JPH0613684Y2 - 血圧計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ｉ考案の背景 〔技術分野〕 この考案は血圧計用リークバルブに係わり、特に自動式
血圧計において、一定圧に昇圧後、一定速度で降圧させ
るために用いられるリークバルブを有する血圧計に関す
る。

〔従来技術の説明およびその問題点〕

従来、この種の自動式血圧計用のリークバルブとして、
排気通路にボールを設け、このボールをバネで常時、上
記排気通路を閉じる方向に付勢させておき、降圧時にネ
ジ付きピンでこのボールを上記バネの付勢方向とは逆方
向に移動調整させ降圧時の空気リーク速度を調整するよ
うにしたもの、あるいは弾性円筒体の側壁に互いに対向
する一対の線状開口部を設け、これら開口部をワイヤで
貫通させて僅かに開口させ、降圧時の空気リーク速度を
調整するようにしたものが知られている。

しかし、前者の構造のものは構造的に複雑となり製品コ
ストが高くなるほか、降圧時の圧力変化に応じて一定時
間に対する空気リーク量が変化し、圧力降圧速度が一定
とならないなどの欠点を有する。また、後者の構造のも
のは構造的には簡単であるが、開口部に挿入したワイヤ
が降圧時に遊び開口面積が変動することにより降圧速度
を不安定にするほか、前者の場合と同様に降圧時の圧力
変化により空気リーク速度が変化し、降圧速度が一定と
ならないなどの欠点を有している。

II考案の目的 この考案は上記事情に鑑みてなされたものであって、構
造が簡単であって、かつ降圧時の圧力変化に対しても、
空気リーク速度を一定に保つことができるリークバルブ
を有し、これにより血圧の計測精度を向上させることが
できる血圧計を提供することを目的とする。

III発明の概要 すなわち、この考案は、腕帯と、腕帯の圧力を検出する
手段と、血圧音を検出する手段とを具備した血圧計にお
いて、一端がくさび状に形成された弾性筒体からなり、
このくさび状先端に線状開口部を有するとともに他端開
口部周壁に上記一端方向に切り込まれた溝を有するバル
ブ本体と、一端が上記溝と嵌合し、他端が薄板状をなし
ていて上記線状開口部の一部を貫通するリーク調整体と
を具備してなるリークバルブを、腕帯および圧力検出手
段に連通する空気回路に、該くさび状先端が該空気回路
側に、他端が外気側に解放するようにして設けたことを
特徴とする血圧計を提供するものである。

さらに、この考案は上記構成のリークバルブにおいて、
リーク調整体が略Ｔ字形薄板からなり、その一端がバル
ブ本体の溝と嵌合する固定片を形成するものであるリー
クバルブを有する血圧計を提供するものである。

さらに、この考案は上記構成のリークバルブにおいて、
上記溝と固定片の形状がリーク調整体の薄板状他端を上
記線状開口部の略中央に貫通保持させるべく構成されて
いることを特徴とするリークバルブを有する血圧計を提
供するものである。

IV発明の具体的説明 以下、この考案を図示の一実施例を参照して説明する。

第１図は本考案に係わる血圧計のリークバルブのバルブ
本体の平面図を示すものであって、軸方向に沿って空気
通路１を有するゴム質の弾性円筒体２からなっている。
この弾性円筒体２の一端２ａは第２図に明示した如くく
さび状をなし、かつ、第３図に示す如くその一端は直線
状の切り込み、すなわち直線状開口部３が上記空気通路
１と連通するようにして形成されている。また、このバ
ルブ本体の他端面開口部周壁には、第２図あるいは第４
図から明らかな如く一対の溝４が上記直線状開口部３と
同一切り込み方向を以って直線的に、かつ、バルブ本体
の一端２ａ方向に掘り下げた状態で形成されている。

第５図は上記バルブ本体との組合せで用いられるリーク
調整体５を示すものであって、平面ほぼＴ字形の薄板か
らなる。すなわち、このリーク調整体５の一端に翼部５
ａがリーク調整体５の長手方向に対し直交するようにし
て左右に延出している。この翼部５ａは上記バルブ本体
の溝４内に嵌合し得る形状および寸法を有し、リーク調
整体５の長手方向長さは、第６図に示す如くこの翼部５
ａが溝４内に嵌合したとき、その先端がバルブ本体一端
の線状開口部３を少なくとも貫通し得る程度となってい
る。

