JPH0568551A - 新規なgl−7acaアシラーゼ - Google Patents

新規なgl−7acaアシラーゼ

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JPH0568551A
JPH0568551A JP3274037A JP27403791A JPH0568551A JP H0568551 A JPH0568551 A JP H0568551A JP 3274037 A JP3274037 A JP 3274037A JP 27403791 A JP27403791 A JP 27403791A JP H0568551 A JPH0568551 A JP H0568551A
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JP
Japan
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7aca
acylase
dna
7aca acylase
subunit
Prior art date
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Application number
JP3274037A
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English (en)
Inventor
Ichirou Aramori
一朗 荒森
Masao Fukagawa
正夫 深川
Mana Tsumura
真奈 津村
Yosuke Ishitani
洋介 石谷
Hiroki Ono
裕樹 小野
Morita Iwami
盛太 石見
Hitoshi Takanori
仁 高乗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 Pseudmonas sp.A14由来の、(a)グルタ
リル7−ACA、アジピル7−ACAおよびスクシニル
7−ACAを7−アミノセファロスポラン酸に酵素的に
転換する能力を有し;(b)α−サブユニット[分子量:2
8,000ダルトン(SDS−PAGE)]およびβ−サブ
ユニット[分子量:61,000ダルトン(SDS−PA
GE)]よりなり;α−サブユニットのN末端アミノ酸配
列が、Ala−Asp−Thr−Ala−Pro−Ser−Ala−T
hr−Pro−Pro−であることを特徴とする新規GL−7
ACAアシラーゼを単離し、クローニングし、これをコ
ードするDNAを含有する発現ベクターで宿主細胞を形
質転換し、形質転換体に該アシラーゼを産生させ、その
特性を決定する。 【効果】 酵素転換法による7−ACAの製造に有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なGL−7ACA
アシラーゼ(以下「GL−7ACAアシラーゼA14」と
呼ぶ)に関し、より詳しくは、シュードモナス属菌株A
14(Pseudmonas sp.A14)由来の新規GL−7AC
Aアシラーゼ、これをコードするDNA、該DNAを含
有する発現ベクター、該発現ベクターにより形質転換さ
れた微生物、および該形質転換体を培養することによる
GL−7ACAアシラーゼの生産に関する。
【0002】
【従来の技術】GL−7ACAアシラーゼとは、7−
(4−カルボキシブタンアミド)−3−アセトキシメチル
−3−セフェム−4−カルボン酸(GL−7ACA)を加
水分解して7−アミノセファロスポラン酸(7−ACA)
に転換させうることを共通点とする酵素の一般的名称で
ある。従来、7−ACAは、イミノエーテル法あるいは
塩化ニトロシル法などのセファロスポリンの化学変換法
によって製造されてきた。しかし、β−ラクタム抗生物
質の他の一族であるペニシリン類の出発物質である6−
アミノペニシラン酸(6−APA)の生産に類似の酵素転
換法が成功裏に採用されたので、原価低減のために、酵
素転換を利用する別法が永らく探求されてきた。かかる
努力の過程で、D−アミノ酸オキシダーゼおよびグルタ
リル7ACA(GL−7ACA)アシラーゼを用いる2段
階酵素変換法が編み出された。この方法は、酵素酸化を
化学酸化によって置換えたものとして工業化されてい
る。
【0003】シュードモナス属菌株GK16がGL−7
ACAアシラーゼを産生することが報告され、該アシラ
ーゼ遺伝子のヌクレオチド配列の一部が明らかにされた
[ジャーナル・オブ・バクテリオロジー163巻122
2〜1228ページ(1985年)参照]。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
新規GL−7ACAアシラーゼを求めて鋭意研究を行っ
た。その結果、本発明者らは、新しく単離された微生物
であるシュードモナス属菌株A14の培養物中に新規で
特徴的なGL−7ACAアシラーゼA14を見出し、こ
の酵素の工業的生産法を確立した。この発明のGL−7
ACAアシラーゼA14は、既知のGL−7ACAアシ
ラーゼとは全く異なる構造(アミノ酸配列)を有する。こ
のGL−7ACAアシラーゼのその他の特徴は以下の説
明から明らかになるであろう。
【0005】GL−7ACAアシラーゼ産生菌であるシ
ュードモナス属菌株A14と名付けた菌株は、千葉県で
採取された土壌試料から新しく分離されたものである。
【0006】シュードモナス属菌株A14は、以下の形
態学的および生理学的特徴を有する。この分類検討に
は、バージーズ・マニュアル・オブ・システマチック・
バクテリオロジー(第1巻)に記載の方法が主として用い
られている。
