、負荷時の実測端子電圧から電池モデルを用いて開路
電圧を推定し、このように推定した開路電圧を用いてさ
らに残存容量を推定するので、推定が多重になり、また
前記モデルが電池の物理的特性と関連付けられていない
ので、経年変化や温度変化などに対する補正が容易でな
く、高い測定精度が期待できないという問題が予想され
る。
使用される電圧対電流特性曲線またはテ−ブル自体があ
る特定の動作条件下で得られた電圧、電流から作られた
ものであるから、これと異なる条件下で得た電圧、電流
をこの特性曲線またはテ−ブルに適用した場合、必ずし
も残存容量の真値が得られず、大きな誤差を生ずる恐れ
があり、また電池特性の経年変化や温度変化に対する補
正が十分できないと言う問題がある。さらに、測定電
流、電圧に重畳する雑音が大きく、したがって求める残
存容量の変動も大きい時に、移動平均フィルタで平均化
しようとすると、位相遅れによる誤差を避けるのが困難
になる。
る電圧電流方式による電池の残存容量計を提供すること
にある。
するような、その残存容量をパラメ−タとし、その放電
電流および端子電圧の関係を代表する電池モデルを準備
しておき、放電電流および端子電圧の一方の実測値を前
記電池モデルに代入して放電電流および端子電圧の他方
の推測値を演算し、前記推測値の実測値に対する偏差に
基づいて、前記偏差が小さくなるようにパラメ−タを修
正し、前記偏差が十分に小さくなったときのパラメ−タ
値を、電池の残存容量として出力する。温度変化に対す
る補正として、ある周囲温度での、残存容量をパラメ−
タとする電圧電流特性と標準温度での電圧電流特性との
間の座標変換式を記憶しておき、前記ある周囲温度で実
測された放電電流および端子電圧を、前記座標変換式に
よって標準温度での値に変換した後、変換された標準温
度での放電電流および端子電圧実測値に基づいて、電池
の残存容量を演算する。また電池モデルを表わす諸係数
の、初回充放電時の値を基準としたn回目放電時の値の
変化量または変化率が予定の閾値を超えた時は、前記諸
係数を修正して電池モデルの経時変化を補正できる。
ムで監視することができ、さらに温度変化や経年変化の
影響を加味した残存容量の監視も可能となるのみなら
ず、異常状態の検知も可能である。また、電池の残存容
量がデジタル量として演算できるので、これを遠方の中
央装置に伝送して集中管理することも容易になる。
する。図1は本発明の原理的構成を示すブロックであ
る。測定対象の電池1には負荷2(例えば、電気自動車
の駆動用モ−タなど)が接続され、負荷電流すなわち電
池1の放電電流iは電流計3で検出される。負荷2の大
きさが負荷制御部4(例えば、電気自動車のアクセルペ
ダル)によって制御されると、放電電流iが変化し、こ
れに応じて電池1の端子電圧vも変化する。電圧vは電
圧計10で測定される。電池モデル5としては、後述す
る(1)式のような、電池1の推定端子電圧Vesとその
ときの放電電流iおよび電池1の残存容量θ(モデルの
パラメ−タとなる)の間の関係式が用いられる。検出さ
れた放電電流iの値が前記モデルの式に代入されて推定
端子電圧Vesが演算される。
給されて実測端子電圧vと比較される。比較器6の出力
すなわち、推定端子電圧Vesと実測端子電圧vとの差は
電池モデル5の電池1に対する近似度すなわち収束度合
いを表わす。したがって、前記差を収束判定部7に供給
してこれが閾値以下に十分収束しているか否かを判定
し、収束していないときは、前記差を電池モデルにフィ
−ドバックしてそのパラメ−タを修正する。図1の例で
は、残存容量修正部8で前記差が小さくなるように電池
モデル5のパラメ−タすなわち残存容量θを修正する。
電池モデル5では、修正された残存容量θと実測電流値
iを用いて推定端子電圧Vesを演算し直す。
電圧Vesの演算およびパラメ−タθの修正を繰り返し、
推定端子電圧Vesと実測端子電圧vとの差が十分小さく
なったときは、電池モデル5が電池1の実態を代表して
