JPH056555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、加圧水型軽水炉等の原子炉におい
て使用される燃料集合体に関するものである。

「従来の技術」 従来のこの種の燃料集合体としては、第４図に
示すものが知られている。

すなわち、第４図におてい符号１および２は、
上下方向に離間して対向配置された上部ノズルお
よび下部ノズルであり、これら上部ノズル１と下
部ノズル２の間には、複数の制御棒案内管３が掛
け渡されて固定されている。そして、これら案内
管３の中途部には、複数の支持格子４が上下方向
に互いに離間して取り付けられており、各支持格
子４の格子内には、ペレツトが封入された多数の
燃料棒５が貫通支持されている。

このような燃料集合体は、原子炉容器の炉心に
垂直状態で多数装入され、上部炉心板および下部
炉心板の間にはさまれて支持される。そして原子
炉の稼動時には、下方から上方へ向けて炉心内部
に勢いよく冷却水が循環されるようになつてお
り、この冷却水が、下部ノズル２に検出されたノ
ズル孔（図示せず）を通り、燃料棒５の間を通り
抜け、上部ノズル１に形成されているノズル孔
（図示せず）から排出されるまでの間に、加熱さ
れるようになつている。

ところで、このような燃料集合体においては、
従来より燃料棒５の下端部が損傷するおそれがあ
ることが指摘されている。すなわち、なんらかの
原因で冷却水中にゴミ、金属屑等の異物が混入す
ると、これら異物が冷却水とともに下部ノズル２
のノズル孔を通過して燃料棒５の下端部に衝突
し、この下端部を傷つける可能性がある。

そこで、本出願人等は、特願昭59−17914号
（特開昭60−162985号参照）において、このよう
な燃料棒の損傷を防ぐことのできる燃料集合体を
提案した。

第５図および第６図は、その燃料集合体の要部
を示す正面図である。この燃料集合体は、燃料棒
５とノズル孔２Ａを有する下部ノズル２との間
に、冷却水中の異物を捕捉するためのスクリーン
１０を水平に配設したことを特徴としている。

このスクリーン１０は、ステンレス性の金網か
らなるものであり、第５図に示すように下部ノズ
ル２の上面と略同形状をなすと共に、制御棒案内
管３および計装管６を挿入固定するための孔１１
が形成されている。そして、このスクリーン１０
は、これら孔１１内に案内管３および計装管６が
挿通された後、案内管３に対し溶接固定されてい
る。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、上記構成の燃料集合体においては、
下記に示すような問題点があつた。

すなわち、上記スクリーン１０は案内管３に溶
接固定されているが、この溶接面積が小さいため
スクリーン１０に原子炉稼動時に上方に向けて大
きな流水圧が加わると、上記のような案内管３へ
の溶接固定では、スクリーン１０が上方に移動し
て燃料棒５に衝突してしまう可能性があり、スク
リーン１０の固定強度の点で十分な信頼性が得ら
れない。

「考案の目的」 この考案は、上記問題点を解消するためになさ
れたものであり、冷却水中の異物を捕捉して燃料
棒の損傷を防ぐためのスクリーンが強固に固定さ
れた燃料集合体を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 この考案は、上下方向に離間して対向配置され
た上部ノズルと下部ノズルとの間に上下方向に互
いに離間する複数の支持格子が設けられ、これら
支持格子に燃料棒がその軸線を上下に向けて挿通
支持され、上記下部ノズルと上記燃料棒との間に
スクリーンが配設された核燃料集合体において、
上記スクリーンを複数の支持格子のうちの最下方
に位置する支持格子に固定したことを特徴として
いる。

「実施例」 第１図ないし第３図は、この考案の一実施例を
示す図であり、これらの図において第４図ないし
第６図に示した構成要素と同一の要素については
同一符号を付してその説明を省略する。