【0007】1.形態学的特徴 A14株の形態観察は、トリプチケースソイブロス(米
国BBL社)中37℃で培養した細胞につき、光学顕微
鏡によって行われた。
【0008】A14株は、グラム陰性の運動性細菌であ
った。細胞形態は桿状であった。結果を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】2.生理学的特徴 A14株の生理学的特徴を表2、表3にまとめた。A1
4株は、オキシダーゼ陽性、カタラーゼ陽性、OFテス
ト酸化であった。ゼラチンは液化されなかった。硝酸塩
は還元されなかった。グルコース以外の試験対象炭水化
物(糖質)は醗酵しなかった。リジンおよびオルニチンは
脱炭酸されず、アルギニンは加水分解されなかった。イ
ンドールテストは陰性であった。フォゲス−プロスカウ
エル(Voges−Proskaer)テストは陰性であった。
【0011】
【表2】
【表3】
【0012】この発明の新規GL−7ACAアシラーゼ
は次の特性をもつ。
【0013】すなわち、この発明の新規GL−7ACA
アシラーゼは、(a) グルタリル7−ACA、アジピル
7−ACAおよびスクシニル7−ACAの7−アミノセ
ファロスポラン酸への酵素転換の触媒能を有し、(b)
α−サブユニット[分子量:28,000ダルトン(SD
S−PAGE)]およびβ−サブユニット[分子量:61,
000ダルトン(SDS−PAGE)]よりなり、(c) α
−サブユニットのN末端アミノ酸配列が、Ala−Asp−
Thr−Ala−Pro−Ser−Ala−Thr−Pro−Pro−で
ある。
【0014】この発明の新規GL−7ACAアシラーゼ
は、組換えDNA技術、ポリペプチド合成などによって
調製できる。
【0015】すなわち、該新規GL−7ACAアシラー
ゼは、該新規GL−7ACAアシラーゼのアミノ酸配列
をコードするDNAを含む発現ベクターによって形質転
換された宿主細胞を培地中に培養し、培養物から該新規
GL−7ACAを採取することによって、調製できる。
【0016】このプロセスの詳細を、以下に、より詳し
く説明する。
【0017】宿主細胞としては、微生物[細菌(たとえば
大腸菌、枯草菌など)、酵母(たとえばサッカロミセス・
セレビシエなど)、動物細胞および培養植物細胞]が挙げ
られる。微生物の好ましい例は、細菌、とくにエシェリ
キア属に属する菌株(たとえばE.coliJM109ATC
C53323、E.coli、HB101ATCC3369
4、E.coliHB101−16FERM BP−187
2、E.coli294ATCC31446など)、酵母、と
くにサカロミセス属に属する株(たとえばサッカロミセ
ス・セレビシエAH22)、動物細胞株(たとえばマウス
L929細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細
胞など)などである。
【0018】宿主細胞として細菌、とくに大腸菌を使用
するときには、発現ベクターは通常、少なくともプロモ
ーター、開始コドン、該新規GL−7ACAアシラーゼ
のアミノ酸配列をコードするDNA、終止コドン、ター
ミネーター領域および複製可能ユニットからなってい
る。酵母または動物細胞を宿主として使用するときに
は、発現ベクターには、少なくともプロモーター、開始
コドン、シグナルペプチドおよび該新規GL−7ACA
アシラーゼのアミノ酸配列をコードするDNAおよび終
止コードよりなっていることが好ましく、エンハンサー
配列、該新規GL−7ACAアシラーゼの5'−および
3'−非コード領域、スプライシングジャンクション、
ポリアデニル化部位および複製可能ユニットをも該発現
ベクターに挿入することもできる。
【0019】該新規GL−7ACAアシラーゼを細菌に
おいて発現させるためのプロモーターは、プロモーター
とシャイン・ダルガーノ(SD)配列(たとえばAAGG
など)とを含んでなる。細菌での発現のための好ましい
プロモーターとしては、慣用のプロモーター(たとえば
大腸菌用のPLプロモーターおよびtrpプロモーター)な
らびにGL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝子の
プロモーターを挙げることができる。酵母での該新規G
L−7ACAアシラーゼの発現のためのプロモーターと
しては、サッカロマイセスセレビシエ用のTRP1遺伝
子、ADH IまたはADH II遺伝子および酸性ホスフ
ァターゼ(PHO5)遺伝子のプロモーターを、哺乳動物
細胞での該新規GL−7ACAアシラーゼ発現のための
プロモーターとしては、SV40初期または後期プロモ
ーター、HTLV−LTRプロモーター、マウスメタロ
チオネイン(MMT)プロモーター、ワクシニアプロモー
ターなどを、挙げることができる。
【0020】好ましい開始コドンとしては、メチオニン
コドン(ATG)が挙げられる。
【0021】シグナルペプチドとしては、慣用されてい
る他の酵素類のシグナルペプチド(天然t−PAのシグナ
ルペプチド、天然プラスミノーゲンのシグナルペプチ
ド)などを挙げることができる。
【0022】シグナルペプチドまたは該新規GL−7A
CAアシラーゼのアミノ酸配列をコードするDNAは、
DNA合成装置を用いてのDNAの部分合成または全合
成および/または形質転換体(たとえばE.コリMC10
61(pCPA14−6)FERM BP3112)から得
られる適当なベクター(たとえばpCPA14−6)中に
挿入されていて該新規GL−7ACAアシラーゼをコー
ドする完全なDNA配列の適当な酵素(たとえば制限酵
素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナー
