JPH06137856A - 圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡 - Google Patents

圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡

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JPH06137856A
JPH06137856A JP5120913A JP12091393A JPH06137856A JP H06137856 A JPH06137856 A JP H06137856A JP 5120913 A JP5120913 A JP 5120913A JP 12091393 A JP12091393 A JP 12091393A JP H06137856 A JPH06137856 A JP H06137856A
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thin film
piezoelectric thin
probe
sample
force microscope
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Tadatomo Suga
唯知 須賀
Hisahiro Ito
寿浩 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、試料表面の微細な組織構造を表面
とプローブとの間の相互作用を利用して画像化する走査
型プローブ顕微鏡に関し、特に試料表面の力の勾配の検
出装置を簡素化できるようにするものである。 【構成】 薄膜弾性体としてのプローブ1のチップと試
料7の表面との間に働く力の勾配を非接触状態で検出す
るための検出機構が、プローブ1に電極,圧電薄膜,電
極の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性をもつ
層構造2と、プローブ1と層構造2とからなるカンチレ
バーCをその固有振動数で外部より励起振動させる圧電
体励振機構8と、層構造2の圧電薄膜のアドミッタンス
変化を電圧信号に変換して増幅する増幅器5とから構成
されている。これにより試料7の表面の力の勾配の検出
装置が簡素化されて、超高真空中で動作する走査型力顕
微鏡を容易に実現できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料表面の微細な組織
あるいは構造を表面とプローブとの間の相互作用を利用
して画像化する走査型トンネル顕微鏡等の走査型プロー
ブ顕微鏡に関し、特に非接触状態での表面とプローブと
の間の力の勾配を利用した圧電薄膜式非接触走査型力顕
微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的な非接触走査型力顕微鏡で
は、図10に示すように、被測定試料21が3軸(XYZ)
方向に走査可能な圧電走査体22の上に載置されるととも
に、試料21に対向しうるように配設されて先端にタング
ステンチップ23aを有する片持ち梁23が、同片持ち梁23
をその共振周波数ω0で交流変位させるための励振用圧
電体24に固着されている。そして、片持ち梁23の先端付
近の交流変位を検出するためのヘテロダイン光干渉方式
のレーザプローブLPが片持ち梁23の背後(試料21とは
逆側)に配設され、同片持ち梁23とレーザプローブLP
との間には、同レーザプローブLPからのレーザ光を片
持ち梁23先端部に集光させるための対物レンズ25が設け
られている。
【0003】なお、レーザプローブLPは、He―Neレー
ザ26、ドーププリズム27、1/4波長板28、偏光ビームス
プリッタ29、ブラッグセル30、ビームスプリッタ31、偏
光板32、フォトディテクタ33、検出回路34をそなえて構
成されている。また、片持ち梁23の変位に相当するレー
ザプローブLPにそなえられた検出回路34からの検出信
号に基づいて圧電走査体22にZ軸方向(鉛直方向、試料
1面の法線方向)の走査制御信号送出するフィードバッ
ク制御系35が設けられている。さらに圧電走査体22のX
Y方向(水平方向、試料21面内2方向)の走査信号を送
出するCPU36と、同CPU36からの入力信号と検出回
路34あるいは制御系35からの信号とに基づいて画像を表
示するディスプレイ37がそなえられている。
【0004】このような構成により、従来の引力場検出
式の非接触走査型力顕微鏡では次のような作用が行われ
る。まず、試料21は、圧電走査体22によりZ(鉛直)方
向に移動されて、励振用圧電体24により共振周波数ω0
で所定の振幅だけ強制振動させられた片持ち梁23の先端
のチップ23aに近づけられる。そして、試料21とチップ2
3aとの間隔がある範囲内になると試料21表面からの引力
場がチップ23aに働いて、同チップ23aのコンプライアン
スを変化させ、これにより片持ち梁23の共振点が移動し
て同片持ち梁23の周波数ω0での交流変位は減少するこ
とになる。上記の試料21表面からの引力場は、試料21と
チップ23aとの間の距離の関数であるため、試料21を圧
電走査体2によりXY(水平)方向に移動させた場合、
試料21の凹凸に応じて片持ち梁23の交流変位は変化す
る。
【0005】そして、例えば定引力場モードと呼ぶこと
のできる測定方式では、CPU36からのXY走査信号に
よって圧電走査体23上の試料21をXY方向に走査しなが
ら、レーザプローブLPの検出回路34からの検出信号に
基づいて、同検出信号が一定となるように制御系35から
のZ制御信号で圧電走査体22をZ方向に変位させる。そ
して、上記のXY走査信号とZ制御信号とからディスプ
レイ37上に試料表面の凹凸情報に対応した画像を表示す
る作用が行われるのである。[Y.Martin, C.C.William
s, and H.K.Wickramasinghe ,Jounal of Applied Phys
ics 61, 4723(1987) 参照]
