JPH0612229Y2 - 内燃機関の圧縮比可変装置 - Google Patents
内燃機関の圧縮比可変装置Info
- Publication number
- JPH0612229Y2 JPH0612229Y2 JP11931887U JP11931887U JPH0612229Y2 JP H0612229 Y2 JPH0612229 Y2 JP H0612229Y2 JP 11931887 U JP11931887 U JP 11931887U JP 11931887 U JP11931887 U JP 11931887U JP H0612229 Y2 JPH0612229 Y2 JP H0612229Y2
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- piston
- pressure
- oil
- hydraulic
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Description
【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、内燃機関の圧縮比可変装置の改良に関す
る。
る。
従来の技術 この種従来における内燃機関の圧縮比可変装置として
は、例えば第3図に示すようなものが知られている(実
開昭58−25637号公報参照)。概略を説明すれ
ば、コンロッド1に連結されたピストンピン2にインナ
ピストン3が固定されていると共に、該インナピストン
3の外側には軸方向へ摺動可能なアウタピストン4が配
置されている。また、アウタピストン4とインナピスト
ン3の上部との間には上部液室5が、アウタピストン4
の下部内周に螺着された円環部7とインナピストン3と
の間には下部液室8が夫々形成されており、該上下液室
5,8に作動油たる圧油を供給する油圧回路9の途中に
は、作動液室17内に摺動自在に収納されたスプール弁
10や、各スプリング11a,12aによって閉方向に
付勢された逆止弁11,12が設けられている。更に、
上記スプール弁10は、第4図にも示すように軸部10
aを介して連結された円板状の弁体10bと摺動体10
cとを備え、上記摺動体10cに対する加圧装置14か
らの油圧及びスプリング18のばね圧で左右に移動する
ようになっている。また、上記加圧装置14は、機関運
転状態を各センサ13,13からの信号を入力して検知
する制御回路15によって駆動制御されている。
は、例えば第3図に示すようなものが知られている(実
開昭58−25637号公報参照)。概略を説明すれ
ば、コンロッド1に連結されたピストンピン2にインナ
ピストン3が固定されていると共に、該インナピストン
3の外側には軸方向へ摺動可能なアウタピストン4が配
置されている。また、アウタピストン4とインナピスト
ン3の上部との間には上部液室5が、アウタピストン4
の下部内周に螺着された円環部7とインナピストン3と
の間には下部液室8が夫々形成されており、該上下液室
5,8に作動油たる圧油を供給する油圧回路9の途中に
は、作動液室17内に摺動自在に収納されたスプール弁
10や、各スプリング11a,12aによって閉方向に
付勢された逆止弁11,12が設けられている。更に、
上記スプール弁10は、第4図にも示すように軸部10
aを介して連結された円板状の弁体10bと摺動体10
cとを備え、上記摺動体10cに対する加圧装置14か
らの油圧及びスプリング18のばね圧で左右に移動する
ようになっている。また、上記加圧装置14は、機関運
転状態を各センサ13,13からの信号を入力して検知
する制御回路15によって駆動制御されている。
そして、機関低負荷時あるいは低回転時などにおいて圧
縮比を高める場合は、加圧装置14の加圧を強め、オイ
ルパン16内の圧油が油通路9a→9b→9cに達し、
ここでスプリング11a圧に抗して逆止弁11を押し上
げて上部液室5内に流入する一方、第4図に示すように
圧油が油通路9bを介して摺動体10cをスプリング1
8のばね圧に抗して右方向へ押圧する。したがって、ス
プール弁10の弁体10bが油通路9dを閉塞すると共
に、油通路9e,9fを開成するため、下部液室8内の
圧油は外部に排出されると同時に油通路9bを介して上
部液室5内に多量の圧油が供給されアウタピストン4が
上昇して高圧縮比状態が得られる。
縮比を高める場合は、加圧装置14の加圧を強め、オイ
ルパン16内の圧油が油通路9a→9b→9cに達し、
ここでスプリング11a圧に抗して逆止弁11を押し上