いると考えられるので、収束判定部7は出力制御部9を
制御してそのときの電池モデル5のパラメ−タを残存容
量θとして出力する。以上のようにして、本発明によれ
ば、電池1の負荷を遮断することなく、その放電電流と
端子電圧を測定するだけで、電池モデル5を電池1の実
態に整合するように修正して残存容量θを検知すること
ができる。
る。本発明では、上述のように、電池1の端子電圧v
が、そのときの放電電流iと電池1の残存容量θとの関
数であること、および電池の物理的諸性質を考慮し、こ
の実施例では、ある時刻tにおける電池モデル5をつぎ
の2次式(1)で表わすこととした。 Ves(t,θ)=g{i(t),θ} =a0 (θ)+a1 (θ)・i(t) +a2 (θ)・i2 (t) … (1) 式(1)において、a0 (θ)、a1 (θ)、a
2 (θ)は電流iに対しては定数であるが、パラメ−タ
である残存容量θに対しては変化するものである。なお
以下においては、定数に付けた(θ)は省略し、単にa
0 、a1 、a2 と表記する。
電圧であるから、いわゆる無負荷開路電圧に相当するも
ので、電池の残存容量や、経年変化、周囲温度などに関
係する。何故ならば、電池の反応が進むにつれて電解液
の濃度が低下し、極板に反応物質が溜って実効的な極板
面積が減少するので、残存容量は減少する傾向にあるか
らである。一方、周囲温度が上昇すれば、反応が活性化
するので無負荷開路電圧は上昇する。本発明者らの考察
によれば、定数a0 は残存容量の減少に伴なって減少す
る。
すので、電池の内部電気抵抗に相当すると考えられる。
残存容量の低下や経年変化にともなう電解液の濃度低
下、極板中の不活性物質の蓄積、および極板の充填物質
の脱落などによって、電圧降下は増加するので、電池の
内部電気抵抗は増大する。したがって定数a1 の極性は
負であり、絶対値は残存容量の減少に伴なって増大す
る。また温度変化に対しては、定数a0 と同様に、周囲
温度が上昇すれば反応が活性化するので、電圧降下を減
少させる方向に作用する。
下に影響するので、電池の分極作用に依存するものと解
され、やはり残存容量に関係する。本発明者らの考察に
よれば、定数a2 は、放電の初期と末期で比較的大き
く、その中間では小さい。すなわち電池の残存容量が十
分大きい時には定数a2 は幾分大きく、残存容量の減少
に伴なって徐々に小さくなり、残存容量がさらに少なく
なると再び徐々に増加する傾向が見られた。
の関連性、ならびに各係数の変化傾向に関する考察に基
づき、この実施例では、各係数a0 〜a2 を残存容量θ
に関する2次曲線で代表させ、それぞれつぎの(2)〜
(4)式で表わすことにした。 a0 =b00+b01・θ+b02・θ2 … (2) a1 =b10+b11・θ+b12・θ2 … (3) a2 =b20+b21・θ+b22・θ2 … (4) そして、電池残存容量に対する各係数の具体的数値例を
図2の(A)〜(C)に示したようにした。もっとも、
これは単なる1例であって適宜に変更可能であり、また
明らかなように、特に電池の種類が変われば当然に変わ
るものである。またこれらの係数a0 〜a2 は、測定対
象の電池について残存容量をパラメ−タとした電圧電流
特性曲線が分かれば実験的に求め得るものである。
構成によって電池1の残存容量を計測または推定する。
このために、ある時点(t−T)から時点tまでの離散
的サンプリングデ−タを用い、推定理論によって時点t
における残存容量を求める方法を以下に説明する。
時点τにおける電池1の実測端子電圧をv(τ)、この
時の残存容量をθ、実測放電電流をi(τ)とし、これ
らを(1)式に代入して得られた端子電圧推定値をVes
(τ,θ)とする。さらに、前記時点(t−T)から時
点tまでのサンプリングデ−タを用い、非線形の最適化
の方法を適用すると、つぎの(5)式の評価関数を最小
にするθを求めることに帰する。この式は、非線形の最
適化の方法としてガウス・ニュ−トン法を適用した例で
ある。
