JPH0560425A - 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置 - Google Patents

有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置

Info

Publication number
JPH0560425A
JPH0560425A JP22028491A JP22028491A JPH0560425A JP H0560425 A JPH0560425 A JP H0560425A JP 22028491 A JP22028491 A JP 22028491A JP 22028491 A JP22028491 A JP 22028491A JP H0560425 A JPH0560425 A JP H0560425A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
chemical
endothermic reaction
reaction
heat exchanger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22028491A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Ogura
正 小倉
Hiroyuki Kitahara
博幸 北原
Naoaki Izumitani
直昭 泉谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP22028491A priority Critical patent/JPH0560425A/ja
Publication of JPH0560425A publication Critical patent/JPH0560425A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 化学吸熱反応を用いることによって、有人宇
宙往還機における居住室への侵入熱を効果的に排熱し得
るようにする。 【構成】 有人宇宙往還機における熱源(空力加熱源)か
らの高温の熱媒体を冷却する化学反応熱交換器6に化学
吸熱反応物質を供給し、前記化学反応熱交換器6を通過
する際の化学吸熱反応により前記熱媒体を冷却するとと
もに、反応により生成したガスを系外に放出するように
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、有人宇宙往還機の排
熱方法および排熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有人宇宙往還機は、既存の航空機と異な
り、その飛行範囲が航空領域から宇宙領域にまたがるた
め、必然的に上昇時の空力加熱、大気圏再突入時の空力
加熱の問題が生じてくる。
【0003】その際、空力加熱により防熱材を通して搭
乗員の居住空間へ大量の熱が流入してくるため、室内空
気が急上昇して搭乗員の生命を脅かす状況に至るおそれ
がある。また、搭載機器や往還機の補助動力装置の温度
も急上昇し、作動困難な状況が発生するおそれがある。
【0004】そのため、有人宇宙往還機においては、搭
乗員の安全を確保し且つ正常な機器作動を維持するため
に空力加熱による侵入熱を機体外へ放出する排熱システ
ムが必要となっている。
【0005】ところで、有人宇宙往還機としては、ロケ
ット式宇宙船、スペースシャトル、スペースプレーン等
があり、それぞれ独特の排熱システムが採用されること
となっている。
【0006】例えば、ロケット式宇宙船の場合、機体の
再利用を考えていないため、機体表面の非常な高温部
を、樹脂等の固体の蒸発を利用したアブレージョンで冷
却する方式が採用されている。
【0007】また、スペースシャトルの場合、切り離し
式の燃料タンクと補助ロケット付きのロケットで構成さ
れていて、地表への帰還時のみ飛行機として働くもので
あるため、空力加熱による侵入熱を機体に施した断熱構
造の熱防御材(例えば、断熱タイル、マルチウォール等)
で減少させ、さらに内部に侵入した熱を搭載機器による
内部発熱と併せて熱輸送装置で放熱器に輸送し、放熱器
において液体の蒸発潜熱を用いて排熱する方式が採用さ
れている。
【0008】しかし、スペースプレーンは、大気圏内で
は空気吸込式エンジンにより加速し、大気圏外ではロケ
ットエンジンにより推進する水平離着陸型の極超音速有
人輸送機であり、上昇時、大気圏再突入時ともに飛行機
として働くこととなっているため、上昇時における空力
加熱量が非常に大きくなり、断熱構造のみの機体ではこ
の空力加熱を受けて機体表面温度が高くなりすぎ耐熱温
度を超えてしまう場合がある。
【0009】そこで、機体外壁面を冷却するために燃料
として使用される水素を機体壁面に流通せしめる方法
(即ち、アクティブクーリング)を用いる場合があるが、
該アクティブクーリングの後でも百MWクラスの侵入熱
があり、搭乗員を守るための排熱システムが必要とな
る。
