JPH06141905A - 靴 底 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はランニング、ジョッギング等のスポ
ーツに履用する運動靴をはじめ、殊に屈曲性が要求され
る各種靴の靴底の改良に関する。 【構成】 外底１の一部若しくは全部を底周側縁に沿っ
て巻き上げ、ミッドソール２の側端縁４を覆う周縁エッ
ジ部３を形成した靴底本体において、少なくとも前部踏
付部の左右両側部から靴底本体の長手方向と直結する方
向に、前記周縁エッジ部３の稜線６を起点として靴底の
内側方向にＶ字形状若しくはＵ字形状となし、かつ靴底
側面において、同じく稜線６を起点として上方に逆Ｖ字
形状若しくは逆Ｕ字形状に表れる１個若しくは複数個の
ミッドソール２に達する深さの切欠溝５を穿設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はランニング、ジョギング
等のスポーツに履用する運動靴をはじめ、殊に屈曲性が
要求される各種靴の靴底の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】靴底の屈曲性は競技用に専ら使用される
運動靴は勿論のこと、殆どの靴に要求される課題であ
る。殊に靴底に屈曲性が要求されるのは、図６に示すよ
うに前部踏付部であって、この部分の屈曲性が損なわれ
ると、足の前後左右の軽快な動きが阻害され、これが足
に余分な負荷を与えることになり、靴着用者に早期疲労
をもたらすという欠陥があった。また踵部に靴ずれを生
じたり、更には足底筋膜炎等の傷害を起こす原因にもな
っていた。

【０００３】ところで、靴底本来の目的には、衝撃緩
和、滑り止めと言う課題がある。この課題には、当然な
がら靴底を構成する接地面底〔外底〕若しくはミッドソ
ール〔中間底〕の態様が大きなポイントとなっている。
とりわけ各種スポーツに履用される運動靴では、その種
目によって靴底の肉厚、溝の深さ、靴底の意匠模様が衝
撃緩和、滑り止めに大きく影響し、そのための研究開発
に多大のエネルギーが費やされているのが現状である。

【０００４】従って、靴底に屈曲性を付与する場合に
は、当然ながら上述した、靴底の衝撃緩衝機能、滑り止
め機能を阻害しない構成が必要であり、屈曲性の付与に
ついては、この機能に悪影響を生じない構成が必要とな
る。こうした状況を踏まえ、従来品では、単に屈曲性を
良好にするために形成された溝が、靴着用者の垂直方向
の着地圧力をまともに受ける踏付部に、靴の長手方向と
直行するように穿設されており、屈曲性を付与するため
に抉られた溝によって肉厚が削りとられ、肉厚を削り取
った分衝撃緩衝機能が低下するという欠陥を生じてい
る。また 殊に靴底の踏付部の保持性及び安定性を強化
する目的で周側縁を囲むように巻き上げた、所謂カップ
ソールタイプの靴底では巻き上げたソール部分に立体曲
面が形成され、ここに曲げに対する強い抵抗力が作用
し、靴底本体の屈曲性が阻害され、充分な効果を得るこ
とができないという欠陥があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は前述
した従来の屈曲性を有する靴底の欠陥を克服し、且つ靴
底の衝撃緩衝機能、滑り止め機能を損なわず且つ、本来
の目的である屈曲性を有効に働かせることができる靴底
を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者等は鋭意研究した結果、次のような構成
を有する発明を提供するに至った。即ち、本発明は、外
底の一部若しくは全部を底周側縁に沿って巻き上げ、ミ
ッッドソールの側端縁を覆う周縁エッジ部を形成した靴
底本体において、少なくとも前部踏付部の左右両側部で
あって、靴底本体の長手方向と直交する方向に、前記周
縁エッジ部の稜線６起点として靴底の内側方向にＶ字形
状若しくはＵ字形状となし、かつ靴底側面において、同
じく前記周縁エッジ部の稜線６起点として上方に逆Ｖ字
形状若しくは逆Ｕ字形状に表れる１個若しくは複数個の
ミッドソール２に達する深さの切欠溝を穿設したことを
新規な構成とする靴底である。

【０００７】

【作用】従って、本発明によれば、殊に靴底本体の屈曲
性を阻害し易い周縁エッジ部に外底からミッドソールに
至る、１個若しくは複数個の切欠溝を設けたことにより
周縁エッジ部の立体曲面に生ずる曲げ抵抗力の発生を未
然に解消し、、靴底本来の衝撃緩衝機能、滑り止め機能
を損なうことなく、あらゆるスポーツに要求される靴底
の屈曲性を遺憾無く発揮することができる作用を有す
る。

【０００８】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。本発明は、図１に示すように、外底１の一部若しく
は全部を底周側縁に沿って巻上げ、ミッドソール２の側
端縁４を覆う周縁エッジ部３を形成した靴底本体におい
て、少なくとも前部踏付部の左右両側部であって、靴底
本体の長手方向と直交方向に前記周縁エッジ部３の稜線
６を起点として靴底の内側方向にＶ字形状若しくはＵ字
形状となし、かつ靴底側面において逆Ｖ字形状若しくは
逆Ｕ字形状に表れる１個若しくは複数個のミッドソール
２に達する深さの切欠溝５を穿設してなるものである。

【０００９】この際靴底本体の周縁エッジ部２に形成さ
れる切欠溝５は、靴着用者の足の運動に於いて、最も屈
曲性が要求される前部踏み付け部の左右側辺に沿って形
成されている。図１では、靴の内側に１個、外側に２個
の切欠溝５を設けているが、切欠溝５の形成個数は勿論
これに限ることなく適宜数形成すればよい。前記切欠溝
５は、靴底本体の接地面側において周縁エッジ部３の稜
線６を起点として靴底の内側方向にＶ字形に形成し、か
つその靴底側面５において、同じく周縁エッジ部３の稜
線６を起点として靴底の上方に逆Ｖ字形となるように穿
設している。切欠溝５の形状としてはＶ字形の他Ｕ字形
にしても同様な効果を得ることができる。