値Ves(τ,θ)をある基準値θ0 のまわりでテ−ラ−
展開し、2次以上の項を省略して線形化すると(6)式
になり、
数が得られる。
なδθ、すなわち(7)式のδθに関する偏微分係数を
零にするδθを求める。このδθは、残存容量の基準値
として先に仮定した初期値θ0 に対する修正量であり、
推定値として得られるので、以下ではδθesと表記す
る。修正量δθesは、つぎの(8)式で表わされる。
θesだけ修正(加減算)して新たな残存容量を仮定し、
(1)式によって再度推定端子電圧Vesを演算する。そ
して前記推定端子電圧Ves(τ、θ)と実測端子電圧v
(τ)との差が十分小さくなるまで、換言すれば、仮定
残存容量θ0 が収束するまで(8)式の演算を繰り返
す。このとき(k+1)番目の仮定残存容量θ0 (k+
1)は、残存容量修正部8において、k番目の仮定残存
容量θ0 (k)をδθes(k)だけ修正することによっ
て得られるので、つぎの(9)式で表わすことができ
る。 θ0 (k+1)=θ0 (k)+δθes(k) … (9) (9)式のθ0 (k+1)が収束したこと(例えば、比
|δθes(k)/θ0(k+1)|の値が予め決めた閾
値εよりも小さくなったこと)が収束判定部7で判定さ
れると、出力制御部9が付勢され、そのときの仮定残存
容量θ0 (k+1)またはθ0 (k)が電池の残存容量
を示す信号として出力される。
よび上述した演算における信号の流れを示すブロック図
である。その内容は上述の説明から自明であり、容易に
理解できるので重複した説明は省略する。
を用いて推定した端子電圧Ves(点線)と実測した端子
電圧v(実線)との比較を示す図であり、両曲線の対比
の便宜上、同図の(B)にその一部を拡大して示してい
る。これらの図から、本発明によれば、電池の物理的特
性に基づいたモデルを用いたので、良好な精度で電池の
残存容量を推定できること、および実測値には観測ノイ
ズが重畳しているが推定値はこのようなノイズの影響を
受けていないことが分かる。また、(5)式の評価関数
は常に単峰性となり、初期値θ0 をどのような値に設定
しても、必ず真値に収束することが、本発明者らのシミ
ュレ−ションによっても確認された。
パラメ−タとする放電電流対端子電圧の特性曲線は周囲
温度に応じて変化する。すなわち、周囲温度が高いと電
池反応が活性化するので、発生電圧が高くなり、曲線は
全体として電圧軸の正方向に上昇する。また電池内部抵
抗は温度が高いほど小さくなるので、内部抵抗に相当す
る曲線の傾斜は、温度が高いほど緩く、反対に温度が下
がると急峻になり、したがって曲線は全体として立って
くる。
る放電電流対端子電圧特性曲線が、例えば図5(A)に
示すようなものであると仮定すると、この特性曲線を電
圧軸(縦軸)および電流軸(横軸)の方向に平行移動
し、かつ反時計方向に回転すれば、より高い温度、例え
ば摂氏30度における同電池の放電電流対端子電圧特性
曲線に近似できることが分る。図5(B)は、図5
(A)の曲線を平行移動および反時計方向回転して得ら
れたものであり、実質上摂氏30度における同電池の放
電電流対端子電圧特性曲線と見做すことができる。
平行移動および回転は座標軸変換操作に他ならないか
ら、ある電池の標準温度(例えば、30℃)における放
電電流対端子電圧特性曲線(以下、標準曲線という)
と、他の任意の温度での放電電流対端子電圧特性曲線を
標準曲線に合致させるための座標変換の式とが知られて
さえおれば、これと異なる周囲温度T℃での残存容量を
上述した本発明の手法で容易に求めることができる。
得られた放電電流および端子電圧を、予め準備された座
標変換の式またはテ−ブルに代入して標準温度での座標
系の値に変換し、変換後の放電電流および端子電圧値を
標準曲線に適用して残存容量θを求めれば、この値が周
囲温度T℃での残存容量になる。
に、周囲温度T℃で実測された放電電流値をI(T
℃)、端子電圧値をV(T℃)とし、温度T℃での放電
電流対端子電圧特性曲線を標準曲線に合致させるために