【0010】つまり、スペースプレーン開発上の大きな
設計ポイントが、上記のような空力加熱による制限表面
温度と制限動圧および搭載燃料や機器重量の間のバラン
スにあるところから、この空力加熱対策としてさまざま
な試行が実施されてきている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、スペ
ースプレーンの上昇時の空力加熱による侵入熱量が極め
て大きいため、アクティブクーリングを行う機体壁の内
側の搭乗員室へ侵入する熱を除去する居住室用の排熱シ
ステムとして、従来からスペースシャトル等において用
いられている熱媒体の蒸発潜熱を用いる方式を採用しよ
うとすると、極めて多量の侵入熱を冷却するためにはそ
れに見合う極めて多量の熱媒体が必要となり、熱媒体重
量および熱媒体容器の重量が大きくなる。このことは、
搭載機器の総重量を低減することが要求される有人宇宙
往還機においては問題となる。
【0012】そこで、本発明者らは、単位重量当たりの
排熱量が、蒸発潜熱より大きい化学吸熱反応を用いるこ
とによって、熱媒体重量を増大せしめることなく冷却効
果を大幅に増大させ得ることに着目し、本願発明をする
に至ったのである。
【0013】本願発明は、上記のような課題を解消する
ためになされたものであり、化学吸熱反応を用いること
によって、有人宇宙往還機における居住室への侵入熱を
効果的に排熱し得るようにすることを目的とするもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上
記課題を解決するための手段として、図面に示すよう
に、有人宇宙往還機における熱源(空力加熱源)からの高
温の熱媒体を冷却する化学反応熱交換器6に化学吸熱反
応物質を供給し、前記化学反応熱交換器6を通過する際
の化学吸熱反応により前記熱媒体を冷却するとともに、
反応により生成したガスを系外に放出するようにしてい
る。
【0015】請求項2の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項1記
載の有人宇宙往還機の排熱方法において、前記化学吸熱
反応物質をアンモニアとし、前記化学吸熱反応を、 NH3→0.5N2+1.5H2 となしている。
【0016】請求項3の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項1記
載の有人宇宙往還機の排熱方法において、前記化学吸熱
反応物質をメタノールとし、前記化学吸熱反応を、 CH3OH→CO+2H2 となしている。
【0017】請求項4の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項1記
載の有人宇宙往還機の排熱方法において、前記化学吸熱
反応物質をメタノールと水とし、前記化学吸熱反応を、 CH3OH+H2O→CO2+3H2 となしている。
【0018】請求項5の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、化学吸熱反応物
質を貯溜する貯溜タンク9(および9′)と、該貯溜タン
ク9(および9′)からの化学吸熱反応物質を蒸発気化さ
せる気化手段10(および10′)と、該気化手段10
(および10′)からの化学吸熱反応物質による化学吸熱
反応を起こさせるとともに熱源からの高温の熱媒体が供
給される化学反応熱交換器6と、前記化学吸熱反応によ
り生成されたガスを系外へ放出する放出手段11とによ
って有人宇宙往還機の排熱装置を構成している。
【0019】請求項6の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項5記
載の有人宇宙往還機の排熱装置において、前記化学吸熱
反応物質をアンモニアとし、前記化学吸熱反応を、 NH3→0.5N2+1.5H2 となしている。
【0020】請求項7の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項5記
載の有人宇宙往還機の排熱装置において、前記化学吸熱
反応物質をメタノールとし、前記化学吸熱反応を、 CH3OH→CO+2H2 となしている。
【0021】請求項8の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項5記
載の有人宇宙往還機の排熱装置において、前記化学吸熱
反応物質をメタノールと水とし、前記化学吸熱反応を、 CH3OH+H2O→CO2+3H2 となしている。
【0022】請求項9の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、図面に示すように、前記請求項5、
6、7あるいは8記載の有人宇宙往還機の排熱装置にお
いて、機体外壁4に最も近い側に燃料用水素が流通する
高温冷却用通路5を設けるとともに、該高温冷却用通路
5の内側に前記化学反応熱交換器6に供給される熱媒体
が流通する中間温冷却用通路7を設けている。
【0023】請求項10の発明では、上記課題を解決す
るための手段として、図面に示すように、前記請求項9
