JPH0594368U - ボールタップの水位調節機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボールタップの水位調節機構において、簡単
な構成で調節ボルトの空転を確実に阻止し、設定水位の
変動を防止する。 【構成】 浮玉支持杆４と給水弁２の開閉操作をする梃
子５とを、下端のリング部９ｂに浮玉支持杆４を挿通さ
せた連結杆９のボルト部９ａを、梃子５の上下の窓枠６
ａ，６ｂに形成した挿通孔６ｃ，６ｄを貫通させて窓６
内の調節ナット１３に螺合させることにより連結する。
梃子５における左右の窓枠６ｅ，６ｆの内側面に弾性舌
片７，７を突設し、該弾性舌片７，７の先端を調節ナッ
ト１３の側面へ垂直に当接させて調節ナット１３の空転
を阻止する。弾性舌片７，７の各先端間の距離は、窓６
内へ配置される調節ナット１３の一組の平行な側面１３
ａ，１３ａの間隔寸法とほぼ等しく設定されているの
で、調節ナット１３は回動する余地を殆ど持たない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、便器用の洗浄水タンク等に設けられるボールタップに関し、給水弁 が閉止する水位を調節するための機構に改良を加えたものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、洋風便器３０の後部上面に設置した洗浄水タンク４０の内部の様子を 示すものである。同図に示すように、通常、タンク４０内には、洗浄水供給用の ボールタップ１が設置される。該ボールタップ１は、一端に浮玉３が取着され他 端がボールタップ１の本体へ枢軸１６で枢支された浮玉支持杆４と、ボールタッ プ１の本体へ枢軸８で枢支され浮玉支持杆４の揺動と連動する梃子５とにより、 タンク４０内の水位に応じてボールタップ１の給水弁２を開閉操作するように構 成されている。すなわち、便器洗浄によりタンク４０内の水位が低下して浮玉３ が下降すると給水弁２が開いて洗浄水が供給され、タンク４０内の水位が一定水 位まで回復して浮玉３が所定位置まで上昇すると、給水弁２が閉止されるように なされている。

【０００３】 ところで、タンク４０内の最大水位は、給水弁２を閉止させる浮玉３の上昇位 置によって決められるが、前記図４に示すボールタップ１では、最大水位の設定 を変更できない。そこで、浮玉支持杆４と梃子５との連結部に水位調節機構を設 けることが従来提案されている。図５乃至図７は、実願昭６１−８５２７２号に 記載された水位調節機構２０を示すものであり、これは、梃子５の揺動端側に窓 ６を開設し、該窓６内に調節ナット１３を配置し、浮玉支持杆４の端部４ａを枢 軸１６でボールタップ１本体へ枢支する前に、連結杆９の下端のリング部９ｂに 浮玉支持杆４を挿通させたのち、該連結杆９のボルト部９ａを前記窓６の上下枠 ６ａ，６ｂに設けた挿通孔６ｃ，６ｄを貫通させると共に、前記調節ナット１３ に螺合させたものである。この水位調節機構２０は、調節ナット１３と連結杆９ のボルト部９ａとの螺合度合を変えることにより、浮玉支持杆４の梃子５に対す る保持角度を調節して、設定水位を変更することができる。

【０００４】 但し、調節ナット１３が空転すると、浮玉支持杆４の保持角度が変わって水位 の設定にくるいが生ずるので、上記従来例では、窓６の上枠６ａと調節ナット１ ３との間に、バネ鋼等の弾性材からなる空転阻止片１４を介装させた。当該空転 阻止片１４は、図５に明示するように、中央に開孔１４ａを有し、舌片１４ｄ， １４ｄを開孔１４ａを挟んで対照的に形成したものである。この空転阻止片１４ を調節ナット１３の上面と窓６の上枠６ａとの間へ配置し、調節ナット１３に螺 合した連結杆９のボルト部９ａを、空転阻止片１４の開孔１４ａを通して上側の 挿通孔６ｃを貫通させたのち、図６及び図７にに示す如く、空転阻止片の各舌片 １４ｄ，１４ｄを下方へ折り曲げて、舌片１４ｄ，１４ｄの基部１４ｂ，１４ｂ で調節ナット１３の一対の平行な側面１３ａ，１３ａを挟持する。これにより、 調節ナット１３が回転しようとしても、舌片１４ｄ，１４ｄの先端部１４ｃ，１ ４ｃが、梃子５の下側の窓枠６ｂに当接するので空転が阻止される。

