JPH0610285B2 - アルミニウム粉末冶金製摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム粉末冶金製摺動部材及びその製造方法

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JPH0610285B2
JPH0610285B2 JP25335985A JP25335985A JPH0610285B2 JP H0610285 B2 JPH0610285 B2 JP H0610285B2 JP 25335985 A JP25335985 A JP 25335985A JP 25335985 A JP25335985 A JP 25335985A JP H0610285 B2 JPH0610285 B2 JP H0610285B2
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由紀夫 寺島
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルミニウム粉末治金製摺動部材及びその製造
方法に関し、特に自動車のピストン、バルブリフタ、シ
リンダライナ、アルミシフトフォーク等に好適なアルミ
ニウム粉末治金製摺動部材及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
自動車のピストン等のような摺動部材の材料として、一
般に軽量で比較的強度の高いアルミニウム合金が用いら
れている。そして、この摺動部材の耐摩耗性を向上させ
るために、アルミニウム合金のうち特に耐摩耗性に優れ
た過共晶Si−Al合金を用いることが提案され、更に
は、シリンダライナ等を過共晶Si−Al合金で鋳作
し、摺動面のみECM処理(electro chemical machini
ng)によりアルミニウム母材を除去し、初晶シリコンを
突出させたのち、研磨して仕上げることにより耐摩耗性
を更に向上させる方法が提案されている(米国特許第3
333579号)。
ところで、上記米国特許第3333579号に係るシリ
コンライナ等の摺動部材は、全体が過共晶Si−Al合
金を用いて鋳造されているため、強度、靭性の点で十分
とは言えないところがあり、高強度や高靭性が要求され
る部品への適用が制限されるという問題がある。
そこで、鋳造アルミニウム合金に比べ、高強度、高靭
性、高耐熱性という長所を有する粉末治金(熱間加工)
製過共晶Si−Al合金を用いることが考えられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、熱間押出成形等の熱間加工(粉末加工の
一種)で成形した過共晶Si−Al合金製摺動部材は組
織が緻密であり、鋳造材より強度、靭性、耐熱性で勝る
ものの、初晶シリコンの粒径が、鋳造材の場合の数十μ
m程度に比べ、一般に10μm以下(通常2μm〜3μ
m)と小さいため、耐摩耗性に劣るという問題がある。
そこで、過共晶Si−Al合金粉末治金製摺動部材の強
度、靭性、耐熱性に優れた点を活かしつつ、耐摩耗性を
向上させる工夫が求められていた。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題は、次に述べる本発明のアルミニウム粉末治金
製摺動部材及びその製造方法によって解決される。
即ち、本発明のアルミニウム粉末治金製摺動部材は、粉
末治金により所定形状に成形された過共晶Si−Al合
金粉末治金製摺動部材であって、 この摺動部材の少なくとも摺動面には、表面から0.1mm
以上の深さにわたって、初晶シリコンの粒径が25μm
〜100μmの摺動層が形成されていることを特徴とし
ている。……第1の発明 また、本発明のアルミニウム粉末治金製摺動部材の製造
方法は、過共晶Si−Al合金粉末から粗形材を成形
し、この粗形材の完全脱ガス処理を行った後、熱間加工
により所定形状の摺動部材を成形し、得られた摺動部材
の少なくとも摺動面に高密度エネルギを照射して再溶融
させ、0.1℃/秒〜7.0℃/秒の降温速度で冷却させるこ
とを特徴としている。……第2の発明 以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明において使用する過共晶Si−Al合金粉末は、
