JPH0564905U - プロセス制御装置における警報機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 警報発生後に対策をとっていたのでは既に遅
すぎるような制御対象についても、信頼度の高い制御
（異常通知）を可能とするプロセス制御装置における警
報機構を実現することにある。 【構成】 プロセス変量（デジタルデータ）を定期的に
取込み、その都度、過去のトレンドから、所定時間経過
後の未来におけるプロセス量を推定し、その推定値（バ
ンド幅）が設定された上下限値を越えている場合、プリ
警報を発生する構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プロセス制御機器における警報装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の警報器は、プロセス変量を監視し、その変量が予め設定した上下限値か ら逸脱した場合、その時点で警報を発生するようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

化学反応制御系の温度制御等では、警報発生後に対策をとっていたのでは既に 遅すぎ、プロセスの運転操作に遅れをとって回復不能の事態に至ることもある。 したがって、このような事態を防ぐために、上下限値を本来の値より厳しく設定 することになるが、この場合は、不要な警報が発生することがあるという不具合 を伴う。

【０００４】 また、変化率警報設定器の使用も考えられるが、これはプロセス変量の変化を 監視するものであり、上下限値の予測警報としては不完全である。 本考案はこのような考察に鑑みてなされたものであり、その目的は、警報発生 後に対策をとっていたのでは既に遅すぎるような制御対象についても、信頼度の 高い制御（異常通知）を可能とするプロセス制御装置における警報機構を実現す ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、収集された過去のプロセスデータを保持しているトレンドバッファ と、このトレンドバッファに保持されている、前記基準時点（ｔ）以前の過去の プロセスデータを考慮して、未来におけるプロセス量の変化を予測し、さらに、 この予測量に対する分散（σ）を求め、これにより、前記基準時点（ｔ）から前 記所定時間（τ）経過後の時点における推定プロセス量のバンド幅を求める予測 手段と、この予測手段によって求められた前記推定プロセス量のバンド幅が、前 記予め設定されたレベルから逸脱しているかを判定する判定手段と、この判定手 段によって逸脱が確認されると、異常予測警報を発生させる警報器とを有してい る。

【０００６】

【作用】

プロセス変量の上下限警報監視において、過去のトレンドから未来のプロセス 変量を外挿法で予測することにより、プロセス変量が実際に、上下限を越える以 前に、プリ警報を出す。

【０００７】 この場合、過去のトレンドに基づいて、例えば最小自乗法を用いて、プロセス 変化曲線ｙ（ｔ）を予測し、さらに、その曲線に、例えば±３σの幅を与えてバ ンド幅を設定して統計的な信頼性を向上させており、そのバンド幅が所定の上下 限値から逸脱するかを判定するため、高信頼度の予測異常検知（予測警報の発出 ）を行える。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案の実施例について図面を参照して説明する。図１は本考案の一実 施例の構成を示す図である。

【０００９】 本実施例は、入力プロセス量（アナログ量）を一定周期（Δｔ）でデジタイズ するＡ／Ｄ変換器１と、サンプル／ホールド回路（Ｓ／Ｈ）２と、入力されたプ ロセスデータを時系列的に記憶しているトレンドバッファ３と、プロセス変量の 未来予測を行う予測器４と、希望予告時期設定器５と、予測器４から出力される 予測値ｙ（ｔ＋τ）に、同じく予測器４から出力される分散３σを加減算する演 算器８，９と、異常判定の基準となる上下限値Ｖ_Ａ，Ｖ_Ｂを設定するための、上 下限設定器６，７と、予測バンド幅がＶ_Ａ，Ｖ_Ｂを逸脱しているかを判定するた めの比較器10,11 と、上下限予告警報発生器12,13 とを有している。

【００１０】 本実施例では、希望予告時期設定器５により、未来予測の時期（すなわち、ど れだけ先の異常を見越してプリ警報を出すか）を自由に設定できる。このような 異常予測は、図３に示される方法によって行われる。 すなわち、以下のような手順によって行われる。 （１）現在の時点（ｔ）を基準として、過去τ時間分の期間のトレンドから最小 自乗法により、曲線ｙ_ｆ（ｔ）を推定する。 （２）同様に分散σを求める。 （３）曲線ｙ_ｆ（ｔ）に±３σのバンド幅を想定し、このバンドがｔ＋τ時間後 に上下限を越えると判定された場合に、プリ警報を発生する。

【００１１】 例えば、オペレータが希望予告時期設定器５により、希望予告時期τを設定し たとする。この設定情報（τ）は、トレンドバッファ３，予測器４に入力される 。一方、トレンドバッファ３は、動作クロックCLK （Ａ／Ｄ変換器１やサンプル ホールド回路２の動作クロックも兼ねる）にしたがって、周期的にデジタル化さ れたプロセス量を取り込んで蓄積している。