必要な座標軸の回転角をα(ラジアン)、横軸(電流
軸)および縦軸(電圧軸)方向の平行移動量をそれぞれ
x、yとし、さらに標準曲線の座標上での放電電流およ
び端子電圧の実測値をそれぞれI(30℃)、V(30
℃)とすれば、これらはつぎの(10)および(11)
式で表わされる。
軸)方向の平行移動量x、yは、もちろん予め種々の温
度について実測して求めることもできる。
yが実質上温度に比例することに基づき、例えば2つの
相異なる温度0℃および30℃における2種の特性曲線
が既知であり、かつこれら両曲線がΔαの座標軸回転、
Δx(30・0)およびΔy(30・0)の軸平行移動
で重なると仮定すると、つぎの内挿式(12)〜(1
4)によって、T℃に対するα、xおよびyの値を予め
求めておいたり、その都度計算で求めたりすることがで
きる。 回転角α={Δα(30・0)/30}(30−T) … (12) 平行移動量x={Δx(30・0)/30}(30−T) … (13) 平行移動量y={Δy(30・0)/30}(30−T) … (14) 以上のようにして、標準温度での放電電流対端子電圧特
性曲線および座標変換の式を準備しておくだけで、任意
の周囲温度における残存容量を容易に求めることができ
る。
係数a0 (θ)、a1(θ)、a2 (θ)、したがって
係数b00〜b22は電池の残存容量のみに依存し、電流i
に対しては変化しないものと仮定した。しかし厳密に
は、これら係数は電池の充放電回数に応じて経時的にも
変化するので、残存容量をより厳密に監視するために
は、前記各係数a0 〜a2 、b00〜b22を経時的に(充
放電回数に応じて)補正することが望ましい。
量は充電を完了して使用を開始した時の容量から、放電
電流の時間積分値に大きく依存して減少する。既知の電
流積算方式の残存容量計は、このことを利用したもので
ある。
り方によっても影響され、大電流による急放電の場合の
方が小電流による緩放電の場合に較べて小さくなる。そ
の主な原因は、放電電流によるジュ−ル熱損失Ri2 に
相当するエネルギ損失を生じるためと考えられる。した
がって、残存容量θの減少速度は放電電流iに比例する
と共に、その比例係数もまた放電電流に比例すると推測
でき、 dθ/dt=f(i)・i と表わすことができる。
な多項式 f(i)=C1 +C2 ・i+……+Cn ・in +… ただし、C1 、C2 …Cn は定数 であるから、これを上式に代入すると、 dθ/dt=C1 ・i+C2 ・i2 +……+Cn ・
in+1 +… となる。
最初の2項、すなわち電流積分値(アンペア時間)に対
応するC1 ・iの項および、電流の放電時の電流二乗損
失に相当するエネルギ積分値(ワット時間)に対応する
C2 ・i2 を用いれば、実用上十分な精度で残存容量を
把握できると考えられる。すなわち、 dθ/dt=C1 ・i+C2 ・i2 とすれば、実用上は十分である。上記の関係式を積分す
ると次の(15)式が得られる。
の残存容量であり、積分項はそれからの電池消費容量と
見ることができる。(15)式のθを前掲の(2)〜
(4)式に代入し、得られた係数a0 〜a2 をさらに
(1)式に代入して離散形で表わすと、時点jでの推定
端子電圧Vdjを表わす式として下記の(16)式が得ら
れる。(16)式による推定端子電圧Vdjは、前掲
(1)式で定義された電池モデルの各係数a0 〜a2 が
(2)〜(4)式で残存容量θの関数として定義された
のに対し、電流iのみの関数として定義される点で相違
する。(1)式のθは、前述のように残存容量そのもの
であったが、(15)式のθは、明らかなように、これ
と幾分その定義を異にするので、以下の説明ではこれを
別の記号φで表わし、またその係数も(2)〜(4)式
のb00〜b22と区別してd00〜d22で表わすことにす
る。
電流値、またij は時点jでの実測電流値である。
C0 〜C2 は、前述の(1)式において係数a0 〜a2
を既知として残存容量θを求めたときと同様に、時点j