【００１０】図１乃至図３は前部踏付部に穿設した切欠
溝５の態様を説明するものであってここでは切欠溝５の
大きさは、接地面側において、周縁エッジ部３の稜線６
を起点とする横方向の開口幅Ｌを３０ｍｍとし、縦方向
の開口幅Ｅをを１０ｍｍとなし、靴底側面における開口
幅Ｈを１０ｍｍに形成している。切欠溝５の深さについ
ては図４に示すように切欠溝５が外底１のみに止まりミ
ッドソール２を削らない範囲で穿設されている場合は、
外底１の厚みに等しい幅に穿設されるが、ここては切欠
溝５の深さＲを５ｍｍ程度に設定している。図５は修正
形の実施例を示すものであって、切欠溝５が外底１を貫
通し、ミッドソール２に至る深さに穿設しており、ここ
では約１０ｍｍの深さに穿設している。

【００１１】切欠溝５をこのようにすれば、靴底本体の
屈曲性はミッドソール２までおよびさらに大きな効果が
期待できる。したがって該切欠溝５の大きさ形状につい
ては、靴底本体の屈曲性を充分に生かせる大きさであっ
て、かつ接地面側の衝撃緩衝機能、滑り止め機能に悪影
響を及ぼさない程度の大きさとして、望ましくは、その
周縁エッジ部３の稜線６を起点とする横方向の開口幅Ｌ
を２０ｍｍ乃至５０ｍｍとなし、縦方向の開口幅Ｅを５
ｍｍ乃至２０ｍｍとし、靴底側面における開口幅Ｈを５
ｍｍ乃至２０ｍｍとなし、深さＲを５ｍｍ乃至１０ｍｍ
の範囲に形成することが望ましい。

【００１２】この際外底１には、靴底の耐久性及び滑り
止めの良好な靴底部材として、天然ゴム、合成ゴム、ウ
レタンまたはプラスチックが使用され、通常スチレン−
ブタジエンゴムのようなエラストマーまたはその発泡体
が使用されるが概して、スポンジ等の発泡体で形成した
ミッドソール比すれば、重量を抑制するために、その厚
みを薄くしてあるのが現状である。

【００１３】他方ミッドソール２としてはシューズの衝
撃緩和性に優れた靴底材料として、例えは天然ゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム、ポリウレタン、ハイスチレン
レンジのようなエラストマーまたはそれらの二種以上の
混合物が使用される。従って、外底１及びミッドソール
２に使用する靴底材料、硬度、厚みについては履用目的
により適宜採択される。また外底１の巻き上げによって
形成される周縁エッジ部３に穿設する切欠溝５は前部踏
付部に限ることなく、周縁エッジ部３が形成されるいず
れの個所に穿設してもよい。

【００１４】

【発明の効果】従って、本発明によれば、殊に靴底本体
の屈曲性を阻害し易い周縁エッジ部に外底からミッドソ
ールに至る、１個若しくは複数個の切欠溝を設けたてい
るため周縁エッジ部の立体曲面に生ずる曲げ抵抗力の発
生を未然に解消し、足にかかる余分な負荷を除去し、足
の前後左右の軽快な動きを促進し得る、また踵部に靴ず
れ及び足底筋膜炎等の傷害を未然に防ぐことができる。
また切欠溝を周縁エッジ部に設けたものであるから、靴
底本来の衝撃緩和機能、防滑機能を損なうことなく、あ
らゆるスポーツに要求される靴底の屈曲性を遺憾無く発
揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の靴底の底面側を示す部分斜視図であ
る。

【図２】本発明の靴底の主要部を示す底面略図である。

【図３】本発明の靴底の主要部を示す側面略図である。

【図４】本発明の靴底の主要部を示す断面略図である。

【図５】修正型の靴底の主要部断面略図である。

【図６】靴着用時の靴底の変化を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 外底 ２ ミッドソール ３ 周縁エッジ部 ４ ミッドソールの側端縁 ５ 切欠溝 ６ 稜線

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外底１の一部若しくは全部を底周側縁に
   沿って巻き上げ、ミッドソール２の側端縁４を覆う周縁
   エッジ部３を形成した靴底本体において、少なくとも前
   部踏付部の左右両側部から靴底本体の長手方向と直交す
   る方向に、前記周縁エッジ部３の稜線６を起点として靴
   底の内側方向にＶ字形状若しくはＵ字形状となし、かつ
   靴底側面において、同じく前記稜線６を起点として上方
   に逆Ｖ字形状若しくは逆Ｕ字形状に表れる１個若しくは
   複数個のミッドソール２に達する深さの切欠溝５を穿設
   したことを特徴とする靴底。
2. 【請求項２】 前記切欠溝５は、接地面側において、周
   縁エッジ部３の稜線６を起点とする横方向の開口幅Ｌを
   ２０ｍｍ乃至５０ｍｍとなし、縦方向の開口幅Ｅを５ｍ
   ｍ乃至２０ｍｍとし、靴底側面における開口幅Ｈを５ｍ
   ｍ乃至２０ｍｍとなし、深さＲを５ｍｍ乃至１０ｍｍに
   形成したことを特徴とする請求項１記載の靴底。
3. 【請求項３】 前記切欠溝５が、外底１を貫通し、ミッ
   ドソール２に穿設したことを特徴とする請求項１記載の
   靴底。