ゼ、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼなど)による
処理などの常法によって、調製できる。
【0023】終止コドンとしては、慣用のもの(たとえ
ばTAG、TGAなど)が挙げられる。
【0024】ターミネーター領域としては、天然または
合成のターミネーター(たとえばGL−7ACAアシラ
ーゼA14染色体遺伝子のターミネーター、合成fdファ
ージターミネーターなど)がある。
【0025】複製可能ユニットは、宿主細胞中で自身に
属する全DNA配列を複製できるDNA化合物であり、
その例としては、天然プラスミド、人工修飾プラスミド
(たとえば天然プラスミドから調製されたDNA断片)お
よび合成プラスミドが挙げられ、該プラスミドの好まし
い例としては、プラスミドpBR322またはその人工
修飾物(pBR322の適当な制限酵素処理によって得ら
れるDNA断片)を大腸菌用に、酵母2μプラスミドま
たは酵母染色体DNAを酵母用に、プラスミドpRSVn
eoATCC37198、プラスミドpSV2dhfrATC
C37145、プラスミドpdBPV−MMTneoATC
C37224、プラスミドpSV2neoATCC3714
9を哺乳動物細胞用に、それぞれ挙げることができる。
【0026】エンハンサー配列としては、SV40のエ
ンハンサー配列(72bp)を挙げることができる。
【0027】ポリアデニル化部位としては、SV40の
ポリアデニル化部位を挙げることができる。
【0028】スプライシングジャンクションとしては、
SV40のスプライシングジャンクションを挙げること
ができる。
【0029】それらプロモーター、開始コドン、新規G
L−7ACAアシラーゼのアミノ酸配列をコードするD
NA、終止コドンおよびターミネーター領域は、連続さ
せて、適切な複製可能ユニット(プラスミド)と、所望に
より適切なDNA断片(たとえばリンカー、他の制限部
位など)を用いて、常法(たとえば制限酵素による消化、
T4DNAリガーゼを用いての連結(ライゲーション))
により環状に相互結合させて、発現ベクターを得ること
ができる。哺乳動物細胞を宿主細胞とするときには、エ
ンハンサー配列、プロモーター、GL−7ACAアシラ
ーゼA14染色体遺伝子の5'−非コード領域、開始コ
ドン、シクグナルペプチドおよび新規GL−7ACAア
シラーゼのアミノ酸配列をコードするDNA、終止コド
ン、GL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝子の
3'−非コード領域、スプライシングジャンクションお
よびポリアデニル化部位を、連続させて、適切な複製可
能ユニットと、上記方法により環状に相互結合させるこ
とができる。
【0030】該発現ベクターによって宿主細胞を形質転
換できる。形質転換(またはトランスフェクション)は、
常法(たとえば、大腸菌でのクシュナー(Kushner)法、
哺乳動物細胞でのリン酸カルシウム法、マイクロインジ
ェクションなど)により実施して、形質転換体を得るこ
とができる。
【0031】この発明の方法で新規GL−7ACAアシ
ラーゼを生産するため、かくして得られた発現ベクター
含有形質転換体を培地に培養する。
【0032】該培地は、炭素源(たとえばグルコース、
グリセリン、マンニトール、フルクトース、ラクトース
など)および無機また有機窒素源(たとえば硫酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、カゼイン加水分解物、酵母エ
キス、ポリペプトン、バクトトリプトン、肉エキスな
ど)を含有していてよい。所望により、培地に他の栄養
源[たとえば無機塩類(たとえばリン酸二水素ナトリウム
またはカリウム、リン酸水素二カリウム、塩化マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム)、ビタミン
類(たとえばビタミンB1)、抗生物質(たとえばアンピシ
リン、カナマイシン)など]を加えてもよい。哺乳動物細
胞の培養には、ウシ胎児血清および抗生物質を加えたダ
ルベッコの改良イーグル最小必須培地が頻用される。
【0033】形質転換体の培養は、通常、pH5.5〜
8.5(好ましくはpH7〜7.5)、18〜40℃(好まし
くは25〜38℃)で5〜50時間行えばよい。
【0034】かくして生産された新規GL−7ACAア
シラーゼが培養溶液、培養濾液(上澄み)中に存在してい
るときは、培養物を濾過または遠心分離する。培養濾液
から、該新規GL−7ACAアシラーゼを、天然または
合成の蛋白質の精製、単離に一般的に用いられる常法
(たとえば透析、ゲル濾過、抗GL−7ACAアシラー
ゼモノクロナール抗体を用いてのアフィニティカラムク
ロマトグラフィー、適当な吸着剤を用いてのカラムクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなど)に
よって精製できる。生産された新規GL−7ACAアシ
ラーゼが培養形質転換体のペリプラズムおよび細胞質中
に存在するときは、濾過や遠心分離によって細胞を集
め、それらの細胞壁および/または細胞膜を、たとえば
超音波および/またはリゾチーム処理によって、破壊し
て、デブリス(細胞破砕物)を得る。デブリスを適当な水
溶液(たとえば8M尿素水溶液、6Mグアニジウム塩水
溶液)に溶解させる。この溶液から、上述のごとき常法
によって、新規GL−7ACAアシラーゼを精製するこ
とができる。
【0035】大腸菌中で生産された該新規GL−7AC
Aアシラーゼを再生(リフォールディング)する必要があ
るときは、これを常法によって行なうことができる。
【0036】この発明は、さらに、式
【化3】