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来の非接触走査型力顕微鏡では、片持ち梁先端
の交流変位を検出するレーザプローブが、多数の光学部
品から構成されているため複雑となり、装置として大型
化するという問題点がある。また、試料表面の引力場等
の力の勾配を検出する検出装置は、力の勾配を梁の交流
変位の変化に変換する片持ち梁と交流変位の変化を検出
するレーザプローブという2つの系から構成されている
ため、装置の調整がかなり難しくなるという問題点あ
る。
【0007】本発明は、このような問題点の解決をはか
ろうとするもので、片持ち梁先端に働く試料表面からの
力の勾配をその先端変位を測定する変位計を用いること
なく、上記変位を直接信号に変換することが可能であ
る、低ばね剛性のカンチレバー上に電極に挟まれた圧電
薄膜を形成した構造を有する微小力センサーを用いるこ
とにより、試料表面の力の勾配の検出装置を簡素化でき
るようにした、圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡は、試料
用保持台と、同保持台上の試料に対向しうるように配設
されて先端にチップを有するプローブを備えるととも
に、同プローブのチップと上記試料の表面との間の距離
に応じて変化する物理量として同プローブのチップと上
記試料との間に働く力の勾配を非接触状態で検出するた
めの検出機構を備えた検出装置と、上記の試料およびプ
ローブ相互間の3次元での相対的な位置関係を変化させ
る精密微動機構と、上記試料表面の凹凸情報を得るべく
上記検出装置からの検出信号に基づいて上記精密微動機
構に走査制御信号を送出する制御機構とを備えた非接触
走査型力顕微鏡において、上記プローブが、薄膜弾性体
として形成され、上記検出機構が、上記薄膜弾性体とし
てのプローブに電極,圧電薄膜,電極の順に層着された
少なくとも3層の低曲げ剛性をもつ層構造と、上記のプ
ローブと層構造とからなるカンチレバーをその固有振動
数で外部より励起振動させる圧電体励振機構と、上記層
構造の圧電薄膜のアドミッタンス変化を電圧信号に変換
して増幅する増幅器とから構成されていることを特徴と
している。
【0009】そして、上記層構造が上記カンチレバーの
幅方向に2等分割されるように形成され、分割された各
々の圧電薄膜のアドミッタンス変化を独立して検出でき
るように、上記増幅器が2系統の入力部をそなえたこと
を特徴としている。さらに、上記増幅器が、微小電圧増
幅器と上記圧電体励振機構に入力される励起信号を分岐
して減圧した電圧信号および抵抗体からなる微小電流源
とをそなえ、同微小電流源が上記層構造における圧電薄
膜を挟むどちらか一方の電極と上記微小電圧増幅器の接
地側端子との間に接続されるとともに、上記の圧電薄膜
を挟む他方の電極と上記接地側端子との間の電圧を増幅
すべく、上記他方の電極が微小電圧増幅器の入力側端子
に接続されたことを特徴としている。また、上記カンチ
レバーの一端部がシリコンウエハに支持され、同シリコ
ンウエハに上記増幅器が一体に作り込まれていることを
特徴としている。
【0010】あるいは、試料用保持台と、同保持台上の
試料に対向しうるように配設されて先端にチップを有す
るプローブを備えるとともに、同プローブのチップと上
記試料の表面との間の距離に応じて変化する物理量とし
て同プローブのチップと上記試料との間に働く力の勾配
を非接触状態で検出するための検出機構を備えた検出装
置と、上記の試料およびプローブ相互間の3次元での相
対的な位置関係を変化させる精密微動機構と、上記試料
表面の凹凸情報を得るべく上記検出装置からの検出信号
に基づいて上記精密微動機構に走査制御信号を送出する
制御機構とを備えた非接触走査型力顕微鏡において、上
記プローブが、薄膜弾性体として形成され、上記検出機
構が、上記薄膜弾性体としてのプローブに電極,圧電薄
膜,電極の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性
をもつ層構造と、上記のプローブと層構造とからなるカ
ンチレバーをその固有振動数で外部より励起振動させる
圧電体励振機構と、上記層構造の圧電薄膜の電気変位を
電圧信号に変換して増幅する電気変位増幅器とから構成
されていることを特徴としている。
【0011】そして、上記層構造が上記カンチレバーの
幅方向に2等分割されるように形成され、分割された各
々の圧電薄膜の電気変位を独立して検出できるように、
上記電気変位増幅器が2系統の入力部をそなえたことを
特徴としている。また、上記電気変位増幅器が、コンデ
ンサと電荷有感型増幅器とをそなえ、上記コンデンサが
上記層構造における圧電薄膜を挟むどちらか一方の電極
と上記電荷有感型増幅器の入力端子との間に介挿された
ことを特徴としている。さらに、上記カンチレバーの一
端部がシリコンウエハに支持され、同シリコンウエハに
上記電気変位増幅器が一体に作り込まれていることを特
徴としている。
【0012】あるいは、試料用保持台と、同保持台上の
試料に対向しうるように配設されて先端にチップを有す
るプローブを備えるとともに、同プローブのチップと上
記試料の表面との間の距離に応じて変化する物理量とし
て同プローブのチップと上記試料との間に働く力の勾配
を非接触状態で検出するための検出機構を備えた検出装
置と、上記の試料およびプローブ相互間の3次元での相
対的な位置関係を変化させる精密微動機構と、上記試料
表面の凹凸情報を得るべく上記検出装置からの検出信号
に基づいて上記精密微動機構に走査制御信号を送出する
制御機構とを備えた非接触走査型力顕微鏡において、上
記プローブが、薄膜弾性体として形成され、上記検出機
構が、上記薄膜弾性体としてのプローブに電極,圧電薄
膜,電極の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性
をもつ層構造と、上記のプローブと層構造とからなるカ
ンチレバーをその固有振動数で励起振動させるべく上記
層構造の電極間に交流電圧を印加する発振器と、上記層
構造の電極間に流れる電流を検出する電流検出器とから
構成されていることを特徴としている。
【0013】そして、上記層構造が上記カンチレバーの