【０００５】 なお、空転阻止片１４の舌片１４ｄ，１４ｄを折り曲げる間隔Ｄ（図７参照） を、図５に示す、調節ナット１３の平行な側面１３ａ，１３ａの間隔Ｅよりはや や大きいが、対角線の長さ寸法Ｆよりは小さくなるように設定すれば、設定水位 を再調節する際に、舌片１４ｄ，１４ｄを弾性拡開させて、調整ナット１３を強 制回転させるのが容易である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来の水位調節機構においては、空転阻止片１４の舌片１４ｄ，１４ｄで 調節ナット１３の両側面１３ａ，１３ａを挟持し、該舌片１４ｄ，１４ｄの先端 部１４ｃ，１４ｃを梃子５の下側の窓枠６ｂに当接させることで調節ナット１３ の空転を阻止する構成を採用しているため、調節ナット１３は、わずかながら回 動し得る余裕を持つ。このため、水位の設定が微妙に変動することを免れない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 本考案は上記課題に鑑みて、従来のボールタップの水位調節機構に改良を加え たものであって、その特徴とするところは、一端に浮玉が取り付けられ他端がボ ールタップの本体へ枢支された浮玉支持杆と、一端がボールタップの本体に枢支 されて前記浮玉支持杆の揺動と連動してボールタップの給水弁を開閉操作する梃 子とを連結する水位調節機構であって、前記梃子の揺動端側に窓が設けられ、当 該窓内に調節ナットが配置され、一端が前記浮玉支持杆に接続された連結杆のボ ルト部が前記窓の上下枠に形成された挿通孔を貫通して前記窓内に配置された調 節ナットに螺合され、当該窓における左右枠の少なくとも一方の内側面に、前記 調節ナットの側面へ垂直に当接する弾性舌片が突設されていることである。

【０００８】

【作用】

本考案においては、梃子の揺動端側に設けた窓における左右枠の少なくとも一 方の内側面に突設した弾性舌片を、窓内に配置した調節ナットの側面へ垂直に当 接させることにより、当該調節ナットの空転を阻止する構成を採用したので、調 節ナットは、窓内で回動し得る余裕が殆どない。それ故、設定水位が変動をきた すおそれがなくなる。但し、調節ナットの空転を阻止しているのは弾性舌片であ るから、必要に応じて、弾性舌片を弾性変形させつつ、調節ナットを強制回転さ せることができるので、設定水位の再調節が可能である。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に即して説明する。なお、図面において、従来例 と同一の番号は、共通の部材を示している。

【００１０】 図１及び図２に示す如く、本考案に係る水位調節機構１０の基本的な構成は、 前記図５乃至図７に示す従来例と共通している。即ち、一端に浮玉３が取着され 他端４ａが枢軸１６でボールタップ１の本体へ枢支された浮玉支持杆４と、一端 が枢軸８でボールタップ１本体へ枢支され他端に窓６が開設された梃子５とを、 下端のリング部９ｂに浮玉支持杆４を挿通させ、ボルト部９ａを梃子５の上下の 窓枠６ａ，６ｂに形成した挿通孔６ｃ，６ｄを貫通させて窓６内の調節ナット１ ３に螺合させた連結杆９により連結した点は同じである。

【００１１】 本考案の特色とするところは、梃子５における左右の窓枠６ｅ，６ｆの内側面 に弾性舌片７，７を突設し、該弾性舌片７，７により、調節ナット１３の空転を 阻止するようにした点にある。これを、図３の拡大図により説明すると、本実施 例に係る弾性舌片７，７は、梃子５における左右の窓枠６ｅ，６ｆの各内側面か ら対向するように突設され、その厚みは、湾曲可能なように、窓枠６ｅ，６ｆ自 体の厚みよりは十分に薄く形成されている。また、弾性舌片７，７の各先端間の 距離は、窓６内へ配置される調節ナット１３の一組の平行な側面１３ａ，１３ａ の間隔寸法とほぼ等しく設定されている。かかる構成に基づき、窓６内へ配置さ れ連結杆９のボルト部９ａに螺合された調節ナット１３は、一組の平行な側面１ ３ａ，１３ａが、弾性舌片７，７に対して垂直となるように弾性舌片７，７によ り挟持されることになる。従って、調節ナット１３は、殆ど回動し得る余地がな くなるため、給排水に伴う通常の梃子５の揺動による調節ナット１３の空転は確 実に阻止されるので、設定水位の変動をきたすおそれがない。

