JPH06142060A - 無侵襲温度計測装置 - Google Patents

無侵襲温度計測装置

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Publication number
JPH06142060A
JPH06142060A JP4302267A JP30226792A JPH06142060A JP H06142060 A JPH06142060 A JP H06142060A JP 4302267 A JP4302267 A JP 4302267A JP 30226792 A JP30226792 A JP 30226792A JP H06142060 A JPH06142060 A JP H06142060A
Authority
JP
Japan
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temperature
measurement
antenna
measured
reflection coefficient
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP4302267A
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English (en)
Inventor
Shinji Hatta
信二 八田
Shizuo Mizushina
静夫 水品
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP4302267A priority Critical patent/JPH06142060A/ja
Publication of JPH06142060A publication Critical patent/JPH06142060A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プローブ(アンテナを含む)と測定対象物と
の密着度に影響を受けることなく、適正な測定のみ可能
とする信頼性にすぐれた無侵襲温度計測装置を提供す
る。 【構成】 校正モード時および測定モード時にラジオメ
ータ7の感度を測定し、その各測定感度を用い、さらに
あらかじめ判っているアンテナ4と水槽13内液体との
境界面の電力反射係数Rwを用い、測定モード時のアン
テナ4と生体1との境界面の電力反射係数Rを求める。
この求まる電力反射係数Rと上記あらかじめ判っている
電力反射係数Rwとを比較することにより測定の可否を
判定し、その判定結果を報知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、測定対象物から放出
される雑音電力を受信することにより無侵襲で測定対象
物の温度を測定する無侵襲温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】参照雑音源から発せられる雑音電力をア
ンテナから測定対象物(たとえば生体)に向けて放出
し、同測定対象物で反射される雑音電力および同測定対
象物から放出される雑音電力(マイクロ波成分)をアン
テナで受信し、その受信信号をラジオメータ(radiomet
er)に取込み、ラジオメータの処理により生体の温度を
無侵襲で測定する技術がある。また、マイクロ波を受信
して生体の温度を測定する技術が特公昭63-1064 に示さ
れている。このラジオメータを用いた無侵襲温度計測で
は、アンテナと測定対象物との境界面に電力反射係数が
存在し、それが計測に悪影響を及ぼしてしまう。
【0003】この電力反射係数の影響を除去する手段と
して、バランス法ラジオメトリなる方法が知られてお
り、実際に、参照雑音源から発せられる参照雑音温度を
生体からの熱雑音に合わせて調節し、上記境界面におけ
るラディエーション・バランス(radiation balance )
をとるものがある。このラディエーション・バランス法
ラジオメトリについては、Electronics Letters, Vol.1
