JPH06111787A - 紫外線放射電子管 - Google Patents

紫外線放射電子管

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JPH06111787A
JPH06111787A JP25525392A JP25525392A JPH06111787A JP H06111787 A JPH06111787 A JP H06111787A JP 25525392 A JP25525392 A JP 25525392A JP 25525392 A JP25525392 A JP 25525392A JP H06111787 A JPH06111787 A JP H06111787A
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JP
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electron
electron beam
beam source
energy
electrons
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JP25525392A
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English (en)
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Tadao Uetsuki
唯夫 植月
Noriyuki Taguchi
典幸 田口
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】殺菌やオゾンの発生に適した紫外線の放射効率
を高める。 【構成】T形のバルブ1の主管1aの両端部に、低エネ
ルギーの電子群を放出する第1の電子線源2を設ける。
バルブ1の側管1bには、カソード3aと加速用グリッ
ド3bとを近接して配置した第2の電子線源3を設け
る。第1の電子線源2により生成したプラズマに、第2
の電子線源3によって高エネルギーの電子群を注入して
バルブ1に封入した気体を励起する。高エネルギーの電
子群をプラズマ内に注入するから、殺菌やオゾンの発生
に適した高エネルギーの紫外線を放射できるエネルギー
準位に気体原子を励起することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺菌やオゾンの発生な
どに利用される紫外線放射電子管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、紫外線を放射する光源として
は、低圧水銀ランプが多く利用されている。この種の放
電ランプでは、電子のエネルギー分布は、図12の実線
に示すように、ほぼマクスウェル分布に従うことが知ら
れている。ここに、図12の縦軸は任意単位である。
【0003】ところで、水銀原子ではエネルギー準位を
1 1 に励起すれば基底状態に遷移する際に185n
mの紫外線を放射するので、水などの殺菌に利用する場
合にはこの紫外線を利用するのが有効である。このエネ
ルギー準位の電子状態の励起断面積は図12の破線のよ
うになる。ここに、励起断面積は電子分布に合わせた任
意単位としている。
【0004】したがって、励起周波数は、図12の実線
と破線との重なり部分(斜線部)の面積に比例すること
になり、この面積が大きいほど目的とする紫外線の放射
効率が高いことになる。そこで、主として紫外線を放射
する低圧水銀ランプでは、この面積を大きくするため
に、電子温度を高くすることが考えられている。すなわ
ち、直管型のバルブでは電子温度はバルブの管径に依存
し、図13に矢印で示すように管径が小さいほど電子温
度は破線のように偏移して高くなるから、許容範囲でバ
ルブの管径を小さくすることによって紫外線の放射効率
を高めているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成では電子温度を大幅に高くすることはできないから、
多少の改善はあるものの紫外線の放射効率を十分に高め
ることができないという問題が残されている。ところ
で、本発明者は、特開昭62−12059号公報におい
て、バルブ内に2個の電子線源を設け、一方の電子線源
からバルブ内の気体を電離させる程度に高エネルギーの
電子群を放出し、他方の電子線源からバルブ内の気体を
電離させずに励起させる程度の比較的低エネルギーの電