【００１２】 上述したようにτが設定され、この設定値τが入力されると、トレンドバッフ ァ３は、現在の時刻ｔを基準としてτ時間前から現在に至るまでの過去の全デー タをトレンドバッファ３から読込み、プロセス量の変化のトレンドを分析し、こ の分析に基づいて、現在の時刻ｔからτ時間経過後の時点（ｔ＋τ）におけるプ ロセス量ｙ（ｔ＋τ）を推定する。さらに、予測器４は、過去のトレンドから見 て分散（プロセス量の変動幅を与える）３σを求めて出力する。

【００１３】 この３σは加減算器８，９により、推定プロセス量ｙ（ｔ＋τ）に加算され、 比較器10，11に入力される。 比較器10，11には、上下限設定器６，７により設定された、警報発生の基準と なる上限値Ｖ_Ａ，下限値Ｖ_Ｂが与えられており、比較器10，11は、この上限値Ｖ _Ａ ，下限値Ｖ_Ｂと、推定プロセス量ｙ（ｔ＋τ）±３σとを比較し、その推定プ ロセス量のバンドが、上限値Ｖ_Ａ，下限値Ｖ_Ｂに挾まれた領域より逸脱している かどうかを判定し、その逸脱が確認されると、上限予告警報12と下限予告警報13 が予告警報を発生する。

【００１４】 図２（ａ），（ｂ）は図１の実施例の動作をより具体的に説明するための図で ある。 プロセス量のサンプリングクロックは、時間Δｔ毎に入力され、このクロックタ イミングでプロセスデータがトレンドバッファ３内に蓄積される。希望予告時期 τが設定されると、予測器４は、過去τの間に蓄積されたデータ（ア，イ，ウ， エ，オ，カ，キ，ク）を採取し、これらのデータに基づいてτ時間後の時点（ｔ ＋τ）における予測プロセス値Ｐ_ａと、分散３σを出力する。これに基づいて予 測上限Ｑ_ａ，予測下限Ｒ_ａが求められ、予測上限Ｑ_ａが、設定された上限値Ｖ_Ａ を越えていないか（同時に、予測下限Ｑ_ａが、設定された下限値Ｖ_Ｂを越えてい ないか）が判断される。図２（ａ）では、越えていないために予告警報は発生し ない。

【００１５】 このようなΔｔ毎の判断が継続され、図２（ｂ）に示すように、時刻（ｔ＋６ Δｔ）において、τ時間後の予測を行うと、予測上限Ｑ_ａが、設定された上限値 Ｖ_Ａを越えていることが判明する。すなわち、τ時間後に異常が発生することが 予測されたことになる。したがって、予告警報が発せられ、異常発生の予告がな され、オペレータは、この予告警報を受けて適切な処理を実行する。

【００１６】 このようなプロセス予測によるプリ警報を出す構成とすることにより、従来の 事後通知によるプロセスの運転操作の遅れ等の欠点を克服して、プロセス変動に 対し、より迅速に安全に対応することができるようになる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、警報発生後に対策をとっていたのでは既に遅す ぎるような制御対象についても、信頼度の高い制御（異常通知）を可能とするプ ロセス制御装置における警報機構を実現し、事前にプロセス変量の上下限値から の逸脱を予測して警報を発する構成とすることにより、プロセス変動に対しより 迅速に安全に対応することができ、プラントあるいはプラントの製品に悪影響が でる前に、予防保全が可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の構成を示す図である。

【図２】（ａ），（ｂ）はそれぞれ、図１の実施例の具
体的な動作を説明するための図である。

【図３】本発明の予測警報原理を説明するための図であ
る。

【符号の説明】

１ Ａ／Ｄ変換器 ２ サンプル／ホールド回路 ３ トレンドバッファ ４ 予測器 ５ 希望予告時期設定器 ６ 上限設定器 ７ 下限設定器 ８ 加算器 ９ 減算器 10,11 比較器 12 上限予告警報器 13 下限予告警報器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プロセス変量を監視してプロセスデータ
   を収集し、基準時点（ｔ）から所定時間（τ）経過後に
   おけるプロセス量を推定し、その推定値が予め設定され
   たレベルから逸脱している場合に、前記所定時間（τ）
   経過後に異常が生じると判断して、異常予測警報を発生
   させる、プロセス制御装置における警報機構であって、 収集された過去のプロセスデータを保持しているトレン
   ドバッファ（３）と、 このトレンドバッファ（３）に保持されている、前記基
   準時点（ｔ）以前の過去のプロセスデータを考慮して、
   未来におけるプロセス量の変化を予測し、さらに、この
   予測量に対する分散（σ）を求め、これにより、前記基
   準時点（ｔ）から前記所定時間（τ）経過後の時点にお
   ける推定プロセス量のバンド幅を求める予測手段（４，
   ８，９）と、 この予測手段によって求められた前記推定プロセス量の
   バンド幅が、前記予め設定されたレベルから逸脱してい
   るかを判定する判定手段（10,11)と、 この判定手段によって逸脱が確認されると、異常予測警
   報を発生させる警報器（12,13)とを有することを特徴と
   するプロセス制御装置における警報機構。