4 No.6 194〜196 に示されている。
【0004】ただし、ラディエーション・バランスにお
いては、参照雑音温度の値を正しく把握しておくことが
重要であり、そのため測定の合間など、使用者により校
正モードが設定され、基準温度対象物の温度が参照雑音
温度の参照雑音に対する校正用として測定される。
【0005】また、アンテナとラジオメータとを結ぶ同
軸ケーブルの温度変化が測定値の誤差となって現われて
しまうことに対処し、たとえば特開平3-293526に示され
るように、同軸ケーブルの温度を検知し、その検知温度
に応じて測定値を補正するものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】基準温度対象物の雑音
温度を測定する校正やケーブルの温度に応じての補正
は、ラディエーション・バランスは、校正時の電力反射
係数と測定時の電力反射係数がほぼ等しいことを前提に
成り立つ。
【0007】ところが、プローブ(アンテナを含む)と
測定対象物との密着度などが影響し、校正時の電力反射
係数と測定時の電力反射係数が大きく異なることがあ
る。これは、プローブが体腔内挿入型である場合に起こ
り易く、せっかく校正がなされても、またケーブル温度
補正がなされても、適正な測定が困難となる。
【0008】この発明は上記の事情を考慮したもので、
その目的とするところは、プローブ(アンテナを含む)
と測定対象物との密着度にかかわらず、常に適正な測定
を可能とする信頼性にすぐれた無侵襲温度計測装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、参照雑音源
から発せられる雑音電力をアンテナから測定対象物に向
けて放出し、同測定対象物で反射される雑音電力および
同測定対象物から放出される雑音電力をアンテナで受信
し、その受信信号をラジオメータに供給し、ラディエー
ション・バランスにより上記測定対象物の温度を測定す
る無侵襲温度計測装置において、基準温度対象物の温度
を上記参照雑音源の参照雑音に対する校正用として測定
するための校正モードを設定する手段と、上記測定対象
物の温度を実際に測定するための測定モードを設定する
手段と、校正モード時および測定モード時に上記ラジオ
メータの感度を測定する手段と、この測定される各感度
および上記アンテナと上記基準温度対象物との境界面の
あらかじめ判っている電力反射係数から測定モード時の
上記アンテナと上記測定対象物との境界面の電力反射係
数を求める手段と、この求められる電力反射係数に応じ
て測定の可否を判定する手段と、この判定結果を報知す
る手段とを備える。
【0010】
【作用】この発明では、校正モード時および測定モード
時にラジオメータの感度が測定される。この測定される
各感度を用い、さらにアンテナと基準温度対象物との境
界面のあらかじめ判っている電力反射係数を用い、測定
モード時のアンテナと測定対象物との境界面の電力反射
係数が求められる。この求められる電力反射係数に応じ
て測定の可否が判定され、その判定結果が報知される。
【0011】
【実施例】以下、この発明の第1実施例について図面を
参照して説明する。
【0012】図1において、1は測定対象物であるとこ
ろの生体(体腔内)で、その生体1の任意の箇所にバル
ーン2が当接される。このバルーン2は、体腔内挿入用
のプローブ3の先端周囲に設けられており、図示しない
送水チューブおよび送水ポンプによる外部からの液体の
注入で膨らむことによりプローブ3を生体1の体腔内に
保持する働きをする。
【0013】プローブ3はアンテナ4を有する。このア
ンテナ4はマイクロ波を送受信するもので、同軸ケーブ
ル5およびコネクタ6を介してラジオメータ(マイクロ
波受信器とも称す)7に接続される。
【0014】ラジオメータ7は、内部の参照雑音源から
発せられる雑音電力をアンテナ4に供給し、かつアンテ
ナ4の受信信号を取込み、その受信信号を処理すること
により生体1の輝度温度を測定する。この測定温度は制
御部10に送られる。
【0015】制御部10は、装置全般にわたる制御を行
なうもので、マイクロコンピュータおよびその周辺回路