幅方向に2等分割されるように形成され、分割された各
々の電極間に交流電圧を印加する発振器が2系統の出力
部を備えるとともに、上記電極間に流れる電流を独立し
て検出できるように上記電流検出器がが2系統の入力部
をそなえたことを特徴としている。また、上記プローブ
先端のチップの少なくとも表面が磁性体で形成されたこ
とを特徴としている。さらに。上記チップが、先端を尖
鋭化処理された材料で形成されていることを特徴として
いる。あるいは、上記薄膜弾性体としてのプローブがシ
リコン、シリコンの酸化膜または窒化膜で形成されると
ともに、上記圧電薄膜が酸化亜鉛あるいはチタン酸ジル
コン酸鉛系の圧電セラミックスで形成されていることを
特徴としている。
【0014】そして、上記層構造の最外側の電極の表面
に薄い絶縁膜が形成されていることを特徴としている。
また、上記カンチレバーの一端部側が基台に支持され、
上記圧電体励振機構が、上記精密微動機構における鉛直
移動機構を兼ねるように構成されて、上記基台に結合さ
れていることを特徴としている。
【0015】
【作用】前述した本発明の圧電薄膜式走査型引力場顕微
鏡では、圧電体励振機構により所要の振幅(交流変位)
でカンチレバーを共振させ、上記振幅に相当した信号と
して上記カンチレバーの層構造における圧電薄膜のアド
ミッタンス変化あるいは電気変位を増幅器を介して検出
する作用が行われる。また、発振器に上記層構造の電極
間に直接所定の交流電圧を印加することにより所要の振
幅でカンチレバーを共振させ、上記振幅に相当した信号
として上記層構造の電極間に流れる電流を検出する作用
が行われる。そして、上記のようにカンチレバーの振幅
を反映した信号の検出を行いながら、同信号に基づいて
精密微動機構により、カンチレバー先端のチップと同チ
ップに対向する被測定試料表面との間の距離を上記チッ
プに上記試料表面からの力場がある程度働く範囲まで減
少させる作用が行われる。すなわち、これにより上記チ
ップと上記試料表面との間の距離の関数である力の勾配
を検出する作用が行われるのである。
【0016】さらに、上記のチップと試料表面との間の
距離を一定に保つべく、上記チップに働く力場を反映し
た上記圧電薄膜からの検出信号に基づいて精密微動機構
にZ軸方向(鉛直方向)駆動用の制御信号が送出され、
この状態で制御機構からの走査信号により試料をその面
内XY方向に走査する作用が行われる。さらに上記の走
査信号と制御信号とに基づいて、引力場一定条件の試料
表面の凹凸像をディスプレイ上に画像化する作用が行わ
れる。
【0017】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明すると、図1〜図6は第1実施例としての圧電薄膜式
非接触走査型力顕微鏡を示すもので、図1はその全体構
成図、図2はその要部の平面図、図3は図2のAーA断
面図、図4は図3のBーB断面図、図5はその原理説明
図、図6はその出力特性を示すグラフであり、図7〜図
9は第2実施例としての圧電薄膜式非接触走査型力顕微
鏡を示すもので、図7はその要部の平面図、図8は図7
のXーX断面図、図9は図4に対応した水平方向の断面
図である。また、図11は第3実施例としての圧電薄膜
式非接触走査型力顕微鏡の全体構成図を示すものであ
る。さらに、図12は第4実施例としての圧電薄膜式非
接触走査型力顕微鏡の全体構成図を示すものである。
【0018】図1〜4に示すように、第1実施例の圧電
薄膜式非接触走査型力顕微鏡は、試料7の保持台とし
て、CPU11からZ軸粗動用ユニット12aを介し出力さ
れるZ軸粗動信号Z-CSに基づいて試料7のZ軸方向
(鉛直方向、試料面に対して法線方向)の粗動を行うZ
軸粗動機構10をそなえるとともに、同Z軸粗動機構10上
の試料7に対向できるようにカンチレバーCが配設され
ている。そして、カンチレバーCは、先端にチップ1aを
有する薄膜弾性体として形成されたプローブ1と、同プ
ローブ1に電極2a,圧電薄膜2b,電極2cの順に層着され
た層構造2とから構成され、その一端部は基台4に支持
されている。
【0019】カンチレバーCの材質としては、プローブ
1はシリコンの酸化膜または窒化膜で形成されるととも
に、圧電薄膜2bは酸化亜鉛またはチタン酸ジルコン酸鉛
系の圧電セラミックスで形成されており、さらに基台4
はシリコンで形成されている。なお、チップ1aは、シリ
コンのエッチング等を利用してプローブ1と同材質のシ
リコンの酸化膜もしくは窒化膜で形成されるか、あるい
は先端を尖鋭化処理された走査型トンネル顕微鏡(ST
M)用のタングステンチップ等をプローブ1の先端に接
合することにより形成される。また、チップと試料との
間に働く力として磁力を利用する場合には、チップ1aの
表面には磁性体が被覆される。
【0020】カンチレバーCの形状としては、図2
(a)に示す長方形型と、図2(b)に示す三角形型が
考えられるが、一般には三角形型の方が安定な構造であ
るため、層構造2の圧電薄膜2bからの信号も安定するこ
とが期待される。また、本実施例の圧電薄膜式非接触走
査型力顕微鏡では、層構造2の最外側の電極2cの表面
に、薄い絶縁膜3が形成されており、この絶縁膜3は通
常は層構造2の全体を覆って外雰囲気から同層構造2を
遮断するようになっている。なお、絶縁膜3の材質もシ
リコンの酸化膜あるいは窒化膜が用いられる。ところ
で、層構造2における電極2a,2cは、電極を外部の増幅
器5に接続するため、絶縁膜3の開口3a,3bから電極2
a’,電極2c’に接続されている。
【0021】以上述べた上記カンチレバーの諸構造の材
料、諸元の一例を[表1]に示す。
【表1】 なお、カンチレバーCは、シリコンの異方性エッチン
グ,反応性イオンビームエッチング,RFマグネトロン
スパッタリング等のマイクロマシーニングと呼ばれる微
細加工技術を利用して製作される。そしてさらに、基台
4は台4aを介して、発振器6からの変調信号MSにより
振動させることが可能な圧電体励振機構としての圧電板
8に結合され、同圧電板8は、CPU11から電力増幅器
12b,12cを介して出力されるXY走査信号XY-FS,
Z制御信号Z-FSに基づいて3次元で微動しうる精密
微動機構としてのXYZ圧電走査体9に固着されてお