子群を放出する構成を提案している。すなわち、すべて
の注入エネルギーを励起のみに利用することができれ
ば、発光に寄与するエネルギーの割合が大きくなり、高
い放射効率が得られるのであるが、電子線源の近傍には
電子が浮遊停滞して空間電荷を形成し電子線源からの新
たな電子の放出を抑制するから、気体の原子を励起発光
させることができるエネルギーを持つように電子を加速
するには、電子による空間電荷の影響を除去するプラズ
マを生成することが必要である。そこで、気体の原子を
電離させるだけのエネルギーを有した電子を必要とする
のであって、励起用の電子群を放出する電子線源とは別
に電離用の電子群を放出する電子線源を設けているので
ある。
【0006】この構成の光放射電子管は、発光効率を高
める目的のものであって、上述したような高エネルギー
準位に気体を励起することは考えていない。上記公報に
示された構成において紫外線の放射効率を高めるには、
電子のエネルギー分布を図14に示すように高エネルギ
ー側に設定することが考えられるが、プラズマ中での粒
子間(とくに電子同士)の衝突が多くなるから、結局、
エネルギー分布はマクスウェル分布に近づき、図14の
ようなエネルギー分布の電子群を生成することはできな
いという問題がある。また、励起用の電子線源は対向電
極として配置されたアノードとの間に励起用の加速電圧
を印加するから、上述したような高エネルギー準位に励
起するには加速電圧を高電圧にするために高電圧電源が
必要になるという問題がある。
【0007】本発明は上記問題点の解決を目的とするも
のであり、紫外線の放射効率を高めた紫外線放射電子管
を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上
記目的を達成するために、電子の衝突により励起されて
紫外線を放射する低圧の気体が封入されたバルブと、バ
ルブ内に配設されてマクスウェル分布に従う比較的低エ
ネルギーの電子群を放出する第1の電子線源と、第1の
電子線源により放出された電子群により励起された気体
を紫外線が放射されるエネルギー準位まで励起する比較
的高エネルギーのビーム状の電子群を放出する第2の電
子線源とを具備しているのである。
【0009】請求項2の発明では、第1の電子線源と第
2の電子線源とを、電子を放出するカソードと、カソー
ドの電子放出面に近接して対置されカソードより放出さ
れた電子を加速するアノードとからなる1つの電子線源
としているのである。請求項3の発明では、請求項2の
構成において、バルブ内の気体の圧力と、カソードの表
面からバルブの管壁までの最大距離との積を140〔To
rr・cm〕以下に設定している。
【0010】請求項4の発明では、請求項2の構成にお
いて、カソードの中心からイオンシースとプラズマとの
境界面までの距離を10〔mm〕以下に設定している。
【0011】
【作用】請求項1の構成では、第1の電子線源によって
マクスウェル分布に従う比較低エネルギーの電子群を放
射し、第1の電子線源によって励起された気体を第2の
電子線源によって紫外線が放射されるエネルギー準位ま
で励起するようにしているので、第1の電子線源によっ
て図12に実線で示したようなエネルギー分布を有する
電子群を放射してバルブ内で放電を生じさせ、さらに、
第2の電子線源によって図14に示したようなエネルギ
ー分布を有する電子群を放射することになる。その結
果、電子のエネルギー分布が図3のようになり、比較的
低エネルギーの電子群と比較的高エネルギーの電子群と
を含むようなエネルギー分布を有した電子群をプラズマ
中に作ることができるのである。このように、プラズマ
中に別途の電子線源によって高エネルギーの電子群を注
入することによって、単一の電子線源ではプラズマ中に
作ることが困難であった高エネルギーの電子群をプラズ
マ中に存在させることができ、結果的に気体の分子ない
し原子を高エネルギー準位に励起することができるよう
になり、高エネルギーの紫外線の放射効率を高めること
ができるのである。
【0012】請求項2の構成では、カソードとアノード
とを近接して対置することによって構成した1つの電子
線源のみで高エネルギーの電子を放出し、その後の衝突
による減速でマクスウェル分布に従う低エネルギーの電
子を生成するのであって、電子線源が1つであるから構
成が簡単になり、またバルブの形状も簡単なものにな
る。
【0013】請求項3および請求項4の構成は、望まし
い実施態様であって、これらの設定によって、殺菌やオ
ゾンの発生に用いることができる185nmの紫外線に