記載の有人宇宙往還機の排熱装置において、前記中間温
冷却用通路7の内側に前記気化手段10(および10′)
に供給される熱媒体が流通する常温冷却用通路12を設
けている。
【0024】請求項11の発明では、上記課題を解決す
るための手段として、図面に示すように、前記請求項
5、6、7、8、9あるいは10記載の有人宇宙往還機
の排熱装置において、前記気化手段10と化学反応熱交
換器6との間に予熱用熱交換器14を付設している。
【0025】請求項12の発明では、上記課題を解決す
るための手段として、図面に示すように、前記請求項1
1記載の有人宇宙往還機の排熱装置において、前記予熱
用熱交換器14を、機体3内において発生する熱負荷を
冷却する冷却サイクルEにおける凝縮器により構成して
いる。
【0026】請求項13の発明では、上記課題を解決す
るための手段として、図面に示すように、前記請求項
5、6、7、8、9、10、11あるいは12記載の有
人宇宙往還機の排熱装置において、前記化学反応熱交換
器6を、未反応ガスが供給される入口21側から生成ガ
スの出口22側に向って流路断面積が増大する管胴18
と、該管胴18内に多数配設された熱媒体流通用の伝熱
管19,19・・と、前記管胴18内におけるガス流路
に配設された触媒蒸着発泡金属20とよって構成してい
る。
【0027】
【作用】請求項1あるいは5の発明では、上記手段によ
って次のような作用が得られる。
【0028】即ち、化学反応熱交換器6に供給された化
学吸熱反応物質の化学吸熱反応によって、熱源から化学
反応熱交換器6へ供給される高温の熱媒体が冷却される
こととなる。
【0029】請求項2あるいは6の発明では、上記手段
によって次のような作用が得られる。
【0030】即ち、化学反応熱交換器6に供給されたア
ンモニアが分解される化学吸熱反応によって、熱源から
化学反応熱交換器6へ供給される高温の熱媒体が冷却さ
れることとなる。
【0031】請求項3あるいは7の発明では、上記手段
によって次のような作用が得られる。
【0032】即ち、化学反応熱交換器6に供給されたメ
タノールが分解される化学吸熱反応によって、熱源から
化学反応熱交換器6へ供給される高温の熱媒体が冷却さ
れることとなる。
【0033】請求項4あるいは8の発明では、上記手段
によって次のような作用が得られる。
【0034】即ち、化学反応熱交換器6に供給されたメ
タノールと水とが改質される化学吸熱反応によって、熱
源から化学反応熱交換器6へ供給される高温の熱媒体が
冷却されることとなる。
【0035】請求項9の発明では、上記手段によって次
のような作用が得られる。
【0036】即ち、機体外壁4において空力加熱により
発生する熱が燃料用水素によって冷却され、その後内部
に侵入する熱は、化学反応熱交換器6において化学吸熱
反応により冷却された後中間温冷却用通路7を流通する
熱媒体によって冷却されることとなる。
【0037】請求項10の発明では、上記手段によって
次のような作用が得られる。
【0038】即ち、機体外壁4において空力加熱により
発生する熱が燃料用水素によって冷却され、その後内部
に侵入する熱は、化学反応熱交換器6において化学吸熱
反応により冷却された後中間温冷却用通路7を流通する
熱媒体によって冷却され、さらに内部に侵入する熱は、
気化手段10(および10′)において蒸発潜熱により冷
却された後常温冷却用通路12を流通する熱媒体によっ
て冷却されることとなる。
【0039】請求項11の発明では、上記手段によって
次のような作用が得られる。
【0040】即ち、気化手段10により気化された化学
吸熱反応物質が予熱用熱交換器14で反応し易い温度に
予熱されることとなる。
【0041】請求項12の発明では、上記手段によって
次のような作用が得られる。
【0042】即ち、予熱用熱交換器14の熱源として機
体3内において発生する熱負荷が利用されることとな
る。
【0043】請求項13の発明では、上記手段によって
次のような作用が得られる。
【0044】即ち、管胴18内に供給された未反応ガス
が管胴18内において触媒蒸着発泡金属20の触媒作用
により化学吸熱反応を起こし、生成ガスは流路断面積が
相対的に大きくなっている出口22側から円滑に排出さ
れることとなる。
【0045】
【発明の効果】請求項1あるいは5の発明によれば、化
学反応熱交換器6に供給された化学吸熱反応物質の化学
吸熱反応によって、熱源から化学反応熱交換器6へ供給
される高温の熱媒体を冷却するようにしているので、従
来の蒸発潜熱による冷却のみに比べて大きな冷却作用が
得られることとなり、有人宇宙往還機用の排熱システム
として極めて有効であるという優れた効果がある。
【0046】請求項2あるいは6の発明によれば、化学
反応熱交換器6に供給されたアンモニアが分解される化
学吸熱反応によって、熱源から化学反応熱交換器6へ供
給される高温の熱媒体を冷却するようにしているので、
従来の蒸発潜熱による冷却のみに比べて大きな冷却作用
が得られることとなり、有人宇宙往還機用の排熱システ
ムとして極めて有効であるという優れた効果がある。
【0047】請求項3あるいは7の発明によれば、化学