からなる。この制御部10に、操作部11、表示部1
2、基準温度対象物である校正用恒温水槽13、および
温度計14が接続される。
【0016】操作部11は、動作モードを設定するため
のスイッチやキーボードを有する。表示部12は、モー
ドの表示、測定温度の表示、測定可否の表示などを行な
う。校正用恒温水槽13は、マイクロ波に対する減衰効
果の大きい液体(生理食塩水などの電解液)を収容し、
その液体を制御部10の指令に応じて加熱する機能を有
する。温度計14は、同軸ケーブル5に取付けられる多
点温度センサ15、および水槽13内に挿入される温度
センサ16を有し、温度センサ15を使って同軸ケーブ
ル5の軸方向における温度分布Tc(z)を測定すると
ともに、温度センサ16を使って水槽13内の液体温度
Twを測定する。
【0017】制御部10にはメモリ10aがあり、その
メモリ10aに、ラジオメータ7の測定温度や温度計1
4の測定温度などが逐次に記憶される。さらにメモリ1
0aに、プローブデータとして、アンテナ4と水槽13
内の液体との境界面の電力反射係数Rw、および同軸ケ
ーブル5の長さL、および同軸ケーブル5の電力減衰定
数αがあらかじめ記憶される。電力反射係数Rwについ
ては、ネットワークアナライザ等であらかじめ測定され
る。ラジオメータ7の具体的な構成を図2に示す。
【0018】アンテナ4で受信される雑音電力(マイク
ロ波)がディッキ・スイッチ21を介してサーキュレー
タ22のポートに入力される。ディッキ・スイッチ21
は、同期信号発生器23から発せられる矩形波信号によ
りオン,オフを繰り返し、オン時に同軸ケーブル5とサ
ーキュレータ22の間を導通させる。
【0019】サーキュレータ22は、3つのポートを有
しており、信号伝達方向の順にアイソレータ24、参照
雑音源25、および上記ディッキ・スイッチ21がそれ
ぞれ接続される。アイソレータ24を出た信号はRFア
ンプ26を介してミキサ27に供給される。アイソレー
タ24は、RFアンプ26以降で反射される信号を吸収
する働きをする。
【0020】ミキサ27は、RFアンプ26の出力とL
O端子に入力される減衰器28の出力とを乗算し、減衰
器28の出力周波数を測定用周波数(=中心周波数)と
した周波数変換を行なう。減衰器28は、ミキサ27の
感度調整のために局部発信器29からのマイクロ波電力
を減衰させ、最適なLO端子入力を送り込めるよう調整
されている。
【0021】ミキサ27の出力はIFアンプ30を介し
て検波器31に供給され、そこでDC成分として検波さ
れた後にロックインアンプ32に供給される。ロックイ
ンアンプ32は、上記同期信号発生器23の矩形波信号
に基づいてディッキ・スイッチ21のオン,オフと同期
をとり、そのディッキ・スイッチ21のオン時に入力さ
れる信号電圧とオフ時に入力される信号電圧との差に比
例する電圧信号を出力する。このロックインアンプ32
の出力は制御部10に供給される。制御部10は、次の
機能手段を備える。 [1]水槽13内の液体の温度を参照雑音源25の参照
雑音Tref に対する校正用として測定するための校正モ
ードを設定する手段。 [2]校正モード時、温度計14で測定される液体温度
Twを監視しながら水槽13の加熱を制御し、液体温度
Twを所定値に維持する手段。
【0022】[3]校正モード時、ロックインアンプ3
2の出力電圧が零レベルとなるよう参照雑音源25の参
照雑音温度Tref ´を調節し、これによりアンテナ4と
基準温度対象物(水槽13内の液体)との境界面におけ
るラディエーション・バランスをとり、バランスがとれ
たときの参照雑音温度Tref ´、および温度計14で測
定される同軸ケーブル5の温度分布Tc(z)´を上記
液体温度Twに対応付けてメモリ10aに記憶する手
段。 [4]校正モード時、ラジオメータ7の感度を測定する
手段。
【0023】[5]測定対象物の温度を実際に測定する
ための測定モードを設定する手段。 [6]測定モード時、ロックインアンプ32の出力電圧
が零レベルとなるよう参照雑音源25の参照雑音温度T
ref を調節し、これによりアンテナ4と測定対象物との