噴霧法等の急冷凝固処理により得られる。このとき、過
共晶Si−Al合金粉末の初晶シリコンの粒径は、第6
図に示すように、凝固過程の冷却速度に依存する。急冷
凝固粉末の冷却速度は一般に1×10℃/秒以上であ
るため、初晶シリコンの粒径は10μm以下となり、通
常は2μm〜3μmである。
本発明において、粉末治金を用いた過共晶Si−Al合
金粉末の成形法としては、熱間押出し、HIP、焼結鋳
造等の熱間成形を用いることができる。これらの方法に
より、過共晶Si−Al合金粉末は、シリンダライナ、
バルブリフタ、ピストン等の所定形状に成形される。
第1の発明において、摺動部材の少なくとも摺動面に
は、0.1mm以上の深さにわたって摺動層が形成される。
ここで、摺動層は0.1mm以上ないと十分な耐摩耗性、耐
焼付性を得ることができない。
この摺動層には、粒径が25μm〜100μmの初晶シ
リコンが設けられている。ここで、初晶シリコンの粒径
を25μm〜100μmとしたのは、25μmより小さ
いと十分な耐摩耗性が得られないためであり、100μ
mより大きくなると相手部材を傷付けるおそれがあるた
めである。また、気孔率は略0%である。
第2の発明において、過共晶Si−Al合金粉末を棒状
あるいは矩形状等に成形して粗形材とする。そして、こ
の粗形材の完全脱ガス処理を行った後、熱間加工を行
う。次いで、所定形状に成形した摺動部材の少なくとも
摺動面に高密度エネルギを照射して再溶融した摺動層を
形成する。このとき、高密度エネルギ源としてTIGア
ーク、レーザ、プラズマアーク、電子ビーム等を用いる
ことができる。なお、再溶融した後の摺動部材の冷却速
度は、初晶シリコンの粒径を25μm〜100μmに制
御するために、0.1℃/秒〜7℃/秒程度とすることが
必要である。従って、例えば摺動部材としてバルブリフ
タを製造する場合には、再溶融処理はバルブリフタを2
00℃程度に加熱してから行う。
〔作用〕
本発明のアルミニウム粉末治金製摺動部材は、従来の粉
末治金製摺動部材に比べ、摺動層の初晶シリコンの粒径
が25μm〜100μmと約3倍〜100倍となってい
るため、耐摩耗性が大幅に向上する。このことは、過共
晶Si−Al合金の摩耗特性が、第7図に示すように、
初晶シリコンの粒径に依存し、初晶シリコンの粒径が大
きくなれば耐摩耗性が大幅に向上することから理解でき
る。
更に、上記粒径の初晶シリコンが形成されるのは摺動層
のみであり、他の部分は過共晶Si−Al合金粉末を熱
間成形したままの状態であるため、鋳造アルミニウムを
用いる場合に比べ、強度、靭性、耐熱性が優れていると
いう利点をそのまま活かすことができる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を図面を参考にして説明する。
ここで、第1図は本発明の実施例で得られた試料の摺動
層近傍を模式的に示す概略構成図、第2図は本発明の実
施例で得られた試料の摺動層表面の金属組織を示す顕微
鏡写真(×100)、第3図は本発明の実施例で得られ
た試料の母材の金属組織を示す顕微鏡写真(×10
0)、第4図は本発明の実施例における試料作製の一工
程を示す概略構成図である。
重量%で25%Si−3%Cu−0.5%Mg−残部Al
からなる過共晶Si−Al合金のガスアトマイズ粉末を
予備成形して粗形材を形成する。次いで、この粗形材を
完全脱ガス処理した後、熱間押出し加工により直径40
mmの棒状部材に成形した。この棒状部材の密度比は99.8
%、初晶シリコンの粒径は2μm〜3μm、引張り強さ
は35Kgf/mm2であった。
この棒状部材を10mmの厚さに輪切りして複数の試料片
を作製し、第4図に示すように、この試料片1の片方の
端面の幅10mm、長さ20mmの範囲に、高密度エネルギ
源としてTIGトーチ2を用いて再溶融処理を行った。
このとき、TIG再溶融処理は、試料片1を200℃に
加熱したのち、処理部にシールドガスとしてアルゴンガ
スを25/分の割合で供給しながら、φ3.2mmのタン
グステン電極3を用い、電流波形として210A−18
0Aで0.2秒間隔の矩形波を使って、送り速度:1.5mm/
秒で行った。