反応熱交換器6に供給されたメタノールが分解される化
学吸熱反応によって、熱源から化学反応熱交換器6へ供
給される高温の熱媒体を冷却するようにしているので、
従来の蒸発潜熱による冷却のみに比べて大きな冷却作用
が得られることとなり、有人宇宙往還機用の排熱システ
ムとして極めて有効であるという優れた効果がある。
【0048】請求項4あるいは8の発明によれば、化学
反応熱交換器6に供給されたメタノールと水とが改質さ
れる化学吸熱反応によって、熱源から化学反応熱交換器
6へ供給される高温の熱媒体を冷却するようにしている
ので、従来の蒸発潜熱による冷却のみに比べて大きな冷
却作用が得られることとなり、有人宇宙往還機用の排熱
システムとして極めて有効であるという優れた効果があ
る。
【0049】請求項9の発明によれば、請求項5、6、
7あるいは8記載の有人宇宙往還機の排熱装置におい
て、機体外壁4に最も近い側に燃料用水素が流通する高
温冷却用通路5を設けるとともに、該高温冷却用通路5
の内側に化学反応熱交換器6に供給される熱媒体が流通
する中間温冷却用通路7を設けて、機体外壁4において
空力加熱により発生する熱を燃料用水素によって冷却
し、その後内部に侵入する熱を、化学反応熱交換器6に
おいて化学吸熱反応により冷却された後中間温冷却用通
路7を流通する熱媒体によって冷却するようにしている
ので、機体外壁4が耐熱温度以上になるのが防止される
とともに、搭乗員の居住空間Sへ侵入する熱は、従来の
蒸発潜熱による冷却のみに比べて大きな冷却作用によっ
て冷却されることとなり、有人宇宙往還機用の排熱シス
テムとして極めて有効であるという優れた効果がある。
【0050】請求項10の発明によれば、請求項9記載
の有人宇宙往還機の排熱装置において、中間温冷却用通
路7の内側に気化手段10(および10′)に供給される
熱媒体が流通する常温冷却用通路12を設けて、機体外
壁4において空力加熱により発生する熱を燃料用水素に
よって冷却し、その後内部に侵入する熱を、化学反応熱
交換器6において化学吸熱反応により冷却された後中間
温冷却用通路7を流通する熱媒体によって冷却し、さら
に内部に侵入する熱を、気化手段10(および10′)に
おいて蒸発潜熱により冷却された後常温冷却用通路12
を流通する熱媒体によって冷却するようにしているの
で、搭乗員の居住空間Sへ侵入する熱がさらに大幅に抑
制されることとなり、有人宇宙往還機用の排熱システム
として極めて有効であるという優れた効果がある。
【0051】請求項11の発明によれば、請求項5、
6、7、8、9あるいは10記載の有人宇宙往還機の排
熱装置において、気化手段10と化学反応熱交換器6と
の間に予熱用熱交換器14を付設して、気化手段10に
より気化された化学吸熱反応物質を予熱用熱交換器14
で反応し易い温度に予熱するようにしたので、化学反応
熱交換器6における化学吸熱反応が促進されるという優
れた効果がある。
【0052】請求項12の発明によれば、請求項11記
載の有人宇宙往還機の排熱装置において、予熱用熱交換
器14を、機体3内において発生する熱負荷を冷却する
冷却サイクルEにおける凝縮器により構成して、予熱用
熱交換器14の熱源として機体3内において発生する熱
負荷を利用するようにしたので、機体3内に生ずる熱負
荷の除去を図りつつ、化学反応熱交換器6における化学
吸熱反応の促進を図り得るという優れた効果がある。
【0053】請求項13の発明によれば、請求項5、
6、7、8、9、10、11あるいは12記載の有人宇
宙往還機の排熱装置において、化学反応熱交換器6を、
未反応ガスが供給される入口21側から生成ガスの出口
22側に向って流路断面積が増大する管胴18と、該管
胴18内に多数配設された熱媒体流通用の伝熱管19,
19・・と、前記管胴18内におけるガス流路に配設さ
れた触媒蒸着発泡金属20とよって構成して、管胴18
内に供給された未反応ガスを管胴18内において触媒蒸
着発泡金属20の触媒作用により化学吸熱反応せしめ、
生成ガスを流路断面積が相対的に大きくなっている出口
22側から円滑に排出し得るようにしたので、化学吸熱
反応を生起せしめる化学反応熱交換器6として極めて有
効であるという優れた効果がある。
【0054】
【実施例】以下、添付の図面を参照して本願発明の幾つ
かの好適な実施例を説明する。
【0055】実施例1 図1および図2には、本願発明の実施例1にかかる有人
宇宙往還機の排熱方法および排熱装置が示されている。
本実施例は、請求項1、2、5、6、9、10、11、
12および13の発明に対応するものである。
【0056】本実施例の排熱装置は、燃料用の水素が貯
溜される水素貯溜タンク1と該水素貯溜タンク1内の液
体水素をスクラムエンジン2に供給すべく機体3におい
て外壁4に最も近い部分に形成された高温冷却用通路5
とからなるアクティブクーリングシステムAと、後述す
る化学吸熱反応による冷却作用を行う化学反応熱交換器
6と該化学反応熱交換器6へ供給される熱媒体(本実施
例の場合、オイル)を流通すべく前記高温冷却用通路5
の内側に形成された中間温冷却用通路7と熱媒体循環用