【0037】(式中、R1はアセトキシ、ヒドロキシまた
は水素を、R2はカルボキシ(C1〜C6)アルカノイル、
D−グルタミルまたはテノイルを表す)で表される化合
物またはその塩を、この発明の新規GL−7ACAアシ
ラーゼをコードするDNAを含んでなる発現ベクターに
よって形質転換された宿主細胞の培養物またはそれの処
理物と接触させることを特徴とする、式
【化4】
【0038】(式中、R1は上記と同意義)で表される化
合物またはその塩の製造法を提供する。
【0039】R2で表されるカルボキシ(C1〜C6)アル
カノイルとしては、グルタリル、スクシニル、アジピル
などが挙げられる。
【0040】化合物(I)および(II)の好適な塩は、アル
カリ金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩)であ
る。
【0041】GL−7ACAアシラーゼ活性が形質転換
細胞中に存在する場合には、培養物の処理物として次の
諸製剤を例示することができる。
【0042】(1)生細胞;濾過、遠心分離などの常法に
よって培養物から分離したもの、(2)乾燥細胞;凍結乾
燥、真空乾燥などの常法によって上記生細胞を乾燥して
得たもの、(3)細胞不含抽出液; 生細胞または乾燥細胞
を常法(たとえば、有機溶媒を用いての細胞の自己消
化、アルミナ、海砂などと共に細胞を破砕すること、あ
るいは細胞の超音波処理)により破壊して得たもの、
(4)酵素溶液;上記細胞不含抽出液を常法(たとえばカ
ラムクロマトグラフィー)によって精製または部分精製
して得たもの、(5)固定化細胞または固定化酵素;上記
の細胞または酵素を常法(たとえば、ポリクリルアミ
ド、ガラスビーズ、イオン交換樹脂など)により固定化
して調製したもの。
【0043】GL−7ACAアシラーゼ活性が形質転換
細胞培養濾液中に存在するときは、該培養濾液(上澄
み)、酵素溶液、固定化細胞または固定化酵素を、培養
物の処理物として例示することができる。
【0044】化合物(II)と該酵素との接触からなる反応
は、水、緩衝液などの水性媒質中で実施できる。すなわ
ち、該反応は、通常、培養物またはそれの処理物を、化
合物(II)を含有する水、緩衝液などの水性媒質中に、溶
解または懸濁させることによって、行われる。
【0045】反応混合物の好ましいpH、化合物(II)の
濃度、反応時間および反応温度は、使用しようとする培
養物またはそれの処理物の性質によって変動しうるが、
一般には、反応を、pH7〜10、好ましくはpH7〜
9、20〜40℃、好ましくは25〜37℃で、2〜5
0時間実施する。
【0046】反応混合物中の基質としての化合物(II)の
濃度は、1〜100mg/mlの範囲内で選ぶのが好まし
い。
【0047】かくして生産された化合物(I)は、常法に
よって反応混合物から精製、単離できる。
【0048】次下の実施例において、若干のプラスミ
ド、制限酵素、T4DNAリガーゼなどの酵素およびそ
の他の材料は、市販のものである。DNAクローニン
グ、宿主細胞の形質転換、形質転換体の培養、培養物か
らの新規GL−7ACAアシラーゼの回収などのために
採用した操作は当該技術分野において周知のものであ
り、文献から適宜採用することができる。
【0049】[実施例]この発明を説明するために、以
下実施例を挙げるが、この発明がそれらに限定されるも
のではない。
【0050】実施例1 シュードモナス属菌株A14のGL−7ACAアシラー
ゼをコードする遺伝子の単離 1.1.シュードモナス属菌株A14の染色体DNAの調
ハリス−ウォリック(Harris−Warrick)らの方法(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,72:2207〜221
1,1975)に従って、シュードモナス属菌株A14の
染色体DNAを調製する。シュードモナス属菌株A14
を、肉エキスブロス(ポリペプトン0.5%、グルタミン
酸ナトリウム0.5%、肉エキス0.2%、MgSO4・7
2O50μg/ml)3l中、30℃で40時間振盪培養
し、遠心分離によって集菌し、1mMEDTA含有50m
Mトリス塩酸緩衝液(pH8)で1回洗う。得られた細胞
ペレット約5g(湿重量)を、20%スクロースおよび1
mMEDTAを含有する50mMトリス塩酸緩衝液(pH
8)12.5mlに懸濁させ、リゾチーム12.5mgにより
37℃で15分間処理する。さらに、この懸濁液に、1
00mMEDTA(pH9.6)−1%ラウロイルザルコシ
ネート30mlおよび5mg/mlプロナーゼE10mlを加
え、得られた混合物を50℃で2時間インキュベートす
る。溶解産物を1ml毎に1.25gのCsClを加えたの
ち、平衡密度勾配遠心分離を行う。遠心分離後、染色体
DNA画分をプールし、1mMEDTA含有10mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH8)(TE緩衝液)に対して透析する。
【0051】1.2.シュードモナス属菌株A14のゲノ
ムDNAライブラリーの構築 シュードモナス属菌株A14の染色体DNA300μg
を、制限酵素Sau3AI3.75単位で部分切断し、得
られたDNA断片を、SRP28ローター(日立工機)
中、26000rpm、20時間の10〜40%スクロー
ス密度勾配遠心分離に付す。平均サイズ35〜45キロ
塩基(kb)のDNA画分をプールし、TE緩衝液に対して
透析する。エタノール沈澱によってDNAを集め、TE
緩衝液に溶解させる。プラスミドベクターpHC79(ベ
セスダ・リサーチ・ラボラトリーズ、米国)(1μg)をB
amHI(宝酒造)で切断したのち、フェノール抽出および