境界面におけるラディエーション・バランスをとり、バ
ランスがとれたときの参照雑音温度Tref を測定対象物
の熱雑音温度(輝度温度)Tobj として捕らえる手段。
【0024】[7]測定モード時、温度計14で測定さ
れる温度分布Tc(z)を取込み、さらにメモリ10a
内の校正用データTw,Tref ´,Tc(z)´および
プローブデータを読込み、これら種々のデータを用いた
演算の実行により上記捕らえた温度Tobj を補正する手
段。 [8]測定モード時、補正後の温度Tobj を測定温度と
して表示部12で表示する手段。 [9]測定モード時、ラジオメータ7の感度を測定する
手段。
【0025】[10]校正モードおよび測定モードで測定
した各感度、およびアンテナ4と水槽13内の液体との
境界面のあらかじめ判っている電力反射係数Rwから、
測定モード時のアンテナ4と測定対象物との境界面の電
力反射係数Rを求める手段。 [11]この求めた電力反射係数Rと電力反射係数Rwと
を比較することにより測定の可否を判定する手段。 [12]この判定結果を表示部12で表示(報知)する手
段。 つぎに、上記の構成の作用を説明する。初めに、ラジオ
メータ7の作用について説明する。
【0026】ラジオメータ7では、ディッキ・スイッチ
21がオン,オフを繰返す。ディッキ・スイッチ21の
オン時、参照雑音源25から発せられている参照雑音が
サーキュレータ22およびディッキ・スイッチ21を介
してアンテナ4に送られ、そこからマイクロ波として測
定対象物に向け放出される。
【0027】放出されるマイクロ波は、測定対象物に吸
収されるとともに、一部がアンテナ4と測定対象物との
境界面で反射される。この反射電波は測定対象物が放出
する雑音電力(マイクロ波)と共にアンテナ4で受信さ
れ、その受信信号がディッキ・スイッチ21を介して取
込まれる。このディッキ・スイッチ21のオン時、ロッ
クインアンプ32に入力される電圧Vonは、下式(1)
で表わされる。 Von=k・G・Cd・(1−R)・Tobj ・B +k・G・Cd ・R・Tref ・B ……(1)
【0028】なお、kはボルツマン定数。GはIFアン
プ30までのシステム・ゲイン。Cdは検波器31の感
度定数。Rはアンテナ4と測定対象物との境界面の電力
反射係数。Bは帯域幅。Tobj は測定対象物が放出する
熱雑音温度。Tref は参照雑音源25から発せられる参
照雑音温度である。要するに、測定対象物から放出され
てアンテナ4に入るマイクロ波のエネルギ量は、境界面
で反射される分{Tobj ・R}だけ少なく、{Tobj −
Tobj ・R}と見ることができる。アンテナ4から放出
されて境界面で反射され、再びアンテナ4に入るマイク
ロ波のエネルギ量は、{Tref ・R}と見ることができ
る。このことから、ディッキー・スイッチ21のオン時
にロックインアンプ32に入るエネルギ量は、{(Tob
j −Tobj ・R)+(Tref ・R)}と見ることができ
る。ディッキ・スイッチ21のオフ時は、参照雑音源2
5から発せられる熱雑音のみがサーキュレータ22を通
して取込まれる。このディッキ・スイッチ21のオフ
時、ロックインアンプ32に入力される電圧Voff は、
下式(2)で表わされる。 Voff =k・G・Cd・Tref ・B ……(2) 要するに、ディッキー・スイッチ21のオフ時にロック
インアンプ32に入るエネルギ量は、(Tref )と見る
ことができる。
【0029】ロックインアンプ32は、入力電圧Vonと
入力電圧Voff との差に比例する電圧Vlockを出力す
る。これを下式(3)に示す。なお、Gsys はシステム
全体のゲインである。 Vlock=k・Gsys ・B(1−R)・(Tobj −Tref ) ……(3)
【0030】そして、制御部10により、ロックインア
ンプ32の出力電圧Vlockが零レベルとなるよう、参照
雑音源25の参照雑音温度Tref が調節される。これ
が、アンテナ4と測定対象物との境界面におけるラディ
エーション・バランスである。要するに、R≠1であれ
ば、ラディエーション・バランスがとれたとき、{(T