のポンプ8とからなる中間温冷却システムBと、化学吸
熱反応物質である液体アンモニアを貯溜する貯溜タンク
9と該貯溜タンク9からの液体アンモニアを気化させる
気化手段として作用する蒸発器10と該蒸発器10にお
いて気化されたアンモニアガスが供給されて化学吸熱反
応を生ずる前記化学反応熱交換器6と該化学反応熱交換
器6において生成される生成ガス(本実施例の場合、窒
素ガスおよび水素ガス)を系外へ放出する放出手段11
とからなる化学吸熱反応システムCと、前記蒸発器10
と該蒸発器10においてアンモニア気化用の熱源として
使用される熱媒体(本実施例の場合、フレオン)を流通す
べく前記中間温冷却用通路7の内側に形成された常温冷
却用通路12と熱媒体循環用のポンプ13とからなる常
温冷却システムDとを備えている。
【0057】前記アクティブクーリングシステムAにお
いては、水素貯溜タンク1からの液体水素が高温冷却用
通路5を流通する過程において機体3の外壁4に生ずる
熱が冷却され、機体表面が耐熱温度以上になるのを防止
するとともに、搭乗員の居住空間S側への侵入熱の低減
をも図っている。なお、冷却用に供された後の水素は、
スクラムエンジン2に供給されて燃料として使用され
る。
【0058】前記化学吸熱反応システムCにおける蒸発
器10と化学反応熱交換器6との間には、機体内におい
て発生する熱負荷(例えば、油圧駆動系機器、潤滑系機
器、生命維持・環境制御装置、アビオニクス機器などか
らの発熱)を冷却するための冷却サイクルEにおける凝
縮器が余熱用熱交換器14として付設されている。該余
熱用熱交換器14は、蒸発器10において気化されたア
ンモニアを反応し易い温度まで予熱する作用をなす。
【0059】該冷却サイクルEは、圧縮機15、凝縮器
(換言すれば、余熱用熱交換器)14、膨張機構16およ
び蒸発器(換言すれば、クーラ)17を順次接続してなる
冷凍サイクルとされている。
【0060】前記化学反応熱交換器6においては、貯溜
タンク9から蒸発器10および余熱用熱交換器14を経
て供給されたアンモニアが分解される化学吸熱反応が次
式により起こる。
【0061】NH3(g)→0.5N2(g)+1.5H2(g) この化学吸熱反応および前記蒸発気化で得られる吸熱量
は、4.28(kJ/g)であり、水の蒸発潜熱2.26(k
J/g)の約1.9倍となっている。
【0062】従って、中間温冷却用通路7において熱源
(機体外壁の空力加熱)により高温に加熱された熱媒体
は、化学反応熱交換器6を通過する間に冷却されること
となる。
【0063】つまり、本実施例の排熱方法においては、
熱源からの高温の熱媒体を冷却する化学反応熱交換器6
にアンモニアを供給し、前記化学反応熱交換器6を通過
する際に次式で示す化学吸熱反応を行わせて、 NH3(g)→0.5N2(g)+1.5H2(g) 反応により生成したガスを系外に放出することにより前
記化学反応熱交換器6の温度を一定以下に保つようにし
ているのである。
【0064】さらに、本実施例の化学反応熱交換器6
は、図2に示すように、未反応ガスが供給される入口2
1側から生成ガスの出口22側に向って流路断面積が増
大する管胴18と、該管胴18内に多数配設された熱媒
体流通用の伝熱管19,19・・と、前記管胴18内に
おけるガス流路に配設された触媒蒸着発泡金属20とよ
って構成されている。符号23は熱媒体の入口、24は
熱媒体の出口である。
【0065】上記のように構成したことにより、管胴1
8内に供給された未反応ガスを管胴18内において触媒
蒸着発泡金属20の触媒作用により化学吸熱反応せし
め、生成ガスが流路断面積が相対的に大きくなっている
出口22側から円滑に排出せしめられることとなる。つ
まり、分解反応によりガス流量が増大することに対処で
きるのである。
【0066】前記常温冷却システムDにおいては、前記
中間温冷却用通路7を経てさらに内部へ侵入する熱を、
蒸発器10においてアンモニア気化用の熱源として供す
ることにより冷却し、居住空間Sの温度を搭乗員の安全
確保できる温度にすることとなっている。
【0067】つまり、本実施例においては、熱媒体であ
る液体アンモニアの相変化による蒸発潜熱のほかに吸熱
反応熱を利用することにより、熱媒体の単位重量当たり
の吸熱量を大きくすることができ、従って一定の熱負荷
に対し、従来の化学吸熱反応を利用しないシステムに比
べて、熱媒体の重量を小さくすることができるのであ
る。このことから、本実施例の排熱方法および排熱装置
は、例えば、航空機、ロケット、スペースシャトル、ス
ペースプレーン等の空力加熱による発熱を除熱する際の
高効率な排熱システムとして極めて望ましいものとなっ
ているのである。
【0068】実施例2 図3には、本願発明の実施例2にかかる有人宇宙往還機
の排熱装置が示されている。本実施例は、請求項1、
3、5、7、9、10、11、12および13の発明に
対応するものである。
【0069】本実施例の場合、化学反応熱交換器6に供
給される化学吸熱反応物質としてメタノールが使用され
ており、化学反応熱交換器6を通過する際に次式で示す