げて上部液室5内に流入する一方、第4図に示すように
圧油が油通路9bを介して摺動体10cをスプリング1
8のばね圧に抗して右方向へ押圧する。したがって、ス
プール弁10の弁体10bが油通路9dを閉塞すると共
に、油通路9e,9fを開成するため、下部液室8内の
圧油は外部に排出されると同時に油通路9bを介して上
部液室5内に多量の圧油が供給されアウタピストン4が
上昇して高圧縮比状態が得られる。
一方、機関高負荷時あるいは高回転時などで圧縮比を下
げる場合は、加圧装置14の加圧力を弱め油通路9b,
9c内の油圧を低下させ、スプリング11aの付勢力に
よって逆止弁11が油通路9cを閉じ、スプール弁10
が左方向に移動して油通路9fを閉じ、油通路9d,9
eを開成する。したがって上部液室5内の圧油の略全部
が、逆止弁12によって逆流することなく下部液室8に
流入し、アウタピストン4が下がり低圧縮比状態を維持
するようになっている。尚、図中6は下部液室8のシー
ル部材である。
げる場合は、加圧装置14の加圧力を弱め油通路9b,
9c内の油圧を低下させ、スプリング11aの付勢力に
よって逆止弁11が油通路9cを閉じ、スプール弁10
が左方向に移動して油通路9fを閉じ、油通路9d,9
eを開成する。したがって上部液室5内の圧油の略全部
が、逆止弁12によって逆流することなく下部液室8に
流入し、アウタピストン4が下がり低圧縮比状態を維持
するようになっている。尚、図中6は下部液室8のシー
ル部材である。
考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記従来の圧縮比可変装置にあっては、
特に高圧縮比状態を得る場合において油通路9bを通っ
て作動液室17内に供給された圧油の受圧面は、スプー
ル弁10の摺動体10cの一側面10dのみであるた
め、油圧の変動に起因してアウタピストン4の挙動が不
安定になる。すなわち、インナピストン3とアウタピス
トン4の往復運動及びコンロッド1の揺動運動などによ
って作動液室17内に供給される油圧が第5図に示すよ
うに絶えず変動するため、スプール弁10が該油圧とス
プリング18のばね力との相対関係で軸方向へ振動し、
油通路9dを頻繁に開閉する。このため、上部液室5内
の油圧が変動してアウタピストン4の挙動が不安定とな
り、各気筒間の燃焼のバラツキによるトルク変動が生じ
る。
特に高圧縮比状態を得る場合において油通路9bを通っ
て作動液室17内に供給された圧油の受圧面は、スプー
ル弁10の摺動体10cの一側面10dのみであるた
め、油圧の変動に起因してアウタピストン4の挙動が不
安定になる。すなわち、インナピストン3とアウタピス
トン4の往復運動及びコンロッド1の揺動運動などによ
って作動液室17内に供給される油圧が第5図に示すよ
うに絶えず変動するため、スプール弁10が該油圧とス
プリング18のばね力との相対関係で軸方向へ振動し、
油通路9dを頻繁に開閉する。このため、上部液室5内
の油圧が変動してアウタピストン4の挙動が不安定とな
り、各気筒間の燃焼のバラツキによるトルク変動が生じ
る。
問題点を解決するための手段 この考案は、上記従来の問題点に鑑み案出されたもの
で、アウタピストン、インナピストンや上部液室及び作
動液室等の基本構成を前提として、特に切替弁の弁体と
摺動体の構成において、作動液室内の油圧を受ける各対
向面の受圧面を同一に形成したことを特徴としている。
で、アウタピストン、インナピストンや上部液室及び作
動液室等の基本構成を前提として、特に切替弁の弁体と
摺動体の構成において、作動液室内の油圧を受ける各対
向面の受圧面を同一に形成したことを特徴としている。
作用 上記考案によれば、機関始動時あるいは低負荷時には、
所定の加圧手段によって圧油が外部から作動液室内に導
入され、ここから切替弁の弁体によって開成された油圧
回路を通って上部液室に供給され、上部液室の容積が速
やかに増大しこれに伴いアウタピストンが上昇して高圧
縮比状態となる。ここで、作動液室内に供給された圧油
の油圧は、弁体と摺動体の各対向面に対し均等に作用す
るため、切替弁に対する油圧による左右軸方向への両方
への力が相殺されて平衡状態となる。このため、切替弁
は、作動液室内の油圧に影響を受けることなく、したが
って、たとえアウタピストンやインナピストンの往復運
動などに起因して作動液室内の油圧に変動が生じても切
替弁が不用意に作動することがない。尚、斯る切替弁に
対して作動液室内の油圧が影響を与えないことは低圧縮