エタノール沈澱を行い、TE緩衝液に溶解させる。Sau
3AI部分切断染色体DNA断片(1μg)と線状化pHC
79(0.3μg)を、T4DNAリガーゼ(宝酒造)300
単位を用い、12℃で16時間かけて連結する。連結D
NAを、ラムダインビトロパケッジングキット(アマー
シャム、英国)を用いて、インビトロパケッジし、パケ
ッジしたDNAを用いて、E.コリDH1(ATCC33
849)への形質導入を行なう。インビトロパケッジン
グおよび形質導入は、それぞれB.ホーン(Hohn)の方法
(メソッズ・イン・エンザイモロジー68,299〜30
9(1979)参照)およびT.マニアティス(Maniatis)
らの方法(モレキュラークローニング、コールドスプリ
ングハーバーラボラトリー、ニューヨーク(1982)参
照)に従って実施する。形質導入体を、トリプトン(ディ
フコ)1%、酵母エキス(ディフコ)0.5%、塩化ナトリ
ウム1%および50μg/mlのアンピシリンを含有する
L寒天上で選択する。得られる形質導入体の数は2.6
×105となる。
【0052】1.3.GL−7ACAアシラーゼ遺伝子含
有プラスミドを有するクローンの選択 GL−7ACAアシラーゼ遺伝子含有プラスミドを有す
るクローンを、シュードモナス属菌株A14のゲノムD
NAライブラリーの中から、次のHPLCアッセイ法に
より選択する。
【0053】形質導入体のコロニーを拾い上げ、1mM
イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG;
シグマケミカル、米国)添加2%ブイヨン(栄研化学)1m
l中、30℃で一夜培養する。20μモルのリン酸緩衝
液(pH8)、2mgGL−7ACAおよび細胞ペレットを
含有する反応混合物(200μl)を用いる。反応混合物
を30℃で6時間インキュベートする。4%酢酸200
μlを加えて反応を停止させる。試料をイナートシル(I
nertsil)ODS−2のカラム(4.6mm×150mm)(ガス
クロ工業)にかけ、0.567g/lのNa2HPO4、0.3
6g/lのKH2PO4および2〜4%メタノールで溶出を
行なう。254nmにおける吸収で7−ACAを検出す
る。試験したおよそ1000のクローンの中から、陽性
の1クローンを得る。
【0054】1.4.GL−7ACAアシラーゼをコード
する遺伝子のサブクローニング クレウェル(Clewell)とヘリンスキー(Helinski)が記
載している清澄化溶菌液(cleared lysate)法(Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,62,1159〜1166(19
69)参照)に従って、該陽性クローンからプラスミドD
NAを抽出する。これをpCPA14−1と名付ける。
挿入DNA断片のサイズはアガロースゲル電気泳動によ
って、約32kbと推定される。組換えプラスミドpCP
A14−1(70μg)を、Sau3AI9単位で部分切断
し、生じたDNA断片を、SRP28ローターを用いて
26000rpmで20時間、10〜40%スクロース密
度勾配遠心分離に付す。平均サイズ4〜7kbのDNA画
分をプールし、TE緩衝液に対して透析する。これらの
DNA断片1μgを、T4DNAリガーゼ25単位を用
いて、BamHI消化により線状化したpACYC184
(ATCC37033)DNA1μgに連結する。E.coli
MC1061(米国NIEHSのK.フォング(Fong)博
士から入手)を、この連結混合物を用いて形質転換す
る。形質転換は、D.ハナハン(Hanahan)の方法(J.Mo
l.Biol.,166,557〜580(1983)参照)に従
って行なう。トリプトン(ディフコ)1%、酵母エキス
(ディフコ)0.5%、塩化ナトリウム10mM、硫酸マグ
ネシウム10mM、寒天1.5%およびクロラムフェニコ
ール25μg/mlを含有するLM寒天プレート上で、形
質転換体を選択し、それらのGL−7ACAアシラーゼ
活性を試験する。GL−7ACAアシラーゼ活性は、実
施例1.3記載通りのHPLC法によって測定する。組
換え株の2株から、清澄化溶菌液法によってプラスミド
DNAを抽出する。これらをpCPA14−6およびpC
PA14−169と名付ける。挿入断片のサイズは、そ
れぞれ約7.5および4.0kbと推定される。
【0055】実施例2 シュードモナス属菌株A14のGL−7ACAアシラー
ゼをコードする遺伝子のヌクレオチド配列の決定
【0056】2.1.ヌクレオチド配列の決定 pCPA14−169の挿入断片の制限酵素地図作成
を、制限酵素AluI、Bal I、Cla I、EcoR I、Eco
RV、Hind III、Nco I、Sal I、Sca IおよびSma
I(いずれも宝酒造製)を用いて行なう。適当な制限酵素
で切断したDNA断片をM13ファージベクターにサブ
クローニングし、ヌクレオチド配列の決定に用いる。ヌ
クレオチド配列は、M13配列決定キット(東洋紡)を用
いて、ジデオキシチェインターミネーション法(サンガ
ーら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463
〜5467(1977)参照)により決定する。使用する
酵素はT7DNAポリメラーゼ(シークェナーゼ)であ
り、7−デアザdGTPも基質として使用する。ゲル電
気泳動を、長さ80cmの7M尿素含有ポリアクリルアミ
ドゲルを用いて、2200Vで5または13時間行な
う。pCPA14−169の挿入断片のヌクレオチド配
列を図3、図4、図5、図6に示す。2457bpのオー
プン・リーディング・フレーム1つが認められる。次の
2つの結果から、このオープン・リーディング・フレー