化学吸熱反応を行わせて、 CH3OH(g)→CO(g)+2H2(g) 反応により生成したガスを系外に放出することにより、
化学反応熱交換器6の温度を一定に保つようにしてい
る。
【0070】また、本実施例においては、常温冷却シス
テムDにおいて化学吸熱反応システムCにおける気化手
段(換言すれば蒸発器)10の上流側に、機体内において
発生する熱負荷(例えば、油圧駆動系機器、潤滑系機
器、生命維持・環境制御装置、アビオニクス機器などか
らの発熱)を冷却するための冷却サイクルFにおける凝
縮器25が付設されている。該凝縮器25は、蒸発器1
0において気化されるメタノールの沸点が比較的高いと
ころから、常温冷却用通路12からの熱媒体を加熱する
ことによりメタノールの気化を良好ならしめる作用をな
す。
【0071】該冷却サイクルFは、圧縮機26、凝縮器
25、膨張機構27および蒸発器(換言すれば、クーラ)
28を順次接続してなる冷凍サイクルとされている。
【0072】本実施例における化学吸熱反応および蒸発
気化で得られる吸熱量は、4.11(kJ/g)であり、水
の蒸発潜熱2.26(kJ/g)の約1.8倍となってい
る。
【0073】その他の構成および作用効果は実施例1と
同様なので重複を避けて説明を省略する。
【0074】実施例3 図4には、本願発明の実施例3にかかる有人宇宙往還機
の排熱装置が示されている。本実施例は、請求項1、
4、5、8、9、10、11、12および13の発明に
対応するものである。
【0075】本実施例の場合、化学反応熱交換器6に供
給される化学吸熱反応物質としてメタノールおよび水が
使用されており、化学反応熱交換器6を通過する際に次
式で示す化学吸熱反応を行わせて、 CH3OH(g)+H2O(g)→CO2(g)+3H2(g) 反応により生成したガスを系外に放出することにより、
化学反応熱交換器6の温度を一定に保つようにしてい
る。
【0076】また、本実施例においては、化学吸熱反応
システムCには、メタノール貯溜用の貯溜タンク9およ
び蒸発器10と並列に水貯溜用の貯溜タンク9′および
蒸発器10′が付設されている。
【0077】また、常温冷却システムDを循環する熱媒
体は、蒸発器10′および蒸発器10を通ることとなっ
ている。
【0078】本実施例における化学吸熱反応および蒸発
気化で得られる吸熱量は、2.65(kJ/g)であり、水
の蒸発潜熱2.26(kJ/g)の約1.2倍となってい
る。
【0079】その他の構成および作用効果は実施例1と
同様なので重複を避けて説明を省略する。
【0080】本願発明は、上記各実施例の構成に限定さ
れるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例1にかかる有人宇宙往還機の
排熱方法および排熱装置の概略を示すシステム構成図で
ある。
【図2】本願発明の実施例1にかかる有人宇宙往還機の
排熱方法および排熱装置に使用されている化学反応熱交
換器の断面図である。
【図3】本願発明の実施例2にかかる有人宇宙往還機の
排熱方法および排熱装置の概略を示すシステム構成図で
ある。
【図4】本願発明の実施例3にかかる有人宇宙往還機の
排熱方法および排熱装置の概略を示すシステム構成図で
ある。
【符号の説明】
1は水素貯溜タンク、2はスクラムエンジン、3は機
体、4は外壁、5は高温冷却用通路、6は化学反応熱交
換器、7は中間温冷却用通路、9,9′は貯溜タンク、
10,10′は気化手段(蒸発器)、11は放出手段、1
2は常温冷却用通路、14は予熱用熱交換器(凝縮器)、
18は管胴、19は伝熱管、20は触媒蒸着発泡金属、
21は入口、22は出口、Aはアクティブクーリングシ
ステム、Bは中間温冷却システム、Cは化学吸熱反応シ
ステム、Dは常温冷却システム、E,Fは冷却サイク
ル、Sは居住空間。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱源からの高温の熱媒体を冷却する化学
    反応熱交換器(6)に化学吸熱反応物質を供給し、前記化
    学反応熱交換器(6)を通過する際の化学吸熱反応により
    前記熱媒体を冷却するとともに、反応により生成したガ
    スを系外に放出することにより前記化学反応熱交換器
    (6)の温度を一定以下に保つことを特徴とする有人宇宙
    往還機の排熱方法。
  2. 【請求項2】 前記化学吸熱反応物質がアンモニアとさ
    れ、前記化学吸熱反応が、 NH3→0.5N2+1.5H2 とされていることを特徴とする前記請求項1記載の有人
    宇宙往還機の排熱方法。
  3. 【請求項3】 前記化学吸熱反応物質がメタノールとさ
    れ、前記化学吸熱反応が、 CH3OH→CO+2H2 とされていることを特徴とする前記請求項1記載の有人
    宇宙往還機の排熱方法。
  4. 【請求項4】 前記化学吸熱反応物質がメタノールと水
    とされ、前記化学吸熱反応が、 CH3OH+H2O→CO2+3H2 とされていることを特徴とする前記請求項1記載の有人
    宇宙往還機の排熱方法。
  5. 【請求項5】 化学吸熱反応物質を貯溜する貯溜タンク