り、これによりプローブ1のチップ1aおよび試料7相互
間の3次元での相対的な位置関係を変化させることがで
きる。
【0022】なお、XYZ圧電走査体9およびZ軸粗動
機構10は、振動外乱に対する安定性を考慮して本実施例
では支持台14に一体的に固着されているが、3点支持機
構などを利用してそれぞれを独立の支持台上に構成する
ことも可能である。さらに、本実施例の圧電薄膜式非接
触走査型力顕微鏡は、層構造2の圧電薄膜2bのアドミッ
タンスを電圧信号に変換して増幅する増幅器5をそなえ
ている。そして、増幅器5は、微小電圧増幅器5a,微小
電流源5bおよびロックインアンプ5cから構成されてい
る。微小電流源5bは、圧電板8に入力される変調信号M
Sを分岐した信号を抵抗体で減圧できるように構成され
ており、その出力インピーダンスは、圧電薄膜2bを挟む
電極2a,2c間のインピーダンスよりも十分に大きく設定
される。そして、この微小電流源5bは電極2a’あるいは
電極2c’のどちらか一方の電極と微小電圧増幅器5aの接
地側端子との間に接続される。
【0023】また、微小電圧増幅器5aの入力側端子に
は、上記の微小電流源5bに接続された電極2a’あるいは
2c’とは別の方の電極が接続され、同電極と上記接地側
端子との間の電圧を増幅して出力信号S1を出力できる
ようになっている。さらに、ロックインアンプ5cには発
振器6から変調信号MSと同じ周波数の参照信号REF
が入力されるようになっており、ロックインアンプ5cは
この参照信号REFをもとに出力信号S1を増幅して信
号S2に変換できるようになっている。なお、ロックイ
ンアンプ5cにおける検出信号S2はCPU11に入力され
る。また、CPU11には同CPU11からの入力信号に基
づいて画像を表示しうるディスプレイ13が接続されてい
る。
【0024】以上の構成により、本実施例の圧電薄膜式
非接触走査型力顕微鏡では、次のような作用効果が得ら
れる。はじめに、図5,6により本発明の圧電薄膜式非
接触走査型力顕微鏡の引力場の検出原理とおよびその特
性について説明する。まず、プローブ1および層構造2
などからなるカンチレバーCはその共振周波数で圧電板
8により強制振動される。なお、この時の振動振幅(交
流変位)は、通常2〜3nmに設定される。カンチレバー
Cの振動時には、その振動振幅に応じて層構造2におけ
る圧電薄膜2bの圧電効果により、電極2aと電極2cとの間
のアドミッタンスが変化し、このアドミッタンス変化が
増幅器5で検出信号S2に変換され、同信号S2がCP
U11に入力される。
【0025】そして、上記のように圧電薄膜2bのアドミ
ッタンス変化の検出を行いながら、CPU11からの制御
信号Z-CSによりZ軸粗動機構10を駆動して試料7を
チップ1aに近づける。チップ1aと試料7の表面の間の距
離がある程度(数nm〜30nm)小さくなると、試料7の表
面の引力場による力の勾配f’の影響を受けて(図中
B)、系の共振点は、例えば低周波数側のω’に移動す
る(破線)。これにより、ω0における振幅はaから
a’に変わり、上記のアドミッタンス変化の度合も減少
してロックインアンプ5cで検出される検出信号は減少す
る。さらに、Z軸粗動機構10の動きを固定して、XYZ
圧電走査体9によりチップ1aと試料7の表面との間の距
離を連続的に変化させると、試料7の表面からの引力場
も連続的に変化して、圧電薄膜2bのアドミッタンス変化
すなわちカンチレバーCの振幅に対応した信号としての
ロックインアンプ5cにおける検出信号は図6のような特
性を示すことになる。
【0026】チップ1aが試料7の表面の極近傍まで近づ
くと、系の共振点は大きく移動して、振動振幅aはほぼ
0になる。なおこれらの共振特性は、カンチレバーのバ
ネ剛性(コンプライアンス),固有振動数および機械的
品質係数Q(Q値)に密接に関係するとともに、チップ
1aの形状および試料7やチップ1aの表面の状態(例えば
表面の吸着層など)にも大きく依存している。表1で示
した諸元のカンチレバーでは、バネ剛性は数N/m,最
低次の固有振動数は30〜80kHz,機械的Q値は大気中で1
50〜200程度となる。
【0027】本実施例の圧電薄膜式非接触走査型力顕微
鏡における検出機構は上述のような特性を有しているの
で、次のように走査型プローブ顕微鏡を実現することが
可能となる。初期の共振周波数ω0での検出信号の振幅
が減少している状態、すなわちカンチレバーの振動振幅
が試料7表面の引力場の影響で減少している状態で、C
PU11からのXY走査信号XY-FSによりXYZ圧電
走査体9を駆動して試料7をXY方向に走査すると、試
料7の表面の凹凸に応じてチップ1aと試料7の表面との
間の距離が変化するので、カンチレバーCの振動振幅も
変化し、圧電薄膜2bからの検出信号S2も変化する。引
力場一定モードと呼ぶことのできる測定モードでは、試
料7をXYZ圧電走査体9でXY方向に走査しながら、
検出信号S2に基づいてフィードバック制御によりXY
Z圧電走査体9のZ方向変位を調節してチップ1aと試料
7の表面との間の距離が一定に保たれる。そして、XY
Z圧電走査体9に印加されたCPU11からの信号Z-F
Sを利用して試料7の表面の凹凸がディスプレイ13にお
いて画像化される。
【0028】また、本発明の圧電薄膜式非接触走査型力
顕微鏡により、磁力顕微鏡(MFM)を実現することも
できる。すなわち、チップ1aの表面に磁性体が被覆され
ていれば、試料が例えば磁気記録媒体のように磁化され
た部分と磁化されていない部分を有する場合には、その
場所に応じてチップ1aは磁力を受けたり受けなかったり
するため、この磁力の勾配によりカンチレバーCの振幅
が変化して磁化状態に応じた画像が得られることにな
る。もちろん、このようなMFMでは磁化の度合を示す
画像を上述した引力場検出の力顕微鏡と同様に得ること
もできる。なお、磁力はチップ1aと試料7表面の磁化の
状態により引力の場合も斥力の場合もある。斥力である
場合には共振周波数のシフトは高周波数側になるが、カ
ンチレバーCの励振周波数が固有振動数に設定されてい
れば、周波数シフトによって振幅が減少するのは引力で
あっても斥力であっても同様である。