ついて高い放射効率が得られるのである。
【0014】
【実施例】
(実施例1)本実施例では、図1および図2に示すよう
に、紫外線を透過する材料により略T形に形成された管
形の気密なバルブ1を備え、T字の横片である主管1a
の両端部にはそれぞれ熱陰極である第1の電子線源2が
対向して配設され、T字の縦片である側管1bの端部に
は加速用グリッド3bとともに第2の電子線源3を構成
する熱陰極であるカソード3aが配設されている。バル
ブ1の中には、電子の衝突により励起されて紫外線を放
射する水銀蒸気のような気体が、ネオンなどの希ガスと
ともに封入されている。カソード3aと加速用グリッド
3bとは近接して縦管1b内に配設されており、カソー
ド3aと加速用グリッド3bとの間に強い電界を形成す
ることによって、カソード3aから放出された電子群が
加速用グリッド3bを通過して主管1a内に導入される
ようにしてある。
【0015】2個の第1の電子線源2の一端間にはバラ
スト4を介して交流電源ACが接続されており、第1の
電子線源2の他端間にはスタータ5が接続されている。
したがって、スタータ5によって通常の放電ランプと同
様に始動すれば、第1の電子線源2の間で放電が開始さ
れる。このとき、第1の電子線源2から放出される電子
群は、図3の左部分に示すように、エネルギー分布がマ
クスウェル分布にほぼ従うように比較的低エネルギーに
設定されている。
【0016】一方、第2の電子線源3のカソード3aと
加速用グリッド3bとの間には、バラスト6を介して加
速用グリッド3bを正極とするように直流電源DCが接
続されている。ここで、加速用グリッド3bを通過した
電子群は、図3の右部分に示すように、エネルギー分布
が高エネルギー側に設定されている。したがって、電子
のエネルギー分布が図3のように設定されていることに
よって、エネルギー準位を61 1 に励起する電子状態
の衝突断面積に重なるエネルギーを有する電子が従来構
成に比較して大幅に増加することになり、結果的に18
5nmの紫外線を効率よく放射することができるのであ
る。
【0017】以下の式で理論値によって185nmの紫
外線の放射が得られるエネルギー準位である61 1
電子状態について衝突周波数を評価したところ、従来の
低圧放電ランプに比較して数倍以上になることがわかっ
た。ここにおいて、vは電子の速度、fは分布関数、σ
x は衝突断面積、νx は衝突周波数である。また、積分
区間は〔0,∞〕である。
【0018】νx =∫(vσx f)dv 一例として、主管1aの長さを300mm、主管1aお
よび側管1bの直径を20mmとし、水銀飽和蒸気と2
Torrのネオンとをバルブ1の中に封入し、交流電源を1
00Vとして第1の電子線源2の間に0.3Aの電流を
流し、第2の電子線源3においてカソード3aと加速用
グリッド3bとの間に15Vの直流電圧を印加して1A
の電流を流した。このようにして、主管1aにおいて第
1の電子線源2の間で放電が生じているときに、第2の
電子線源3からビーム状の高エネルギーの電子群を放出
して励起したところ、185nmの紫外線を多量に放射
することができた。
【0019】(実施例2)本実施例は、図4に示すよう
に、熱電子を放出するカソード11aと、カソード11
aから放射された熱電子を加速するアノード11bとを
略球形のバルブ1の中に対置して電子線源11を構成し
たものである。すなわち、加速された熱電子をバルブ1
に封入した気体の原子に衝突させることによって、気体
を励起発光させるものである。図5に示すように、フィ
ラメント状のカソード11aの両端間には加熱用の直流
電源Eが接続され、カソード11aとアノード11bと
の間にはアノード11bを正極にして加速用の直流電源
DCが接続される。また、バルブ1の中には、電子の衝
突によって励起されて紫外線を発光する水銀蒸気のよう
な気体と、バッファガスとしてのネオンのような気体と
の混合気体が封入されている。水銀蒸気は飽和蒸気圧で
封入されており、最冷点には水銀溜7が形成される。こ
こにおいて、カソード11aとアノード11bとの間の
印加電圧は、エネルギー準位が61 1 となるように水
銀蒸気を励起することができるような高エネルギーのビ
ーム状の電子群を放射できるように設定されている。
【0020】ところで、図6に示すように、カソード1
1aの表面の近傍には正イオンによるイオンシースによ
る空間電荷層S1 が形成されるから、陰極降下電圧が発
生する。したがって、カソード11aから放出された電
子が空間電荷層S1 で加速されてプラズマS2 に入射す