    (9)と、該貯溜タンク(9)からの化学吸熱反応物質を蒸
    発気化させる気化手段(10)と、該気化手段(10)から
    の化学吸熱反応物質による化学吸熱反応を起こさせると
    ともに熱源からの高温の熱媒体が供給される化学反応熱
    交換器(6)と、前記化学吸熱反応により生成されたガス
    を系外へ放出する放出手段(11)とを備えていることを
    特徴とする有人宇宙往還機の排熱装置。
  6. 【請求項6】 前記化学吸熱反応物質がアンモニアとさ
    れ、前記化学吸熱反応が、 NH3→0.5N2+1.5H とされていることを特徴とする前記請求項5記載の有人
    宇宙往還機の排熱装置。
  7. 【請求項7】 前記化学吸熱反応物質がメタノールとさ
    れ、前記化学吸熱反応が、 CHOH→CO+2H2 とされていることを特徴とする前記請求項5記載の有人
    宇宙往還機の排熱装置。
  8. 【請求項8】 前記化学吸熱反応物質がメタノールと水
    とされ、前記化学吸熱反応が、 CH3OH+H2O→CO2+3H2 とされていることを特徴とする前記請求項5記載の有人
    宇宙往還機の排熱装置。
  9. 【請求項9】 機体外壁(4)に最も近い側に燃料用水素
    が流通する高温冷却用通路(5)を設けるとともに、該高
    温冷却用通路(5)の内側に前記化学反応熱交換器(6)に
    供給される熱媒体が流通する中間温冷却用通路(7)を設
    けたことを特徴とする前記請求項5、6、7あるいは8
    記載の有人宇宙往還機の排熱装置。
  10. 【請求項10】 前記中間温冷却用通路(7)の内側に前
    記気化手段(10)に供給される熱媒体が流通する常温冷
    却用通路(12)を設けたことを特徴とする前記請求項9
    記載の有人宇宙往還機の排熱装置。
  11. 【請求項11】 前記気化手段(10)と化学反応熱交換
    器(6)との間に予熱用熱交換器(14)を付設したことを
    特徴とする前記請求項5、6、7、8、9あるいは10
    記載の有人宇宙往還機の排熱装置。
  12. 【請求項12】 前記予熱用熱交換器(14)を、機体3
    内において発生する熱負荷を冷却する冷却サイクル(E)
    における凝縮器により構成したことを特徴とする前記請
    求項11記載の有人宇宙往還機の排熱装置。
  13. 【請求項13】 前記化学反応熱交換器(6)を、未反応
    ガスが供給される入口(21)側から生成ガスの出口(2
    2)側に向って流路断面積が増大する管胴(18)と、該
    管胴(18)内に多数配設された熱媒体流通用の伝熱管
    (19),(19)・・と、前記管胴(18)内におけるガス
    流路に配設された触媒蒸着発泡金属(20)とよって構成
    したことを特徴とする前記請求項5、6、7、8、9、
    10、11あるいは12記載の有人宇宙往還機の排熱装
    置。
JP22028491A 1991-08-30 1991-08-30 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置 Pending JPH0560425A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22028491A JPH0560425A (ja) 1991-08-30 1991-08-30 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22028491A JPH0560425A (ja) 1991-08-30 1991-08-30 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0560425A true JPH0560425A (ja) 1993-03-09

Family

ID=16748763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22028491A Pending JPH0560425A (ja) 1991-08-30 1991-08-30 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0560425A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009214695A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Japan Aerospace Exploration Agency 液体燃料貯蔵用容器及び該容器を用いた蒸気噴射システム