ムが、シュードモナス属菌株A14のGL−7ACAア
シラーゼをコードする遺伝子であることが、確認され
る。1)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
って推定されるGL−7ACAアシラーゼの分子量(α
サブユニットの分子量とβサブユニットの分子量との
和)が、該オープン・リーディング・フレームから推定
される蛋白質の配列から計算した分子量とよく一致す
る。2)気相配列決定法(詳細は実施例4に記載)によっ
て求めたGL−7ACAアシラーゼのαおよびβサブユ
ニットのアミノ末端配列が、1位〜10位のコドンおよ
び250位〜258位のコドンのアミノ酸配列と同一で
ある。
【0057】2.2.シュードモナス属菌株A14のGL
−7ACAアシラーゼのアミノ酸配列とシュードモナス
属菌株GK16のそれとの比較 シュードモナス属菌株A14のGL−7ACAアシラー
ゼのアミノ酸配列を、松田らによって単離されたシュー
ドモナス属菌株GK16のそれ(J.Bacteriol.,16
,1222〜1228(1985)参照)と比較する。G
L−7ACAアシラーゼA14のアミノ酸配列は、GK
16のそれと全く異なる。
【0058】実施例3 組換え大腸菌からの、シュードモナス属菌株A14のG
L−7ACAアシラーゼの精製 3%ペプトン(ディフコラボラトリーズ、米国)、1.5
%酵母エキス(ディフコ)および0.5%NaClからなる
水性培地(3LB)(200ml)を、5本の500mlフラス
コの各々に入れ、オートクレーブにより121℃で20
分間滅菌し、別途濾過滅菌した25μg/mlクロラムフ
ェニコールを加える。これらの培地に、pCPA14−
6を有するE.coliMC1061の斜面培養1白金耳を
それぞれ接種し、該微生物を、回転振盪機上300rpm
で振盪しながら、30℃で24時間培養する。一方、上
記と同じ諸成分プラス0.04%アデカノール(旭電化)
を含有してなる水性培地(20l)を、30l容のジャーフ
ァーメンターに入れ、121℃で15分間滅菌する。該
培地に、上で得た培養ブロスの全量を接種したのち、該
微生物を30℃で培養する。プロペラ装置で250rpm
でブロスを撹拌するとともに滅菌空気を毎分ブロス1容
当たり1容の割合でブロスに通じることにより、醗酵を
行なう。
【0059】24時間培養後、10000gでの連続流
遠心分離によって細胞を集める。得られた約100gの
細胞ペレットを、50mMグルコース−25mMトリス塩
酸緩衝液(pH8)100mlに懸濁させる。この懸濁液
に、EDTAおよびリゾチーム(シグマ)をそれぞれ最終
濃度10mMおよび2mg/mlになるよう加え、混合物
を、撹拌下に、室温で30分間インキュベートする。イ
ンキュベーション後、混合物を10000gで20分間
遠心分離し、生じた上澄みをまず20mMリン酸緩衝液
(pH7.5)に対して、つぎに100mMリン酸緩衝液(p
H7.5)に対して透析する。透析液を硫酸アンモニウム
で35%飽和に調整し、30分間撹拌し、10000g
で20分間遠心分離する。上澄みを、35%飽和硫酸ア
ンモニウム含有100mMリン酸緩衝液(pH7.5)で平
衡化させたトヨパールHW55F(東ソー)のカラム(層
体積150ml)にかける。カラムを同じ緩衝液で洗った
のち、100mMリン酸緩衝液(pH7.5)中の硫酸アン
モニウム(35%〜0%飽和)の直線濃度勾配により溶出
する。GL−7ACAアシラーゼ活性を含有する画分を
プールし、20mMマキルヴェイン(MacIlvain)緩衝液
(pH6.0)に対して透析する。透析液を、20mMマキ
ルヴェイン緩衝液(pH6.0)で平衡化したCMトヨパー
ル650M(東ソー)のカラム(層体積30ml)にかける。
カラムを同じ緩衝液で洗ったのち、20mMマキルヴェ
イン緩衝液(pH6.0)100ml中のNaClの直線勾配
(0〜0.2M)により溶出する。GL−7ACAアシラ
ーゼ活性を含有する画分をプールし、20mMリン酸緩
衝液(pH7.5)に対して透析し、酵素標品として使用す
る。最終酵素標本の総量は10mgで、その純度は約50
%と推定される。
【0060】実施例4 組換え大腸菌からのシュードモナス属菌株A14のGL
−7ACAアシラーゼの特性決定
【0061】4.1.比酵素活性 GL−7ACAアシラーゼの活性をHPLCアッセイに
よって求める。20μモルのグリシン緩衝液(pH9)、
0.48〜10.4mMGL−7ACAおよび10μgの酵
素を含有する反応混合物(200μl)を用いる。反応混
合物を37℃で3分間インキュベートし、4%酢酸20
0μlを加えて反応を停止させる。HPLCの条件は実
施例1.3に記載のものと同じである。本セクションで
のちに用いる全てのアッセイはHPLC法である。比酵
素活性は、蛋白質1mg当たりの単位として表現する。蛋
白質濃度は、バイオーラド蛋白質アッセイキット(バイ
オーラド、米国)により、ウシ血清アルブミンを標準物
質として決定する。最大比酵素活性(Vmax)およびミカ
エリス定数(Km)を、ラインウィーヴァー・バーク(Lin
eweaver−Burk)プロット(M.ディクソンとE.C.ウェ
ッブ、酵素、ロングマン、ロンドン、1958年参照)
によって得た勾配および切片から算出する。GL−7A
CAアシラーゼA14の最大比酵素活性は7.1単位/m
g、Km値は2.1mMである。
【0062】4.2.基質プロフィール HPLCアッセイによって酵素活性を求める。20μモ
ルのグリシン緩衝液(pH9)、2mgの基質および1〜1
6μgの酵素を含有する反応混合物(200μl)を用い
る。この反応混合物を37℃で2〜60分間インキュベ
ートし、4%酢酸を加えて反応を停止させる。相対酵素