ることになる。また、アノード11bがカソード11a
に対置されていることによってもカソード11aから放
出された電子群は加速されることになる。したがって、
アノード11bをカソード11aに十分に近付けて配置
すれば、アノード11bを通過した電子群は高エネルギ
ーを持つことになり、図14のようなエネルギー分布を
有する電子群を電子線源11から放出することができ
る。このような高エネルギーの電子群は、プラズマ中で
は非弾性衝突を引き起こし、マクスウェル分布にほぼ従
うようなエネルギー分布を有する電子群を作る。すなわ
ち、プラズマ中では高エネルギーの電子群と低エネルギ
ーの電子群とが混在することになり、図3に示したエネ
ルギー分布の電子群が生成されるのである。ここに、図
6はカソード11aの中心を原点とする球座標系で示し
てある。
【0021】上記構成では、バルブ1の直径を70mm
とし、水銀飽和蒸気と2Torrのネオンとをバルブ1の中
に封入し、直流電源DCの両端電圧を15Vとして2A
の電流を通電したところ、185nmの紫外線を多量に
放射させることができた。ところで、上記構成におい
て、バルブ1の直径、バルブ1に封入した気体の圧力、
球座標系で表したときのカソード11aの中心から空間
電荷層S1 とプラズマS2 との境界面までの距離などに
よって、紫外線の放射効率が変化するという知見を得
た。そこで、本実施例の紫外線放射電子管についてモデ
ル化を行い、紫外線の放射効率を最適化する条件を決定
した。
【0022】紫外線の放射効率には、高エネルギーの電
子群の密度が大きな影響を与えるから、次の仮定を設定
した。 (1)カソード11aから放出された熱電子はイオンシ
ースS1 で加速され、陰極降下電圧に相当するエネルギ
ーによって高エネルギーの電子となってプラズマS2
に入射する。
【0023】(2)イオンシースS1 の中では高エネル
ギーの電子は衝突しない。 (3)高エネルギーの電子はビーム状のエネルギー分布
になる。 (4)プラズマS2 中で非弾性衝突を起こした高エネル
ギーの電子は、低エネルギーの電子に変化する。 (5)プラズマS2 中での高エネルギーの電子の弾性衝
突は等方散乱する。
【0024】以上のモデルに基づいて、カソード11a
の中心を原点とする球座標で考える。まず、高エネルギ
ーの電子に関しては、質量保存則により次式が得られ
る。 (S・nf ・ur r+dr−(S・nf ・ur r =−S
・νf ・nf ・dr ここにおいて、左辺第1項は半径r+drの球面から流
出する高エネルギーの電子の数、左辺第2項は半径rの
球面に流入する高エネルギーの電子の数、右片は半径r
の球面と半径r+drの球面との間の厚みdrの球殻内
で消滅する高エネルギーの電子の数である。また、Sは
半径rの球面の面積、nf は高エネルギーの電子の密
度、ur は球の径方向の電子の速度、νf は高エネルギ
ーの電子の非弾性衝突周波数である。この式を(A)式
とする。
【0025】(A)式における電子の径方向の速度ur
は以下のようにして求めることができる。すなわち、電
子に対する衝突粒子の位置をR1 ,…,Rn 、平均自由
行程をλ(=|L|)とする。ただし、R1 ,…,
n ,Lはベクトルである。このとき、次の関係が成立
する。 R1 =L Rn =Rn-1 +L したがって、Rn 自身の内積を求めると、 Rn ・Rn =|Rn 2 =(Rn-1 +L)・(Rn-1 +L) =Rn-1 ・Rn-1 +L・L+2・Rn-1 ・L ここで、 Rn-1 ・L=(1/2π)∫(|Rn-1 |・|L|・co
s θ)dθ であって、積分区間は〔0,2π〕であるから、結果は
0になる。したがって、上式は、 |Rn 2 =Rn-1 ・Rn-1 +L・L =Rn-1 ・Rn-1 +λ2 =R1 ・R1 +(n−1)λ2 =nλ2 であって、|Rn 2 =R2 とすれば、 R2 =nλ2 …(1) が得られる。結局、この式は、電子の移動距離Rと、そ
の間の衝突回数nとの関係を与えている。
【0026】次に、プラズマに入射するときの電子のエ
ネルギーをW1 とし、電子の質量をme 、気体原子の質
量をMとすると、1回の弾性衝突によって電子が失うエ
ネルギーは、電子のエネルギーW1 の2me /M倍にな
る。したがって、n回の弾性衝突を繰り返した後の電子
のエネルギーWn は、次式のようになる。 Wn =(1−2me /M)n-1 ・W1 一方、 W1 =me ・v1 2 /2 Wn =me ・vn 2 /2 であるから、 vn =(2Wn e 1/2 =v1 ・K(n-1)/2 …(2) ただし、K=(1−2me /M)である。また、以下で