JP2018197103A (ja) * 2017-05-09 2018-12-13 ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company 航空機部品の断熱構造、ならびにその組立方法及び使用方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009214695A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Japan Aerospace Exploration Agency 液体燃料貯蔵用容器及び該容器を用いた蒸気噴射システム
US8769923B2 (en) 2008-03-10 2014-07-08 Japan Aerospace Exploration Agency Liquid-fuel storage vessel and vapor jet system using the same
JP2018197103A (ja) * 2017-05-09 2018-12-13 ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company 航空機部品の断熱構造、ならびにその組立方法及び使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Jixiang et al. Recent active thermal management technologies for the development of energy-optimized aerospace vehicles in China
US3847298A (en) Fuel tank inerting system
US7955568B2 (en) Chemical reaction-based thermal management system and method
JPH09184452A (ja) 液体推進剤高密度化
EA017577B1 (ru) Способ доставки грузов в космос и система его осуществления
JP2009041418A (ja) 宇宙輸送機用空気吸い込み式エンジン及びその増速性能向上方法
US5687932A (en) Apparatus for removing heat
RU2531210C1 (ru) Способ обеспечения теплового режима приборного отсека летательного аппарата
US3086372A (en) Heat exchange means for space vehicles
JPH0560425A (ja) 有人宇宙往還機の排熱方法および排熱装置
EP3360790B1 (en) Catalyctic fuel tank inerting apparatus for aircraft
Trushlyakov et al. Reducing environmental damage after emergency engine cutoff of the launch vehicle
WO2010095977A1 (ru) Способ и система питания реактивных двигателей
EP2761159B1 (en) Propulsion system
US3140064A (en) Liquid heat sink auxiliary power generator for space vehicles
Aydelott et al. NASA Lewis Research Center low-gravity fluid management technology program
Lak et al. Non-toxic cryogenic storage for OMS/RCS Shuttle upgrade
US3528245A (en) Combined radioisotope power and propulsion system
US11982406B1 (en) Method and apparatus for controlling temperature and pressure inside a propellant tank
US10518895B2 (en) Fuel tank inerting system
Regnier et al. Design and development of a passive propellant management system
JP2782272B2 (ja) 宇宙往還機の熱制御系排熱用蒸発装置
TRUSHLYAKOV et al. Theoretical and experimental studies of gas preparation system for pressurization and reactive control system of launch vehicle
CLAPP et al. A single stage to orbit rocket with non-cryogenic propellants
DECRISANTIS et al. Shuttle Orbiter thermal control post-flight evaluation