比状態でも同様である。
所定の加圧手段によって圧油が外部から作動液室内に導
入され、ここから切替弁の弁体によって開成された油圧
回路を通って上部液室に供給され、上部液室の容積が速
やかに増大しこれに伴いアウタピストンが上昇して高圧
縮比状態となる。ここで、作動液室内に供給された圧油
の油圧は、弁体と摺動体の各対向面に対し均等に作用す
るため、切替弁に対する油圧による左右軸方向への両方
への力が相殺されて平衡状態となる。このため、切替弁
は、作動液室内の油圧に影響を受けることなく、したが
って、たとえアウタピストンやインナピストンの往復運
動などに起因して作動液室内の油圧に変動が生じても切
替弁が不用意に作動することがない。尚、斯る切替弁に
対して作動液室内の油圧が影響を与えないことは低圧縮
比状態でも同様である。
実施例 以下、この考案の一実施例を第1図及び第2図に基づい
て詳述する。
て詳述する。
図中21はピストンの外殻を形成し、かつ内周に円環部
22が螺着されたアウタピストン、23はコンロッド2
4に連結されたピストンピンであって、このピストンピ
ン23は、内部に略円柱状の作動液室25と、該作動液
室25内を左右に摺動する後述の切替弁たるスプール弁
26が設けられていると共に、両端部には、中央に通孔
27aを有する円環状のストッパ27と、円板状のスト
ッパ28が夫々固定されている。また、図中29はこの
ピストンピン23にピン孔29cを介して固定されたイ
ンナピストンであって、このインナピストン29の外側
には、アウタピストン21が夫々の内外周面21a,2
9aを摺接しつつ軸方向に摺動可能に配置されている。
また、このアウタピストン21の上方移動に伴い該アウ
タピストン21の冠部下面21bとインナピストン29
の上面29bとの間に上部液室31が形成される一方、
下方移動に伴い該アウタピストン21の最大上方移動を
規制する上記円環部22の上面22aと該円環部22が
摺動するインナピストン29の下端部30との間に円環
状の下部液室32が形成されている。更に、上記上下各
液室31,32には、油圧回路33を介して圧油が供給
・排出されて容積が変化し、アウタピストン21をイン
ナピストン19に対して相対的に上下動させるようにな
っている。
22が螺着されたアウタピストン、23はコンロッド2
4に連結されたピストンピンであって、このピストンピ
ン23は、内部に略円柱状の作動液室25と、該作動液
室25内を左右に摺動する後述の切替弁たるスプール弁
26が設けられていると共に、両端部には、中央に通孔
27aを有する円環状のストッパ27と、円板状のスト
ッパ28が夫々固定されている。また、図中29はこの
ピストンピン23にピン孔29cを介して固定されたイ
ンナピストンであって、このインナピストン29の外側
には、アウタピストン21が夫々の内外周面21a,2
9aを摺接しつつ軸方向に摺動可能に配置されている。
また、このアウタピストン21の上方移動に伴い該アウ
タピストン21の冠部下面21bとインナピストン29
の上面29bとの間に上部液室31が形成される一方、
下方移動に伴い該アウタピストン21の最大上方移動を
規制する上記円環部22の上面22aと該円環部22が
摺動するインナピストン29の下端部30との間に円環
状の下部液室32が形成されている。更に、上記上下各
液室31,32には、油圧回路33を介して圧油が供給
・排出されて容積が変化し、アウタピストン21をイン
ナピストン19に対して相対的に上下動させるようにな
っている。
上記油圧回路33は、コンロッド24の内部軸方向に形
成され、かつピストンピン23の上壁に穿設された開口
端34aが上記作動液室25に臨む主通路34と、ピス
トンピン23とインナピストン29に上下方向に沿って
貫通形成されて、圧油を作動液室25から上部液室31
に供給する第1油通路35と、該第1油通路35の図中
右側近傍位置に平行に貫通形成されて上部液室31から
の作動液室25と通孔27a及びアウタピストン21側
部の排出口21cを介して外部に圧油を排出する第2油
通路36と、上記第1油通路35の図中左側対称位置に
略平行に貫通形成されて上部液室31から作動液室25
に圧油を供給する第3油通路37と、該第3油通路37
と対向した位置に貫通形成された作動液室25から下部
液室32に圧油を供給する第4油通路38とから構成さ
れている。また、第3油通路37の通路断面積は、他の
油通路35,36,38よりも小さく形成されている。
更に、上記第1油通路35と第4油通路38の夫々に
