JPH0576386B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、曲り外管に耐摩耗材内管を接合した
耐摩耗曲り二重管の製造方法に関する。

［従来の技術］ 各種産業分野においては固体材料の流体輸送が
広く用いられているが、これらの流体輸送用配管
のうち、例えば、石炭や各種鉱石等の固体材料を
水に混合して運ぶスラリー輸送管、或は、セメン
ト、粉塵、珪砂等粉粒体の空気輸送管等では、管
の内面が摩耗し易い。

特に、曲り管部分の摩耗が著しく、しばしば問
題となる。

しかしながら、特に耐摩耗性を要求されるよう
な用途の流体輸送用配管では、高クロム鋳鉄、セ
ラミツクス等耐摩耗性の優れた材料より成る配管
が使用されることもある。

一方、上述した高クロム鋳鉄やセラミツクス等
の耐摩耗材料から成る配管は衝撃力が加わると破
損し易いという欠点がある。

又、高硬度の耐摩耗材料は溶接性、及び、加工
性が共に著しく悪いため、第一に溶接による本体
へのフランジの取付が不可能である欠点があり、
第二にフランジを一体形成させた場合にも仕上げ
加工や孔開け加工が困難であり、第三に補修溶接
が困難である等の難点がある。

加えて、製造コストも高い不利点もある。

本発明者らは先に、このような欠点を解消する
ものとして、曲り外管に対しては高靱性を具備
し、内管を多数の耐摩耗材のピースからなる内管
となし、曲り外管に対し周方向環状加熱、及び、
その前後周辺冷却作用を同時併行的に軸方向に連
続的に、例えば、軸方向に相対移動しながら加熱
冷却を付与することにより曲り外管を縮径させて
内管を曲り外管によりたが締めするようにして接
合する曲り二重管の製造方法を提案している。
（特開昭62−61733号公報） ［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来の二重管の製造方法で
は次のような問題があつた。

１ 多数の耐摩耗材からなるアーチ状のピースを
規則的に配列させて弯曲した内管として積上げ
形成することは加工上、困難を伴い加工時間の
増加をもたらす。

２ 加熱冷却を付与することにより曲り外管を縮
径させるにさいし、内管の外部から圧縮力が作
用し多数のピース相互に伝達されるが、耐摩耗
材が低靱性を呈することにより、充分に圧縮力
に対抗し得ずピースを破損させてしまう。

本発明はこのような従来の方法の改良に関する
ものであり、多数の耐摩耗材のピースからなる内
管の形成を比較的簡単となし、曲り外管を縮径さ
せるにさいし内管の破損を防止できる優れた耐摩
耗曲り二重管の製造方法を提供することを目的と
するものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、曲り外
管１内に曲り保持管３と多数の耐摩耗材のピース
４とにより内管２を形成して該曲り外管１に対し
周方向の環状加熱とその周辺の冷却を同時併行的
に付与し、加熱部の熱膨張をその周辺の低温部に
より拘束して膨径を抑え、その後該加熱部を冷却
により収縮させ、その部分の直径が初期径より小
さくなるようにし、而して曲り外管１と加熱冷却
手段とを曲り方向に相対移動させて加熱部の全長
に亙り冷却後の曲り外管１の直径が初期径より小
さくなるようにした耐摩耗曲り二重管の製造方法
であつて、曲り保持管３の表面上に多数の耐摩耗
材のピース４を接着剤により接着して配列して内
管２を形成したのち、曲り外管１と内管２とを接
合するようにしたものである。

［作用］ 本発明は上記のような構成により次のような作
用を有する。すなわち、内管の形成にさいし曲り
保持管の表面上に多数の耐摩耗材からなるピース
を接着して規則的に配列できるので、内管の形成
を比較的簡単にすることができて加工時間を短縮
することができる。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図は、スラリー輸送管等の耐摩耗曲り二重
管の製造態様であり、１は曲り外管をしめし、例
えば、炭素量0.25％程度の低炭素鋼よりなり、所
定の曲り半径を有している。２は内管をしめし、
３は曲り保持管であり、例えば、炭素量0.25％程
度の低炭素鋼よりなり、予め所定の曲り半径のも
とで成形されている。４は耐摩耗材の多数のピー
スをしめし、例えば、高クロム鋳鉄の成分、 Ｃ：2.98％，Si：0.86％，Mn：0.89％，Cr：
26.8％を含有する組成のもので、箇所のピースが
曲り保持管３の表面上に、接着剤５を用いて順次
配列され、配列されたピースの高さのもとで曲り
外管１の内径に実質上近似した外径を有する内管
２が形成される。また、耐摩耗材として例えば、
Al₂O₃質、ZrO₂質セラミツクスなども用いること
ができる。

第２，３図は内管２の実施態様であり、曲り保
持管３の弯曲した表面上に多数の耐摩耗材のピー
ス４が細片状となつて接着剤５を用いて順次配列
されて接着している。第３図は第２図の内管２の
Ａ−Ａ部における断面をしめし、ピース４はＡ−
Ａ断面の曲り保持管３の径方向においてもピース
４相互の側面が密接するように接着されており、
かつ、接着されたピース４の高さのもとでの曲り
保持管３の外径d₀は、曲り外管の内径に実質上近
似している。