【0029】以上により、本実施例の圧電薄膜式非接触
走査型力顕微鏡によれば、次のような効果ないし利点が
得られる。まず、カンチレバーCの交流変位を測定する
ための光波干渉計等の別の変位計が不要であるため、装
置がコンパクトになり、かつ光学系の調整等の複雑な操
作をする必要がなくなる。また、従来のSTM(走査ト
ンネル顕微鏡)のトンネルチップ部を、本実施例のカン
チレバーCに取り替えるのみで装置構成を行うことがで
きる。そして、装置が簡易であるため、真空中あるいは
低温中の特殊環境下での実験に利用することも容易であ
る。
【0030】次に、図7〜9により本発明の第2実施例
について説明する。本実施例でも基本的な全体構成は、
第1実施例の構成(図1)とほぼ同様である。本実施例
では、図7〜9に示すように、層構造2がカンチレバー
Cの幅方向に2等分割されるように形成されている。し
たがって、図中、カンチレバーCの左側には電極2la,
圧電薄膜2lb,電極2lcの順に層着された層構造2lが設け
られ、右側には電極2ra,圧電薄膜2rb,電極2rcの順に
層着された層構造2rが設けられている。なお、これらの
層構造2l,2rの材質等は第1実施例と同様である。ま
た、本実施例では、増幅器5が2系統設けられている。
つまり、電極2laに接続された電極2la’および電極2lc
に接続された電極2lc’間のアドミッタンス変化に相当
する信号と、電極2raに接続された電極2ra’および電極
2rcに接続された電極2rc’間の信号とは、別々の増幅器
5で増幅され、別々の信号としてCPU11に入力される
ことになる。個々の増幅器5の構成は第1実施例と同様
である。なお、電極2laおよび電極2raと電極2la’およ
び電極2ra’とは、それぞれ一体となるように構成し
て、この電極を増幅器5の接地側端子に接続する方の電
極とすることもできる。
【0031】第2実施例の圧電薄膜式非接触走査型力顕
微鏡は、以上の構成を有しているため次のような作用が
得られる。第1実施例と同様にカンチレバーCを励振さ
せた状態で圧電薄膜2bからの信号の検出を行いながら、
チップ1aと試料7の表面が近接した状態でカンチレバー
Cの幅方向にチップ1aの走査が行われると、チップ1aは
縦方向の力の勾配の作用を受けると同時に、接触状態で
は摩擦力に相当するような横方向の力の作用も受ける。
この横方向の力もチップー試料間距離の関数になってい
るが、その力の勾配はカンチレバーのねじれ振動に影響
を及ぼすことになる。カンチレバーCのねじれ振動は、
カンチレバーC上の左右の層構造2l,2rのそれぞれの圧
電薄膜2lb,2rbからの信号の差となって現われるため、
この差が一定となるように圧電走査体9の動きを制御す
れば、横方向の力の勾配の一定像として試料表面の像が
得られることになる。なお、このような横方向の力を利
用した走査型プローブ顕微鏡は、一般にラテラルフォー
ス顕微鏡(LFM)と称される。
【0032】上記の手段で得られる像は、試料表面の形
状を示す凹凸像とは異なった像になることも予想され、
表面の物性を調べるうえで有効な手段になると期待され
る。もちろん、本実施例において2つの増幅器5からの
信号の和を圧電薄膜2bからの信号として採用した場合に
は、第1実施例と全く同様の作用が得られる。また、第
2実施例でも第1実施例と同様の効果が得られることは
言うまでもない。なお、第1実施例でも第2実施例で
も、圧電板8は、XYZ圧電走査体9のZ方向の駆動部
で代用されるようにして構成されてもよい。その場合、
電力増幅器12cからの出力信号Z-FSに発振器からの出
力信号MSが重畳される。
【0033】さらに、XYZ圧電走査体9は、カンチレ
バーC側ではなく、試料7側に取付けられてもよい。ま
た、XYZ圧電走査体9は、例えばXY方向の走査体は
試料7側に取付け、Z方向の走査体はカンチレバーC側
に取付けるというように、独立させて別々に取付けても
よい。また、第1実施例および第2実施例における増幅
器5は、カンチレバーCの基台4がシリコンで構成され
ている場合には、半導体プロセスを利用してカンチレバ
ーC近傍に作り込むこともできる。
【0034】図11に示すように、第3実施例の圧電薄膜
式非接触走査型力顕微鏡も、ほぼ第1実施例と同様の構
成を有している。すなわち、試料7の保持台として、C
PU11からZ軸粗動用ユニット12aを介し出力されるZ
軸粗動信号Z-CSに基づいて試料7のZ軸方向(鉛直
方向、試料面に対して法線方向)の粗動を行うZ軸粗動
機構10をそなえるとともに、同Z軸粗動機構10上の試料
7に対向できるようにカンチレバーCが配設されてい
る。そして、カンチレバーCは、先端にチップを有する
薄膜弾性体として形成されたプローブ1と、同プローブ
1に電極,圧電薄膜,電極の順に層着された層構造2と
から構成され、その一端部は基台4に支持されている。
また、カンチレバーCの材質,形状および製作プロセス
については、第1実施例と同様である。
【0035】さらに、本実施例の圧電薄膜式非接触走査
型力顕微鏡でも、層構造2の最外側の電極の表面に、薄
い絶縁膜が形成されてもよく、同絶縁膜の材質も第1実
施例と同様である。また、電極の構成についても第1実
施例と同様である。そしてさらに、基台4は台4aを介し
て、発振器6からの変調信号MSにより振動させること
が可能な圧電体励振機構としての圧電板8に結合され、
同圧電板8は、CPU11から電力増幅器12b,12cを介し
て出力されるXY走査信号XY-FS,Z制御信号Z-F
Sに基づいて3次元で微動しうる精密微動機構としての
XYZ圧電走査体9に固着されており、これによりプロ
ーブ1のチップおよび試料7相互間の3次元での相対的
な位置関係を変化させることができる。さらに、本実施
例の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡は、層構造2の圧
電薄膜の電気変位を電圧信号に変換して増幅する電気変
位増幅器50をそなえている。そして、電気変位増幅器50
は、コンデンサ50a,電荷有感型増幅器50bおよびロック
インアンプ50cから構成されている。
【0036】そして、コンデンサ50aが層構造2におけ