は、前後の油圧によって開閉作動するチェックボール3
9,39と切欠路を有する円環状の通路構成部40,4
0とからなる逆止弁41,42が設けられている。更に
また、上記インナピストン29の上面には、第1,第2
油通路35,36と第3油通路37とを連通する略円環
状の通路溝43が形成されている。
成され、かつピストンピン23の上壁に穿設された開口
端34aが上記作動液室25に臨む主通路34と、ピス
トンピン23とインナピストン29に上下方向に沿って
貫通形成されて、圧油を作動液室25から上部液室31
に供給する第1油通路35と、該第1油通路35の図中
右側近傍位置に平行に貫通形成されて上部液室31から
の作動液室25と通孔27a及びアウタピストン21側
部の排出口21cを介して外部に圧油を排出する第2油
通路36と、上記第1油通路35の図中左側対称位置に
略平行に貫通形成されて上部液室31から作動液室25
に圧油を供給する第3油通路37と、該第3油通路37
と対向した位置に貫通形成された作動液室25から下部
液室32に圧油を供給する第4油通路38とから構成さ
れている。また、第3油通路37の通路断面積は、他の
油通路35,36,38よりも小さく形成されている。
更に、上記第1油通路35と第4油通路38の夫々に
は、前後の油圧によって開閉作動するチェックボール3
9,39と切欠路を有する円環状の通路構成部40,4
0とからなる逆止弁41,42が設けられている。更に
また、上記インナピストン29の上面には、第1,第2
油通路35,36と第3油通路37とを連通する略円環
状の通路溝43が形成されている。
上記スプール弁26は、連結軸44の図中左端側に設け
られた略円柱状の摺動体45と、図中右端側に設けられ
て、上記第1油通路35と第2油通路36とを選択して
開閉する円柱状の弁体46とを備えている。上記摺動体
45は、上記作動液室25周面の大径部位と小径部位と
を夫々摺動する外側の大径円環部47と内側の小径円柱
部48とを有していると共に、該両者47,48間の段
差個所に受圧部49が形成されており、この受圧部49
近傍に上記第3油通路37の出口部が臨設されて上部液
室31内の油圧が第3油通路37を介して受圧部49に
伝達されるようになっている。また、摺動体45の小径
円柱部48と上記弁体46は、作動液室25内で上記主
通路34からの圧油を受ける各対向面46a,48aの
受圧面積が同一に形成されている。更に、摺動体45と
ストッパ28との間には、スプール弁26を図中右方向
すなわち第1油通路35を開き、第2油通路36を閉じ
る位置に付勢する圧縮スプリング50が装着されてい
る。ここで、第3油通路37と第4油通路38は、摺動
体45と作動液室25の各段差部間に形成された環状通
路51を介して連通している。
られた略円柱状の摺動体45と、図中右端側に設けられ
て、上記第1油通路35と第2油通路36とを選択して
開閉する円柱状の弁体46とを備えている。上記摺動体
45は、上記作動液室25周面の大径部位と小径部位と
を夫々摺動する外側の大径円環部47と内側の小径円柱
部48とを有していると共に、該両者47,48間の段
差個所に受圧部49が形成されており、この受圧部49
近傍に上記第3油通路37の出口部が臨設されて上部液
室31内の油圧が第3油通路37を介して受圧部49に
伝達されるようになっている。また、摺動体45の小径
円柱部48と上記弁体46は、作動液室25内で上記主
通路34からの圧油を受ける各対向面46a,48aの
受圧面積が同一に形成されている。更に、摺動体45と
ストッパ28との間には、スプール弁26を図中右方向
すなわち第1油通路35を開き、第2油通路36を閉じ
る位置に付勢する圧縮スプリング50が装着されてい
る。ここで、第3油通路37と第4油通路38は、摺動
体45と作動液室25の各段差部間に形成された環状通
路51を介して連通している。
更に、上記主通路34に供給される圧油は、機関のオイ
ルパン(図示せず)に貯留された潤滑油が図外の一般的
な機械式オイルポンプによって圧送されるようになって
いる。
ルパン(図示せず)に貯留された潤滑油が図外の一般的
な機械式オイルポンプによって圧送されるようになって
いる。
尚、円環部22とインナピストン29との間には、シー
ル部材等が存在せず、したがって下部液室32内に供給
された圧油は、摺動部位から僅かにリークするようにな
っている。また、図中52,52はピストンピン23の
左右移動を規制するストッパリングである。
ル部材等が存在せず、したがって下部液室32内に供給