この結果、第1図に示すように、長さ20mm、幅10m
m、深さ3.8mmの摺動層(処理層)4を有する試料片Aが
得られた。なお、第1図において、5は母材、6は初晶
シリコンである。この摺動層4と母材5の金属組織の顕
微鏡写真を第2図、第3図に示す。第2図、第3図から
も明らかなように、この試料片Aの摺動層1の初晶シリ
コンの粒径は25μm〜70μm、母材5の初晶シリコ
ンの粒径は2μm〜3μmであり、気孔率は双方とも約
0%であった。
(比較例) 比較例において、実施例と異なる点は、摺動面の再溶融
処理をしなかったことにあり、他は実質的に実施例と同
様にして試料片Bを製造した。
この結果得られた試料片Bの初晶シリコンの粒径は全て
が10μm以下であり、気孔率は略0%であった。
(評価試験) 上記実施例および比較例で得られた試料片A、Bを、そ
れぞれ30mm×30mm×5mmの大きさに切り出して摩耗
試験片を製作した。そして、これらの摩耗試験片を用い
て摩耗試験を行った。このとき、相手側試験片としてJ
IS SUJ2製リング部材を用い、LFW摩擦摩耗試
験機により、試験条件を次のように設定して行った。
すべり速度:1m/秒 負荷:60Kg 時間:1時間 潤滑油:低粘度エンジンオイル 油温:40℃ この結果を第5図に示す。第5図からも明らかなよう
に、本実施例の試料片は比較例のものに比べ摩耗量が約
1/3に低減していることが判る。
以上、本発明の特定の実施例について説明したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲内において種々の実施態様を包含するものである。
〔発明の効果〕
以上より、本発明のアルミニウム粉末治金製摺動部材及
びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(イ)初晶シリコンの粒径が大きくなるため、耐摩耗性
が向上する。
(ロ)従来の粉末治金製摺動部材の製造方法を大きく変
えることなく、アルミニウム粉末治金製摺動部材を製造
することができる。従って、製造が比較的簡便に行え
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例で得られた試料の摺動層近傍を
模式的に示す概略構成図、 第2図は本発明の実施例で得られた試料の摺動層表面の
金属組織を示す顕微鏡写真(×100)、 第3図は本発明の実施例で得られた試料の母材の金属組
織を示す顕微鏡写真(×100)、 第4図は本発明の実施例における試料作製の一工程を示
す概略構成図、 第5図は本発明の実施例で得られた試料と比較例で得ら
れた試料の摩耗試験結果を示すグラフ、 第6図は過共晶Si−Al合金の冷却速度と初晶シリコ
ンの粒径の関係を示すグラフ、 第7図は初晶シリコンの粒径と摩耗量の関係を示すグラ
フである。 1……試料片 2……TIGトーチ 3……タングステン電極 4……摺動層 5……母材 6……初晶シリコン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉末冶金により所定形状に成形された過共
    晶Si−Al合金粉末冶金製摺動部材であって、 この摺動部材の少なくとも摺動面には、表面から0.1mm
    以上の深さにわたって、初晶シリコンの粒径が25μm
    〜100μmの摺動層が形成されていることを特徴とす
    るアルミニウム粉末冶金製摺動部材。
  2. 【請求項2】過共晶Si−Al合金粉末から粗形材を成
    形し、この粗形材の完全脱ガス処理を行った後、熱間加
    工により所定形状の摺動部材を成形し、得られた摺動部
    材の少なくとも摺動面に高密度エネルギを照射して再溶
    融させ、0.1℃/秒〜7.0℃/秒の降温速度で冷却させる
    ことを特徴とするアルミニウム粉末冶金製摺動部材の製
    造方法。
JP25335985A 1985-11-12 1985-11-12 アルミニウム粉末冶金製摺動部材及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH0610285B2 (ja)

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