る圧電薄膜を挟むどちらか一方の電極と電荷有感型増幅
器50bの入力端子との間に介挿されており、層構造2の
他方の電極は接地される。これにより上記圧電薄膜の電
気変位を電圧信号に変換して、出力信号S1を出力でき
るようになっている。さらに、ロックインアンプ50cに
は発振器6から変調信号MSと同じ周波数の参照信号R
EFが入力されるようになっており、ロックインアンプ
50cはこの参照信号REFをもとに出力信号S1を増幅
して信号S2に変換できるようになっている。なお、ロ
ックインアンプ50cにおける検出信号S2はCPU11に
入力される。また、CPU11には同CPU11からの入力
信号に基づいて画像を表示しうるディスプレイ13が接続
されている。
【0037】以上の構成により、本実施例の圧電薄膜式
非接触走査型力顕微鏡では、ほぼ第1実施例と同様の作
用効果が得られる。すなわち本実施例では、第1実施例
においてカンチレバーの振動振幅に対応する信号として
検出されていたアドミッタンス変化のかわりに、電気変
位が検出されるのである。また、第2実施例における2
系統の増幅器を本実施例の電気変位増幅器50で構成すれ
ば、第2実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができ
る。なお、本実施例でも、圧電板8は、XYZ圧電走査
体9のZ方向の駆動部で代用されるようにして構成され
てもよい。その場合、電力増幅器12cからの出力信号Z-
FSに発振器からの出力信号MSが重畳される。さら
に、XYZ圧電走査体9は、カンチレバーC側ではな
く、試料7側に取付けられてもよい。また、XYZ圧電
走査体9は、例えばXY方向の走査体は試料7側に取付
け、Z方向の走査体はカンチレバーC側に取付けるとい
うように、独立させて別々に取付けてもよい。また、電
気変位増幅器50は、カンチレバーCの基台4がシリコン
で構成されている場合には、半導体プロセスを利用して
カンチレバーC近傍に作り込むこともできる点の他の実
施例と同様である。
【0038】次に、図12により第4実施例としての圧電
薄膜式非接触走査型力顕微鏡について説明する。図12に
示すように本実施例も、ほぼ第1,3実施例と同様の構
成を有している。すなわち、試料7の保持台として、C
PU11からZ軸粗動用ユニット12aを介し出力されるZ
軸粗動信号Z-CSに基づいて試料7のZ軸方向(鉛直
方向、試料面に対して法線方向)の粗動を行うZ軸粗動
機構10をそなえるとともに、同Z軸粗動機構10上の試料
7に対向できるようにカンチレバーCが配設されてい
る。そして、カンチレバーCは、先端にチップを有する
薄膜弾性体として形成されたプローブ1と、同プローブ
1に電極,圧電薄膜,電極の順に層着された層構造2と
から構成され、その一端部は基台4に支持されている。
また、カンチレバーCの材質,形状および製作プロセス
については、第1実施例と同様である。さらに、本実施
例の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡でも、層構造2の
最外側の電極の表面に、薄い絶縁膜が形成されてもよ
く、同絶縁膜の材質も第1実施例と同様である。また、
電極の構成についても第1実施例と同様である。
【0039】そしてさらに、基台4は台4aを介して、C
PU11から電力増幅器12b,12cを介して出力されるXY
走査信号XY-FSおよびZ制御信号Z-FSに基づいて
3次元で微動しうる精密微動機構としてのXYZ圧電走
査体9に固着されており、これによりプローブ1のチッ
プおよび試料7相互間の3次元での相対的な位置関係を
変化させることができる。さらに、本実施例の圧電薄膜
式非接触走査型力顕微鏡は、層構造2の電極間に交流電
圧を印加するための発振器60と、層構造2の電極間に流
れる電流を検出する電流検出器61とをそなえている。発
振器60で印加される交流電圧の周波数をカンチレバーC
の固有振動数に一致させると、カンチレバーCは上記交
流電圧に比例したある振幅で振動する。層構造2の電極
間の圧電薄膜の圧電効果により、カンチレバーCの振動
振幅に応じて電極間のアドミッタンスは変化するから、
上記電極間に流れる電流を検出すれば、カンチレバーC
の振動振幅に関する信号を得ることになる。
【0040】ところで、電流検出器61は、電流-電圧変
換器61aとロックインアンプ61bとから構成されている。
そして、発振器60は層構造2における圧電薄膜を挟むど
ちらか一方の電極に接続され、層構造2の他方の電極は
電流-電圧変換器61aに接続される。これにより上記圧電
薄膜に流れる電流を電圧信号に変換して、出力信号S1
を出力できるようになっている。さらに、ロックインア
ンプ61bには発振器60から変調信号MSと同じ周波数の
参照信号REFが入力されるようになっており、ロック
インアンプ61bはこの参照信号REFをもとに出力信号
S1を増幅して信号S2に変換できるようになってい
る。なお、ロックインアンプ61bにおける検出信号S2
はCPU11に入力される。また、CPU11には同CPU
11からの入力信号に基づいて画像を表示しうるディスプ
レイ13が接続されている。
【0041】以上の構成により、本実施例の圧電薄膜式
非接触走査型力顕微鏡では、ほぼ第1,3実施例と同様
の作用効果が得られる。すなわち本実施例でも、基本的
には第1実施例と同様カンチレバーの振動振幅に対応す
る信号としては、層構造2の圧電薄膜のアドミッタンス
変化を検出するが、層構造2の電極間に印加される交流
電圧はカンチレバーCを所要の振幅で振動させるための
信号を兼ねているため、一般には第1実施例のそれに比
べてより大きな振幅の電圧信号になっている。また、発
振器60からの変調信号を2系統にして、第2実施例にお
ける2分割された電極に各々同じ交流電圧を印加すると
ともに、電流検出器61を2系統用意して各々の層構造2
の電極に接続すれば、第2実施例とほぼ同様の作用効果
を得ることができる。さらに、XYZ圧電走査体9は、
カンチレバーC側ではなく、試料7側に取付けられても
よい。また、XYZ圧電走査体9は、例えばXY方向の
走査体は試料7側に取付け、Z方向の走査体はカンチレ