までの実測電流値ij 、および時点jでの電圧値vj を
用いて、上記(16)式のVdjに推定理論を適用して求
めることができる。具体的には、電圧の推定値Vdjと実
測値vj の差の二乗和をn個のデ−タ組について求め、
これを評価関数I(d00〜d22、C0 〜C2 )とする。
評価関数Iはつぎの(17)式で表わされる。
(16)式の電圧推定値Vdjを代入して得られる評価関
数Iが最小になるような係数d00〜d22、C0〜C2 を
求める。このためには、上記評価関数を各パラメ−タd
00〜d22、C0〜C2 について偏微分して得られる各式
を0と置くと、パラメ−タ数と同数の連立方程式が得ら
れるので、これを解いて各パラメ−タを求める。
関して行なったのと同じ手法を適用して各パラメ−タ
(係数)の初期値からの修正量を求める。修正量が十分
小さくなったとき、各パラメ−タが収束したと判断して
それぞれのパラメ−タすなわち係数d00〜d22、C0 〜
C2 を推定することができる。このようにして求めた係
数C0 〜C2 を(15)式に代入すると、残存容量を表
わす指標φを求めることもできる。
2 を用いて前記定数a0 〜a2 、b00〜b22の経年変化
を補正するための具体的手法を説明する。電池の使用に
際し、充放電の各サイクルごとに、前述の方法で係数d
00〜d22、C0 〜C2 を求め、第i回目(ただし、1≦
i≦n)の充放電サイクルで得られた係数の推定値をd
00 (i) 〜d22 (i) 、C0 (i) 〜C2 (i) で表わす。1回
目の充放電サイクルで得られた各係数d00 (1) 〜d22
(1) 、C0 (1) 〜C2 (1) に対する、n回目の充放電サ
イクルでの各係数d00 (n) 〜d22 (n) 、C0 (n) 〜C2
(n) の比α00 (n)〜α22 (n) 、αc0 (n) 〜αc2 (n) 、ま
たはこれらの差、一般的には、n回目と(n−r)回目
との差または比などを演算して監視すれば、これらの値
の変化状態(例えば、前記差あるいは比が予め定めた閾
値を超えたこと)からパラメ−タすなわち電池モデルの
経年変化を知ることができる。また変化状態が著しいと
き(異常に早いか、大幅であるなどのとき)は、電池の
異常と判定することもできる。
のためには、例えば、株式会社日科技連出版社1989
年4月10日発行、奥野忠一他著『多変量解析法』第2
78頁(多変数による判別)、東京図書株式会社198
9年11月30日発行,蓑谷千凰彦著『統計的仮説検
定』145頁(推定と検定のはなし)、株式会社培風館
昭和36年9月30日発行、浅井/村上訳『初等統計
学』158頁(仮説の検定)などに詳述されている手法
を利用することができる。
電池モデルに修正を要するような経年変化が生じたと判
定されたときは、前記(2)式のパラメ−タすなわち係
数b00〜b22を修正し、電池モデル5を代表する(1)
式の各係数a0 (θ)、a1(θ)、a2 (θ)を修正
する。そのための具体的手法の1例は次の通りである。
デルのパラメ−タは既知であるので、これらをb00 (1)
〜b22 (1) で表わす。一方、i回目(ただし、1≦i≦
n)の充放電サイクルにおけるパラメ−タd00 (i) 〜d
22 (i) は上述のようにして求められる。まず初期状態で
のパラメ−タbに対する1回目の放電サイクルでのパラ
メ−タdの比kを下記の(18)式のように求めておく
と共に、1回目とn回目の放電サイクルでの各パラメ−
タdの比αをつぎの(19)式のように求める。 k00=d00 (1) /b00 (1) 〜k22=d22 (1) /b22 (1) … (18) α00 (n) =d00 (n) /d00 (1) 〜α22=d22 (n) /d22 (1) …(19) (n+1)回目以降の放電サイクルの残存容量計測に用
いるパラメ−タb00 (n ) 〜b22 (n) は次の(20)式で
得られる。
を用いて電池モデルを修正し、これに基づいてその後の