された圧油は、摺動部位から僅かにリークするようにな
っている。また、図中52,52はピストンピン23の
左右移動を規制するストッパリングである。
以下、この実施例の作用について説明する。まず、機関
始動時や低負荷時には、オイルポンプから圧送された圧
油が第1図に示すように主通路34から作動液室25に
送られ、ここからスプール弁26の弁体46によって開
成された第1油通路35を通って上部液室31に供給さ
れるが、この時点ではアウタピストン21に作用する燃
焼圧力が小さいため、上記圧油の油圧によって上部液室
31の容積が速やかに増大し、これに伴いアウタピスト
ン21が上昇して高圧縮比状態となる。ここで、主通路
34から作動液室25内に供給された油圧は、弁体46
と小径円柱部48の各対向面46a,48aに対し均等
に作用するため、スプール弁26の左右軸方向への油圧
による力関係は平衡状態となる。したがって、スプール
弁26は、圧縮スプリング50のばね圧のみによって第
2油通路36を閉じ、第1油通路25を開く位置に付勢
される。すなわち、スプール弁26は、作動液室25内
の油圧に全く影響を受けることがないため、たとえコン
ロッド24の揺動運動等により主通路34及び作動液室
25内の油圧に変動が生じても現状位置を確実かつ安定
した状態で維持することができる。
始動時や低負荷時には、オイルポンプから圧送された圧
油が第1図に示すように主通路34から作動液室25に
送られ、ここからスプール弁26の弁体46によって開
成された第1油通路35を通って上部液室31に供給さ
れるが、この時点ではアウタピストン21に作用する燃
焼圧力が小さいため、上記圧油の油圧によって上部液室
31の容積が速やかに増大し、これに伴いアウタピスト
ン21が上昇して高圧縮比状態となる。ここで、主通路
34から作動液室25内に供給された油圧は、弁体46
と小径円柱部48の各対向面46a,48aに対し均等
に作用するため、スプール弁26の左右軸方向への油圧
による力関係は平衡状態となる。したがって、スプール
弁26は、圧縮スプリング50のばね圧のみによって第
2油通路36を閉じ、第1油通路25を開く位置に付勢
される。すなわち、スプール弁26は、作動液室25内
の油圧に全く影響を受けることがないため、たとえコン
ロッド24の揺動運動等により主通路34及び作動液室
25内の油圧に変動が生じても現状位置を確実かつ安定
した状態で維持することができる。
尚、この高圧縮比状態において圧縮あるいは膨張行程時
に、アウタピストン21に圧縮比あるいは燃焼圧力が作
用しても、第1油通路35の逆止弁41によって作動液
室25への逆流が防止されており、一方、第3油通路3
7を介して作動液室25へ僅かに流入するが、これも、
排気行程時にアウタピストン21の慣性力で上昇した
際、作動液室25の圧油が第1油通路35を介して上部
液室31に補給されるため、高圧縮比状態が確実に維持
される。更に、上部液室31へ圧油を供給する際に、ス
プール弁26を油圧によって作動させる必要がないので
オイルポンプの負荷が小さくて済む。
に、アウタピストン21に圧縮比あるいは燃焼圧力が作
用しても、第1油通路35の逆止弁41によって作動液
室25への逆流が防止されており、一方、第3油通路3
7を介して作動液室25へ僅かに流入するが、これも、
排気行程時にアウタピストン21の慣性力で上昇した
際、作動液室25の圧油が第1油通路35を介して上部
液室31に補給されるため、高圧縮比状態が確実に維持
される。更に、上部液室31へ圧油を供給する際に、ス
プール弁26を油圧によって作動させる必要がないので
オイルポンプの負荷が小さくて済む。
一方、高負荷時などには、斯る運転状態時における大き
な初期の燃焼圧力がアウタピストン21の上面に作用す
ると、上部液室31内に高圧が掛り、その高油圧が第3
油通路37の出口部から摺動体45の受圧部49に作用
する。このため、スプール弁26は、第2図に示すよう
に圧縮スプリング50のばね圧に抗して左方向へ瞬時に
移動し、弁体46が第1油通路35を閉塞するとともに
第2油通路36を開く。これにより、上部液室31内の
圧油が、第2油通路36を通って外部へ速やかに排出さ
れ、同時にアウタピストン21もインナピストン29の
外周に沿って速やかに下降して低圧縮比への切替えが応
答性よく行われる。
な初期の燃焼圧力がアウタピストン21の上面に作用す
ると、上部液室31内に高圧が掛り、その高油圧が第3
油通路37の出口部から摺動体45の受圧部49に作用
する。このため、スプール弁26は、第2図に示すよう