obj −Tobj ・R)+(Tref ・R)=(Tref )}と
見ることができる。これは、{(Tobj −Tobj ・R)
+(Tref ・R)=(Tref )}であり、よって{Tob
j =Tref }である。
【0031】このとき、制御部10は、参照雑音温度T
ref をそのまま測定対象物の熱雑音温度Tobj として捕
らえることになる。こうして、アンテナ4と測定対象物
との境界面の電力反射係数Rにかかわらず、測定対象物
の熱雑音温度Tobj を直接的に測定することができる。
【0032】なお、測定対象物が生体1である場合、生
体1から放出される雑音電力は微弱であるため、受信信
号がディッキ・スイッチ21以降の処理系のバックグラ
ウンド・ノイズに埋もれてしまうのではないかという心
配があるが、処理系はロックインアンプ32においてデ
ィッキ・スイッチ21のオン,オフに同期した2つの系
統に分かれ、しかも両系統の差検出が行なわれるので、
両系統のバックグラウンド・ノイズは相殺されることに
なり、心配はない。次に、校正モードについて説明す
る。測定の合間など、使用者により、参照雑音温度Tre
f を校正するための校正モードが設定される。
【0033】操作部11で校正モードが設定され、その
開始操作がなされると、制御部10は、水槽13の加熱
動作を開始するとともに、その加熱を温度計14の測定
温度Twを監視しながら制御し、液体温度Twを所定値
に維持する。
【0034】この状態で、プローブ3(アンテナ4を含
む)を液体の充満したバルーン2と共に水槽13内に水
没させると、液体温度Twがラジオメータ7で測定され
る。つまり、アンテナ4と水槽13内の液体との境界面
におけるラディエーション・バランスがとられ、バラン
スがとれたときの参照雑音温度Tref ´が測定温度とし
て捕らえられる。この測定温度Tref ´は、温度計14
で測定される同軸ケーブル5の温度分布Tc(z)´と
ともに、液体温度Twに対応付けされてメモリ10aに
記憶される。なお、zは図1に矢印で示すように同軸ケ
ーブル5の軸方向の位置である。バルーン2内の液体温
度については、水槽13内の液体温度Twに一致するよ
う調節される。
【0035】ある温度範囲で液体温度Twを変化させな
がらこの測定を繰返し実行することにより、メモリ10
aに、液体温度Twと測定温度Tref ´との相関、さら
に液体温度Tw´または測定温度Tref ´と温度分布T
c(z)´との相関がそれぞれ記憶される。
【0036】次に実際の測定では、生体1の体腔内にプ
ローブ3を挿入して任意の箇所でバルーン2を膨らま
せ、プローブ3を保持する。そして、操作部11で測定
モードを設定し、その開始操作を行なう。
【0037】すると、生体1の温度がラジオメータ7で
測定される。つまり、アンテナ4と生体1との境界面に
おけるラディエーション・バランスがとられ、バランス
がとれたときの参照雑音温度Tref が測定温度として捕
らえられる。
【0038】このとき、制御部10は、温度計14で測
定される同軸ケーブル5の温度分布Tc(z)を取込
み、さらにメモリ10a内のTw,Tref ´,Tc
(z)´の相関データ、およびプローブデータ(電力反
射係数Rw、同軸ケーブル長L、電力減衰定数α)を読
込み、下式(4)の演算を実行する。これにより、測定
温度Tref を補正し、同軸ケーブル5の電力減衰や熱雑
音の影響を除去して生体1の正しい熱雑音温度(輝度温
度)Tobj を求める。
【0039】
【数1】 なお、ΔTc(z)=Tc(z)−Tc(z)´であ
る。
【0040】この式(4)は、校正モード時のアンテナ
4と水槽13内の液体との境界面の電力反射係数Rw
と、測定モード時のアンテナ4と生体1との境界面の電
力反射係数Rとが、ほぼ等しいことを仮定している。実
際、アンテナ4はこの仮定が成立つように設計されてお
り、また体腔内近傍は高含水組織で形成されていること
からその仮定が成立つ。また、式(4)は、電子情報通
信学会EMCJ88-71 “医用ラジオメータの輝度温度測定誤
差軽減法”の文献に記載の(10)式に対応する。求めら