は1/K1/2 =κとおくことにする。
【0027】ここで、n回の弾性衝突を繰り返すのにt
秒間を要したとすると、 t=λ(1/v1 +1/v2 +……+1/vn ) =(λ/v1 ){1+κ+κ2 +…+κn-1 } =(λ/v1 )(1−κn )/(1−κ) ∴κn =1−(v1 /λ)(1−κ)t 上式に(1)式を適用して衝突回数nを消去し、さら
に、電子が点から放出されるのではなく半径r0 の球の
表面から放出されるものとすれば、径方向の電子の速度
をur として上式に基づいて次式の関係を得ることがで
きる。 ur =(v1 /λ)(κ−1)/{(2/λ2 )r・ln
(κ)・κq } ただし、q=(r2 −r0 2 )/λであって、rは球座
標の原点からの距離である。この式を上述した(A)式
に代入すれば、次式を得ることができる。 nf (r)=(A/r){(2/λ2 )ln(κ)・
κq }・exp (−νf ・κq /C1) ただし、A、C1は定数である。
【0028】上式によれば、高エネルギーの電子の密度
f はr0 を含むから、球座標の原点から空間電荷層S
1 とプラズマS2 との境界面までの距離に依存し、平均
自由行程λを含むからバルブ1内の気体の圧力に依存す
ることがわかる(すなわち、圧力をP、比例定数をaと
すると、λ=a/Pである)。また、水銀飽和蒸気と2
Torrのネオンとをバルブ1に封入し、r0 =1.0mm
としたときの、高エネルギーの電子の径方向の密度分布
は図8のようになり、この縦軸を対数目盛にすれば、図
9のようになる。これらの図から明らかなように、球座
標の原点からの距離が35mmになると高エネルギーの
電子は存在しないことがわかる。すなわち、185nm
の紫外線を放射する場合には、カソード11aの中心か
らの距離が35mm以内の場所でのみ紫外線が放射され
るのである。以上のような知見に基づいて、バルブ1の
直径を70mmに設定したのである。ここにおいて、実
験結果によれば、バルブ1の中の気体の圧力Pとバルブ
1の半径Dとの関係として、P・D≦140〔Torr・c
m〕となるように設定した場合に、185nmの紫外線
の放射効率が高くなることがわかった。
【0029】一方、距離r0 については、0.1mm、
1.0mm、5.0mmの場合について高エネルギーの
電子の分布を測定したところ、図10のような結果が得
られた。ここに、破線は0.1mm、一点鎖線は1.0
mm、実線は5.0mmに対応する。このように、距離
0 を小さくするほど高エネルギーの電子の密度が大き
くなることがわかった。また、r0 =1.0mmとした
ときの、185nmの励起周波数を図11に示す。この
結果、マクスウェル分布に従う低エネルギーの電子は図
11に破線で示すように、カソード11aからの距離が
大きいほど密度が高くなるのに対して、高エネルギーの
電子は10mm程度の位置にピークがあることがわかっ
た。したがって、185nmの紫外線を放射する目的で
は、空間電荷層S1 とプラズマS2 との境界面を10m
m以下にすればよいのである。
【0030】
【発明の効果】請求項1の発明は、第1の電子線源によ
ってマクスウェル分布に従う比較低エネルギーの電子群
を放射し、第1の電子線源によって励起された気体を第
2の電子線源によって紫外線が放射されるエネルギー準
位まで励起するようにしているので、第1の電子線源に
よって低エネルギーの電子群を放射してバルブ内で放電
を生じさせ、さらに、第2の電子線源によって高エネル
ギーの電子群を放射することになる。その結果、高エネ
ルギーの電子群をプラズマ中に注入することができ、比
較的低エネルギーの電子群と比較的高エネルギーの電子
群とを含むようなエネルギー分布を有した電子群をプラ
ズマ中に作ることができるのである。このように、プラ
ズマ中に別途の電子線源によって高エネルギーの電子群
を注入することによって、単一の電子線源ではプラズマ
中に作ることが困難であった高エネルギーの電子群をプ
ラズマ中に存在させることができ、結果的に気体の分子
ないし原子を高エネルギー準位に励起することができる
ようになり、高エネルギーの紫外線の放射効率を高める
ことができるという利点がある。
【0031】請求項2の発明は、カソードとアノードと
を近接して対置することによって構成した1つの電子線
源のみで高エネルギーの電子を放出し、その後の衝突に
よる減速でマクスウェル分布に従う低エネルギーの電子