このリーク調整体５を第６図に示す如く弾性円筒体２の
空気通路１内に装着させた場合、第７図に示す如く直線
状開口部３が開口して、リーク調整体５の両側に間隙６
が形成され、この間隙６を介して後述の如き一定速度で
の降圧を自動的におこなうことが可能となる。

Ｖ考案の作用効果 次に、この考案の血圧計の動作ならびに効果について説
明する。

この血圧計はリークバルブをバルブ本体のくさび状一端
２ａを先に向けて腕帯および圧力検出手段に連通する空
気回路に設けられた昇圧用エアポンプ本体（図示せず）
に取付けられている、その状態で血圧計の腕帯が所定圧
になるまでエアポンプにより加圧される。次に、血圧計
を降圧させる場合、降圧当初の比較的圧力が大きい場
合、バルブ本体の一端がくさび状をなしているため、直
線状開口部３がその圧力の大きさに比例して閉じる方向
に強く押される結果、間隙６の開口面積が小さくなり、
血圧計の腕帯内圧の降圧が進み血圧計腕帯内部の圧力が
小さくなると、くさび状一端２ａの外側に加わる圧力が
小さくなるから直線状開口部３の間隙６の開口面積も次
第に大きくなる。この様に開口面積が順次変化しても、
開口部に挿入されたりリーク調整体は、その基端がバル
ブ本体の溝に嵌合して支持されているので、開口面積や
挾持圧力の変化によって遊動することがなく安定した挿
入状態を維持する。したがって降圧時において、血圧計
内部の圧力の大きさにほとんど左右されずに一定の降圧
速度が得られる。その結果、血圧の計測精度の向上を図
ることができる。

第８図は上記図示の実施例の血圧計用バルブを自動式血
圧計に装着させて、昇圧用ポンプで３００mmHg（ゲージ
圧）まで昇圧させたのち、チャート速度２０cm／分の降
圧速度で降圧させた場合の排気量と圧力との関係を示す
線図である。この第８図から明らかなように本考案の装
置によれば降圧時において終始一定の降圧速度が得られ
る。

以上詳述した如く、本考案によれば構造が極めて簡単
で、しかも降圧速度が一定で計測精度の向上を図ること
が可能な血圧計用リークバルブを提供することができ
る。

尚、昇圧エアポンプにリークバルブを具備した例を説明
したが、腕体および圧力検出手段に連通する空気回路か
ら空気を排出できるように該回路に具備されていればど
のような部分に取り着けられていてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係わる血圧計用バルブの平
面図、第２図は同じくその断面図、第３図は第１図に示
すバルブの一端方向から見た正面図、第４図は第１図に
示すバルブの他端方向から見た背面図、第５図は第１図
のバルブとの組合せで用いられるリーク調整体の斜視
図、第６図は第１図のバルブに第５図のリーク調整体を
装着した状態を示す断面図、第７図は第５図のリーク調
整体を第１図のバルブに装着した状態を示す正面図、第
８図は本考案の血圧計用バルブのリーク特性を示す線図
である。 図中、１……空気通路、２……弾性円筒体、３……直線
状開口部、４……溝、５……リーク調整体、６……間
隙。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】腕帯と、腕帯の圧力を検出する手段と、血
   圧音を検出する手段とを具備してなる血圧計において、 腕帯および圧力検出手段に連通する空気回路に昇圧エア
   ポンプを設けるとともに、一端がくさび状に形成された
   弾性筒体からなり、このくさび状先端に線状開口部を有
   するとともに他端開口部周壁に上記一端方向に切り込ま
   れた溝を有するバルブ本体と、一端が上記溝と嵌合し、
   他端が薄板状をなしていて上記線状開口部の一部を貫通
   するリーク調整体とを具備してなるリークバルブを、該
   空気回路に該くさび状先端が該空気回路側に、他端が外
   気側に解放するようにして設けたことを特徴とする血圧
   計。
2. 【請求項２】リーク調整体がほぼＴ字形薄板からなり、
   その一端がバルブ本体の溝と嵌合する固定片を形成して
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載の血圧計。