れた生体1の熱雑音温度Tobj は、測定温度として表示
部12に表示され、使用者に報知される。なお、校正は
測定前に毎回行なう必要はなく、定期的に、あるいはア
ンテナ4の変更時に行なうレベルでよい。
【0041】ところで、アンテナ4と測定対象物との境
界面の電力反射係数が校正時と実測時とで大きく異なる
ことがあり、その場合はせっかく校正がなされても、ま
たケーブル温度補正がなされても、適正な測定が困難に
なる。この不具合は、プローブ3(実際にはバルーン
2)と測定対象物との密着度が原因で起こることが多
い。ここで、前記した、ラジオメータ7におけるロック
インアンプ32の出力電圧Vlockを表わす式(3)につ
いて考慮してみる。 Vlock=k・Gsys ・B(1−R)・(Tobj −Tref ) ……(3)
【0042】この式から判ることは、アンテナ4の受信
電力が一定で、かつ電力反射係数Rも一定であれば、参
照雑音温度Tref を変化させたときの出力電圧Vlockの
変化量の相間関数、つまり感度は、アンテナ4の電力透
過係数(=1−R)に比例することである。
【0043】そこで、校正モード時に、参照雑音温度T
ref を所定値ΔTref だけ変化させ、そのときの出力電
圧Vlockの変化量ΔVlockを測定し、それをラジオメー
タ7の感度ΔVwとして電力反射係数Rw(アンテナ4
と水槽13内の液体との境界面のあらかじめ判っている
電力反射係数)とともにメモリ10aに記憶しておく。
【0044】そして、測定モード時、実際の測定に入る
前に、生体1内にプローブ3を保持した状態で、参照雑
音温度Tref を所定値ΔTref だけ変化させ、そのとき
の出力電圧Vlockの変化量ΔVlockを測定し、それをラ
ジオメータ7の感度ΔVとする。
【0045】こうして、校正モード時の感度ΔVwおよ
び測定モード時の感度ΔVが求まることで、式(3)か
ら下式(5)が導かれ、アンテナ4と生体1との境界面
の電力反射係数Rが求まる。 R=1−{ΔV・(1−Rw)/ΔVw} ……(5) 電力反射係数Rが求まったところで、それと電力反射係
数Rwとを比較する。この比較では、閾値aを基準とす
る下式(6)の判定を行なう。
【0046】
【数2】 RがRwに対してそれほど大きくなく、式(6)が満足
される状態にあれば、上記式(3)が有効であるとして
表示部12で測定可能を表示する。
【0047】RがRwに対してかなり大きく、式(6)
が満足されない状態にあれば、プローブ3と生体1との
密着度が悪い旨を表示部12で表示する。この表示は測
定不可を意味するもので、使用者は、生体1に対するプ
ローブ3の挿入および保持をやり直すことになる。
【0048】挿入および保持のやり直しにもかかわら
ず、式(6)が満足されない場合には、アンテナ4の変
形や同軸ケーブル5の異常の旨を表示部12で表示す
る。この表示は測定不可を意味する。
【0049】したがって、使用者は、表示部12を見る
ことで正しい測定が可能であるか否かを容易に判断する
ことができ、常に適正な測定のみ行なわれることにな
る。よって、温度測定に対する信頼性の向上が図れる。
この発明の第2実施例について説明する。
【0050】基本的には第1実施例と同じである。測定
時に電力反射係数Rが求まったら、それとRwとを比較
することはせず、RおよびRwをそのまま用いて下式
(7)によるケーブル温度補正に入る。
【0051】
【数3】 この式(7)は、電子情報通信学会EMCJ88-71 “医用ラ
ジオメータの輝度温度測定誤差軽減法”の文献に記載の
(8)式に対応する。
【0052】この方法を用いることにより、たとえRw
に対するRの変化が大きくても、それに対応いるケーブ
ル温度分の補正がなされるため、Rの変化を気にするこ
となく測定を行なうことができる。この発明の第3実施
例について説明する。
【0053】第1実施例および第2実施例の両方の手法
を用いている。測定モード時に電力反射係数Rを求める
ところまでは第1実施例と同じであり、その電力反射係
数Rが求まったところで、それと電力反射係数Rwとを
比較する。この比較では、上記した式(6)の判定を行