に圧縮スプリング50のばね圧に抗して左方向へ瞬時に
移動し、弁体46が第1油通路35を閉塞するとともに
第2油通路36を開く。これにより、上部液室31内の
圧油が、第2油通路36を通って外部へ速やかに排出さ
れ、同時にアウタピストン21もインナピストン29の
外周に沿って速やかに下降して低圧縮比への切替えが応
答性よく行われる。
また、上記低圧縮比への切替えの際に、第3油通路37
から環状通路51に流入した圧油は、第4油通路38及
び逆止弁42を通って下部液室32内に流入し、該下部
液室32の容積が増加する。したがって、この下部液室
32内の圧油により排気行程時のアウタピストン21の
上方慣性力によるインナピストン29と円環部22との
干渉が防止される。一方、斯る排気行程時においてアウ
タピストン21が僅かに上昇すると環状通路51及び該
環状通路51内にリークした作動液室25内の圧油が第
3油通路37から上部液室31内に瞬間的に供給され、
膨張行程時などに通路溝43を通って第2油通路36か
ら排出されて上部液室31内を循環するため、アウタピ
ストン21の冠部の冷却作用と圧油の劣化が防止され
る。また、ここで第3油通路37は、第2油通路36よ
り小径であるため、上部液室31に油が残留することが
ない。
から環状通路51に流入した圧油は、第4油通路38及
び逆止弁42を通って下部液室32内に流入し、該下部
液室32の容積が増加する。したがって、この下部液室
32内の圧油により排気行程時のアウタピストン21の
上方慣性力によるインナピストン29と円環部22との
干渉が防止される。一方、斯る排気行程時においてアウ
タピストン21が僅かに上昇すると環状通路51及び該
環状通路51内にリークした作動液室25内の圧油が第
3油通路37から上部液室31内に瞬間的に供給され、
膨張行程時などに通路溝43を通って第2油通路36か
ら排出されて上部液室31内を循環するため、アウタピ
ストン21の冠部の冷却作用と圧油の劣化が防止され
る。また、ここで第3油通路37は、第2油通路36よ
り小径であるため、上部液室31に油が残留することが
ない。
尚、この低圧縮比状態においては、作動液室25内に
は、比較的高圧の圧油が導入されるが、この圧油によっ
てスプール弁26の移動性や現状位置の維持に影響を与
えることはない。そして、上記圧縮スプリング50のセ
ット荷重は、上記燃焼圧力に関連する摺動体45の受圧
部49に作用する油圧との相対関係で決定され、アウタ
ピストン21の上面に加わる燃焼圧力のノッキング発生
限界付近からスプール弁26の左方向への移動が開始す
るように設定されている。
は、比較的高圧の圧油が導入されるが、この圧油によっ
てスプール弁26の移動性や現状位置の維持に影響を与
えることはない。そして、上記圧縮スプリング50のセ
ット荷重は、上記燃焼圧力に関連する摺動体45の受圧
部49に作用する油圧との相対関係で決定され、アウタ
ピストン21の上面に加わる燃焼圧力のノッキング発生
限界付近からスプール弁26の左方向への移動が開始す
るように設定されている。
考案の効果 以上の説明で明らかなように、この考案に係る内燃機関
の圧縮比可変装置によれば、とりわけ作動液室内の油圧
を受ける切替弁の弁体と摺動体との各対向面の受圧面積
を同一に形成したため、作動液室内に供給された油圧が
弁体と摺動体に均等に作用する。このため、切替弁は、
作動液室内の油圧に全く影響を受けることなく、例えば
圧縮スプリングと燃焼圧力による油圧によってのみ軸方
向へ移動あるいは現状位置が維持される。この結果、ア
ウタピストン及びインナピストンの往復運動などに起因
して作動液室内の油圧が変動しても、切替弁の振動が防
止され、アウタピストンの不安定な挙動及びそれに伴う
燃焼の不安定化によるトルク変動等が防止される。
の圧縮比可変装置によれば、とりわけ作動液室内の油圧
を受ける切替弁の弁体と摺動体との各対向面の受圧面積
を同一に形成したため、作動液室内に供給された油圧が
弁体と摺動体に均等に作用する。このため、切替弁は、
作動液室内の油圧に全く影響を受けることなく、例えば
圧縮スプリングと燃焼圧力による油圧によってのみ軸方
向へ移動あるいは現状位置が維持される。この結果、ア
ウタピストン及びインナピストンの往復運動などに起因
して作動液室内の油圧が変動しても、切替弁の振動が防
止され、アウタピストンの不安定な挙動及びそれに伴う
燃焼の不安定化によるトルク変動等が防止される。
また、切替弁は、作動液室内の油圧の影響を受けず、単