次に、第１図において、前記のごとく製造した
内管２を曲り外管１内に挿入し、矢印９にしめす
様に円弧方向に所定速度のもとで移動させるよう
にセツトし、更に、曲り外管１の外周には環状の
加熱手段として、例えば、高周波誘導加熱装置６
など（以下、加熱装置と称する）を取付けるとと
もに加熱装置６の両側に所定距離をもつて近接し
た冷却水の環状の噴出手段７，７（以下、冷却装
置と称する）を取付け、両者は一体となつて組合
せたユニツト８となし、ユニツト８を矢印１０に
しめす様に円弧方向に移動させるようにする。

ユニツト８を移動させる過程において、曲り外
管１に対して加熱装置６は曲り外管１の局部加熱
部において膨径作用を付与するとともに、局部加
熱部の両端では冷却装置７からの冷却水噴出によ
り冷却作用を同時併行的に受ける。このさい、加
熱装置６の両側には所定距離をもつて冷却装置７
が取付けられているので、局部加熱部が冷却水噴
出により直接に冷却されてしまうことが回避さ
れ、所定長さの局部加熱部が形成される。そし
て、曲り外管１の局部加熱部における熱膨張によ
る膨径作用のもとでの塑性変形が行われたのち、
前記のユニツト８の移動により冷却作用のもとで
冷却が行われて、加熱部の熱膨張をその周辺の低
温部により拘束して膨径を抑え、その後加熱部は
冷却により収縮され、初期外径よりも小さくなる
ように縮径されることによつて、曲り外管１には
圧縮応力が発生し、内管２を外部から圧縮するに
至る。このさい内管２の曲り保持管３にも圧縮力
が荷重として作用して弾性変形がもたらされ、か
かる弾性変形のもとでの耐摩耗材のピース４の変
位が許容されて多数のピース４の相互接触部への
過度の圧縮力の伝播を緩和することができるの
で、内管の耐摩耗材のピース４の脆性破壊などに
よる破損を防止することができる。

かくして、曲り外管１の曲り部全長にわたり、
ユニツト８の相対移動が行われて、曲り外管１の
局部加熱による膨径と冷却による縮径とを連続に
同時操作することとなり、少なくとも１回の上記
操作により曲り外管と内管とは曲り部全長にわた
り強度の接合力をもつて半径方向および周方向に
おいて均一に接合せられ、耐摩耗曲り二重管が製
造せられる。

本発明の実施態様は上記実施例のものに限定さ
れるものでないことは言うまでもなく、種々の耐
摩耗材の選定、耐摩耗材のピースの形状、内管の
形成など種々の態様が採用可能である。

［発明の効果］ 本発明は上記実施例より明らかなように、内管
の形成にさいして、曲り保持管の表面上に多数の
耐摩耗材のピースを配列することにより、形成を
比較的簡単にすることができ、耐摩耗曲り二重管
の摩耗状態に対応しうるごとく耐摩耗性の異る耐
摩耗材からなるピースを組合せ配列することによ
り最適な耐摩耗材からなる内管を形成することが
できる。例えば、耐摩耗曲り二重管の使用時にお
いて流体流れの方向変換により摩耗の激しい曲り
保持管の外径側にはアルミナセラミツクスのピー
スを配列するとともに、摩耗の少い曲り保持管の
内径側には高クロム鋳鉄などのピースを配設して
内管を形成することができる。

また、曲り保持管を用いることにより、耐摩耗
曲り二重管の製造時に内管に外部から強い圧縮力
が作用しても、耐摩耗材のピースを破損させるこ
となく、曲り外管と内管とを曲り部全長にわたり
強度の接合力をもつて接合できるという優れた効
果を有する。

そして、耐摩耗曲り二重管の長時間使用によ
り、内管の曲り保持管が摩耗されても、耐摩耗材
のピースは曲り外管と接合された状態の保持が継
続されて摩耗性雰囲気に対抗できるので耐摩耗性
を呈することができる。

さらにまた、曲り外管と内管との接合には冶金
的接合を用いていないので、接合にさいしてのエ
ネルギー消費を低減しうるという実用上の効果を
も奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における耐摩耗曲り
二重管の製造方法の概略説明図、第２図は同方法
の内管の断面側面図、第３図は第２図のＡ−Ａ部
における断面図である。 １……曲り外管、２……内管、２……曲り保持
管、４……耐摩耗材のピース、６……加熱装置、
７……冷却装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 曲り外管１内に曲り保持管３と多数の耐摩耗
   材のピース４とにより内管２を形成して該曲り外
   管１に対し周方向の環状加熱とその周辺の冷却を
   同時併行的に付与し、加熱部の熱膨張をその周辺
   の低温部により拘束して膨径を抑え、その後該加
   熱部を冷却により収縮させ、その部分の直径が初
   期径より小さくなるようにし、而して曲り外管１
   と加熱冷却手段とを曲り方向に相対移動させて加
   熱部の全長に亙り冷却後の曲り外管１の直径が初
   期径より小さくなるようにした耐摩耗曲り二重管
   の製造方法であつて、曲り保持管３の表面上に多
   数の耐摩耗材のピース４を接着剤により接着して
   配列して内管２を形成したのち、曲り外管１と内
   管２とを接合するようにしたことを特徴とする耐
   摩耗曲り二重管の製造方法。