バーC側に取付けるというように、独立させて別々に取
付けてもよい。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧電薄膜
式非接触走査型力顕微鏡によれば次のような効果ないし
利点が得られる。 (1)カンチレバーの交流変位を測定するための光波干
渉計等の別の変位計が不要であるため、装置がコンパク
トになり、かつ力の勾配を交流変位の変化に変換するカ
ンチレバー部と光学系との間での調整等の複雑な作業が
なくなる。特に、ラテラルフォース顕微鏡(LFM)を
構成する場合には、システムは非常に簡素化する。 (2)従来のSTM(走査トンネル顕微鏡)のトンネル
チップ部を、本実施例のカンチレバーに取り替えるのみ
の改造で装置構成を行うことができる。 (3)装置が簡素化されるため、真空中あるいは低温中
の特殊環境下での実験に利用することが容易である。特
に上記(2)項の利点と合わせ超高真空走査型力顕微鏡
を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての圧電薄膜式非接触
走査型力顕微鏡の全体構成図である。
【図2】図1の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡の要部
の平面図である。
【図3】図2のAーA断面図である。
【図4】図3のBーB断面図である。
【図5】図1の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡の原理
説明図である。
【図6】図1の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡の出力
特性を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施例としての圧電薄膜式非接触
走査型力顕微鏡の要部の平面図である。
【図8】図7のXーX断面図である。
【図9】図7の圧電薄膜式非接触走査型力顕微鏡の図4
に対応した水平方向の断面図である。
【図10】従来の非接触走査引力顕微鏡の全体構成図で
ある。
【図11】本発明の第3実施例としての圧電薄膜式非接
触走査型力顕微鏡の全体構成図である。
【図12】本発明の第4実施例としての圧電薄膜式非接
触走査型力顕微鏡の全体構成図である。
【符号の説明】
C カンチレバー 1 プローブ 2 層構造 2a,2a’ 電極 2b 圧電薄膜 2c,2c’ 電極 2l,2r 層構造 2la,2la’,2ra,2ra’ 電極 2lb,2rb 圧電薄膜 2lc,2lc’,2rc,2rc’ 電極 3 絶縁膜 3a,3b 開口 4 基台 4a 台 5 増幅器 5a 微小電圧増幅器 5b 微小電流源 5c ロックインアンプ 6 発振器 7 試料 8 圧電板(圧電体励振機構) 9 XYZ圧電走査体(精密微動機構) 10 Z軸粗動機構(試料台) 11 CPU 12a Z軸粗動用駆動ユニット 12b 電力増幅器 12c 電力増幅器 13 ディスプレイ 14 支持台 50 電気変位増幅器 50a コンデンサ 50b 電荷有感型増幅器 50c ロックインアンプ 60 発振器 61 電流検出器 61a 電流-電圧変換器 61b ロックインアンプ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料用保持台と、同保持台上の試料に対
    向しうるように配設されて先端にチップを有するプロー
    ブを備えるとともに、同プローブのチップと上記試料の
    表面との間の距離に応じて変化する物理量として同プロ
    ーブのチップと上記試料との間に働く力の勾配を非接触
    状態で検出するための検出機構を備えた検出装置と、上
    記の試料およびプローブ相互間の3次元での相対的な位
    置関係を変化させる精密微動機構と、上記試料表面の凹
    凸情報を得るべく上記検出装置からの検出信号に基づい
    て上記精密微動機構に走査制御信号を送出する制御機構
    とを備えた非接触走査型力顕微鏡において、上記プロー
    ブが、薄膜弾性体として形成され、上記検出機構が、上
    記薄膜弾性体としてのプローブに電極,圧電薄膜,電極
    の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性をもつ層
    構造と、上記のプローブと層構造とからなるカンチレバ
    ーをその固有振動数で外部より励起振動させる圧電体励
    振機構と、上記層構造の圧電薄膜のアドミッタンス変化
    を電圧信号に変換して増幅する増幅器とから構成されて
    いることを特徴とする、圧電薄膜式非接触走査型力顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】 上記層構造が上記カンチレバーの幅方向
    に2等分割されるように形成され、分割された各々の圧
    電薄膜のアドミッタンス変化を独立して検出できるよう
    に、上記増幅器が2系統の入力部をそなえたことを特徴
    をする、請求項1に記載の圧電薄膜式非接触走査型力顕
    微鏡。
  3. 【請求項3】 上記増幅器が、微小電圧増幅器と上記圧
    電体励振機構に入力される励起信号を分岐して減圧した
    電圧信号および抵抗体からなる微小電流源とをそなえ、
    同微小電流源が上記層構造における圧電薄膜を挟むどち
    らか一方の電極と上記微小電圧増幅器の接地側端子との
    間に接続されるとともに、上記の圧電薄膜を挟む他方の
    電極と上記接地側端子との間の電圧を増幅すべく、上記
    他方の電極が微小電圧増幅器の入力側端子に接続された
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の圧電薄膜
    式非接触走査型力顕微鏡。
  4. 【請求項4】 上記カンチレバーの一端部がシリコンウ
    エハに支持され、同シリコンウエハに上記増幅器が一体
    に作り込まれていることを特徴とする、請求項1〜3の
    いずれか一つに記載の圧電薄膜式非接触走査型力顕微
    鏡。