残存容量を演算すれば経年変化の影響のない、より正確
な残存容量の監視が可能となる。
ラメ−タとして、その放電電流および端子電圧の関係を
数式化した電池モデルを用いる際に、前記放電電流の実
測値を前記電池モデルの数式に代入してその端子電圧の
推測値を演算し、前記推測端子電圧値の実測電圧に対す
る偏差に基づいて、前記偏差が小さくなるようにパラメ
−タである残存容量を修正し、前記偏差が十分に小さく
なってパラメ−タが収束した時、これを求める残存容量
として出力するようにした。
数式に、実測電流ではなくて、実測端子電圧の値を代入
して放電電流の推測値を求め、推測放電電流値の実測値
に対する偏差を0に近付けるようにして残存容量を求め
ることもできる。このために用いる数式は、前述の
(1),(5)〜(8)式において、電圧と電流とを入
れ替えれば良いことは自明であるので、その詳細説明は
省略し、電流推定値Iesおよびパラメ−タ修正量δθes
がそれぞれ次の(21)、(22)式で求められること
を示すに止める。 Ies(t,θ)=p0 (θ)+p1 (θ)・v(t) +p2 (θ)・v2 (t) … (21) ここで、p0 〜p2 はθの関数である。
同様に類推して前述の補正手法を適用できることは明ら
かであろう。また以上では、電池モデルを数式化した例
に付いて説明したが、その代りにテ−ブル(グラフ)化
したモデルを用いても同様の残存容量計を構成できるこ
とは、容易に理解されるであろう。
的特性と関連付けたので、電池の残存容量をより正確に
しかもリアルタイムで監視することができ、さらに温度
変化や経年変化の影響を加味した残存容量の監視も可能
となるのみならず、異常状態の検知も可能である。ま
た、電池の残存容量がデジタル量として演算できるの
で、これを遠方の中央装置に伝送して集中管理すること
も容易になる。
容量に対する各係数の具体的数値例を示す図である。
流れを示すブロック図である。
子電圧端子電圧と実測した端子電圧との比較を示す図で
ある。
と、温度変化による座標軸変換の関係を示す図である。
7…収束判定部 8…残存容量修正部 9…出力制御
部
Claims (9)
- 【請求項1】電池の充放電電流およびそのときの端子電
圧を測定する手段と、 電池の残存容量をパラメ−タとして、その充放電電流お
よび端子電圧の関係を代表する電池モデルと、 前記充放電電流および端子電圧の一方の実測値を前記電
池モデルに代入して充放電電流および端子電圧の他方の
推測値を演算する演算手段と、 前記推測値の実測値に対する偏差に基づいて、前記偏差
が小さくなるようにパラメ−タを修正する手段と、 前記偏差が十分に小さくなってパラメ−タが収束したこ
とを判定する収束判定手段と、 収束したときのパラメ−タ値を、電池の残存容量として
出力する手段とを具備したことを特徴とする電池の残存
容量計。 - 【請求項2】前記充放電電流および端子電圧の一方は電
流実測値であり、ある時刻tにおける電流実測値をi、
そのときの電池の残存容量をθ、推測端子電圧をV
es(t,θ)としたときの電池モデルは次の2次式で表
わされることを特徴とする請求項1記載の電池の残存容
量計。 Ves(t,θ)=a0 (θ)+a1 (θ)・i(t)+
a2 (θ)・i2 (t) ここで、a0 〜a2 はθの関数である。 - 【請求項3】前記a0 〜a2 が次の式で表わされること
を特徴とする請求項2記載の電池の残存容量計。 a0 =b00+b01・θ+b02・θ2 a1 =b10+b11・θ+b12・θ2 a2 =b20+b21・θ+b22・θ2 ここで、b00〜b22は定数である。 - 【請求項4】(t−T)とtとの間のある時刻τにおけ
る電圧実測値をv(τ)、電流実測値i(τ)に基づい
て演算された推測端子電圧をVes(τ,θ0 )としたと
きのパラメ−タθの修正量δθesが、 【数1】 で演算されることを特徴とする請求項1ないし3のいず
れかに記載の電池の残存容量計。 - 【請求項5】ある時点jでの実測電流値をij 、時点k