【００１２】 上述したように、本考案に係る水位調節機構１０は、設定水位の変動が確実に 阻止されるが、必要な場合には、設定水位の変更が可能である。というのは、弾 性舌片７，７は湾曲可能であるので、該弾性舌片７，７を弾性変形させつつ、調 節ナット１３を強制回転させることができる。依って、本考案に係る水位調節機 構１０は、設定水位の再調節を容易に行うことができる。

【００１３】 本考案の実施例は、前述した以外に、種々の応用が可能である。例えば、弾性 舌片は、図示した実施例の如く、梃子の窓枠の左右両側に設けることが望ましい が、場合によっては、いずれか一方の窓枠だけに設けてもよい。また、梃子と弾 性舌片とは、別体に製作したものを後で接着することも可能であるが、両者を合 成樹脂等で一体成形すれば、部材点数を少なくすることができ、コストの低減化 を図ることができる。さらに、調節ナット１３には、通常は六角形のものが使用 されるが、その形状は限定的なものではない。その他、本考案は、実施の態様に 応じた適宜の変更を妨げるものではない。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したところから明らかなように、本考案に係る水位調節機構は、梃子 における左右の窓枠に設けた弾性舌片により、調節ナットが殆ど回動する余地の ないように空転を阻止するから、設定水位の変動を来すおそれがない。

【００１５】 弾性舌片は、梃子と一体成形が可能であるから、従来の空転阻止片を用いる場 合と比べて、部材点数を少なくすることができる。依って、ボールタップの組付 け作業の工数が減ると共に、低コスト化がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る水位調節機構を備えたボールタッ
プの要部を分解して示す斜視図である。

【図２】本考案に係る水位調節機構を備えたボールタッ
プの要部の斜視図である。

【図３】本考案に係る水位調節機構の要部を示すもので
あって、（Ａ）は梃子の揺動端部の正面図、（Ｂ）は梃
子の揺動端部の平面断面図である。

【図４】従来のボールタップを、洋風便器に設置した洗
浄水タンク内へ取り付けた状態を示す部分切欠正面図で
ある。

【図５】従来の水位調節機構を備えたボールタップの要
部を示す分解斜視図である。

【図６】従来の水位調節機構を備えたボールタップの要
部の斜視図である。

【図７】従来の水位調節機構を備えたボールタップの要
部を示す側面図である。

【符号の説明】

１ ボールタップ ２ 給水弁 ３ 浮玉 ４ 浮玉支持杆 ５ 梃子 ６ 窓 ６ａ 上側の窓枠 ６ｂ 下側の窓枠 ６ｃ 上側の挿通孔 ６ｄ 下側の挿通孔 ６ｅ 右側の窓枠 ６ｆ 左側の窓枠 ７ 弾性舌片 ８ 枢軸 ９ 連結杆 １０ 水位調節機構 １３ 調節ナット １３ａ 調節ナットの側面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端に浮玉が取り付けられ他端がボール
   タップの本体へ枢支された浮玉支持杆と、一端がボール
   タップの本体に枢支されて前記浮玉支持杆の揺動と連動
   してボールタップの給水弁を開閉操作する梃子とを連結
   する水位調節機構であって、前記梃子の揺動端側に窓が
   設けられ、当該窓内に調節ナットが配置され、一端が前
   記浮玉支持杆に接続された連結杆のボルト部が前記窓の
   上下枠に形成された挿通孔を貫通して前記窓内に配置さ
   れた調節ナットに螺合され、前記窓における左右枠の少
   なくとも一方の内側面に、前記調節ナットの側面へ垂直
   に当接する弾性舌片が突設されていることを特徴とする
   ボールタップの水位調節機構。