JPH0611465U - 鮪漁用疑似餌 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 丈夫で耐久性に優れ、かつ安価な鮪漁用疑似
餌を得る。 【構成】 釣針１２上部の線材１１に沿って一定量だけ
移動可能に芯部材１５を設ける。この芯部材１５外周に
多数の紐体１６を取付け、釣針１２周囲を被うように吊
り下げる。紐体１６は丈夫であり、破損時の補修も容易
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、鮪延縄漁に使用される疑似餌に関する。

【０００２】

【従来の技術】

鮪漁において、従来から用いられている疑似餌は、ビニール製であり、破損し やすく、しかも一旦破損すると船上で応急修理をすることも不可能であり、その 上高価である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

これは、従来の疑似餌が、本物の餌にできるだけ近似させるようにしているか らである。

【０００４】 しかし、本願考案者は、鮪漁の疑似餌は、必ずしも本物の餌に近似させること は必要でなく、単に魚の興味を引く程度のもので十分であることに気付いた。鮪 延縄漁は、先端に釣針を付けた枝縄を、長く水平に延びる幹縄から数千本吊り下 げて行なうものであり、疑似餌は、餌の節約のため、釣針４、５本に１本の割合 で使用されるものである。したがって、延縄全体として漁獲量が減少しないよう にすればよいであり、疑似餌に魚が掛かることを目的とする必要はない。

【０００５】 そこで、本考案は、以上の観点から、従来の構造、材料を見直し、より丈夫で 耐久性に優れ、かつ安価な鮪漁用疑似餌を得ることを目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、線材の下端に取付けられる釣針と、この線材の釣針上部部分に嵌合 し、線材に沿って一定量だけ移動可能となった芯部材と、この芯部材外周に取付 けられ、釣針周囲を被うように吊り下げられる多数の紐体と、前記線材または芯 部材に取付けられる重りとからなる鮪漁用疑似餌である。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案を図示する実施例について、具体的に説明する。

【０００８】 この鮪漁用疑似餌１０において、線材１１は、金属製ワイヤーロープ又はナイ ロン等の合成繊維製テグスよりなり、枝縄（図示しない）の下端に取付けられる 。

【０００９】 釣針１２は、この線材１１の下端には取付けられている。この取付けは、線材 １１下端をＵ字状に折り曲げ、その先端を金属筒体で締め付けてロック１３を形 成し、さらにこのＵ字状部分に金属リング１４を填め、釣針１２上端の孔と結合 してなされている。この釣針１２の色は、赤色又は銀色が望ましい。

【００１０】 芯部材１５は、線材１１外周に嵌合する管状の部材であって、細いパイプ外周 に紐を巻き付けたもの等により形成され、線材１１に沿って移動可能となってい る。

【００１１】 紐体１６，…は、この芯部材１５の外周に束ね紐で縛り付けて取付けられてい る。この紐体１６，…の内、多くは、枝縄をほぐして得られる波型形状のストラ ンド１７，…よりなり、釣針１２外周を被うように吊り下げられる。また、紐体 １６，…の一部は、真直ぐな細紐１８，…よりなる。さらに、この紐体１６，… は、夜光性線材１９，…を含む。芯部材１５外周の束ね紐部分は、魚への刺激と 補強を兼ねてを赤色等の塗装がなされる。紐体１６，…の色は刺激的な赤色系が 望ましく、細紐１８，…には白、ピンク等の他の色を用いるとよい。ストランド １７，…、細紐１８，…の先端は、ほつれを防ぐため熱で固め、さらに補強のた め、赤色等の塗装を施すとよい。なお、図は、釣針部分を示すため、紐体１６， …を左右に開いて表している。

【００１２】 重り２０，２１は、管状であって、線材１１の芯部材１５の上下にそれぞれ嵌 合して移動可能に設けられている。線材１１の中間部には、金属筒体を締め付け て固定したロック２２が設けられ、これと線材下端部のロック１３により、芯部 材１５、重り２０，２１はこれらののロック間のみ移動できるようになっている 。上方の重り２０は、芯部材１５、紐体１６，…の浮力を押さえ、これらが、常 時は沈んで釣針を隠し、枝縄の波による上下動が加わると、線材１１に沿って昇 降するようにする。下方の重り２１は、この疑似餌１０全体の重量を調節する。

【００１３】 この疑似餌１０は、以上の構成であるから、釣針４、５本に１本の割合で使用 し、餌の節約を図ることができる。以下に、実際に使用した例について述べる。

【００１４】 バンダ海において、この疑似餌を用いたＡ船と、本物の餌のみを用いたＢ，Ｃ 船が操業し、その漁獲量を比較した。Ａ船は、この疑似餌を４本の釣針に１本の 割合で使用し、延縄全体で疑似餌を含めて釣針を３，０００本使用し、８４回操 業したところ、１６６ｔ（４，０１９尾）の漁獲量を得た。なお、疑似餌に食い 付いた魚は３５尾であった。Ｂ，Ｃ船は、延縄全体で釣針３，０００本をそれぞ れ使用し、８９回の操業で１５５ｔ、１０８回の操業で１５４ｔの漁獲量をそれ ぞれ得た。この結果から、この疑似餌の使用により漁獲量の減少はないと判断さ れる。なお、Ａ船では、この操業１回当たり７５０尾、全操業で６３，０００尾 の餌が節約された。

【００１５】 また、この疑似餌は、１５０〜２００回の使用が可能であり、破損したときは 、船上で、予備として保有している枝縄用紐からストランドを取出し、芯部材に 巻き付けれるだけで補修をすることができる。

【００１６】 上記実施例は、本考案の一例であり、紐体の大きさ、材料、形状、色等は多様 に変更することができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案の鮪漁用疑似餌は、上述のように、紐体を主な構成要素として形成され るので、従来のビニール製のものに比して、丈夫であり、すぐれた耐久性を有す る。破損した場合も、船上で、予備の枝縄等を利用して容易に補修をすることが できる。さらに、量産されている紐を利用して製造し得るので、安価なものとな る。使用した場合の漁獲量については、上述のように、釣針４、５本に１本の割 合で使用するかぎりは、延縄全体としては減少することがないので、操業成果に 不利益を被ることなく、餌の節約が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の正面図であり、紐体を左右
に開いた状態として表す。

【符号の説明】

１０…鮪漁用疑似餌、１１…線材、１２…釣針、１３…
ロック、１５…芯部材、１６，……紐体、２０，２１…
重り、２２…ロック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 線材の下端に取付けられる釣針と、この
   線材の釣針上部部分に嵌合し、線材に沿って一定量だけ
   移動可能となった芯部材と、この芯部材外周に取付けら
   れ、釣針周囲を被うように吊り下げられる多数の紐体
   と、前記線材または芯部材に取付けられる重りとからな
   る鮪漁用疑似餌。