(ただし、0≦k≦j)での実測電流値をik 、またC
1 、C2 を定数とし、時点jでの推定端子電圧をVdjと
したとき、次の式で表わされる第2の電池モデルと、 【数2】 電池の各充放電サイクルごとに上記式中の係数d00〜d
22を求める手段と、 i回目(ただし、1≦i≦n)の充放電サイクルで求め
られた各係数をd00 (i) 〜d22 (i) としたとき、少なく
とも一部の係数の(n−r)回目からn回目までの変化
状態を監視する手段と、 前記係数の変化状態が予定量を超えた時、前記係数d00
(i) 〜d22 (i) に基づいて前記係数b00〜b22を修正す
る手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項3ま
たは4記載の電池の残存容量計。 - 【請求項6】使用開始初期状態での前記係数b00〜b22
をb00 (1) 〜b22 (1) 、i回目(ただし、1≦i≦n)
の充放電サイクルにおける係数をd00 (i) 〜d22 (i) 、
初期状態での前記係数bに対する1回目の放電サイクル
での係数dの比kおよび1回目とn回目の放電サイクル
での各パラメ−タdの比αをそれぞれ、 k00=d00 (1) /b00 (1) 〜k22=d22 (1) /b22 (1) α00 (n) =d00 n) /d00 (1) 〜α22=d22 n) /d22 (1) とするとき、経時変化補正後のパラメ−タb00 (n) 〜b
22 (n) が次の式で演算されることを特徴とする請求項5
記載の電池の残存容量計。 【数3】 - 【請求項7】前記充放電電流および端子電圧の一方は電
圧実測値であり、ある時刻tにおける電圧実測値をv、
そのときの電池の残存容量をθ、推測充放電電流をIes
(t,θ)としたときの電池モデルは次の2次式で表わ
されることを特徴とする請求項1記載の電池の残存容量
計。 Ies(t,θ)=p0 (θ)+p1 (θ)・v(t)+
p2 (θ)・v2 (t) ここで、p0 〜p2 はθの関数である。 - 【請求項8】(t−T)とtとの間のある時刻τにおけ
る電流実測値をi(τ)、電圧実測値v(τ)に基づい
て演算された推測電流値をIes(τ,θ0 )としたとき
のパラメ−タθの修正量δθesが、 【数4】 で演算されることを特徴とする請求項7記載の電池の残
存容量計。 - 【請求項9】電池の残存容量をパラメ−タとして、その
充放電電流および端子電圧の関係を代表する電池モデル
は、標準温度における電池特性に基づくものであり、 さらに、ある周囲温度での、残存容量をパラメ−タとす
る電圧電流特性と標準温度での電圧電流特性との間の座
標変換式を記憶する手段と、 前記ある周囲温度で実測された充放電電流および端子電
圧を、前記座標変換式によって標準温度での値に変換す
る手段と、 変換された標準温度での充放電電流および端子電圧実測
値に基づいて、電池の残存容量を演算することを特徴と
する請求項1〜8のいずれかに記載の電池の残存容量
計。
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JP32148292A JP3550160B2 (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 電池の残存容量計 |
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JPH06150981A true JPH06150981A (ja) | 1994-05-31 |
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- 1992-11-06 JP JP32148292A patent/JP3550160B2/ja not_active Expired - Fee Related
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