活性を、GL−7ACAに対する活性と比較しての百分
率で表す。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】4.3.温度の影響 a)至適温度(図7参照) 20μモルのリン酸緩衝液(pH7)、0.4mgのGL−7
ACAおよび5μgの酵素を含有する反応混合物(200
μl)を用いる。25〜62℃の種々の温度で20分間反
応を行なう。至適温度は55℃である。
【0065】b)熱安定性のpHプロフィール(図8参照) 500μg/mlのGL−7ACAアシラーゼA14を、
種々pHの0.1M緩衝液中、50℃で1時間処理する(p
H5および6には酢酸緩衝液、pH6、7および8には
リン酸緩衝液、pH8および9にはグリシン緩衝液を使
用)。20μモルのグリシン緩衝液(pH9)、0.4mgの
GL−7ACAおよび10μgの処理済み酵素を含有す
る反応混合物(200μl)で、残存酵素活性をアッセイ
する。反応は37℃で5分間行なう。残存活性を、熱処
理なしの酵素の活性と比較しての百分率で表す。
【0066】4.4.至適pH(図9参照) 0.1Mの緩衝液(pH4、5および6のクエン酸緩衝
液、pH6、7および8のリン酸緩衝液、pH7、8およ
び9のトリス塩酸緩衝液、pH8、9および10のグリ
シン緩衝液を使用)、2mgのGL−7ACAおよび10
μgの酵素を含有する反応混合物(200μl)を用いる。
反応は37℃で7分間行なう。GL−7ACAアシラー
ゼA14に対する至適pHは9である。
【0067】4.5.種々の酵素阻害剤の影響 p−クロロ第二水銀安息香酸塩(pCMB、シグマケミカ
ル)、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF、シグ
マ)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA、半井テス
ク)がGL−7ACAアシラーゼA14の活性に及ぼす
影響を、次のように調べる。A14アシラーゼ11.6
μgを、200μlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7)中、
0.1、1.0または5.0mMPCMB、1.0または5.
0mMPMSFあるいは1.0または5.0mMEDTAに
より37℃で4時間処理する。処理した酵素の残存活性
を、混合物に基質としてGL−7ACA(20mg/ml)2
2μlを加えることにより測定する。反応は37℃で1
8分間行なう。残存活性を、ブランク溶液で処理した酵
素の活性と比較しての百分率で表す。結果を表5に示
す。
【0068】
【表5】
【0069】4.7.分子量測定 a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(SDS−PAGE)を、ラエムリ記載の方
法(U.K.Laemmli:Nature237,680〜685(1
970)参照)によって行なう。卵白リゾチーム(分子量
14,000)、大豆トリプシン阻害剤(21,000)、
ウシカルボニックアンヒドラーゼ(31,000)、卵白
オボアルブミン(43,000)、ウシ血清アルブミン(6
8,000)、ウサギ筋ホスホリラーゼb(97,000)
は、バイオーラドラボラトリーズから購入し、分子量の
スタンダードとして使用する。実施例3記載の通りに精
製したGL−7ACAアシラーゼA14の最終製剤は、
SDS−ゲル電気泳動で明確に区別される2本のバンド
を示し、それらの強度は、相当する分子量に比例する。
ゲル電気泳動での移動度から計算した両蛋白質の分子量
は、28,000および61,000である。
【0070】b)ゲル濾過 精製アシラーゼ標品(0.6mg)を、25mMトリス塩酸(p
H7.5)−0.3MNaCl1mlに溶解させ、トヨパール
HW55Fのカラム(1.6×50cm)にかける。溶出
は、25mMトリス塩酸(pH7.5)−0.3MNaClを用
い、流速30ml/時で150分間かけて行なう。280
nmでのUV吸収によって蛋白質を検出する。同じ条件下
で、分子量のスタンダードのゲル濾過を行って、検量線
を作成する。使用する分子量のスタンダードは、フェリ
チン(分子量:450,000)、ハーフフェリチン(22
0,000)、ウシ血清アルブミン(68,000)および
ミオグロビン(17,800)である。流出液量から計算
したGL−7ACAアシラーゼA14の分子量は、8
1,000である。
【0071】上記の結果から、GL−7ACAアシラー
ゼA14は、分子量28,000のαサブユニットと分
子量61,000のβサブユニットからなると、結論さ
れる。
【0072】4.8.アミノ酸配列の決定 実施例3記載の通りに精製したGL−7ACAアシラー
ゼを、アミノ酸配列決定のため、次のようにHPLCに
よって更に精製する。酵素標品を20mMマキルヴェイ
ン緩衝液(pH6.0)に対して透析し、透析液を、同じ緩
衝液で平衡化したTSKゲルSP−トヨパール5PW
(東ソー)のHPLCカラム(0.75×7.5cm)にかけ
る。溶出は、20mMマキルヴェイン緩衝液(pH6.0)
中のNaClの直線勾配(0〜0.5M)を用い、流速1ml
/分で30分間かけて行なう。GL−7ACAアシラー
ゼ活性含有画分をプールし、この研究に用いる。GL−
7ACAA14は、実施例4.7記載の通り、2つの異
種サブユニットαおよびβからなっている。GL−7A
CAアシラーゼA14を、8M尿素−10%2−メルカ
プトエタノール中、室温で30分間インキュベートして
変性し、逆相HPLCによって各サブユニットを単離す
る。使用するカラムは、コスモシル5C4−300(4.