第１図および第２図は、この考案の燃料集合体
の要部を示す図であり、符号２０は、燃料集合体
の最下方に設けられた支持格子を示す。この支持
格子２０は、第３図に示すように、帯状の内スト
ラツプ２１を格子状に組んだ格子部２２と、この
格子部２２にその四周を囲むようにして取り付け
られた外ストラツプ２３とで構成されている。そ
して、上記格子部２２には第１図に示すように上
記燃料棒５が、その下端部を突出するようにして
挿通固定されている。また上記外ストラツプ２３
は、その下端部が燃料棒５の下端部と上記下部ノ
ズル２との間に位置するように形成されている。
この外ストラツプ２３の下端部には、上記スクリ
ーン１０が水平にその四周を溶接することにより
固定されている。なお、スクリーン１０の孔１１
には上記案内管３および計装管が挿通されてい
る。

上記構成の燃料集合体によれば、その最下方に
設けられた支持格子２０の外ストラツプ２３の下
端部にスクリーン１０を固定したので、従来のも
のより溶接面積が大きくなり、よつてこのスクリ
ーン１０に原子炉稼動時に上方に向けて大きな流
水圧が加わつても、スクリーン１０が上方に移動
して燃料棒５に衝突してしまうことがなく、よつ
てスクリーン１０の固定強度の点で十分な信頼性
を得ることができる。

また、従来のようにスクリーン１０を燃料棒５
に対して位置決めして、スクリーン１０の孔１１
の周縁と案内管３とを溶接するという作業上の手
間を省くことができる。

さらに、上記スクリーン１０と燃料棒５の下端
部との間はストラツプ２３により外部対して閉塞
されているので、この離間部から冷却水と共にゴ
ミ、金属屑等の異物が流入することはなく、よつ
て、この異物による、燃料棒５の下端部の損傷を
防止することができる。

なお、上記実施例では、外ストラツプ２３にス
クリーン１０を溶接により固定したが、この考案
はこれに限るものではなく、外ストラツプ２３と
スクリーン１０とを一体的に形成してもよい。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案によれば、上下
方向に離間して対向配置された上部ノズルと下部
ノズルとの間に上下方向に互いに離間する複数の
支持格子が設けられ、これら支持格子に燃料棒が
その軸線を上下に向けて挿通支持され、上記下部
ノズルと上記燃料棒との間にスクリーンが配設さ
れた核燃料集合体において、上記スクリーンを複
数の支持格子のうちの最下方に位置する支持格子
に固定したので、上記スクリーンに原子炉稼動時
に上方に向けて大きな流水圧が加わつても、スク
リーンが上方に移動して燃料棒に衝突してしまう
ことがなく、よつてスクリーンの固定強度の点で
十分な信頼性を得ることができる。

さらに従来のようにスクリーンを燃料棒に対し
て位置決めして、スクリーンの孔の周縁と案内管
とを溶接するという作業上の手間を省くことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は、この考案の一実施例を
示す図であり、第１図は、燃料集合体の要部を示
す一部を破断した正面図、第２図はスクリーンの
一部の平面図、第３図は、最下方に位置する支持
格子を示す概略斜視図である。また、第４図は、
一般的な燃料集合体の正面図、第５図は、本出願
人が先に出願した燃料集合体の要部を示す正面
図、第６図は、第５図に示す燃料集合体のスクリ
ーンの一部を示す平面図である。 １……上部ノズル、２……下部ノズル、４……
支持格子、５……燃料棒、１０……スクリーン、
２０……最下方に位置する支持格子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下方向に離間して対向配置された上部ノズル
   と下部ノズルとの間に上下方向に互いに離間する
   複数の支持格子が設けられ、これら支持格子に燃
   料棒がその軸線を上下に向けて挿通支持され、上
   記下部ノズルと上記燃料棒との間にスクリーンが
   配設された核燃料集合体において、上記スクリー
   ンを複数の支持格子のうちの最下方に位置する支
   持格子に固定したことを特徴とする燃料集合体。