を生成するのであって、電子線源が1つであるから構成
が簡単になり、またバルブの形状も簡単なものになると
いう利点がある。
【0032】請求項3および請求項4の発明のように、
気体の圧力、バルブの内径、イオンシースの領域を選定
すれば、殺菌やオゾンの発生に用いることができる18
5nmの紫外線について高い放射効率が得られるという
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の概略構成図である。
【図2】実施例1の一部破断した斜視図である。
【図3】実施例1の動作説明図である。
【図4】実施例2の一部破断した斜視図である。
【図5】実施例2の概略構成図である。
【図6】実施例2において形成される空間電荷層を説明
する図である。
【図7】実施例2における電子の衝突の概念を説明する
図である。
【図8】実施例2において高エネルギーの電子の密度を
示すグラフ図である。
【図9】実施例2において高エネルギーの電子の密度を
示す縦軸を対数目盛としたグラフ図である。
【図10】実施例2において高エネルギーの電子の密度
と空間電荷領域との関係を示すグラフ図である。
【図11】実施例2において高エネルギーの電子の衝突
周波数とカソードからの距離との関係を示すグラフ図で
ある。
【図12】従来例の動作説明図である。
【図13】従来例の動作説明図である。
【図14】理想とする電子の分布を示す図である。
【符号の説明】
1 バルブ 1a 主管 1b 側管 2 第1の電子線源 3 第2の電子線源 3a カソード 3b 加速用グリッド 4 バラスト 5 スタータ 6 バラスト 7 水銀溜 11 電子線源 11a カソード 11b アノード AC 交流電源 DC 直流電源 E 直流電源 S1 空間電荷層 S2 プラズマ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子の衝突により励起されて紫外線を放
    射する気体が封入されたバルブと、バルブ内に配設され
    てマクスウェル分布に従う比較的低エネルギーの電子群
    を放出する第1の電子線源と、第1の電子線源により放
    出された電子群により励起された気体を紫外線が放射さ
    れるエネルギー準位まで励起する比較的高エネルギーの
    ビーム状の電子群を放出する第2の電子線源とを具備し
    て成ることを特徴とする紫外線放射電子管。
  2. 【請求項2】 第1の電子線源と第2の電子線源とを、
    電子を放出するカソードと、カソードの電子放出面に近
    接して対置されカソードより放出された電子を加速する
    アノードとからなる1つの電子線源としたことを特徴と
    する請求項1記載の紫外線放射電子管。
  3. 【請求項3】 バルブ内の気体の圧力と、カソードの表
    面からバルブの管壁までの最大距離との積を140〔To
    rr・cm〕以下に設定したことを特徴とする請求項2記
    載の紫外線放射電子管。
  4. 【請求項4】 カソードの中心からイオンシースとプラ
    ズマとの境界面までの距離を10〔mm〕以下に設定し
    たことを特徴とする請求項2記載の紫外線放射電子管。
JP25525392A 1992-09-25 1992-09-25 紫外線放射電子管 Pending JPH06111787A (ja)

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JP25525392A JPH06111787A (ja) 1992-09-25 1992-09-25 紫外線放射電子管

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016054096A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 株式会社東通研 紫外線照射用放電管

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57130364A (en) * 1980-12-23 1982-08-12 Gte Laboratories Inc Beam mode fluorescent lamp
JPS6212059A (ja) * 1985-07-10 1987-01-21 Matsushita Electric Works Ltd 光放射電子管

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