6mm×15cm、半井テスク)である。溶出は、0.05%
トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの直線濃度勾配
(20%〜60%)を用い、流速1ml/分で30分間かけ
て行なう。上記の通り精製された各サブユニットのアミ
ノ酸配列を、気相シークエンサー470A(米国アプラ
イドバイオシステムズ)により決定する。αおよびβサ
ブユニットのN末端アミノ酸配列は、それぞれ、Ala−
Asp−Thr−Ala−Pro−Ser−Ala−Thr−Pro−P
ro−およびSer−Asn−Asn−X−Val−Ile−Ser−
Pro−Gln−(X:決定できず)である。
【0073】新規に単離されたシュードモナス属菌株A
14ならびに上記実施例で得られた発現プラスミドpC
PA14−6をエシェリキア・コリMC1061に挿入
した下記形質転換体は、ブダペスト条約による国際寄託
機関の一つである305茨城県つくば市東1丁目1−
3、工業技術院微生物工業技術研究所に、1990年9
月25日に寄託されている。
【0074】 微生物 寄託番号 Pseudomonas sp.A14 FERM BP−3111 Escherichia coli MC1061(pCPA14−6) FERM BP−3112
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpCPA14−1の機能マップを
示す図である。
【図2】 プラスミドpCPA14−6およびpCPA1
4−169の制限部位および機能のマップを示す。
【図3】 GL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝
子のヌクレオチド配列およびそれから推定されるアミノ
酸配列を示す。
【図4】 GL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝
子のヌクレオチド配列およびそれから推定されるアミノ
酸配列を示す。
【図5】 GL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝
子のヌクレオチド配列およびそれから推定されるアミノ
酸配列を示す。
【図6】 GL−7ACAアシラーゼA14染色体遺伝
子のヌクレオチド配列およびそれから推定されるアミノ
酸配列を示す。
【図7】 GL−7ACAアシラーゼA14の至適温度
を示す。
【図8】 GL−7ACAアシラーゼA14の至適pH
を示す。
【図9】 熱安定性のpHプロフィールを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 15/55 C12R 1:38) (72)発明者 小野 裕樹 大阪府三島郡島本町青葉3−12 (72)発明者 石見 盛太 茨城県つくば市梅園2−8−1 (72)発明者 高乗 仁 茨城県土浦市永国1160−7

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の特性を有するGL−7ACAアシ
    ラーゼ: (a) グルタリル7−ACA、アジピル7−ACAおよ
    びスクシニル7−ACAを7−アミノセファロスポラン
    酸に酵素的に転換する能力を有し、 (b) α−サブユニット[分子量:28,000ダルトン
    (SDS−PAGE)]およびβ−サブユニット[分子量:
    61,000ダルトン(SDS−PAGE)]よりなり、 (c) α−サブユニットのN末端アミノ酸配列が、Ala
    −Asp−Thr−Ala−Pro−Ser−Ala−Thr−Pro−
    Pro−である。
  2. 【請求項2】 その前駆体として図3、図4、図5、図
    6に示されているアミノ酸配列1〜790を有すること
    を特徴とする請求項1記載のGL−7ACAアシラー
    ゼ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のGL−7ACA
    をコードするDNA。
  4. 【請求項4】 図3、図4、図5、図6に示されている
    ヌクレオチド配列を有することを特徴とする請求項3記
    載のDNA。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のDNAを含有し
    てなる発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発現ベクターによって形
    質転換された宿主細胞。
  7. 【請求項7】 大腸菌であることを特徴とする請求項6
    記載の宿主細胞。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の宿主細胞を培地
    に培養し、培養物からGL−7ACAアシラーゼを採取
    することを特徴とするGL−7ACAアシラーゼの製造
    法。
  9. 【請求項9】 式(II) 【化1】 (式中、R1はアセトキシ、ヒドロキシまたは水素を、R
    2はカルボキシ(C1−C6)アルカノイル、D−グルタミ
    ルまたはテノイルをそれぞれ表す)で表される化合物ま
    たはその塩を、請求項6または7記載の形質転換体の培
    養液またはその処理物と接触させることを特徴とする、
    式(I) 【化2】 (式中、R1は上記と同意義)で表される化合物またはそ
    の塩の製造法。
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