  5. 【請求項5】 試料用保持台と、同保持台上の試料に対
    向しうるように配設されて先端にチップを有するプロー
    ブを備えるとともに、同プローブのチップと上記試料の
    表面との間の距離に応じて変化する物理量として同プロ
    ーブのチップと上記試料との間に働く力の勾配を非接触
    状態で検出するための検出機構を備えた検出装置と、上
    記の試料およびプローブ相互間の3次元での相対的な位
    置関係を変化させる精密微動機構と、上記試料表面の凹
    凸情報を得るべく上記検出装置からの検出信号に基づい
    て上記精密微動機構に走査制御信号を送出する制御機構
    とを備えた非接触走査型力顕微鏡において、上記プロー
    ブが、薄膜弾性体として形成され、上記検出機構が、上
    記薄膜弾性体としてのプローブに電極,圧電薄膜,電極
    の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性をもつ層
    構造と、上記のプローブと層構造とからなるカンチレバ
    ーをその固有振動数で外部より励起振動させる圧電体励
    振機構と、上記層構造の圧電薄膜の電気変位を電圧信号
    に変換して増幅する電気変位増幅器とから構成されてい
    ることを特徴とする、圧電薄膜式非接触走査型力顕微
    鏡。
  6. 【請求項6】 上記層構造が上記カンチレバーの幅方向
    に2等分割されるように形成され、分割された各々の圧
    電薄膜の電気変位を独立して検出できるように、上記電
    気変位増幅器が2系統の入力部をそなえたことを特徴を
    する、請求項5に記載の圧電薄膜式非接触走査型力顕微
    鏡。
  7. 【請求項7】 上記電気変位増幅器が、コンデンサと電
    荷有感型増幅器とをそなえ、上記コンデンサが上記層構
    造における圧電薄膜を挟むどちらか一方の電極と上記電
    荷有感型増幅器の入力端子との間に介挿されたことを特
    徴とする、請求項5または6に記載の圧電薄膜式非接触
    走査型力顕微鏡。
  8. 【請求項8】 上記カンチレバーの一端部がシリコンウ
    エハに支持され、同シリコンウエハに上記電気変位増幅
    器が一体に作り込まれていることを特徴とする、請求項
    5〜7のいずれか一つに記載の圧電薄膜式非接触走査型
    力顕微鏡。
  9. 【請求項9】 試料用保持台と、同保持台上の試料に対
    向しうるように配設されて先端にチップを有するプロー
    ブを備えるとともに、同プローブのチップと上記試料の
    表面との間の距離に応じて変化する物理量として同プロ
    ーブのチップと上記試料との間に働く力の勾配を非接触
    状態で検出するための検出機構を備えた検出装置と、上
    記の試料およびプローブ相互間の3次元での相対的な位
    置関係を変化させる精密微動機構と、上記試料表面の凹
    凸情報を得るべく上記検出装置からの検出信号に基づい
    て上記精密微動機構に走査制御信号を送出する制御機構
    とを備えた非接触走査型力顕微鏡において、上記プロー
    ブが、薄膜弾性体として形成され、上記検出機構が、上
    記薄膜弾性体としてのプローブに電極,圧電薄膜,電極
    の順に層着された少なくとも3層の低曲げ剛性をもつ層
    構造と、上記のプローブと層構造とからなるカンチレバ
    ーをその固有振動数で励起振動させるべく上記層構造の
    電極間に交流電圧を印加する発振器と、上記層構造の電
    極間に流れる電流を検出する電流検出器とから構成され
    ていることを特徴とする、圧電薄膜式非接触走査型力顕
    微鏡。
  10. 【請求項10】 上記層構造が上記カンチレバーの幅方
    向に2等分割されるように形成され、分割された各々の
    電極間に交流電圧を印加する発振器が2系統の出力部を
    備えるとともに、上記電極間に流れる電流を独立して検
    出できるように上記電流検出器がが2系統の入力部をそ
    なえたことを特徴をする、請求項9に記載の圧電薄膜式
    非接触走査型力顕微鏡。
  11. 【請求項11】 上記プローブ先端のチップの少なくと
    も表面が磁性体で形成されたことを特徴とする、請求項
    1〜10のいずれか1つに記載の圧電薄膜式非接触走査
    型力顕微鏡。
  12. 【請求項12】 上記チップが、先端を尖鋭化処理され
    た材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜
    11のいずれか1つに記載の圧電薄膜式非接触走査型力
    顕微鏡。
  13. 【請求項13】 上記薄膜弾性体としてのプローブがシ
    リコン、シリコンの酸化膜または窒化膜で形成されると
    ともに、上記圧電薄膜が酸化亜鉛あるいはチタン酸ジル
    コン酸鉛系の圧電セラミックスで形成されていることを
    特徴とする、請求項1〜12のいずれか1つに記載の圧
    電薄膜式非接触走査型力顕微鏡。
  14. 【請求項14】 上記層構造の最外側の電極の表面に薄
    い絶縁膜が形成されていることを特徴とする、請求項1
    〜13のいずれか一つに記載の圧電薄膜式非接触走査型
    力顕微鏡。
  15. 【請求項15】 上記カンチレバーの一端部側が基台に
    支持され、上記圧電体励振機構が、上記精密微動機構に
    おける鉛直移動機構を兼ねるように構成されて、上記基
    台に結合されていることを特徴とする、請求項1〜14
    のいづれか一つに記載の圧電薄膜式非接触走査型力顕微
    鏡。
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JP2003114186A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Seiko Instruments Inc 走査型プローブ顕微鏡
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