に圧縮スプリングなどの力のみによって作動するため、
その移動性が良好となり高低圧縮比状態への切替え応答
性が向上する。
に圧縮スプリングなどの力のみによって作動するため、
その移動性が良好となり高低圧縮比状態への切替え応答
性が向上する。
第1図はこの考案の一実施例における高圧縮比状態を示
す要部断面図、第2図はこの実施例の低圧縮比状態を示
す要部断面図、第3図は従来の圧縮比可変装置を示す全
体構成図、第4図は第3図の一部拡大図、第5図は作動
液室内の油圧変動状態を示すグラフである。 21…アウタピストン、21b…冠部下面、23…ピス
トンピン、25…作動液室、26…スプール弁(切替
弁)、29…インナピストン、29b…上面、31…上
部液室、33…油圧回路、45…摺動体、46…弁体、
46a,48a…対向面。
す要部断面図、第2図はこの実施例の低圧縮比状態を示
す要部断面図、第3図は従来の圧縮比可変装置を示す全
体構成図、第4図は第3図の一部拡大図、第5図は作動
液室内の油圧変動状態を示すグラフである。 21…アウタピストン、21b…冠部下面、23…ピス
トンピン、25…作動液室、26…スプール弁(切替
弁)、29…インナピストン、29b…上面、31…上
部液室、33…油圧回路、45…摺動体、46…弁体、
46a,48a…対向面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 松屋 辰之 神奈川県厚木市恩名1370番地 厚木自動車 部品株式会社内 (72)考案者 菅 聖治 神奈川県厚木市恩名1370番地 厚木自動車 部品株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】ピストンピンの両端部に支持されたインナ
ピストンと、該インナピストンの外周に軸方向へ摺動可
能に被嵌したアウタピストンと、該アウタピストンの冠
部下面と上記インナピストンの上面との間に形成された
上部液室と、上記ピストンピンあるいはインナピストン
の所定内部に形成された作動液室と、上記上部液室に作
動液室を介して圧油を給排する油圧回路と、上記作動液
室内に摺動可能に収納され、かつ機関運転状態に応じて
上記油圧回路を切替える切替弁とを備え、更に上記切替
弁は、上記作動液室内の油圧を夫々の対向面で受ける弁
体と摺動体とを有すると共に、上記各対向面の受圧面積
が同一に形成されたことを特徴とする内燃機関の圧縮比
可変装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11931887U JPH0612229Y2 (ja) | 1987-08-04 | 1987-08-04 | 内燃機関の圧縮比可変装置 |
US07/208,312 US4934347A (en) | 1987-06-18 | 1988-06-15 | Variable compression piston arrangement for internal combustion engine |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11931887U JPH0612229Y2 (ja) | 1987-08-04 | 1987-08-04 | 内燃機関の圧縮比可変装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6425437U JPS6425437U (ja) | 1989-02-13 |
JPH0612229Y2 true JPH0612229Y2 (ja) | 1994-03-30 |
Family
ID=31364442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11931887U Expired - Lifetime JPH0612229Y2 (ja) | 1987-06-18 | 1987-08-04 | 内燃機関の圧縮比可変装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0612229Y2 (ja) |
-
1987
- 1987-08-04 JP JP11931887U patent/JPH0612229Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6425437U (ja) | 1989-02-13 |
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