なう。式(6)が満足され、RをRwの近似値として許
容できる状態にあれば、上記式(4)を用いてケーブル
温度補正を行なう。式(6)が満足されず、RをRwの
近似値として許容できない状態にあれば、上記式(7)
を用いてケーブル温度補正を行なう。すなわち、式
(4)と式(7)の使い分けであり、計算が複雑で時間
のかかる式(7)はRとRwの近似が不可能な場合のみ
使用することになる。この発明の第4実施例を図3に示
す。
【0054】ここでは、同軸ケーブル5を同軸スイッチ
40に接続し、その同軸スイッチ40を温度測定用同軸
ケーブル41を介してラジオメータ7に接続する。さら
に、同軸スイッチ40を加温用同軸ケーブル42を介し
てマイクロ波発振器43に接続する。
【0055】同軸スイッチ40は、制御部10の指令に
応じて、同軸ケーブル5と同軸ケーブル41との接続、
および同軸ケーブル5と同軸ケーブル42との接続を選
択的に切換える機能を有する。マイクロ波発振器43
は、制御部10の指令に応じて、マイクロ波の発生およ
び出力が制御される。温度計14が多点温度センサ17
を有しており、その温度センサ17を同軸ケーブル41
に取付ける。他の構成については第1実施例と同じであ
る。
【0056】作用を説明する。校正モードでは、同軸ス
イッチ40が温度測定側に切換えられ、同軸ケーブル5
が同軸ケーブル41を介してラジオメータ7に接続され
る。このとき、同軸ケーブル5,41の温度が温度セン
サ15,17を介して温度計14で測定される。そし
て、ラジオメータ7の感度であるところのΔVwが測定
される。測定モードでは、マイクロ波による加温治療と
測定とが交互に行なわれ、測定結果に応じてマイクロ波
のオン,オフおよび出力調整がなされる。
【0057】まず、加温タイミングにおいて、同軸スイ
ッチ40が加温側に切換えられ、同軸ケーブル5が同軸
ケーブル42を介してマイクロ波発振器43に接続され
る。この状態でマイクロ波発振器43が動作し、マイク
ロ波が発せられる。このマイクロ波は同軸ケーブル4
2、同軸スイッチ40、および同軸ケーブル5を介して
アンテナ4に伝えられ、生体1に向けて放出される。こ
れにより、生体1の患部が加温治療される。測定タイミ
ングでは、マイクロ波発振器43の動作が停止され、か
つ同軸スイッチ40が温度測定側に切換えられて測定が
開始される。
【0058】すなわち、まずはラジオメータ7の感度で
あるΔVが測定され、それと校正モード時に測定された
感度ΔVwを用いて第1実施例と同じくアンテナ4と生
体1との境界面の電力反射係数Rが求められる。電力反
射係数Rが求まったところで、それと電力反射係数Rw
とを比較する。この比較では、上記した式(6)の判定
を行なう。
【0059】式(6)が満足され、RをRwの近似値と
して許容できる状態にあれば、上記式(4)を用いてケ
ーブル温度補正を行なう。そして、加温治療の実行を許
容する。式(6)が満足されず、RをRwの近似値とし
て許容できない状態にあれば、上記式(7)を用いてケ
ーブル温度補正を行なう。ただし、ここではさらに下式
(8)の判定を行ない、式(8)が満足される場合のみ
加温治療の実行を許容する。bは閾値である。 R≦b …(8)
【0060】式(8)が満足されなければ、プローブ3
が加温治療に適さない状態にあるとの判断の下に、加温
治療の実行を禁止し、かつプローブ3と生体1との密着
度が悪い旨を表示部12で表示する。この表示は加温治
療不可を意味するもので、使用者は、生体1に対するプ
ローブ3の挿入および保持をやり直すことになる。
【0061】挿入および保持のやり直しにもかかわら
ず、式(8)が満足されない場合には、プローブ3(ア
ンテナ4を含む)が加温治療に適さず、よってプローブ
3の交換が必要である旨を表示部12で表示する。
【0062】したがって、使用者は、表示部12を見る
ことで正しい加温治療が可能であるか否かを容易に判断
することができ、常に適正な加温治療のみ行なわれるこ
とになる。よって、加温治療に対する信頼性の向上が図
れる。
【0063】なお、この第4実施例ではマイクロ波によ
る加温治療を例に説明したが、アンテナ4をRF誘電加
温用の体腔内電極として兼用し、RF加温とマイクロ波
加温の併用を行なう場合についても同様に実施できる。
RF加温においてもプローブと測定対象物との密着度は
重要なファクターであり、電力反射係数を用いて密着度
具合を調べることは非常に有用である。密着度以外の原
因による電力反射係数の増大は有り得るが、密着度が悪
いときにも電力反射係数が小さいという現象はほとんど
ない。この発明の第5実施例について説明する。
【0064】ここでは、ラジオメータ7を温度測定用と
してではなく、プローブ3と生体1との密着度の確認、
つまり感度測定から電力反射係数Rを求めるためだけに
用いる。よって、ケーブル温度補正は不要であり、温度
計14等を設けなくてよい。他の構成および作用は第4
実施例と同じである。
【0065】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、校
正モード時および測定モード時にラジオメータの感度を
測定し、この各感度およびアンテナと基準温度対象物と
の境界面のあらかじめ判っている電力反射係数を用いて
測定モード時のアンテナと測定対象物との境界面の電力
反射係数を求め、この求められる電力反射係数に応じ測
定の可否を判定し、その判定結果を報知する構成とした
ので、プローブ(アンテナを含む)と測定対象物との密
着度にかかわらず、常に適正な測定を可能とする信頼性
にすぐれた無侵襲温度計測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例、第2実施例、および第
3実施例の構成図。
【図2】この発明の各実施例におけるラジオメータの構
成図。
【図3】この発明の第4実施例および第5実施例の構成
図。
【符号の説明】
1…生体(測定対象物)、2…バルーン、3…プロー
ブ、4…アンテナ、5…同軸ケーブル、7…ラジオメー
タ、10…制御部、13…校正用恒温水槽(基準温度対
象物)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 参照雑音源から発せられる雑音電力をア
    ンテナから測定対象物に向けて放出し、同測定対象物で
    反射される雑音電力および同測定対象物から放出される
    雑音電力をアンテナで受信し、その受信信号をラジオメ
    ータに供給し、ラディエーション・バランスにより前記
    測定対象物の温度を測定する無侵襲温度計測装置におい
    て、基準温度対象物の温度を前記参照雑音源の参照雑音
    に対する校正用として測定するための校正モードを設定
    する手段と、前記測定対象物の温度を実際に測定するた
    めの測定モードを設定する手段と、校正モード時および
    測定モード時に前記ラジオメータの感度を測定する手段
    と、この測定される各感度および前記アンテナと前記基
    準温度対象物との境界面のあらかじめ判っている電力反
    射係数から測定モード時の前記アンテナと前記測定対象
    物との境界面の電力反射係数を求める手段と、この求め
    られる電力反射係数に応じて測定の可否を判定する手段
    と、この判定結果を報知する手段とを備えたことを特徴
    とする無侵襲温度計測装置。
JP4302267A 1992-11-12 1992-11-12 無侵襲温度計測装置 Withdrawn JPH06142060A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022225155A1 (ko) * 2021-04-22 2022-10-27 (주)이지템 마이크로웨이브 수신기용 라디오미터 및 그의 에러 보상방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022225155A1 (ko) * 2021-04-22 2022-10-27 (주)이지템 마이크로웨이브 수신기용 라디오미터 및 그의 에러 보상방법

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